説明

射出圧縮成形金型及び射出圧縮成形方法

【課題】固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品の製造において、成形品の損傷を抑制して、成形品の品質低下を抑制すること。
【解決手段】固定側金型2と可動側金型4との間に型閉じ状態において形成されている成形空間内へ射出された溶融樹脂が固化する前に、圧縮部材24を成形空間内へ移動させて固化する前の溶融樹脂を圧縮して押し込んで凹部を形成し、溶融樹脂を圧縮した圧縮部材24を溶融樹脂が固化した後に移動させて固化した溶融樹脂から離間させ、圧縮部材24を離間させた状態でエジェクターピン26を移動させて、可動側金型4に接触している固化した溶融樹脂からなる成形品Pを押圧して、可動側金型4から取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形空間内に射出した溶融樹脂を圧縮して成形品を製造する、射出圧縮成形金型及び射出圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一組の金型を型閉じ状態として形成した成形空間内に溶融樹脂を射出し、この射出した溶融樹脂を圧縮した後に固化させて成形品を形成する射出圧縮成形がある。
上記のような、射出圧縮成形に用いる金型(射出圧縮成形金型)として、例えば、特許文献1に開示されているものがある。
特許文献1に開示されている金型は、型閉じ状態で固定側金型と共に成形空間を形成する可動側金型に、エジェクターピンの先端を可動側金型の面から後退させた状態で成形空間内に溶融樹脂が射出されると、エジェクターピンの先端で成形空間の溶融樹脂を圧縮する圧縮機構を設けた金型である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5‐228970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、射出圧縮成形では、要求される成形品によって、例えば、シルクハットのような、凹部を有する本体部と、この本体部のうち開口部を有する面と連続する鍔部を備える形状の成形品を形成する必要がある。この場合、凹部を形成する構造としては、成形空間内へ突出可能な圧縮部材(例えば、棒状の部材)により、成形空間内に射出されて固化する前の溶融樹脂を圧縮しながら押し込み、圧縮部材の先端面と、この先端面と連続する側面(先端側の側面)により、凹部を形成する構造が提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、成形空間内に射出された溶融樹脂を圧縮するエジェクターピンが、上記の圧縮部材の機能を有している。このため、特許文献1に記載された技術においては、エジェクターピンが、その先端面のみで溶融樹脂を圧縮することとなり、成形品に凹部を形成することは困難である。
また、上記のように、固化する前の溶融樹脂内へ圧縮部材を押し込むと、圧縮部材の先端面に加え、側面の一部にも溶融樹脂が接触した状態で溶融樹脂を固化させた後に、成形品を金型から取り出して、成形品を形成することとなる。
【0006】
このため、成形品を金型から取り出す際に、成形品にこすれ(例えば、摺動抵抗やせん断抵抗に起因する)が発生して、成形品が損傷するおそれがある。また、成形品のうち圧縮部材の側面に接触している部分が圧縮部材に食いついてしまい、成形品を金型から取り出す際に、離型不良が発生して、成形品が損傷するおそれがある。
このように、従来の技術においては、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで凹部を形成した成形品に対し、成形品の損傷を抑制することが困難であった。
本発明の課題は、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品の製造において、成形品の損傷を抑制して、成形品の品質低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一態様に係る射出圧縮成形金型(例えば、図1の射出圧縮成形金型1)は、互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型(例えば、図1の固定側金型2及び可動側金型4)と、当該一組の金型の開閉方向へ移動可能な圧縮部材(例えば、図1の圧縮部材24)と、前記開閉方向へ移動可能なエジェクターピン(例えば、図1のエジェクターピン26)と、前記型閉じ状態または前記型開き状態に応じて前記圧縮部材と前記エジェクターピンとを個別に移動させる動作分割機構(例えば、図1のエジェクターバックプレート12と、エジェクタープレート14と、爪部材開閉制御棒18と、制御棒用スプリング20と、スプリング押さえ板22と、リターンピン28と、第一爪部材30及び第二爪部材32)と、を備え、前記圧縮部材は、前記型閉じ状態において前記一組の金型間に形成される成形空間と前記開閉方向で対向し、前記エジェクターピンは、前記圧縮部材と異なる位置で前記成形空間と前記開閉方向で対向し、前記型閉じ状態では、前記動作分割機構は前記成形空間内へ射出された溶融樹脂(例えば、図14の溶融樹脂R)が固化する前に、前記圧縮部材のみを前記成形空間内へ移動させて固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込み、前記溶融樹脂が固化した後に、前記圧縮部材のみを移動させて固化した前記溶融樹脂から離間させ、前記型開き状態では、前記動作分割機構は前記エジェクターピンのみを移動させて、前記一組の金型のうち一方(例えば、図1の可動側金型4)に接触している固化した前記溶融樹脂(例えば、図20の成形品P)を押圧して前記一方の金型から取り出すことを特徴としている。
【0008】
このような構成により、固化する前の溶融樹脂を圧縮して押し込んで凹部を形成し、さらに、凹部が形成された溶融樹脂が固化した後に、圧縮部材のみを移動させて固化した溶融樹脂から離間させた状態で、エジェクターピンのみを移動させて、固化した溶融樹脂からなる成形品を、金型から取り出すことが可能となる。
これにより、成形品を金型から取り出す際に発生する、成形品のこすれを抑制することが可能となる。また、成形品のうち圧縮部材の側面に接触している部分が圧縮部材に食いついた場合であっても、成形品を金型から取り出す前に、圧縮部材を成形品から離間させることが可能となり、離型不良を抑制することが可能となる。
このため、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品の製造において、成形品の損傷を抑制して、成形品の品質低下を抑制することが可能となる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る射出圧縮成形方法は、互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型間に前記型閉じ状態において形成されている成形空間内へ、溶融樹脂を射出する射出工程と、前記射出工程において前記成形空間内へ射出された前記溶融樹脂が固化する前に、前記金型の開閉方向へ移動可能であり且つ前記成形空間と前記開閉方向で対向する圧縮部材を成形空間内へ移動させて、固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込む圧縮部材前進工程と、前記圧縮部材前進工程において固化する前の前記溶融樹脂を圧縮した前記圧縮部材を溶融樹脂が固化した後に移動させて、固化した前記溶融樹脂から離間させる圧縮部材後退工程と、前記圧縮部材後退工程において固化した前記溶融樹脂から前記圧縮部材を離間させた状態で、前記開閉方向へ移動可能であり且つ前記圧縮部材と異なる位置で前記成形空間と前記開閉方向で対向するエジェクターピンを移動させて、前記一組の金型のうち一方に接触している固化した前記溶融樹脂を押圧して前記一方の金型から取り出すエジェクターピン前進工程と、を有することを特徴としている。
【0010】
このような構成により、固化する前の溶融樹脂を圧縮して押し込んで凹部を形成し、さらに、凹部が形成された溶融樹脂が固化した後に、圧縮部材のみを移動させて固化した溶融樹脂から離間させた状態で、エジェクターピンのみを移動させて、固化した溶融樹脂からなる成形品を、金型から取り出すことが可能となる。
これにより、成形品を金型から取り出す際に発生する、成形品のこすれを抑制することが可能となる。また、成形品のうち圧縮部材の側面に接触している部分が圧縮部材に食いついた場合であっても、成形品を金型から取り出す前に、圧縮部材を成形品から離間させることが可能となり、離型不良を抑制することが可能となる。
このため、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品の製造において、成形品の損傷を抑制して、成形品の品質低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図2】図1のII‐II線断面図である。
【図3】図1のIII‐III線断面図である。
【図4】射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型を上方から見た斜視図である。
【図5】第一爪部材及び第二爪部材の構成を示す図である。
【図6】第一爪部材及び第二爪部材の構成を示す図である。
【図7】型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材及び第二爪部材と爪部材開閉制御棒及び圧縮部材との位置関係を上方から見た斜視図である。
【図8】型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材及び第二爪部材と爪部材開閉制御棒及び圧縮部材との位置関係を上方から見た斜視図である。
【図9】型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材及び第二爪部材と爪部材開閉制御棒及び圧縮部材との位置関係を上方から見た斜視図である。
【図10】型開き状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材及び第二爪部材と爪部材開閉制御棒及び圧縮部材との位置関係を上方から見た斜視図である。
【図11】型開き状態の射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図12】図11のA‐A線断面図である。
【図13】図11のB‐B線断面図である。
【図14】型閉じ工程及び射出工程の射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図15】図14のC‐C線断面図である。
【図16】図14のD‐D線断面図である。
【図17】圧縮部材前進工程の射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図18】図17のE‐E線断面図である。
【図19】図17のF‐F線断面図である。
【図20】圧縮部材後退工程の射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図21】図20のG‐G線断面図である。
【図22】型開き工程の射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図23】図22のI‐I線断面図である。
【図24】エジェクターピン前進工程の射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図25】図24のK‐K線断面図である。
【図26】図24のL‐L線断面図である。
【図27】エジェクターピン後退工程の射出圧縮成形金型の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型の断面図である。
【図28】図27のM‐M線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明に係る射出圧縮成形金型及び射出圧縮成形方法の、実施の形態(実施形態)を説明する。
(第一実施形態)
(構成)
まず、図1から図6を用いて、第一実施形態における、射出圧縮成形金型の構成について説明する。
図1は、射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図2は、図1のII‐II線断面図であり、図3は、図1のIII‐III線断面図である。
図1から図3中に示す射出圧縮成形金型1は、型閉じ及び型開きが可能な一組の金型が、型閉じ状態である場合において、一組の金型間に形成される成形空間(キャビティ)内に溶融樹脂を射出する。そして、成形空間内に射出した溶融樹脂が固化する前に圧縮して凹部を形成した後、この圧縮した溶融樹脂を固化させて成形品を形成する装置である。
【0013】
ここで、第一実施形態では、一例として、成形品が、シルクハットのような、凹部を有する本体部と、この本体部のうち開口部を有する面と連続する鍔部を備える形状である場合について説明する。これは、例えば、印刷機(プリンター)が備えるインクカートリッジに設けた、インク残量を検出するために光を透過させる部品である。このため、第一実施形態では、溶融樹脂材料として、透明な樹脂材料を用いる場合について説明する。なお、成形品及び溶融樹脂材料の構成は、上記の構成に限定するものではない。
射出圧縮成形金型1は、図1中に示すように、上述した一組の金型として、固定側金型2と、可動側金型4を備えている。なお、図1から図3中では、型閉じ状態の射出圧縮成形金型1を示している。
【0014】
(固定側金型2の構成)
固定側金型2は、固定側型板6を備えている。
固定側型板6は、ボルト等を用い、例えば、固定側取付け板(図示せず)を介して、射出圧縮成形金型1を保持するための固定盤(図示せず)に取り付けられている。
また、固定側型板6は、その内部に、溶融樹脂が移動可能な樹脂通路(図示せず)と、固定側開口部8を有している。
【0015】
樹脂通路の一端側は、固定側型板6の可動側金型4と対向する面(図1中では、下側の面)に開口、具体的には、固定側開口部8と連通する位置に開口している。一方、樹脂通路の他端側は、図外の樹脂射出装置に連通している。
樹脂射出装置は、成形品の容積・形状等に応じて、溶融樹脂材料(固形樹脂材料等)を計量・可塑化し、この計量・可塑化した溶融樹脂を、樹脂通路へ射出する装置である。
固定側開口部8は、溶融樹脂を充填する空間であり、固定側型板6のうち、可動側金型4と対向する面(図1中では、下側の面)に開口している。
【0016】
また、固定側開口部8は、成形品の形状寸法に応じた形状に形成されており、上述した型閉じ状態において、後述する可動側開口部68及び圧縮部材24とともに、成形空間を形成する。
ここで、第一実施形態では、成形品が、上述した本体部と鍔部を備える形状であるため、固定側開口部8の構成を、本体部を形成するための空間と、鍔部の一部を形成するための空間を有する構成とした場合について説明する。
【0017】
(可動側金型4の構成)
可動側金型4は、可動側取付け板10と、エジェクターバックプレート12と、エジェクタープレート14と、可動側型板16を備えている。これに加え、可動側金型4は、爪部材開閉制御棒18と、制御棒用スプリング20と、スプリング押さえ板22と、圧縮部材24と、二つのエジェクターピン26と、リターンピン28と、第一爪部材30と、第二爪部材32を備えている。
【0018】
(可動側取付け板10の構成)
可動側取付け板10は、図外の可動盤に連結されており、制御棒第一挿通孔34を有している。
制御棒第一挿通孔34は、可動側取付け板10を板厚方向(図1中における上下方向、以降の説明においても同様)へ貫通する孔である。
ここで、可動盤は、可動盤駆動機構を備えており、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、可動側取付け板10を、固定側型板6と近接及び離間する方向(図1中における上下方向)へ移動可能、すなわち、上記の型閉じ及び型開き可能に形成されている。したがって、可動側取付け板10の移動方向は、一組の金型の開閉方向となる。
なお、可動盤駆動機構としては、例えば、モーターの回転運動を用いた機械式のものや、油等の液体に圧力を加えた液圧式のものがある。
【0019】
(エジェクターバックプレート12の構成)
エジェクターバックプレート12は、可動側取付け板10の可動盤と対向する面と反対側の面(図1中では、上側の面)上において、可動側取付け板10と離間可能に配置されており、第一ボルト配置孔36と、制御棒第二挿通孔38と、エジェクターピン配置孔40と、圧縮部材配置孔42と、第一プレート凹部44を有している。
第一ボルト配置孔36は、エジェクターバックプレート12を板厚方向へ貫通する孔である。
【0020】
制御棒第二挿通孔38は、第一ボルト配置孔36と同様、エジェクターバックプレート12を板厚方向へ貫通する孔であり、その内径は、制御棒第一挿通孔34の内径よりも大きい。また、制御棒第二挿通孔38は、制御棒第一挿通孔34と、平面視(図1中における上下方向からの視点、以降の説明においても同様)で重なる位置に形成されている。
エジェクターピン配置孔40は、第一ボルト配置孔36と同様、エジェクターバックプレート12を板厚方向へ貫通する孔であり、エジェクターバックプレート12に二箇所形成されている。
圧縮部材配置孔42は、第一ボルト配置孔36と同様、エジェクターバックプレート12を板厚方向へ貫通する孔であり、二箇所のエジェクターピン配置孔40の間に形成されている。
【0021】
第一プレート凹部44は、エジェクターバックプレート12のエジェクタープレート14と対向する面(図1中では、上側の面)に開口する凹部であり、第一ボルト配置孔36、制御棒第二挿通孔38及び圧縮部材配置孔42と連続している。
なお、二箇所のエジェクターピン配置孔40は、それぞれ、第一プレート凹部44の底面(図1中では、下側の面)上に設けられたピン配置孔構成ブロック46に形成されている。
二つのピン配置孔構成ブロック46は、それぞれ、板状に形成されており、その高さ(第一プレート凹部44の底面からの長さ)は、第一プレート凹部44の深さ(図1中における上下方向への長さ、以降の説明においても同様)と等しい。
【0022】
(エジェクタープレート14の構成)
エジェクタープレート14は、ボルト等を用いて、エジェクターバックプレート12の可動側取付け板10と対向する面と反対側の面(図1中では、上側の面)に取り付けられており、第二ボルト配置孔48と、制御棒第三挿通孔50と、エジェクターピン第一挿通孔52と、圧縮部材第一挿通孔54と、リターンピン配置孔56と、第二プレート凹部58を有している。
【0023】
第二ボルト配置孔48は、エジェクタープレート14を板厚方向へ貫通する孔であり、その内径は、第一ボルト配置孔36の内径よりも小さい。また、第二ボルト配置孔48は、第一ボルト配置孔36と、平面視で重なる位置に形成されている。
制御棒第三挿通孔50は、第二ボルト配置孔48と同様、エジェクタープレート14を板厚方向へ貫通する孔である。また、制御棒第三挿通孔50の内径は、制御棒第二挿通孔38の内径と等しい。また、制御棒第三挿通孔50は、制御棒第一挿通孔34及び制御棒第二挿通孔38と、平面視で重なる位置に形成されている。
【0024】
エジェクターピン第一挿通孔52は、第二ボルト配置孔48と同様、エジェクタープレート14を板厚方向へ貫通する孔であり、エジェクタープレート14に二箇所形成されている。また、エジェクターピン第一挿通孔52の内径は、エジェクターピン配置孔40の内径よりも小さい。また、エジェクターピン第一挿通孔52は、エジェクターピン配置孔40と、平面視で重なる位置に形成されている。
【0025】
圧縮部材第一挿通孔54は、第二ボルト配置孔48と同様、エジェクタープレート14を板厚方向へ貫通する孔であり、二箇所のエジェクターピン第一挿通孔52の間に形成されている。また、圧縮部材第一挿通孔54の内径は、圧縮部材配置孔42の内径よりも小さい。また、圧縮部材第一挿通孔54は、圧縮部材配置孔42と、平面視で重なる位置に形成されている。
リターンピン配置孔56は、第二ボルト配置孔48と同様、エジェクタープレート14を板厚方向へ貫通する孔であり、配置孔大径部56aと、配置孔小径部56bを有している。
【0026】
配置孔大径部56aは、エジェクタープレート14のエジェクターバックプレート12と対向する面(図1中では、下側の面、以降の説明においても同様)に開口している。
配置孔小径部56bは、エジェクタープレート14のうち、可動側型板16と対向する面(図1中では、上側の面)に開口している。また、配置孔小径部56bの内径は、配置孔大径部56aの内径よりも小さい。
第二プレート凹部58は、エジェクタープレート14のエジェクターバックプレート12と対向する面に開口する凹部であり、第一プレート凹部44と対向して連続している。また、第二プレート凹部58は、第二ボルト配置孔48、制御棒第三挿通孔50、エジェクターピン第一挿通孔52、圧縮部材第一挿通孔54及びリターンピン配置孔56と連続している。
【0027】
(エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の駆動機構)
エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14は、図外のエジェクター駆動機構を備えており、エジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を、可動盤駆動機構による可動側取付け板10の移動とは独立して、固定側型板6と近接及び離間する方向(図1中における上下方向)へ移動可能に形成されている。したがって、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動方向は、可動側取付け板10の移動方向と同様、一組の金型の開閉方向となる。
【0028】
なお、エジェクター駆動機構としては、可動盤駆動機構と同様、例えば、モーターの回転運動を用いた機械式のものや、油等の液体に圧力を加えた液圧式のものがある。
なお、以降の説明では、エジェクターバックプレート12が可動側取付け板10と接触している状態(図1から図3中に示す状態)を、「エジェクター機構非稼動状態」と記載する場合がある。同様に、以降の説明では、エジェクターバックプレート12が可動側取付け板10から離れている状態を、「エジェクター機構稼動状態」と記載する場合がある。
【0029】
(可動側型板16の構成)
可動側型板16は、エジェクタープレート14のエジェクターバックプレート12と対向する面と反対側の面(図1中では、上側の面)上において、可動側取付け板10と離間して配置されており、制御棒第四挿通孔60と、エジェクターピン第二挿通孔62と、圧縮部材第二挿通孔64と、リターンピン挿通孔66と、可動側開口部68を有している。
制御棒第四挿通孔60は、可動側型板16を可動側取付け板10の移動方向(図1中における上下方向、以降の説明においても同様)へ貫通する孔であり、制御棒第三挿通孔50と、平面視で重なる位置に形成されている。
【0030】
また、制御棒第四挿通孔60は、第四挿通孔小径部60aと、第四挿通孔大径部60bと、押さえ板配置部60cを有している。
第四挿通孔小径部60aは、可動側型板16のうち、固定側金型2と対向する面に開口している。また、第四挿通孔小径部60aの内径は、制御棒第一挿通孔34の内径よりも小さく、制御棒第二挿通孔38の内径よりも大きい。
【0031】
第四挿通孔大径部60bは、第四挿通孔小径部60aよりもエジェクタープレート14側(図1中では下側)に形成されている。また、第四挿通孔大径部60bの内径は、第四挿通孔小径部60a及び制御棒第二挿通孔38の内径よりも大きい。
押さえ板配置部60cは、第四挿通孔大径部60bよりもエジェクタープレート14側(図1中では下側)に形成されている。また、押さえ板配置部60cの内径は、第四挿通孔大径部60bの内径よりも大きい。
【0032】
エジェクターピン第二挿通孔62は、制御棒第四挿通孔60と同様、可動側型板16を可動側取付け板10の移動方向へ貫通する孔であり、可動側型板16に二箇所形成されている。また、エジェクターピン第二挿通孔62の内径は、エジェクターピン第一挿通孔52の内径と等しい。また、エジェクターピン第二挿通孔62は、エジェクターピン第一挿通孔52と、平面視で重なる位置に形成されている。
圧縮部材第二挿通孔64は、制御棒第四挿通孔60と同様、可動側型板16を可動側取付け板10の移動方向へ貫通する孔であり、二箇所のエジェクターピン第二挿通孔62の間に形成されている。また、圧縮部材第二挿通孔64は、圧縮部材第一挿通孔54と、平面視で重なる位置に形成されている。
【0033】
また、圧縮部材第二挿通孔64は、第二挿通孔小径部64aと、第二挿通孔大径部64bを有している。
第二挿通孔小径部64aは、可動側型板16のうち、固定側金型2と対向する面(図1中では、上側の面、以降の説明においても同様)に開口している。また、第二挿通孔小径部64aの内径は、圧縮部材第一挿通孔54の内径よりも小さい。
第二挿通孔大径部64bは、第二挿通孔小径部64aよりもエジェクタープレート14側(図1中では下側)に形成されている。また、第二挿通孔大径部64bの内径は、第二挿通孔小径部64aの内径よりも大きく、圧縮部材第一挿通孔54の内径と等しい。
【0034】
リターンピン挿通孔66は、制御棒第四挿通孔60と同様、可動側型板16を可動側取付け板10の移動方向へ貫通する孔であり、リターンピン配置孔56と、平面視で重なる位置に形成されている。また、リターンピン挿通孔66の内径は、配置孔小径部56bの内径と等しい。
可動側開口部68は、溶融樹脂を充填する空間であり、可動側型板16のうち、固定側金型2と対向する面に開口しており、固定側開口部8と対向している。
【0035】
また、可動側開口部68は、固定側開口部8と同様、成形品の形状寸法に応じた形状に形成されており、上述した型閉じ状態において、固定側開口部8及び圧縮部材24とともに、成形空間を形成する。
ここで、第一実施形態では、成形品が、上述した本体部と鍔部を備える形状であるため、可動側開口部68の構成を、鍔部の一部を形成するための空間を有する構成とした場合について説明する。ここで、可動側開口部68により形成する「鍔部の一部」とは、鍔部のうち固定側開口部8で形成される部分を除く部分である。
【0036】
(爪部材開閉制御棒18の構成)
爪部材開閉制御棒18は、棒状に形成されており、制御棒第一大径部18aと、制御棒小径部18bと、制御棒傾斜部18cと、スプリング係合部18dと、制御棒第二大径部18eを備えている。また、爪部材開閉制御棒18の軸は、可動側取付け板10の移動方向(図1中における上下方向、以降の説明においても同様)へ向けられている。
制御棒第一大径部18aは、爪部材開閉制御棒18の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態で、制御棒第一挿通孔34内に挿通されている。
【0037】
制御棒小径部18bは、制御棒傾斜部18cを間に挟んで制御棒第一大径部18aと連続して形成されており、型閉じ状態で、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間と、制御棒第三挿通孔50内と、第四挿通孔大径部60b内の一部と、押さえ板配置部60c内に挿通されている。また、制御棒小径部18bの外径は、制御棒第一大径部18aの外径よりも小さい。
【0038】
制御棒傾斜部18cは、制御棒第一大径部18aと制御棒小径部18bとの間に形成されており、型閉じ状態で、制御棒第二挿通孔38内に挿通されている。また、制御棒傾斜部18cの外径は、制御棒第一大径部18a側から制御棒小径部18b側へ向かうにつれて縮径している。したがって、制御棒傾斜部18cの外径の最大値は、制御棒第一大径部18aの外径と等しく、制御棒傾斜部18cの外径の最小値は、制御棒小径部18bの外径と等しい。
スプリング係合部18dは、制御棒小径部18bと連続して形成されており、型閉じ状態・型開き状態に関わらず、第四挿通孔大径部60b内に配置されている。また、スプリング係合部18dの外径は、爪部材開閉制御棒18のうち最大値であり、第四挿通孔小径部60aの内径よりも大きく、第四挿通孔大径部60bの内径より小さい。
【0039】
制御棒第二大径部18eは、スプリング係合部18dと連続して形成されて、爪部材開閉制御棒18の他端(上端)を形成しており、型閉じ状態において、第四挿通孔大径部60b内の一部に配置されているとともに、第四挿通孔小径部60a内に挿通されている。また、制御棒第二大径部18eの外径は、制御棒第一大径部18aの外径よりも大きく、スプリング係合部18dの外径より小さい。
【0040】
(制御棒用スプリング20の構成)
制御棒用スプリング20は、例えば、コイルスプリングを用いて形成されており、伸縮方向を、可動側取付け板10の移動方向へ向けた状態で、第四挿通孔大径部60b内に配置されている。また、制御棒用スプリング20の上端側は、スプリング係合部18dの制御棒小径部18b側の面に接触している。
【0041】
(スプリング押さえ板22の構成)
スプリング押さえ板22は、円環状の板状部材であり、押さえ板配置部60c内に配置された状態で、ボルト部材や接着剤等の固着手段を用いて可動側型板16に取り付けられている。また、スプリング押さえ板22の空隙部には、制御棒小径部18bが非接触の状態で挿通されている。また、スプリング押さえ板22の固定側型板6側の面(図1中では上側の面)上には、制御棒用スプリング20の下端側が着座している。したがって、スプリング押さえ板22とスプリング係合部18dは、制御棒用スプリング20を間に挟んで、制御棒用スプリング20の伸縮方向で対向している。
【0042】
(圧縮部材24の構成)
圧縮部材24は、棒状に形成されており、圧縮部材第一大径部24aと、爪部材係合部24bと、圧縮部材第二大径部24cと、圧縮部材小径部24dを備えている。また、圧縮部材24の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
圧縮部材第一大径部24aは、圧縮部材24の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態で、圧縮部材配置孔42内及び第一プレート凹部44内に配置されている。
【0043】
爪部材係合部24bは、圧縮部材第一大径部24aと連続して形成されており、型閉じ状態において、第二プレート凹部58内に配置されている。また、爪部材係合部24bの外径は、圧縮部材24のうち最大値であり、圧縮部材第一挿通孔54の内径よりも大きい。
圧縮部材第二大径部24cは、爪部材係合部24bと連続して形成されており、型閉じ状態において、圧縮部材第一挿通孔54内に挿通されているとともに、第二挿通孔大径部64b内に配置されている。また、圧縮部材第二大径部24cの外径は、圧縮部材第一大径部24aの外径よりも大きく、爪部材係合部24bの外径よりも小さい。
【0044】
圧縮部材小径部24dは、圧縮部材第二大径部24cと連続して形成されて、圧縮部材24の他端(上端)を形成しており、型閉じ状態において、第二挿通孔大径部64b内の一部に配置されるとともに、第二挿通孔小径部64a内に挿通されている。また、圧縮部材小径部24dの外径は、圧縮部材第二大径部24cの外径及び第二挿通孔大径部64bの内径よりも小さい。
【0045】
また、圧縮部材小径部24dの先端部(上端部)は、型閉じ状態において、可動側開口部68及び固定側開口部8から形成される空間内へ突出している。この突出量は、例えば、成形品に形成する凹部の深さ(図1中における上下方向への長さ、以降の説明においても同様)から、成形空間内に射出した溶融樹脂を固化する前に圧縮する量を減じた値とする。
したがって、圧縮部材小径部24dの先端部は、成形品の本体部が有する凹部を形成する部材であり、凹部の形状寸法に応じた形状に形成されて、上述した型閉じ状態において、固定側開口部8及び可動側開口部68とともに、成形空間を形成する。すなわち、圧縮部材24は、成形空間と、一組の金型の開閉方向で対向している。
【0046】
(エジェクターピン26の構成)
二つのエジェクターピン26は、それぞれ、棒状に形成されており、エジェクターピン第一小径部26aと、エジェクターピン大径部26bと、エジェクターピン第二小径部26cを備えている。また、エジェクターピン26の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
エジェクターピン第一小径部26aは、エジェクターピン26の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態で、エジェクターピン配置孔40内に配置されている。
【0047】
エジェクターピン大径部26bは、エジェクターピン第一小径部26aと連続して形成されており、型閉じ状態において、第二プレート凹部58内に配置されている。また、エジェクターピン第一小径部26aの外径は、エジェクターピン26のうち最大値であり、エジェクターピン第一挿通孔52の内径よりも大きい。
また、エジェクターピン大径部26bの固定側型板6側の面(図1中では上側の面)は、型閉じ状態・型開き状態に関わらず、エジェクタープレート14のうち、エジェクターピン第一挿通孔52の周辺部分と接触している。
【0048】
また、上述した型閉じ状態及びエジェクター機構非稼動状態における、エジェクターピン大径部26bの可動側取付け板10側の面(図1中では下側の面)とピン配置孔構成ブロック46の固定側型板6側の面(図1中では上側の面)との間隔CL1は、成形品に形成する凹部の深さに応じた値に設定されている。
エジェクターピン第二小径部26cは、エジェクターピン大径部26bと連続して形成されて、エジェクターピン26の他端(上端)を形成しており、型閉じ状態において、エジェクターピン第二挿通孔62内に挿通されている。また、エジェクターピン第二小径部26cの外径は、エジェクターピン第一小径部26aの内径と等しい。
【0049】
また、エジェクターピン第二小径部26cの先端面(上端面)は、型閉じ状態において、可動側開口部68内へ突出せず、可動側型板16のうち、可動側開口部68を形成している面と同一面となっている。したがって、エジェクターピン26は、圧縮部材24と異なる位置で、成形空間と、一組の金型の開閉方向で対向している。
【0050】
(リターンピン28の構成)
リターンピン28は、棒状に形成されており、リターンピン大径部28aと、リターンピン小径部28bを備えている。また、リターンピン28の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
リターンピン大径部28aは、リターンピン28の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態・型開き状態に関わらず、配置孔大径部56a内に配置されている。
【0051】
リターンピン小径部28bは、リターンピン大径部28aと連続して形成されて、リターンピン28の他端(上端)を形成しており、型閉じ状態・型開き状態に関わらず、配置孔小径部56b内に配置されるとともに、リターンピン挿通孔66内に挿通されている。また、リターンピン小径部28bの外径は、リターンピン大径部28aの外径よりも大きい。
【0052】
また、リターンピン28の全長は、上述した型閉じ状態及びエジェクター機構非稼動状態における、リターンピン小径部28bと固定側型板6との距離CL2が、ピン配置孔構成ブロック46の固定側型板6側の面との間隔CL1以上の値となるように設定されている。第一実施形態では、一例として、上記の距離CL2と上記の間隔CL1が等しい値である場合について説明する。
【0053】
(第一爪部材30及び第二爪部材32の構成)
第一爪部材30及び第二爪部材32は、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間内に配置されている。
以下、図1から図3を参照しつつ、図4から図6を用いて、第一爪部材30及び第二爪部材32の構成を説明する。
図4は、射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1を上方から見た斜視図である。なお、図4中では、説明のために、固定側金型2と、エジェクタープレート14と、可動側型板16と、制御棒用スプリング20及びスプリング押さえ板22の図示を省略している。
【0054】
図5は、第一爪部材30及び第二爪部材32の構成を示す図であり、図5(a)は、第一爪部材30及び第二爪部材32を固定側金型2側(図1中における上側)から見た斜視図であり、図5(b)は、図5(a)中のうち第二爪部材32のみを示す図であり、図5(c)は、図5(a)中のうち第一爪部材30のみを示す図である。
図6は、第一爪部材30及び第二爪部材32の構成を示す図であり、図6(a)は、第一爪部材30及び第二爪部材32を可動側取付け板10側(図1中における下側)から見た斜視図であり、図6(b)は、図6(a)中のうち第二爪部材32のみを示す図であり、図6(c)は、図6(a)中のうち第一爪部材30のみを示す図である。
【0055】
(第一爪部材30の構成)
まず、第一爪部材30の構成を説明する。
第一爪部材30は、第一爪部材側平板部70と、第一爪部材側制御棒係合部72と、第一爪部材側圧縮部材係合部74を備えている。
第一爪部材側平板部70は、板状に形成されており、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第二プレート凹部58で形成される空間内のみに配置されている。
【0056】
また、第一爪部材側平板部70の板厚は、第二プレート凹部58の深さ(図1中における上下方向への長さ)以下である。
また、第一爪部材側平板部70は、第一爪部材側平板部70を板厚方向へ貫通する孔である、第一爪部材側貫通孔70aを有している。
第一爪部材側制御棒係合部72は、箱型に形成されており、第一爪部材側平板部70よりも圧縮部材24に近い側(図1中では右側)に配置されて、第一爪部材側平板部70と一体に形成されている。
【0057】
また、第一爪部材側制御棒係合部72の、第一爪部材側平板部70の板厚方向に沿った長さは、第一プレート凹部44の深さと第二プレート凹部58の深さとを足した長さ(図1中における上下方向への長さ、以降の説明においても同様)以下となっている。
また、第一爪部材側制御棒係合部72の固定側型板6側の面(図1中では上側の面)は、第一爪部材側平板部70の固定側型板6側の面と連続して、同じ高さ(第一プレート凹部44の底面からの長さ)となっている。
【0058】
また、第一爪部材側制御棒係合部72のうち、第一プレート凹部44と対向する面(図1中では下側の面、以降の説明においても同様)と爪部材開閉制御棒18と対向する面(図3中では左側の面)とを連続する縁部には、これらの面を滑らかに連続させる第一爪部材側面取り部72aが形成されている。
第一爪部材側圧縮部材係合部74は、平面視で略L字形に形成されており、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内のみに配置されている。
【0059】
また、第一爪部材側圧縮部材係合部74の、第一爪部材側平板部70の板厚方向に沿った長さは、第一プレート凹部44の深さ以下である。
また、第一爪部材側圧縮部材係合部74の一端面は、第一爪部材側制御棒係合部72の第一爪部材側平板部70と対向する面と反対の面(図1中では右側の面)と連続している。これにより、第一爪部材側圧縮部材係合部74は、第一爪部材側制御棒係合部72と一体に形成されている。
【0060】
一方、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面は、第一プレート凹部44で形成される空間内において、圧縮部材24と対向しており、圧縮部材24側への突出量が、爪部材開閉制御棒18と圧縮部材24との配列方向(図1中における左右方向、以降の説明においても同様)から見て、固定側金型2側から可動側取付け板10側へ向かうにつれて減少している。したがって、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面は、爪部材開閉制御棒18と圧縮部材24との配列方向から見て傾斜している。
また、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面のうち、圧縮部材24側への突出量が最大の部分(最も固定側金型2に近い部分、以降の説明においても同様)には、圧縮部材第一大径部24aの外径面に応じた曲率で湾曲した第一爪部材側湾曲面74aが形成されている。
【0061】
また、第一爪部材側圧縮部材係合部74のうち、第一爪部材側圧縮部材係合部74の一端面と反対側の面(図1中では、右側の面)には、第一スプリング支持棒76を挿入して取り付けるための凹部である、第一支持棒取り付け孔74bが形成されている。
第一スプリング支持棒76は、断面多角形の柱状部材であり、一端側が第一支持棒取り付け孔74b内に挿入され、他端側が、第一プレート凹部44で形成される空間内において、第一爪部材30から離れる方向(図1中では、右方向)へ突出している。
【0062】
また、第一スプリング支持棒76の両端部間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内に配置される部分には、一端側及び多端側よりも外径の小さい、第一スプリング取り付け溝76aが、第一スプリング支持棒76の外径面を周方向に連続して形成されている。
第一スプリング取り付け溝76aには、爪部材用スプリング78の一端が取り付けられている。なお、爪部材用スプリング78の説明は、後述する。
【0063】
(第二爪部材32の構成)
次に、第二爪部材32の構成を説明する。
第二爪部材32は、第二爪部材側平板部80と、第二爪部材側制御棒係合部82と、第二爪部材側圧縮部材係合部84を備えている。
第二爪部材側平板部80は、板状に形成されており、平面視で第一爪部材側平板部70と重なった状態で、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内のみに配置されている。
【0064】
また、第二爪部材側平板部80の板厚は、第一プレート凹部44の深さ以下である。
また、第二爪部材側平板部80は、第二爪部材側平板部80を板厚方向へ貫通する孔である、第二爪部材側貫通孔80aを有している。
第二爪部材側貫通孔80aの内径は、第一爪部材側貫通孔70aの内径と等しい。また、第二爪部材側貫通孔80aは、第一爪部材側貫通孔70aと、平面視で重なる位置に形成されている。
【0065】
すなわち、第一爪部材30と第二爪部材32は、平面視で第一爪部材側貫通孔70aと第二爪部材側貫通孔80aを重ねて連続させた状態で、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間内に配置されている。
また、第一爪部材側貫通孔70aと第二爪部材側貫通孔80aを重ねて連続させた空間内、すなわち、第一爪部材側貫通孔70a及び第二爪部材側貫通孔80aには、ショルダーボルト86が挿通されている。
【0066】
ここで、ショルダーボルト86の構成を説明する。
ショルダーボルト86は、棒状に形成されており、図1中に示すように、ボルト大径部86aと、爪部材貫通部86bと、ボルト小径部86cを備えている。また、ショルダーボルト86の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
ボルト大径部86aは、ショルダーボルト86の一端(下端)を形成しており、第一ボルト配置孔36内に配置されている。
【0067】
爪部材貫通部86bは、ボルト大径部86aと連続して形成されており、第一爪部材側貫通孔70a及び第二爪部材側貫通孔80a内に挿通されている。また、爪部材貫通部86bの外径は、ボルト大径部86aの外径よりも小さく、第二ボルト配置孔48の内径よりも大きい。
ボルト小径部86cは、爪部材貫通部86bと連続して形成されて、ショルダーボルト86の他端(上端)を形成しており、第二ボルト配置孔48内に配置されている。また、ボルト小径部86cの外径は、爪部材貫通部86bの外径よりも小さい。
【0068】
以下、第二爪部材32の構成の説明に復帰する。
第二爪部材側制御棒係合部82は、箱型に形成されており、第二爪部材側平板部80よりも圧縮部材24に近い側(図1中では右側)に配置されて、第二爪部材側平板部80と一体に形成されている。
また、第二爪部材側制御棒係合部82の、第二爪部材側平板部80の板厚方向に沿った長さは、第一プレート凹部44の深さと第二プレート凹部58の深さとを足した長さ以下となっている。
【0069】
また、第二爪部材側制御棒係合部82の可動側取付け板10側の面(図1中では下側の面)は、第二爪部材側平板部80の可動側取付け板10側の面と連続して、共に、第一プレート凹部44の底面と接触している。
また、第二爪部材側制御棒係合部82のうち、第一プレート凹部44と対向する面と爪部材開閉制御棒18と対向する面(図3中では右側の面)とを連続する縁部には、これらの面を滑らかに連続させる第二爪部材側面取り部82aが形成されている。
第二爪部材側圧縮部材係合部84は、平面視で略L字形に形成されており、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内のみに配置されている。
【0070】
また、第二爪部材側圧縮部材係合部84の、第二爪部材側平板部80の板厚方向に沿った長さは、第一プレート凹部44の深さ以下である。
また、第二爪部材側圧縮部材係合部84の一端面は、第二爪部材側制御棒係合部82の第二爪部材側平板部80と対向する面と反対の面(図1中では右側の面)と連続している。これにより、第二爪部材側圧縮部材係合部84は、第二爪部材側制御棒係合部82と一体に形成されている。
【0071】
一方、第二爪部材側圧縮部材係合部84の他端面は、第一プレート凹部44で形成される空間内において、圧縮部材24と対向しており、圧縮部材24側への突出量が、爪部材開閉制御棒18と圧縮部材24との配列方向から見て、固定側金型2側から可動側取付け板10側へ向かうにつれて減少している。したがって、第二爪部材側圧縮部材係合部84の他端面は、爪部材開閉制御棒18と圧縮部材24との配列方向から見て傾斜している。
【0072】
また、第二爪部材側圧縮部材係合部84の他端面のうち、圧縮部材24側への突出量が最大の部分には、圧縮部材第一大径部24aの外径面に応じた曲率で湾曲した第二爪部材側湾曲面84aが形成されている。
また、第二爪部材側圧縮部材係合部84のうち、第二爪部材側圧縮部材係合部84の一端面と反対側の面(図1中では、右側の面)には、第二スプリング支持棒88を挿入して取り付けるための凹部である、第二支持棒取り付け孔84bが形成されている。
第二スプリング支持棒88は、断面多角形の柱状部材であり、一端側が第二支持棒取り付け孔84b内に挿入され、他端側が、第一プレート凹部44で形成される空間内において、第二爪部材32から離れる方向(図1中では、右方向)へ突出している。
【0073】
また、第二スプリング支持棒88の両端部間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内に配置される部分には、一端側及び多端側よりも外径の小さい、第二スプリング取り付け溝88aが、第二スプリング支持棒88の外径面を周方向に連続して形成されている。
【0074】
第二スプリング取り付け溝88aには、爪部材用スプリング78の他端が取り付けられている。
爪部材用スプリング78は、例えば、コイルスプリングを用いて形成されており、その伸縮方向を、第一スプリング取り付け溝76aと第二スプリング取り付け溝88aとの配列方向(図2及び図3中では、左右方向)に向けた状態で、第一スプリング取り付け溝76aと第二スプリング取り付け溝88aとを接続している。なお、図4中では、爪部材用スプリング78の長さが最短である状態を示している。
【0075】
以上により、第一爪部材30と第二爪部材32は、平面視で、ショルダーボルト86を回転中心として、ショルダーボルト86の軸回りに相対回転可能に配置されている。
また、第一爪部材30と第二爪部材32は、平面視で、爪部材用スプリング78の収縮により、第一スプリング支持棒76と第二スプリング支持棒88を介して、第一爪部材側湾曲面74aと第二爪部材側湾曲面84aが近接する方向へ付勢されている。
【0076】
(第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係)
以下、図1から図6を参照しつつ、図7から図10を用いて、上記の型閉じ状態または型開き状態と、エジェクター機構非稼動状態またはエジェクター機構稼動状態との各種組み合わせにおける、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係を説明する。
【0077】
(型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態)
まず、図1から図6を参照しつつ、図7を用いて、型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作(移動・変位、以降の説明においても同様)を、図1から図3中に示す射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
【0078】
型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態では、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、可動側取付け板10を、固定側型板6から離間する方向(図1中における下方向、以降の説明においても同様)へ移動させて、固定側型板6と可動側型板16とを離間させている。また、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10を接触させている。
【0079】
これにより、型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態では、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が伸長して、スプリング係合部18dを固定側型板6側(図1中では上側、以降の説明においても同様)へ押し上げて、爪部材開閉制御棒18全体を固定側型板6側へ移動させている。このとき、スプリング係合部18dの制御棒第二大径部18e側の面は、第四挿通孔大径部60bの押さえ板配置部60cと対向する面(図1中では下側の面、以降の説明においても同様)と接触している。
【0080】
したがって、型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態では、図7中に示すように、固定側型板6側へ移動した爪部材開閉制御棒18が備える制御棒傾斜部18c及び制御棒第一大径部18aが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間へ移動して、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82とを離間させる。なお、図7は、型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係を上方から見た斜視図である。
【0081】
第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82が離間すると、第一爪部材30と第二爪部材32が、平面視で相対回転して、第一爪部材側湾曲面74aと第二爪部材側湾曲面84aが離間する。このとき、互いに離間する第一スプリング支持棒76と第二スプリング支持棒88を介して、爪部材用スプリング78が伸長する。
第一爪部材側湾曲面74aと第二爪部材側湾曲面84aが離間すると、第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が離間して、第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が共に圧縮部材24から離れる方向へ移動する。
【0082】
以上により、型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態では、可動盤駆動機構が発生する駆動力による、可動側取付け板10の、固定側型板6から離間する方向への移動に伴い、爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24のうち、爪部材開閉制御棒18のみが固定側型板6側へ移動する。
【0083】
また、型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態では、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側(図1中では下側、以降の説明においても同様)の位置において、平面視で、圧縮部材24、具体的には、爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動する。
なお、以降の説明では、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側の位置において、平面視で、爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動している状態を、「爪開き状態」と記載する場合がある。
【0084】
(型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態)
次に、図1から図7を参照しつつ、図8を用いて、型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作を、上述した型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態における射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
【0085】
型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態では、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、可動側取付け板10を、固定側型板6と近接する方向(図1中における上方向)へ移動させて、固定側型板6と可動側型板16とを接触させている。また、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを接触させている。
これにより、型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態では、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が収縮しており、スプリング係合部18dの制御棒第二大径部18e側の面は、第四挿通孔大径部60bの押さえ板配置部60cと対向する面から離間している。
【0086】
したがって、型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態では、図8中に示すように、爪部材開閉制御棒18が備える制御棒傾斜部18c及び制御棒第一大径部18aが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間から可動側取付け板10側へ移動する。これにより、制御棒第一大径部18aは、制御棒第一挿通孔34内に挿通され、制御棒傾斜部18cは、制御棒第二挿通孔38内に挿通される。なお、図8は、型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係を上方から見た斜視図である。
【0087】
このため、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間には、爪部材開閉制御棒18が備える制御棒小径部18bが移動して、伸長していた爪部材用スプリング78が収縮し、第一スプリング支持棒76と第二スプリング支持棒88が近接する。
第一スプリング支持棒76と第二スプリング支持棒88が近接すると、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82が近接する。
【0088】
第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82が近接すると、第一爪部材30と第二爪部材32が、平面視で相対回転して、第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が共に圧縮部材24へ近接する方向へ移動する。
第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が共に圧縮部材24へ近接する方向へ移動すると、第一爪部材側湾曲面74aと第二爪部材側湾曲面84aが近接して、共に圧縮部材第一大径部24aの外径面と接触する。
【0089】
以上により、型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態では、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側の位置において、平面視で、圧縮部材24、具体的には、爪部材係合部24bと重なる位置へ移動する。
なお、以降の説明では、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側の位置において、平面視で、爪部材係合部24bと重なる位置へ移動している状態を、「爪閉じ状態」と記載する場合がある。
【0090】
(型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態)
次に、図1から図8を参照しつつ、図9を用いて、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作を、上述した型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
【0091】
型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、エジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを離間させている。また、固定側型板6と可動側型板16とを接触させている。
これにより、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が収縮した状態で、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を固定側型板6側へ移動させている。
【0092】
したがって、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、爪部材開閉制御棒18に対して、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14が固定側型板6側へ移動する。これにより、制御棒第一大径部18aが制御棒第一挿通孔34内に挿通された状態で、制御棒傾斜部18cは、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動により可動側取付け板10とエジェクターバックプレート12との間に形成された空間内に配置される。
【0093】
すなわち、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、上述した爪閉じ状態で、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14が、固定側型板6側へ移動することとなる。
このため、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動に伴い、第一爪部材側制御棒係合部72及び第二爪部材側制御棒係合部82が、爪部材係合部24bを可動側取付け板10側から押圧して、圧縮部材24を固定側型板6側へ移動させる。したがって、圧縮部材24の移動方向は、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動方向と同様、一組の金型の開閉方向となる。
【0094】
このとき、第一爪部材30及び第二爪部材32は、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14と共に固定側型板6側へ移動する。しかしながら、第一爪部材30及び第二爪部材32が固定側型板6側へ移動しても、図9中に示すように、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間には、常に、制御棒小径部18bが配置されることとなるため、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82が離間することはない。なお、図9は、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係を上方から見た斜視図である。
【0095】
以上により、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、エジェクター駆動機構が発生する駆動力による、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の固定側型板6側への移動に伴い、爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24のうち、圧縮部材24のみが固定側型板6側へ移動する。これにより、圧縮部材小径部24dの先端部が、可動側開口部68内へ突出する。
【0096】
(型開き状態且つエジェクター機構稼動状態)
次に、図1から図9を参照しつつ、図10を用いて、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作を、上述した型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、まず、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、可動側取付け板10を、固定側型板6から離間する方向へ移動させて、固定側型板6と可動側型板16とを離間させている。
【0097】
これにより、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、まず、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が伸長して、スプリング係合部18dを固定側型板6側へ押し上げて、爪部材開閉制御棒18全体を固定側型板6側へ移動させている。このとき、スプリング係合部18dの制御棒第二大径部18e側の面は、第四挿通孔大径部60bの押さえ板配置部60cと対向する面と接触している。
【0098】
このとき、図7中に示すように、制御棒傾斜部18c及び制御棒第一大径部18aが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間から、可動側取付け板10側へ移動する。これにより、制御棒第一大径部18aが制御棒第一挿通孔34内に挿通され、制御棒傾斜部18cが制御棒第二挿通孔38内に挿通される。
その後、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、固定側型板6と可動側型板16とを離間させた状態で、エジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを離間させている。
【0099】
したがって、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、上述した爪開き状態で、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14が、固定側型板6側へ移動することとなる。
このため、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、平面視で爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動している第一爪部材30と第二爪部材32が、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14と共に固定側型板6側へ移動する。
【0100】
これにより、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、第一爪部材側湾曲面74a及び第二爪部材側湾曲面84aが、圧縮部材第一大径部24aと対向する位置から、爪部材係合部24bと対向する位置を通過して、図10中に示すように、圧縮部材第二大径部24cと対向する位置へ移動する。なお、図10は、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係を上方から見た斜視図である。
【0101】
以上により、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、可動盤駆動機構が発生する駆動力による、可動側取付け板10の、固定側型板6から離間する方向への移動に伴い、爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24のうち、爪部材開閉制御棒18のみが固定側型板6側へ移動する。
これに加え、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、可動盤駆動機構が発生する駆動力により可動側取付け板10が固定側型板6側へ移動した後に、エジェクター駆動機構が発生する駆動力により、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14が固定側型板6側へ移動しても、爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24の移動は発生しない。
【0102】
(射出圧縮成形方法)
次に、図1から図10を参照しつつ、図11から図28を用いて、上述した構成の射出圧縮成形金型1を用いた射出圧縮成形方法により、凹部を有する成形品を製造する工程について説明する。
第一実施形態の射出圧縮成形方法では、以下に記載する、型閉じ工程と、射出工程と、圧縮部材前進工程と、圧縮部材後退工程と、型開き工程と、エジェクターピン前進工程と、エジェクターピン後退工程を行って、成形品を製造する。
【0103】
(型閉じ工程及び射出工程)
以下、図1から図10を参照しつつ、図11から図16を用いて、型閉じ工程及び射出工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。なお、以下の説明は、上記の型開き状態を前提として行う。
図11は、型開き状態の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図12は、図11のA‐A線断面図であり、図13は、図11のB‐B線断面図である。なお、図11から図13中に示す型開き状態は、例えば、前工程で製造した成形品を、成形空間から取り出した状態や、射出圧縮成形金型1のメンテナンス、特に、成形空間を形成する、固定側開口部8と、可動側開口部68及び圧縮部材24の清掃等を行った状態を表している。
【0104】
図11から図13中に示すように、型開き状態の射出圧縮成形金型1では、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、固定側型板6と可動側型板16とを離間させるとともに、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10を接触させている。
固定側型板6と可動側型板16とを離間させると、制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長するため、制御棒傾斜部18c及び制御棒第一大径部18aが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間へ移動して、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82とを離間させる。これにより、型開き状態では、第一爪部材30と第二爪部材32の状態が、上記の爪開き状態となっている(図7参照)。
【0105】
ここで、第一爪部材側制御棒係合部72には、上述した第一爪部材側面取り部72aが形成されており、第二爪部材側制御棒係合部82には、上述した第二爪部材側面取り部82aが形成されている。
さらに、爪部材開閉制御棒18が備える制御棒傾斜部18cは、その外径が、制御棒第一大径部18a側から制御棒小径部18b側へ向かうにつれて縮径している。
したがって、制御棒傾斜部18cが、制御棒第二挿通孔38内から、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間へ移動する際には、制御棒傾斜部18cのうち外径が最小値である部分が第一爪部材側面取り部72a及び第二爪部材側面取り部82aと接触する。
【0106】
その後、制御棒傾斜部18cの外径面と第一爪部材側面取り部72a及び第二爪部材側面取り部82aが接触した状態を維持したまま、制御棒傾斜部18cの外径が増加するにつれて、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82が滑らかに離間する。
【0107】
したがって、第一実施形態では、第一爪部材側制御棒係合部72に第一爪部材側面取り部72aが形成されていないとともに、第二爪部材側制御棒係合部82に第二爪部材側面取り部82aが形成されていない場合と比較して、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82に発生する損傷を低減可能である。また、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82を離間させる方向への、爪部材開閉制御棒18の移動が第一爪部材側制御棒係合部72に第一爪部材側面取り部72aが形成されていないとともに、第二爪部材側制御棒係合部82に第二爪部材側面取り部82aが形成されていない場合と比較して、円滑となり、作動性を向上可能となる。
【0108】
また、型開き状態では、制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長しており、爪部材開閉制御棒18全体が固定側型板6側へ移動して、爪部材開閉制御棒18の上端が第四挿通孔小径部60a内を貫通して、可動側型板16の固定側型板6側の面(図1中では、上側の面、以降の説明においても同様)から突出している。
図14は、型閉じ工程及び射出工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図15は、図14のC‐C線断面図であり、図16は、図14のD‐D線断面図である。
【0109】
図14から図16中に示すように、型閉じ工程では、まず、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、固定側型板6と可動側型板16とを接触させる。また、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10は、接触させた状態を保持する。
固定側型板6と可動側型板16が接触すると、制御棒第四挿通孔60内で伸長していた制御棒用スプリング20が収縮し、可動側型板16の固定側型板6側の面から突出していた爪部材開閉制御棒18の上端が、第四挿通孔小径部60a内に配置される。これに加え、固定側開口部8と、可動側開口部68及び圧縮部材24により、成形空間が形成される。
【0110】
そして、固定側型板6と可動側型板16とを接触させて成形空間を形成した後、樹脂射出装置で計量・可塑化した溶融樹脂を、樹脂通路を通じて成形空間内へ射出充填する射出工程を行う。
成形空間内へ溶融樹脂を射出充填すると、射出工程を終了し、圧縮部材前進工程へ移行する。なお、図14及び図15中には、成形空間内へ射出充填した溶融樹脂を、符号「R」を付して示している。
【0111】
ここで、型閉じ工程及び射出工程における射出圧縮成形金型1は、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が収縮しており、制御棒第一大径部18aは、制御棒第一挿通孔34内に挿通され、制御棒傾斜部18cは、制御棒第二挿通孔38内に挿通されている。このため、型閉じ工程における射出圧縮成形金型1では、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係は、上述した型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態と同様であり、上述した爪閉じ状態となる(図8参照)。
したがって、射出工程は、成形空間内へ溶融樹脂Rを射出する工程である。
【0112】
(圧縮部材前進工程)
次に、図1から図16を参照しつつ、図17から図19を用いて、圧縮部材前進工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図17は、圧縮部材前進工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図18は、図17のE‐E線断面図であり、図19は、図17のF‐F線断面図である。
【0113】
図17から図19中に示すように、圧縮部材前進工程では、射出工程において成形空間内へ射出充填した溶融樹脂Rが固化する前に、エジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を固定側型板6側へ移動させて、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを離間させる。また、固定側型板6と可動側型板16は、接触させた状態を保持して、成形空間を維持する。
【0114】
ここで、圧縮部材前進工程における射出圧縮成形金型1は、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が収縮しており、制御棒第一大径部18aは、制御棒第一挿通孔34内に挿通され、制御棒傾斜部18cは、制御棒第二挿通孔38内に挿通されている。このため、圧縮部材前進工程における射出圧縮成形金型1では、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係は、上述した型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態と同様であり、上述した爪閉じ状態となる(図9参照)。
【0115】
また、圧縮部材前進工程における射出圧縮成形金型1では、上述した爪閉じ状態で、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを離間させる。これに伴い、第一爪部材30及び第二爪部材32は、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14と共に固定側型板6側へ移動するが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間には、常に、制御棒小径部18bが配置され、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82が離間することはない。
【0116】
このため、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動に伴い、第一爪部材側制御棒係合部72及び第二爪部材側制御棒係合部82が、爪部材係合部24bを可動側取付け板10側から押圧して、圧縮部材24を固定側型板6側へ移動させる。
したがって、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の固定側型板6側への移動に伴い、爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24のうち、圧縮部材24のみが固定側型板6側へ移動する(図9参照)。
【0117】
圧縮部材24が固定側型板6側へ移動すると、この圧縮部材24が備える圧縮部材小径部24dの先端部が、可動側開口部68内へ突出して、射出工程において成形空間内へ射出充填した、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮しながら押し込む。これにより、圧縮部材小径部24dの先端面(上端面)と、この先端面と連続する側面(先端側の側面)により、成形空間内へ射出充填した、固化する前の溶融樹脂Rに、凹部を形成する。これに加え、成形空間内へ射出充填した、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮することにより、溶融樹脂Rの冷却により発生するヒケ(成形品の表面に発生する凹凸部分)を減少させることが可能となる。
【0118】
ここで、リターンピン28は、エジェクターバックプレート12のエジェクタープレート14側の面(図1中では、上側の面)と対向しているため、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の固定側型板6側への移動に伴い、リターンピン28も固定側型板6側へ移動する。
このとき、圧縮部材前進工程では、固定側型板6と可動側型板16が、接触させた状態を保持しているため、リターンピン28が固定側型板6側へ移動すると、リターンピン挿通孔66内を移動するリターンピン小径部28bは、その先端面(上端面)が、固定側型板6の可動側型板16側の面に接触する。
【0119】
リターンピン小径部28bの先端面が、固定側型板6の可動側型板16側の面に接触すると、リターンピン28の移動が停止し、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動も停止する。これに伴い、圧縮部材24の移動も停止する。
したがって、圧縮部材24の移動量は、リターンピン小径部28bと固定側型板6との距離CL2となり、圧縮部材小径部24dの先端部が固化する前の溶融樹脂Rを圧縮しながら押し込んで形成する凹部の深さも、距離CL2と同じ値となる。
【0120】
また、リターンピン小径部28bと固定側型板6との距離CL2は、ピン配置孔構成ブロック46の固定側型板6側の面との間隔CL1と等しい値である。このため、エジェクターバックプレート12の移動に伴い、ピン配置孔構成ブロック46が移動しても、このピン配置孔構成ブロック46がエジェクターピン大径部26bを固定側型板6側へ押圧することはない。したがって、エジェクターバックプレート12の移動に伴い、ピン配置孔構成ブロック46が移動しても、エジェクターピン26は移動せず、成形空間内へ突出することはない。
【0121】
ここで、第一実施形態では、圧縮部材小径部24dの先端部が固化する前の溶融樹脂Rを圧縮しながら押し込んで、凹部を形成した状態を、溶融樹脂Rが固化するまで保持して、成形空間において溶融樹脂Rを保圧する。溶融樹脂Rを保圧する時間は、例えば、成形品の形状寸法に応じた、溶融樹脂Rが固化する時間を基準として設定する。
さらに、溶融樹脂Rを保圧した後、成形空間内へ射出した後に保圧している溶融樹脂Rを、固定側開口部8と、可動側開口部68及び圧縮部材24との熱交換作用により冷却して固化させ、成形品を形成した後、圧縮部材後退工程へ移行する。
【0122】
以上により、圧縮部材前進工程では、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を移動させても、圧縮部材24及びエジェクターピン26のうち、圧縮部材24のみが移動する。
したがって、圧縮部材前進工程は、射出工程において成形空間内へ射出された溶融樹脂Rが固化する前に、圧縮部材24を成形空間内へ移動させて、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮して押し込む工程である。
【0123】
(圧縮部材後退工程)
次に、図1から図19を参照しつつ、図20及び図21を用いて、圧縮部材後退工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図20は、圧縮部材後退工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図21は、図20のG‐G線断面図である。また、図20中には、H‐H線を示しているが、図20のH‐H線断面図は、図16と同様であるため、図示を省略する。
【0124】
図20及び図21中に示すように、圧縮部材後退工程では、エジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させて、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを接触させる。また、固定側型板6と可動側型板16は、接触させた状態を保持する。
【0125】
ここで、圧縮部材後退工程における射出圧縮成形金型1は、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が収縮しており、制御棒第一大径部18aは、制御棒第一挿通孔34内に挿通され、制御棒傾斜部18cは、制御棒第二挿通孔38内に挿通されている。このため、圧縮部材後退工程における射出圧縮成形金型1では、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係は、上述した型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態と同様であり、上述した爪閉じ状態となる(図8参照)。
このため、図外のエジェクター駆動機構により、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させると、この移動に伴い、爪部材係合部24bを可動側取付け板10側から押圧している、第一爪部材側制御棒係合部72及び第二爪部材側制御棒係合部82が、可動側取付け板10側へ移動する。
【0126】
第一爪部材側制御棒係合部72及び第二爪部材側制御棒係合部82が、可動側取付け板10側へ移動すると、この移動に伴い、圧縮部材24が自重により可動側取付け板10側へ移動して、圧縮部材小径部24dの先端部が、可動側開口部68から第二挿通孔小径部64a内に移動する。これにより、圧縮部材小径部24dの先端部が成形空間内の樹脂を圧縮している状態を解除して、圧縮部材24を、固化した樹脂から離間させる。
ここで、圧縮部材後退工程は、上述したように、保圧した溶融樹脂Rを冷却して固化させ、成形品を形成した後に行っているため、圧縮部材小径部24dの先端部が第二挿通孔小径部64a内に移動すると、成形空間内には、凹部を有する成形品Pが形成される。
【0127】
また、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させると、この移動に伴い、ピン配置孔構成ブロック46が可動側取付け板10側へ移動して、エジェクターピン大径部26bから離間する。すなわち、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させると、エジェクターピン第二小径部26cの先端面(上端面)が、可動側開口部68を形成している面と同一面となっている状態で、圧縮部材小径部24dの先端部が、可動側開口部68から第二挿通孔小径部64a内に移動する。
【0128】
このため、成形品Pのうち、エジェクターピン第二小径部26cと対向する鍔部を、エジェクターピン第二小径部26cの先端面で押さえた状態で、凹部内から圧縮部材小径部24dを抜き出すことが可能となる。
エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させて、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを接触させ、圧縮部材小径部24dの先端部を第二挿通孔小径部64a内に移動させた後、型開き工程へ移行する。
したがって、圧縮部材後退工程は、圧縮部材前進工程において固化する前の溶融樹脂Rを圧縮した圧縮部材24を、溶融樹脂Rが固化した後に移動させて、固化した溶融樹脂から離間させる工程である。
【0129】
(型開き工程)
次に、図1から図21を参照しつつ、図22及び図23を用いて、型開き工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図22は、型開き工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図23は、図22のI‐I線断面図である。また、図22中には、J‐J線を示しているが、図22のJ‐J線断面図は、図13と同様であるため、図示を省略する。
【0130】
図22及び図23中に示すように、型開き工程では、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、可動側取付け板10を、固定側型板6から離間する方向へ移動させて、固定側型板6と可動側型板16とを離間させている。また、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10は、接触させた状態を保持する。
固定側型板6と可動側型板16とを離間させると、制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長するため、制御棒傾斜部18c及び制御棒第一大径部18aが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間へ移動して、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82とを離間させる。これにより、型開き工程では、第一爪部材30と第二爪部材32の状態が、上記の爪開き状態となっている(図7参照)。
【0131】
また、型開き工程では、制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長しており、爪部材開閉制御棒18全体が固定側型板6側へ移動して、爪部材開閉制御棒18の上端が第四挿通孔小径部60a内を貫通して、可動側型板16の固定側型板6側の面から突出している。
また、固定側型板6と可動側型板16とを離間させると、固定側開口部8と可動側開口部68が離間して、成形空間が開放され、成形品Pが、可動側開口部68上に載置された状態で、離間している固定側型板6と可動側型板16との間に形成された空間に配置される。固定側開口部8と可動側開口部68とを離間させた後、エジェクターピン前進工程へ移行する。
【0132】
(エジェクターピン前進工程)
次に、図1から図23を参照しつつ、図24から図26を用いて、エジェクターピン前進工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図24は、エジェクターピン前進工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図25は、図24のK‐K線断面図であり、図26は、図24のL‐L線断面図である。
【0133】
図24から図26中に示すように、エジェクターピン前進工程では、図外のエジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を固定側型板6側へ移動させて、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを離間させる。また、固定側型板6と可動側型板16は、離間させた状態を保持する。
【0134】
ここで、エジェクターピン前進工程では、固定側型板6と可動側型板16が離間しており、図1中に示す制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長しているため、上述した爪開き状態で、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14が、固定側型板6側へ移動することとなる。このため、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを離間させると、平面視で爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動している第一爪部材30と第二爪部材32が、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14と共に固定側型板6側へ移動する。
【0135】
これにより、第一爪部材側湾曲面74a及び第二爪部材側湾曲面84aが、圧縮部材第一大径部24aと対向する位置から、爪部材係合部24bと対向する位置を通過して、圧縮部材第二大径部24cと対向する位置へ移動する(図10参照)。すなわち、エジェクターピン前進工程では、第一爪部材30と第二爪部材32の状態が、上記の爪開き状態であり、爪係合部24bが第一爪部材側制御棒係合部72及び第二爪部材側制御棒係合部82によって可動側取付け板10側から押圧されないため、圧縮部材24及びエジェクターピン26のうち、エジェクターピン26のみが固定側型板6側へ移動する。したがって、エジェクターピン26の移動方向は、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動方向と同様、一組の金型の開閉方向となる。
【0136】
また、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を固定側型板6側へ移動させると、この移動に伴い、リターンピン28も固定側型板6側へ移動する。
このとき、エジェクターピン前進工程では、固定側型板6と可動側型板16を、離間させた状態で保持しているため、リターンピン28が固定側型板6側へ移動すると、リターンピン挿通孔66内を移動するリターンピン小径部28bは、離間している固定側型板6と可動側型板16との間に形成された空間へ突出する。
【0137】
すなわち、エジェクターピン前進工程では、上述した圧縮部材前進工程と異なり、リターンピン28によって、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動が規制されない。
このため、リターンピン小径部28bが、固定側型板6と可動側型板16との間に形成された空間へ突出した後も、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動を継続すると、この移動に伴い、ピン配置孔構成ブロック46が固定側型板6側へ移動する。
【0138】
そして、エジェクターバックプレート12と共に移動するピン配置孔構成ブロック46が、エジェクターピン大径部26bと接触して、図1中に示すピン配置孔構成ブロック46の固定側型板6側の面との間隔CL1が無くなった状態で、さらに、エジェクターバックプレート12と共にピン配置孔構成ブロック46を移動させると、このピン配置孔構成ブロック46がエジェクターピン大径部26bを固定側型板6側へ押圧する。
【0139】
これにより、エジェクターピン26が固定側型板6側へ移動して、可動側型板16のうち、可動側開口部68を形成している面から突出し、可動側開口部68上に載置されている成形品Pを、固定側型板6側へ移動させる(押し上げる)。このとき、エジェクターピン第一小径部26aは、エジェクターピン配置孔40から、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10との間に形成された隙間へ突出する。
【0140】
ここで、エジェクターバックプレート12の移動に伴う、エジェクターピン26の固定側型板6側への移動量は、リターンピン小径部28bと固定側型板6との距離CL2よりも大きい値となる。
エジェクターピン26により、可動側開口部68上に載置されている成形品P、すなわち、可動側金型4に接触している固化した樹脂を押圧して可動側金型4から取り出し、固定側型板6側へ移動させた後、エジェクターピン後退工程へ移行する。
【0141】
以上により、エジェクターピン前進工程では、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を移動させても、圧縮部材24及びエジェクターピン26のうち、エジェクターピン26のみが移動する。
したがって、エジェクターピン前進工程は、圧縮部材後退工程において固化した溶融樹脂から圧縮部材24を離間させた状態でエジェクターピン26を移動させて、可動側金型4に接触している固化した溶融樹脂を押圧して可動側金型4から取り出す工程である。
【0142】
(エジェクターピン後退工程)
次に、図1から図26を参照しつつ、図27及び図28を用いて、エジェクターピン後退工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図27は、エジェクターピン後退工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図28は、図27のM‐M線断面図である。また、図27中には、N‐N線を示しているが、図27のN‐N線断面図は、図13と同様であるため、図示を省略する。
【0143】
図27及び図28中に示すように、エジェクターピン後退工程では、図外のエジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させて、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを接触させる。また、固定側型板6と可動側型板16は、離間させた状態を保持する。
【0144】
ここで、エジェクターピン後退工程では、固定側型板6と可動側型板16が離間しており、制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長しているため、上述した爪開き状態で、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14が、可動側取付け板10側へ移動することとなる。このため、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを接触させると、平面視で爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動している第一爪部材30と第二爪部材32が、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14と共に可動側取付け板10側へ移動する。
【0145】
これにより、第一爪部材側湾曲面74a及び第二爪部材側湾曲面84aが、圧縮部材第二大径部24cと対向する位置から、爪部材係合部24bと対向する位置を通過して、圧縮部材第一大径部24aと対向する位置へ移動する(図7参照)。すなわち、エジェクターピン後退工程では、圧縮部材24及びエジェクターピン26のうち、エジェクターピン26のみが可動側取付け板10側へ移動して、エジェクターピン第二小径部26cがエジェクターピン第二挿通孔62内に収容される。
【0146】
ここで、第一実施形態では、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面と、第二爪部材側圧縮部材係合部84の他端面は、爪部材開閉制御棒18と圧縮部材24との配列方向から見て傾斜している。
したがって、第一爪部材側湾曲面74a及び第二爪部材側湾曲面84aが、圧縮部材第二大径部24cと対向する位置から、爪部材係合部24bと対向する位置を通過する際に、第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が爪部材係合部24bと接触しても、第一爪部材側圧縮部材係合部74と第二爪部材側圧縮部材係合部84は、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面及び第二爪部材側圧縮部材係合部84の他端面の傾斜に沿って、離間しながら可動側取付け板10側へ移動する。
【0147】
このため、第一実施形態では、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面と第二爪部材側圧縮部材係合部84の他端面が傾斜していない場合と比較して、エジェクターピン後退工程における動作を円滑にすることが可能となる。
エジェクターピン26を可動側取付け板10側へ移動させて、エジェクターピン第二小径部26cをエジェクターピン第二挿通孔62内に収容した後、エジェクターピン26上に載置されている成形品Pを取り出して、成形品Pの製造を終了する。なお、図27及び図28中では、説明のために、成形品Pを、エジェクターピン前進工程における位置に図示している。
【0148】
上述したように、エジェクター駆動機構と、エジェクターバックプレート12と、エジェクタープレート14と、爪部材開閉制御棒18と、制御棒用スプリング20と、スプリング押さえ板22と、リターンピン28と、第一爪部材30及び第二爪部材32は、上記の型閉じ状態または型開き状態に応じて圧縮部材24とエジェクターピン26とを個別に移動させる、動作分割機構を形成している。
【0149】
ここで、動作分割機構は、具体的には、型閉じ状態では、成形空間内へ射出された溶融樹脂Rが固化する前に、圧縮部材24のみを成形空間内へ移動させて、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮して押し込み、さらに、溶融樹脂Rが固化した後に、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮した圧縮部材24のみを移動させて、固化した溶融樹脂から離間させる。一方、型開き状態では、エジェクターピン26のみを移動させて、可動側金型4に接触している固化した溶融樹脂を押圧して、可動側金型4から取り出す。
【0150】
以上説明したように、本発明では、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮して押し込んで凹部を形成し、さらに、凹部が形成された溶融樹脂Rが固化した後に、圧縮部材24のみを移動させて固化した溶融樹脂から離間させた状態で、エジェクターピン26のみを移動させて、固化した溶融樹脂からなる成形品Pを、可動側金型4から取り出すことが可能となる。
このため、成形品Pを可動側金型4から取り出す際に発生する、成形品Pのこすれを抑制することが可能となる。
【0151】
これに加え、成形品Pのうち圧縮部材24の側面に接触している部分が圧縮部材24に食いついた場合であっても、成形品Pを可動側金型4から取り出す前に、圧縮部材24を成形品Pから離間させることが可能となり、離型不良を抑制することが可能となる。
したがって、本発明では、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮部材24により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品Pの製造において、成形品Pの損傷を抑制して、成形品Pの品質低下を抑制することが可能となる。
【0152】
また、本発明では、圧縮部材24とエジェクターピン26が、互いに異なる位置で、成形空間と、一組の金型の開閉方向で対向している。
このため、圧縮部材24により固化する前の溶融樹脂Rを圧縮し、この溶融樹脂Rが固化した後に、再度、圧縮部材24が圧縮した面を、エジェクターピン26で押し出すことが無いため、圧縮部材24により圧縮した面や、その面と隣接する部分の損傷を抑制することが可能となる。
【0153】
また、本発明では、エジェクター駆動機構、すなわち、一つの駆動機構のみにより、圧縮部材24とエジェクターピン26とを個別に移動させることが可能となる。また、溶融樹脂が固化する前である圧縮部材を移動させるタイミングと、溶融樹脂が固化した後であるエジェクターピンを移動させるタイミングとを異ならせるために、個別の構成を必要としていない。
したがって、本発明では、射出圧縮成形金型1の構成が複雑化することを抑制することが可能となるとともに、射出圧縮成形金型1の製造コスト等、コストの増加を抑制することが可能となる。
【0154】
(変形例)
以下、第一実施形態の変形例を列挙する。
第一実施形態においては、第一爪部材30と第二爪部材32の構成を、平面視で、ショルダーボルト86を回転中心として、ショルダーボルト86の軸回りに相対回転可能に配置されている構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、第一爪部材30と第二爪部材32の構成を、例えば、それぞれ、二つのスプリング支持棒を備える構成とし、二組のスプリング支持棒同士を、第一スプリング取り付け溝76aと第二スプリング取り付け溝88aとの配列方向へ伸縮する二つの爪部材用スプリングで連結した構成としてもよい。
【0155】
この場合、爪開き状態では、二つの爪部材用スプリングが共に伸長して、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側の位置において、平面視で、爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動する構成とする。一方、爪閉じ状態では、二つの爪部材用スプリングが共に収縮して、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側の位置において、平面視で、爪部材係合部24bと重なる位置へ移動する構成とする。
【0156】
また、第一実施形態においては、第一爪部材30と第二爪部材32、すなわち、二つの爪部材を備える構成としたが、これに限定するものではなく、一つの爪部材のみを備える構成としてもよい。この場合、例えば、一つの爪部材のみを、平面視で、ショルダーボルト86を回転中心として、ショルダーボルト86の軸回りに相対回転可能に配置するとともに、爪部材用スプリング78のうち、スプリング取り付け溝に取り付けられていない側の端部を、第一プレート凹部44の内壁面のうち、平面視で、圧縮部材24を間に挟んでスプリング支持棒と対向する面に取り付ける。
【0157】
また、第一実施形態においては、圧縮部材24を一つのみ備えた構成としたが、これに限定するものではなく、例えば、固定側金型2と可動側金型4との間に複数箇所の成形空間を形成した場合等には、複数個の圧縮部材24を備えた構成としてもよい。これは、エジェクターピン26に関しても同様である。
【符号の説明】
【0158】
1 射出圧縮成形金型、2 固定側金型、4 可動側金型、6 固定側型板、8 固定側開口部、10 可動側取付け板、12 エジェクターバックプレート、14 エジェクタープレート、16 可動側型板、18 爪部材開閉制御棒、18a 制御棒第一大径部、18b 制御棒小径部、18c 制御棒傾斜部、18d スプリング係合部、18e 制御棒第二大径部、20 制御棒用スプリング、22 スプリング押さえ板、24 圧縮部材、24a 圧縮部材第一大径部、24b 爪部材係合部、24c 圧縮部材第二大径部、24d 圧縮部材小径部、26 エジェクターピン、26a エジェクターピン第一小径部、26b エジェクターピン大径部、26c エジェクターピン第二小径部、28 リターンピン、28a リターンピン大径部、28b リターンピン小径部、30 第一爪部材、32 第二爪部材、34 制御棒第一挿通孔、36 第一ボルト配置孔、38 制御棒第二挿通孔、40 エジェクターピン配置孔、42 圧縮部材配置孔、44 第一プレート凹部、46 ピン配置孔構成ブロック、48 第二ボルト配置孔、50 制御棒第三挿通孔、52 エジェクターピン第一挿通孔、54 圧縮部材第一挿通孔、56 リターンピン配置孔、56a 配置孔大径部、56b 配置孔小径部、58 第二プレート凹部、60 制御棒第四挿通孔、60a 第四挿通孔小径部、60b 第四挿通孔大径部、60c 押さえ板配置部、62 エジェクターピン第二挿通孔、64 圧縮部材第二挿通孔、64a 第二挿通孔小径部、64b 第二挿通孔大径部、66 リターンピン挿通孔、68 可動側開口部、70 第一爪部材側平板部、70a 第一爪部材側貫通孔、72 第一爪部材側制御棒係合部、72a 第一爪部材側面取り部、74 第一爪部材側圧縮部材係合部、74a 第一爪部材側湾曲面、74b 第一支持棒取り付け孔、76 第一スプリング支持棒、76a 第一スプリング取り付け溝、78 爪部材用スプリング、80 第二爪部材側平板部、80a 第二爪部材側貫通孔、82 第二爪部材側制御棒係合部、82a 第二爪部材側面取り部、84 第二爪部材側圧縮部材係合部、84a 第二爪部材側湾曲面、84b 第二支持棒取り付け孔、86 ショルダーボルト、86a ボルト大径部、86b 爪部材貫通部、86c ボルト小径部、88 第二スプリング支持棒、88a 第二スプリング取り付け溝、CL1 ピン配置孔構成ブロック46の固定側型板6側の面(図1中では上側の面)との間隔、CL2 型閉じ状態及びエジェクター機構非稼動状態における、リターンピン小径部28bと固定側型板6との距離、R 溶融樹脂、P 成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型と、
当該一組の金型の開閉方向へ移動可能な圧縮部材と、
前記開閉方向へ移動可能なエジェクターピンと、
前記型閉じ状態または前記型開き状態に応じて前記圧縮部材と前記エジェクターピンとを個別に移動させる動作分割機構と、を備え、
前記圧縮部材は、前記型閉じ状態において前記一組の金型間に形成される成形空間と前記開閉方向で対向し、
前記エジェクターピンは、前記圧縮部材と異なる位置で前記成形空間と前記開閉方向で対向し、
前記型閉じ状態では、前記動作分割機構は前記成形空間内へ射出された溶融樹脂が固化する前に、前記圧縮部材のみを前記成形空間内へ移動させて固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込み、前記溶融樹脂が固化した後に、前記圧縮部材のみを移動させて固化した前記溶融樹脂から離間させ、
前記型開き状態では、前記動作分割機構は前記エジェクターピンのみを移動させて、前記一組の金型のうち一方に接触している固化した前記溶融樹脂を押圧して前記一方の金型から取り出すことを特徴とする射出圧縮成形金型。
【請求項2】
互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型間に前記型閉じ状態において形成されている成形空間内へ、溶融樹脂を射出する射出工程と、
前記射出工程において前記成形空間内へ射出された前記溶融樹脂が固化する前に、前記金型の開閉方向へ移動可能であり且つ前記成形空間と前記開閉方向で対向する圧縮部材を成形空間内へ移動させて、固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込む圧縮部材前進工程と、
前記圧縮部材前進工程において固化する前の前記溶融樹脂を圧縮した前記圧縮部材を溶融樹脂が固化した後に移動させて、固化した前記溶融樹脂から離間させる圧縮部材後退工程と、
前記圧縮部材後退工程において固化した前記溶融樹脂から前記圧縮部材を離間させた状態で、前記開閉方向へ移動可能であり且つ前記圧縮部材と異なる位置で前記成形空間と前記開閉方向で対向するエジェクターピンを移動させて、前記一組の金型のうち一方に接触している固化した前記溶融樹脂を押圧して前記一方の金型から取り出すエジェクターピン前進工程と、を有することを特徴とする射出圧縮成形方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2012−183687(P2012−183687A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47274(P2011−47274)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】