説明

導光シートスイッチユニット

【課題】 スポット的な発光が生じることなく、複数のキースイッチ上を覆う導光板全体を均一な発光色度及び輝度によって照光することが可能な導光シートスイッチユニットを提供することである。
【解決手段】 基板21と、この基板21の一端に配置される発光素子25と、この発光素子25から発せられる光の進行方向に沿って前記基板21上に配列されてなる複数のキースイッチ22と、これらキースイッチ22上を覆い、一端に前記発光素子25の光を取り込む入光部24bを有する導光板24とを備えた導光シートスイッチユニット20において、前記発光素子25をその出射面25aが斜め内側に向かうように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の小型電子機器の操作入力部に搭載される導光シートスイッチユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機や携帯情報端末機等の薄型の電子機器の操作入力部には、照光機能を備えた導光式のシートスイッチを用いて構成されているものが多い。このような導光シートスイッチは、基板上に載置される複数のキースイッチからなるシートスイッチと、このシートスイッチの上に配置される導光板と、この導光板の一端に配置される光源(発光素子)とによってユニット構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
図7は前記導光機能を備えたシートスイッチユニット10の平面構成の一例を示したものである。このシートスイッチユニット10は、基板11上に複数形成される固定接点及びドーム状の可動接点からなるキースイッチ12と、このキースイッチ12上を覆う導光板14と、この導光板14の外周部に向けて載置される発光素子15とを備えている。
【0004】
前記導光板14は、前記基板11の端部に配置された一対の発光素子15から発せられる光を外周部の一端に入光させて、キースイッチ12の配列方向に沿って導光させている。
【特許文献1】特開2004−69751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成からなるシートスイッチユニット10にあっては、各キースイッチ12が配列されている方向と略平行となるように発光素子15の発光面が向けられているため、この発光面に近い位置にあるキースイッチ12ではスポット的な発光が生じる。このようなスポット的な発光の強い箇所は、黄色味を帯びた色合いとなるため、発光色度が均一にならず、また、輝度差も生じるといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、スポット的な発光が生じることなく、複数のキースイッチ上を覆う導光板全体を均一な発光色度及び輝度によって照光することが可能な導光シートスイッチユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の導光シートスイッチユニットは、基板と、この基板の一端に配置される発光素子と、この発光素子から発せられる光の進行方向に沿って前記基板上に配列されてなる複数のキースイッチと、これらキースイッチ上を覆い、一端に前記発光素子の光を取り込む入光部を有する導光板とを備えた導光シートスイッチユニットにおいて、前記発光素子は、その出射面が斜め内側に向けて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導光シートスイッチユニットは、基板の一端に配置される発光素子が導光板の入光部に対して斜めに入射するように配置されているため、前記発光素子の正面に位置しているキースイッチに対して直接強い光が照射されることなく、各キースイッチの間を斜めに横切るようにして導光させることができる。
【0009】
また、前記発光素子は、複数のキースイッチが配列されている基板の内側に向くように基板の一端に配置されるため、前記発光素子の発光面から発せられる光を有効に各キースイッチに導光させることが可能となる。これによって、特定のキースイッチがスポット的に発光するのを防止し、複数のキースイッチ全体を均一な輝度及び発色によって照光することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る導光シートスイッチユニットの実施形態を詳細に説明する。図1乃至図3に示すように、本発明の導光シートスイッチユニット20は、基板21と、この基板21上に配置される複数のキースイッチ22と、この複数のキースイッチ22を前記基板21上に固定するシート材23と、前記複数のキースイッチ22上に配置される導光板24と、この導光板24の一端に向けて斜めに配置された一対の発光素子25とによって構成されている。
【0011】
前記基板21は、複数のキースイッチ22が縦横方向に配列可能なスペースと、端部に一対の発光素子25を配置可能な平面スペースを有した四角形状のエポキシ樹脂やBTレジンあるいはフレキシブル基板であり、表面に前記キースイッチ22及び発光素子25を接続するための電極パターン21aが形成されている。この基板21は、例えば、携帯電話機の操作パネルのベースとして形成される場合は、その操作パネルと略同様な形状及び大きさに形成され、数字キーやアルファベットキー、その他のファンクションキー等が配置される箇所に合わせて固定接点22aが複数設けられる。
【0012】
前記キースイッチ22は、図2に示したように、基板21上に形成された固定接点22aと、この固定接点22aの上方に配置されるタクトバネからなる可動接点22bとによって構成されている。可動接点22bは、適度なクリック感を得るために薄い金属材によるドーム型に形成され、各固定接点22aに対応してその上方に被さるように配置されている。配列された複数のキースイッチ22は、それぞれの可動接点22bの形状に沿って密着するシート材23によって、前記基板21上に保持される。
【0013】
発光素子25は、側面発光型の発光ダイオードが使用され、その出射面25aが導光板24の入光部24bの外周面と対向するように前記基板21の一端に配置される。これによって、発光素子25の出射面25aから発せられる光は、基板21の表面に対して平行な方向に進む。発光素子25の配置箇所や配置数は、前記キースイッチ22の配列数やこのキースイッチ22が複数配列されている基板21の形状や大きさに応じて適宜設定される。
【0014】
本発明の特徴的なところは、図1に示したように、一対の発光素子25の出射面25aがそれぞれ内側に向かうように斜めに傾けた状態で配置したことである。特に、前記発光素子25は、出射面25aと直交する方向に出射した光が前記導光板24の略中央部を通るような角度で配置されている。このように斜めに配置することで、各発光素子25の正面から発せられる最も強い光が複数のキースイッチ22上を斜めに横切る方向で導光板24内を基板21の中央部に向けて導光させることができる。また、図3に示すように、一対の発光素子25から発せられた光が導光板24の中央部付近においてクロスしながら発光素子25から最も離れている導光板24の端部にまで光を行き渡らせることができる。さらに、前記発光素子25の正面から発せられる光をキースイッチ22に対して斜め方向から入射させたことで、発光素子25の最も近くに配置されているキースイッチ22からの反射を低減させることができるので、この部分でのスポット的な発光を抑え、全体的に均一な発色及び輝度を得ることができる。
【0015】
上記効果を得るためには、本実施形態で示したように、複数のキースイッチ22が配列する方向に向けて発光素子25を少なくとも一対設けることが必要となる。また、発光素子の配置する角度は、左右対称で、それぞれの発光正面が導光板24の中央部付近に向かうように設置するのが好ましい。なお、照光効果をより高める場合は、図4に示すように、斜めに配置した一対の発光素子25の間に別の発光素子35を追加して配置したり、前記一対の発光素子25を前記導光板24を挟んだ反対側にもう一対設けたりする構成をとることも可能である。
【0016】
導光板24は、図2に示したように、透明若しくは半透明の薄板部材であり、前記キースイッチ22の配列スペースに対応した形状及び平面サイズを有する導光本体部24aと、端部が厚肉状に形成された入光部24bとによって一体成形されている。前記導光本体部24aは、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂など導光性の高い材料が用いられる。厚みは特に限定されるものではないが、導光効率及び撓み変形性を考慮して0.05mm〜0.2mmの範囲で形成されるのが望ましい。
【0017】
入光部24bは、矩形状をなす基板21の一端面と略平行に延び、この入光部24bに対して前記発光素子25の出射面25aが斜め内側に向けて配置される。また、前記発光素子25に対面する略中央の縦断面形状が図2に示したように略扇形をなし、発光素子25の発光方向を略半円形状に囲うように形成されている。また、この入光部24bは凸レンズと同様に光を収束させるレンズ面24cを形成し、発光素子25からの光を集めて導光本体部24a内に入光させるものとなっている。さらに、前記導光本体部24aには、可動接点22bの頂点に対応する裏面に半球状の突起26が設けられている。この突起26は、導光本体部24aと同様の樹脂を印刷等することによって形成されている。
【0018】
図2において、符号27,28は第1及び第2の粘着層である。第1の粘着層27は、導光板24の入光部24bに対向する基板21の表面上に設けられており、入光部24bを基板21に固着する。また、第2の粘着層28は、シート材23の頂点部23a上に設けられており、導光板24の突起26をシート材23の頂点部23aに固着する。
【0019】
前記発光素子25の上方と、この発光素子25の発光正面にかかる入光部24bの上方には、発光漏れを抑えるための遮光シート29が貼着されている。また、前記入光部24bの近くに延びているシート材23の端部上面には、印刷等によって形成され、反射を防止するための遮光層30が設けられている。
【0020】
図5に示すように、上記構成からなる導光シートスイッチユニット20における導光板24の上には、キースイッチ22に対応する位置にキートップ31を有するキートップシート32が配置される。前記キートップ31は透光性を有しており、このキートップ31が導光板24により照光されて光るように設定されている。このため、導光板24の表面又は裏面におけるキートップ31に対面する部分には、図6に示すように、複数のドット33aからなる光拡散部33が設けられており、このドット33aで導光板24内の光を拡散して外方に照射するように構成されている。本実施例におけるドット33aは、発光を均一にするため、発光素子25から遠ざかるにつれて密度が高まるグラデーションパターンを形成するように配設されている。また、このドット33aは、透明、半透明及び白色印刷の何れか一つ又はそれらの組み合わせにより形成されている。このように透明、半透明、白色印刷を組み合わせる場合には、ドット33aの数や密度を一定にして、発光素子25に近い方から順に透明、半透明、白色のドット33aが並ぶように配列させることで発光を均一にすることも可能である。
【0021】
次に、図2及び図3に基づいて、上記構成による導光シートスイッチユニット20の導光作用について説明する。一対の発光素子25には、基板21に設けられているコネクタ(図示せず)を介して外部から電流が供給される。ここで、一対の発光素子25から発せられる光は、前記入光部24b対してそれぞれ斜めに傾斜した角度で入射し、この入光部24b内で集光される。このように、前記入光部24bに対して斜めに入射させることで、発光素子25の正面に位置しているキースイッチ22における照り返しによる反射光を低減させることができると同時に、発光素子25から最も遠い導光板24の角部まで光を行き渡せることができる。また、前記一対の発光素子25を内側に向けて斜めに配置したことで、最小限の光源によって、導光板24全体を広範囲且つ均等に照光することが可能となった。
【0022】
また、前記導光板24は、入光部24bとシート材23の頂点部23aによって平坦な状態で支持された構造となっている。このように平坦な状態で支持された導光板24は、内部に取り込んだ光を屈曲部分で拡散することがなく、効率良く導光することができる。導光板24を平坦に支持すると、導光板24とシート材23の各頂点部23aとの間だけでなく、導光板24と各キートップ31との間に隙間が生じることがなく、各キートップ31の操作感を向上し、操作時にキートップ31がシート材23に付いたり離れたりするときに発生する異音の発生等も防ぐことができる。前記導光板24が平坦であるため、その上に配置されるキートップシート32は、キートップ31を導光板24に接着しなくても前述したように隙間が発生することがなく、キートップ31部分を避けてキートップシート32の外周近傍を導光板24、基板21等に接着して固定することができる。このようにキートップ31とキースイッチ22とを接着することなく密着させると、キースイッチ22のクリック感の悪化を防ぐことができる。なお、本実施例においては、導光板24のシート材23の頂点部23aに接触する部分に突起26を設けて押圧操作感を向上すると共に入光部24bとの高さ調節を可能としているが、突起26を設けずに導光板24の裏面を頂点部23aに直接固着しても良い。
【0023】
一方、前記入光部24bは、図2に示したように、発光素子25に対面するようなレンズ面24cとして形成されている。これにより、発光素子25から照射される光を広い角度で受光するとともに、導光板24の表裏面に対して平行又は浅い角度をなす方向に光を集めて入光させることができる。なお、発光素子25から照射される光の一部、あるいは入光部24bで受けた光の一部が、導光板24の表面又は裏面方向に向かうことで点状に光る場合があるが、遮光シート29及び遮光層30を設けることで不要な光をカットすることができる。
【0024】
さらに、図6に示したように、導光板24のそれぞれのキースイッチ22に対応する部分に複数のドット33aからなる光拡散部33を形成したり、赤、青、緑等のフィルタや着色を施したりすることで、前記発光素子25からの導光を変化させることができる。これによって、デザイン性やインテリア性を高めるとともに、頻繁に使用したり、操作に注意を要するようなキースイッチを他のキースイッチと区別させたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る導光シートスイッチユニットの要部を示す平面図である。
【図2】上記導光シートスイッチユニットの断面図である。
【図3】上記導光シートスイッチユニットの全体の平面図である。
【図4】発光素子を追加して構成した導光シートスイッチユニットの平面図である。
【図5】キートップシートを備えた導光シートスイッチユニットの断面図である。
【図6】光拡散部が形成された導光板を備えた導光シートスイッチユニットの要部を示す平面図である。
【図7】従来の導光シートスイッチユニットの平面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 シートスイッチユニット
11 基板
12 キースイッチ
14 導光板
15 発光素子
20 導光シートスイッチユニット
21 基板
22 キースイッチ
22a 固定接点
22b 可動接点
23 シート材
23a 頂点部
24 導光板
24a 導光本体部
24b 入光部
24c レンズ面
25 発光素子
25a 出射面
26 突起
27,28 粘着層
29 遮光シート
30 遮光層
31 キートップ
32 キートップシート
33 光拡散部
33a ドット
35 発光素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板の一端に配置される発光素子と、この発光素子から発せられる光の進行方向に沿って前記基板上に配列されてなる複数のキースイッチと、これらキースイッチ上を覆い、一端に前記発光素子の光を取り込む入光部を有する導光板とを備えた導光シートスイッチユニットにおいて、
前記発光素子は、その出射面が斜め内側に向けて配置されていることを特徴とする導光シートスイッチユニット。
【請求項2】
前記導光板の入光部が矩形状をなす基板の一端面と略平行に延び、この入光部に対して発光素子の出射面を斜め内側に向けて配置してなる請求項1記載の導光シートスイッチユニット。
【請求項3】
前記発光素子は、前記基板の一端両隅に少なくとも一対設けられる請求項1記載の導光シートスイッチユニット。
【請求項4】
前記発光素子は、出射面と直交する方向に出射した光線が前記導光板の略中央部を通るような角度で配置されている請求項1記載の導光シートスイッチユニット。
【請求項5】
前記導光板は入光部が厚肉状に形成され且つ発光素子に向けて凸状のレンズ面を有する請求項1記載の導光シートスイッチユニット。
【請求項6】
前記入光部に対応する前記導光板の表面には遮光シートが貼着される請求項1記載の導光シートスイッチユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−15794(P2010−15794A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174047(P2008−174047)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】