説明

射出成形方法

【課題】混練押出機を用いずに、射出成形装置で直接材料を溶融することで、樹脂の性能が劣化してしまうことなく、また、射出成形装置に材料のブロッキングが発生することを防止することができる射出成形方法を提供することができる。
【解決手段】少なくとも、ベース樹脂50と、常温で液体の有機化合物52と、無機充填剤54と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練し溶融する射出成形方法であって、材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有し、該工程では、ベース樹脂50に有機化合物52を最初に混合し、その後に無機充填剤54とその他の成分58を加えて混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形方法に関し、より詳細には、少なくとも、ベース樹脂と、常温で固体であって融点が24〜80℃の有機化合物と、無機充填剤と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練して溶融する射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形に使用される樹脂成形材料としては、従来から石油系樹脂が主として使用されていたが、大気汚染、地球温暖化、オゾン層破壊といった問題が顕在化しており、この対策として循環型の省エネルギー社会を構築する試みがなされている。その1つとして、石油系樹脂の成形材料から生物由来の植物系樹脂の成形材料への転換が図られている。
【0003】
植物系の樹脂成形材料としては、いわゆるバイオマス樹脂(バイオマスプラスチック又はバイオプラスチックとも称す)があり、これを成形材料として種々の製品を製造する試みがなされている。
【0004】
バイオマス樹脂の代表例としては、ポリ乳酸(ポリ乳酸樹脂又はPLAとも称す)やセルロース系樹脂が挙げられる。これらのバイオマス樹脂は地球環境において二酸化炭素の取込みと発生とが差し引きゼロになる効果が期待でき、この考えはカーボンニュートラルと呼ばれている。
【0005】
しかし、バイオマス樹脂を成形材料として射出成形により成形品を製造する場合、バイオマス樹脂の耐熱性の低さが問題となる。バイオマス樹脂は、熱溶解して容易に流動できるようになる温度と樹脂の分解温度との差が石油系樹脂に比べて小さいため、射出成形や、その前処理としての加工工程において使用可能な温度設定範囲が狭く制限されるという問題がある。例えば射出成形装置に供給する前の前処理においてバイオマス樹脂と添加物とを混練機で混練してペレット化するときに、高熱に長い時間曝すと、樹脂が着色したり低分子化したりし易い。特に、バイオマス樹脂を難燃化するためには、バイオマス樹脂に大量の難燃剤を練り込む必要があり、バイオマス樹脂と難然剤とを予めペレット化してから射出成形装置に供給することが好ましい。しかし、混練機での加熱加工時にバイオマス樹脂が分解してしまい、成形品の強度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
また、バイオマス樹脂は強度的に脆い性質があり、強度がでにくいという問題もある。特に、バイオマス樹脂は上述の通り難燃剤を大量に練り込む必要があるため、強度的に益々脆くなる。このため、バイオマス樹脂は難燃剤を練り込んで難粘性を確保した場合には、補強剤を添加して強度アップを図る必要がある。
【0007】
バイオマス樹脂の強度アップの方法としては、石油系樹脂を混合することによっても達成できるが、これでは環境負荷低減の本質的な解決にはならない。別の方法として、ガラス繊維などの無機繊維や石油系の有機繊維を添加する方法があり、こちらの方が成形体の植物度をあまり下げることなく強度を得ることができ、好ましい。更に別の方法として、竹やケナフ繊維など天然の成形材料を繊維化して添加する方法もあり、繊維部分もカーボンニュートラルな素材に置き換えることができる。
【0008】
このように、バイオマス樹脂を射出成形のための成形材料として使用するためには、難燃剤や繊維等の添加物を添加することが一般的である。そして、バイオマス樹脂の耐熱性の低さを考慮すると、バイオマス樹脂と添加物とを混練混合してペレット化するための前処理を行わず、バイオマス樹脂や添加物を射出成形装置に直接投入して成形する直接投入成形法を採用することが成形品の品質にとって好ましい。
【0009】
射出成形装置では、ホッパーから充填されたペレットをスクリューと電気ヒーターによって加熱筒部分で溶融混練された流体に形成され、この流体がノズルより金型内へ高圧で充填されて金型内で固化され成形品に成形されている。
【0010】
ここで、従来技術として、射出成形装置の材料投入口にコンパウンド方式やマスターバッチ方式によりペレットを投入することが広く知られている。例えば、特許文献1には、耐熱性のポリ乳酸樹脂と耐衝撃性のポリ乳酸樹脂とを予め混練押出機でブレンドしてペレットを成形し、そのペレットを射出成形装置の材料投入口に投入するマスターバッチ方式について開示されている。
【0011】
また、同様に、特許文献2には、樹脂材料の熱劣化防止やガラス繊維などの折損防止、工程削減によるメリット(品質向上、コスト低減)を達成する目的で、射出成形装置の材料投入口に直接、樹脂などの材料を投入する「直接成形法」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−201863号公報
【特許文献2】特開平10−316832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1では、樹脂以外の材料を樹脂に練り込みペレット化する工程が必要であり、樹脂への熱履歴が多くなり、樹脂の性能が劣化してしまうという問題があった。
【0014】
また、特許文献2は、材料の全てを直接射出成形装置の材料投入口に供給する成形方法ではなく、ガラス繊維の物性保持やコンパウンド化での均一化が弊害となる成分をなるべく混練しないで成形する場合に限定して利用されていた。したがって、耐熱性の低いポリ乳酸などのベース樹脂を添加剤の全成分を混練押出機でブレンドしてペレット化することなく直接射出成形装置の材料投入口に供給すると、融点が80℃以下の成分があると、射出成形機の加熱シリンダーからの熱などで溶融して投入口箇所に付着して、材料供給を妨げたり、投入口箇所で材料の自重により圧縮されてブロッキングが発生して材料を安定して供給できないという欠点があった。
【0015】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、樹脂の性能が劣化してしまうことなく、射出成形装置に材料のブロッキングが発生することを防止することができる射出成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記目的を達成するために、少なくとも、ベース樹脂と、常温で液体の有機化合物と、無機充填剤と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練し溶融する射出成形方法であって、前記材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有し、該工程では、前記ベース樹脂に前記有機化合物を最初に混合し、その後に前記無機充填剤とその他の成分を加えて混合することを特徴とする射出成形方法を提供する。この場合、前記有機化合物は、加温してから、前記ベース樹脂に混合することがさらに好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記目的を達成するために、少なくとも、ベース樹脂と、常温で固体であって融点が24〜80℃の有機化合物と、無機充填剤と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練し溶融する射出成形方法であって、前記材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有し、該工程では、前記有機化合物を加温して融解し、前記ベース樹脂に該融解した有機化合物を最初に混合し、その後に前記無機充填剤とその他の成分を加えて混合することを特徴とする射出成形方法を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、前記目的を達成するために、少なくとも、ベース樹脂と、常温で液体の有機化合物と、無機充填剤と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練し溶融する射出成形方法であって、前記材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有し、該工程では、前記無機充填剤に前記有機化合物を最初に混合し、その後に前記ベース樹脂とその他の成分を加えて混合することを特徴とする射出成形方法を提供する。
【0019】
樹脂への熱履歴が多くなり樹脂の性能が劣化しないようにするために、本発明では、混練押出機で材料をペレット化することなく直接射出成形装置の材料投入口に供給するようにした。
【0020】
そして、射出成形装置に材料がブロッキングするのを防止するためには、材料どうしの凝集力を低減するか、材料と供給・搬送通路との摩擦力を低減することが考えられる。それらを実現するには、一般的に、シリカなどの凝集防止剤を添加したり、滑剤を添加したりすることが考えられるが、樹脂の物性を悪化させてしまう懸念がある。また、凝集防止剤や滑剤を添加するとコスト増大になる。
【0021】
そこで、本発明では、材料を直接射出成形装置の材料投入口に供給する際に、材料成分を混合する時に、ホッパー壁に付着してブリッジしたりブロッキングしたり、スクリューのフライト間の溝に付着して材料が搬送できない不具合を起こしたりする付着しやすい成分である有機化合物を、ベース樹脂と最初に混ぜ、その後に付着しにくい成分である無機充填剤やその他の成分を加えてコートするようにした。なお、ここで、有機化合物が常温で固体の場合には、有機化合物を加温して融解してから、ベース樹脂と最初に混ぜ、その後に付着しにくい成分である無機充填剤を加えてコートする。また、付着しやすい成分である有機化合物が常温(23℃)で液体であっても、加温して低粘度化してからベース樹脂と最初に混ぜると良い。
【0022】
または、常温で液体の有機化合物が付着しやすい成分の場合には、付着しにくい成分である無機充填剤と加えて、有機化合物を無機充填剤でコートしてから、ベース樹脂とその他の成分を加えて混合する。
【0023】
なお、本発明において「その他成分」とは、酸化防止剤、離型剤などの有機化合物であって、常温で液体及び低融点(24〜80℃)の有機化合物ではないもの、即ち融点が81℃以上の有機化合物をいう。
【0024】
したがって、本発明では、押出機で材料を混練してペレット化することなく射出成形装置に直接材料を供給し混練するので、樹脂の性能が劣化してしまうのを抑えることができる。そして、上記のように材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有するので、混練押出機で材料を混練してペレット化することなく射出成形装置に直接材料を供給しても、射出成形装置に材料がブロッキングするのを防止することができる。
【0025】
本発明において、前記ベース樹脂は、50〜100重量部の範囲、前記有機化合物は、2〜20重量部の範囲、無機充填剤は、20〜40重量部の範囲、であることが好ましい。
【0026】
本発明では、射出成形装置に付着しやすい有機化合物は無機充填剤で覆うため、この有機化合物よりも無機充填剤やベース樹脂は重量部数が多いことが好ましく、ベース樹脂50〜100重量部の範囲に対し、有機化合物が2〜20重量部の範囲、無機充填剤が20〜40重量部の範囲であることで、ベース樹脂の性能が劣化してしまうことなく、射出成形装置に材料のブロッキングが発生することを防止することができる射出成形方法を提供することができる。
【0027】
本発明において、前記材料を混合する工程では、材料を50〜500rpmで5〜30min攪拌することが好ましい。
【0028】
本発明では、有機化合物は無機充填剤で覆う必要があるため、材料を混合する工程では、攪拌しながら混合することが好ましく、攪拌条件として50〜500rpmで5〜30minが好ましい。50rpm未満であると有機化合物が無機充填剤に覆われ難く、500rpmより大きいと攪拌機の立ち上がりと停止時間がかかり作業性が良くない。また、5min未満であると混合性が悪く、30minより大きいと時間がかかり過ぎて作業効率が悪い。
【0029】
本発明において、前記材料を混合する工程では、前記有機化合物が常温(23℃)で液体の場合には、23℃以上50℃以下の温度下で、前記有機化合物が常温で固体の場合には、該有機化合物の融点以上該有機化合物の融点+30℃以下の温度下で、前記材料を攪拌することが好ましい。
【0030】
本発明では、材料の混合の際には有機化合物が液体である必要があるが、必要以上に温度が高いと、液粘度が下がりすぎ混合するのに良くない。したがって、有機化合物が常温(23℃)で液体の場合には、23℃以上50℃以下の温度下で、有機化合物が常温で固体の場合には、有機化合物の融点以上該有機化合物の融点+30℃以下の温度下であることが好ましい。
【0031】
本発明において、前記ベース樹脂がポリ乳酸、前記無機充填剤がリン酸塩であることが好ましい。
【0032】
これは、本発明を適用する原料の好ましい具体例を示したものであり、ポリ乳酸、リン酸塩の場合に、特に好ましく適用することができる。
【0033】
また、本発明において、前記射出成形装置のスクリュー計量部にダルメージ構造を有することが好ましい。
【0034】
射出成形装置のスクリュー計量部にダルメージ構造を有することで、ベース樹脂に圧縮・せん断をかけた後で更にせん断をかけることができるので、材料の混練・分散効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、混練押出機を用いずに、射出成形装置で直接材料を溶融することで、樹脂の性能が劣化してしまうことなく、また、射出成形装置に材料のブロッキングが発生することを防止することができる射出成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る射出成形方法を説明する説明図
【図2】本発明に係る射出成形方法を説明する説明図
【図3】本発明の射出成形方法に用いる射出成形装置の構成を説明する説明図
【図4】スクリュー圧縮部のスクリュー構造を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る射出成形方法について、図面に基づいて説明する。
【0038】
図1と図2は、本発明に係る射出成形方法を説明する説明図である。
【0039】
本発明は、ベース樹脂への熱履歴を減らし、樹脂の性能が劣化してしまうのを抑制するために、従来のベース樹脂以外の材料を混練押出機でベース樹脂に練り込みペレット化する工程を省略するようにしたものである。
【0040】
本発明に係る材料は、少なくとも、ベース樹脂と、融点が24〜80℃の固体又は常温(23℃)で液体の有機化合物(以下、単に有機化合物という。)と、無機充填剤である。その他の材料としては、酸化防止剤、離型剤などの有機化合物であって、常温で液体及び低融点(24〜80℃)の有機化合物ではないもの、即ち融点が81℃以上の有機化合物である。
【0041】
これらの材料を混練押出機でペレット化する工程を省いて直接に射出成形装置に投入すると射出成形装置に材料がブロッキングしてしまう。即ち、材料の全部を直接射出成形装置に供給した結果、融点が80℃以下の成分があると、射出成形機の加熱シリンダーからの熱などで溶融して投入口箇所に付着して、材料供給を妨げたり、投入口箇所で材料の自重により圧縮されて、ブロッキングが発生して材料を安定して供給できないという問題が生じた。
【0042】
そこで、本発明では、材料を射出成形装置に供給する前に混合する図1又は図2に示す工程を行うようにした。
【0043】
図1は、材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程として、ベース樹脂50に有機化合物52を最初に混合し、その後に無機充填剤54とその他の成分58を加えて混合することを示した図である。
【0044】
図1に示したように、先ず、攪拌装置40にベース樹脂50を投入する。攪拌装置40としては、例えば、誠和鉄工所製のタンブラーミキサー(SKD−50)や、セイワ技研製、タンブラーミキサー(TMHS−65)が好ましく用いられる。そして、ベース樹脂50が入っている攪拌装置40に有機化合物52を投入し攪拌する。ここで、有機化合物52が常温で固体であって融点が24〜80℃の場合には、図1の(I)に示すように、有機化合物52を加温して融解してからベース樹脂50に混合する。また、有機化合物が常温で液体の場合には、そのまま混合しても良いが、図1の(II)に示すように、有機化合物52を加温してからベース樹脂50に混合することが好ましい。
【0045】
攪拌条件として50〜500rpmで5〜30minが好ましい。50rpm未満であると有機化合物が無機充填剤に覆われ難く、500rpmより大きいと攪拌機の立ち上がりと停止時間がかかり作業性が良くない。また、5min未満であると混合性が悪く、30minより大きいと時間がかかり過ぎて作業効率が悪い。
【0046】
ベース樹脂50と有機化合物52を混合し、有機化合物52が均一にベース樹脂50の回りに付着したら、無機充填剤54を投入し混合する。また、その他の成分58がある場合には、その他の成分58も投入し混合する。
【0047】
このように混合された材料を後述する射出成形装置10に投入することで、混練押出機で材料を混練してペレット化することなく射出成形装置に直接材料を供給しても射出成形装置に材料がブロッキングするのを防止することができる。
【0048】
図2は、本発明の別の実施形態であって、材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程として、無機充填剤54に有機化合物52を最初に混合し、その後にベース樹脂50とその他の成分58を加えて混合することを示した図である。
【0049】
図2に示したように、先ず、攪拌装置40に無機充填剤54を投入する。攪拌装置40としては、図1と同様に、例えば、誠和鉄工所製のタンブラーミキサー(SKD−50)や、セイワ技研製、タンブラーミキサー(TMHS−65)が好ましく用いられる。そして、無機充填剤54が入っている攪拌装置40に常温で液体の有機化合物52を投入し攪拌する。
【0050】
無機充填剤54と有機化合物52を混合し、有機化合物52を無機充填剤54で包み込んだら、ベース樹脂50を投入し混合する。また、その化の成分58がある場合には、その他の成分58も投入し混合する。
【0051】
このように混合された材料においても、後述する射出成形装置10に投入することで、混練押出機で材料を混練してペレット化することなく射出成形装置に直接材料を供給しても射出成形装置に材料がブロッキングするのを防止することができる。
【0052】
上述した、材料を混合する工程では、有機化合物が常温(23℃)で液体の場合には、23℃以上50℃以下の温度下で、有機化合物が常温で固体の場合には、該有機化合物の融点以上該有機化合物の融点+30℃以下の温度下で、材料を攪拌することが好ましい。
【0053】
本発明では、材料の混合の際には有機化合物が液体である必要があるが、必要以上に温度が高いと、液粘度が下がりすぎ混合するのに良くない。したがって、有機化合物が常温(23℃)で液体の場合には、23℃以上50℃以下の温度下で、有機化合物が常温で固体の場合には、有機化合物の融点以上該有機化合物の融点+30℃以下の温度下であることが好ましい。
【0054】
また、本発明では、ベース樹脂は、50〜100重量部の範囲、前記有機化合物は、2〜20重量部の範囲、無機充填剤は、20〜40重量部の範囲、であることが好ましい。
【0055】
本発明では、射出成形装置に付着しやすい有機化合物は無機充填剤で覆うため、この有機化合物よりも無機充填剤やベース樹脂は重量部数が多いことが好ましく、ベース樹脂50〜100重量部の範囲に対し、有機化合物が2〜20重量部の範囲、無機充填剤が20〜40重量部の範囲であることで、ベース樹脂の性能が劣化してしまうことなく、射出成形装置に材料のブロッキングが発生することを防止することができる。また、その他の成分があるときには、0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
【0056】
次に、本発明に使用する成形材料等の好ましい条件について説明する。
【0057】
本発明に用いるベース樹脂は、ポリ乳酸、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)などの石油系樹脂にも適用可能であるが、ポリ乳酸樹脂やセルロース系樹脂のバイオマス樹脂に適用することが好ましい。
【0058】
ポリ乳酸系樹脂は、各種のものが利用可能であり、例えば、乳酸単独重合体樹脂、乳酸共重合体樹脂が挙げられる。また、ポリ乳酸系樹脂の原料である乳酸成分も特に限定されず、例えばL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはこれらの混合物、または乳酸環状2量体であるL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、またはこれらの混合物を使用できる。
【0059】
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂の製造方法も特に限定されず、従来公知の方法で合成した樹脂が、各種、利用可能である。乳酸単独重合体樹脂は、例えば、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸等または、これらの混合物を直接脱水縮合するか、またはL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、または、これらの混合物等の開環重合によって得ることができる。また、乳酸共重合体樹脂は、例えば、乳酸モノマーまたはラクチドと、前記モノマーと共重合可能な他の成分とを共重合して得ることができる。共重合可能な他の成分としては、例えば、分子内に2個以上のエステル結合形成性の官能基をもつジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、および、これらの種々の構成成分よりなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
【0060】
また、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量も、特に限定はないが、50,000〜500,000が好ましく、より好ましくは100,000〜250,000である。
【0061】
重量平均分子量が50,000以上であると、得られる本発明の成形品の強度がより高まるので好ましい。重量平均分子量が500,000以下であると射出成形に供する成形材料が均一になり易く、それによって得られる成形品の強度が、より高まる傾向があるので好ましい。
【0062】
セルロース系樹脂は特に限定されないが、ジアセチルセルロース(DAC)やトリアセチルセルロース(TAC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)を好ましく使用できる。セルロース系樹脂メーカーから供給されているセルロース系樹脂の粒径は、一般的に1〜30mmの範囲で不揃いな粒状体としてユーザに供給される。
【0063】
本発明において、射出成形機に供給される成形材料のベース樹脂であるバイオマス樹脂の含有量は、30質量%以上含有するのが好ましく50質量%以上含有するのが更に好ましい。このような構成とすることにより、成形した繊維含有射出成形体に優れた環境性能を付与することができる。
【0064】
本発明で用いる有機化合物(付着しやすい成分)は、常温(23℃)で液体又は低融点(24〜80℃)の固体であって、添加する目的が、他添加剤(その他の成分)のベース樹脂への相溶化や分散化、ベース樹脂の加水分解防止、難燃化、可塑化するものである。常温(23℃)で液体の例は、可塑剤の目的で、アジピン酸類、安息香酸類、エポキシ化脂肪酸エステル、フタル酸エステル、マレイン酸エステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどのリン酸エステル、スルホンアミドなどが挙げられる。常温(23℃)で低融点(24〜80℃)の固体は、例えば、融点40℃の加水分解防止剤のスタバクゾール1 LFや 融点60〜80℃のスタバクゾールP、融点50℃の難燃剤のリン酸トリフェニル(TPP)などが挙げられる。
【0065】
本発明で用いる無機化合物(付着しにくい成分)は、リン酸塩や水酸化マグネシウムなどの難燃剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料、ガラスファイバーなどの無機フィラーであって常温で固体である。無機化合物の形状は、粒状、平板状、繊維状のどれでもよい。また、その他の成分としては、常温(23℃)で液体及び低融点(24〜80℃)ではない有機化合物、即ち、80℃以下で固体の有機化合物であって、酸化防止剤、離型剤などが挙げられる。
【0066】
難燃剤(難燃化剤)には特に限定はなく、樹脂(成形品)を難燃化するために用いられる公知の難燃剤が、各種利用可能である。一例として、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。これらの中でも、樹脂との混練時や成型加工時に機器や金型の腐食が少なく、成形品を焼却廃棄する際に、環境に悪影響を与える可能性が少なく、難燃効果の大きいリン含有難燃剤が好ましい。
【0067】
リン含有難燃剤としては特に限定はなく、公知のものを用いることができる。例えば、リン酸エステル、リン酸縮合エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物が例示さされる。具体的には、リン酸エステルとしては、一例として、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル等が例示される。
【0068】
また、リン酸縮合エステルとしては、一例として、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの芳香族リン酸縮合エステル等が例示される。
【0069】
更に、リン酸、ポリリン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。
【0070】
ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン等が挙げられる。
【0071】
また、本発明においては、これらのリン含有難燃剤やケイ素含有難燃剤以外に、他の難燃剤を、必要に応じて用いてもよい。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、スルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、フッ素系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛などの無機系難燃剤を用いることができる。
【0072】
無機系化合物としては他に、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などが挙げられる。
【0073】
図3は本発明の射出成形方法を実施できる射出成形装置の一例を示す概略構成図である。
【0074】
図3に示すように、基本的なインライン式射出成形装置10として、先端にノズル12を有する加熱シリンダー14を備え、該加熱シリンダー14内に射出スクリュー16が配設されている。加熱シリンダー14の外周にはヒーター18が、ノズル12の対向端部には材料22を射出スクリュー16に供給するホッパー20が取り付けられている。ノズル12の対向端部で、射出スクリュー16の後端には、スクリュー16を回転させ、作動油の圧力・流量(速度)の設定値でスクリュー16を軸方向(図3において左右方向)へ前進させて射出動作をさせる油圧モータ・シリンダセット26と、射出圧力を検出する為のロードセル24とが配設されている。また、ノズル12の先端は、内部にキャビティ28を形成する固定金型30及び可動金型32のゲート34に接続されている。
【0075】
ホッパー20から投入された材料22は、回転する射出スクリュー16及びヒーター18によって、樹脂の移送、圧縮、混練、溶融、計量動作を含む可塑化動作、等が施される。そして、油圧モータ・シリンダセット26によって移動速度が制御されながら射出スクリュー16がノズル12方向へ移動され、ノズル12から一定速度で吐出した溶融樹脂がキャビティ28内に充填され、所定の時間、設定保圧力に保持されながら冷却され成形品が成形される。
【0076】
ここで、射出成形装置10のホッパー20下の実際の温度は、シリンダー14からの伝熱により40〜60℃となっており、シリンダー14に近づくにつれて上昇する。したがって、上記で記載した少なくともベース樹脂と有機化合物と無機充填剤とからなる材料を、普通にホッパーに供給したのでは、有機化合物が仮に常温(23℃)で固体であっても低融点(24〜80℃)の有機化合物は、ホッパー壁に付着してブリッジやブロッキングを起こしたり、スクリューのフライト間の溝に付着して材料が搬送できないというトラブルが頻繁にあった。
【0077】
そこで、本発明では、図1や図2に示した材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を行うようにした。
【0078】
そこで、本発明では、材料を直接射出成形装置の材料投入口に供給する際に、材料成分を混合する時に、ホッパー壁に付着してブリッジしたりブロッキングしたり、スクリューのフライト間の溝に付着して材料が搬送できない不具合を起こしたりする付着しやすい成分である有機化合物を、ベース樹脂と最初に混ぜ、その後に付着しにくい成分である無機充填剤やその他の成分を加えてコートするようにした。なお、ここで、有機化合物が常温で固体の場合には、有機化合物を加温して融解してから、ベース樹脂と最初に混ぜ、その後に付着しにくい成分である無機充填剤を加えてコートする。または、常温で液体の有機化合物が付着しやすい成分の場合には、付着しにくい成分である無機充填剤と加えて、有機化合物を無機充填剤でコートしてから、ベース樹脂とその他の成分を加えて混合する。
【0079】
以上説明したように、本発明は、押出機で材料を混練してペレット化することなく射出成形装置に直接材料を供給し混練することができるので、樹脂の性能が劣化してしまうのを抑えることができる。そして、上記のように材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有するので、混練押出機で材料を混練してペレット化することなく射出成形装置に直接材料を供給しても、射出成形装置に材料がブロッキングするのを防止することができる。
【0080】
なお、本発明に係る射出成形装置10において、図4に示すように、スクリュー16の計量部にダルメージ構造16Aを有することが好ましい。射出成形装置のスクリュー計量部にダルメージ構造を有することで、ベース樹脂に圧縮・せん断をかけた後で更にせん断をかけることができるので、材料の混練・分散効果を高めることができる。なお、ダルメージ構造は、通常のスクリュー(図3参照)のフルフライト幅に収まる幅であって、凹凸の歯型形状を有し、凸部の歯はフルフライトと同方向に傾いた形状である。このダルメージ構造は、1つよりも、3つ、5つ、7つと増やしたほうが、混練・分散効果が高まる。
【0081】
以上、本発明の射出成形方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
【実施例】
【0082】
次に本発明の射出成形方法を満足する実施例と満足しない比較例とで、材料の搬送性及び材料の分散性がどのようになるかを試験した。
【0083】
[材料]
ベース樹脂として、ポリ乳酸を用いた。ポリ乳酸は、ユニチカ社製TE2000、TE7000で試験を行った。
【0084】
有機化合物(付着しやすい成分)として、加水分解防止剤を用いた。加水分解防止剤として、ラインケミー社製スタバクゾール1、LF、スタバクゾールPで試験を言った。
【0085】
無機化合物(付着しにくい成分)として、リン酸塩を用いた。リン酸塩として、クラリアントジャパン社製AP422、AP423、アデカ社製FP2200で試験を行った。
【0086】
その他の成分として、酸化防止剤を用いた。酸化防止剤として、チバスペシャルティケミカルズ社製イルガノックス245で試験を行った。
【0087】
そして、ベース樹脂は50〜100重量部の範囲、有機化合物(付着しやすい成分)は2〜20重量部の範囲、無機充填剤は20〜40重量部の範囲、その他の成分は0.5〜10重量部の範囲であって、下記に記載の処方で試験を行った。なお、ベース樹脂、有機化合物、無機充填剤、無機充填剤のかさ比重を計測したが、いずれも0.7〜1.0g/mlの範囲にあった。
【0088】
・ ベース樹脂:ポリ乳酸(ペレット状)
ユニチカ社製 TE2000 100重量部
・ 有機化合物(付着しやすい成分):加水分解防止剤(粒状)
ラインケミー社製 スタバクゾール1 LF 2重量部
・ 無機化合物(付着しにくい成分):難燃剤(粒状)
クラリアントジャパン社製 AP422 40重量部
・ その他の成分:酸化防止剤(粒状)
チバスペシャルティケミカルズ社製 イルガノックス245 0.5重量部
[混合方法]
以下に示す混合条件で実施例1〜4及び比較例を行った。
【0089】
(実施例1)
有機化合物(付着しやすい成分)をベース樹脂と最初に混ぜ、その後に無機化合物(付着しにくい成分)とその他の成分を加えコートした。
【0090】
(実施例2)
有機化合物(付着しやすい成分)の低融点(24〜80℃)の成分は、加温して融解してから、ベース樹脂と最初に混ぜ、の後に無機化合物(付着しにくい成分)とその他の成分を加えコートした。
【0091】
(実施例3)
有機化合物(付着しやすい成分)を無機化合物(付着しにくい成分)に加えてコートしてから、ベース樹脂やその他の成分を加えて混合した。
【0092】
(実施例4)
有機化合物(付着しやすい成分)を加温して低粘度化してから、ベース樹脂と最初に混ぜ、その後に無機化合物(付着しにくい成分)とその他の成分を加えてコートした。
【0093】
(比較例)
有機化合物(付着しやすい成分)と無機化合物(付着しにくい成分)とベース樹脂とその他の成分を同時に混合した。
【0094】
[試験評価]
(材料の搬送性の評価)
材料がホッパーで詰まらないか、スクリューで材料を送り出せるかの観点で評価を行った。評価基準は以下の通り。
【0095】
◎:ホッパーに材料を十分入れた状態(10ショット以上)で、ホッパーで詰らないで且つ、スクリューで材料を送り出せる。
【0096】
○:5ショット分の材料供給で、ホッパーで詰らないで、且つ、スクリューで材料を送り出せる。
【0097】
△:1ショット分の材料供給で、ホッパーで詰らないで、且つ、スクリューで材料を送り出せる。
【0098】
×:ホッパーで詰まりスクリューで材料を送り出せない。
【0099】
(材料の分散性の評価)
射出成形装置で溶融した材料を以下のテストピースにして評価を行った。UL94規格に準じた長さ127mm×幅12.7mm×厚さ1.6mmの射出成形テストピースを用いた。照度3800〜4200Lxのライトテーブル(白色光)上にテストピースを置き、透過光にて、目視観察する。評価基準は以下の通り。
◎:添加成分の塊・ムラがなく均一(良好)である。
〇‥添加成分の塊はないが、ムラがわずかにある。
△‥透過光で目視観察して、添加成分の塊がわずかにある。
×‥透過光で目視観察して、添加成分の塊がはっきりある。
【0100】
[評価結果]
【0101】
【表1】

【0102】
以上の実験から、射出成形装置において本発明の射出成形方法で直接材料を溶融することで、材料の搬送性及び材料の分散性(混合性)が良いことが分かる。
【0103】
したがって、本発明によれば、混練押出機を用いずに射出成形装置で直接材料を溶融することで、樹脂の性能が劣化してしまうことなく、また、射出成形装置に材料のブロッキングが発生することを防止することができる射出成形方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
10…射出成形装置、12…ノズル、14…シリンダー、16…スクリュー、16A…ダルメージ構造、18…ヒーター、20…ホッパー、22…材料、24…ロードセル、26…油圧モータ・シリンダセット、28…キャビティ、30…固定金型、32…可動金型、34…ゲート、40…攪拌装置、50…ベース樹脂、52…(融点が24〜80℃の固体又は常温で液体の)有機化合物、54…無機充填剤、58…その他の成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ベース樹脂と、常温で液体の有機化合物と、無機充填剤と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練し溶融する射出成形方法であって、
前記材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有し、
該工程では、前記ベース樹脂に前記有機化合物を最初に混合し、その後に前記無機充填剤とその他の成分を加えて混合することを特徴とする射出成形方法。
【請求項2】
前記有機化合物は、加温してから、前記ベース樹脂に混合することを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項3】
少なくとも、ベース樹脂と、常温で固体であって融点が24〜80℃の有機化合物と、無機充填剤と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練し溶融する射出成形方法であって、
前記材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有し、
該工程では、前記有機化合物を加温して融解し、前記ベース樹脂に該融解した有機化合物を最初に混合し、その後に前記無機充填剤とその他の成分を加えて混合することを特徴とする射出成形方法。
【請求項4】
少なくとも、ベース樹脂と、常温で液体の有機化合物と、無機充填剤と、を材料とし、該材料を射出成形装置に供給し混練し溶融する射出成形方法であって、
前記材料を射出成形装置に供給する前に混合する工程を有し、
該工程では、前記無機充填剤に前記有機化合物を最初に混合し、その後に前記ベース樹脂とその他の成分を加えて混合することを特徴とする射出成形方法。
【請求項5】
前記ベース樹脂は、50〜100重量部の範囲、前記有機化合物は、2〜20重量部の範囲、無機充填剤は、20〜40重量部の範囲、であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の射出成形方法。
【請求項6】
前記材料を混合する工程では、材料を50〜500rpmで5〜30min攪拌することを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の射出成形方法。
【請求項7】
前記材料を混合する工程では、前記有機化合物が常温で液体の場合には、23℃以上50℃以下の温度下で、前記有機化合物が常温で固体の場合には、該有機化合物の融点以上該有機化合物の融点+30℃以下の温度下で、前記材料を攪拌することを特徴とする請求項1〜6の何れか1に記載の射出成形方法。
【請求項8】
前記ベース樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1に記載の射出成形方法。
【請求項9】
前記無機充填剤がリン酸塩であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1に記載の射出成形方法。
【請求項10】
前記射出成形装置のスクリュー計量部にダルメージ構造を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか1に記載の射出成形方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−201048(P2011−201048A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68233(P2010−68233)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】