導光シート及びこれを用いた可動接点体
【課題】主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関し、明るく見易い照光が行え、容易な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】フィルム状で光透過性の基材１１に、凸状の複数の発光部１２を覆う、光透過性の導光層１３を設けることによって、端面からの発光素子９の光が基材１１に加え導光層１３からも入射し、発光部１２内で散乱して反射する光の量が多くなるため、明るく高輝度な照光が行え、見易く容易な操作が可能な導光シート１４及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができる。
【解決手段】フィルム状で光透過性の基材１１に、凸状の複数の発光部１２を覆う、光透過性の導光層１３を設けることによって、端面からの発光素子９の光が基材１１に加え導光層１３からも入射し、発光部１２内で散乱して反射する光の量が多くなるため、明るく高輝度な照光が行え、見易く容易な操作が可能な導光シート１４及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話や電子カメラ等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、明るく見易い照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図５を用いて説明する。
【０００４】
なお、この図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図５は従来のスイッチの断面図であり、同図において、１はフィルム状で光透過性の基材で、この基材１下面の所定箇所には、凸状の複数の発光部２が設けられて、導光シート３が形成されている。
【０００６】
また、４はフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されて、可動接点体６が構成されている。
【０００７】
さらに、７は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【０００８】
そして、この配線基板７上面に可動接点体６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【０００９】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート３側方の配線基板７上面に実装され、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００１０】
さらに、１０はフィルム状で光透過性の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート３の複数の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１１】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１２】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００１３】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１４】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が端面から導光シート３内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００１５】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部２で拡散または反射して、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１６】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて複数の固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されているものであった。
【００１７】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１８】
【特許文献１】特開２００９−１８７９２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１９】
しかしながら、上記従来の導光シート３や可動接点体６においては、導光シート３内に入射した発光素子９の光が、基材１下面の複数の発光部２内で拡散され反射する際、発光部２内に入射して散乱される光の量が少ないため、表示部１０Ｂを照光する輝度が低下し、やや暗いものとなってしまうという課題があった。
【００２０】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、明るく見易い照光が行え、容易な操作が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２１】
上記目的を達成するために本発明は、フィルム状で光透過性の基材に、凸状の複数の発光部を覆う、光透過性の導光層を設けて導光シートを構成したものであり、端面からの発光素子の光が基材に加え導光層からも入射し、発光部内で散乱して反射する光の量が多くなるため、明るく高輝度な照光が行え、見易く容易な操作が可能な導光シート、及びこれを用いた可動接点体を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【００２２】
以上のように本発明によれば、明るく見易い照光が行え、容易な操作が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同スイッチの断面図
【図３】同部分断面図
【図４】同他の実施の形態による導光シートの断面図
【図５】従来のスイッチの断面図
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図４を用いて説明する。
【００２５】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００２６】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２７】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図であり、同図において、１１はフィルム状で可撓性を有する厚さ０．１５ｍｍ前後の光透過性の基材で、光の屈折率が１．５０〜１．５１前後のウレタンやアクリル等から形成されている。
【００２８】
また、１２は凸状の複数の発光部で、基材１１下面の所定箇所に印刷等によって、径が０．０５〜０．５ｍｍ前後で高さ０．００５〜０．０２ｍｍ前後の寸法でドット状に設けられると共に、図３（ａ）の部分断面図に示すように、ポリエステルやアクリル、エポキシ等の合成樹脂１２Ａ内に、粒径が０．１〜５μｍ前後で、屈折率が２．７前後の酸化チタンや屈折率２．４前後のチタン酸バリウム、屈折率２．０前後の酸化亜鉛等の、白色や乳白色等の複数の無機酸化物粒子１２Ｂが、５〜７０重量％前後分散されて形成されている。
【００２９】
なお、この合成樹脂１２Ａ内に分散する無機酸化物粒子１２Ｂの粒径としては、可視光の波長０．４〜０．８μｍに近似、あるいはこれよりやや大きな粒径の０．４〜１．５μｍが好ましく、合成樹脂１２Ａ内への分散量としては、印刷等によって形成が行い易い１０〜４０重量％が好ましい。
【００３０】
さらに、１３は厚さ０．０５ｍｍ前後の光透過性の導光層で、基材１１とほぼ同等かやや低めの屈折率１．４９〜１．５１前後の、アクリルやウレタンアクリレート等から形成されると共に、この基材１１下面に印刷等によって形成された導光層１３が、複数の発光部１２を覆って導光シート１４が構成されている。
【００３１】
そして、４はフィルム状でポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の可撓性を有するベースシート、５は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、アクリルやシリコーン等の接着剤（図示せず）によって導光シート１４下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部１２下方のベースシート４下面に貼付されている。
【００３２】
さらに、１５はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ１５がベースシート４下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点５下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体１６が構成されている。
【００３３】
また、図２はこのような可動接点体１６を用いたスイッチの断面図であり、同図において、７はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面には銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【００３４】
そして、この配線基板７上面にセパレータ１５を剥離した可動接点体１６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００３５】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート１４側方の配線基板７上面に実装され、基材１１と導光層１３の端面に発光面を向けて配置されている。
【００３６】
さらに、１０はフィルム状で光透過性の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート１４の複数の発光部１２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００３７】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００３８】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート１４やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００３９】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４０】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が端面から導光シート１４内に入射して、基材１１と導光層１３内を反射しながら内方へ進む。
【００４１】
さらに、この光が基材１１下面の導光層１３に覆われた複数の発光部１２内で、無機酸化物粒子１２Ｂによって拡散または反射して、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４２】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート１４上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて複数の固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート１４の基材１１と導光層１３内に導入し、複数の発光部１２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００４３】
そして、この時、図３（ａ）に示すように、基材１１端面からの発光素子９の光が発光部１２内に入射し、複数の無機酸化物粒子１２Ｂによって拡散または反射して照光が行われると共に、図３（ｂ）に示すように、導光層１３端面からの光も同様に発光部１２で拡散または反射して、上方の表示部１０Ｂの照光が行われるようになっている。
【００４４】
すなわち、基材１１下面に複数の発光部１２を挟むように、基材１１とほぼ同等かやや低めの屈折率の導光層１３を設け、発光素子９の光を発光部１２上側の基材１１からも、発光部１２下側を覆う導光層１３からも発光部１２に入射させ、この両方の光によって発光部１２を発光させることで、照光する光の量を増やし、表示部１０Ｂが明るく高輝度に照光されるように構成されている。
【００４５】
さらに、発光部１２を光量の多い基材１１と導光層１３の中間部に形成することによって、例えば全体の厚さが同等の０．２ｍｍ前後の厚さの、基材上面や下面に発光部を設けた場合にくらべ、中間部の多くの光量で発光部１２をより明るく高輝度に発光させることが可能なようになっている。
【００４６】
また、導光層１３を基材１１に近似した、ほぼ同等かやや低めの屈折率に形成することによって、基材１１と導光層１３端面から入射した発光素子９の光を、効率よく複数の発光部１２内に導き、発光部１２をより高輝度に発光させることができる。
【００４７】
つまり、基材１１と導光層１３の屈折率が異なっていた場合には、屈折率の低い側から高い側へ光が入射し、基材１１または導光層１３内のいずれか一方の光が増し、他方の光は少なくなってしまうが、上記のように基材１１と導光層１３の屈折率をほぼ同等に形成することで、このような光の漏れを防ぎ、基材１１からも導光層１３からも、より多くの光を発光部１２内に入射させることが可能となる。
【００４８】
なお、フィルム状の基材１１に比べ、この下面に印刷等によって形成される導光層１３は、一般に基材１１よりも厚さが薄いものとなるため、基材１１と導光層１３に屈折率の異なるものを用いる場合には、導光層１３の方をやや屈折率の低いものとするほうがよい。
【００４９】
さらに、基材１１と導光層１３からより多くの光を発光部１２内に導くためには、発光部１２の合成樹脂１２Ａに基材１１や導光層１３とほぼ同等、またはやや高い屈折率のものを用いることが好ましく、例えば、基材１１に屈折率１．５１のウレタン、導光層１３に屈折率１．５０のアクリルを用いた場合には、合成樹脂１２Ａには屈折率１．５２のウレタンアクリレート等を用いるとよい。
【００５０】
また、導光層１３は基材１１下面に均一な厚さで全面に設けることが好ましいが、部分的に導光層１３を形成しない箇所がある場合でも、発光素子９の光が入射する箇所は幅広に設けると共に、幅が変化して光が漏れるような箇所は形成しないようにすることが好ましい。
【００５１】
なお、以上の説明では、合成樹脂１２Ａ内に酸化チタンやチタン酸バリウム等の無機酸化物粒子１２Ｂを分散して、発光部１２を形成した構成について説明したが、合成樹脂１２Ａよりも屈折率の高いポリエステルやアクリル、エポキシ等の樹脂フィラーを、合成樹脂１２Ａ内に分散して発光部１２を形成した構成としても、本発明の実施は可能である。
【００５２】
そして、図４の断面図に示すように、基材１１下面の複数の発光部１２下方の、導光層１３下面にも複数の発光部１２を設けることで、これらの上方の表示部１０Ｂをさらに明るく高輝度に照光することができる。
【００５３】
つまり、基材１１と導光層１３内に入射した発光素子９の光を、導光層１３内の発光部１２と、下面の発光部１２の両方で散乱して発光させることによって、輝度がより高まり、明るい照光が行えるようになっている。
【００５４】
なお、以上の説明では、基材１１下面に印刷によって、凸状の複数の発光部１２を形成した構成について説明したが、基材１１上面に複数の発光部１２を設け、これを覆うように基材１１上面に導光層１３を形成した構成としても、本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やインクジェット、レーザ加工、プレス加工、成形加工等、様々な方法によっても凸状の発光部１２の形成は可能である。
【００５５】
また、以上の説明では、下面に複数の可動接点５が貼付されたベースシート４を、導光シート１４下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート４をなくし、導光シート１４の下面に複数の可動接点５を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体１６やスイッチをより簡易で安価に形成することができる。
【００５６】
このように本実施の形態によれば、フィルム状で光透過性の基材１１に、凸状の複数の発光部１２を覆う、光透過性の導光層１３を設けることによって、端面からの発光素子９の光が基材１１に加え導光層１３からも入射し、発光部１２内で散乱して反射する光の量が多くなるため、明るく高輝度な照光が行え、見易く容易な操作が可能な導光シート１４及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができるものである。
【００５７】
また、発光部１２下方の導光層１３下面にも、発光部１２を形成することによって、さらに明るく高輝度な照光を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【００５８】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、明るく見易い照光が行え、容易な操作が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【００５９】
４ ベースシート
５ 可動接点
７ 配線基板
８ 固定接点
８Ａ 中央固定接点
８Ｂ 外側固定接点
９ 発光素子
１０ 表示シート
１０Ａ 塗装部
１０Ｂ 表示部
１１ 基材
１２ 発光部
１２Ａ 合成樹脂
１２Ｂ 無機酸化物粒子
１３ 導光層
１４ 導光シート
１５ セパレータ
１６ 可動接点体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話や電子カメラ等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、明るく見易い照光を行えるものが求められている。
【０００３】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図５を用いて説明する。
【０００４】
なお、この図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【０００５】
図５は従来のスイッチの断面図であり、同図において、１はフィルム状で光透過性の基材で、この基材１下面の所定箇所には、凸状の複数の発光部２が設けられて、導光シート３が形成されている。
【０００６】
また、４はフィルム状のベースシート、５は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって導光シート３下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部２下方のベースシート４下面に貼付されて、可動接点体６が構成されている。
【０００７】
さらに、７は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【０００８】
そして、この配線基板７上面に可動接点体６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【０００９】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート３側方の配線基板７上面に実装され、基材１の端面に発光面を向けて配置されている。
【００１０】
さらに、１０はフィルム状で光透過性の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート３の複数の発光部２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００１１】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１２】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート３やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００１３】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１４】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が端面から導光シート３内に入射して、基材１内を反射しながら内方へ進む。
【００１５】
さらに、この光が基材１下面の複数の発光部２で拡散または反射して、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１６】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート３上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて複数の固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート３内に導入し、複数の発光部２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されているものであった。
【００１７】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１８】
【特許文献１】特開２００９−１８７９２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１９】
しかしながら、上記従来の導光シート３や可動接点体６においては、導光シート３内に入射した発光素子９の光が、基材１下面の複数の発光部２内で拡散され反射する際、発光部２内に入射して散乱される光の量が少ないため、表示部１０Ｂを照光する輝度が低下し、やや暗いものとなってしまうという課題があった。
【００２０】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、明るく見易い照光が行え、容易な操作が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２１】
上記目的を達成するために本発明は、フィルム状で光透過性の基材に、凸状の複数の発光部を覆う、光透過性の導光層を設けて導光シートを構成したものであり、端面からの発光素子の光が基材に加え導光層からも入射し、発光部内で散乱して反射する光の量が多くなるため、明るく高輝度な照光が行え、見易く容易な操作が可能な導光シート、及びこれを用いた可動接点体を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【００２２】
以上のように本発明によれば、明るく見易い照光が行え、容易な操作が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図
【図２】同スイッチの断面図
【図３】同部分断面図
【図４】同他の実施の形態による導光シートの断面図
【図５】従来のスイッチの断面図
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明の実施の形態について、図１〜図４を用いて説明する。
【００２５】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【００２６】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２７】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図であり、同図において、１１はフィルム状で可撓性を有する厚さ０．１５ｍｍ前後の光透過性の基材で、光の屈折率が１．５０〜１．５１前後のウレタンやアクリル等から形成されている。
【００２８】
また、１２は凸状の複数の発光部で、基材１１下面の所定箇所に印刷等によって、径が０．０５〜０．５ｍｍ前後で高さ０．００５〜０．０２ｍｍ前後の寸法でドット状に設けられると共に、図３（ａ）の部分断面図に示すように、ポリエステルやアクリル、エポキシ等の合成樹脂１２Ａ内に、粒径が０．１〜５μｍ前後で、屈折率が２．７前後の酸化チタンや屈折率２．４前後のチタン酸バリウム、屈折率２．０前後の酸化亜鉛等の、白色や乳白色等の複数の無機酸化物粒子１２Ｂが、５〜７０重量％前後分散されて形成されている。
【００２９】
なお、この合成樹脂１２Ａ内に分散する無機酸化物粒子１２Ｂの粒径としては、可視光の波長０．４〜０．８μｍに近似、あるいはこれよりやや大きな粒径の０．４〜１．５μｍが好ましく、合成樹脂１２Ａ内への分散量としては、印刷等によって形成が行い易い１０〜４０重量％が好ましい。
【００３０】
さらに、１３は厚さ０．０５ｍｍ前後の光透過性の導光層で、基材１１とほぼ同等かやや低めの屈折率１．４９〜１．５１前後の、アクリルやウレタンアクリレート等から形成されると共に、この基材１１下面に印刷等によって形成された導光層１３が、複数の発光部１２を覆って導光シート１４が構成されている。
【００３１】
そして、４はフィルム状でポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の可撓性を有するベースシート、５は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート４外周の所定箇所が、アクリルやシリコーン等の接着剤（図示せず）によって導光シート１４下面に貼付されると共に、複数の可動接点５が発光部１２下方のベースシート４下面に貼付されている。
【００３２】
さらに、１５はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ１５がベースシート４下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点５下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体１６が構成されている。
【００３３】
また、図２はこのような可動接点体１６を用いたスイッチの断面図であり、同図において、７はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面には銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点８Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点８Ｂから形成された、複数の固定接点８が設けられている。
【００３４】
そして、この配線基板７上面にセパレータ１５を剥離した可動接点体１６が、各々の可動接点５の外周が外側固定接点８Ｂ上に載置され、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【００３５】
また、９は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子９が導光シート１４側方の配線基板７上面に実装され、基材１１と導光層１３の端面に発光面を向けて配置されている。
【００３６】
さらに、１０はフィルム状で光透過性の表示シートで、下面に印刷等によって形成された塗装部１０Ａの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部１０Ｂが形成され、この表示部１０Ｂが導光シート１４の複数の発光部１２上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【００３７】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点８Ａや外側固定接点８Ｂ、複数の発光素子９が配線パターン等を介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００３８】
以上の構成において、表示シート１０の所定の表示部１０Ｂを下方へ押圧操作すると、この下方の導光シート１４やベースシート４が撓んで可動接点５の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点５がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａに接触することによって、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが、可動接点５を介して電気的に接続された状態となる。
【００３９】
また、表示シート１０への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点５が上方へ弾性反転し、可動接点５の下面中央が中央固定接点８Ａから離れて、中央固定接点８Ａと外側固定接点８Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４０】
そして、このような固定接点８の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子９に電源が供給されると、複数の発光素子９が発光し、この光が端面から導光シート１４内に入射して、基材１１と導光層１３内を反射しながら内方へ進む。
【００４１】
さらに、この光が基材１１下面の導光層１３に覆われた複数の発光部１２内で、無機酸化物粒子１２Ｂによって拡散または反射して、これらの上方の表示シート１０の表示部１０Ｂを下方から照光し、複数の表示部１０Ｂが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、これらの表示部１０Ｂの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４２】
つまり、表示シート１０を押圧操作することによって導光シート１４上面を押圧し、可動接点５を弾性反転させて複数の固定接点８の電気的接離を行うと共に、発光素子９の光を端面から導光シート１４の基材１１と導光層１３内に導入し、複数の発光部１２を発光させることによって、表示シート１０の複数の表示部１０Ｂを照光するように構成されている。
【００４３】
そして、この時、図３（ａ）に示すように、基材１１端面からの発光素子９の光が発光部１２内に入射し、複数の無機酸化物粒子１２Ｂによって拡散または反射して照光が行われると共に、図３（ｂ）に示すように、導光層１３端面からの光も同様に発光部１２で拡散または反射して、上方の表示部１０Ｂの照光が行われるようになっている。
【００４４】
すなわち、基材１１下面に複数の発光部１２を挟むように、基材１１とほぼ同等かやや低めの屈折率の導光層１３を設け、発光素子９の光を発光部１２上側の基材１１からも、発光部１２下側を覆う導光層１３からも発光部１２に入射させ、この両方の光によって発光部１２を発光させることで、照光する光の量を増やし、表示部１０Ｂが明るく高輝度に照光されるように構成されている。
【００４５】
さらに、発光部１２を光量の多い基材１１と導光層１３の中間部に形成することによって、例えば全体の厚さが同等の０．２ｍｍ前後の厚さの、基材上面や下面に発光部を設けた場合にくらべ、中間部の多くの光量で発光部１２をより明るく高輝度に発光させることが可能なようになっている。
【００４６】
また、導光層１３を基材１１に近似した、ほぼ同等かやや低めの屈折率に形成することによって、基材１１と導光層１３端面から入射した発光素子９の光を、効率よく複数の発光部１２内に導き、発光部１２をより高輝度に発光させることができる。
【００４７】
つまり、基材１１と導光層１３の屈折率が異なっていた場合には、屈折率の低い側から高い側へ光が入射し、基材１１または導光層１３内のいずれか一方の光が増し、他方の光は少なくなってしまうが、上記のように基材１１と導光層１３の屈折率をほぼ同等に形成することで、このような光の漏れを防ぎ、基材１１からも導光層１３からも、より多くの光を発光部１２内に入射させることが可能となる。
【００４８】
なお、フィルム状の基材１１に比べ、この下面に印刷等によって形成される導光層１３は、一般に基材１１よりも厚さが薄いものとなるため、基材１１と導光層１３に屈折率の異なるものを用いる場合には、導光層１３の方をやや屈折率の低いものとするほうがよい。
【００４９】
さらに、基材１１と導光層１３からより多くの光を発光部１２内に導くためには、発光部１２の合成樹脂１２Ａに基材１１や導光層１３とほぼ同等、またはやや高い屈折率のものを用いることが好ましく、例えば、基材１１に屈折率１．５１のウレタン、導光層１３に屈折率１．５０のアクリルを用いた場合には、合成樹脂１２Ａには屈折率１．５２のウレタンアクリレート等を用いるとよい。
【００５０】
また、導光層１３は基材１１下面に均一な厚さで全面に設けることが好ましいが、部分的に導光層１３を形成しない箇所がある場合でも、発光素子９の光が入射する箇所は幅広に設けると共に、幅が変化して光が漏れるような箇所は形成しないようにすることが好ましい。
【００５１】
なお、以上の説明では、合成樹脂１２Ａ内に酸化チタンやチタン酸バリウム等の無機酸化物粒子１２Ｂを分散して、発光部１２を形成した構成について説明したが、合成樹脂１２Ａよりも屈折率の高いポリエステルやアクリル、エポキシ等の樹脂フィラーを、合成樹脂１２Ａ内に分散して発光部１２を形成した構成としても、本発明の実施は可能である。
【００５２】
そして、図４の断面図に示すように、基材１１下面の複数の発光部１２下方の、導光層１３下面にも複数の発光部１２を設けることで、これらの上方の表示部１０Ｂをさらに明るく高輝度に照光することができる。
【００５３】
つまり、基材１１と導光層１３内に入射した発光素子９の光を、導光層１３内の発光部１２と、下面の発光部１２の両方で散乱して発光させることによって、輝度がより高まり、明るい照光が行えるようになっている。
【００５４】
なお、以上の説明では、基材１１下面に印刷によって、凸状の複数の発光部１２を形成した構成について説明したが、基材１１上面に複数の発光部１２を設け、これを覆うように基材１１上面に導光層１３を形成した構成としても、本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やインクジェット、レーザ加工、プレス加工、成形加工等、様々な方法によっても凸状の発光部１２の形成は可能である。
【００５５】
また、以上の説明では、下面に複数の可動接点５が貼付されたベースシート４を、導光シート１４下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート４をなくし、導光シート１４の下面に複数の可動接点５を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体１６やスイッチをより簡易で安価に形成することができる。
【００５６】
このように本実施の形態によれば、フィルム状で光透過性の基材１１に、凸状の複数の発光部１２を覆う、光透過性の導光層１３を設けることによって、端面からの発光素子９の光が基材１１に加え導光層１３からも入射し、発光部１２内で散乱して反射する光の量が多くなるため、明るく高輝度な照光が行え、見易く容易な操作が可能な導光シート１４及びこれを用いた可動接点体１６を得ることができるものである。
【００５７】
また、発光部１２下方の導光層１３下面にも、発光部１２を形成することによって、さらに明るく高輝度な照光を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【００５８】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、明るく見易い照光が行え、容易な操作が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【００５９】
４ ベースシート
５ 可動接点
７ 配線基板
８ 固定接点
８Ａ 中央固定接点
８Ｂ 外側固定接点
９ 発光素子
１０ 表示シート
１０Ａ 塗装部
１０Ｂ 表示部
１１ 基材
１２ 発光部
１２Ａ 合成樹脂
１２Ｂ 無機酸化物粒子
１３ 導光層
１４ 導光シート
１５ セパレータ
１６ 可動接点体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
フィルム状で光透過性の基材と、この基材に形成された凸状の複数の発光部からなり、上記基材に上記発光部を覆う光透過性の導光層を設けた導光シート。
【請求項２】
発光部下方の導光層下面にも、発光部を形成した請求項１記載の導光シート。
【請求項３】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【請求項１】
フィルム状で光透過性の基材と、この基材に形成された凸状の複数の発光部からなり、上記基材に上記発光部を覆う光透過性の導光層を設けた導光シート。
【請求項２】
発光部下方の導光層下面にも、発光部を形成した請求項１記載の導光シート。
【請求項３】
請求項１記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１２−４３７７７（Ｐ２０１２−４３７７７Ａ）
【公開日】平成２４年３月１日（２０１２．３．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１３２９７６（Ｐ２０１１−１３２９７６）
【出願日】平成２３年６月１５日（２０１１．６．１５）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年３月１日（２０１２．３．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年６月１５日（２０１１．６．１５）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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