説明

射撃訓練システム

【課題】データフォーマットや伝送速度が異なるデータを重畳した光信号も受信可能とする。
【解決手段】受信側の訓練装置2は、操作装置3により、データのデータフォーマットと伝送速度とを適宜選択設定可能であり、この設定されたデータフォーマットと伝送速度に一致するデータフォーマット,伝送速度のデータが重畳された光信号が受信可能である。同じ受信側の訓練装置2を、例えば、標的とし、異なるデータフォーマットA,BまたはCで、異なる伝送速度A,BまたはCのデータを重畳した光信号A,BまたはCを発射する、例えば、製造年代などが異なる送信側の訓練装置A,BまたはCを用いて射撃の訓練をする場合には、使用する送信側の訓練装置1a,1bまたは1cが有するデータのデータフォーマットと伝送速度を、操作装置3を操作して、設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号の送受によって射撃訓練を行なうことができる射撃訓練システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光信号の送受によって射撃訓練を行なうための射撃訓練システムが知られている。
【0003】
この種の射撃訓練システムにあっては、送信する光信号に火器の種類や彈種などの情報を重畳させ、受信側では、それらの情報に基づいて被弾判定などが行なわれる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10ー227599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、射撃訓練システムは、その改良の過程などにより、光信号に重畳されるデータのフォーマットや伝送速度が変更されることがある。例えば、改良が加えられることによる機能の変化に伴い、データのフォーマット(データ長)や伝送速度が変更される場合がある。このように、データのフォーマットや伝送速度が変更されると、この射撃訓練システムは、以前のシステムとは互換性のない新たな(形式の異なる)システムとなり、以前のシステムに用いられていた装置を新たなシステム内で使用することはできない。
【0005】
これを図6によって説明すると、標的などからなる受信側訓練装置111aは、データフォーマットAで伝送速度がA(bps)のデータを受信し、これを検出可能であり、同じく受信側訓練装置111bは、データフォーマットBで伝送速度がB(bps)のデータを受信し、これを検出可能とする。また、レーザ銃などの送信側訓練装置110aは、データフォーマットAで伝送速度がA(bps)のデータをレーザ光に重畳した光信号Aを発射し、同じく送信側訓練装置110bは、データフォーマットBで伝送速度がB(bps)のデータをレーザ光に重畳した光信号Bを発射するものとする。
【0006】
そこで、送信側訓練装置110aと受信側訓練装置111aとを用いて射撃訓練する場合には、送信側訓練装置110aが光信号Aを発射するものであるから、受信側訓練装置111aはこの光信号Aを受光し、これに重畳されているデータを受信して検出することができ、この検出結果を送信側訓練装置110aに送信することにより、例えば、標的に光信号Aが当たったか否かの射撃結果を通知することができるし、受信側訓練装置111aでは、この射撃結果に応じて標的の状態を変化させて目視で射撃結果が確認できるようにする。また、送信側訓練装置110bと受信側訓練装置111bとを用いて射撃訓練する場合には、送信側訓練装置110bが光信号Bを発射するものであるから、受信側訓練装置111bはこの光信号Bを受光し、これに重畳されているデータを受信して検出することができ、この検出結果を送信側訓練装置110bに送信することにより、例えば、標的に光信号Bが当たったか否かの射撃結果を通知することができるし、標的の状態を変化させて目視で射撃結果が確認できるようにする。
【0007】
しかしながら、送信側訓練装置110aを用いて受信側訓練装置111bに向かって射撃訓練をした場合には、送信側訓練装置110aからは光信号Aが発射されるので、受信側訓練装置111bは、この光信号Aを受光できるものの、この光信号Aに重畳されているデータは受信側訓練装置111bが受信可能なデータとデータフォーマットや伝送速度が異なるため、光信号Aに重畳されているデータを受信して検出することができない。従って、送信側訓練装置110a側では、射撃結果を取得することができず、また、受信側訓練装置111bでは、光信号が標的に当たったとしても、標的の状態に変化がなく、射撃訓練ができないことになる。送信側訓練装置110bを用いて受信側訓練装置111aに向かって射撃訓練をした場合でも同様であり、射撃訓練ができないことになる。
【0008】
このように、射撃訓練場で射撃訓練をする場合には、この射撃訓練場で設置されている受信側訓練装置で受信,検出可能なデータが重畳された光信号を発射する送信側訓練装置を使用しなければならず、使用する受信側訓練装置の機能、即ち、同じシステムの種別の送信側訓練装置を選択する必要がある。受信側訓練装置とはシステムの種別が異なる送信側訓練装置しかない場合には、この受信側訓練装置を用いた射撃訓練を行なうことができない。
【0009】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、使用するデータフォーマットや伝送速度が異なるシステム間で装置の混用を可能とした射撃訓練システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、光信号を送信する第1の訓練装置と、第1の訓練装置からの光信号を受信したときに被弾と判定する第2の訓練装置とを備えた射撃訓練システムであって、第1の訓練装置は、光信号のデータフォーマットと伝送速度との組み合わせからなる複数のデータ形式を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された複数のデータ形式のいずれかを使用して光信号を送信する光信号送信部と、操作者の操作に応じて、記憶部に記憶された複数のデータ形式の中から使用すべきデータ形式を光信号送信部に対して設定する操作装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、光信号を送信する第1の訓練装置と、第1の訓練装置からの光信号を受信したときに被弾と判定する第2の訓練装置とを備えた射撃訓練システムであって、第2の訓練装置は、光信号のデータフォーマットと伝送速度との組み合わせからなる複数のデータ形式を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された複数のデータ形式のいずれかを使用して光信号を受信する光信号受信部と、操作者の操作に応じて、記憶部に記憶された複数のデータ形式の中から使用すべきデータ形式を光信号受信部に対して設定する操作装置とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、新旧システムで光信号のデータフォーマットや伝送速度が異なる場合であっても、各システム間で装置を混用して射撃練習を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0014】
まず、射撃訓練システムのシステム構成について説明する。
【0015】
図5はかかる射撃訓練システムのシステム構成を示す図であって、100a,100bは標的装置、101a,101bは標的、102a,102bはアンテナ、103は台車、104は統制装置、105は表示部、106はアンテナ、107は射撃手、108はレーザ銃、109a,109bはレーザ光線である。
【0016】
同図において、射撃訓練システムでは、標的が天井に吊り下げられて、射撃手107に対して、前後方向に往復移動できるようにしたものや台車に搭載されて地上を前後に移動するようにしたものが知られている。標的装置100aは前者の例であり、この標的装置100aには、標的101aやアンテナ102aなどが設けられている。また、標的装置100bは後者の例であり、射撃手107に対して前後方向に往復移動可能な台車103に搭載されている。この標的装置100bにも、標的101bやアンテナ102bなどが設けられている。
【0017】
射撃手107がレーザ銃108を標的101aまたは101bに向けて射撃操作することにより、レーザ銃108からこの標的101aまたは101bに向かってレーザ光線109aまたは109bが発射される。
【0018】
かかる射撃訓練システムでは、また、統制装置104が設けられており、この統制装置104は、そのアンテナ106とアンテナ102aとでもって標的装置100aとの間で、あるいはそのアンテナ106とアンテナ102bとでもって標的装置100bとの間で通信できるようにしている。これにより、統制装置104から標的装置100aまたは100bの動作を制御し、例えば、標的101aまたは101bを射撃手107と対面した状態(かかる状態を「顕」状態という)にしたり、標的101a,101bを水平状態にして射撃対象物が隠れたような状態(かかる状態を「隠」状態)にしたりする隠顕動作や高さの変更動作を行なわせることができる。
【0019】
また、レーザ光線109aまたは109bが標的101aまたは101bに命中したか否かの射撃結果情報も、標的装置100aまたは100bから統制装置104に送信される。統制装置104では、かかる射撃結果や標的101aまたは101bの状態(例えば、隠顕状態)などが表示部105で表示され、射撃手107などがこれをモニタできる。
【0020】
図1は本発明による訓練システムの一実施形態の概要を示すブロック構成図であって、1a,1b,1cは送信(射撃)側の訓練装置、2は受信(標的)側の訓練装置、3は操作装置である。なお、以下では、訓練装置1a〜1cを総称する場合、訓練装置1という。
【0021】
同図において、この第1の実施形態では、送信側の訓練装置1と受信側の訓練装置2とで訓練システムを構成するものであって、かかる送信側の訓練装置1として、例えば、製造年代が異なる送信側の訓練装置1a,1b,1cを用い、同じ受信側の訓練装置2を用いて射撃の訓練ができるようにしたものである。この場合、送信側の訓練装置1がレーザ銃などの光信号を発射する光発射装置であり、受信側の訓練装置2がこの光発射装置に対する標的装置ということになる。
【0022】
なお、以下では、3種類の送信側の訓練装置1a,1b,1cを例にして説明するが、2種類の送信側の訓練装置であっても、また、4種類以上の送信側の訓練装置であってもよい。
【0023】
ここで、この光信号は、ビーム状の光信号に所定のデータフォーマットで所定の伝送速度(bps(ビット数/秒))のデータを重畳したものであって、製造年代毎に送信側の訓練装置1a,1b,1cで用いられるかかるデータのデータフォーマットや伝送速度の少なくともいずれかが異なるものであり、以下では、送信側の訓練装置1aから発射される光信号でのデータは、データフォーマットをA,伝送速度をA(bps)とするデータ形式Aのデータとする。以下同様に、送信側の訓練装置1b,1cから発射される光信号でのデータは、データフォーマットを夫々B,Cとし、伝送速度を夫々B(bps),C(bps)とするデータ形式B,Cのデータとする。
【0024】
一方、受信側の訓練装置2は、操作装置3により、受信して処理可能なデータのデータフォーマットや伝送速度、即ち、データ形式を適宜選択設定可能な構成をなしている。このように選択設定される情報を、以下、設定情報という。
【0025】
操作装置3では、混用する各システムで使用されるデータ形式の種別(名称。例えば、上記のA,B,Cなど)、あるいは各システムの形式名が登録されており、操作者の操作によってそのいずれかが選択可能とされる。また、操作装置3は、受信側の訓練装置2に有線または無線で通信可能に接続され、選択されたデータ形式(形式)を示す信号を受信側の訓練装置に送信することにより、この受信側の訓練装置2には、受信すべきデータ形式が設定され、当該設定情報に該当する光信号を受信し、処理することが可能となる。
【0026】
図1(a)は、例えば、製造年代が最も古いシステムを構成する送信側の訓練装置1aを用いる場合を示すものである。この送信側の訓練装置1aは、データ形式Aのデータを重畳した光信号Aを発射する。この場合、操作装置3によって当該システムに対応した設定情報を受信側の訓練装置2に設定することにより、受信側の訓練装置2でこの光信号Aが受信される。受信側の訓練装置2は、受信した光信号Aの処理を行ない、例えば、標的に命中したことを示す表示(例えば、光や音などによる通報)をする。
【0027】
図1(b)は、例えば、製造年代が次に古いシステムを構成する送信側の訓練装置1bを用いる場合を示すものである。この送信側の訓練装置1bは、データ形式Bのデータを重畳した光信号Bを発射する。このデータ形式Bのデータは、データフォーマットBと伝送速度Bとの少なくともいずれか1つが、上記の送信側の訓練装置1aから送信される光信号Aのデータと異なり、データ形式が異なる。この場合、操作装置3によって当該システムに対応した設定情報を受信側の訓練装置2に設定することにより、受信側の訓練装置2では、この光信号Bが受信される。受信側の訓練装置2は、受信した光信号Bの処理を行ない、例えば、標的に命中したことを示す表示(例えば、光や音などによる通報)をする。
【0028】
図1(c)は、例えば、製造年代が最も新しいシステムを構成する送信側の訓練装置1cを用いる場合を示すものである。この送信側の訓練装置1cは、データ形式Cのデータを重畳した光信号Cを発射する。このデータ形式Cのデータは、データフォーマットと伝送速度との少なくともいずれか1つが、上記の送信側の訓練装置1a,1bからの光信号A,Bのデータと異なり、データ形式が異なる。この場合、操作装置3によって当該システムに対応した設定情報を受信側の訓練装置2に設定することにより、受信側の訓練装置2では、この光信号Cが受信される。受信側の訓練装置2は、受信した光信号Cの処理を行ない、例えば、標的に命中したことを示す表示(例えば、光や音などによる通報)をする。
【0029】
このようにして、同じ受信側の訓練装置2に対し、例えば、製造年代などが異なるなどしてデータフォーマットや伝送速度が異なるデータを取り扱う複数種の送信側の訓練装置1を用いることが可能となる。
【0030】
図2は図1における受信側の訓練装置2での光信号の受信のための受信処理装置と操作装置3との一具体例を示すブロック構成図であって、4は受信処理装置、5は受信器,6は報知器、7は制御部、8は受信処理部、9は記憶部、10は送受信部、11は報知部、12は制御部、13は送受信部、14は入力部、15は表示部であり、図1に対応する部分には同一符号をつけている。
【0031】
同図において、受信側の訓練装置2には、送信側の訓練装置1からの光信号を受信する受信器5と、受信器5で受信したデータを処理することにより、光信号が自己に命中したか否かを判定する受信処理装置4と、受信処理装置4の判定結果に基づいて、命中したことを音声や光などによって送信側に報知する報知器6とが設けられている。
【0032】
この受信処理装置4は、使用が予定される送信側の訓練装置の全てのデータ形式A,B,Cが予め記憶されている記憶部9と、操作装置3との間で赤外線などによる送受信を行なう送受信部10と、音声などによる報知を行なう報知部11と、受信器5で受信された光信号に重畳したデータを処理してこの光信号が標的に当ったか否かの判定処理を行なう受信処理部8と、これら各部を制御する制御部5とを備えた構成をなしている。なお、記憶部9には、今後拡張されるデータを追加記憶可能である。
【0033】
一方、操作装置3は、受信側の訓練装置2の送受信部10と双方向の通信を行なう送受信部14と、スイッチなどから構成される入力部13と、入力部13による操作のための操作画面などを表示する表示部15と、これらを制御する制御部12とから構成されている。
【0034】
操作装置3において、操作者が入力部13でデータ形式を選択するための操作をすると、制御部12が表示部15を制御し、この表示部15にデータ形式選択画面を表示させる。そこで、操作者が入力部13で、このデータ形式選択画面をもとに、所望とするデータ形式(即ち、このときに使用される送信側の訓練装置のデータ形式)を選択する操作をすると、この選択されたデータ形式を指示するデータ形式指示信号が制御部12で作成され、送受信部14から受信側の訓練装置2に送信される。
【0035】
受信側の訓練装置2では、その受信処理装置4の送受信部10でこのデータ形式指示信号が受信され、制御部7に供給される。制御部7は、このデータ形式指定信号で指定されるデータ形式の設定情報を記憶部9から読み取り、受信処理部8に設定する。これにより、受信側の訓練装置2で、このとき使用する送信側の訓練装置1に対応するデータ形式(即ち、操作装置3で指定された形式)の設定情報(データフォーマット及び伝送速度が設定されたことになる。
【0036】
このように、操作装置3で指定されたデータ形式の設定情報が設定されると、制御部7は、報知部11を動作させて、設定情報の設定完了を示す報知音あるいは報知光を発生させ、操作装置3の操作者に設定情報の設定完了を報知する。これとともに、制御部7は、指定された形式の設定情報の設定完了を表わす設定完了通知信号を送受信部10から操作装置3に送信する。操作装置3では、この設定完了通知信号が送受信部14で受信され、制御部12に供給される。制御部12は、この設定完了通知信号をもとに、表示部15に受信側の訓練装置2で設定された設定情報のデータ形式を示す設定確認画面が表示される。この設定確認画面には、操作者がデータ形式選択画面で選択したデータ形式も表示され、これにより、操作者は受信側の訓練装置2で設定された設定情報が選択されたデータ形式のものであるか否かを容易に確認することができる。
【0037】
このようにして、受信処理部8、即ち、受信側の訓練装置2に指定されたデータ形式の設定情報が設定されると、この設定されたデータ形式の設定情報が、操作装置3で次に他のデータ形式に対する指定があるまで、受信処理部8に保持される。そこで、このデータ形式の設定情報が受信処理部8に設定されているときに、送信側の訓練装置1からの光信号が受信器5で受信されると、その受信信号が受信処理部8を介して制御部7に供給される。制御部7では、この受信信号に基づいて、報知器6を動作させて光信号が標的に命中したことを示す報知音あるいは報知光を発生させ、送信側の訓練装置1側(射撃者)に命中したことを報知する。あるいは、標的を倒すなどの動作を行なわせる。
【0038】
このようにして、操作装置3を用いて、かつその簡単な操作でもって、受信側の訓練装置2で、使用する送信側の訓練装置1が送信する光信号でのデータ形式に応じた設定情報を設定することができ、これにより、使用するデータ形式が異なる複数種の送信側の訓練装置1に対し、同じ受信側の訓練装置2を使用することが可能となる。即ち、異なるシステム間で装置を混用することができる。
【0039】
図3は本発明による訓練システムの第2の実施形態の概要を示すブロック構成図であって、20a,20b,20c,21は訓練装置、22,23は操作装置である。なお、以下では、訓練装置20a,20b,20cを総称する場合、訓練装置20という。
【0040】
同図において、この第2の実施形態では、双方の訓練装置から射撃ができ、また、いずれ側の訓練装置も相手側の訓練装置に対して標的となるものである。
【0041】
このために、訓練装置20,21は夫々、光信号の発射装置(即ち、送信器)を備えるとともに、光信号の受光器、従って、この光信号に重畳されたデータの受信器を備えている。
【0042】
また、一方側の訓練装置21は、図1での受信側の訓練装置2と同様の構成に送信機能が付加された構成をなすものであり、図1における操作装置3と同様の構成の操作装置22によって各データ形式の設定情報が設定される。
【0043】
図3(a)は他方側の訓練装置20として、送受信可能な光信号のデータ形式がAのみである訓練装置20aを用い、一方側の訓練装置21とで射撃の訓練を行なうものである。この場合、一方側の訓練装置21では、操作装置22によってデータ形式Aの設定情報が設定され、また、訓練装置20aには、データ形式Aのデータを重畳した光信号Aを送信する送信器とかかる光信号Aを受信する受信器とを備えている。
【0044】
図3(b)は送受信可能な光信号のデータ形式がBの場合を示している。この場合には、操作装置22によって訓練装置21のデータ形式をBに設定する。
【0045】
図3(c)は訓練装置21同士で射撃の訓練を行なうものである。この場合、夫々の訓練装置20c,21に、夫々の操作装置23,22により、適宜の同じデータ形式(これをデータ形式Cとしている)の設定情報が設定される。
【0046】
図4は図3における訓練装置21での送受信処理装置及び操作装置22の一具体例を示すブロック構成図であって、16は送受信処理装置、17は送信器、18は送受信処理部、19は入力部であり、図2,図3に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。なお、図3における訓練装置20c及びその操作装置23もこれと同様の構成をなし、同様の動作を行なうものであるので、ここでは、訓練装置21とその操作装置22について説明する。
【0047】
同図において、訓練装置21は、送受信処理装置16と受信器5,報知器6とに加えて送信器17と入力部19とが設けられた構成をなしており、送受信処理部16は、図2に示す受信側の訓練装置2での受信処理装置4と同様の構成をなしている。但し、送受信処理部16では、図2における受信処理装置4での受信処理部8の代わりに、受信されたデータの処理とともに、送信されるデータを処理する送受信処理部18が用いられ、操作装置22によって設定されたデータ形式に従って光信号の送受信処理を行なう。
【0048】
具体的には、訓練装置21では、操作装置22からの所定のデータ形式を指示するデータ形式指示信号が送受信部10で受信され、制御部7がこのデータ形式指定信号で指定されるデータ形式の設定情報を記憶部9から読み取り、送受信処理部18に設定する。受信器5で受信された相手側からの光信号は、図2における受信処理装置4での受信処理部8と同様、送受信処理部18を介して制御部7に供給される。また、光信号を相手側に発射する場合(入力部19から射撃指示が入力された場合)には、制御部7から所定の情報(火器の種類など)を含む信号が送受信処理部18に供給され、送受信処理部18において、設定されているデータ形式の信号に変換された後、送信器17から光信号として送信される。
【0049】
このように、第2の実施形態にあっては、操作装置22によって選択したデータ形式に従って光信号の送信を行なうように構成したので、異なるシステム間で装置(射撃側の装置及び標的側の装置のいずれも)を混用することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、図2において、受信処理装置4と操作装置3との間の通信、あるいは、図4において、送受信処理装置21と操作装置22との間の通信を赤外線などの無線通信で行なうものであったが、これに限らず、有線による通信であってもよい。また、図4における送受信処理装置21と操作装置22との間の通信は、受信器5,送信器17と送受信部14との間で行なわれるようにしてもよい。同様に、図2における受信処理装置4の構成を、図4における送受信処理装置21と同様、さらに、送信器17も備えた構成とし、操作装置3との間の無線通信を、この受信処理装置4での受信器5,送信器17と操作装置22での送受信部14との間で行なうようにしてもよい。
【0051】
また、上記では、選択されたデータ形式に従って光信号を受信、あるいは送信する訓練装置を説明したが、選択されたデータ形式に従って送信のみを行なう装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による訓練システムの一実施形態の概要を示すブロック構成図である。
【図2】図1における受信側の訓練装置及び操作装置の一具体例を示すブロック構成図である。
【図3】本発明による訓練システムの第2の実施形態の概要を示すブロック構成図である。
【図4】図3における訓練装置及び操作装置の一具体例を示すブロック構成図である。
【図5】射撃訓練システムのシステム構成を示す図である。
【図6】従来の訓練装置の使用形態を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1a,1b,1c 送信(射撃)側の訓練装置
2 受信(標的)側の訓練装置
3 操作装置
4 受信処理装置
5 受信器
6 報知器
7 制御部
8 受信処理部
9 記憶部
10 送受信部
12 制御部
13 送受信部
14 入力部
15 表示部
16 送受信処理装置
17 送信器
18 送受信処理部
19 入力部
20a,20b,20c,21 訓練装置
22,23 操作装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を送信する第1の訓練装置と、該第1の訓練装置からの該光信号を受信したときに被弾と判定する第2の訓練装置とを備えた射撃訓練システムにおいて、
該第1の訓練装置は、
該光信号のデータフォーマットと伝送速度との組み合わせからなる複数のデータ形式を記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された該複数のデータ形式のいずれかを使用して該光信号を送信する光信号送信部と、
操作者の操作に応じて、該記憶部に記憶された該複数のデータ形式の中から使用すべきデータ形式を該光信号送信部に対して設定する操作装置と
を備えたことを特徴とする射撃訓練システム。
【請求項2】
光信号を送信する第1の訓練装置と、該第1の訓練装置からの該光信号を受信したときに被弾と判定する第2の訓練装置とを備えた射撃訓練システムにおいて、
該第2の訓練装置は、
該光信号のデータフォーマットと伝送速度との組み合わせからなる複数のデータ形式を記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された該複数のデータ形式のいずれかを使用して該光信号を受信する光信号受信部と、
操作者の操作に応じて、該記憶部に記憶された該複数のデータ形式の中から使用すべきデータ形式を該光信号受信部に対して設定する操作装置と
を備えたことを特徴とする射撃訓練システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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