説明

封緘装置付きの縦形ポンプ式液体噴出容器

【課題】 封緘装置付きの縦形ポンプ式液体噴出容器を提案する。
【解決手段】 容器体1口頸部へ嵌合させた装着筒4で容器体内へシリンダ5を垂下し、該シリンダ内から上方付勢されて起立する作動部材6の上下動で、容器体内液体を吸上げ、作動部材上端のヘッド7が有するノズル9から噴出可能とし、又上記装着筒から延長周壁3aを起立すると共に上記ヘッドからヘッド周壁7aを垂下させて、該ヘッド周壁下部を延長周壁の上方内へ位置させた容器において、装着筒の延長周壁3a外面へ大径筒部22を嵌着させると共に該大径筒部上端から突設した内向きフランジ内端の破断用弱化線25を介してヘッド周壁7a外面へ嵌合させた小径筒部23を吊持ちさせ、該小径筒部の下端内面へは複数の弾性逆刺26を付設し、ヘッド7の押下げで弱化線が破断されて小径筒部23は延長周壁3a内へ嵌合されるよう設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封緘装置付きの縦形ポンプ式液体噴出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
周壁下端から、薄肉脆弱ブリッジを介してリング状封緘バンドを垂下するキャップ本体と、該キャップ本体へ冠着させたオーバーキャップとからなり、上記封緘バンドを容器体口頸部外面へ嵌合させた封緘キャップが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−40297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記封緘キャップは、口頸部を起立するだけの容器ないしボトルへの嵌合用キャップで、これは縦形ポンプ式液体噴出容器への使用に適しない。
【0004】
本発明は、容器体内へ垂下されたシリンダ内から上方付勢させて作動部材を起立し、該作動部材の上下動で容器体内液体を作動部材上端の押下げヘッドが有するノズルから噴出するよう設けた縦形ポンプ式液体噴出容器に適するよう設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として容器体口頸部2外面へ嵌合させた装着筒4で容器体内に垂下されたシリンダ5内から、上方付勢させて作動部材6を起立し、該作動部材の上下動で容器体内液体を作動部材上端のヘッド7のノズル9から噴出可能とすると共に、上記装着筒の周壁3から起立させた延長周壁3aの内方上部へ、ヘッド外周から垂下するヘッド周壁7aの下端部を延長周壁3a内下方への下降が可能に位置させた縦形ポンプ式液体噴出容器において、
大径筒部22上端へ付設した内向きフランジ24内端の破断用弱化線25を介して、下端内面に複数の弾性逆刺26を有する小径筒部23を起立状態に保持する封緘用筒21を設けて、
上記大径筒部22を延長周壁3a外面へ固着すると共に弾性逆刺26で下端面を支持させてヘッド周壁7a外面へ小径筒部23を嵌合させ、上記ヘッド7の押下げで弱化線25が破断されて小径筒部23は延長周壁3a内へ落ち込み可能に形成した。
【0006】
第2の手段として、上記第1の手段を有すると共に上記封緘用筒21の内向きフランジ24を延長周壁3a上端面上へ載置させると共に、小径筒部23の下端部を、延長周壁3a内へ挿入させた。
【0007】
第3の手段として、上記第1、又は第2の手段を有すると共に上記ヘッド周壁7aの上部から、ノズル9先端を突出させると共に、該ノズル先端通過用の割溝27を封緘用筒の小径筒部23へ縦設した。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のようにすることで、図1の状態から図2のようにキャップ31を外し、ヘッド7を押下げすると、ヘッド周壁7a下端面が小径筒部23下端の逆刺26を押下げることで弱化線25が破断されて小径筒部23は延長周壁3a内へ嵌合し、ヘッド7を離せば図3のようにヘッド7は上昇し、原位置へ復帰する。しかし小径筒部23は延長周壁3a内へ嵌合されたままとなるから、その小径筒部23が大径筒部22上方へ起立しているか否かで、該縦形ポンプ式液体噴出容器が使用されたか否かを容易に見分けることが出来る。
【0009】
請求項2のようにすることで、ヘッド押下げによる小径筒部23下降時の応力を弱化線25へ集中させることが出来、その破断が容易となる。
【0010】
請求項3のようにすることで、ヘッド周壁7aの外面からノズル先端部を外方突出するヘッド付きの縦形ポンプ式液体噴出容器にも封緘用筒21を使用できる便利がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず公知の部分について簡単に説明すると、縦形ポンプ式液体噴出容器は、容器体1の口頸部2の外面へ周壁3を螺合させた装着筒4で容器体内へシリンダ5を垂下させ、そのシリンダ内から上方付勢させて作動部材6を起立させ、該作動部材上端のヘッド7をスプリング8の付勢に抗して押下げ、又弾性復帰させることで容器体内液体をシリンダ5内へ吸込み、かつ該シリンダ内液体をヘッドが有するノズル9から噴出可能に形成している。
【0012】
上記装着筒4は、周壁3を上方へ延長して延長周壁3aとし、又周壁3上端から外向きフランジを介して外周壁3bを垂下しており、又ヘッド7はヘッド頂壁からヘッド周壁7aを垂下させてその下端を延長周壁3aの上端部内へ遊挿させ、ヘッド周壁の上部からはノズル先端部を僅かに外方へ突出させている。
【0013】
尚図示例では容器体底板10を上昇可能とし、容器体内液体減少による負圧化でその底板が上昇してその負圧化を解消するよう設けているが、容器体底板を容器体周壁下端へ固定し、シリンダ下端から垂下させた吸上げパイプでシリンダ内へ液体を吸込む容器でもよい。11は容器体の下面保護板である。
【0014】
本発明にあっては、図4、5が示すような封緘用筒21を設けて図1が示すように大径筒部22を延長周壁3a外面へ嵌着固定させると共に小径筒部23をヘッド周壁7a外面へ嵌合させた。
【0015】
その封緘用筒21は、大径筒部22上端に内向きフランジ24を付設し、その内向きフランジ内端を破断用弱化線25として該弱化線を介して小径筒部23下部を吊持ちさせ、その小径筒部下部を延長周壁3aの上端部内へ嵌合させると共にその小径筒部23の下端内面に複数の弾性逆刺26をほぼ等間隔に付設したものである。尚図示例のようにヘッド周壁7aの上部外面からノズル先端9aを外方突出させた場合は、図4が示すように小径筒部23の一部へ、そのノズル先端通過用の割溝27を穿設する。
【0016】
尚28は大径筒部22内面へ縦設した回止め突条で、該大径筒部22を装着筒4の延長周壁3a外面へ嵌合させたとき、その突条28ほか延長周壁3a外面へ多数縦設した滑止め凹条29内へ嵌合し、かつ固定される。
【0017】
上記封緘用筒21は、図6が示すように装着筒4、シリンダ5、作動部材6を組付けて形成した縦形ポンプのヘッド7上方へ位置させ、そのまま下方へ押下げることで図7のように大径筒部22を延長周壁3a外面へ嵌合固着させる。各逆刺26はヘッド周壁外面へ圧接し、弾性変形してそのヘッド周壁外面を下方へ摺動した後に弾性復元してヘッド周壁下面へ係合する。又このとき内向きフランジ24は延長周壁3aの上端面へ接し、かつ破断用弱化線25下方の小径筒部部分は延長周壁3aの上部内面へ嵌合する。
【0018】
図示例のようにノズル先端をヘッド周壁7a外方へ突出させた場合は、その突出部分を既述割溝27に通すことで上記封緘用筒の押下げを行う。
【0019】
上記封緘用筒21の組付けの後、装着筒周壁3を図1のように容器体1の口頸部外面へ螺合させる。31はキャップで、ヘッド7を覆合させてその周壁下部を封緘用筒21の大径筒部22外面へ嵌合させる。
【0020】
液体噴出の際は図2のようにキャップ31を外し、ヘッド7を押下げすると、逆刺26がヘッド周壁7a下端面へ係合しているため、弱化線25が破断されて小径筒部23は延長周壁3a内へ押込まれることとなり、ヘッド7を離すと図3のようにスプリング8の弾性復元でヘッド7は上昇することとなる。
【0021】
図示例の場合、スプリング8を除く各部材はすべて合成樹脂材で成形している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明容器の半断面図である。
【図2】ヘッド押下げ状態で示す、図1の半断面図である。
【図3】図2の押下げ状態から、ヘッドが上昇した状態で示す半断面図である。
【図4】図1容器に使用している封緘用筒の斜視図である。
【図5】図4封緘用筒の平面図である。
【図6】図1の縦形ポンプへの封緘用筒組付け方法を示す半断面図である。
【図7】封緘用筒組付け状態で示す縦形ポンプの半断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 容器体 3 周壁
3a 延長周壁 4 装着筒
5 シリンダ 6 作動部材
7 ヘッド 9 ノズル
21 封緘用筒 22 大径筒部
23 小径筒部 25 弱化線
26 逆刺 27 割溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部2外面へ嵌合させた装着筒4で容器体内に垂下されたシリンダ5内から、上方付勢させて作動部材6を起立し、該作動部材の上下動で容器体内液体を作動部材上端のヘッド7のノズル9から噴出可能とすると共に、上記装着筒の周壁3から起立させた延長周壁3aの内方上部へ、ヘッド外周から垂下するヘッド周壁7aの下端部を延長周壁3a内下方への下降が可能に位置させた縦形ポンプ式液体噴出容器において、
大径筒部22上端へ付設した内向きフランジ24内端の破断用弱化線25を介して、下端内面に複数の弾性逆刺26を有する小径筒部23を起立状態に保持する封緘用筒21を設けて、
上記大径筒部22を延長周壁3a外面へ固着すると共に弾性逆刺26で下端面を支持させてヘッド周壁7a外面へ小径筒部23を嵌合させ、上記ヘッド7の押下げで弱化線25が破断されて小径筒部23は延長周壁3a内へ落ち込み可能に形成した
ことを特徴とする、封緘装置付き縦形ポンプ式液体噴出容器。
【請求項2】
上記封緘用筒21の内向きフランジ24を延長周壁3a上端面上へ載置させると共に、小径筒部23の下端部を、延長周壁3a内へ挿入させた
ことを特徴とする、請求項1記載の封緘装置付き縦形ポンプ式液体噴出容器。
【請求項3】
上記ヘッド周壁7aの上部から、ノズル9先端を突出させると共に、該ノズル先端通過用の割溝27を封緘用筒の小径筒部23へ縦設した
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の封緘装置付き縦形ポンプ式液体噴出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−8237(P2006−8237A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191817(P2004−191817)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】