説明

射出成形用積層金型、および射出成形用積層金型の製作方法

【課題】
超薄肉成形品生産のための、射出成形用金型を短期間で製作する。
【解決方法】
微細なノズルから電解液を噴射させ、電解液のジェットを介して電解電流を流すことにより、陽極である加工面のジェットの当たっている部分のみを選択的に加工する、電解液ジェット加工法と、CAD/CAMを利用した積層金型の製作方法を使用し、ベント深さ1〜50μmのエアーベント孔をキャビティ、又は、コアのどちらか一方、或は。キャビティ及びコア両方、の成形面に加工することが可能な、射出成形用積層金型を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なノズル側から電解液を噴射させ、電解液のジェットを介して電解電流を流すことにより、陽極である加工面のジェットの接触している部分のみを選択的に加工する加工法(以後電解液ジェット加工と言う)と、積層金型技術を組み合わせ、微細なエアーベントを成形面に設けた、射出成形用積層金型の製作に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形は、キャビティ内に溶融した樹脂を充填後、樹脂を冷却し成形する、つまり、キャビティ内の空気を樹脂で置き換える成形方法であり、空気を効率的にキャビティの内部から外部へ排出することができれば、キャビティ内の圧力上昇を低くでき、充填に際しての樹脂流入抵抗が小さく、又、溶融樹脂から発生する揮発成分やガスも外部へ排出でき、成形品の残留応力を小さく、成形品の品質を向上させることができる。更には、充填圧力による、コアピン等への破損も防止することができる。
【0003】
このように、空気や発生ガスを排出する機能を担うのがエアーベントであり、エアーベントの配置は成形品の形状により最適な位置に配置されるが、通常はゲートの反対側で、ゲートよりなるべく遠い位置やウエルドラインの出やすいパーティング面に配置する(図1)。金型の形状により、いくつかの配置方法がある。例えば、キャビティを分割構造として、コアピンを入れた隙間を利用する。突出しピンとピン穴との隙間や入れ子の間隙を利用する。焼結合金などの多孔質材料や微細な間隙をもつ部材をキャビティに埋めこむこと等の方法が行われている。
【0004】
従来の金型加工技術においては、キャビティ又はコアの成形面に、断面の寸法が50μm以下の微細孔加工はできないため、射出成形金型において図1に示すようにキャビティとコアの間のパーティング面にエアーベントを配置したが、成形品にバリが発生するため、成形後のバリ取り工程が必要であり、場合により、製品の精度にも悪影響を及ぼす場合もあった。また、キャビティとコアピンのすきまから空気は排出されるため成形品の表面に分割線が入ってしまう等の問題があった。
【0005】
又、突き出しピンやコアピンのクリアランスを利用したり、金型キャビティ内の空気を吸引し、真空とした後、樹脂を充填する真空射出成形の技術は実用化されているが、ピンが圧力により破壊されてしまう、エアーベントの設置場所が限られてしまう、あるいは、キャビティ内を真空にするための真空装置を必要とするため設備費が高くなり、金型構造も複雑となる等問題があった。
【0006】
多品種少量生産の時代となり、金型製作コスト削減と納期の短縮が強く望まれている。このような要求に対し、積層金型の考え方が生まれている。これは金型の3次元立体を形状の異なる薄い板材が積層されたものとみなし、レーザ加工によって精密に切断した金属板を積層することによって金型形状を構成するものである。
【0007】
この技術は、東京大学中川教授の指導下、世界で最初に提案したものであり、いわゆるラピッドプロトタイピングと呼ばれる積層造形法が誕生する以前の1982年に提案された技術である。3次元CADデータとレーザ切断加工のシステム化により効率的に金属板を切断して、これを順次積層することで、精度の良い金型用素形材を安価に製作出来るのみでなく、仕上げの機械加工をも大幅短縮することが可能となり、金型の製作期間・コスト共に改善でき、プレス型の試作型や少量生産型に採用されるようになった。
【特許文献1】特開昭59−144588号公報
【特許文献2】特開平09−150228号公報
【特許文献3】特開2002−1457号公報
【0008】
射出成形金型においては冷却流路やエアーベントを機械加工で加工せざるを得ないため、その経路や断面形状は制限される。又、複数の薄板を積層して製作する積層金型の場合にも、この冷却水経路に水を流すと、薄板同士の結合の隙間から水が漏れ出しす恐れもあり、射出成形型の積層金型の実用化は難しかった。
【0009】
さらに、製品の小型・軽量化の流れで薄肉成形品の要求が高まり、この要求にあった成形品を生産するためには、高速射出成形金型を用いなければならない。しかし、高速射出成形金型では少量の樹脂が高圧下ランナー・キャビティを高速で流れ、キャビティ内部の残存空気の圧縮は、通常0.1〜0.5秒程度の短時間に発生し、しかも1平方センチあたり200〜500kgfもの高い圧力で圧縮されるため、エアーベントの配置は特に重要となる。
【0010】
樹脂の種類にもよるが、射出成形金型の製作においては、エアーベントの隙間は、通気確保、バリ防止の面より考慮すると、ベント深さは1μm以上、50μm以下が好ましく、より好ましくは5μm〜20μm程度である。しかしながら、従来の技術、例えば、切削や研磨、レーザ加工を利用したμmオーダーの微細溝の加工をする場合は、加工部周辺の盛り上がりによる接合不良部の発生から、積層面の接合強度が低下し、冷却水漏れの発生が予測され、断面の寸法が50μm以下の深穴をキャビティ面に多数加工することは事実上不可能であった。
【0011】
又、金属表面にμmオーダーでの微細加工をする方法として、電解液中で、微細な棒状電極の端面を加工面に近づけて、工作物と対極の間に所定の電圧を間欠的に印加することにより工作物の表面上の微小な領域に付加加工または除去加工を行う方法や、電解液中で、加工面と微細な棒状電極の先端部との相対離間距離を算出して所望の離間距離を保った状態で工作物を加工する方法が知られているが、いずれも、ギャップを精度良く制御する必要があり、装置の複雑化と高度な操作技術が要求された。
【特許文献4】特開平6−299390号公報
【特許文献5】特開平10−263931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、薄肉樹脂成形品を射出成形金型で成形する場合に必要なエアーベントの加工方法に関し、キャビティ内部の残存空気を速やかに逃がすために、キャビティ又はコアのどちらか一方、或は、コアとキャビティの両方の最適な部位に、多数の微細なエアーベント孔、好ましくは、直径が50μm以下の多数のエアーベント孔を配置することができる方法を見出す事である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、金型設計をCADソフトで行い、金属薄板の切断用の成形面及び冷却水路データを作成し、金属薄板を設計図面通りの形状に加工した。更に、CAEソフトウェアーにより、キャビティ内の樹脂流動解析を行い、エアーベントの最適配置位置を求め、電解液ジェット加工と組合わせることにより、薄板面に微細な溝加工を行い、多数の微細な溝を加工した複数の薄板を積層し、拡散接合技術を用いて積層板を接合し、多数の微細なエアーベント孔、好ましくはベント深さが1〜50μmを設けた射出成形用積層金型を製作した。
【0014】
薄板を積層し、拡散接合により接着し、製作した金型のキャビティ内の成形面は、仕上げ加工を行う必要がある。一般に行われている研磨加工で50μm以下の微細な孔の開いた成形面を加工すると、孔は加工時に潰れ、通気性が損なわることが分かったため、本発明者等は、電解液ジェット加工により、微細なエアーベント孔を設けた成形面の仕上げには、ワイヤ放電加工、又は、形彫放電加工による仕上げ加工が、最も好ましいことを見出した。
【0015】
この金型を使用し、肉厚0.4mmの薄肉深物品を成形した。エジェクタピンを用いると成形品が破れてしまうため、ストリッパプレート方式とし、冷却水路はキャビティ、コア共にゲート側から時計回りのらせん状にした。本発明のエアーベント構造を保有する積層金型は短期間で製作が可能であり、射出成形用金型として非常に優れていることを見出し本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0016】
微細なエアーベントを、コア、キャビティ、或は、コアとキャビティ両方に設けることにより、未充填の防止、充填性の向上による薄肉部品の高速成形の実現、シボなどの微細な模様の転写性の向上、閉じ込められたエアの断熱圧縮による焼けの防止、更には、射出圧力の解除後は、コアと成形品の密着性が弱まるため、サイクルタイムの短縮、離型時に起こる成形品の変形防止が可能となる等、従来の射出成形用金型であった問題を解決した、射出成形用積層金型を短期間で提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2は、本発明で使用される、電解液ジェット加工法を説明した概念図である。ノズルと工作物との間に電解液ジェットを流し、ジェット直下のみが選択的に加工されていく方法である。微細ノズルから硝酸ナトリウム水溶液等の電解液を高圧で噴射させて、工作物を陽極、ノズル側を陰極に電圧を印加することで工作物表面に微細なピット加工を行うが、加工機のXY二軸ステージによって任意形状の溝加工が可能である。
【0018】
図3は直径130μmのノズルを使用し電解液ジェット中での電位分布を有限要素法解析により、ジェットが衝突している加工物面上の電流密度分布を求めた結果を示すが、電流密度が高い領域はジェット直下のみに限られるので、ジェット直下のみが選択的に加工されることが分かる。この場合、ジェットの径が発散しなければ、ギャップを大きくしても加工領域は拡大せず、しかも、加工電流を定電流のモードにしておけば、ギャップの変動にもかかわらずジェット直下の電流密度は一定であり、ギャップ制御の必要がなく、CAD/CAMを用い、ジェットを加工面上で走査すれば、マスクなしで任意パターンの加工ができ、バリ、盛り上がり、加工変質層の発生がない加工法である。ノズル径を選択すれば、数μmから数百μmの任意形状の微細溝を簡単に加工できる。
【0019】
又、無電解ニッケルを工作物とし、加工時間と孔の深さの関連を調べるため内径0.4mmのノズルを使用し、無電解ニッケルを工作物とし、電解液に硝酸ナトリウム20重量%水溶液、タンク加圧0.5MPa、パルス幅及び休止時間とも0.1秒で大きさ50mAのパルス状の電解電流を流し、加工時間と孔の深さの関係を調べた。加工時間を長くすると比例的に孔は深くなることが分かる(図4)。電流を一定に保ちながら、ノズルの移動速度を変えれば、溝の深さも変えて行くことも可能である。
【0020】
例えば、溝の深さは一定であってもよいが、エアーベント孔をより詰まりにくくするために、エアーベントはキャビティ成形面の孔の大きさより、空気を逃がす外側方向に向かっては、孔の大きさを広がる形状が好ましいが、この場合は、加工時に電解電流を徐々に大きくする、或は、ノズルのスキャニング速度を遅くすること等で、加工してゆく溝の深さを調整する事も可能であり、テーパー状に溝を外側に向かって、徐々に深くすることも可能である。
【0021】
積層した薄板同士の接着では、ハンダ付けによる接合では、均一にハンダ付けするのは困難なため、接合強度が不十分であり、冷却水の漏れ、接合境界が成形品に転写される等の問題が発生する可能性があり、本発明者等は積層材の融点以下の温度で、塑性変形を出来るだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合を行う、拡散接合法を採用して接合を行うと、接合面は強度上の問題がなく、完全に接合界面を消すことが可能であり、冷却水の漏れ等の問題が起こらない接合法であることを確認した。
【0022】
図5は本発明で積層金型に加工したエアーベント孔の配置を断面図で概念的に表した図であり、従来、金型でパーティング面に配置されているエアーベント(図1)との比較で、エアーベントの配置がパーティング面にだけではなく、キャビティ内の成形面の最適な部位に、多数のエアーベント孔を配置することができる事を示している。
【実施例1】
【0023】
成形品は図6に示す肉厚0.4mmの薄肉深物製品である。エジェクタピンを用いると成形品がやぶれてしまう可能性がるため、成形品の離型方法はストリッパプレート突き出し方式とした。
【0024】
板厚1mmの鋼板をレーザ加工により積層用の金属薄板に切断し、キャビティ、及び、コアに冷却水路50を設け、コアには更にエアーベント孔用の溝加工を行い、成形面の空気を逃がす穴70を設けた。拡散接合時の熱と圧力による積層金型の塑性変形を考慮して、下記の条件下、電解液ジェットを用いて幅750μm、深さ100μmの溝を金属薄板表面に加工した。
電解液: 20重量% 硝酸ナトリウム水溶液
電解電流: 600mA
スキャニング速度:0.75mm/s
ノズル内径: 0.4mm
【0025】
図7は、本発明によって製作した、一枚のコアの金属薄板の平面図で、冷却水路、エアーベントが加工されている。成形品の美観を考慮して、コア型のみにエアーベント用溝を設け、コア中心部にはエアーベント30から空気を逃がすため直径1mmの空気を逃がす穴70を設けてある。
【0026】
溝加工を行った金属薄板複数を積層し、下記条件で拡散接合技術を用いて薄板同士の接合を行った。
接合温度: 950℃
真空度: 10-4Torr
加圧時間: 180分
圧力: 7.8MPa
【0027】
接合後のコアの仕上げしろはストレート部は研削加工、エアーベント孔を設けたテーパー形状をした成形面はワイヤ放電加工、又は、形彫放電加工により仕上げた。
【0028】
製作した金型のテーパー形状をしたコア型成形面のエアーベント孔は、積層方向に潰れてはいたが、ベント深さ37μmのエアーベント孔が形成されていた。又、接合は強固であり、冷却水路からの冷却水の漏れはなかった。
【0029】
本発明の射出成形用積層金型に設けた、エアーベント孔が成形品に及ぼす効果を調べた。金型の製作条件は、薄板に電解液ジェットで溝加工を行い、エアーベント孔を設けた積層金型と、薄板に電解液ジェットでの溝加工だけを行わない、エアーベント無しの積層金型の2つの金型を使用し、キャビティ、コア、及び、プレートの温度を冷却水の温度で調整し、表1に示す温度に設定し、同一成形条件で成形し、得られた成形品の寸法を測定し、そりを調べた。
【0030】
成形樹脂にはポリアセタール(ポリプラスチック(株)、ジュラコンM90s)を用い、成形条件は充填最高圧力140MPa、最高充填速度140mm/s、保持圧力を45MPaとした。
樹脂充填完了から離型までの冷却時間を1.5秒、3秒、10秒の3つの条件を設定し、冷却時間とそりとの関係を測定した。
【0031】
本発明の効果を調べるため、積層金型内部の冷却水路をコアとキャビティに設け、エアーベント有無のみが異なる2つの金型を用い、射出成形試験を行った。一方は、成形面にエアーベントを設けていない射出成形用積層金型、他方は、本発明のベント深さ37μmの微細なエアーベント孔を成形面に設けた射出成形用積層金型である。成形面に設けた微細なエアーベント孔の有無による差異を比較するため、金型内部のコア、キャビティに流れる冷却水温度を変え、同一成形条件下で射出成形を行い、得られた成形品のそりを測定した。
そりの値は、下記の式より計算される。図8は、金型で成形した成形品を上部正面よりみて、下記式に代入する、縦・横方向の成形品の寸法を測定する箇所を示している。
そり=((a―b)+(c−d))÷2
【0032】
表1は、成形品を射出成形する場合の金型内の温度条件で、金型内部に流す冷却水の温度を示す。このように冷却水の温度を調節することにより、キャビティ、コア、プレート部の温度を設定できる。
【表1】

【0033】
上記成形条件で射出成形を行い、焼けや未充填が発生していない超薄肉成形品が得られた。図9は、本発明の射出成形用積層型での成形条件で、条件I及びIIの温度条件下、そりの測定結果を示した図である。成形条件Iは、キャビティ温度がコア温度より高い、つまり、成形品の外側の温度が高いため、成形品の外側の熱膨張量が内側より高く、成形品の形状には凹みが出やすい条件であり、条件IIはコアの温度がキャビティより高いため、成形品は内側の方が熱膨張量が大きくなるため、成形品の形状としては凸形状がでやすい成形条件である。
【0034】
結果より、成形条件I、及び、条件IIでのそりを比較すると、そりの値はいずれもエアーベントのない金型の場合の方が大きい値を示している。即ち、エアーベントがあると、成形品とコア間の真空度は下がり、エアーベントがない場合より密着性が低下するため、成形品を引く抜く時に発生する内側への凹みは小さくなる。又、成形条件IIでは成形品はより凸形状となる事を示している。このことは、エアーベントを設けた成形面においては、成形品の型離れが良く、成形品に対する応力が少なくなる事を示している。
【0035】
更には、金型のコア、キャビティ、プレートの温度を選択することで、そりの少ない成形品が成形できる可能性を示しており、本発明のエアーベントを設けた射出成形積層金型を使用し、最適なコア、キャビティ、プレートの温度条件を選択することにより、離型性が良く、残留応力が少なく、そりのない成形品を成形できることが可能である事を示しており、射出成形のハイサイクル化・高精度化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来の金型の断面図で、キャビティとコアの隙間に設けたエアーベントを示す図である。
【図2】本発明の加工法である、電解液ジェット加工の概念を説明する図である。定電流を流せば、ギャップの変動にかかわらずジェット直下の電流密度は一定である。
【図3】電解液ジェットの電流密度分布の解析結果を示す図であり、電流密度が高い領域はジェット直下のみに限られていることを示す図である。
【図4】電解液ジェット加工で孔の深さと加工時間の相関関係を表す図である。
【図5】本発明の積層金型に多数の微細なエアーベントを配置した金型断面図、従来型のエアーベント図1との比較で表す概念図である。
【図6】本発明の実施例で成形する成形品の正面図と側面図である。
【図7】本発明の実施例で製作したコア用薄板の平面図、冷却水路50、エアーベント溝30と空気を逃す穴70の配置図である
【図8】成形品のそりを測定するための、成形品の長さを測定した箇所を示す図である。
【図9】エアーベント孔の有り、無しによる、成形品のそりの大きさを、成形時間を変えて測定した結果を表わした図である。
【符号の説明】
【0037】
A: 空気の逃げ方向
N: ノズル
M: 加工面
10: キャビティ
20: コア
30: エアーベント
40: 樹脂注入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CAD/CAMを利用して製作する積層金型に於いて、切断し、穴加工した金属薄板に、微細なノズルから電解液を、正に荷電した前記金属薄板面に、ジェット噴射することによって、前記電解液の噴流直下の金属薄板面に微細な溝加工を行い、溝加工した複数の金属薄板を積層後、拡散接合法により金属薄板同士を接着し、ベント深さが1〜50μmのエアーベント孔をキャビティ、又は、コア、のどちらか一方、或は、キャビティ及びコア両方、の成形面に加工した射出成形用積層金型。
【請求項2】
CAEによるシミュレーションで、最適なエアーベント孔の加工位置を決定する請求項1の射出成形用積層金型
【請求項3】
拡散接合法によって接着した積層金型のエアーベント孔を設けた成形面の仕上げを、ワイヤ放電加工、又は、形彫放電加工により行う請求項1乃至2の射出成形用積層金型。
【請求項4】
CAD/CAMを利用して積層金型用に、切断し、穴加工した金属薄板に、微細なノズルから電解液を、正に荷電した前記金属薄板面に、ジェット噴射することによって、前記電解液の噴流直下の金属薄板面に微細な溝加工を行い、溝加工した複数の金属薄板を積層後、拡散接合法により金属薄板同士を接着し、製作する射出成形用積層金型に於いて、ベント深さ1〜50μmのエアーベント孔を、キャビティ、又は、コア、のどちらか一方、或は、キャビティ及びコア両方、の成形面に加工する射出成形用積層金型の製作方法。
【請求項5】
CAEによるシミュレーションで、最適なエアーベント孔の加工位置を決定する請求項4の射出成形用積層金型にエアーベント孔を加工する射出成形用積層金型の製作方法。
【請求項6】
拡散接合法によって接着した積層金型のエアーベント孔を設けた成形面の仕上げを、ワイヤ放電加工、又は、形彫放電加工により行う請求項4乃至5の射出成形用積層金型にエアーベント孔を加工する射出成形用積層金型の製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−69084(P2006−69084A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256510(P2004−256510)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】