射出成形機監視装置
【課題】射出成形機監視装置の操作性を一段と向上させるものである
【解決手段】監視領域の設定において、キャビティCVの画像部分を囲うように監視領域を設定する際の基準となる始点位置P1をユーザにより指定され、続いてユーザ所望の監視領域の形状を選択された後、終点位置P2を指定されると、ユーザが選択した監視領域の形状に対応させて監視領域を設定することにより、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、監視処理において高い精度で異常の検出を行うことができ、操作性を一段と高め得る射出成形機監視装置を実現できる。
【解決手段】監視領域の設定において、キャビティCVの画像部分を囲うように監視領域を設定する際の基準となる始点位置P1をユーザにより指定され、続いてユーザ所望の監視領域の形状を選択された後、終点位置P2を指定されると、ユーザが選択した監視領域の形状に対応させて監視領域を設定することにより、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、監視処理において高い精度で異常の検出を行うことができ、操作性を一段と高め得る射出成形機監視装置を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機監視装置に関し、特に監視機能を改善しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来例えば合成樹脂材料を射出成形する射出成形機の監視装置として、撮像手段としてのテレビジョンカメラによって射出成形機本体を撮像して得られるビデオ信号に基づいて、射出成形機本体の射出成形動作が正常か否かの判定をするようにしたものが用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
射出成形機本体は1つの射出成形製品を成形するごとに射出成形サイクルを繰り返す。
【0004】
すなわち可動側型が固定側型に圧接した状態(この状態を「型締め」状態と呼ぶ)において、導管を通じて合成樹脂材料を射出することにより、可動側型及び固定側型内に射出成形製品を成形する。
【0005】
この射出成形製品は、可動側型が固定側型からガイドに沿って離間した位置に後退したとき(この状態を「型開」状態と呼ぶ)、可動側型の内面に付着した状態で型開位置にまで持ち来され、その後可動側型に付着した射出成形製品は可動側型の後方から突き出される突出しピンによって可動側型から突き出され(この動作を「突出し」動作と呼ぶ)、取出機により取り出される。
【0006】
かくして1つの射出成形製品が射出成形機本体から取り出されたとき、射出成形工程の一巡動作(すなわち1回の射出成形サイクル)が終了して次の射出成形サイクルに入る。
【0007】
このとき可動側型が固定側型に向かって前進して、可動側型が固定側型に圧接した型締め状態に戻り、以下同様にして射出成形サイクルが繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−39581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種の射出成形機監視装置においては、射出成形機本体が型開動作をした際に射出成形製品が固定側型に付着したまま残る(いわゆる固定側型残り)状態になったり、射出成形製品が完全に成形されずに一部が欠けた(いわゆるショートモールド)状態になったりするなどのように、型開モード時に生ずる異常を監視する(これを「1次監視」と呼ぶ)必要がある。
【0010】
また、射出成形機本体が突出し動作をした後に、射出成形製品が可動側型から外れずに可動側型に残る(いわゆる可動側型残り)状態になったり、射出成形製品を突き出した際に突出しピンが折れる(いわゆるピン折れ)状態になったりするなどのように、突出し動作モード時に生ずる異常を監視する(これを「2次監視」と呼ぶ)必要がある。
【0011】
このような異常が生じたとき、この状態を放置すれば、次の射出成形サイクルにおいて、可動側型及び又は固定側型を損傷したり、不良製品が成形されたりするといったような派生的な事故が生ずるおそれがあり、これらの異常の発生を直ちに検知する必要がある。
【0012】
射出成形機監視装置は、監視動作開始時に可動側型を撮像することにより、異常を判定する際の基準となる監視基準画像データを取得し、その後順次繰り返される射出成形サイクルにおいて、可動側型を撮像することにより取得した異常を検出する監視検出画像データと、予め撮像した監視基準画像データとを比較することにより、そのような異常の発生を検出する。
【0013】
そのような異常発生検出処理を行う際、ユーザは、監視動作開始時において射出成形機監視装置におけるモニタに表示された監視基準画像データを目視しながら監視すべき監視領域を予め設定し、その後の射出成形サイクルにおいて射出成形機監視装置は、基準画像データと検出画像データとにおける、予め設定された監視領域内に含まれる画素を比較することにより異常発生検出処理を行う。
【0014】
そのような監視領域はキャビティ及び当該キャビティに射出成形される射出成形製品の形状に対応させた多角形形状となっており、当該監視領域は、タッチパネルでなるモニタをユーザがタッチして当該多角形における頂点を3箇所以上指定していき、その後射出成形機監視装置がその複数の頂点を直線で結ぶことにより形成された形状となっていた。
【0015】
しかしながらそのように多角形でなる監視領域を設定する場合、射出成形機監視装置は、多角形における3点以上の頂点をユーザに指定させておりユーザに煩雑な操作を強いることとなっていたため、さらに操作性を向上させたいという要望があった。
【0016】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、一段と操作性を向上させた射出成形機監視装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる課題を解決するため本発明においては、監視動作開始時において射出成形機本体1が型開動作及び突出し動作を行ったときに当該射出成形機本体1を撮像手段によって撮像することにより得られるビデオ信号VD1を用いて、射出成形機本体1の異常動作の判定において基準となる画像データとして監視基準画像データを得る監視基準画像データ取得手段と、順次繰り返される射出成形機本体1の射出成形サイクルにおいて、型開動作時又は突出し動作時に得られるビデオ信号VD1を用いて異常動作を検出する画像データとして監視検出画像データを得る監視検出画像データ取得手段と、異常動作の発生を監視すべき領域である監視領域Kの形状を指定する監視領域形状指定手段と、監視基準画像データのうち、監視領域Kを設定する際に基準となる始点位置P1を指定する始点位置指定手段と、監視基準画像データのうち、監視領域Kの大きさを規定する終点位置P2を指定する終点位置指定手段と、監視領域形状指定手段により指定された形状でなり、始点位置P1と終点位置P2とに基づく大きさで始点位置P1を基準として配置された監視領域Kを設定する監視領域設定手段と、監視領域K内部の領域についての監視基準画像データと監視検出画像データとの明るさの比較結果を求めることにより、射出成形機本体1の異常動作を監視する監視手段とを設ける。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、始点位置と終点位置とを指定するという簡易な操作をユーザに行わせるだけで、ユーザ所望の形状でなる監視領域を設定することができるため、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、操作性を一段と高め得る射出成形機監視装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による射出成形機監視装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】監視処理手順を示すフローチャートである。
【図3】監視サイクル処理手順(1)を示すフローチャートである。
【図4】監視サイクル処理手順(2)を示すフローチャートである。
【図5】1次監視基準画像データを示す略線図である。
【図6】2次監視基準画像データを示す略線図である。
【図7】監視領域設定画面(始点位置設定)を示す略線図である。
【図8】監視領域設定画面(円形)を示す略線図である。
【図9】監視領域設定画面(楕円形)を示す略線図である。
【図10】監視領域設定画面(正方形)を示す略線図である。
【図11】監視領域設定画面(長方形)を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0021】
(1)射出成形機監視装置の全体構成
図1において、1は射出成形機本体を示し、可動側型2が固定側型3に圧接した型締め状態において導管4を通じて合成樹脂材料を射出することにより、可動側型2及び固定側型3内に射出成形製品を成形する。
【0022】
この射出成形製品は、可動側型2が固定側型3からガイド5に沿って離間した型開状態になったとき、可動側型2の内面に付着した状態で型開位置にまで持ち来され、その後可動側型2の後方から突出しピン(図示せず)が突出し動作をすることによって可動側型2から外され、取出機(図示せず)によって取り出される。
【0023】
かかる射出成形機本体1の射出成形サイクルは射出成形機本体駆動制御装置6に設けられているシーケンサによって自動的に制御される。
【0024】
射出成形機本体1の射出成形動作は射出成形機監視装置10に設けられている撮像手段としてのテレビジョンカメラ11によって撮像され、そのビデオ信号VD1が画像入力回路12においてビデオデータDATA1に変換されて画像処理回路13に入力されて保持される。
【0025】
画像処理回路13に保持されたビデオデータDATA1は、バス15を介してプログラムメモリ16のプログラムによって処理動作をする中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)17に所定のタイミングで取り込まれると共に、各画素ごとにバス15を介してデータメモリ18に格納される。
【0026】
CPU17は、データメモリ18に格納されたビデオデータDATA1に基づいて、異常の発生の有無を判定し、当該判定結果を表す判定結果画像データDATA2をバス15を介して画像処理回路13に与える。
【0027】
画像処理回路13は、この判定結果画像データDATA2を画像表示回路19に与えることにより、画像表示回路19においてテレビジョンカメラ11から供給されるビデオ信号VD1に重畳して表示画像信号VD2としてモニタ20に与える。
【0028】
かくしてモニタ20は、ビデオ信号VD1に基づいて現在テレビジョンカメラ11が撮像している射出成形機本体1の画像に対して、CPU17が判定した異常状態(又は正常状態)を表す判定結果画像データDATA2に基づいて、異常が発生した画像部分に異常発生表示を表示してなる監視画面をユーザに提示する。
【0029】
またモニタ20には、タッチパネルでなる操作入力部25が組み込まれており、ユーザは当該操作入力部25を操作することにより、バス15を介して各種操作指令をCPU17に入力するようになされている。
【0030】
CPU17は、射出成形機本体駆動制御装置6から制御信号入出力部21を介して与えられる監視制御信号S1によって監視処理動作をすべきタイミングを判知して判定動作をすると共に、当該判定動作及び判定結果に基づいて制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6にシーケンス制御信号S2を与えることにより、射出成形機本体1を射出成形機監視装置10の監視動作と同期動作させるような制御を実行する。
【0031】
かくしてCPU17は、射出成形機本体1の射出成形サイクルの動作と同期しながら、以下に述べる監視処理動作を実行する。
【0032】
(2)監視処理
ユーザが操作入力部25を介して監視処理モードを指定すると、CPU17は、図2の監視処理ルーチンRT1に入って、ステップSP1において型開限信号がオンになるのを待ち受け、射出成形機本体1が型開状態になるのを確認してその後の動作を実行するタイミングを射出成形機本体1に合わせる処理をし、これにより、射出成形機本体駆動制御装置6は、射出成形機本体1の可動側型2を型開位置にまで後退させたとき、監視制御信号S1としてオン状態に遷移した型開限信号を制御信号入出力部21を介してCPU17に与える。
【0033】
このときCPU17は、次のステップSP2においてシーケンス制御信号S2として型締めインターロック設定信号を制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより、射出成形機本体1を型締め動作させないように射出成形機本体駆動制御装置6を制御し、これにより射出成形機本体1を型開状態のまま保持させる。
【0034】
このように射出成形機本体1が型開状態を保持している状態において、CPU17は、次のステップSP3において、現在テレビジョンカメラ11から得られているビデオ信号VD1(型開状態にある射出成形機本体1の金型内部の映像を表している)を、画像入力回路12を介して1フレーム分のビデオデータDATA1として画像処理回路13に入力する。また画像表示回路19はビデオ信号VD1をテレビジョンカメラ11から供給され、当該ビデオ信号VD1を表示画像信号VD2としてモニタ20に与える。
【0035】
かくしてモニタ20は、ビデオ信号VD1に基づいて現在テレビジョンカメラ11が撮像している金型内部の映像をユーザに提示する。
【0036】
続いてCPU17はステップSP4において画像処理回路13に入力された型開状態を表す1フレーム分の画像データを1次監視基準画像データD1としてデータメモリ18に登録する。
【0037】
この実施の形態の場合、CPU17は、図5に示すようにキャビティCVに射出成形された射出成形製品IMがモニタ20に表示される1次監視基準画像データD1を登録する。
【0038】
かくしてデータメモリ18に登録された画像データは、射出成形機本体1が正常動作をしている時には、可動側型2に射出成形製品IMが付着した状態で可動側型2が型開位置に移動している状態を表しており、CPU17はこの型開状態の1フレーム分の画像データを、1次監視時の異常発生の有無を判断する際に用いる基準データとしてフレームメモリ18に取得したことになる。
【0039】
続いてCPU17は、ステップSP5において、シーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより、射出成形機本体1の突出し動作の開始を許すと共に、次のステップSP6において射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1としてオン状態に遷移した突出し完了信号が制御信号入出力部21を介して到来するのを待ち受ける状態になる。
【0040】
やがてオン状態に遷移した突出し完了信号が到来すると、CPU17は次のステップSP7において現在テレビジョンカメラ11から得られているビデオ信号VD1(射出成形機本体1が突出し完了状態にあることを表している)を、画像入力回路12を介して1フレーム分のビデオデータDATA1として画像処理回路13に入力する。
【0041】
続いてCPU17はステップSP8において画像処理回路13に入力された突出し完了状態を表す1フレーム分の画像データを2次監視基準画像データD2としてデータメモリ18に登録する。
【0042】
この実施の形態の場合、CPU17は、図6に示すようにキャビティCVがモニタ20に表示される2次監視基準画像データD2を登録する。
【0043】
かくしてデータメモリ18に登録された画像データは、射出成形機本体1が正常動作をしている時には、射出成形機本体1が突出し動作をすることにより可動側型2に付着していた射出成形製品が外され、取出機により取り出された状態を表しており、CPU17はこの突出状態の1フレーム分の画像データを、2次監視時の異常発生の有無を判断する際に用いる基準データとしてデータメモリ18に取得したことになる。
【0044】
(2−1)監視領域設定処理
続いてCPU17は、ステップSP9において、型開動作時及び突出し動作時において監視対象を監視する領域(以下これを監視領域とも呼ぶ)の位置、形状及び大きさをユーザにより設定され、当該監視領域をデータメモリ18に記憶する監視領域設定処理を実行する。
【0045】
ここで、監視領域とは、後述する1次監視及び2次監視において基準画像データと検出画像データとを比較する際に、当該基準画像データ及び検出画像データにおいて比較する画素データの範囲を示しており、CPU17は、当該監視領域の範囲外の画素データについては比較を行わないことにより、1次監視及び2次監視において、監視領域外で発生した、光の反射、ごみの付着等に起因する外乱映像を除去し、当該外乱映像に影響されることなく監視処理を行うことができるようになされている。
【0046】
後述するようにユーザは、キャビティCVに射出成形される射出成形製品IMの形状に合わせて、円形、楕円形、正方形及び長方形の中から監視領域の形状を選択することができるようになされている。
【0047】
ここで、キャビティCVに射出成形される射出成形製品IMは、図5に示す1次監視基準画像データD1のように当該キャビティCVとほぼ同じ形状となるため、そのようなキャビティCVの形状に合わせて監視領域Kの形状を設定すれば、当該監視領域Kは、射出成形製品IMの形状にも近似していることとなる。
【0048】
この監視領域の設定においてCPU17は、図6に示す2次監視基準画像データD2のように、金型51におけるキャビティCVを囲うようにユーザがモニタ20を見ながら操作入力部25を用いて監視領域Kを設定入力したとき、当該監視領域Kの位置、形状及び大きさのデータを監視領域データD3としてデータメモリ18に格納する。
【0049】
これにより、監視領域データD3が表す監視領域の位置、形状及び大きさのデータは、2次監視基準画像データD2においてはキャビティCVの位置、形状及び大きさを、一方1次監視基準画像データD1においては当該キャビティCVに付着した射出成形製品IMの位置、形状及び大きさをほぼ表していることになる。
【0050】
監視領域設定処理においてCPU17は、図7に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0051】
監視領域設定画面DIPXは、監視領域形状選択部40と、選択形状提示部41と、操作部42とを表示する。
【0052】
ユーザは操作入力部25(図1)を操作することにより、後述する監視サイクル処理ルーチンにおいてキャビティCVに射出成形されることが予測される射出成形製品IMの画像部分を囲うように、監視領域を設定する際の基準となる始点位置P1を指定すると、CPU17は、当該始点位置P1をデータメモリ18に記憶する。
【0053】
続いてユーザは、監視領域形状選択部40における送り部40A又は戻り部40Bを操作することにより、所望の監視領域の形状を選択する。
【0054】
CPU17は、送り部40Aが操作される度に、円形、楕円形、正方形、長方形を順番に切り替えながら選択形状提示部41に表示することにより、現在選択されている監視領域の形状をユーザに提示する。因みに図7においては円形が選択されている。
【0055】
一方CPU17は、戻り部40Bが操作される度に送り部40Aは逆の順序で、長方形、正方形、楕円形、円形を順番に切り替えながら選択形状提示部41に表示することにより、現在選択されている監視領域の形状をユーザに提示する。
【0056】
その後、再びユーザが操作入力部25を操作することにより終点位置(後述する)が指定されると、CPU17は、ユーザにより選択され選択形状提示部41に提示されている監視領域の形状に基づき、後述する円形監視領域設定処理、楕円形監視領域設定処理、正方形監視領域設定処理又は長方形監視領域設定処理のうちいずれかを実行する。
【0057】
(2−1−1)円形監視領域設定処理
円形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが円形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように円形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の円形監視領域設定処理を実行する。
【0058】
円形監視領域設定処理においてCPU17は、図8に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0059】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を中心とし、当該始点位置P1から終点位置P2までの距離DRを半径とする円形でなる円形監視領域KCをモニタ20に表示する。
【0060】
当該円形監視領域KCの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが操作部42における戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は円形監視領域KC及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザが操作部42におけるキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は円形監視領域KC、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0061】
一方、円形監視領域KCの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが操作部42における確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は円形監視領域KCの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0062】
このように円形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置及び大きさでなる円形監視領域KCを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が円形又は円形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定することができるため、CPU17は、円形監視領域KCの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる。
【0063】
(2−1−2)楕円形監視領域設定処理
一方、楕円形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが楕円形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように楕円形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の楕円形監視領域設定処理を実行する。
【0064】
楕円形監視領域設定処理においてCPU17は、図9に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0065】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を中心とし終点位置P2を1つの角の頂点とする外接長方形IMG_Lに内接する楕円形でなる楕円形監視領域KOをモニタ20に表示する。
【0066】
当該楕円形監視領域KOの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は楕円形監視領域KO及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザがキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は楕円形監視領域KO、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0067】
一方、楕円形監視領域KOの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は楕円形監視領域KOの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0068】
このように楕円形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置、大きさ及び縦横比でなる外接長方形IMG_Lに内接する楕円形でなる楕円形監視領域KOを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が楕円形又は楕円形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定することができるため、CPU17は、楕円形監視領域KOの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる。
【0069】
(2−1−3)正方形監視領域設定処理
一方、正方形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが正方形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように正方形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の正方形監視領域設定処理を実行する。
【0070】
正方形監視領域設定処理においてCPU17は、図10に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0071】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする正方形でなる正方形監視領域KSをモニタ20に表示する。
【0072】
このときCPU17は、始点位置P1から終点位置P2までの横方向の距離である横方向距離DHと、縦方向の距離である縦方向距離DVとが異なっている場合、短い方の距離を1辺の長さとする正方形を表示するようになされている。
【0073】
当該正方形監視領域KSの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は正方形監視領域KS及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザがキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は正方形監視領域KS、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0074】
一方、正方形監視領域KSの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は正方形監視領域KSの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0075】
このように正方形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置及び大きさでなる正方形監視領域KSを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が正方形又は正方形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定し易いため、CPU17は、正方形監視領域KSの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる。
【0076】
(2−1−4)長方形監視領域設定処理
一方、長方形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが長方形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように長方形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の長方形監視領域設定処理を実行する。
【0077】
長方形監視領域設定処理においてCPU17は、図11に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0078】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする長方形でなる長方形監視領域KLをモニタ20に表示する。
【0079】
当該長方形監視領域KLの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は長方形監視領域KL及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザがキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は長方形監視領域KL、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0080】
一方、長方形監視領域KLの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は長方形監視領域KLの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0081】
このように長方形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置、大きさ及び縦横比でなる長方形監視領域KLを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が長方形又は長方形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定し易いため、CPU17は、長方形監視領域KLの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる
【0082】
このように上述した監視領域設定処理において射出成形機監視装置10は、始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作をユーザに行わせるだけで、ユーザ所望の形状でなる監視領域を設定することができると共に、多角形で監視領域を設定する場合と比べて、様々な射出成形製品及びキャビティの形状に近似した形状の監視領域を設定することができるため、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、監視処理において高い精度で異常の検出を行うことができる。
【0083】
以上により円形、楕円形、正方形又は長方形いずれかの形状でなる監視領域の設定が終了すると、CPU17は、ステップSP10(図2)においてシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を制御信号入出力部21から射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより射出成形機本体1に対して突出し動作をさせない状態に制御した後、ステップSP11においてシーケンス制御信号S2として型締めインターロック解除信号を射出成形機本体駆動制御装置6に与え、これにより射出成形機本体1の型締め動作を許す状態に制御する。
【0084】
続いてCPU17は、次の監視サイクル処理ルーチンRT2に移り、射出成形機本体1の固定側型3及び可動側型2によって次の射出成形製品を射出成形するための射出成形サイクルを実行させる。
【0085】
(3)監視サイクル処理
CPU17は、図3及び図4に示す監視サイクル処理ルーチンRT2を実行することにより、射出成形機本体1が射出成形製品を1つずつ射出成形するごとに当該射出成形動作に異常が生じたか否かの監視処理を実行する。
【0086】
(3−1)1次監視処理
監視サイクル処理ルーチンRT2に入ると、CPU17は、ステップSP21において射出成形機本体1が現在射出成形した射出成形製品についてオン状態に遷移した型開限信号が射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1として到来するのを待ち受ける状態になると共に、オン状態の型開限信号が到来したとき次のステップSP22において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として型締めインターロック設定信号を与え、これにより射出成形機本体1が型開状態になったことを確認すると共に、型締め動作をさせない状態に射出成形機本体1を制御する。
【0087】
この状態においてCPU17は、次のステップSP23において1フレーム分のビデオデータDATA1を1次監視検出画像データD4として画像処理回路13を介してデータメモリ18に記憶する。
【0088】
CPU17は、ステップSP24において、データメモリ18に記憶された1次監視基準画像データD1(図5)と1次監視検出画像データD4と、を比較する1次監視処理を実行した後、ステップSP25において比較結果が異常か否かの判定をする。
【0089】
ステップSP25においてCPU17は、上述した監視領域設定処理において設定した監視領域K内部に含まれる画素からなる基準画像データ及び検出画像データを、1次監視基準画像データD1及び1次監視検出画像データD4から得、この基準画像データと検出画像データとの明るさの偏差を各画素について求め、当該偏差が所定のしきい値を超えた画素の数を集計する。
【0090】
当該集計値が所定の許容値を超えたとき、CPU17は、1次監視において当該監視領域Kに異常が生じたと判断し、ステップSP26に移り異常警告出力を送出すると共にステップSP26〜SP29における異常時処理を行う。
【0091】
(3−2)異常時処理
このように1次監視処理で異常と判定された場合、実際上ユーザは射出成形機本体1(図1)の安全扉を開いて手動操作パネル31を操作することにより射出成形機本体1を手動で動作させ、これにより異常の発生原因を手動で除去し、当該作業が終了したとき安全扉を閉めて再度自動監視サイクルに戻す。
【0092】
ここで射出成形機本体1の安全扉が閉められたとき、射出成形機本体駆動制御装置6は監視制御信号S1としてオフ状態に遷移したリセット信号を制御信号入出力部21を介してCPU17に送る。
【0093】
このときCPU17は、ステップSP27においてオフ状態に遷移したリセット信号を受けてステップSP28に移って異常警告出力を消去する。
【0094】
続いてCPU17は、次のステップSP29においてシーケンス制御信号S2として型締めインターロック解除信号を射出成形機本体駆動制御装置6に与え、これにより射出成形機本体1の型締め動作を許す状態に制御した後、上述のステップSP21に戻って次の射出成形サイクルに対する監視動作に入る。
【0095】
これに対して上述したステップSP25における1次監視処理において正常であるとの結果が得られたとき、このことは射出成形機本体1が1次監視において正常であるとの判定結果が得られたことになり、このときCPU17はステップSP41(図4)に移る。
【0096】
(3−3)2次監視処理
CPU17は、ステップSP41において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を与えると共に、次のステップSP42において射出成形機本体駆動制御装置6からの監視制御信号S1としてオン状態に遷移した突出し完了信号が到来するのを待ち受ける。
【0097】
この状態において射出成形機本体1は型開状態から突出し動作をすることにより射出成形製品を可動側型2から突き出し、取出機に取り出させる。
【0098】
その結果突出し完了信号がオン状態に遷移すると、CPU17は、ステップSP43に移って射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を与えることにより射出成形機本体1を突出し状態のまま保持させ、以下に述べる2次監視へ進む。
【0099】
続いてCPU17は、ステップSP44においてテレビジョンカメラ11のビデオ信号VD1に基づいて突出し状態における2次監視検出画像データD5をデータメモリ18に取り込んで記憶する。
【0100】
CPU17は、ステップSP45において、データメモリ18に記憶された2次監視基準画像データD2(図6)と2次監視検出画像データD5とを比較する2次監視処理を実行した後、ステップSP46において比較結果が異常か否かの判定をする。
【0101】
ステップSP46においてCPU17は、上述した監視領域設定処理において設定した監視領域K内部に含まれる画素からなる基準画像データ及び検出画像データを、2次監視基準画像データD2及び2次監視検出画像データD5から得、この基準画像データと検出画像データとの明るさの偏差を各画素について求め、当該偏差が所定のしきい値を超えた画素の数を集計する。
【0102】
当該集計値が所定の許容値を超えたとき、CPU17は、2次監視において当該監視領域Kに異常が生じたと判断し、ステップSP26(図3)に移り上述した異常時処理を行う。
【0103】
これに対して上述したステップSP46における2次監視処理において正常であるとの結果が得られたとき、このことは射出成形機本体1が2次監視において正常であるとの判定結果が得られたことになり、このときCPU17はステップSP47及びSP48に移って登録画像の更新処理を実行する。
【0104】
(3−4)更新処理
この登録画像の更新においてCPU17は、現在データメモリ18に格納されている1次監視基準画像データD1を1次監視検出画像データD4によって登録し直すと共に、2次監視基準画像データD2を2次監視検出画像データD5によって更新する。
【0105】
かくして正常動作をしたときの検出画像データを基準画像データとして保持することにより、例えば外囲光が時間と共に変化したり、射出成形サイクルを繰り返したとき金型の位置が少しずつずれて行くような現象が生じても、当該現象に追従するように基準画像データを変更して行くことができることにより、射出成形機監視装置10は、実用上十分な精度で射出成形機の監視を続けることができる。
【0106】
かくして1回の射出成形サイクルが終了したので、CPU17は、ステップSP49において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として型締インターロック解除信号を与えることにより射出成形機本体1が型締動作をして射出成形工程に入ることができる状態にした後、上述のステップSP21(図3)に移って次の射出成形サイクルに対する監視動作に入る。
【0107】
ユーザが操作入力部25(図1)を操作することにより射出成形サイクルを終了させる場合には、CPU17はステップSP47(図4)において肯定結果を得ることにより、監視サイクル処理ルーチンRT2のすべての処理を終了して、ステップSP50からメインルーチンすなわち監視処理ルーチンRT1(図2)にリターンし、その後ステップSP60において当該監視処理ルーチンRT1のすべての処理を終了する。
【0108】
以上の構成において、CPU17は、ステップSP9における監視領域の設定において、射出成形製品IMとほぼ同等の形状でなるキャビティCVの画像部分を囲うように監視領域を設定する際の基準となる始点位置P1をユーザにより指定され、続いてユーザ所望の監視領域の形状を監視領域形状選択部40を操作することにより選択された後、終点位置P2を指定されると、ユーザが選択した監視領域の形状に対応させて、円形、楕円形、正方形又は長方形の形状でなる監視領域を始点位置を基準とした位置に配置する。
【0109】
以上の構成によれば、始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作をユーザに行わせるだけで、ユーザ所望の形状でなる監視領域を設定することができると共に、多角形で監視領域を設定する場合と比べて、様々な射出成形製品及びキャビティの形状に近似した形状の監視領域を設定することができるため、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、監視処理において高い精度で異常の検出を行うことができることにより、操作性を一段と高め得る射出成形機監視装置を実現できる。
【0110】
(4)他の実施の形態
上述の実施の形態の場合、円形監視領域KCを設定する際、始点位置P1を中心とし、当該始点位置P1から終点位置P2までの距離DRを半径とする円形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする正方形でなる外接正方形に内接する円形を設定しても良い。
【0111】
また上述の実施の形態の場合、楕円形監視領域設定KOを設定する際、始点位置P1を中心とし終点位置P2を頂点とする外接長方形IMG_Lに内接する楕円形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする長方形でなる外接長方形に内接する楕円形を設定しても良い。
【0112】
さらに上述の実施の形態の場合、正方形監視領域KSを設定する際、始点位置P1を1つの角の頂点とし終点位置P2をその対角とする正方形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1から終点位置P2までの距離を半径とする内接円形に外接する正方形を設定しても良い。
【0113】
さらに上述の実施の形態の場合、長方形監視領域KLを設定する際、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする長方形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1から終点位置P2までの距離を、始点位置P1を中心とし当該始点位置P1から全ての角の頂点までの距離とする長方形を設定しても良い。
【0114】
さらに上述の実施の形態の場合、金型51にはキャビティCVが一箇所設けられ、当該キャビティCVを囲うように監視領域Kを設定するようにしたが、これに代え、キャビティが複数箇所設けられた金型を用いて、それらのキャビティをそれぞれ個別に囲うように複数の監視領域を設定しても良く、又は複数のキャビティをまとめて囲うように監視領域を設定しても良い。
【0115】
その場合キャビティをそれぞれ個別に囲うように複数の監視領域を設定した場合、CPU17は、複数のキャビテイをまとめて囲うように監視領域を設定した場合と比べて、監視処理の処理負荷は増加するが、各監視領域ごとに監視処理を実行するため、より精度の高い監視処理を行うことができる。
【0116】
さらに上述の実施の形態の場合、固定側型3に対向する可動側型2が水平方向に移動する、いわゆる横型方式の射出成形機本体1を監視する射出成形機監視装置10において本発明の監視領域設定処理を適用するようにしたが、これに代え、回転可能に構成されたロータリーテーブルの上に複数の固定側型が配置され当該固定側型に対向する可動側が上下方向に移動する、いわゆる縦型ロータリー方式の射出成形機本体を監視する射出成形機監視装置に適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は射出成形機の射出成形動作を監視する場合に適用できる。
【符号の説明】
【0118】
1……射出成形機本体、2……可動側型、3……固定側型、4……導管、5……ガイド、6……射出成形機本体駆動制御装置、10……射出成形機監視装置、11……テレビジョンカメラ、12……画像入力回路、13……画像処理回路、15……バス、16……プログラムメモリ、17……中央処理ユニット(CPU)、18……データメモリ、19……画像表示回路、20……モニタ、21……制御信号入出力部、31……手動操作パネル、40……監視領域形状選択部、40A……送り部、40B……戻り部、41……選択形状提示部、42……操作部、42A……確定操作部、42B……キャンセル操作部、42C……戻り操作部、51……金型、K……監視領域、CV……キャビティ、P1……始点位置、P2……終点位置、D1……1次監視基準画像データ、D2……2次監視基準画像データ、D3……監視領域データ、D4……1次監視検出画像データ、D5……2次監視検出画像データ、DIPX……監視領域設定画面。
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機監視装置に関し、特に監視機能を改善しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来例えば合成樹脂材料を射出成形する射出成形機の監視装置として、撮像手段としてのテレビジョンカメラによって射出成形機本体を撮像して得られるビデオ信号に基づいて、射出成形機本体の射出成形動作が正常か否かの判定をするようにしたものが用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
射出成形機本体は1つの射出成形製品を成形するごとに射出成形サイクルを繰り返す。
【0004】
すなわち可動側型が固定側型に圧接した状態(この状態を「型締め」状態と呼ぶ)において、導管を通じて合成樹脂材料を射出することにより、可動側型及び固定側型内に射出成形製品を成形する。
【0005】
この射出成形製品は、可動側型が固定側型からガイドに沿って離間した位置に後退したとき(この状態を「型開」状態と呼ぶ)、可動側型の内面に付着した状態で型開位置にまで持ち来され、その後可動側型に付着した射出成形製品は可動側型の後方から突き出される突出しピンによって可動側型から突き出され(この動作を「突出し」動作と呼ぶ)、取出機により取り出される。
【0006】
かくして1つの射出成形製品が射出成形機本体から取り出されたとき、射出成形工程の一巡動作(すなわち1回の射出成形サイクル)が終了して次の射出成形サイクルに入る。
【0007】
このとき可動側型が固定側型に向かって前進して、可動側型が固定側型に圧接した型締め状態に戻り、以下同様にして射出成形サイクルが繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−39581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種の射出成形機監視装置においては、射出成形機本体が型開動作をした際に射出成形製品が固定側型に付着したまま残る(いわゆる固定側型残り)状態になったり、射出成形製品が完全に成形されずに一部が欠けた(いわゆるショートモールド)状態になったりするなどのように、型開モード時に生ずる異常を監視する(これを「1次監視」と呼ぶ)必要がある。
【0010】
また、射出成形機本体が突出し動作をした後に、射出成形製品が可動側型から外れずに可動側型に残る(いわゆる可動側型残り)状態になったり、射出成形製品を突き出した際に突出しピンが折れる(いわゆるピン折れ)状態になったりするなどのように、突出し動作モード時に生ずる異常を監視する(これを「2次監視」と呼ぶ)必要がある。
【0011】
このような異常が生じたとき、この状態を放置すれば、次の射出成形サイクルにおいて、可動側型及び又は固定側型を損傷したり、不良製品が成形されたりするといったような派生的な事故が生ずるおそれがあり、これらの異常の発生を直ちに検知する必要がある。
【0012】
射出成形機監視装置は、監視動作開始時に可動側型を撮像することにより、異常を判定する際の基準となる監視基準画像データを取得し、その後順次繰り返される射出成形サイクルにおいて、可動側型を撮像することにより取得した異常を検出する監視検出画像データと、予め撮像した監視基準画像データとを比較することにより、そのような異常の発生を検出する。
【0013】
そのような異常発生検出処理を行う際、ユーザは、監視動作開始時において射出成形機監視装置におけるモニタに表示された監視基準画像データを目視しながら監視すべき監視領域を予め設定し、その後の射出成形サイクルにおいて射出成形機監視装置は、基準画像データと検出画像データとにおける、予め設定された監視領域内に含まれる画素を比較することにより異常発生検出処理を行う。
【0014】
そのような監視領域はキャビティ及び当該キャビティに射出成形される射出成形製品の形状に対応させた多角形形状となっており、当該監視領域は、タッチパネルでなるモニタをユーザがタッチして当該多角形における頂点を3箇所以上指定していき、その後射出成形機監視装置がその複数の頂点を直線で結ぶことにより形成された形状となっていた。
【0015】
しかしながらそのように多角形でなる監視領域を設定する場合、射出成形機監視装置は、多角形における3点以上の頂点をユーザに指定させておりユーザに煩雑な操作を強いることとなっていたため、さらに操作性を向上させたいという要望があった。
【0016】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、一段と操作性を向上させた射出成形機監視装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる課題を解決するため本発明においては、監視動作開始時において射出成形機本体1が型開動作及び突出し動作を行ったときに当該射出成形機本体1を撮像手段によって撮像することにより得られるビデオ信号VD1を用いて、射出成形機本体1の異常動作の判定において基準となる画像データとして監視基準画像データを得る監視基準画像データ取得手段と、順次繰り返される射出成形機本体1の射出成形サイクルにおいて、型開動作時又は突出し動作時に得られるビデオ信号VD1を用いて異常動作を検出する画像データとして監視検出画像データを得る監視検出画像データ取得手段と、異常動作の発生を監視すべき領域である監視領域Kの形状を指定する監視領域形状指定手段と、監視基準画像データのうち、監視領域Kを設定する際に基準となる始点位置P1を指定する始点位置指定手段と、監視基準画像データのうち、監視領域Kの大きさを規定する終点位置P2を指定する終点位置指定手段と、監視領域形状指定手段により指定された形状でなり、始点位置P1と終点位置P2とに基づく大きさで始点位置P1を基準として配置された監視領域Kを設定する監視領域設定手段と、監視領域K内部の領域についての監視基準画像データと監視検出画像データとの明るさの比較結果を求めることにより、射出成形機本体1の異常動作を監視する監視手段とを設ける。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、始点位置と終点位置とを指定するという簡易な操作をユーザに行わせるだけで、ユーザ所望の形状でなる監視領域を設定することができるため、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、操作性を一段と高め得る射出成形機監視装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による射出成形機監視装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】監視処理手順を示すフローチャートである。
【図3】監視サイクル処理手順(1)を示すフローチャートである。
【図4】監視サイクル処理手順(2)を示すフローチャートである。
【図5】1次監視基準画像データを示す略線図である。
【図6】2次監視基準画像データを示す略線図である。
【図7】監視領域設定画面(始点位置設定)を示す略線図である。
【図8】監視領域設定画面(円形)を示す略線図である。
【図9】監視領域設定画面(楕円形)を示す略線図である。
【図10】監視領域設定画面(正方形)を示す略線図である。
【図11】監視領域設定画面(長方形)を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0021】
(1)射出成形機監視装置の全体構成
図1において、1は射出成形機本体を示し、可動側型2が固定側型3に圧接した型締め状態において導管4を通じて合成樹脂材料を射出することにより、可動側型2及び固定側型3内に射出成形製品を成形する。
【0022】
この射出成形製品は、可動側型2が固定側型3からガイド5に沿って離間した型開状態になったとき、可動側型2の内面に付着した状態で型開位置にまで持ち来され、その後可動側型2の後方から突出しピン(図示せず)が突出し動作をすることによって可動側型2から外され、取出機(図示せず)によって取り出される。
【0023】
かかる射出成形機本体1の射出成形サイクルは射出成形機本体駆動制御装置6に設けられているシーケンサによって自動的に制御される。
【0024】
射出成形機本体1の射出成形動作は射出成形機監視装置10に設けられている撮像手段としてのテレビジョンカメラ11によって撮像され、そのビデオ信号VD1が画像入力回路12においてビデオデータDATA1に変換されて画像処理回路13に入力されて保持される。
【0025】
画像処理回路13に保持されたビデオデータDATA1は、バス15を介してプログラムメモリ16のプログラムによって処理動作をする中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)17に所定のタイミングで取り込まれると共に、各画素ごとにバス15を介してデータメモリ18に格納される。
【0026】
CPU17は、データメモリ18に格納されたビデオデータDATA1に基づいて、異常の発生の有無を判定し、当該判定結果を表す判定結果画像データDATA2をバス15を介して画像処理回路13に与える。
【0027】
画像処理回路13は、この判定結果画像データDATA2を画像表示回路19に与えることにより、画像表示回路19においてテレビジョンカメラ11から供給されるビデオ信号VD1に重畳して表示画像信号VD2としてモニタ20に与える。
【0028】
かくしてモニタ20は、ビデオ信号VD1に基づいて現在テレビジョンカメラ11が撮像している射出成形機本体1の画像に対して、CPU17が判定した異常状態(又は正常状態)を表す判定結果画像データDATA2に基づいて、異常が発生した画像部分に異常発生表示を表示してなる監視画面をユーザに提示する。
【0029】
またモニタ20には、タッチパネルでなる操作入力部25が組み込まれており、ユーザは当該操作入力部25を操作することにより、バス15を介して各種操作指令をCPU17に入力するようになされている。
【0030】
CPU17は、射出成形機本体駆動制御装置6から制御信号入出力部21を介して与えられる監視制御信号S1によって監視処理動作をすべきタイミングを判知して判定動作をすると共に、当該判定動作及び判定結果に基づいて制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6にシーケンス制御信号S2を与えることにより、射出成形機本体1を射出成形機監視装置10の監視動作と同期動作させるような制御を実行する。
【0031】
かくしてCPU17は、射出成形機本体1の射出成形サイクルの動作と同期しながら、以下に述べる監視処理動作を実行する。
【0032】
(2)監視処理
ユーザが操作入力部25を介して監視処理モードを指定すると、CPU17は、図2の監視処理ルーチンRT1に入って、ステップSP1において型開限信号がオンになるのを待ち受け、射出成形機本体1が型開状態になるのを確認してその後の動作を実行するタイミングを射出成形機本体1に合わせる処理をし、これにより、射出成形機本体駆動制御装置6は、射出成形機本体1の可動側型2を型開位置にまで後退させたとき、監視制御信号S1としてオン状態に遷移した型開限信号を制御信号入出力部21を介してCPU17に与える。
【0033】
このときCPU17は、次のステップSP2においてシーケンス制御信号S2として型締めインターロック設定信号を制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより、射出成形機本体1を型締め動作させないように射出成形機本体駆動制御装置6を制御し、これにより射出成形機本体1を型開状態のまま保持させる。
【0034】
このように射出成形機本体1が型開状態を保持している状態において、CPU17は、次のステップSP3において、現在テレビジョンカメラ11から得られているビデオ信号VD1(型開状態にある射出成形機本体1の金型内部の映像を表している)を、画像入力回路12を介して1フレーム分のビデオデータDATA1として画像処理回路13に入力する。また画像表示回路19はビデオ信号VD1をテレビジョンカメラ11から供給され、当該ビデオ信号VD1を表示画像信号VD2としてモニタ20に与える。
【0035】
かくしてモニタ20は、ビデオ信号VD1に基づいて現在テレビジョンカメラ11が撮像している金型内部の映像をユーザに提示する。
【0036】
続いてCPU17はステップSP4において画像処理回路13に入力された型開状態を表す1フレーム分の画像データを1次監視基準画像データD1としてデータメモリ18に登録する。
【0037】
この実施の形態の場合、CPU17は、図5に示すようにキャビティCVに射出成形された射出成形製品IMがモニタ20に表示される1次監視基準画像データD1を登録する。
【0038】
かくしてデータメモリ18に登録された画像データは、射出成形機本体1が正常動作をしている時には、可動側型2に射出成形製品IMが付着した状態で可動側型2が型開位置に移動している状態を表しており、CPU17はこの型開状態の1フレーム分の画像データを、1次監視時の異常発生の有無を判断する際に用いる基準データとしてフレームメモリ18に取得したことになる。
【0039】
続いてCPU17は、ステップSP5において、シーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を制御信号入出力部21を介して射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより、射出成形機本体1の突出し動作の開始を許すと共に、次のステップSP6において射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1としてオン状態に遷移した突出し完了信号が制御信号入出力部21を介して到来するのを待ち受ける状態になる。
【0040】
やがてオン状態に遷移した突出し完了信号が到来すると、CPU17は次のステップSP7において現在テレビジョンカメラ11から得られているビデオ信号VD1(射出成形機本体1が突出し完了状態にあることを表している)を、画像入力回路12を介して1フレーム分のビデオデータDATA1として画像処理回路13に入力する。
【0041】
続いてCPU17はステップSP8において画像処理回路13に入力された突出し完了状態を表す1フレーム分の画像データを2次監視基準画像データD2としてデータメモリ18に登録する。
【0042】
この実施の形態の場合、CPU17は、図6に示すようにキャビティCVがモニタ20に表示される2次監視基準画像データD2を登録する。
【0043】
かくしてデータメモリ18に登録された画像データは、射出成形機本体1が正常動作をしている時には、射出成形機本体1が突出し動作をすることにより可動側型2に付着していた射出成形製品が外され、取出機により取り出された状態を表しており、CPU17はこの突出状態の1フレーム分の画像データを、2次監視時の異常発生の有無を判断する際に用いる基準データとしてデータメモリ18に取得したことになる。
【0044】
(2−1)監視領域設定処理
続いてCPU17は、ステップSP9において、型開動作時及び突出し動作時において監視対象を監視する領域(以下これを監視領域とも呼ぶ)の位置、形状及び大きさをユーザにより設定され、当該監視領域をデータメモリ18に記憶する監視領域設定処理を実行する。
【0045】
ここで、監視領域とは、後述する1次監視及び2次監視において基準画像データと検出画像データとを比較する際に、当該基準画像データ及び検出画像データにおいて比較する画素データの範囲を示しており、CPU17は、当該監視領域の範囲外の画素データについては比較を行わないことにより、1次監視及び2次監視において、監視領域外で発生した、光の反射、ごみの付着等に起因する外乱映像を除去し、当該外乱映像に影響されることなく監視処理を行うことができるようになされている。
【0046】
後述するようにユーザは、キャビティCVに射出成形される射出成形製品IMの形状に合わせて、円形、楕円形、正方形及び長方形の中から監視領域の形状を選択することができるようになされている。
【0047】
ここで、キャビティCVに射出成形される射出成形製品IMは、図5に示す1次監視基準画像データD1のように当該キャビティCVとほぼ同じ形状となるため、そのようなキャビティCVの形状に合わせて監視領域Kの形状を設定すれば、当該監視領域Kは、射出成形製品IMの形状にも近似していることとなる。
【0048】
この監視領域の設定においてCPU17は、図6に示す2次監視基準画像データD2のように、金型51におけるキャビティCVを囲うようにユーザがモニタ20を見ながら操作入力部25を用いて監視領域Kを設定入力したとき、当該監視領域Kの位置、形状及び大きさのデータを監視領域データD3としてデータメモリ18に格納する。
【0049】
これにより、監視領域データD3が表す監視領域の位置、形状及び大きさのデータは、2次監視基準画像データD2においてはキャビティCVの位置、形状及び大きさを、一方1次監視基準画像データD1においては当該キャビティCVに付着した射出成形製品IMの位置、形状及び大きさをほぼ表していることになる。
【0050】
監視領域設定処理においてCPU17は、図7に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0051】
監視領域設定画面DIPXは、監視領域形状選択部40と、選択形状提示部41と、操作部42とを表示する。
【0052】
ユーザは操作入力部25(図1)を操作することにより、後述する監視サイクル処理ルーチンにおいてキャビティCVに射出成形されることが予測される射出成形製品IMの画像部分を囲うように、監視領域を設定する際の基準となる始点位置P1を指定すると、CPU17は、当該始点位置P1をデータメモリ18に記憶する。
【0053】
続いてユーザは、監視領域形状選択部40における送り部40A又は戻り部40Bを操作することにより、所望の監視領域の形状を選択する。
【0054】
CPU17は、送り部40Aが操作される度に、円形、楕円形、正方形、長方形を順番に切り替えながら選択形状提示部41に表示することにより、現在選択されている監視領域の形状をユーザに提示する。因みに図7においては円形が選択されている。
【0055】
一方CPU17は、戻り部40Bが操作される度に送り部40Aは逆の順序で、長方形、正方形、楕円形、円形を順番に切り替えながら選択形状提示部41に表示することにより、現在選択されている監視領域の形状をユーザに提示する。
【0056】
その後、再びユーザが操作入力部25を操作することにより終点位置(後述する)が指定されると、CPU17は、ユーザにより選択され選択形状提示部41に提示されている監視領域の形状に基づき、後述する円形監視領域設定処理、楕円形監視領域設定処理、正方形監視領域設定処理又は長方形監視領域設定処理のうちいずれかを実行する。
【0057】
(2−1−1)円形監視領域設定処理
円形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが円形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように円形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の円形監視領域設定処理を実行する。
【0058】
円形監視領域設定処理においてCPU17は、図8に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0059】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を中心とし、当該始点位置P1から終点位置P2までの距離DRを半径とする円形でなる円形監視領域KCをモニタ20に表示する。
【0060】
当該円形監視領域KCの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが操作部42における戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は円形監視領域KC及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザが操作部42におけるキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は円形監視領域KC、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0061】
一方、円形監視領域KCの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが操作部42における確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は円形監視領域KCの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0062】
このように円形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置及び大きさでなる円形監視領域KCを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が円形又は円形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定することができるため、CPU17は、円形監視領域KCの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる。
【0063】
(2−1−2)楕円形監視領域設定処理
一方、楕円形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが楕円形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように楕円形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の楕円形監視領域設定処理を実行する。
【0064】
楕円形監視領域設定処理においてCPU17は、図9に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0065】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を中心とし終点位置P2を1つの角の頂点とする外接長方形IMG_Lに内接する楕円形でなる楕円形監視領域KOをモニタ20に表示する。
【0066】
当該楕円形監視領域KOの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は楕円形監視領域KO及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザがキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は楕円形監視領域KO、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0067】
一方、楕円形監視領域KOの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は楕円形監視領域KOの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0068】
このように楕円形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置、大きさ及び縦横比でなる外接長方形IMG_Lに内接する楕円形でなる楕円形監視領域KOを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が楕円形又は楕円形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定することができるため、CPU17は、楕円形監視領域KOの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる。
【0069】
(2−1−3)正方形監視領域設定処理
一方、正方形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが正方形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように正方形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の正方形監視領域設定処理を実行する。
【0070】
正方形監視領域設定処理においてCPU17は、図10に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0071】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする正方形でなる正方形監視領域KSをモニタ20に表示する。
【0072】
このときCPU17は、始点位置P1から終点位置P2までの横方向の距離である横方向距離DHと、縦方向の距離である縦方向距離DVとが異なっている場合、短い方の距離を1辺の長さとする正方形を表示するようになされている。
【0073】
当該正方形監視領域KSの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は正方形監視領域KS及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザがキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は正方形監視領域KS、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0074】
一方、正方形監視領域KSの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は正方形監視領域KSの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0075】
このように正方形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置及び大きさでなる正方形監視領域KSを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が正方形又は正方形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定し易いため、CPU17は、正方形監視領域KSの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる。
【0076】
(2−1−4)長方形監視領域設定処理
一方、長方形の監視領域がユーザにより選択された状態で終点位置が指定されると、このことはキャビティCVに成形される射出成形製品IMが長方形の形状となることがユーザにより予測され、当該射出成形製品IMの画像部分を囲うように長方形監視領域を設定すべきであることを意味しており、このときCPU17は、以下の長方形監視領域設定処理を実行する。
【0077】
長方形監視領域設定処理においてCPU17は、図11に示すように金型51が映された監視領域設定画面DIPXをモニタ20に表示する。
【0078】
上述したように始点位置P1が指定され監視領域の形状が選択された後に、終点位置P2がユーザにより指定されると、CPU17は、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする長方形でなる長方形監視領域KLをモニタ20に表示する。
【0079】
当該長方形監視領域KLの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りでなかった場合、ユーザが戻り操作部42Cを操作することにより、CPU17は長方形監視領域KL及び終点位置P2の表示を消去すると共に、再び終点位置P2をユーザに入力させる状態になる。また、ユーザがキャンセル操作部42Bを操作した場合、CPU17は長方形監視領域KL、始点位置P1及び終点位置P2の表示を消去すると共に、上述した始点位置P1をユーザに入力させる状態まで戻る。
【0080】
一方、長方形監視領域KLの位置、形状及び大きさがユーザ所望の通りであった場合、ユーザが確定操作部42Aを操作することにより、CPU17は長方形監視領域KLの位置、形状及び大きさを確定し、データメモリ18に記憶する。
【0081】
このように長方形の監視領域を指定する場合、ユーザは始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作を行うだけで、当該始点位置P1と終点位置P2とに応じ規定される位置、大きさ及び縦横比でなる長方形監視領域KLを設定することができると共に、射出成形される射出成形製品IMの形状が長方形又は長方形に近い形状である場合、多角形形状の監視領域を設定するよりも、射出成形製品IMの形状に近似した形状でなる監視領域を設定し易いため、CPU17は、長方形監視領域KLの外部で発生した外乱映像を効果的に除去し、当該外乱映像に影響されることなく後述する監視処理を行うことができる
【0082】
このように上述した監視領域設定処理において射出成形機監視装置10は、始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作をユーザに行わせるだけで、ユーザ所望の形状でなる監視領域を設定することができると共に、多角形で監視領域を設定する場合と比べて、様々な射出成形製品及びキャビティの形状に近似した形状の監視領域を設定することができるため、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、監視処理において高い精度で異常の検出を行うことができる。
【0083】
以上により円形、楕円形、正方形又は長方形いずれかの形状でなる監視領域の設定が終了すると、CPU17は、ステップSP10(図2)においてシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を制御信号入出力部21から射出成形機本体駆動制御装置6に与えることにより射出成形機本体1に対して突出し動作をさせない状態に制御した後、ステップSP11においてシーケンス制御信号S2として型締めインターロック解除信号を射出成形機本体駆動制御装置6に与え、これにより射出成形機本体1の型締め動作を許す状態に制御する。
【0084】
続いてCPU17は、次の監視サイクル処理ルーチンRT2に移り、射出成形機本体1の固定側型3及び可動側型2によって次の射出成形製品を射出成形するための射出成形サイクルを実行させる。
【0085】
(3)監視サイクル処理
CPU17は、図3及び図4に示す監視サイクル処理ルーチンRT2を実行することにより、射出成形機本体1が射出成形製品を1つずつ射出成形するごとに当該射出成形動作に異常が生じたか否かの監視処理を実行する。
【0086】
(3−1)1次監視処理
監視サイクル処理ルーチンRT2に入ると、CPU17は、ステップSP21において射出成形機本体1が現在射出成形した射出成形製品についてオン状態に遷移した型開限信号が射出成形機本体駆動制御装置6から監視制御信号S1として到来するのを待ち受ける状態になると共に、オン状態の型開限信号が到来したとき次のステップSP22において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として型締めインターロック設定信号を与え、これにより射出成形機本体1が型開状態になったことを確認すると共に、型締め動作をさせない状態に射出成形機本体1を制御する。
【0087】
この状態においてCPU17は、次のステップSP23において1フレーム分のビデオデータDATA1を1次監視検出画像データD4として画像処理回路13を介してデータメモリ18に記憶する。
【0088】
CPU17は、ステップSP24において、データメモリ18に記憶された1次監視基準画像データD1(図5)と1次監視検出画像データD4と、を比較する1次監視処理を実行した後、ステップSP25において比較結果が異常か否かの判定をする。
【0089】
ステップSP25においてCPU17は、上述した監視領域設定処理において設定した監視領域K内部に含まれる画素からなる基準画像データ及び検出画像データを、1次監視基準画像データD1及び1次監視検出画像データD4から得、この基準画像データと検出画像データとの明るさの偏差を各画素について求め、当該偏差が所定のしきい値を超えた画素の数を集計する。
【0090】
当該集計値が所定の許容値を超えたとき、CPU17は、1次監視において当該監視領域Kに異常が生じたと判断し、ステップSP26に移り異常警告出力を送出すると共にステップSP26〜SP29における異常時処理を行う。
【0091】
(3−2)異常時処理
このように1次監視処理で異常と判定された場合、実際上ユーザは射出成形機本体1(図1)の安全扉を開いて手動操作パネル31を操作することにより射出成形機本体1を手動で動作させ、これにより異常の発生原因を手動で除去し、当該作業が終了したとき安全扉を閉めて再度自動監視サイクルに戻す。
【0092】
ここで射出成形機本体1の安全扉が閉められたとき、射出成形機本体駆動制御装置6は監視制御信号S1としてオフ状態に遷移したリセット信号を制御信号入出力部21を介してCPU17に送る。
【0093】
このときCPU17は、ステップSP27においてオフ状態に遷移したリセット信号を受けてステップSP28に移って異常警告出力を消去する。
【0094】
続いてCPU17は、次のステップSP29においてシーケンス制御信号S2として型締めインターロック解除信号を射出成形機本体駆動制御装置6に与え、これにより射出成形機本体1の型締め動作を許す状態に制御した後、上述のステップSP21に戻って次の射出成形サイクルに対する監視動作に入る。
【0095】
これに対して上述したステップSP25における1次監視処理において正常であるとの結果が得られたとき、このことは射出成形機本体1が1次監視において正常であるとの判定結果が得られたことになり、このときCPU17はステップSP41(図4)に移る。
【0096】
(3−3)2次監視処理
CPU17は、ステップSP41において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック解除信号を与えると共に、次のステップSP42において射出成形機本体駆動制御装置6からの監視制御信号S1としてオン状態に遷移した突出し完了信号が到来するのを待ち受ける。
【0097】
この状態において射出成形機本体1は型開状態から突出し動作をすることにより射出成形製品を可動側型2から突き出し、取出機に取り出させる。
【0098】
その結果突出し完了信号がオン状態に遷移すると、CPU17は、ステップSP43に移って射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として突出しインターロック設定信号を与えることにより射出成形機本体1を突出し状態のまま保持させ、以下に述べる2次監視へ進む。
【0099】
続いてCPU17は、ステップSP44においてテレビジョンカメラ11のビデオ信号VD1に基づいて突出し状態における2次監視検出画像データD5をデータメモリ18に取り込んで記憶する。
【0100】
CPU17は、ステップSP45において、データメモリ18に記憶された2次監視基準画像データD2(図6)と2次監視検出画像データD5とを比較する2次監視処理を実行した後、ステップSP46において比較結果が異常か否かの判定をする。
【0101】
ステップSP46においてCPU17は、上述した監視領域設定処理において設定した監視領域K内部に含まれる画素からなる基準画像データ及び検出画像データを、2次監視基準画像データD2及び2次監視検出画像データD5から得、この基準画像データと検出画像データとの明るさの偏差を各画素について求め、当該偏差が所定のしきい値を超えた画素の数を集計する。
【0102】
当該集計値が所定の許容値を超えたとき、CPU17は、2次監視において当該監視領域Kに異常が生じたと判断し、ステップSP26(図3)に移り上述した異常時処理を行う。
【0103】
これに対して上述したステップSP46における2次監視処理において正常であるとの結果が得られたとき、このことは射出成形機本体1が2次監視において正常であるとの判定結果が得られたことになり、このときCPU17はステップSP47及びSP48に移って登録画像の更新処理を実行する。
【0104】
(3−4)更新処理
この登録画像の更新においてCPU17は、現在データメモリ18に格納されている1次監視基準画像データD1を1次監視検出画像データD4によって登録し直すと共に、2次監視基準画像データD2を2次監視検出画像データD5によって更新する。
【0105】
かくして正常動作をしたときの検出画像データを基準画像データとして保持することにより、例えば外囲光が時間と共に変化したり、射出成形サイクルを繰り返したとき金型の位置が少しずつずれて行くような現象が生じても、当該現象に追従するように基準画像データを変更して行くことができることにより、射出成形機監視装置10は、実用上十分な精度で射出成形機の監視を続けることができる。
【0106】
かくして1回の射出成形サイクルが終了したので、CPU17は、ステップSP49において射出成形機本体駆動制御装置6に対するシーケンス制御信号S2として型締インターロック解除信号を与えることにより射出成形機本体1が型締動作をして射出成形工程に入ることができる状態にした後、上述のステップSP21(図3)に移って次の射出成形サイクルに対する監視動作に入る。
【0107】
ユーザが操作入力部25(図1)を操作することにより射出成形サイクルを終了させる場合には、CPU17はステップSP47(図4)において肯定結果を得ることにより、監視サイクル処理ルーチンRT2のすべての処理を終了して、ステップSP50からメインルーチンすなわち監視処理ルーチンRT1(図2)にリターンし、その後ステップSP60において当該監視処理ルーチンRT1のすべての処理を終了する。
【0108】
以上の構成において、CPU17は、ステップSP9における監視領域の設定において、射出成形製品IMとほぼ同等の形状でなるキャビティCVの画像部分を囲うように監視領域を設定する際の基準となる始点位置P1をユーザにより指定され、続いてユーザ所望の監視領域の形状を監視領域形状選択部40を操作することにより選択された後、終点位置P2を指定されると、ユーザが選択した監視領域の形状に対応させて、円形、楕円形、正方形又は長方形の形状でなる監視領域を始点位置を基準とした位置に配置する。
【0109】
以上の構成によれば、始点位置P1と終点位置P2とを指定するという簡易な操作をユーザに行わせるだけで、ユーザ所望の形状でなる監視領域を設定することができると共に、多角形で監視領域を設定する場合と比べて、様々な射出成形製品及びキャビティの形状に近似した形状の監視領域を設定することができるため、ユーザに煩雑な操作を強いることなく、監視処理において高い精度で異常の検出を行うことができることにより、操作性を一段と高め得る射出成形機監視装置を実現できる。
【0110】
(4)他の実施の形態
上述の実施の形態の場合、円形監視領域KCを設定する際、始点位置P1を中心とし、当該始点位置P1から終点位置P2までの距離DRを半径とする円形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする正方形でなる外接正方形に内接する円形を設定しても良い。
【0111】
また上述の実施の形態の場合、楕円形監視領域設定KOを設定する際、始点位置P1を中心とし終点位置P2を頂点とする外接長方形IMG_Lに内接する楕円形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする長方形でなる外接長方形に内接する楕円形を設定しても良い。
【0112】
さらに上述の実施の形態の場合、正方形監視領域KSを設定する際、始点位置P1を1つの角の頂点とし終点位置P2をその対角とする正方形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1から終点位置P2までの距離を半径とする内接円形に外接する正方形を設定しても良い。
【0113】
さらに上述の実施の形態の場合、長方形監視領域KLを設定する際、始点位置P1を1つの角の頂点とし、終点位置P2をその対角とする長方形を設定するようにしたが、これに代え、始点位置P1から終点位置P2までの距離を、始点位置P1を中心とし当該始点位置P1から全ての角の頂点までの距離とする長方形を設定しても良い。
【0114】
さらに上述の実施の形態の場合、金型51にはキャビティCVが一箇所設けられ、当該キャビティCVを囲うように監視領域Kを設定するようにしたが、これに代え、キャビティが複数箇所設けられた金型を用いて、それらのキャビティをそれぞれ個別に囲うように複数の監視領域を設定しても良く、又は複数のキャビティをまとめて囲うように監視領域を設定しても良い。
【0115】
その場合キャビティをそれぞれ個別に囲うように複数の監視領域を設定した場合、CPU17は、複数のキャビテイをまとめて囲うように監視領域を設定した場合と比べて、監視処理の処理負荷は増加するが、各監視領域ごとに監視処理を実行するため、より精度の高い監視処理を行うことができる。
【0116】
さらに上述の実施の形態の場合、固定側型3に対向する可動側型2が水平方向に移動する、いわゆる横型方式の射出成形機本体1を監視する射出成形機監視装置10において本発明の監視領域設定処理を適用するようにしたが、これに代え、回転可能に構成されたロータリーテーブルの上に複数の固定側型が配置され当該固定側型に対向する可動側が上下方向に移動する、いわゆる縦型ロータリー方式の射出成形機本体を監視する射出成形機監視装置に適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は射出成形機の射出成形動作を監視する場合に適用できる。
【符号の説明】
【0118】
1……射出成形機本体、2……可動側型、3……固定側型、4……導管、5……ガイド、6……射出成形機本体駆動制御装置、10……射出成形機監視装置、11……テレビジョンカメラ、12……画像入力回路、13……画像処理回路、15……バス、16……プログラムメモリ、17……中央処理ユニット(CPU)、18……データメモリ、19……画像表示回路、20……モニタ、21……制御信号入出力部、31……手動操作パネル、40……監視領域形状選択部、40A……送り部、40B……戻り部、41……選択形状提示部、42……操作部、42A……確定操作部、42B……キャンセル操作部、42C……戻り操作部、51……金型、K……監視領域、CV……キャビティ、P1……始点位置、P2……終点位置、D1……1次監視基準画像データ、D2……2次監視基準画像データ、D3……監視領域データ、D4……1次監視検出画像データ、D5……2次監視検出画像データ、DIPX……監視領域設定画面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視動作開始時において射出成形機本体が型開動作及び突出し動作を行ったときに当該射出成形機本体を撮像手段によって撮像することにより得られるビデオ信号を用いて、上記射出成形機本体の異常動作の判定において基準となる画像データとして監視基準画像データを得る監視基準画像データ取得手段と、
順次繰り返される上記射出成形機本体の射出成形サイクルにおいて、上記型開動作時又は上記突出し動作時に得られる上記ビデオ信号を用いて異常動作を検出する画像データとして監視検出画像データを得る監視検出画像データ取得手段と、
異常動作の発生を監視すべき領域である監視領域の形状を指定する監視領域形状指定手段と、
上記監視基準画像データのうち、上記監視領域を設定する際に基準となる始点位置を指定する始点位置指定手段と、
上記監視基準画像データのうち、上記監視領域の大きさを規定する終点位置を指定する終点位置指定手段と、
上記監視領域形状指定手段により指定された形状でなり、上記始点位置と上記終点位置とに基づく大きさで上記始点位置を基準として配置された上記監視領域を設定する監視領域設定手段と、
上記監視領域内部の領域についての上記監視基準画像データと上記監視検出画像データとの明るさの比較結果を求めることにより、上記射出成形機本体の異常動作を監視する監視手段と
を有する射出成形機監視装置。
【請求項2】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を中心とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさでなる上記監視領域を設定する
請求項1に記載の射出成形機監視装置。
【請求項3】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を中心とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさと、当該始点位置と上記終点位置との位置関係に応じた縦横比でなる上記監視領域を設定する
請求項2に記載の射出成形機監視装置。
【請求項4】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を1つの角の頂点とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさでなる上記監視領域を設定する
請求項1に記載の射出成形機監視装置。
【請求項5】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を1つの角の頂点とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさと、当該始点位置と上記終点位置との位置関係に応じた縦横比でなる上記監視領域を設定する
請求項4に記載の射出成形機監視装置。
【請求項1】
監視動作開始時において射出成形機本体が型開動作及び突出し動作を行ったときに当該射出成形機本体を撮像手段によって撮像することにより得られるビデオ信号を用いて、上記射出成形機本体の異常動作の判定において基準となる画像データとして監視基準画像データを得る監視基準画像データ取得手段と、
順次繰り返される上記射出成形機本体の射出成形サイクルにおいて、上記型開動作時又は上記突出し動作時に得られる上記ビデオ信号を用いて異常動作を検出する画像データとして監視検出画像データを得る監視検出画像データ取得手段と、
異常動作の発生を監視すべき領域である監視領域の形状を指定する監視領域形状指定手段と、
上記監視基準画像データのうち、上記監視領域を設定する際に基準となる始点位置を指定する始点位置指定手段と、
上記監視基準画像データのうち、上記監視領域の大きさを規定する終点位置を指定する終点位置指定手段と、
上記監視領域形状指定手段により指定された形状でなり、上記始点位置と上記終点位置とに基づく大きさで上記始点位置を基準として配置された上記監視領域を設定する監視領域設定手段と、
上記監視領域内部の領域についての上記監視基準画像データと上記監視検出画像データとの明るさの比較結果を求めることにより、上記射出成形機本体の異常動作を監視する監視手段と
を有する射出成形機監視装置。
【請求項2】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を中心とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさでなる上記監視領域を設定する
請求項1に記載の射出成形機監視装置。
【請求項3】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を中心とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさと、当該始点位置と上記終点位置との位置関係に応じた縦横比でなる上記監視領域を設定する
請求項2に記載の射出成形機監視装置。
【請求項4】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を1つの角の頂点とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさでなる上記監視領域を設定する
請求項1に記載の射出成形機監視装置。
【請求項5】
上記監視領域設定手段は、
上記始点位置を1つの角の頂点とし、当該始点位置から上記終点位置までの距離に応じた大きさと、当該始点位置と上記終点位置との位置関係に応じた縦横比でなる上記監視領域を設定する
請求項4に記載の射出成形機監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−143894(P2012−143894A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2067(P2011−2067)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【特許番号】特許第4870842号(P4870842)
【特許公報発行日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000106852)シグマツクス株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【特許番号】特許第4870842号(P4870842)
【特許公報発行日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000106852)シグマツクス株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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