説明

封鎖方法、封鎖構造、および清掃装置

【課題】 液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を部材間に挟み込んだ際の封鎖性が向上する封鎖方法、この封鎖方法を用いた封鎖構造、および、この封鎖構造を有する清掃装置を提供する。
【解決手段】 第1部材上に、液状で塗布されて硬化する液状材料を、線状に、複数回重ねて塗布する重ね塗り過程と、前記重ね塗り過程を経て重ねられた液状材料の上に第2部材を配置して前記第1部材と該第2部材とで該液状材料を挟み込んで、該第1部材と該第2部材との隙間を該液状材料で封鎖する挟み込み過程とを有することを特徴とする封鎖方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封鎖方法、封鎖構造、および清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像装置の構成部材間に液状エラストマを塗布しておくことで、部材間からのトナーの流出を防ぐ構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−208552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、液状材料を間に挟み込んだ部材相互の位置調整が可能な封鎖方法、この封鎖方法を用いた封鎖構造、および、この封鎖構造を有する清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る封鎖方法は、
第1部材上に、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を、線状に、複数回重ねて塗布する重ね塗り過程と、
上記重ね塗り過程を経て重ねられた液状材料の上に第2部材を配置して上記第1部材とこの第2部材とでこの液状材料を挟み込んで、この第1部材とこの第2部材との隙間をこの液状材料で封鎖する挟み込み過程とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る封鎖方法は、
上記重ね塗り過程が、上記液状材料を、幅より高く塗布する過程であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る封鎖方法は、
上記第1部材と上記第2部材が、間隔が不均一な隙間を生じるものであり、
上記重ね塗り過程が、上記液状材料を、上記隙間の間隔に応じた回数重ねて塗布する過程であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る封鎖方法は、
第1部材上の線状の塗布箇所に沿って治具を配置することで、この塗布箇所に沿って延びたこの塗布箇所から立ち上がった壁面を形成する配置過程と、
液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を、上記塗布箇所に、上記壁面で支えながら塗布する塗布過程と、
上記塗布過程で塗布された液状材料が硬化した後で上記治具を除去する除去過程と、
上記除去過程の後で、上記液状材料の上に第2部材を配置して上記第1部材とこの第2部材とでこの液状材料を挟み込んで、この第1部材とこの第2部材との隙間をこの液状材料で封鎖する挟み込み過程とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る封鎖方法は、
上記配置過程が、上記壁面として、上部が上記塗布箇所から外側へと傾いている壁面を形成する過程であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る封鎖方法は、
上記塗布過程が、上記液状材料を、幅より高く塗布する過程であることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る封鎖方法は、
上記配置過程が、上記塗布箇所に沿って上記治具とは別の治具も、この塗布箇所を挟んで上記治具とは逆側に配置することで、この塗布箇所に沿って延びた、上記壁面に対向した別の壁面も形成する過程であり、
上記塗布過程が、上記液状材料を、上記壁面と上記別の壁面とで両側から支えながら塗布する過程であることを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る封鎖構造は、
第1部材と、
第1部材上に、線状に、複数回重ねて塗布されて硬化した液状材料と、
上記液状材料を上記第1部材との間に挟んでいる、この第1部材との隙間がこの液状材料で封鎖された第2部材とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9に係る清掃装置は、
請求項8記載の封鎖構造を有する、被清掃体の表面の付着物を除去して内部に収容する、この封鎖構造でこの付着物の漏出が防止されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および請求項4に係る封鎖方法によれば、液状材料を間に挟み込んだ部材相互の位置調整が可能となる。
【0015】
請求項5に係る封鎖方法によれば、液状材料を間に挟み込んだ部材相互の位置調整が、反力が小さな状態で可能となる。
【0016】
請求項2および請求項6に係る封鎖方法によれば、液状材料を間に挟み込んだ部材相互の位置調整が広範囲で可能となる。
【0017】
請求項3および請求項7に係る封鎖方法によれば、液状材料を間に挟み込んだ部材相互封鎖性が向上する。
【0018】
請求項8に係る封鎖構造によれば、液状材料を間に挟み込んだ部材相互封鎖性が向上する。
【0019】
請求項9に係る清掃装置によれば、収容する付着物の封鎖性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像形成装置の概略断面図である。
【図2】クリーニング装置の一部の正面図である。
【図3】ブレードを支持した状態のブレード支持板を示す図である。
【図4】クリーニング枠体を示す図である。
【図5】クリーニング装置の組付方法の流れを示す図である。
【図6】クリーニング枠体の狭められた入口を示す図である。
【図7】クリーニング枠体の保持部に感光体ドラムが組み付けられた様子を示す図である。
【図8】感光体ドラムが組み付けられたクリーニング装置の断面図である。
【図9】塗布面に塗布されたシール材の断面を示す図である。
【図10】塗布面に塗布されたシール材の塗布幅と塗布高さとの関係を、シール材を吐出するノズルの移動速度毎に調査した結果を示すグラフ図である。
【図11】本発明の封鎖方法の第1実施形態を示す図である。
【図12】塗布面に塗布されたシール材の断面図である。
【図13】シール材が3回に分けて塗布されたクリーニング枠体に対し、さらに追加のシール材が塗布されている様子を示す図である。
【図14】クリーニング枠体の周縁部分に治具が載せられている様子を示す図である。
【図15】本発明の封鎖方法の第2実施形態の流れを示す図である。
【図16】第3実施形で使用する治具の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、画像形成装置の概略断面図である。
【0023】
図1に示す画像形成装置1では、帯電ロール11により所定の電荷が付与された、矢印Aの向きに回転する感光体ドラム10の表面に、外部から送信されてきた画像データに基づいて露光器12で生成した露光光が照射されることで静電潜像が形成され、矢印Cの向きに回転する現像ロール131を有する現像器13に収容されたトナーでこの静電潜像が現像される。この現像により得られた現像像は、不図示の用紙カセットから引き出され、矢印Bの向きに搬送されてきた記録用紙上に、矢印Dの向きに回転する転写ロール14によって転写され、定着器15により定着されることにより記録用紙上に画像形成が行われる。尚、この画像形成装置1は、モノクロ画像専用機である。
【0024】
また、図1には、感光体ドラム10の、記録用紙への現像像の転写を終えた部分に接触し、感光体ドラム10の表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置2が示されている。
【0025】
図2は、クリーニング装置の一部の正面図である。
【0026】
図2には、図1に示されるクリーニング装置2を現像器13側から感光体ドラム10越しに見た場合の、このクリーニング装置2の端部が示されている。クリーニング装置2は左右対称であるので、以下では、ここに示す端部について説明する。
【0027】
クリーニング装置2は、クリーニング枠体21、ブレード22、ブレード支持板23、フィルム部材24、およびフェルト部材25を備えている。
【0028】
ブレード22は、先端221が接触する感光体ドラム10の表面に付着した付着物を除去するゴム製のものである。
【0029】
ブレード支持板23は、ブレード22を支持する金属製の板材であり、留めネジ230によりクリーニング枠体21に固定されている。
【0030】
クリーニング枠体21は、感光体ドラム10の表面から除去した付着物を収容する凹部空間を有し、この凹部空間の入口210a(図4参照)の周縁の一部に、ブレード22を支持するブレード支持板23がネジ止めされる本体部210、および、感光体ドラム10の両端を回転自在に保持する保持部211を備えている。尚、本体部210には、ブレード支持板23の位置決めに使用するボス2101に加え、このクリーニング枠体21を画像形成装置1における所定位置に配備するための位置決めに使用するボス2102も備えられている。また、詳しくは後述するが、ブレード22を支持したブレード支持板23のクリーニング枠体21へのネジ留めは、クリーニング枠体21の入口210aの周縁に塗布された、硬化する液状材料の一例である熱可塑性エラストマで構成されるシール材20(図6参照)を挟み込みながら行われ、これにより、凹部空間に収容した付着物がクリーニング枠体21とブレード22との隙間や、クリーニング枠体21とブレード支持板23との隙間から漏れないようにされている。
【0031】
フェルト部材25は、フェルト層251と弾性層252(図7参照)との2層からなり、弾性層252は、クリーニング枠体21の保持部211に保持された状態の感光体ドラム10により僅かに押し潰される厚みにされている。これにより、フェルト層251は感光体ドラム10に密着し、感光体ドラム10の回転方向に垂直な方向への付着物の漏れが防止されている。
【0032】
また、このフェルト部材25には、クリーニング枠体21の入口210aの中央に向かって突出した突出部250が備えられている。図2には、突出部250の側面と、フェルト部材25の、突出部250以外の部分のブレード側の側面とがブレード22の角に添わされている様子が示されている。これにより、付着物の、ブレード22の角を辿る漏出が防止されている。尚、ここでは、感光体ドラム10との接触部分にフェルト層251を用いたが、感光体ドラム10との接触によっても感光体ドラム10の回転を妨げない、摩擦係数が小さい材料であればフェルト材以外の材料を使用してもかまわない。
【0033】
フィルム部材24は、ポリウレタン製のシート状のものであり、クリーニング枠体21の保持部211に保持された状態の感光体ドラム10に先端241が接触することで、ブレード22の反対側からの付着物の漏れが防止されている。
【0034】
図3は、ブレードを支持した状態のブレード支持板を示す図である。
【0035】
図3には、クリーニング装置2のクリーニング枠体21にネジ留めされる前の、ブレード22を支持した状態のブレード支持板23が示されており、ここには、クリーニング枠体21にネジ留めされた状態では、クリーニング枠体21と対向する側の面を上に向けた状態で示されている。尚、図3には、図2に示す留めネジ230が貫通する孔23aと、クリーニング枠体21のボス2101が貫通する孔23bが設けられている様子が示されている。
【0036】
図4は、クリーニング枠体を示す図である。
【0037】
図4には、ブレード支持板23、フェルト部材25、およびフィルム部材24が本体部210に取りつけられる前の状態のクリーニング枠体21が示されており、ここには、付着物を収容する凹部空間の入口210aが露出した様子が示されている。尚、図4では、凹部空間の入口210aの周縁を形成する各周縁部分に符号Aから符号Dまでが付されているが、これは、以下に行う説明の便宜のために付されたものであり、クリーニング枠体21に実際に付されているわけではない。また、周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cは、同一面上に存在するのに対し、この周縁部分Dは、その面と交わる面上に存在する。
【0038】
ここで、クリーニング装置2の組付方法について図4〜図8を参照しながら簡単に説明する。
【0039】
図5は、クリーニング装置の組付方法の流れを示す図である。
【0040】
図5には、ステップS1として、液状で塗布されて硬化して部材間の隙間を塞ぐシール材20が、図4に示すクリーニング枠体21の開口210aの周縁を形成する周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cに塗布される。
【0041】
次に、ステップS2として、ブレード22を支持するブレード支持板23がクリーニング枠体21にネジ留めされて固定される。この段階で、入口210aの周縁のうちの、周縁部分A、および、周縁部分Bと周縁部分Cの各一部が、ブレード22を支持するブレード支持板23に覆われた状態となり、入口210aは、図4に示される状態と比べ狭められた状態となる。
【0042】
図6は、クリーニング枠体の狭められた入口を示す図である。尚、図6では、入口210aの縁のうち、部材に覆われて見えない部分の縁については1点差線で示され、周縁部分に塗布されたシール材20のうち、部材に覆われて見えない部分のシール材20については点線で示されている。
【0043】
図6には、ブレード22等に覆われてせばめられた入口210aや、この入口210aの周縁を構成する、周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cに塗布されているシール材20のうち、ブレード22を支持するブレード支持板23に覆われている部分のシール材20が、ブレード22を支持するブレード支持板23のクリーニング枠体21への固定により押し潰されて拡がっている様子が示されている。図5に戻って説明を続ける。
【0044】
次に、ステップS3として、フェルト部材25がフェルト貼付面2103(図4参照)に貼り付けられる。さらに、ステップS4として、周縁部分Dへフィルム部材24が貼り付けられる。ここでは、フィルム部材24の下部が、不図示の両面テープによって周縁部分Dに貼り付けられる。さらに、ステップS5として、クリーニング枠体21の保持部211に感光体ドラム10が組み付けられる。
【0045】
図7は、クリーニング枠体の保持部に感光体ドラムが組み付けられた様子を示す図である。尚、図7では、煩雑さを避けるためにフィルム部材24の図示は省略されている。
【0046】
図7には、周縁部分Bを図6中の矢印Xの方向に見た状態が示されており、ここには、フェルト部材25が両面テープ26によってフェルト貼付面2103に貼り付けられている様子が示されている。前述したように、クリーニング枠体21の保持部211に感光体ドラム10が組み付けられる際にはフェルト部材25の弾性層252は多少圧縮されるため、フェルト層251は感光体ドラム10に密着する。また、この時、周縁部分Bに塗布されているシール材20も両面テープ26と周縁部分Bとの間で圧縮される。また、図7には、図2において説明した、フェルト部材25の凸部250が、フェルト貼付面2103よりも入口210aの中央側に突出している様子が示されている。
【0047】
図8は、感光体ドラムが組み付けられたクリーニング装置の断面図である。
【0048】
図8には、図7中の一点鎖線で示す断面を矢印Yの方向に見た状態が示されており、周縁部分Dに両面テープ26によって貼り付けられているフィルム部材24の先端241がフェルト部材25側に巻き込まれている様子が示されている。
【0049】
また、図8には、斜線で示されるシール材20が、クリーニング枠体21と、このクリーニング枠体21に固定され、あるいは貼り付けられた部材との間を隙間なく塞いでいる様子が示されている。
【0050】
以上が、クリーニング装置2の組付方法の大まかな流れである。
【0051】
ところで、シール材20が塗布された塗布面に対し、このシール材20を挟み込みながら部材を固定するにあたっては、シール材20を塗布面との間に一旦挟み込んだら塗布面に対する部材の位置調整を行うことは許されない。これは、塗布された直後から硬化し始め、塗布高さに対して塗布幅が広がった断面のシール材20に力が掛かるとシール材20が容易に裂けてしまい、シール性が低下してしまうからである。このため、塗布面との間にシール材20を挟み込んだら、そのまま部材を塗布面に対して位置調整することなく塗布面に固定することが要求される。しかし、この要求に応えるには、塗布面に対する部材のポジショニングを高精度に行う必要がある。
【0052】
そこで、塗布面に対する部材のポジショニングを高精度に行なわなくてもシール性を低下させないで済ませる方策として、塗布面に塗布されるシール材20の塗布高さをなるべく高くしておくことが考えられる。
【0053】
図9は、塗布面に塗布されたシール材の断面を示す図であり、図10は、塗布面に塗布されたシール材の塗布幅と塗布高さとの関係を、シール材を吐出するノズルの移動速度毎に調査した結果を示すグラフ図である。
【0054】
図9には、図9における手前側と奥側との間で移動するノズルから吐出されて塗布面400に塗布されたシール材20の横断面がかまぼこ形状になっている様子が示されている。また、図10には、シール材20を吐出中のノズル301を、それぞれ400mm/sから800mm/sまでの100mm/s刻みの各移動速度で塗布面400に対し移動させた場合の、塗布面400に塗布されたシール材20の塗布幅と塗布高さがグラフ化されている。
【0055】
図10に示される結果から、シール材20の塗布高さについては、例えノズルの移動速度を遅くして単位長あたりの塗布量を増やしたとしても塗布幅の増加にとられてしまい、塗布高さの増加には繋がらないことが読みとれる。しかし逆にいえば、例えばノズル301の移動速度を速くして単位長当たりのシール材塗布量を少なくしても、塗布幅の減少に比べて塗布高さの減少はそれほど大きくはないといえる。このことから、本願発明者は、シール材20の塗布を、シールのために必要なシール量を1回で塗布するのではなく、ノズル301の移動速度を、シールのために必要なシール量を1回で塗布する場合の速度よりも速くすると共に複数回に分けて塗布することで、同じシール量であっても塗布高さをより高くできることを知見するに至った。そこで、クリーニング装置2の組付けにおいては、以下に説明するような方法でシール材20の塗布高さの確保が図られている。
【0056】
図11は、本発明の封鎖方法の第1実施形態を示す図である。
【0057】
図11のパート(a)には、シール材塗布装置300のノズル301から吐出されたシール材20が図4に示される周縁部分Cから周縁部分Aにかけて塗布されている様子が示されており、図11のパート(b)には、さらに周縁部分Aから周縁部分Bにかけてシール材20が塗布された状態が示されている。
【0058】
また、図11のパート(c)には、周縁部分Cから周縁部分Bにかけて2回目のシール材塗布を終えた後にさらに3回目の塗布を行っている様子が示されている。この、シール材20を3回に分けて重ね塗りする過程が、本発明いう重ね塗り過程の一例に相当する。さらに、図11のパート(d)には、シール材20が3回に分けて塗布されたクリーニング枠体21に対し、図3に示されるブレード22を支持したブレード支持板23が、3回に分けて塗布されたシール材20を挟み込みながら取り付けられようとしている様子が示されている。ブレード22を支持したブレード支持板23が、3回に分けて塗布されたシール材20を挟み込んで、クリーニング枠体21とブレード22を支持したブレード支持板23との間を封鎖する過程が、本発明にいう挟み込み過程の一例に相当する。
【0059】
図12は、塗布面に塗布されたシール材の断面図である。
【0060】
図12の右側には、予め設定されているルートに沿ってノズル301を速度V(mm/s)で移動させて塗布した場合の断面図が示され、図12の左側には、ノズル301を速度3V(mm/s)でこのルートに沿って3回移動させて塗布した場合のシール材20の断面図が示されている。
【0061】
いずれの塗布方法を採ったとしても、このルート上に塗布されたシール材20の総塗布量は同じであるが、図12に示されるように、1段目から3段目までの3回に分けて塗布された場合のシール材20の塗布高さは、1回で塗布された場合のシール材20の塗布高さよりも高くなっている。また、1段目から3段目までの3回に分けて塗布された場合、シール材20の塗布高さはその塗布幅をも上回っている。このクリーニング装置2の組付けでは、シール材20が3回に分けてクリーニング枠体21に塗布されていることでシール材20の塗布高さが高いことから、このシール材20を挟み込みながらブレード22およびこれを支持したブレード支持板23を固定する際に位置調整を行ってもシール材20が裂け難く、封鎖性が低下することがない。また、シール材20を複数段に分けて重ねて塗布すると、表面積が増えるために位置調整に伴う荷重も分散される。このクリーニング枠体21が、本発明にいう第1部材の一例に相当する。ブレード22およびこれを支持したブレード支持板23を併せたものが、本発明にいう第2部材の一例に相当する。さらに、このクリーニング装置2が、本発明の封鎖構造と本発明の清掃装置の共通の一実施形態である。
【0062】
ここで、図13は、シール材が3回に分けて塗布されたクリーニング枠体に対し、さらに追加のシール材が塗布されている様子を示す図である。
【0063】
図13には、図11に示されるクリーニング枠体21を矢印X方向に見た状態が示されており、ここには、図11のパート(d)に示されている3回塗りのシール材20の上にさらに3回の塗布が周縁部分Cに対して追加されている様子が示されている。追加された3回の塗布は、図13に示されている、ブレード22およびこのブレード22を支持するブレード支持板23のシール材20が行き渡りにくい段差部分23aやブレード22の端部221に対しシール材20を行き渡らせるために行われている。これにより、クリーニング装置2からの付着物の漏出がより一層防止される。
【0064】
次に、本発明の封鎖方法の第2実施形態について説明する。
【0065】
第2実施形態と第1実施形態との間の相違点は、第1実施形態ではシール材20を複数回に分割して重ねて塗布されたシール材20を挟み込んでいるのに対し、第2実施形態ではシール材20が塗布される塗布領域を挟んで取り外し自在に取り付けた1対の板材31からなる治具の隙間にシール材20を流し込むことで塗布されたシール材20を挟み込んでいる点であるので、以下では、この相違点について説明する。
【0066】
図14は、クリーニング枠体の周縁部分に治具が載せられている様子を示す図である。
【0067】
図14のパート(a)には、図4にも示される周縁部分Aの表面から離れるにつれて入口210a側に傾いていく湾曲形状(図15参照)の1対の板材31と、1対の板材31の両端部に取り付けられる留め具32とからなる治具30が周縁部分A上に載せられている様子が示されている。
【0068】
図14のパート(b)には、留め具32の外観斜視図が示されている。
【0069】
留め具32は、湾曲した1対の板材31を挟み込むために、板材31と同じように湾曲した2本の溝32aが設けらたものであり、これら2本の溝32aに1対の板材31の端縁がそれぞれ差し込まれることで、この1対の板材31は周縁部分A上で自立可能となる。この1対の板材31の隙間31aには、周縁部分Aの周縁部分C側から反対側の周縁部分B側に移動するノズル301から吐出されたシール材20が送りこまれる。
【0070】
図15は、本発明の封鎖方法の第2実施形態の流れを示す図である。
【0071】
図15のパート(a)には、クリーニング枠体21の周縁部分Aに治具30が載せられ、1対の板材31の隙間31aへのシール材20の流し込みが行われている様子が示されている。周縁部分Aに治具30を載せる過程が、本発明にいう配置過程の一例に相当し、1対の板材31の隙間31aへシール材20を流し込む過程が、本発明にいう塗布過程の一例に相当する。図15のパート(b)およびパート(c)には、1対の板材31を留めていた留め具32が外された状態と、1対の板材31が周縁部分Aから取り外された状態とが示されている。周縁部分Aから治具30を取り外す過程が、本発明にいう除去過程の一例に相当する。さらに、図15のパート(d)には、治具30を利用することで塗布高さが塗布幅よりも高くされたシール材20と、3回に分けてシール材20が重ねて塗布されたことで塗布高さが塗布幅よりも高くされたシール材20と、この3回に分けて塗布されたシール材20の上に、ブレード22およびこれを支持するブレード支持板23との隙間を確実にシールするために部分的に追加されているシール材20とが塗布された周縁部分に対して、ブレード22を支持するブレード支持板23が取り付けられようとしている様子が示されている。また、図15のパート(e)には、ブレード22を支持するブレード支持板23とクリーニング枠体21との間でこれらシール材20が挟み込まれ、隙間が封鎖されている様子が示されている。ブレード22を支持するブレード支持板23とクリーニング枠体21との間でこれらシール材20を挟み込んで隙間を封鎖する過程が、本発明にいう挟み込み過程の一例に相当する。本実施形態では、治具30を用いることで塗布されるシール材20の塗布幅の拡大が制限されることで塗布高さの確保が確実に行われる。
【0072】
最後に、本発明の封鎖方法の第3実施形態について説明する。
【0073】
第3実施形態と第2実施形態との間の相違点は、第2実施形態では、1対の板材31に挟まれた領域に対しシール材20を流し込んでいるのに対し、第3実施形態では、1つの板材を自立させて使用している点であるので、以下では、この相違点について説明する。
【0074】
図16は、第3実施形で使用する治具の概略断面図である。尚、図16に示される部材で、図15において示される部材と同じ種類の部材には、図15において付されている符号と同じ符号が付されている。
【0075】
図16のパート(a)には、周縁部分Aの上に、入口210a側に湾曲した図15にも示される板材31と、この板材31が自立できるようにこの板材31に取り付けられた支板40とからなる治具40が示されている。
【0076】
本実施形態では、入口210a側に湾曲した板材31の、周縁部分Aに接触している辺とは反対側の対辺311に沿って移動するノズルから吐出されたシール材20がこの冶具40に沿って注ぎ落とされている様子が示されている。注ぎ落とされたシール材20は、1枚の湾曲した板材31に支えられながら下方に伝って行く間に硬化する。
【0077】
図16のパート(b)には、シール材20が硬化した後、治具40が周縁部分Aから取り外されている様子が示されている。これにより、塗布幅の拡大が抑えられるとともに塗布高さが確保される。
【0078】
尚、以上に説明した実施形態では、本発明をクリーニング装置に適用した例を挙げて説明したが、本発明は、部材間に液状材料を挟み込むと共に部材相互の位置調整を必要するとするものであれば適用できる。
【0079】
また、以上に説明した実施形態では、液状材料を吐出する側を塗布面に対し移動させる例を挙げて説明したが、本発明では、液状材料を吐出する側に対し塗布面を移動させてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
2 クリーニング装置
20 シール材
21 クリーニング枠体
22 ブレード
23 ブレード支持板
30、40 冶具
31 板材
32 留め具
41 支板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材上に、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を、線状に、複数回重ねて塗布する重ね塗り過程と、
前記重ね塗り過程を経て重ねられた液状材料の上に第2部材を配置して前記第1部材と該第2部材とで該液状材料を挟み込んで、該第1部材と該第2部材との隙間を該液状材料で封鎖する挟み込み過程とを有することを特徴とする封鎖方法。
【請求項2】
前記重ね塗り過程が、前記液状材料を、幅より高く塗布する過程であることを特徴とする請求項1記載の封鎖方法。
【請求項3】
前記第1部材と前記第2部材が、間隔が不均一な隙間を生じるものであり、
前記重ね塗り過程が、前記液状材料を、前記隙間の間隔に応じた回数重ねて塗布する過程であることを特徴とする請求項1または2記載の封鎖方法。
【請求項4】
第1部材上の線状の塗布箇所に沿って治具を配置することで、該塗布箇所に沿って延びた該塗布箇所から立ち上がった壁面を形成する配置過程と、
液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を、前記塗布箇所に、前記壁面で支えながら塗布する塗布過程と、
前記塗布過程で塗布された液状材料が硬化した後で前記治具を除去する除去過程と、
前記除去過程の後で、前記液状材料の上に第2部材を配置して前記第1部材と該第2部材とで該液状材料を挟み込んで、該第1部材と該第2部材との隙間を該液状材料で封鎖する挟み込み過程とを有することを特徴とする封鎖方法。
【請求項5】
前記配置過程が、前記壁面として、上部が前記塗布箇所から外側へと傾いている壁面を形成する過程であることを特徴とする請求項4記載の封鎖方法。
【請求項6】
前記塗布過程が、前記液状材料を、幅より高く塗布する過程であることを特徴とする請求項4または5記載の封鎖方法。
【請求項7】
前記配置過程が、前記塗布箇所に沿って前記治具とは別の治具も、該塗布箇所を挟んで前記治具とは逆側に配置することで、該塗布箇所に沿って延びた、前記壁面に対向した別の壁面も形成する過程であり、
前記塗布過程が、前記液状材料を、前記壁面と前記別の壁面とで両側から支えながら塗布する過程であることを特徴とする請求項4から6のうちいずれか1項記載の封鎖方法。
【請求項8】
第1部材と、
第1部材上に、線状に、複数回重ねて塗布されて硬化した液状材料と、
前記液状材料を前記第1部材との間に挟んでいる、該第1部材との隙間が該液状材料で封鎖された第2部材とを備えたことを特徴とする封鎖構造。
【請求項9】
請求項8記載の封鎖構造を有する、被清掃体の表面の付着物を除去して内部に収容する、該封鎖構造で該付着物の漏出が防止されていることを特徴とする清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−224441(P2010−224441A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74240(P2009−74240)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】