説明

導電性の鋼−セラミック複合体並びにその製造方法

【課題】 900℃より下の温度で導電性がありそして電極と燃料電池のインタコネクタとの間に確り接合する接続層を形成することができそして0.01Ωcmより小さい電気的接触抵抗Rを有するセラミック層の、燃料電池での用途のための提供。
【解決手段】 この課題は、鋼よりなるインタコネクタ並びにその上に配置されたセラミック製導電性接続層を含む鋼−セラミック複合体の製造方法において、以下の各段階
a)18〜24重量%のCrを含むフェライト鋼よりなるインタコネクタを使用し、
b)インタコネクタの上に式 Ln1−xSrMn1−yCo3−δまたは
Ln1−xSrFe1−yCo3−δ [式中、0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.6、0≦δ≦x/2およびLn=La〜Luを意味する。]の組成を有するペロブスカイトを含む懸濁物またはペーストを塗布し、c)インタコネクタおよびその上に塗布される懸濁物またはペーストを800〜900℃の接合温度に加熱し、その際に懸濁物またはペーストからセラミック製導電性接続層が形成されることを特徴とする、上記方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有利には高温型燃料電池において使用できそして特にインタコネクタとカソードとの間の接続物を形成することができる、鋼とセラミックとよりなる導電性複合体に関する。更に本発明はかゝる複合体の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
高温型燃料電池は650℃〜1000℃の運転温度のために開発される。開発目的次第で、意図する運転温度に適する種々の材料が使用される。アノード、電解質およびカソードよりなる複合体が個々の電池で取り上げられている。インタコネクタは、個々の燃料電池を互いに接合する接続用構成要素である。インタコネクタは一般に電流伝達段階および燃料通路を有している。インタコネクタと一つの電池の電極との間には一般に接続層が配置されている。インタコネクタの材料、電極の材料並びに接続層の材料は、化学的相互作用をできるだけ少なく保つために、一般に互いに調和されている。
【0003】
例えば1000℃で運転される燃料電池はしばしば、酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウムよりなる約200μmの電解質層で構成されており、それの上には約50μmの厚さの電極が載せられている。この場合、カソード材料としては亜マンガン酸ランタンが知られており、アノード材料としてはNiとYSZとの混合物が知られている。インタコネクタとしては例えば電池スタックを作製するために亜クロム酸ランタンよりなる耐熱性セラミック製板が使用されることが非特許文献1から公知である。該文献には、電池を接合法によって、即ち約1200〜1300℃での温度処理によって互いに接合しそして密閉することが記載されている。その場合、一般に電極とインタコネクタとの間にセラミックペーストが塗布され、それが温度処理の間に固化されそして拡散工程(焼結)によって隣接する燃料電池成分と確り接合する。各構成要素間の化学的相互作用をできるだけ避けるために、一般に化学的に類似しそして互いに相容性のある材料が使用される。例えばカソードとインタコネクタとの間の接合のためにはカソード材料の亜マンガン酸ランタンとインタコネクタ材料の亜クロム酸ランタンとよりなるペーストを使用することができる。
【0004】
800℃程度の低い運転温度のために、電解質の電気抵抗を低減することによって低い温度でも同じ電池出力を可能とする他の燃料電池システムが開発された(非特許文献2)。例えば特許文献1から公知なように、フェライト鋼よりなる経済的に非常に有利なインタコネクタが低い運転温度であることによって同時に使用できる。
【0005】
この燃料電池システムの場合には、金属製インタコネクタが損傷しないように900℃よりも高い接合温度を必然的に避けなければならないという問題が不利にも存在する。もう一方では、亜マンガン酸ランタンまたは亜コバルト酸ランタンよりなる接続層のために従来使用された材料は900℃またはそれ以下の温度においては僅かしか半融せず、即ち必要とされる拡散過程が良好な電気的接触を長期間生じさせるものよりも少な過ぎる。
【0006】
それ故に過去には耐熱性のクロム−ベースの合金および酸化物セラミックの燃料電池のカソード材料よりなる複合体系が適すると見なされそして900〜1000℃の温度で製造されそして試験されてきた(非特許文献3)。更に進んだ試みは20〜24%のクロム含有量および2%より少ないマンガン含有量を有するフェライト鋼と組合せて、たとえ接続層の材料のためにマンガン含有セラミックを使用しても化学的相互作用を最小限することであった。これにはカソード材料として(La,Sr)(Mn,Co)O−ベースの公知の材料(特許文献2)があるが、このものは抵抗値が大きいためにフェライト金属との組合せで接合材料としてあまり魅力的に思われていない。
【0007】
LarringおよびT. Norbyは、接続層としての亜コバルト酸ランタン(La1−xSrCoO、ただし0<x<0.2)よりなるセラミック材料で最も低い接触抵抗(R<0.01Ωcm)が得られることを示している。0.3〜0.5Ωcmの、燃料電池の今日一般的な単位面積当たりの内部抵抗を考慮すれば、インタコネクタとカソードとの境界面で0.01Ωcmの電圧低下は全抵抗の約2〜3%に相当する。しかしながら他の材料組合せ物は、2〜100倍大きい抵抗を示し、そしてそれ故に燃料電池の、単位面積当たりの抵抗を著しく低下させる。
【0008】
従来公知のセラミック化合物は、セラミックペーストから生じる層が常に非常に多孔質でありそしてそれによってカソード室を通る空気による鋼の腐食を防止できないという欠点も有する。
【0009】
その点では、R. Ruckdaeschel, R. Henne, G. Schiller, H. Greiner、Proc. 5th Int. Symp. “Solid Oxide Fuel Cells(SOFC-V; 固体酸化物燃料電池)”、Hrsg.: U. Stimming, S.C. Singhal, H. Tagawa, W. Lehnert, The Electrochmical Society, Pennington, NJ, 1997, 第1273頁から耐蝕性セラミック層を厚くするべきであることが公知であり、それによってカソードの、あるいは生じる腐食も鋼のクロムによって回避されるので、このことは重要である。
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第10025108A1号明細書
【特許文献2】ドイツ特許第19702619C1号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第10025108A1号明細書
【非特許文献1】D. Stolten, “Verbundwerkstoffe und Werkstoffverbunde”, Hrsg.; G. Ziegler, DGM, Informationgesellschaft-Verlag, 1996, p.283
【非特許文献2】H.P. Buchkrerner, U.Diekmann, L.G.J. de Haat, H. Kabs, U. Stimming, S.C. Singhal, H. Tagawa, W. Lehbert, “The Electrochmical Society”, Oennington, NJ. 1997, p.160
【非特許文献3】Y. LarningおよびT. Norby, J. Electrochem. Soc. 147 (2000) 3251〜3256.
【非特許文献4】N. Christiansen および P. Gordes, “Power Synthesis and Tape Casting o Strontium Doped Lanthanum Manganites for SOFC Electrodes”, Proc. Second Intl. Symp. On Solid Oxide Fuel Cells, 著者 F. Grosz および P. Zegers, Athen (1991)、第495頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、900℃より下の温度で導電性がありそして電極と燃料電池のインタコネクタとの間に確り接合する接続層を形成することができそして0.01Ωcmより小さい電気的接触抵抗Rを有するセラミック層を、燃料電池で使用するために提供することに関する。
【0011】
更に本発明の課題はかゝる接続層の製造方法を提供することである。本発明の課題は,電極とインタコネクタ、特にフェライト鋼との間に導電性で確り接合する接続が在りそして電極と鋼との間の接触抵抗が実質的に長期間運転に影響を及ぼさない程に小さく且つ安定している、低い運転温度で運転するための燃料電池あるいは燃料電池スタックを提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は請求項1に記載の特徴を有する製造方法によって解決される。更に本発明の課題は併合出願される独立形式の請求項に記載の特徴的構成要件を有する鋼−セラミック複合体によって解決される。加えて上記課題は併合出願される別の独立形式の請求項の鋼−セラミック複合体によって解決される。
【0013】
製造方法、鋼−セラミック複合体並びにその用途の有利な実施態様は従属形式の請求項に記載してある。
【0014】
本発明の鋼−セラミック複合体は鋼よりなるインタコネクタとその上に配置されたセラミック接続層とよりなる。鋼とセラミックとの間のこのセラミック接続層によって燃料電池の電極とインタコネクタとを互いに接続することができ、その際に該接続層は電極と同じかまたは類似の組成を有している。
【0015】
本発明の鋼−セラミック複合体のインタコネクタは有利には鋼、特に例えば特許文献1に記載されている様なフェライト鋼よりなる。該特許文献3には、12〜28重量%のクロム、0.1〜0.4重量%の、Y、Ce、Zr、HfおよびLaよりなる群の少なくとも1種類の酸素親和性元素、0.2〜1重量%のMn、0.1〜0.4重量%のTi並びにクロムベースの酸化物の導電性を向上させる2重量%までの、Hf、Sr、CaおよびZrの群の別の元素を有するクロム酸化物形成性合金を含有する鋼が開示されている。かゝる材料は700〜950℃の温度で酸化物/ガス境界面の所で必ずMnCr−スピンネル相を形成する。場合によってはかゝる鋼は0.1〜0.4重量%の、Hf、Sr、CaおよびZrよりなる群の別の元素並びに0.5重量%までのSiおよび/またはアルミニウムを含有していてもよい。18〜24重量%のクロム含有量の上記の鋼は特に有利であることがわかっている。
【0016】
更に本発明の鋼−セラミック複合体はセラミック接続層を有している。かゝる接続層に適する材料としては特に式
Ln1−xSrMn1−yCo3−δまたはLn1−xSrFe1−yCo3−δ
[式中、0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.6、0≦δ≦x/2およびLn=La
〜Luを意味する。]
の組成を有するペロブスカイトが挙げられる。
【0017】
この材料が60〜600S/cmの導電性を有しそして既に700〜900℃の温度でインタコネクタあるいは電極の上に非常に良好な接着層を形成することがわかっている。この場合、60S/cmの値はx,y=0.1の化合物によって達成され、更に大きな値はx=0.4;y=0.6の化合物で得られる。
【0018】
それ故に複合体中のこのセラミック接続層は、900℃よりも低い運転温度で運転される燃料電池システムの場合にフェライト鋼をインタコネクタ材料として使用することを有利にも可能とする。かゝる鋼は、従来に高温で使用することを必要とされている材料、例えばクロムベースの合金よりも有利にも非常に安価である。
【0019】
上記の性質は特に鋼−セラミック複合体の本発明の製法によって獲得することができる。この場合、最初にセラミック接続層の組成を有する粉末を製造する。この粉末は、製造する際に500〜700℃の最高熱処理に付される。この方法段階は、一方においては、該粉末の製造の際に必要とされる揮発性成分を追い出すことを可能とする。更にこの様に処理された粉末は、フェライト製インタコネクタに塗工される場合に800〜900℃での後続の接合工程において、クロムベースの合金のインタコネクタとSOFCのカソード材料よりなる接続層との組合せのためにある様な公知の接合性よりも明らかに高い非常に良好な接合性を示すという特性を有する。更に小滴熱分解(Tropfenpyrolyse)の公知の製造方法に続いての粉末後処理を変更することによって、700〜900℃の間で十分な焼結性を有し且つ上述の欠点(非特許文献4)をもはや有していないセラミック粉末を製造することができる。
【0020】
この粉末自体はインタコネクタの上に懸濁物またはペーストの状態で適用する。この目的に適する方法、例えば粉末スプレー法またはドクターブレードまたはローラー塗工が従来技術から公知である。塗工される懸濁物またはペーストに適する層圧は20〜100μmの範囲内にある。
【0021】
本発明の鋼−セラミック複合体を製造する場合には、電極も一緒に含ませるのが有利である。これは、接続層のためのペロブスカイトを有する懸濁物またはペーストをインタコネクタと電極との間に配置することを意味している。その時、インタコネクタ、電極およびそれらの間に配置される懸濁物またはペーストを700〜900℃の温度で一緒に接合することができる。
【0022】
インタコネクタとカソードとの間のこの導電性セラミック接続層の材料は、製造許容誤差を追加的に調整するのに有利に利用できる。
【0023】
本発明においては更に、比較的に高い接触抵抗値の問題も他の(フェライト系)金属との組合せで克服することができた。何故ならばこうして製造された接続層がフェライト製インタコネクタとの組合せで必ずR=0.01Ωcmよりも小さい非常に小さな接触抵抗を示し、そして燃料電池の連続運転でも著しい変化を示さない(ΔRが1000時間の運転期間当たり0.005Ωcmより小さい)からである。これは、本発明の材料組合せの場合にインタコネクタとセラミック接続層との間の境界面で生じる非常に薄い腐食層に起因する。この腐食層は非常に遅い速度でしか成長しないことが観察できている。例えば高温型燃料電池において約750℃で数百時間の運転期間の後でさえ0.1〜2μmの厚さの腐食層しか確認できなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明を2つの図および本発明の接続層の製造実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
図1: 750℃における本発明の鋼−セラミック複合体の接触抵抗測定。この曲線は以下の材料組合せについての経過を示している。
1: Fe22CrMn−鋼およびLa0.8Sr0.2Mn0.5Co0.53−δ−セラミック;
2: Fe22CrMn−鋼およびY0.3Ca0.7MnO3−δ−セラミック;
3: Fe23CrMn−鋼およびLa0.8Sr0.2CoO3−δ−セラミック;
4: Fe23CrMn−鋼およびY0.3Ca0.7Mn0.53−δ−セラミック;
図2: 750℃で1000時間試験した後の本発明のFe22CrMn−La0.8Sr0.2Mn0.5Co0.53−δ−複合体の断面図。上側が鋼で下側がセラミックである。鋼とセラミックとの間の暗い灰色の反応領域は約1〜1.5μmの厚さである。
【0026】
本発明の対象は、カソードとインタコネクタ(この場合にはフェライト鋼)との間の電気的接触のために高い導電性を示しそして700〜900℃の温度で既に良好な接合性層を形成する鋼−セラミック複合体である。本発明の鋼−セラミック複合体のために使用するセラミック材料は酸化物セラミック燃料電池のためのカソード材料として良く知られており、(La、Sr)(Mn,Co)O3−δ−ペロブスカイトよりなる。
【0027】
この材料よりなる層は、上記の温度のもとで成形できそして組み立ての間に電池スタックの幾何学的配置による内部応力、外部から負荷される力で崩壊する。
【0028】
例として組成物La0.8Sr0.2Mn0.5Co0.53−δの製造法を説明する:
a)非特許文献4に従って相応する硝酸塩およびアセテート塩から原料粉末を製造する。このものは小滴熱分解後に未だ十分に非晶質でありそして揮発性成分を含有している。
b)この揮発性成分を追い出すために粉末を、焼結プロセスが生じる程ではない熱処理に付す。一般にこの粉末処理のための温度は500〜700℃である。揮発成分は2〜3時間の間に追い出される。
c)0.3〜1.5μmの平均粒度を有する100gの粉末を100〜300gのエタノール溶液と混合しそして次いでローラー式作業台上で、安定な懸濁液が生じるまで均一化する。懸濁液を安定化するために1〜8gの分散剤、例えば Dolapix ET85、Dolapix PC33、Hypermer KD2、Hypermer KD6、Hypermer KD7あるいは BYK 9077、および1〜10gのバインダー、例えばポリ酢酸ビニル、メチル−あるいはエチルセルロースまたはポリビニルアルコールを使用する。
d)この分散液を噴霧技術によって(この場合には、湿った粉末の噴霧によって)フェライト鋼よりなるインタコネクタ板上に塗工し、それによって導体スペース材(Leitungsstege)並びにガス用ダクトを完全に被覆する。この層の厚さは被覆後に約20〜100μmである。
e)この層の乾燥後に、噴霧塗工済みインタコネクタ板および縁部をガラス製ハンダで被覆された燃料電池を交互に組合せて燃料電池スタックとする。
f)ガス排気装置を備えた金属製ハウジングに嵌め込んだ後にこのモジュールは800〜900℃、好ましくは850℃に2〜5時間加熱され、次に直ぐにも使用できる。
【0029】
図面では以下の略字を使用している:
Fe22CrMn−鋼=(JS3)
Fe23CrMn−鋼=(ZMG232)
La0.8Sr0.2Mn0.5Co0.53−δ=(LSMC)および
0.3Ca0.7MnO3−δ−セラミック=(YCM)。
【0030】
かゝる鋼−セラミック複合体(1)、即ちFe22CrMn−La0.8Sr0.2Mn0.5Co0.53−δ−複合体での結果を図1に示す。この複合体は測定開始時に非常に少ない抵抗R=0.008Ωcmを示した。全測定期間の間に抵抗は0.002Ωcmしか変化せず、従って極めて安定している。
【0031】
図1においてY0.3Ca0.7MnO3−δおよび鋼ZMG232(2)との比較で、セラミックも鋼も抵抗に本質的な影響を及ぼすことがわかる。この場合鋼組成は僅かしか変えていない(主要成分)。
【0032】
【表1】

【0033】
抵抗が低い理由として以下のことが挙げられる:
a)Fe22CrMn−鋼とLa0.8Sr0.2Mn0.5Co0.53−δ−セラミックとの反応領域が750℃での500時間の試験期間の後に約0.5μmしかの厚さでありそして1000時間の試験期間の後に約1〜1.5μmの厚さでる(図2参照)。そして
b)少ないSi含有量によって反応領域のSiO−富化量が僅かしか観察できない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】は750℃における本発明の4種類の鋼−セラミック複合体の接触抵抗を示すグラフである。
【図2】は750℃で1000時間試験した後の本発明のFe22CrMn−La0.8Sr0.2Mn0.5Co0.53−δ−複合体の断面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼よりなるインタコネクタ並びにその上に配置されたセラミック製導電性接続層を含む鋼−セラミック複合体の製造方法において、以下の各段階
a)18〜24重量%のCrを含むフェライト鋼よりなるインタコネクタを使用し、
b)インタコネクタの上に
Ln1−xSrMn1−yCo3−δまたはLn1−xSrFe1−yCo3−δ
[式中、0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.6、0≦δ≦x/2およびLn=La 〜Luを意味する。]
の組成を有するペロブスカイトを含む懸濁物またはペーストを塗布し、
c)インタコネクタおよびその上に塗布される懸濁物またはペーストを800〜900℃の接合温度に加熱し、その際に懸濁物またはペーストからセラミック製導電性接続層が形成される
ことを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
a)最初に硝酸塩および酢酸塩含有溶液から
Ln1−xSrMn1−yCo3−δまたはLn1−xSrFe1−yCo3−δ
[式中、0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.6、0≦δ≦x/2およびLn=La 〜Luを意味する。]
で表される組成を有する原料粉末を製造し、
b)該粉末を500〜700℃で熱処理し、
c)該粉末から懸濁物またはペーストを製造し、それをインタコネクタの上に塗布する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
18〜24重量%のCrおよびそれぞれ2重量%より少ない他の合金元素、特にMnを含むフェライト鋼よりなるインタコネクタを使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
インタコネクタと酸化物セラミック製カソードとの間に上記懸濁物またはペーストを塗布し、そしてインタコネクタ、塗布された懸濁物またはペーストおよびカソードを一緒に800〜900℃の接合温度に加熱する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
La0.8Sr0.2CoO3−δ (ただし、0≦δ≦x/2)
の組成を持つペロブスカイトを含む懸濁物またはペーストを塗布する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法で製造される鋼−セラミック複合体において、
a)18〜24重量%のCrを含有するフェライト鋼よりなるインタコネクタ並びに
b)それの上に配置された
Ln1−xSrMn1−yCo3−δまたはLn1−xSrFe1−yCo3−δ
[式中、0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.6、0≦δ≦x/2およびLn=La
〜Luを意味する。]
の組成を有するペロブスカイトを含むセラミック製の導電性接続層
を含み、
c)インタコネクタとセラミック性接続層との境界面の初期接触抵抗がR=0.01Ωcmより小さい
ことを特徴とする、上記鋼−セラミック複合体。
【請求項7】
インタコネクタとセラミック接続層との境界面のところで900℃より下の温度で長期間使用した際に2μmよりも薄い、特に1μmより薄い腐食層をもたらす、請求項6に記載の鋼−セラミック複合体。
【請求項8】
850℃より下で使用する際の接触抵抗が1000時間の運転期間当たり0.005Ωcmより小さい抵抗変化ΔRを示す、請求項6または7に記載の鋼−セラミック複合体。
【請求項9】
インタコネクタが18〜24重量%のCrおよびそれぞれ2重量%より少ない他の合金元素、特にMnを含有するフェライト鋼よりなる、請求項6〜8のいずれか一つに記載の鋼−セラミック複合体。
【請求項10】
セラミック接続層が式
Ln1−xSrMn1−yCo3−δまたはLn1−xSrFe1−yCo3−δ
[式中、0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.6、0≦δ≦x/2およびLn=La
〜Luを意味する。]
の組成を有する、請求項6〜9のいずれか一つに記載の鋼−セラミック複合体。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一つに記載の鋼−セラミック複合体を高温型燃焼電池で使用する方法。
【請求項12】
請求項6〜10に記載の鋼−セラミック複合体を高温型燃焼電池スタックで使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−529855(P2007−529855A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503187(P2007−503187)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000472
【国際公開番号】WO2005/091408
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【出願人】(505360328)
【出願人】(307001522)
【Fターム(参考)】