説明

射出成形の装置及び方法

【課題】微小シリコーン成形型取り付けプランジャー射出システムを提供する。
【解決手段】このシステムには、シリコーンカートリッジアセンブリ、微小プランジャー射出アセンブリ、及びコールドデッキノズルアセンブリが含まれる。このシステムにおいて、これらの3つの構成要素が直接相互接続され、これによって材料の流動経路長さと直径が大幅に低減される。このシステムは、構成品を製造するのに必要な望ましい射出重量に実質的に等しい単回射出量の材料を送ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用装置の製造のための装置及び方法に関するものであり、より具体的には、眼に使用するための薬物送達装置又はその一部分を製造する、新しいシリコーン成形型及びプランジャー射出ユニットを利用した完全自動のミニチュアサイズのシリコーン成形セルである。
【背景技術】
【0002】
眼の両端はそれぞれ眼角と呼ばれ、鼻側は鼻眼角、耳側又は側頭側は側頭眼角と呼ばれる。鼻眼角の上下眼瞼縁にある小さな開口部は、涙点(puncti又はpuncta)と呼ばれる。本明細書で使用されるとき、涙点(puncti又はpuncta)はいずれも、涙点(punctum)の複数形として理解される。それぞれの涙点は、涙を眼から排水させる。涙点プラグ又はオクルーダー(occluder)は、1つ以上の疾患状態の治療のために、眼の涙点に挿入するための眼科用装置である。典型的に、涙点プラグは涙の排水を遮断するよう配置され、これによってドライアイの治療に役立てる。涙点プラグはまた、幅広い種類の眼疾患治療用に、眼に対する薬物の持続放出のために利用することもできる。
【0003】
感染症、炎症、緑内障、その他の眼疾患を治療するために、眼に薬物を投与することがしばしば必要になる。従来の薬物送達の方法は、眼の表面に局所適用することによるものである。眼は、この薬物投与表面経路に特に好適である。なぜなら、適切に構成された薬物は、角膜を通して浸透し、眼の内部で濃度を治療レベルに上昇させ、薬物の有益効果をもたらすことができるからである。実際の診療では、現在、眼に対する薬物送達方法の95%以上が点眼によるものである。経口又は注射による眼への薬物投与は、薬物があまりに低い濃度で眼に送達されるので望ましい薬理効果を得ることができないか、あるいは、その使用には顕著な全身性副作用を併発するため、稀である。
【0004】
点眼は、有効であるけれども、洗練されていない非効率的な方法である。点眼液を眼に差した場合、液は通常、結膜嚢(conjuctival sac)(眼と眼瞼との間のポケット)を満たして溢れ、眼瞼の隙間を溢れて頬に流れるため、点眼液のかなりの部分が失われることになる。加えて、眼の表面に残っている点眼液のかなりの部分が涙で洗い流され涙排水系に排出されるため、薬物濃度が希釈される。これらの機能によって角膜通過し得る前に薬物投与量の分配が失われるだけでなく、過剰な薬物が鼻及びのどへと運ばれ、全身循環に吸収されることがあり、これによって場合により重篤な全身性副作用が生じることがある。角膜に浸透するごく一部の点眼液中の薬物が、組織中初期ピーク濃度をもたらし、これは薬理学的初期効果をもたらすのに必要な濃度よりも高い。この組織中濃度は徐々に減少し、次の点眼予定の時刻に至る前に、組織中濃度及びその意図された薬理学的効果が低すぎるようになってしまう可能性がある。
【0005】
患者は多くの場合、点眼液を処方通りに使用しないことから、上記問題は更に複雑になる。このコンプライアンスの低下は、多くの場合、点眼による初期の刺痛感又は灼熱感に起因するものである。眼を保護するための正常な反射神経に一部起因して、使用者が自身の眼に点眼液を滴下することは確実に困難になり得る。高齢患者は、関節炎、不安定感、及び視力低下に起因し、点眼液の滴下が更に困難になる場合があり、並びに小児患者及び精神病患者群も同様に困難となる。したがって、涙点プラグは、眼に対する信頼できる効果的な薬物送達の問題解決のため、有効な手段を提供する。
【0006】
涙点プラグは、一時的なタイプ又は恒久的なタイプであり得る。一時的涙点プラグは通常、コラーゲン又は類似の材料で製造され、可溶性である。一時的涙点プラグは短時間の治療に使用することができ、あるいは、その挿入物を入れた状態にその個人がどのように反応するか(例えばその装置により過剰な涙が生じるなど)を評価するのに使用することができる。恒久的涙点プラグは長期間使用するためのものであり、随時除去することができる。恒久的涙点プラグには様々な種類が利用でき、適合する中で最大のサイズのものが、最大の効果をもたらす。恒久的涙点プラグは通常、シリコーンで作製される。
【0007】
涙点プラグは通常、涙点を通過し、かつ眼瞼の涙小管内に配置されるように寸法設定された本体部分を含む。この涙点プラグは更に、本体部分に連結され涙小管の外側に留まるよう寸法設定されたカラレットも含む。「涙点」及び「涙小管」という用語はしばしば互換可能な用語として使用されるが、本明細書においては、涙点は開口部を指し、涙小管は涙嚢に至る通路又はダクト状経路である。涙点プラグが眼に対する治療薬送達のために使用された場合、その本体部分には治療薬を保持するためのリザーバが含まれ得、カラレットは、リザーバと連通しており治療薬はそれを通して放出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
涙点プラグは小型である。例えば、涙点プラグは直径0.2〜0.4ミリメートルの範囲、長さは最長2.0ミリメートルであり得る。小型の装置は本質的に、大型の装置よりも製造が困難である。更に重要なこととして、小型装置を再現性のある信頼できる用法で製造することはいっそう困難である。したがって、現在使用されている技術に比べ、より効率的に、より高品質で、より再現性の高い涙点プラグを作製又は製造するための微小成形型及び技術に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の射出成形装置及び方法は、上に簡単に説明したような従来技術に伴う制限を克服する。
【0010】
一態様に基づき、本発明は射出成形装置を目的とする。この射出成形装置は、熱硬化性エラストマーの混合比1対1で混合済みの混合物のキャニスターを収容するためのチャンバを画定するカートリッジアセンブリと、コールドデッキノズルアセンブリであって、前記カートリッジアセンブリが一方向チェックバルブを介して前記コールドデッキノズルアセンブリに接続され、かつ前記キャニスターからの熱硬化性エラストマーを前記コールドデッキノズルアセンブリに注入するように構成され、前記コールドデッキノズルアセンブリが、前記カートリッジアセンブリと流体連通し、かつそれからの熱硬化性エラストマーを受容するように構成された内部通路を備えるマニフォールドブロックと、前記内部通路と流体連通したコールドデッキノズルとを含む、コールドデッキノズルアセンブリと、前記コールドデッキノズルアセンブリに直接的に接続された微小プランジャー射出アセンブリであって、前記微小プランジャー射出アセンブリが、ハウジング及びその中で可動のプランジャーを含み、前記プランジャーが、前記熱硬化性エラストマーを、前記コールドデッキノズルアセンブリの前記内部通路及び前記コールドデッキノズルを通して送るように構成され、単一射出に対する前記熱硬化性エラストマーの排除量が所望の射出重量と実質的に等しい、微小プランジャー射出アセンブリと、を含む。
【0011】
他の一態様において、本発明(inention)は構成品を射出成形するための方法(meyhod)を目的とする。この方法は、熱硬化性エラストマーの混合比1対1で混合済みの混合物を、熱硬化性エラストマーのキャニスターを保管しているカートリッジアセンブリから、コールドデッキノズルアセンブリの内部通路へと移動させることと、その熱硬化性エラストマーを、前記コールドデッキノズルアセンブリの内部通路及びコールドデッキノズルを通して送ることと、を含む、構成品を射出成形するための方法であって、単一射出に対する熱硬化性エラストマーの排除量が、前記構成品の所望の射出重量と実質的に等しい、方法である。
【0012】
本発明による微小シリコーン成形型取り付けプランジャー射出ユニット又はシステムは、コールドデッキシステムとして構成される。この微小シリコーン成形型取り付けプランジャー射出システムには、3つの主要構成品、すなわちシリコーンカートリッジアセンブリ、微小プランジャー射出アセンブリ、及びコールドデッキノズルアセンブリが含まれており、これらはすべて互いに直接的に相互接続されており、制御システムによって制御されている。
【0013】
本発明の微小シリコーン成形型取り付けプランジャーシステムは特に、シリコーンの流路を短縮し、これによって品質及び再現性が改善されると同時に、廃棄量が減少する。このシステムでは、射出ユニットが、コールドシャットオフノズルの非常に近くのシリコーン成形型内に組み込まれている。このシステムは大幅に縮小した材料流路の直径を有し、その直径はコールドノズルオリフィスの出口先端まで一定に保持される。これにより、大きな直径の材料流路から始まってシステムの流路長さにわたって低下する往復スクリューシステムとは違って、システム内に安定した一定圧力がもたらされる。実際の射出ストロークの最後の位置は、材料流路とコールドシャットオフノズルの接合部に位置する。この構造と、減少された材料流路容積により、材料流動中の材料圧縮及び圧力の変動が顕著に低減し、これによって射出ごとに優れた再現性が得られる。
【0014】
本発明の微小サイズの直接成形型取り付けシリコーンプランジャー装置は、数多くの利点をもたらし、これには、作動装置のサイズが小型であること、材料流路容積の低減、材料サブシステムにおける圧力変動の解消、射出プロセス中のバラツキの顕著な低減、単一カートリッジシステムであることによる材料廃棄量とコストの低減、及び装置全体を成形型に直接取り付けることによる機械の射出ユニットの削除が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の前述の及び他の特徴及び利点は、以下の付随する図面に示される本発明の好ましい実施態様のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図1】人間の目の涙排水系の解剖学的構造を示す図。
【図2】当該技術分野において既知の従来の涙点プラグの一例。
【図3】当該技術分野において既知の、1つ以上の治療薬放出のためのリザーバを含む、涙点プラグの一例。
【図4A】本発明による代表的な微小シリコーン成形型を取り付けたプランジャー射出ユニットの概略図。
【図4B】図4Aの代表的な微小シリコーン成形型を取り付けたプランジャー射出ユニットの、切断線A−Aに沿った断面図。
【図4C】図4Aの代表的な微小シリコーン成形型を取り付けたプランジャー射出ユニットの、別角度からの図。
【図5】本発明によるコールドデッキノズルアセンブリの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、人間の目100の排水系の解剖学的構造を示す。涙は、それぞれの目100の外側上方にある涙腺(図示なし)で生成される。涙は目100の表面を渡って流れ、涙湖102と呼ばれる浅い液だまりに至る。この涙湖は、上眼瞼と下眼瞼が出会う、目の内側又は鼻側の端にある。ここから涙は、各まぶたの小さな開口部を通して排水され、これら開口部は上涙点104及び下涙点106と呼ばれる。涙は、上涙点104及び下涙点106から、それぞれ上涙小管108及び下涙小管110へと通過し、これらは涙嚢112に至るダクト状経路である。涙嚢112は、鼻涙管(図示なし)の上方拡大部分であり、これは涙を鼻器官系へと排出する。上涙点104及びそれにつながる涙小管108は、通常、目100から涙の約10パーセントのみを排水させ、これにより、閉塞によって実質的に涙の溢出が起こらないようになっている。
【0017】
涙又は涙液膜は、3層からなっている。第一層又は下層は、眼をコーティングする層であり、杯状細胞と呼ばれる結膜中の細胞によって生成されるムチンを含んでいる。ムチンは眼の表面上及び表面内の微細な凹凸を充填し、明瞭な視覚を得るために重要である。涙液膜の第二層又は中層は主に水からなり、涙液膜の大部分を構成している。この水様成分の大半は、主涙腺又は涙腺から生成又は供給される。感情による涙及び反射性涙(すなわち、まぶしい光又は異物などの刺激の結果生じる涙)は、主涙腺に由来する。副涙腺(ウォルフガング・クラウス腺として知られる)は眼瞼組織内にあり、これも水様成分に寄与する。涙液膜の第三層又は上層は、マイボーム腺から分泌される油の薄層からなり、涙がすぐに蒸発してしまうのを防ぐ働きをする。
【0018】
涙の不足、いわゆる「ドライアイ」は、涙腺からの涙の生成量不足により起こる一般的な病状であり、これは乾燥、充血、灼熱感、反射性涙分泌、かゆみ、又は異物感などの症状を引き起こす。ドライアイの特に難しい症例では、涙点オクルーダー又は涙点プラグを、涙点104、106の一方又は両方に配置することができる(図1参照)。涙点プラグは、涙腺からの生成量が不足している涙が、涙小管108、110へと排水されるのを防ぐ。涙点プラグは麻酔なしで涙点に固定することができ、必要なときに容易に除去することができる。
【0019】
ここで図2には、代表的な涙点プラグ200が示されている。涙点オクルーダー又はプラグ200は、涙点104、106(図1)の外側に留まるよう構成されたカラレット202と、涙小管108、110(図1)内に閉塞するよう突出しているバルブ204と、カラレット202とバルブ204とを接続する本体部分206とを含む。市販されている涙点プラグは通常、長さが約2.0ミリメートルであり、形状はそれぞれわずかだけ異なっている。例えば、涙点プラグのバルブは涙小管からプラグが容易に外れてしまうのを防ぐ設計になっており、涙点内に挿入しやすいよう先細形状にできる。カラレットはプラグが涙小管内に完全に入り込んでしまうのを防ぐのに十分な直径を有する設計になっており、好ましくは目に対する刺激を最小限に抑えるために表面が滑らかである。様々な涙点プラグの本体部分も、設計上は類似であり、本質的にカラレットとバルブ部分との間を接続する非機能的部分である。カラレット202には、涙点プラグ200を涙点内に挿入する際にそれを把持又は固定するのに役立つよう、本体部分206内に延在している開口部208(点線で図示)が含まれてよい。涙点プラグの例は、米国特許第3,949,750号及び同第5,283,063号(Freeman)、米国特許第5,053,030号、同第5,171,270号、及び同第5,723,005号(Herrick)、米国特許第5,417,651号(Guena et al.)、及び米国特許第5,423,777号(Tajiri et al.)に見出され得る。
【0020】
これに加え、又は別の方法として、涙点オクルーダー又はプラグは、1つ以上の治療薬及び/又は薬剤を送達するのに使用することができる。図3は、眼科用インサート又は涙点プラグ300を示す。これは図2に示す従来の涙点プラグ200の形状を採用して、これにリザーバ310を組み込み(点線で図示)、薬剤を保持して眼の表面に放出するよう設計されている。リザーバ310は、脈動的及び連続的な方法を含め、任意の数の方法で薬剤を放出するよう構成することができる。加えて、リザーバは必要に応じて再充填することができる。前述の代表的な実施形態において、眼科用インサート又は涙点プラグ300には、カラレット302、バルブ304、及び本体部分306が含まれる。涙点プラグ300は、リザーバ310を充填する薬剤に対して不浸透性の、シリコーンなどの可撓性材料から成形又は他の方法で形成することができる。本明細書にはシリコーンが記述されているが、任意の好適な生体適合性材料を使用し得ることに留意することが重要である。リザーバ310は、プラグ300の本体部分306の内部を貫通するチャネルによって形成することができる。代表的な一実施形態において、本体部分306は可撓性であってよく、又は薬剤を充填した際に長さ方向に膨張する機能を提供するようアコーディオン形状であってもよい。カラレット302はプラグ300を涙点104及び106(図1参照)の外側に固定し、リザーバ310と流体連通している開口部308を備えて提供され得る。具体的な薬剤の送達を制御するために、開口部308の形状は様々な方法でカスタマイズすることができる。例えば、開口部308は、一定に維持された放出速度、脈動的放出速度、指数関数的放出速度、及び/又はこれらの任意の組み合わせで薬剤を放出するよう設計することができる。薬剤はリザーバ310から開口部308を通して涙湖の涙中に放出され、ここで点眼液と同様に、薬剤が涙と混合され、眼に浸透して、意図された薬理学的及び治療的効果をもたらす。必須要件ではないが、涙点プラグ300は図示のように、涙小管内の位置にプラグ300を固定するのに役立ち、またリザーバの追加容積を提供するのに役立つよう、広がったバルブ304を含み得る。この種の涙点プラグの一例が、米国特許第6,196,993号(Cohan etal.)に記載されている。
【0021】
涙点プラグは、望ましい機能性及び/又は送達する薬剤に応じて、任意の数の形状、寸法であってよく、また任意の数の材料から形成され得る。
【0022】
上述のように、涙点プラグは任意の寸法及び形状であり得る。典型的には、涙点プラグの本体は細長い円筒形であり、長さは約0.8mm〜約5mmの範囲で変化してよく、幅は約0.2mm〜約3mmの範囲で変化してよい。薬剤又は薬物の放出のための開口部の大きさは、約1nm〜約2.5mmの範囲であり得る。任意の1つの位置における1つの大きい開口部の代わりに、多数の小さい開口部を用いてもよい。涙点プラグの本体は、全体的に又は部分的に透明又は不透明であってもよい。場合により、本体は、涙点内に配置された際に、プラグを見ることが容易なように色付け又は顔料を含んでもよい。
【0023】
涙点プラグは、シリコーン、シリコーン混合物、シリコーンコポリマー(例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート(polyhdroxyethlmethacrylate)、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びグリセロールの親水性モノマー)、並びにシリコーンヒドロゲルポリマーを含む任意の数の好適な生体適合性材料で製造することができ、例えば米国特許第5,962,548号、同第6,020,445号、同第6,099,852号、同第6,367,929号、及び同第6,822,016号に記述されているものが挙げられる。他の好適な生体適合性物質としては、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリル酸、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、リン脂質(例えばホスホリルコリン誘導体等)、ポリスルホベタイン、アクリル酸エステル、多糖類及び炭水化物(例えばヒアルロン酸、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ジェランガム、グアーガム、ヘパラン硫酸(heparin sulfate)、コンドロイチン硫酸、ヘパリン及びアルギネート等)、タンパク質(例えばゼラチン、コラーゲン、アルブミン及びオボアルブミン(ovalbunin)等)、ポリアミノ酸、フッ素化ポリマー(例えばポリフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン(polyvinylidine fluoride)等)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、並びにエチレン−co−ビニルアセテートが挙げられる。
【0024】
涙点プラグの外側表面は、数多くの様々な生体適合性コーティングで全体又は一部をコーティングすることができる。このコーティングは数多くの利点をもたらす可能性があり、この利点には例えば、装置を挿入する際に役立つ潤滑性、組織適合性を向上させる粘膜接着性、装置を固定するのに役立つ表面構造、及び/又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な生体適合性コーティングには、ゼラチン、コラーゲン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ヘパリン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、合成及び天然タンパク質、多糖類、チオメン(thiomen)、ポリアクリル酸及びキトサンのチオール酸誘導体、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(carboxymethal cellulose)、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0025】
特定の治療薬又は薬剤では、反応を起こす可能性や、涙点プラグの壁を通って活性治療薬が誤って漏出する可能性があるため、涙点プラグ内のリザーバから放出される材料を含む治療薬と、リザーバを画定する壁の内面との間に、バリア層を形成することが望ましい場合があることが見出されている。更に、リザーバ内の治療薬の保持には、涙点プラグの幾何学的形状の選択、あるいは様々な固定機能の追加が役立つ可能性があることが見出されている。例えば、リザーバには、リザーバ内に特定の治療薬を必ずしもしっかり保持しない、単純な円筒形構造が含まれ得る。換言すれば、この形状は(たとえプライマー層又は接着層を備えていても)その薬剤を定位置にしっかりと固定しなくともよい。したがって、リザーバの形状は、薬剤を保持するための突起又は凹部を含むよう改変することができる。このような形状の変化は、単独で、あるいは様々なバリア層、接着剤層、及び/又はプライマー層と組み合わせて、利用することができる。換言すれば、形状及びコーティングの様々な組み合わせを利用して、必要に応じて薬物を保持し、あるいは薬物を押し出すことができる。例えば、バリア層を涙点プラグの外側表面に配置して、涙点プラグの本体内にある治療薬の拡散を阻止し、かつ治療薬を収納するリザーバに涙が浸出するのを阻止することができる。加えて、涙点プラグの形状を変化させて、涙小管内によりよくフィットさせることができる。
【0026】
涙点プラグの製造プロセスは、当該技術分野において既知である。一般的には、涙点プラグは射出成形、注型成形、トランスファー成形、鍛造、エンボス加工、等によって製造される。好ましくは、装置を製造した後、リザーバには1つ以上の活性薬剤が(他の材料と共に、又は他の材料を伴わずに)充填される。活性薬剤及び他の構成成分(例えば賦形剤)の量は、選択されている活性薬剤、望ましい放出速度、及び治療薬の融点などを含む、数多くの要素によって異なってくる。好ましくは、使用される量は、治療的有効量、すなわち所望の治療、抑制又は予防効果を達成するのに有効な量が好ましい。
【0027】
本発明は、薬物送達装置、すなわちリザーバを備えた涙点オクルーダー又は涙点プラグを製造するための、新しいシリコーン成形型及びプランジャー射出ユニットを利用した、自動的なミニチュアサイズのシリコーン成形セルを目的とする。涙点プラグ(punctual plugs)の製造に加え、この射出ユニットを利用して、シリコーンなどの熱硬化性エラストマーで、涙点プラグ(punctual plugs)の構成品並びに非常に小さい機器を製造することができる。
【0028】
医療、エレクトロニクス、パッケージング、及び自動車業界におけるシリコーン成形品の利用は数多くの要因により増加している。この要因には、その硬度範囲(5〜90ジュロ硬度)、不活性、無臭、無味、低アレルギー性であるという事実、可撓性でありかつ耐久性があること、特殊な特性向けに配合が可能であることが挙げられる。しかしながら、シリコーンゴムの射出成形は、従来の熱可塑性樹脂の射出成形とは異なっている。熱可塑性樹脂で構成部品を成形するには、熱可塑性樹脂を加熱して、低温の成形型に射出する必要がある。シリコーンゴムで構成品を成形するには、液体のシリコーンゴムを低温に保ってから、加熱した成形型に射出する必要がある。シリコーン成形型の設計と製造も、熱可塑性樹脂用の成形型とは異なっている。後で詳しく記述されるように、コールドデッキ又はコールド成形型デッキでは、同じ液圧で一定の温度特性を保ち、各成形空洞にシリコーンゴムを等しく分配することが可能になる。
【0029】
シリコーン又は液体シリコーンゴムの射出成形は、柔軟で耐久性のある構成品を大量に製造又は作製するのに利用されるプロセスである。シリコーン又は液体シリコーンゴムは、高純度の白金硬化シリコーンであり、圧縮永久ひずみが少なく、安定性に優れ、高温と低温両方の極度の温度に耐えることができる。例えば医療装置など、高品質が重要であるような構成品又は機器の製造に、理想的に適している。シリコーンは熱硬化性であるため、液体シリコーン射出成形には特別な処置が必要であり、例えばシリコーンを低温に保ちながら集約的に配分混合を行ってから、加熱した成形空洞又は成形型に射出し、加硫処理しなければならない。
【0030】
化学的には、シリコーンゴムは熱硬化性エラストマーの仲間であり、ケイ素原子と酸素原子が交互に配置される主鎖と、メチル側基又はビニル側基とを含む。シリコーンゴムは、約30%のシリコーン成分を含む。
【0031】
典型的な液体シリコーン射出成形機器又はシステムには、インジェクター、計量装置、供給ドラム、ミキサー、ノズル、少なくとも1つの成形型クランプ、及び成形型など、数多くの機能的構成部品が含まれる。インジェクター又は射出装置は、液体シリコーンに圧力をかけて、成形型の空洞にシリコーンを射出するのを円滑にする役目をする。圧力と射出速度は、様々な望ましい結果を達成するよう、自動及び/又は手動で調節することができる。計量装置は2つの主な液体材料、すなわち母体形成シリコーンと触媒とをポンプで押し出し、これによってこの2つの材料が所定の一定比率を確実に維持し、かつ同時に放出されるようにする。供給ドラムは未混合材料の主容器の役目を果たす。この供給ドラム及び他の容器(例えば、着色材料を保持する容器)が、システムの主ポンプ部分に接続される。静的及び/又は動的ミキサーが、計量装置から出て来た材料を混ぜ合わせる。静的ミキサーは通常、類似の粘度を有する混合要素を単純な混合比で混合する場合に利用され、動的ミキサーは通常、粘度が大きく異なる混合要素を極端な混合比で混合する場合に利用される。混合した後、圧力を使用してこの混合物を射出ユニットに押し込み、装着されているノズルを通して、所定の成形型へと射出させる。通常、このノズルには自動及び/又は手動のシャットオフバルブが含まれ、成形型の漏れ及び溢出を防いでいる。成形型クランプはこの射出成形プロセス中に成形型を固定し、プロセス完了時に成形型を開けるのに使用される。
【0032】
上で簡単に述べたように、部品又は構成品のシリコーン成形には、液体シリコーンゴムを低温(華氏60〜77度)に維持してから、加熱した成形型(華氏340〜410度)に射出することが必要になる。ランナーレス成形型システム又はコールドデッキは、同じ液圧と一定の温度特性で、各成形空洞に材料を等しく分配することを可能にする装置である。このプロセスで利用される原材料は、通常は静的ミキサーを用いて、1対1の比率で混合される。構成成分が接触するとすぐに硬化プロセスが開始する。したがって、加熱された成形型に材料を導入する前に、冷間押し込みを利用して硬化プロセスを遅らせる。本質的に、1対1混合の構成要素をポンプでコールドデッキに通し、更に加熱された成形空洞へと送り込んで、ここで加硫処理が行われる。射出が部品、成形空洞又は成形型内に直接行われる際に、コールドデッキ及び全体的な冷却によって、材料の損失が最小に抑えられる。この冷却プロセスにより、実質的にバルブゲート廃棄材料がゼロで、液体シリコーンゴム部品を製造することが可能になる。
【0033】
従来のシリコーン射出成形機器では、例えば涙点プラグ又は涙点プラグ(punctual plugs)の構成部品のような、微小サイズの構成品のシリコーン射出成形は、構成品の体積と材料流量との間のバランスが悪いいために困難である。換言すれば、従来の成形装置における材料流路内での大量の材料は、微小サイズの構成品の体積よりはるかに大きいため、充填された空洞と充填されていない空洞とを区別する制御システムの能力が無くなってしまう。
【0034】
本発明は、コールドデッキノズルを備えたシリコーン成形型の中又は上に直接取り付けられる、微小サイズの、プランジャータイプのシリコーン射出ユニットを目的とする。代表的な射出ユニットには、一方向チェックバルブを通して、混合済みのシリコーンを直接、プランジャーユニット及びコールドデッキ成形型のコールドシャットオフノズル内に送り込む、単一材料カートリッジが含まれる。材料流路内に取り付けられ(詳細は後述)、装置の制御システムに有線接続された圧力センサー/変換器は、射出シーケンス及び射出ユニットを通過する材料流動を監視し制御する。プランジャーユニットは、電気モーター、空気圧駆動機器、又はその他の任意の手段を含むことができ、これらの機器は、センサー/変換器からのフィードバック信号に基づく射出ユニットの制御システムからの信号によって作動する。プランジャーユニットはコールドノズルシャットオフバルブと連動して作動し、従来型の射出機器/プロセスに見られるもののようなスクリューの位置又は時間のようなものではなく、圧力検出によって成形型空洞充填を制御する。したがって本発明は、周辺装置の材料ポンプステーション、長い材料供給ライン、及び従来型機械の射出ユニットの必要性をなくす。
【0035】
本質的に、本発明の射出ユニットは、涙点プラグ、涙点プラグ構成品、及び/又はその他の微小サイズ機器の微小シリコーン成形に関連する成形プロセスを単純化する。本明細書に記述される代表的な射出ユニットはシリコーンを利用しているが、本発明は、射出成形可能な涙点プラグに好適であり、かつ上述の理由のためシリコーン及び/又はその他の熱硬化性エラストマーと類似の成形特性を有するような、任意の材料に利用できることに留意することが重要である。そのような装置の性能において重要なのは、涙点プラグの機械的属性と性能属性を損うことのない、射出ごとの再現性である。成形ツールの設計と構築は、部品の一貫性と形状を強化かつ最適化するのに必須である。本発明はツール及び機器のミニチュア化のみに基づくのではなく、複雑さを低減し、自由度を減らし、プロセス変動を低減することにも基づいた、単純かつ説得力のあるプロセスソリューションを提供する。
【0036】
従来の技術では、大容量成形空洞(すなわち充填する空洞の数が多いという意味で大容量)を使用し、サイクルごとの体積制御を補償している。これは、材料の体積及び位置についてある程度の正確さを備えた制御を行うのに必要な、可塑化装置/往復運動モジュールに由来する材料の大容量の計量を解決することによって達成される。これにより、排除量と射出の正確さを制御したい場合、非常に少ない射出量では制御が極めて難しくなる(変動は、成形型の変動と共に指数法則により説明されるように増大する)。現行技術のプロセスフローは、簡潔に次のように記述される:第1工程で、シリコーン架橋剤及び可塑剤を、混合ステーション内で静的及び/又は動的に混合する。第2工程で、この混合物が、混合ステーションから複雑なホースのネットワークを介して、計量/往復運動可塑化装置へとポンプ供給される。第3工程で、材料を計量し、位置及びスクリュー回転によって吐出量が決定される。第4工程で、計量された材料が、分離のためマニフォールド内に射出される。第5工程で、マニフォールド内の材料を等量に分け、コールド成形型デッキに送り込まれる。コールドデッキは、同じ液圧と一定の温度特性で、各成形空洞に材料を等しく分配することを可能にする。第6工程で、コールドデッキ内にある材料が成形空洞に射出される。
【0037】
本発明による射出ユニット又は射出システムではより単純化されており、コールドデッキに直接取り付けられたプランジャーユニットを含んでおり、これによって材料流路が大幅に短くなっている。位置と射出量は、ファインピッチ位置スクリュー又はDC位置サーボドライブを利用して正確に制御することができる。成形空洞も、コールドデッキのノズルに直接取り付けられている。本発明によるプロセスフローは、簡潔に次のように記述される:第1工程で、シリコーンの混合物(通常は1対1)を、0.5リットル又は1/2リッターのカートリッジに入れる。第2工程で、この0.5リットルカートリッジをプランジャー装置に直接取り付ける。この直接取り付け構造によって、ホースからの空気混入がなく、短い流路が確立される。第3工程で、シリコーンをコールドデッキドロップ内に正確に配置/計量する。最後の工程で、シリコーンが成形空洞に射出される。このプロセスのより詳しい説明は、下記に記述される。
【0038】
本発明のシステムでは、上述の従来型システムに比べ、非常に少ない射出量を、少ない変動で、プロセス全体にわたってより高い正確さを実現することができる。コールドデッキに直接注入することで、高圧充填及び硬化サイクル中の材料の圧縮性、圧力、部品形状及び温度をより良く制御することができ、非常に正確な射出設計技術が得られる。プランジャーの制御論理シーケンスにより、カートリッジから出たシリコーンが、レギュレーター制御された空気圧によって、一方通行チェックバルブを通してプランジャーユニットへと送り込まれる。次に、信号を受けると、プランジャーとノズルバルブが同時に開き、プランジャーロッドが所定量のシリコーンを供給チャネルを通して成形型へと送り、次にノズルバルブが閉じ、プランジャーが射出再充填位置へと引き戻される。これは、約80kPa(0.8bar)のレギュレーター制御空気圧によって達成される。プランジャーユニットは、ねじ、及びデジタルマイクロメータ又はリニアエンコーダーによる微小ストローク位置調整を備えた、直径3mmのプランジャーを含む。このプランジャーユニットは、修理及びオーバーホールが簡単な独立型装置である。ここに記述及び図示されている装置は、ピストン制御及び数々の他の機能が空気圧になっているが、他の好適な代替手段も利用できることに留意することが重要である。
【0039】
図4A、4B及び4Cを参照し、ここには本発明による代表的な微小シリコーン成形型を取り付けたプランジャー射出ユニット又はシステム400が図示されている。図4Bは、図4Aに図示されているシステム400の切断線A−Aに沿った断面図であり、図4Cは図4Aに図示されているシステム400の別角度からの図である。システム400全体がコールドデッキシステムとして構成されており、主に3つの構成部品、すなわち、シリコーンカートリッジアセンブリ402、微小プランジャー射出アセンブリ404、及びコールドデッキノズルアセンブリ406が含まれている。
【0040】
シリコーンカートリッジアセンブリ402は、少なくとも1つのねじ付きコネクター410と空気圧接続ポート412とを備えた、円筒形キャニスター408を含む。シリコーンカートリッジアセンブリ402は、チェックバルブ416を含む単純な配管414を介してコールドデッキノズルアセンブリ406に接続されている。チェックバルブ416は、下記で詳しく述べられるように、システム内で圧縮された材料の背圧、すなわちシリコーンをシリコーンカートリッジアセンブリ402に押し戻そうとするのを防ぐ。シリコーンカートリッジアセンブリ402は、ブラケット418を介して微小プランジャー射出アセンブリ404に固定されている。混合済み1対1(1:1)シリコーン混合物を収容した容器(図示なし)は、円筒形キャニスター408内に配置され、これによってポート412からの空気圧が、制御された方法で、チェックバルブ416を通して、微小プランジャー射出アセンブリ404/コールドデッキノズルアセンブリ406の内部通路420へと、シリコーン混合物を押し出す。制御システム500は、後で詳しく記述されるように、システム400を通過するシリコーンの移動のタイミングを制御及び調整する。シリコーンカートリッジアセンブリ402からシリコーンを押し出す又は送るには空気圧が利用されているが、任意の他の好適な方法も利用することができる。
【0041】
微小プランジャー射出アセンブリ404はハウジング422を含み、この中をプランジャーロッド424が動く。このプランジャーロッド424は、制御システム500の指令に基づいて、コールドデッキノズルアセンブリ406の内部通路420を通してシリコーンを押し出すのに利用される。プランジャーロッド424のサイズは0.5mmから6.5mmまで様々であり、内部通路又は穴420はこれに合わせて寸法が定められる。プランジャーシールパック426は、様々なサイズ(0.5mm〜6.5mm)のプランジャーロッド424を密封する。ハウジング422はプランジャーロッド424を包囲し、固定する。プランジャーロッド424は、電気サーボモーター又は他の任意の好適な手段を介して、空気圧により駆動され得る。図示されている代表的な一実施形態において、プランジャーロッド424は2つの空気圧ポート428及び430を介して空気圧により駆動される。制御システム500からのコマンドによりポート428に圧力がかかると、プランジャーロッド424が前進して、コールドデッキノズルアセンブリ406を通して成形空洞(図示なし)へとシリコーンを送る。この射出は、コールドノズルアセンブリ406の操作にタイミングが合わせられる。制御システム500からのコマンドによりポート430に圧力がかかると、プランジャーロッド424が後退し、シリコーンが材料チャネルに入り、コールドデッキノズルアセンブリ406を通して移動し、システム400が再充填され、部品を形成するための次のシリコーン注入又は射出を実行する準備が整う。プランジャーロッドピストンOリング432は、プランジャーロッドインジケーターフラッグ434の近くの、プランジャーロッド424の回りに配置される。射出アジャスター438に接続された射出調節ノブ436は、空洞成形金型に射出されるシリコーン射出量の容積を設定又は微調節するのに使用できる。換言すれば、射出アジャスター438を利用して、1回の射出でのコールドデッキノズルアセンブリ406から押し出されるシリコーンのマイクログラム数を設定することができる。射出アジャスター438は、ハウジング422に取り付けられているねじ付きロックナット440を通しており、これによって、ノブ436を単に回すことによって、プランジャーロッド424の有効行程に基づき、より多くの、又はより少ないシリコーンが押し出され得る。上述のように、この代表的な実施形態におけるプランジャーロッド424は、直径3mm、射出ストローク長さは射出アジャスター438及びロックナット440により調節可能であり、これらは両方ともに精密な調節のために微細なねじがある。内部穴又は内部通路420(この中をシリコーンが流れてコールドノズル448に至る)を備えたマニフォールドブロック442は、微小プランジャー射出アセンブリ404の、射出アジャスター438側とは反対側の端に取り付けられる。
【0042】
コールドデッキノズルアセンブリ406はシリコーンカートリッジアセンブリ402と微小プランジャー射出アセンブリ404の両方に直接接続されている。コールドデッキノズルアセンブリ406には、ノズル保持台444、コールドノズル保持ブロック446及びコールドノズル448が含まれる。コールドノズル448には、2つの空気圧流入ポート450及び452が含まれ、これらが、内部バルブの制御を行い(詳細は後述)、コールドノズル448を開閉する。制御装置(controller)500からの制御信号が、射出送達のためにノズル448を開き、射出送達後又は射出の合間にはノズル448を閉じる。前述同様、ノズル448を開閉するには、他の任意の好適な方法を利用することができる。コールドデッキノズルアセンブリ406は更に、水循環ポート454を含み、これがシリコーンの温度を最適な作業温度に保つために、コールドデッキノズルアセンブリ406に冷水を供給する。この水は、摂氏約17度〜20度の温度範囲にシリコーンを維持するために利用される。圧力センサー/変換器456が、コールドノズル448とは反対側の内部通路420の線上に取り付けられる。上述のように、圧力センサー/変換器456は制御システム500に有線で接続されており、システム400全体の射出シーケンスと材料の流れを制御する。Oリングシール458a、458b及び458cは、コールドノズル448の周囲に配置され、シリコーンが水に接触するのを防いでいる。
【0043】
図5はコールドノズル448の細部拡大図である。図示のように、Oリングシール458a、458b及び458cはコールドノズル448の溝内に配置され、シリコーン材料の流れと冷却水チャネルとの間の密封分離を提供している。シリコーン材料はOリング458bと458cの間にあるオリフィス又は開口部460を通してコールドノズルに入り、シャットオフバルブ又はピン462の周囲を上っていく。水はOリング458aと458bの間にあるチャネル464を通してコールドノズル448に入り、ノズルアセンブリ448の細長い部分466の内側周囲を上昇し、次に下降する。アセンブリの大きな本体部分468にはノズルシャットオフピンピストンアセンブリが含まれ、これがノズル448を開閉する。上述のように、空気圧流入ポート450及び452は、ノズル448を開閉するための空気圧を供給する。
【0044】
代表的な微小シリコーン成形型取り付けプランジャーユニット又はシステム400は、下記に詳しく述べるように機能する。部品又は構成品を成形する際、シリコーンカートリッジアセンブリ402からのシリコーンが、制御装置500により調節されている制御空気圧によって、微小プランジャー射出アセンブリ404へと送られる。内部穴又は内部通路420内にあるシリコーンは、制御システム500からのコマンドにより、コールドデッキノズルアセンブリ406のコールドノズル448を通過して、成形空洞へと送られる。制御装置のシステム500は、好ましい手順に従ってプロセス全体を稼働させるようプログラムされる。制御システム500はフィードバックベースのシステムであり、これはマイクロコントローラーの使用によるものを含め、任意の好適な方法で実施することができる。制御装置のシステム500は、好ましい手順に従ってプロセス全体を稼働させるようプログラムされる。制御システム500はフィードバックシステムであり、これはマイクロコントローラーの使用を含め、任意の好適な方法で実施することができる。本明細書で示されているように、射出量はプランジャーロッド424のストロークによって決定され、これは射出アジャスター438によって手動で調節するか、又はコントローラーからサーボドライブに対して調節することができる。コールドノズル448からのシリコーン流動自体も、コールドノズルバルブを介して制御システム500によって制御される。
【0045】
下の表1は、本発明のシステム400の排除量をまとめたものである。示されているように、ストローク30mmの場合、1回の射出でシリコーン排除量は0.236cm(0.0144立方インチ)又は0.211グラムである。比較のため、表1には現在使用されている直径12mmの往復運動スクリュー装置での排除量もまとめられている。往復運動システムでストローク30mmの場合、シリコーン排除量は3.390cm(0.2069立方インチ)又は3.3905グラムである。これは射出1回のシリコーンの14.3倍である。容易にわかるように、現在利用されている往復運動スクリュー装置に関連する材料圧縮に顕著な増加があり、これが材料流量の変動をもたらす。往復運動スクリューシステムは、シリコーン成形型とは独立しているため、システム内の材料流動距離が増す。ここで、シリコーンはバレル上の材料流入ポートから流れなければならず、スクリュー先端部の前方に圧縮されるまで、スクリューに沿ってらせん状に前進(augured)しなければならない。ここから、材料は機械のノズルを通り抜けて成形型に流入し、各成形空洞に均等に分配されなければならない。このシステム全体が材料の圧縮性の対象であり、これがすなわち材料の圧力及び流量の変動と同じである。
【0046】
本発明の代表的な微小シリコーン成形型取り付けプランジャーユニット又はシステム400は特に、シリコーンの流路を短縮し、これによって品質及び再現性が改善されると同時に、廃棄量が減少される。このシステムでは、射出ユニットがシリコーン成形型内に、コールドシャットオフノズルの非常に近くに組み込まれている。このシステムは材料の流動チャネル直径を大幅に縮小し、コールドノズルオリフィスの出口先端まで一定に保持される。これにより、直径12mmの材料チャネルから始まってシステムの流路長さにわたって低下する往復運動スクリューシステムとは違って、システム内に安定した一定圧力がもたらされる。実際の射出ストロークの最後の位置は、材料流動チャネルとコールドシャットオフノズルの接合部に位置する。この構造と、縮小された材料チャネル容積により、材料流動中の材料圧縮及び圧力の変動が顕著に低減し、これによって、射出ごとに優れた再現性が得られる。
【0047】
表1に示されているように、射出1回の材料排除量は0.211グラムであり、これは望ましい合計射出重量0.218グラムに実質的に等しい。これは、直接接続と非常に短い流路が得られている、本発明の設計によってのみ達成可能である。微小プランジャー射出アセンブリをコールドデッキノズルアセンブリに直接接続した状態で、プランジャーロッドは、熱硬化性エラストマーであるシリコーンを、コールドデッキノズルアセンブリの内側通路又は穴を通してコールドデッキノズルに送る。
【表1】

【0048】
ここで図示及び説明した実施形態は、最も実用的で好適な実施形態と考えられるが、当業者であれば、ここに図示及び開示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、記載され、例示された特定の構造に限定されないが、添付した特許請求の範囲内に入り得るすべての変更例と一致するように構成されるべきである。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 熱硬化性エラストマーの混合比1対1で混合済みの混合物のキャニスターを収容するためのチャンバを画定するカートリッジアセンブリと、
コールドデッキノズルアセンブリであって、前記カートリッジアセンブリが、一方向チェックバルブを介して前記コールドデッキノズルアセンブリに接続され、かつ前記キャニスターからの熱硬化性エラストマーを前記コールドデッキノズルアセンブリに注入するように構成され、前記コールドデッキノズルアセンブリが、前記カートリッジアセンブリと流体連通し、かつそれからの熱硬化性エラストマーを受容するように構成された内部通路を備えるマニフォールドブロックと、前記内部通路と流体連通したコールドデッキノズルとを含む、コールドデッキノズルアセンブリと、
前記コールドデッキノズルアセンブリに直接的に接続された微小プランジャー射出アセンブリであって、前記微小プランジャー射出アセンブリが、ハウジング及びその中で可動のプランジャーを含み、前記プランジャーが、前記熱硬化性エラストマーを、前記コールドデッキノズルアセンブリの前記内部通路及び前記コールドデッキノズルを通して送るように構成され、単一射出に対する前記熱硬化性エラストマーの排除量が所望の射出重量と実質的に等しい、微小プランジャー射出アセンブリと、を含む、射出成形装置。
(2) 前記カートリッジアセンブリの前記チャンバが、前記キャニスターの挿入又は除去の少なくともいずれか一方のための取り外し可能部分を有する、実質的に管状の部材を含む、実施態様1に記載の射出成形装置。
(3) 前記カートリッジアセンブリが、前記コールドデッキノズルアセンブリ内に前記熱硬化性エラストマーを送るための機構を更に含む、実施態様2に記載の射出成形装置。
(4) 前記コールドデッキノズルアセンブリが、ノズル保持台、コールドノズル保持ブロック、及び冷却機構を更に含み、前記ノズル保持台及び前記コールドノズル保持ブロックが、前記コールドデッキノズルを定位置に固定し、かつ前記コールドデッキノズルと前記マニフォールドブロックの前記内部通路との間の流体連通を可能にしている、実施態様3に記載の射出成形装置。
(5) 前記冷却機構が、冷却水を循環させるための一連の通路を含む、実施態様4に記載の射出成形装置。
(6) 前記微小プランジャー射出アセンブリが、前記プランジャーと動作可能に関連するプランジャー密閉パックと、前記コールドデッキノズルアセンブリの前記内部通路及び前記コールドデッキノズルを通して再充填位置まで前記熱硬化性エラストマーを送るように前記プランジャーを動かすための構造とを更に含む、実施態様5に記載の射出成形装置。
(7) 前記微小プランジャー射出ユニットが、所与の射出用のストローク長を設定するための射出ストローク調節機構を更に含む、実施態様6に記載の射出成形装置。
(8) 前記コールドデッキノズルが、前記コールドデッキノズルを開閉するためのバルブを含む、実施態様7に記載の射出成形装置。
(9) 前記装置が、前記カートリッジアセンブリ、前記コールドデッキノズルアセンブリ、及び前記微小プランジャー射出アセンブリのうち少なくとも1つの動作を制御するための制御システムを更に含む、実施態様1に記載の射出成形装置。
(10) 熱硬化性エラストマーの混合比1対1で混合済みの混合物を、前記熱硬化性エラストマーのキャニスターを保管しているカートリッジアセンブリから、コールドデッキノズルアセンブリの内部通路へと移動させることと、
前記熱硬化性エラストマーを、前記コールドデッキノズルアセンブリの前記内部通路及びコールドデッキノズルを通して送ることと、を含む、構成品を射出成形するための方法であって、単一射出に対する前記熱硬化性エラストマーの排除量が、前記構成品の所望の射出重量に実質的に等しい、前記方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性エラストマーの混合比1対1で混合済みの混合物のキャニスターを収容するためのチャンバを画定するカートリッジアセンブリと、
コールドデッキノズルアセンブリであって、前記カートリッジアセンブリが、一方向チェックバルブを介して前記コールドデッキノズルアセンブリに接続され、かつ前記キャニスターからの熱硬化性エラストマーを前記コールドデッキノズルアセンブリに注入するように構成され、前記コールドデッキノズルアセンブリが、前記カートリッジアセンブリと流体連通し、かつそれからの熱硬化性エラストマーを受容するように構成された内部通路を備えるマニフォールドブロックと、前記内部通路と流体連通したコールドデッキノズルとを含む、コールドデッキノズルアセンブリと、
前記コールドデッキノズルアセンブリに直接的に接続された微小プランジャー射出アセンブリであって、前記微小プランジャー射出アセンブリが、ハウジング及びその中で可動のプランジャーを含み、前記プランジャーが、前記熱硬化性エラストマーを、前記コールドデッキノズルアセンブリの前記内部通路及び前記コールドデッキノズルを通して送るように構成され、単一射出に対する前記熱硬化性エラストマーの排除量が所望の射出重量と実質的に等しい、微小プランジャー射出アセンブリと、を含む、射出成形装置。
【請求項2】
前記カートリッジアセンブリの前記チャンバが、前記キャニスターの挿入又は除去の少なくともいずれか一方のための取り外し可能部分を有する、実質的に管状の部材を含む、請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項3】
前記カートリッジアセンブリが、前記コールドデッキノズルアセンブリ内に前記熱硬化性エラストマーを送るための機構を更に含む、請求項2に記載の射出成形装置。
【請求項4】
前記コールドデッキノズルアセンブリが、ノズル保持台、コールドノズル保持ブロック、及び冷却機構を更に含み、前記ノズル保持台及び前記コールドノズル保持ブロックが、前記コールドデッキノズルを定位置に固定し、かつ前記コールドデッキノズルと前記マニフォールドブロックの前記内部通路との間の流体連通を可能にしている、請求項3に記載の射出成形装置。
【請求項5】
前記冷却機構が、冷却水を循環させるための一連の通路を含む、請求項4に記載の射出成形装置。
【請求項6】
前記微小プランジャー射出アセンブリが、前記プランジャーと動作可能に関連するプランジャー密閉パックと、前記コールドデッキノズルアセンブリの前記内部通路及び前記コールドデッキノズルを通して再充填位置まで前記熱硬化性エラストマーを送るように前記プランジャーを動かすための構造とを更に含む、請求項5に記載の射出成形装置。
【請求項7】
前記微小プランジャー射出ユニットが、所与の射出用のストローク長を設定するための射出ストローク調節機構を更に含む、請求項6に記載の射出成形装置。
【請求項8】
前記コールドデッキノズルが、前記コールドデッキノズルを開閉するためのバルブを含む、請求項7に記載の射出成形装置。
【請求項9】
前記装置が、前記カートリッジアセンブリ、前記コールドデッキノズルアセンブリ、及び前記微小プランジャー射出アセンブリのうち少なくとも1つの動作を制御するための制御システムを更に含む、請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項10】
熱硬化性エラストマーの混合比1対1で混合済みの混合物を、前記熱硬化性エラストマーのキャニスターを保管しているカートリッジアセンブリから、コールドデッキノズルアセンブリの内部通路へと移動させることと、
前記熱硬化性エラストマーを、前記コールドデッキノズルアセンブリの前記内部通路及びコールドデッキノズルを通して送ることと、を含む、構成品を射出成形するための方法であって、単一射出に対する前記熱硬化性エラストマーの排除量が、前記構成品の所望の射出重量に実質的に等しい、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−111983(P2013−111983A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−260675(P2012−260675)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【出願人】(591175675)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】