説明

導通測定機及びこれを用いた導通測定方法

【課題】管路の内部撮影と内径測定を可能にすることによって、管路の導通測定時に正確性及び迅速性を向上させ、工事期間及び費用を減少できるようにした導通測定機及びこれを用いた導通測定方法を提供する。
【解決手段】管路内部に投入されるボディーと、前記ボディーの一端に連結され、前記管路内部を撮影してその情報を伝達するカメラと、前記ボディーに複数の支持バーを介して連結され、展開及び縮小可能に設けられる蓋部と、前記蓋部の展開及び縮小によって管路内部の直径を測定してその情報を伝達するために、前記ボディーの側面に設けられるセンサー部と、前記カメラとセンサー部からの情報を保存する保存部と、を備えた導通測定機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導通測定機及びこれを用いた導通測定方法に係り、特に、管路の内部状態を正確に測定できるようにした導通測定機及びこれを用いた導通測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力産業においては、国家経済開発計画の長年に亘る持続的な達成を検討したり、各地方自治体の主要都市開発計画に応じて工事規模とか永久又は簡易設備にするとか等を検討しなければならない。また、電力公社、通信公社、都市ガス公社、上水道事業所、区役所の雨排水管など関連機関の計画に従って、波形管を施工し、施工後相当期間が経過した後に電力ケーブルを引き込む場合が多いので、その期間中に地盤沈下や地盤変動などが起こり、波形管に歪み、沈下又は含浸が生じる場合が多い。
【0003】
従来技術による導通測定方法は、管路径よりも10mmぐらい小さい導通棒を波形管の一側から他側に移動させながら波形管の詰まり有無のみを把握するようになっていたので、波形管の大きさによって直径の異なる導通棒を使用しなければならなかったり、波形管が裂けたり歪んだりした場合には診断が不可能になるという問題点があった。
【0004】
一方、波形管の直径より小さい直径を有する導通棒を波形管の一側から他側に移動させつつ波形管の詰まり有無を確認して、ケーブルなどを設置して電気が通るようにする場合は、充分な空間確保ができず、ケーブルにストレスが加えられ、電気故障による大型事故につながるという危険性が高い。
【0005】
なお、施工メーカが自分で波形管の導通測定やケーブルの設置などを行うので、正確且つ公正な結果が期待し難いだけでなく、工事の施工資料が残っておらず、導通測定有無を確認することができなかった。
【0006】
また、土木工事や地盤沈下などによって地下に埋設された電気又は通信用の波形管が部分的に歪んだり損なわれたり、波形管内に土又は異物が多量に積もると、本来の機能が発揮できず、さらには、これを修復するために波形管内の直径と長さの測定作業を行う時には、直径がそれぞれ異なる導通棒を波形管内に数回投入して損なわれた部分を探さなければならず、精密な測定が不可能なだけでなく、作業時間と労力が多くかかるという問題点があった。
【0007】
また、導通棒は、規格化した標準のものを使用するので、波形管の状態が不良な場合には、それぞれ異なる直径を持つ複数の導通棒を用いて数回の導通測定を行わねばならず、不便であるだけでなく、波形管の曲率半径及び、直管と波形管との連結部の状態が埋設施工時(又は、施工後)に変形したか否かが確認できなかった。
【0008】
しかも、波形管の状態が不良な場合には、波形管を取り替えるために掘削機を用いた掘削作業などを行わねばならず、工事期間が増える他、波形管の取り替えにコストがかかるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の従来における問題点を解決するためのもので、その目的は、管路の内部撮影と内径測定を可能にし、管路の導通測定時に正確性及び迅速性を向上させ、工事期間の短縮と共に費用の低減を図るようにした導通測定機及びこれを用いた導通測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明に係る導通測定機は、管路内部に投入されるボディーと、前記ボディーの一端に連結され、前記管路内部を撮影してその情報を伝達するカメラと、前記ボディーに複数の支持バーを介して連結され、展開及び縮小可能なように設けられる蓋部と、前記蓋部の展開と縮小によって管路内部の直径を測定してその情報を伝達するために、前記ボディーの側面に設けられるセンサー部と、前記カメラとセンサー部からの情報を保存する保存部と、を備えて構成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る導通測定方法は、管路内部に導通測定機を投入する段階と、前記導通測定機を移動させながら前記管路内部の状態と直径を撮影し、測定して外部に伝達する段階と、前記管路内部に投入された導通測定機の移動距離を測定する段階と、前記管路内部の状態と直径と前記移動距離とを外部の保存部に保存する段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による導通測定機及びこれを用いた導通測定方法は、次の効果を有する。
【0013】
第一、ボディーに連結されたカメラを用いて管路内部を撮影するので、管路の配管状態、異物有無、変形有無などの把握ができ、管路内の環境情報を得ることができる。
【0014】
第二、ボディーの側面に取り付けられたセンサーを用いて、移動しつつ管路の直径を実時間で測定するので、異常の発生した管路部分を正確に把握することができる。
【0015】
第三、管路を連結する管路連結部材の前端に、ボディーの移動による移動距離を測定するために距離測定機を設置するので、損なわれた管路部分の位置を測定して保存することができる。
【0016】
一方、距離測定機を用いて測定距離を別に保存しておくことによって、管路に異常が発生した場合にその正確な地点が確認でき、別の掘削作業無しで矯正機を投入して矯正することができ、その結果、工事期間が短縮する。
【0017】
第四、管路に異常がある場合、掘削機又は矯正機を管路内に投入して管路を補修するので、道路などの掘削と管路の取り替えによる装備及び労力が節減され、工事費用を低減することができる。
【0018】
第五、測定された管路の直径、内部状態、距離などを測定した結果を別の保存媒体に保存しておき、必要な時にはいつでも有用に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る導通測定機及びこれを用いた導通測定方法について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明による導通測定機を示す斜視図であり、図2は、図1の導通測定機においてカメラが取り付けられた様子を示す側面図であり、図3は、図1の導通測定機においてセンサー部が取り付けられた様子を示す側面図であり、図4は、管路連結部材の端部に構成される距離測定機を示す図である。
【0021】
図1乃至図4に示すように、本発明による導通測定機100は、管路10(図5)内に投入されるボディー110と、ボディー110の一端に連結され、移動しながら管路10の内部を撮影してその情報を送出するカメラ120と、ボディー110に一定の間隔を保って配置されるとともにボディーから外側に延びる複数の支持バー131を介してボディー110に連結されて、展開及び縮小可能に構成される蓋部130と、蓋部130の展開及び縮小によって管路10の内部の直径を測定して送出するために、ボディー110の少なくとも一側面に構成されるセンサー部140と、カメラ120とセンサー部140からの情報を保存する保存部150と、を備えている。展開及び縮小とは本測定機100をその横断面で見て外径方向に延ばしたり縮めたりすることである。言葉を変えると太くしたり細くしたりすることである。
【0022】
ここで、管路10は、波形管や直線管などにすることができ、本発明の好ましい実施形態は、蛇腹形態の波形管として説明する。
【0023】
なお、導通測定機100は、カメラ120で撮影した情報とセンサー部140で測定した情報をディスプレイするディスプレイ部160をさらに備えている。
【0024】
ボディー110の両端にはそれぞれ、ワイヤーなどの紐171を連結できるように連結輪170が形成されている。
【0025】
特に、カメラ120が装着された側の連結輪170は、カメラ120の外側の周縁に複数の穴が形成されている。
蓋部130は、管路内部で円滑に移動できるように、両端が内側、ボディ側に向かって曲がっている。
【0026】
本発明による導通測定機は、配電管路、送電管路、通信管路など、いかなる規格の管路10の測定もできるようにしたもので、管路の直径に応じて自由に大きさの調節が可能なように、蓋部130に流線形状及び放射方向への伸縮性を与えている。
【0027】
支持バー131は、ボディー側に固定支持枠132が構成されている。この固定支持枠132は、蓋部130の展開及び縮小時にボディー110に沿って左右に移動可能なように環状にボディー110を取り囲むように形成されている。
【0028】
また、固定支持枠132の間のボディー110には、蓋部130の展開及び縮小時に、固定支持枠132が円滑に移動するように緩衝用スプリング133が設けられている。導通測定機100が移動する時、このスプリング133により蓋部130が管路10の直径に応じて円滑に拡張及び縮小される。
【0029】
図4に示すように、ボディー110が投入される管路10を連結するための管路連結部材20が構成されている。この管路連結部材20の前端には、ボディー110が管路内部を移動する時にその移動距離を測定する距離測定機180が設けられている。距離測定機180は、ローラ形態の部材に紐が巻かれた部分を有し、連結輪170に連結されたその紐を他側から引っ張って導通測定機100が移動する際に、これらの部材が回転して、その紐の移動距離が表示される。
【0030】
管路連結部材20は、管路10入口の変形を防止するために、プラスチックなどの堅い物質からなっている。
【0031】
距離測定機180によってボディー110の移動距離を測定し、これを保存部150に保存しておくことによって、カメラ120又はセンサー部140で測定された結果に基づいて埋設された管路の異常発生部分の位置を正確に確認し、以降、別の掘削作業無しで管路の異常発生部分に矯正機又は掘削機を投入し補修できるようにする。
【0032】
センサー部140は、表面が防水処理されている。防水処理されたセンサー部140にすることによって、水が流入した管路10内部でも円滑に動作可能である。
【0033】
一方、距離測定機180によって測定された距離を、カメラ120とセンサー部140によって測定された結果と一緒に保存部150に保存しておくことも可能である。
【0034】
カメラ140は、ボディー110に着脱自在に取り付けられており、管路内部を動映像で撮影して保存部150に送信し、ディスプレイ部160を介して管路の内部状態をモニタリングすることができる。もちろん、撮影中に事故地点やその他必要な箇所のみを簡便に撮影でき、これは遠隔制御で行われる。
【0035】
上記のように構成された本発明による導通測定機は、地下に埋設された電気ケーブルや通信ケーブルの管路内部に投入され、カメラ120とセンサー部140を用いて管路の歪んだ部分あるいは破損された部分を把握し、この把握された部分の位置を距離測定機180を用いて正確に把握する。
【0036】
本発明の導通測定機100によれば、管路内部の損傷状態とその位置が外部から把握されると同時に、蓋部の収縮拡張範囲によってディスプレイ部160と距離測定機180で損傷部分の位置及び内径を数字で正確に表示することができる。
【0037】
本発明の導通測定機を外部に取り出した後、管路の補修が必要な場合には矯正機又は掘削機を管路内部に投入して管路を補修する。
【0038】
したがって、別の掘削作業が省かれ、工事時間を短縮することができる。
【0039】
次に、上記のように構成された本発明による導通測定機の動作を、図5を参照して説明する。図5は、本発明による導通測定機の動作過程を説明するための概略図である。
【0040】
本発明による導通測定方法は、図5に示すように、電線などのケーブルを設置する前段階として、管路内部を調べて管路の詰まり、歪み、損傷の有無を把握するために、導通測定機を管路の一側又は他側から管路内部に投入する。
【0041】
まず、導通測定する管路両端のマンホールに作業者を配置し、距離測定が可能な紐171を管路10の内部に通過させる。
【0042】
続いて、カメラ120、センサー部140、蓋部130が構成されている導通測定機100の連結輪170をこの紐171に連結し、管路10の反対側から作業者が紐を引っ張って導通測定機100を管路10内を通るように通過させる。このように導通測定機100が管路10の内部を通過する時、管路10の各位置別に管路10の直径が測定される。
【0043】
なお、導通測定機100に取り付けられたカメラ120は、肉眼で確認できない管路10内部の部分まで撮影し、外部物質の流入、歪み、切断、損傷などの管路状態を正確に表示し、正確な診断を可能にする。
【0044】
このため、導通測定機100が管路10の一側から他側に移動しながら、管路10内部の状態を、外部に設置されたディスプレイ部160と保存部150にそれぞれ転送する。このとき、管路10の内部状態に応じてボディー110に展開及び縮小可能なように設けられた蓋部130は、移動しながら管路10の直径に応じて支持体の伸縮に応じて拡大と縮小を反復し、センサー部140は蓋部130の展開及び縮小状態によって管路10の直径を測定してディスプレイ部160及び保存部150に転送する。
【0045】
すなわち、蓋部130は、前述したように、展開及び縮小可能であり、直径の狭い管路10の領域内では縮小された状態で通過し、この時の縮小された部分の直径をセンサー部140が測定して送り、また、直径の広い管路10の領域内では蓋部130が展開されながら通過し、この時の管路10の直径もセンサー部140が測定して送る。
【0046】
センサー部140による管路10の直径の測定は、導通測定機100の管路10の通過時に実時間で測定され、ディスプレイ部160に表示される。
また、本発明による導通測定機100は展開及び縮小可能で、その直径が拡大及び縮小されるので、様々な直径を持つ管路などに投入させて導通測定を行うことができる。
【0047】
なお、管路の一端に設けらた距離測定機180は、導通測定機100が移動する距離を測定するためのもので、移動した距離が数字で表示される。
【0048】
カメラ120とセンサー部140から送られた管路10の直径及び、距離測定部180から送出された管路10の移動距離は、客観的な数値でデータ化することができる。
【0049】
そして、このように数値でデータ化された情報を保存部150に保存することによって、必要な時に有用に使用することができる他、工事進行の可否を確認することができる。
【0050】
一方、管路に歪みが発生した場合、本出願人が2001年11月9日付けに出願(大韓民國出願番号10−2001−0069639号)した“地下埋設管路管矯正機”を用いて管路を拡張させ、歪んだ部分を修復する。この場合、矯正作業の過程をカメラ120で撮影し、根拠資料として保管しても良い。
【0051】
なお、管路10が裂けた場合には、ボディー110を外に取り出し、矯正部を囲むようにハンダ付け用物質を覆ったのち再び管路に投入させた後、その矯正部を拡張させ、矯正部に覆われた物質が裂けた管路部分に付着させる。
【0052】
図6は、本発明による導通測定機に切削器を取り付けた様子を示す側面図である。
【0053】
図6に示すように、管路内部が詰まっている場合、ボディー110を外部に取り出し、カメラ120をボディー110から取り外した後、ボディー110にドリルなどの切削器190を装着して管路内部に再び投入し、管路10の詰まった部分を切削器190を回転させてあける。この時、ドリルはコンプレッサから発生する空気により作動し、この空気の流入と共にドリルが回転して、コンクリートコールタールや固着された土を含む異物を破り、管路の詰まりをあける。
【0054】
以上では具体的な実施形態及び図面に挙げて本発明を説明してきたが、本発明は、これらの具体例に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々に置換、変形及び変更ができるということは、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者にとっては明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による導通測定機を示す斜視図である。
【図2】図1の導通測定機においてカメラが取り付けられた様子を示す側面図である。
【図3】図1の導通測定機においてセンサー部が取り付けられた様子を示す側面図である。
【図4】管路連結部材の端部に構成される距離測定機を示す図である。
【図5】本発明による導通測定機の動作過程を説明するための概略図である。
【図6】本発明による導通測定機において切削機を取り付けた様子を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
100 導通測定機
110 ボディー
120 カメラ
130 蓋部
140 センサー部
150 保存部
160 ディスプレイ部
170 連結輪
180 距離測定機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内部に投入されるボディーと、
前記ボディーの一端に連結され、前記管路内部を撮影してその情報を伝達するカメラと、
前記ボディーに複数の支持バーを介して連結され、展開及び縮小可能に設けられる蓋部と、
前記蓋部の展開及び縮小によって管路内部の直径を測定してその情報を伝達するために、前記ボディーの側面に設けられるセンサー部と、
前記カメラとセンサー部からの情報を保存する保存部と、
を備えていることを特徴とする導通測定機。
【請求項2】
前記カメラとセンサー部の情報を外部にディスプレイするディスプレイ部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の導通測定機。
【請求項3】
前記支持バーに固定支持枠が設けられ、
前記固定支持枠は、前記蓋部の展開及び縮小時に前記ボディーに沿って左右に移動可能なように、環状に前記ボディーを取り囲むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の導通測定機。
【請求項4】
前記管路の前端に設けられ、前記ボディーが前記管路に投入されて移動する距離を測定する距離測定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の導通測定機。
【請求項5】
管路内部に導通測定機を投入する段階と、
前記導通測定機を移動させながら前記管路内部の状態と直径を撮影し、測定して外部に伝達する段階と、
前記管路内部に投入された導通測定機の移動距離を測定する段階と、
前記管路内部の状態と直径と前記移動距離を外部の保存部に保存する段階と、
を含むことを特徴とする、導通測定方法。
【請求項6】
前記管路内部の状態を外部にディスプレイする段階をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の導通測定方法。
【請求項7】
前記管路内部の状態を把握した後、原因を分析する段階と、
前記原因分析の結果、管路内部に異常がある場合、維持補修のための維持補修機を投入する段階をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の導通測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−210548(P2009−210548A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65572(P2008−65572)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(508080481)
【出願人】(508080469)
【出願人】(508080470)
【出願人】(508080492)
【Fターム(参考)】