導光シート及びこれを用いた可動接点体
【課題】各種電子機器の操作に用いられる導光シート及びこれを用いた可動接点体に関し、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の発光部２の間に形成された切欠部１５や１６の端部に、他の切欠部１３や１４の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａや１６Ａを形成することによって、発光部２Ａや２Ｂから他の発光部へ漏出する光をほぼ完全に遮断できるため、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート２０、及びこれを用いた可動接点体２２を得ることができる。
【解決手段】複数の発光部２の間に形成された切欠部１５や１６の端部に、他の切欠部１３や１４の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａや１６Ａを形成することによって、発光部２Ａや２Ｂから他の発光部へ漏出する光をほぼ完全に遮断できるため、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート２０、及びこれを用いた可動接点体２２を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図４及び図５を用いて説明する。
【０００４】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図４は従来のスイッチの断面図、図５は同平面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の基材で、この基材１上面の所定箇所には、凹凸状の複数の発光部２が設けられている。
【０００６】
そして、これらの発光部２の間には、例えば、発光部２Ａの外周左右には略帯状で略コの字状の切欠部３Ａと３Ｂが、発光部２Ｂと２Ｃの間には略帯状で略直線状の切欠部３Ｃが、各々設けられて導光シート４が形成されている。
【０００７】
また、５は光透過性でフィルム状のベースシート、６は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート５外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート４下面に貼付されると共に、複数の可動接点６が発光部２Ａや２Ｂ等の下方のベースシート５下面に貼付されて、可動接点体７が構成されている。
【０００８】
さらに、８は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点９Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点９Ｂから形成された、複数の固定接点９が設けられている。
【０００９】
また、この配線基板８上面に可動接点体７が、各々の可動接点６の外周が外側固定接点９Ｂ上に載置され、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００１０】
そして、１０は発光ダイオード等の発光素子で、図５に示すように、複数の発光素子１０Ａや１０Ｂが導光シート４側方の配線基板８上面に実装され、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００１１】
さらに、１１は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１１Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１１Ｂが形成され、この表示部１１Ｂが導光シート４の発光部２Ａや２Ｂ等の上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１２】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点９Ａや外側固定接点９Ｂ、複数の発光素子１０が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１３】
以上の構成において、表示シート１１の所定の表示部１１Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート４やベースシート５が撓んで可動接点６の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点６がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａに接触することによって、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが、可動接点６を介して電気的に接続された状態となる。
【００１４】
また、表示シート１１への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点６が上方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａから離れて、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１５】
そして、このような固定接点９の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子１０に電源が供給されると、複数の発光素子１０Ａや１０Ｂが発光し、例えば、発光素子１０Ａの発光色が橙色、発光素子１０Ｂが緑色であった場合には、図５に示すように、橙色光Ｄが上端面、緑色光Ｍが右端面から導光シート４内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００１６】
さらに、この光が基材１上面の複数の発光部２Ａや２Ｂで拡散され反射して、表示シート１１の表示部１１Ｂを下方から照光し、複数の表示部１１Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１１Ｂは橙色に、発光部２Ｂ上方の表示部１１Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１１Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１７】
つまり、表示シート１１を押圧操作することによって導光シート４上面を押圧し、可動接点６を弾性反転させて固定接点９の電気的接離を行うと共に、発光素子１０の光を端面から導光シート４内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１１の複数の表示部１１Ｂを照光するように構成されている。
【００１８】
また、この時、例えば、発光素子１０Ａと１０Ｂの発光色が異なり、上記のように発光部２Ａと２Ｂが異なる色で発光している場合や、発光部２Ａの箇所は消灯し、他の発光部２Ｂや２Ｃは点灯している場合等に、複数の発光部２の間に形成された切欠部３Ａや３Ｂ、３Ｃによって光が遮断され、発光色の異なる光が導光シート４内で混合され、混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの箇所が他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されることのないようになっている。
【００１９】
すなわち、複数の発光部２の間に複数の切欠部３Ａや３Ｂ、３Ｃを設け、例えば、発光部２Ａから外方へ漏出する橙色光Ｄ１は切欠部３Ａで、発光部２Ｂから発光部２Ａの方向へ漏出する緑色光Ｍ１は切欠部３Ｂで、各々遮断することによって、混ざった発光色での照光や、消灯している箇所の照光が行われることのないように構成されているものであった。
【００２０】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００７−８７７４９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００２１】
しかしながら、上記従来の可動接点体７やスイッチにおいては、導光シート４を可動接点体７上面に貼付する際に、発光部２Ａや２Ｂ等の周囲が捲れて折曲し易くなることを防ぐために、複数の切欠部３Ａや３Ｂ、３Ｃは各々繋がっておらず、切欠部３Ａと３Ｂ端部の間や、切欠部３Ｂと３Ｃ端部の間には桟部が形成されているため、図５に示すように、これらの箇所から、例えば橙色光Ｄ２や緑色光Ｍ２が他の箇所へ漏出してしまい、光の混合や漏れを完全に防ぐことは困難であるという課題があった。
【００２２】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２３】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２４】
本発明の請求項１に記載の発明は、複数の発光部の間に形成された所定の切欠部の端部に、他の切欠部の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部を形成して導光シートを構成したものであり、切欠部端部から延出した遮光部によって、所定の発光部から他の発光部へ漏出する光をほぼ完全に遮断できるため、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２５】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な可動接点体を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２６】
以上のように本発明によれば、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２７】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図３を用いて説明する。
【００２８】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００２９】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００３０】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図、図２は同平面図であり、同図において、１はフィルム状でポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、ポリウレタン、シリコーン等の可撓性を有する光透過性の基材で、この基材１上面の所定箇所には、印刷等によって半透明なポリエステルやエポキシ等の凹凸状の複数の発光部２が設けられている。
【００３１】
そして、この複数の発光部２の間には、例えば、発光部２Ａの外周左右には略帯状で略コの字状の切欠部１３と１４が、この切欠部１３と１４下端部の間には略帯状の切欠部１５が、発光部２Ｂと２Ｃの間には略帯状の切欠部１６が各々形成されている。
【００３２】
さらに、切欠部１５左端部には切欠部１３下端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａが、切欠部１６左端部には切欠部１４下端部や切欠部１５右端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１６Ａが、各々直線状ではなく折曲し間隙を空けて設けられて、導光シート２０が構成されている。
【００３３】
なお、これらの切欠部１３や１４、１５、１６は、通常０．１〜１ｍｍ前後の幅寸法で形成されると共に、切欠部１３や１４と切欠部１５等の間に設けられた桟部は１〜５ｍｍ前後の幅寸法に形成されている。
【００３４】
また、５は光透過性でフィルム状のベースシート、６は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート５外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート２０下面に貼付されると共に、複数の可動接点６が発光部２Ａや２Ｂ等の下方のベースシート５下面に貼付されている。
【００３５】
さらに、２１はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ２１がベースシート５下面全面を覆うように貼付され、保管時や搬送時に可動接点６下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体２２が構成されている。
【００３６】
また、図３はこのような可動接点体２２を用いたスイッチの断面図であり、同図において、８はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面に銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点９Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点９Ｂから形成された、複数の固定接点９が設けられている。
【００３７】
そして、この配線基板８上面にセパレータ２１を剥離した可動接点体２２が、各々の可動接点６の外周が外側固定接点９Ｂ上に載置され、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００３８】
また、１０は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子１０が導光シート２０側方の配線基板８上面に実装され、例えば図２に示すように、発光素子１０Ａが発光部２Ａの上側方、発光素子１０Ｂが発光部２Ｂの右側方に、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００３９】
さらに、１１は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１１Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１１Ｂが形成され、この表示部１１Ｂが導光シート２０の発光部２Ａや２Ｂ等の上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００４０】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点９Ａや外側固定接点９Ｂ、複数の発光素子１０が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００４１】
以上の構成において、表示シート１１の所定の表示部１１Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート２０やベースシート５が撓んで可動接点６の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点６がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａに接触することによって、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが、可動接点６を介して電気的に接続された状態となる。
【００４２】
また、表示シート１１への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点６が上方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａから離れて、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４３】
そして、このような固定接点９の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子１０に電源が供給されると、複数の発光素子１０Ａや１０Ｂが発光し、例えば、発光素子１０Ａの発光色が橙色、発光素子１０Ｂが緑色であった場合には、図２に示すように、橙色光Ｄが上端面、緑色光Ｍが右端面から導光シート２０内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００４４】
さらに、この光が基材１上面の複数の発光部２Ａや２Ｂで拡散され反射して、表示シート１１の表示部１１Ｂを下方から照光し、複数の表示部１１Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１１Ｂは橙色に、発光部２Ｂ上方の表示部１１Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１１Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４５】
つまり、表示シート１１を押圧操作することによって導光シート２０上面を押圧し、可動接点６を弾性反転させて固定接点９の電気的接離を行うと共に、発光素子１０の光を端面から導光シート２０内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１１の複数の表示部１１Ｂを照光するように構成されている。
【００４６】
また、この時、例えば、発光素子１０Ａと１０Ｂの発光色が異なり、上記のように発光部２Ａや２Ｂが異なる色で発光している場合や、発光部２Ａの箇所は消灯し、他の発光部２Ｂや２Ｃは点灯している場合等に、複数の発光部２の間に形成された切欠部１３や１４、１５、１６等によって光が遮断され、発光色の異なる光が導光シート２０内で混合され、混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの箇所が他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されることのないようになっている。
【００４７】
すなわち、切欠部１５と１３、１４の間や、切欠部１４と１６の間には、導光シート２０を可動接点体２２上面に貼付する際に、発光部２Ａや２Ｂ等の周囲が捲れて折曲し易くなることを防ぐために各々桟部が形成され、ここから例えば橙色光Ｄ２やＤ３、緑色光Ｍ２が他の箇所へ漏出するが、これらの光は各々遮光部１５Ａや１６Ａによって遮断され、他の発光部２へは漏出しないように構成されている。
【００４８】
つまり、切欠部１５左端部には切欠部１３下端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａが、切欠部１６左端部には切欠部１４下端部や切欠部１５右端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１６Ａが、各々直線状ではなく折曲し間隙を空けて形成され、切欠部１５と１３、１４の間や、切欠部１４と１６の間の桟部から漏出した光は、これらの遮光部１５Ａや１６Ａでほぼ完全に遮断されるため、混ざった発光色での照光や、消灯している箇所の照光が行われることのないようになっている。
【００４９】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部２の間に形成された切欠部１５や１６の端部に、他の切欠部１３や１４の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａや１６Ａを形成することによって、発光部２Ａや２Ｂから他の発光部へ漏出する光をほぼ完全に遮断できるため、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート２０、及びこれを用いた可動接点体２２を得ることができるものである。
【００５０】
なお、以上の説明では、可動接点６上方の導光シート２０の基材１上面に、印刷によって複数の発光部２を形成した構成について説明したが、上面ではなく基材１下面に発光部２を形成した構成としても本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やプレス加工、成形加工等、様々な方法によって凹凸状の発光部２の形成は可能である。
【００５１】
さらに、以上の説明では、下面に複数の可動接点６が貼付されたベースシート５を、導光シート２０の下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート５をなくし、導光シート２０の下面に複数の可動接点６を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体をより簡易で安価なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【００５２】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００５３】
【図１】本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同平面図
【図３】同スイッチの断面図
【図４】従来のスイッチの断面図
【図５】同平面図
【符号の説明】
【００５４】
１ 基材
２、２Ａ、２Ｂ、２Ｃ 発光部
５ ベースシート
６ 可動接点
８ 配線基板
９ 固定接点
９Ａ 中央固定接点
９Ｂ 外側固定接点
１０、１０Ａ、１０Ｂ 発光素子
１１ 表示シート
１１Ａ 遮光部
１１Ｂ 表示部
１３、１４、１５、１６ 切欠部
１５Ａ、１６Ａ 遮光部
２０ 導光シート
２１ セパレータ
２２ 可動接点体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図４及び図５を用いて説明する。
【０００４】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図４は従来のスイッチの断面図、図５は同平面図であり、同図において、１は光透過性でフィルム状の基材で、この基材１上面の所定箇所には、凹凸状の複数の発光部２が設けられている。
【０００６】
そして、これらの発光部２の間には、例えば、発光部２Ａの外周左右には略帯状で略コの字状の切欠部３Ａと３Ｂが、発光部２Ｂと２Ｃの間には略帯状で略直線状の切欠部３Ｃが、各々設けられて導光シート４が形成されている。
【０００７】
また、５は光透過性でフィルム状のベースシート、６は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート５外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート４下面に貼付されると共に、複数の可動接点６が発光部２Ａや２Ｂ等の下方のベースシート５下面に貼付されて、可動接点体７が構成されている。
【０００８】
さらに、８は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点９Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点９Ｂから形成された、複数の固定接点９が設けられている。
【０００９】
また、この配線基板８上面に可動接点体７が、各々の可動接点６の外周が外側固定接点９Ｂ上に載置され、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００１０】
そして、１０は発光ダイオード等の発光素子で、図５に示すように、複数の発光素子１０Ａや１０Ｂが導光シート４側方の配線基板８上面に実装され、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００１１】
さらに、１１は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１１Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１１Ｂが形成され、この表示部１１Ｂが導光シート４の発光部２Ａや２Ｂ等の上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１２】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点９Ａや外側固定接点９Ｂ、複数の発光素子１０が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１３】
以上の構成において、表示シート１１の所定の表示部１１Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート４やベースシート５が撓んで可動接点６の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点６がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａに接触することによって、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが、可動接点６を介して電気的に接続された状態となる。
【００１４】
また、表示シート１１への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点６が上方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａから離れて、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１５】
そして、このような固定接点９の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子１０に電源が供給されると、複数の発光素子１０Ａや１０Ｂが発光し、例えば、発光素子１０Ａの発光色が橙色、発光素子１０Ｂが緑色であった場合には、図５に示すように、橙色光Ｄが上端面、緑色光Ｍが右端面から導光シート４内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００１６】
さらに、この光が基材１上面の複数の発光部２Ａや２Ｂで拡散され反射して、表示シート１１の表示部１１Ｂを下方から照光し、複数の表示部１１Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１１Ｂは橙色に、発光部２Ｂ上方の表示部１１Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１１Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１７】
つまり、表示シート１１を押圧操作することによって導光シート４上面を押圧し、可動接点６を弾性反転させて固定接点９の電気的接離を行うと共に、発光素子１０の光を端面から導光シート４内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１１の複数の表示部１１Ｂを照光するように構成されている。
【００１８】
また、この時、例えば、発光素子１０Ａと１０Ｂの発光色が異なり、上記のように発光部２Ａと２Ｂが異なる色で発光している場合や、発光部２Ａの箇所は消灯し、他の発光部２Ｂや２Ｃは点灯している場合等に、複数の発光部２の間に形成された切欠部３Ａや３Ｂ、３Ｃによって光が遮断され、発光色の異なる光が導光シート４内で混合され、混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの箇所が他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されることのないようになっている。
【００１９】
すなわち、複数の発光部２の間に複数の切欠部３Ａや３Ｂ、３Ｃを設け、例えば、発光部２Ａから外方へ漏出する橙色光Ｄ１は切欠部３Ａで、発光部２Ｂから発光部２Ａの方向へ漏出する緑色光Ｍ１は切欠部３Ｂで、各々遮断することによって、混ざった発光色での照光や、消灯している箇所の照光が行われることのないように構成されているものであった。
【００２０】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００７−８７７４９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００２１】
しかしながら、上記従来の可動接点体７やスイッチにおいては、導光シート４を可動接点体７上面に貼付する際に、発光部２Ａや２Ｂ等の周囲が捲れて折曲し易くなることを防ぐために、複数の切欠部３Ａや３Ｂ、３Ｃは各々繋がっておらず、切欠部３Ａと３Ｂ端部の間や、切欠部３Ｂと３Ｃ端部の間には桟部が形成されているため、図５に示すように、これらの箇所から、例えば橙色光Ｄ２や緑色光Ｍ２が他の箇所へ漏出してしまい、光の混合や漏れを完全に防ぐことは困難であるという課題があった。
【００２２】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２３】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２４】
本発明の請求項１に記載の発明は、複数の発光部の間に形成された所定の切欠部の端部に、他の切欠部の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部を形成して導光シートを構成したものであり、切欠部端部から延出した遮光部によって、所定の発光部から他の発光部へ漏出する光をほぼ完全に遮断できるため、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【００２５】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な可動接点体を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２６】
以上のように本発明によれば、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２７】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図３を用いて説明する。
【００２８】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００２９】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００３０】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図、図２は同平面図であり、同図において、１はフィルム状でポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、ポリウレタン、シリコーン等の可撓性を有する光透過性の基材で、この基材１上面の所定箇所には、印刷等によって半透明なポリエステルやエポキシ等の凹凸状の複数の発光部２が設けられている。
【００３１】
そして、この複数の発光部２の間には、例えば、発光部２Ａの外周左右には略帯状で略コの字状の切欠部１３と１４が、この切欠部１３と１４下端部の間には略帯状の切欠部１５が、発光部２Ｂと２Ｃの間には略帯状の切欠部１６が各々形成されている。
【００３２】
さらに、切欠部１５左端部には切欠部１３下端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａが、切欠部１６左端部には切欠部１４下端部や切欠部１５右端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１６Ａが、各々直線状ではなく折曲し間隙を空けて設けられて、導光シート２０が構成されている。
【００３３】
なお、これらの切欠部１３や１４、１５、１６は、通常０．１〜１ｍｍ前後の幅寸法で形成されると共に、切欠部１３や１４と切欠部１５等の間に設けられた桟部は１〜５ｍｍ前後の幅寸法に形成されている。
【００３４】
また、５は光透過性でフィルム状のベースシート、６は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート５外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート２０下面に貼付されると共に、複数の可動接点６が発光部２Ａや２Ｂ等の下方のベースシート５下面に貼付されている。
【００３５】
さらに、２１はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ２１がベースシート５下面全面を覆うように貼付され、保管時や搬送時に可動接点６下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体２２が構成されている。
【００３６】
また、図３はこのような可動接点体２２を用いたスイッチの断面図であり、同図において、８はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面に銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点９Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点９Ｂから形成された、複数の固定接点９が設けられている。
【００３７】
そして、この配線基板８上面にセパレータ２１を剥離した可動接点体２２が、各々の可動接点６の外周が外側固定接点９Ｂ上に載置され、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００３８】
また、１０は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子１０が導光シート２０側方の配線基板８上面に実装され、例えば図２に示すように、発光素子１０Ａが発光部２Ａの上側方、発光素子１０Ｂが発光部２Ｂの右側方に、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００３９】
さらに、１１は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部１１Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１１Ｂが形成され、この表示部１１Ｂが導光シート２０の発光部２Ａや２Ｂ等の上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００４０】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点９Ａや外側固定接点９Ｂ、複数の発光素子１０が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００４１】
以上の構成において、表示シート１１の所定の表示部１１Ｂを下方へ押圧操作すると、導光シート２０やベースシート５が撓んで可動接点６の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点６がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａに接触することによって、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが、可動接点６を介して電気的に接続された状態となる。
【００４２】
また、表示シート１１への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点６が上方へ弾性反転し、可動接点６の下面中央が中央固定接点９Ａから離れて、中央固定接点９Ａと外側固定接点９Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４３】
そして、このような固定接点９の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子１０に電源が供給されると、複数の発光素子１０Ａや１０Ｂが発光し、例えば、発光素子１０Ａの発光色が橙色、発光素子１０Ｂが緑色であった場合には、図２に示すように、橙色光Ｄが上端面、緑色光Ｍが右端面から導光シート２０内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００４４】
さらに、この光が基材１上面の複数の発光部２Ａや２Ｂで拡散され反射して、表示シート１１の表示部１１Ｂを下方から照光し、複数の表示部１１Ｂが、例えば、発光部２Ａ上方の表示部１１Ｂは橙色に、発光部２Ｂ上方の表示部１１Ｂは緑色に照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部１１Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４５】
つまり、表示シート１１を押圧操作することによって導光シート２０上面を押圧し、可動接点６を弾性反転させて固定接点９の電気的接離を行うと共に、発光素子１０の光を端面から導光シート２０内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１１の複数の表示部１１Ｂを照光するように構成されている。
【００４６】
また、この時、例えば、発光素子１０Ａと１０Ｂの発光色が異なり、上記のように発光部２Ａや２Ｂが異なる色で発光している場合や、発光部２Ａの箇所は消灯し、他の発光部２Ｂや２Ｃは点灯している場合等に、複数の発光部２の間に形成された切欠部１３や１４、１５、１６等によって光が遮断され、発光色の異なる光が導光シート２０内で混合され、混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの箇所が他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されることのないようになっている。
【００４７】
すなわち、切欠部１５と１３、１４の間や、切欠部１４と１６の間には、導光シート２０を可動接点体２２上面に貼付する際に、発光部２Ａや２Ｂ等の周囲が捲れて折曲し易くなることを防ぐために各々桟部が形成され、ここから例えば橙色光Ｄ２やＤ３、緑色光Ｍ２が他の箇所へ漏出するが、これらの光は各々遮光部１５Ａや１６Ａによって遮断され、他の発光部２へは漏出しないように構成されている。
【００４８】
つまり、切欠部１５左端部には切欠部１３下端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａが、切欠部１６左端部には切欠部１４下端部や切欠部１５右端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１６Ａが、各々直線状ではなく折曲し間隙を空けて形成され、切欠部１５と１３、１４の間や、切欠部１４と１６の間の桟部から漏出した光は、これらの遮光部１５Ａや１６Ａでほぼ完全に遮断されるため、混ざった発光色での照光や、消灯している箇所の照光が行われることのないようになっている。
【００４９】
このように本実施の形態によれば、複数の発光部２の間に形成された切欠部１５や１６の端部に、他の切欠部１３や１４の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部１５Ａや１６Ａを形成することによって、発光部２Ａや２Ｂから他の発光部へ漏出する光をほぼ完全に遮断できるため、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能な導光シート２０、及びこれを用いた可動接点体２２を得ることができるものである。
【００５０】
なお、以上の説明では、可動接点６上方の導光シート２０の基材１上面に、印刷によって複数の発光部２を形成した構成について説明したが、上面ではなく基材１下面に発光部２を形成した構成としても本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やプレス加工、成形加工等、様々な方法によって凹凸状の発光部２の形成は可能である。
【００５１】
さらに、以上の説明では、下面に複数の可動接点６が貼付されたベースシート５を、導光シート２０の下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート５をなくし、導光シート２０の下面に複数の可動接点６を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体をより簡易で安価なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【００５２】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、光の混合や漏れを防ぎ、多様な照光が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００５３】
【図１】本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同平面図
【図３】同スイッチの断面図
【図４】従来のスイッチの断面図
【図５】同平面図
【符号の説明】
【００５４】
１ 基材
２、２Ａ、２Ｂ、２Ｃ 発光部
５ ベースシート
６ 可動接点
８ 配線基板
９ 固定接点
９Ａ 中央固定接点
９Ｂ 外側固定接点
１０、１０Ａ、１０Ｂ 発光素子
１１ 表示シート
１１Ａ 遮光部
１１Ｂ 表示部
１３、１４、１５、１６ 切欠部
１５Ａ、１６Ａ 遮光部
２０ 導光シート
２１ セパレータ
２２ 可動接点体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
フィルム状の基材と、この基材に形成された凹凸状の複数の発光部と、上記発光部の間に形成された略帯状の複数の切欠部からなり、上記所定の切欠部の端部に、他の切欠部の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部を形成した導光シート。
【請求項２】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【請求項１】
フィルム状の基材と、この基材に形成された凹凸状の複数の発光部と、上記発光部の間に形成された略帯状の複数の切欠部からなり、上記所定の切欠部の端部に、他の切欠部の端部と略並行に重なる方向へ延出する遮光部を形成した導光シート。
【請求項２】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１０−２７５３５（Ｐ２０１０−２７５３５Ａ）
【公開日】平成２２年２月４日（２０１０．２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１９０５６４（Ｐ２００８−１９０５６４）
【出願日】平成２０年７月２４日（２００８．７．２４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年２月４日（２０１０．２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年７月２４日（２００８．７．２４）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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