説明

導電性酸化物微粒子分散組成物、導電性塗料組成物、及び導電性膜

【課題】特殊な装置を用いず、透明性及び導電性に優れた導電性膜を成膜できる導電性塗料組成物を提供する。
【解決手段】ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、
分子量が1,000〜15,000であるポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、
10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、及び
溶媒を40〜500重量部含む導電性酸化物微粒子分散組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性酸化物微粒子分散組成物、導電性塗料組成物、及び導電性膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)においては、表示面に発生する静電気により埃が付着して視認性が低下する他、電磁波を放射して環境に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
上記問題を解決するために、表示面に、例えば金、銀、白金等の金属微粒子を含む透明導電性膜を形成することにより、表示面の静電防止及び電磁波遮蔽を図っている。また、FPDにタッチパネルを組み合わせた装置においては、操作面に透明導電性膜を有する基材を設置している。
透明導電性膜は、その使用形態から高い透明性が求められ、且つ、性能を発揮するに十分な導電性も求められていた。
【0004】
透明導電性膜を形成する方法として、乾式成膜法や湿式成膜法が知られている。
乾式成膜法とは、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーディング法等により透明導電性膜を成膜する方法であり、特にスパッタリング法は、工業上一般的に広く使われている。
しかし、例えばスパッタリング法により得られた透明導電性膜は、表面抵抗は良好なものの、スパッタリング法を実施する成膜装置が高価であるため、低価格化への要求に対応することが難しかった。
【0005】
一方、湿式成膜法としては、Inの無機塩及び/又はSnの無機塩を含む組成物を基材上に塗布した後に熱処理する方法(特許文献1及び2)、ITO微粒子を有機溶剤等に分散させた塗料を基材に塗布し焼成することによりITO膜を形成する方法(特許文献3)等がある。
【0006】
特許文献1の方法は、インジウムと錫の混合塩の分解反応を利用するので、少なくとも400℃を超える温度で熱処理する必要があった。同様に、特許文献2の方法は、ITO超微粒子と、シリカゾルと、Inの無機塩又はSnの無機塩とを含有した透明導電性膜形成用塗料を基材に塗布した後、還元性雰囲気中又は不活性雰囲気中にて熱処理するが、その熱処理温度は200℃以上が好ましいと開示する。
上述のように、無機塩を基材上で反応させる方法では処理温度が高く、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等の樹脂製基材に適用することは困難であった。
【0007】
特許文献3の方法では、ITO微粒子と基材との密着性を持たせるために、塗料にバインダー成分を加える必要がある。このバインダー成分は、有機物及び無機物を問わず絶縁性である場合が多く、得られる塗膜の表面抵抗は高くなり易い問題があった。
【0008】
特許文献3の欠点を改善することを目的として、特許文献4は、非反応性有機基と反応性有機基とを粒子表面に存在する導電性微粒子の有機溶剤系分散体及び硬化性樹脂成分からなる導電性塗料を開示している。しかしながら、特許文献4の方法で得られる導電性膜の表面抵抗値は1×10Ω/□以上であり、導電性の改善は不十分であった。
【0009】
特許文献5では、ハロゲン元素で表面修飾した平均粒径1〜500nmの導電性酸化物微粒子を、分散剤を含まない有機溶剤に分散させ、さらにバインダー成分を加えて透明導電性膜形成用塗布液を調製している。その塗布液を樹脂基板に塗布、乾燥及び硬化させることにより、1,000Ω/□以下の低抵抗な透明導電性膜を成膜しているが、ヘイズ値が6%以上と高く、透明性が不十分であった。
【0010】
このように、湿式成膜法は、高価な製造装置を用いることなく製造工程のコストダウンが可能という点から期待されながらも、未だ性能の向上が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−349105号公報
【特許文献2】特開2007−53042号公報
【特許文献3】特開平08−134382号公報
【特許文献4】特開2004−146079号公報
【特許文献5】特開2008−34345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、特殊な装置を用いずに、透明性及び導電性に優れた導電性膜を成膜できる導電性塗料組成物を提供することである。
本発明の目的は、ガラス基板上のみならず、樹脂基板等の上にも導電性膜を成膜することができる導電性塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、以下の導電性酸化物微粒子分散組成物等が提供される。
1.ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、
分子量が1,000〜15,000であるポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、
10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、及び
溶媒を40〜500重量部含む導電性酸化物微粒子分散組成物。
2.導電性酸化物微粒子の平均径が10nm〜0.1μmである、1に記載の導電性酸化物微粒子分散組成物。
3.ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、
分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、
分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂を0.95〜19.5重量部、
10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、
溶媒を40〜500重量部、及び
多官能ブロックイソシアネートを0.1〜10重量部含み、
前記分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂及び前記分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂の合計量が、前記導電性酸化物微粒子100重量部に対して1〜20重量部である導電性塗料組成物。
4.ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、
分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、
10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、及び
溶媒を40〜500重量部を混合して導電性酸化物微粒子分散組成物を調製し、
前記導電性酸化物微粒子分散組成物に、多官能ブロックイソシアネートを0.1〜10重量部、及び
前記分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂との合計量が前記導電性酸化物微粒子100重量部に対して1〜20重量部となるように分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂を0.95〜19.5重量部添加する導電性塗料組成物の製造方法。
5.上記4に記載の製造方法により得られる導電性塗料組成物。
6.導電性酸化物微粒子の平均径が10nm〜0.1μmである、3又は5に記載の導電性塗料組成物。
7.上記3、5又は6に記載の導電性塗料組成物を塗布後、乾燥させ、さらに硬化させることにより得られる透明導電性膜。
8.上記7に記載の透明導電性膜を備える装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特殊な装置を用いずに、透明性及び導電性に優れた導電性膜を成膜できる導電性塗料組成物が提供できる。
本発明によれば、ガラス基板上のみならず、樹脂基板等の上にも導電性膜を成膜することができる導電性塗料組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物は、下記(1)〜(4)の成分を含む。
(1)ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子:100重量部
(2)分子量が1,000〜15,000であるポリエステル樹脂:0.05〜10重量部
(3)10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤:0.05〜5重量部
(4)溶媒:40〜500重量部
尚、本発明における重量部とはいわゆる質量部をいう。
【0016】
特定のポリエステル樹脂と分散剤を配合することにより、少量の分散剤の添加で、本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物中の導電性酸化物微粒子は安定して溶媒に分散している。
【0017】
本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物において、分散している導電性酸化物微粒子は、一次粒子及び数個〜数十個の導電性酸化物微粒子の一次粒子の集合体の二次粒子が含まれると考えられる。
この分散により、本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物から得られる導電性膜は、透明性が得られると考えられる。
【0018】
本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物に含まれる導電性酸化物微粒子(以下、単に本発明の導電性酸化物微粒子という場合がある)は、ゼータ電位が+10mV以上であり、好ましくは+20mV以上であり、より好ましくは+30mV以上であり、さらに好ましくは+40mV以上である。
尚、上記ゼータ電位の上限については特に制限はないが、通常、+100mV程度である。
【0019】
ゼータ電位は、微粒子の分散性の指標であり、正負によらずゼータ電位の絶対値が大きな値であれば水に分散しやすいことが知れている。それに対して、導電性微粒子を有機溶剤に分散させる場合には、その詳細な機構は不明であるが、ゼータ電位がプラスの大きな値であれば導電性微粒子は凝集しにくくなり、導電性微粒子の分散性を向上させることができることを見出した。
本発明では、導電性酸化物微粒子のゼータ電位を+10mV以上とすることにより、導電性酸化物微粒子の分散性を良好にすることができ、この導電性酸化物微粒子分散組成物を用いて得られる膜は、優れた導電性及び透明性を得ることができる。
【0020】
本発明の導電性酸化物微粒子を構成する導電性材料としては、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化チタン等の導電性酸化物が挙げられる。
上記導電性材料は、単独、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
また、上記導電性材料として、Sn含有In(ITO)、Zn含有In、Inの共置換化合物(4価元素及び2価元素が3価のInに置換した酸化物)、Sb含有SnO(ATO)、ZnO、Al含有ZnO(AZO)、Ga含有ZnO(GZO)等の導電性材料を用いることもできる。
【0022】
本発明の導電性酸化物微粒子は、好ましくはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素の少なくとも1種のハロゲン元素を含み、導電性酸化物微粒子を高導電性にできることから、より好ましくは臭素を含む。
例えば、導電性酸化物微粒子は、好ましくはハロゲン元素で表面修飾した導電性酸化物微粒子である、又は上記導電性酸化物材料とハロゲン元素が結合した材料からなる。
【0023】
上記ハロゲン元素の含有量は、通常0.01〜5質量%であり、好ましくは0.01〜2質量%であり、より好ましくは0.02〜1質量%である。
前記ハロゲン元素の含有量を上記範囲とすることにより、導電性酸化物微粒子のゼータ電位を調整することができる。
【0024】
上記ハロゲン元素の含有量が0.01質量%未満の場合、導電性酸化物微粒子の分散性を向上させる効果が十分得られないおそれがある。一方、ハロゲン元素の含有量が5質量%超の場合、導電性酸化物微粒子の分散性向上の効果は飽和する傾向にあり、さらなる分散性向上の効果が得られないおそれがある。
【0025】
本発明の導電性酸化物微粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以下であり、より好ましくは0.07μm以下である。
上記導電性酸化物微粒子の平均粒径の下限は特に制限はないが、凝集の防止及び生産性の観点から、10nm程度である。
尚、平均粒径はBET法による比表面積の測定から求めた値である。
【0026】
導電性酸化物微粒子の導電性は、例えば9.81MPaの加圧時の電気伝導度が、0.005S/cm以上であれば、導電性微粒子としての機能でき、好ましくは9.81MPaの加圧時の電気伝導度が1.000S/cm以上である。
【0027】
本発明の導電性酸化物微粒子は、特に好ましくはハロゲン元素を含有するSn含有In導電性微粒子、又は酸化亜鉛とハロゲン元素とを含有する導電性微粒子であって、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05であり、9.81MPaの加圧時の電気伝導度が0.005S/cm以上である導電性微粒子である。
【0028】
本発明の導電性酸化物微粒子は、例えば導電性材料粉末及びハロゲン元素含有溶液を混合して混合溶液を調製し、調製した混合溶液を乾燥して得られる混合粉体を加熱処理することにより得られる。
【0029】
導電性酸化物微粒子の調製にハロゲン元素含有溶液を用いるのは、導電性材料粉末及びこの粉砕物の表面に均一にハロゲン元素を付着させ、その後の加熱処理により、導電性微粒子のハロゲン元素による表面修飾が容易だからである。
【0030】
ハロゲン元素含有溶液の調製に用いるハロゲン化合物は、好ましくは溶媒に溶解するハロゲン化合物であり、さらに好ましくは加熱処理により揮発する成分を含むハロゲン化合物である。
上述の観点から、上記ハロゲン化合物としては、好ましくはハロゲン化アンモニウムであり、特に好ましくは臭化アンモニウムである。
【0031】
ハロゲン元素含有溶液の溶媒としては、水、アセトン、アルコール等の溶媒を用いることができる。
【0032】
ハロゲン化合物の添加量及び溶媒に対するハロゲン化合物の含有割合は、加熱処理条件等を考慮してそれぞれ決定される。
例えば、ハロゲン化合物としてハロゲン化アンモニウムを用いる場合、その添加量は、導電性材料粉末100質量部に対して、通常0.05〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。溶媒に対するハロゲン化合物の割合は、通常0.1〜30質量%であり、好ましくは0.5〜25質量%である。
【0033】
導電性材料粉末とハロゲン元素含有溶液の混合方法は、特に限定されず、通常の混合方法を採用することができる。好ましくは、混合と同時に導電性材料粉末を粉砕できる混合方法を採用する。
例えば、遊星ボールミルによる混合は、混合効果に優れ、且つ導電性材料粉末とハロゲン元素含有溶液とを混合すると同時に導電性材料粉末を粉砕することができるので、好ましい。
【0034】
混合時の温度は、通常、常温でよい。
混合時間は、導電性材料粉末の粒径、目的とする導電性微粒子の粒径等を考慮して適宜決定することができる。原料である導電性材料粉末の粒径にもよるが、混合時間は、例えば1〜24時間である。
【0035】
混合粉体の加熱処理は、通常の電気炉、マイクロ波加熱炉等を用いて行うことができる。
加熱温度は、用いる原料にもよるが、例えば300℃以上であり、好ましくは400℃以上であり、より好ましくは500℃以上である。加熱温度の上限は、好ましくは1000℃未満であり、より好ましくは900℃以下である。
加熱温度が1000℃以上の場合、加熱によりハロゲン元素の脱離が生じるおそれがある。
【0036】
加熱時間は、例えば1〜120分であり、好ましくは5〜90分であり、より好ましくは10〜60分である。
加熱時間が長くなると、微粒子が成長する傾向にあるが、加熱温度の影響ほどは微粒子の成長に影響しないようである。
【0037】
加熱雰囲気は、大気中でもよいが、より高い導電性を得るため、好ましくは還元性雰囲気、低酸素雰囲気等である。
加熱雰囲気が低酸素雰囲気である場合、酸素濃度は、好ましくは1体積%以下であり、より好ましくは0.1体積%以下である。
【0038】
必要に応じて、加熱処理を行う前に、調製した混合粉体を乾燥してもよい。
乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されないが、例えば60〜120℃で1〜10時間である。
【0039】
例えば、ITO組成を有する導電性微粒子を調製する場合、原料として酸化インジウム粉末及び酸化第二錫粉末を用いることができる。
上記原料の加熱処理は雰囲気にもよるが、還元性雰囲気の場合、300℃以上で酸化インジウムと酸化錫の反応が開始する。400℃以上では、反応がさらに進み、得られる導電性微粒子の導電性が向上する。さらに、500℃以上では、微粒子の成長が顕著になり、得られる導電性微粒子の導電性がさらに向上する。
【0040】
加熱温度は、高いほど導電性微粒子の導電性を向上させることができる。しかし、加熱温度が一定以上の場合、導電性微粒子の導電性は飽和傾向になり、微粒子同士が焼結して数μmの大粒径の粒子となり、導電性微粒子には適さなくなるおそれがある。また、エネルギーの利用効率の点からも、高い加熱温度は好ましくない。
【0041】
以上、本発明の導電性酸化物微粒子の製造方法をITOを例に説明したが、本発明では、酸化亜鉛粉末とハロゲン化アンモニウムとを、亜鉛(Zn)とハロゲン元素(X)との合計原子数に対するハロゲン元素の原子数の比[X/(Zn+X)]が0.001〜0.05となるように混合して混合粉体とし、得られた混合粉体を不活性ガス又は不活性ガス及び水素ガスの混合ガス存在下で200〜600℃未満にて加熱して、酸化亜鉛とハロゲン元素とを含有する導電性酸化物微粒子を調製することもできる。
【0042】
本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物に含まれるポリエステル樹脂(以下、単に第1のポリエステル樹脂と言う場合がある)は、分子量が1,000〜15,000である。
第1のポリエステル樹脂の分子量が1,000未満の場合、膜を形成した時に十分な膜強度が得られないおそれがある。一方、第1のポリエステル樹脂の分子量が15,000超の場合、第1のポリエステル樹脂の分散効果が不安定となり、分散体の状態において導電性酸化物微粒子が微細であっても、塗膜を形成する段階で導電性酸化物微粒子の凝集が生じて塗膜の透明性が低下するおそれがある。
尚、本発明においてポリエステル樹脂の分子量とは数平均分子量を意味し、末端基測定法によって求めることができる。
【0043】
第1のポリエステル樹脂の分子量の下限は、好ましくは分子量が2,000以上であり、より好ましくは2,500以上であり、さらに好ましくは3,000以上である。
第1のポリエステル樹脂の分子量の上限は、好ましくは14,000以下であり、より好ましくは12,000以下であり、さらに好ましくは11,000以下である。
【0044】
用いることができる第1のポリエステル樹脂としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸及、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等を酸成分とし、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフエノールA、水添ビスフエノールA等をジオール成分とするポリエステル樹脂が挙げられる。
【0045】
第1のポリエステル樹脂は、好ましくは末端が水酸基で終端している。
第1のポリエステル樹脂は、ゲル化しない範囲でトリメシン酸、トリメチロールプロパンのような多官能成分を含んでもよい。
また、第1のポリエステル樹脂は、乳酸、4−ヒドロキシブタン酸,リンゴ酸のようなヒドロキシカルボン酸と共重合してもよく、スルホナトリウムフタル酸、スルホカリウムフタル酸、スルホナトリウムテレフタル酸等のスルホン酸を有する成分と共重合してもよい。
【0046】
第1のポリエステル樹脂の含有量は、導電性酸化物微粒子100重量部に対して、0.05〜10重量部であり、好ましくは0.08〜8重量部であり、より好ましくは、1〜6重量部である。
第1のポリエステル樹脂の含有量が0.05重量部未満の場合、十分な微粒子分散効果が得られないおそれがある。一方、第1のポリエステル樹脂の含有量が10重量部超の場合、導電性酸化物微粒子が凝集したまま分散してしまい、微細な分散ができないおそれがある。
【0047】
第1のポリエステル樹脂を溶液で使用する場合において、上述した好ましい添加量は、溶媒等を除いた樹脂そのものの重量である。
以下で説明する各成分の含有量についても同様である。
【0048】
本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物に含まれる分散剤(以下、単に本発明の分散剤と言う場合がある)は、10mgKOH/g以上の酸価を有する。
尚、酸価は試料1gに含まれる酸を中和するのに必要な水酸化カリウムの量として定義される値であり、電位差滴定法等の各種測定法で測定できる。
本発明の分散剤の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上であり、より好ましくは20mgKOH/g以上であり、さらに好ましくは30mgKOH/g以上、特に好ましくは40mgKOH/g以上である。
尚、本発明の分散剤の酸価の上限については特に制限はないが、通常、200mgKOH/g程度である。
【0049】
本発明の分散剤の酸価が10mgKOH/g未満の場合、十分な分散効果が得られないおそれがある。一方、本発明の分散剤の酸価が200mgKOH/g超の場合、過剰な酸成分がポリエステル樹脂等の分解を引き起こすおそれがある。
【0050】
用いることができる本発明の分散剤としては、例えばDISPERBYK−102(酸価101mgKOH/g、ビックケミー社製)、DISPERBYK−110(酸価53mgKOH/g、ビックケミー社製)、DISPERBYK−2095(酸価36mgKOH/g、ビックケミー社製)、ANTI−TERRA−U(酸価24mgKOH/g、ビックケミー社製)、アジスパーPA−111(酸価35mgKOH/g、味の素ファインテクノ社製)、ディスパロンPW−36(酸価55mgKOH/g、楠本化成社製)、ディスパロン1850(酸価73mgKOH/g、楠本化成社製)等が挙げられる。
【0051】
本発明の分散剤の含有量は、導電性酸化物微粒子100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、好ましくは0.08〜4重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。
分散剤の含有量が0.05重量部未満の場合、十分な分散効果が得られないおそれがある。一方、分散剤の含有量が5重量部超の場合、分散剤が導電性酸化物微粒子の表面を覆ってしまい、微粒子間の電気的な接触が損なわれて、電気抵抗が増大してしまうおそれがある。
【0052】
本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物に含まれる溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、クメン、インデン等の芳香族系溶媒、プリピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系溶媒、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒を用いることができる。
これら溶媒のうち、ケトン系溶媒及びアミド系溶媒が好ましい。また、これら溶媒を混合して用いてもよい。
【0053】
溶媒の含有量は、導電性酸化物微粒子100重量部に対して、40〜500重量部であり、好ましくは80〜480重量部であり、より好ましくは、100〜450重量部である。
溶媒の含有量が40重量部未満の場合、導電性酸化物微粒子を十分に分散できないおそれがある。一方、溶媒の含有量が500重量部超の場合、塗料組成物を製造した時に他の成分の濃度が低くなり過ぎてしまい、塗布乾燥後に十分な厚さを有する塗膜を形成することが困難となるおそれがある。
【0054】
本発明の導電性塗料組成物は、下記(1)〜(6)の成分を含み、(2)の分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂及び(6)の分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂の合計量が、(1)ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子100重量部に対して1〜20重量部である。
(1)ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子:100重量部
(2)分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂:0.05〜10重量部
(3)10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤:0.05〜5重量部
(4)溶媒:40〜500重量部
(5)多官能ブロックイソシアネート:0.1〜10重量部
(6)分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂:0.95〜19.5重量部
【0055】
本発明の導電性塗料組成物は湿式成膜法を用いることができるため、特殊な装置を用いず、透明性及び導電性に優れた導電性膜を成膜することができる。また本発明の導電性塗料組成物は成分を調整することによって硬化温度を低下させることができるため、ガラス基板上のみならず、樹脂基板等の上にも導電性膜を成膜することができる。
【0056】
本発明の導電性塗料組成物が含む上記(1)〜(4)の成分は、本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物で説明した通りである。
【0057】
本発明の導電性塗料組成物に含まれる多官能ブロックイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート又は2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの重合体等である多官能イソシアネートのイソシアネート基をメチルエチルケトンオキシム(MEKオキシム)、3、5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム等と反応させて得られる多官能ブロックイソシアネートが挙げられる。
【0058】
多官能ブロックイソシアネートの含有量は、導電性酸化物微粒子100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜9重量部であり、より好ましくは、1〜8重量部である。
多官能ブロックイソシアネートの含有量が0.1重量部未満の場合、架橋構造が十分に形成されず、得られる導電性膜の強度が低下してしまうおそれがある。一方、多官能ブロックイソシアネートの含有量が10重量部超の場合、多官能ブロックイソシアネートが導電性膜表面に分離析出し、導電性膜の表面に高抵抗皮膜が形成されてしまうおそれがある。
【0059】
本発明の導電性塗料組成物は、第1のポリエステル樹脂に加えて、他のポリエステル樹脂(以下、単に第2のポリエステル樹脂と言う場合がある)を含む。
第2のポリエステル樹脂の分子量は、1,000〜30,000であり、好ましくは2,000〜25,000であり、より好ましくは2,500〜20,000である。
【0060】
用いることができる第2のポリエステル樹脂としては、第1のポリエステル樹脂と同様である。
高い相溶性が得られることから、第2のポリエステル樹脂は、好ましくは第1のポリエステル樹脂と同様の構造を有する。
【0061】
第2のポリエステル樹脂の含有量は、導電性酸化物微粒子100重量部に対して、0.95〜19.5重量部である。
また、第1のポリエステル樹脂及び第2のポリエステル樹脂の合計量は、導電性酸化物微粒子100重量部に対して、1〜20重量部であり、好ましくは2〜15重量部であり、より好ましくは3〜10重量部である。
上記合計量が1重量部未満の場合、得られる導電性膜の十分な塗膜強度が得られないおそれがある。一方、上記合計量が20重量部超の場合、導電性酸化物微粒子間の接触が妨げられ、電気抵抗が増大してしまうおそれがある。
【0062】
本発明の導電性塗料組成物は、例えば90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、100重量%が上記成分(1)〜(6)からなる。
本発明の導電性塗料組成物は、上記成分(1)〜(6)の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、レベリング剤、チクソ剤、消泡剤等の塗料添加剤を含んでもよい。
【0063】
本発明の導電性塗料組成物は、以下の方法により調製できる。
(1)ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、(2)第1のポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、(3)10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、及び(4)溶媒を40〜500重量部を混合して本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物を調製する。
調製した本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物に、(5)多官能ブロックイソシアネートを0.1〜10重量部、及び第1のポリエステル樹脂との合計量が導電性酸化物微粒子100重量部に対して1〜20重量部となるように(6)第2のポリエステル樹脂を0.95〜19.5重量部添加することにより本発明の導電性塗料組成物が調製できる。
【0064】
本発明の導電性酸化物微粒子分散組成物を調製する際の、成分(1)〜(4)の混合は、例えばビーズミル等の分散装置により行うことができる。
成分(1)〜(4)を混合することにより、導電性酸化物微粒子を組成物中に分散させることができる。
【0065】
上記混合をビーズミルで行う場合、ビーズは、好ましくはジルコニア製ビーズであり、その粒径は好ましくは0.015〜0.5mmである。ビーズは粒径の異なるビーズを混合して用いてもよい。
ビーズミルの運転条件は装置の形状によって異なるが、好ましくは周速度2〜10m/sであり、混合時間は0.5〜5時間である。
【0066】
調製した導電性酸化物微粒子分散組成物に、さらに(5)多官能ブロックイソシアネート及び(6)第2のポリエステル樹脂を添加して、導電性塗料組成物を調製する。
【0067】
本発明では、導電性酸化物微粒子分散組成物を調製する際に分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂を添加し、調製した導電性酸化物微粒子分散組成物にさらに分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂を添加して、導電性塗料組成物を調製する。
【0068】
これは、分子量の高いポリエステル樹脂は導電性酸化物微粒子を分散させる能力がやや不安定なため、導電性酸化物微粒子分散組成物を調製する段階から分子量の高いポリエステル樹脂が導電性酸化物微粒子の表面に吸着していると、塗膜を形成する段階で導電性酸化物微粒子の凝集が生じて、塗膜の透明性の低下が生じやすいためである。
一方、導電性塗料組成物を調製する段階で分子量の高いポリエステル樹脂を添加できる理由は、導電性酸化物微粒子を安定に分散するのに好適な分子量の第1のポリエステル樹脂が、導電性酸化物微粒子分散組成物の調製の段階で導電性酸化物微粒子の表面に十分に吸着しており、その一部が分子量の高い第2のポリエステル樹脂に置き換わっても、透明な塗膜の形成が困難となるほどの微粒子の分散能力の低下が起きないためである。
【0069】
本発明の導電性塗料組成物は、透明導電性膜の材料として好適である。
本発明の透明導電性膜は、本発明の導電性塗料組成物を基材に塗布し、乾燥・硬化させることにより得られる。
【0070】
乾燥後の塗膜中には、導電性酸化物微粒子、第1のポリエステル樹脂、第2のポリエステル樹脂及びブロックイソシアネートが存在する。この塗膜をブロックイソシアネートのブロック解離温度以上に加熱することによって、イソシアネート基が再生され、ポリエステル樹脂に含まれる水酸基と反応して硬化し、塗膜は透明導電性膜となる。
【0071】
基材としては、塗膜の乾燥・硬化温度に耐えられる基材であれば特に制限はないが、好ましくはポリエステル、ポリカーボネート、シクオレフィンポリマー、ナイロン等の樹脂、ガラス、石英、又は金属である。これら基材は、密着性向上層等の表面処理をあらかじめ施してもよい。
【0072】
導電性塗料組成物の塗布方法としては、グラビア印刷法、スリットコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の一般的な印刷方法を適用できる。
【0073】
塗膜の乾燥条件は、印刷法によっても異なるが、一般に室温〜120℃程度で数十秒〜数分で乾燥させる。
【0074】
塗膜の硬化温度は、用いる多官能ブロックイソシアネートの種類によって異なるが、一般に90〜170℃である。但し、基材の耐熱温度以下で硬化させる必要があるため、樹脂基材を用いる場合には、ブロック解離温度が低いブロックイソシアネートを選定するとよい。
【0075】
本発明の透明導電性膜の膜厚は、特に制限されないが、好ましくは0.2μm〜10μmであり、より好ましくは0.4μm〜3μmである。
透明導電性膜の膜厚が0.2μm未満の場合、十分な導電性及び膜の平坦性が得られないおそれがある。一方、透明導電性膜の膜厚が10μm超の場合、膜の透明性が低下するおそれがある。
【0076】
本発明の透明導電性膜は、例えばタッチパネル、ディスプレイ装置、窓、半導体素子の搬送用ケース、照明装置等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0077】
[導電性酸化物微粒子の合成]
合成例1
純度99.99%の酸化インジウム粉末(新興化学株式会社製)78.65gを秤量し、これをメノウ乳鉢に入れた。次いで、純度98%の酸化第二錫粉末(日本化学工業株式会社製)21.35gを秤量して、メノウ乳鉢に入れた。
次に、臭化アンモニウム1gを溶解させた水溶液20gをメノウ乳鉢に添加し、原料粉末を混合及び粉砕した。その後、さらなる混合及び粉砕をするため、原料粉末を遊星ボールミルで6時間混合及び粉砕し、混合粉体を得た。
【0078】
得られた混合粉体を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後の混合粉体をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した。加熱温度を650℃、加熱時間を5分とするために、アルミナボートを室温から500℃まで約20分間かけて昇温し、650℃で5分間保持した。その後、加熱を止め、アルミナボートを取り出して急冷し、導電性酸化物微粒子を得た。
【0079】
得られた導電性酸化物微粒子について、BET法により比表面積の測定し、平均粒径を求めたところ、平均粒径は45nmであった。また、得られた導電性酸化物微粒子について、ゼータサイザー ナノ装置(マルバーン社製)を用いてゼータ電位を測定したところ、ゼータ電位はプラス49mVであった。
【0080】
合成例2
臭化アンモニウム水溶液のかわりに水を用いた他は合成例1と同様にして導電性酸化物微粒子を調製し、評価した。その結果、得られた導電性酸化物微粒子の平均粒径は52nmであり、ゼータ電位はマイナス41mVであった。
【0081】
合成例3
純度99.99%の酸化インジウム粉末(新興化学株式会社製)78.65gを秤量し、これをメノウ乳鉢に入れた。次いで、純度98%の酸化第二錫粉末(日本化学工業株式会社製)21.35gを秤量して、メノウ乳鉢に入れた。
次に、臭化アンモニウム1gを溶解させた水溶液20gをメノウ乳鉢に添加し、原料粉末を混合及び粉砕した。その後、さらなる混合及び粉砕をするため、原料粉末を遊星ボールミルで6時間混合及び粉砕し、混合粉体を得た。
得られた混合粉体を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後の混合粉体をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、2%水素含有窒素ガスを0.2リットル/分、窒素ガスを0.3リットル/分の割合で混合したガスを流した。加熱温度を500℃、加熱時間を30分とするために、アルミナボートを室温から500℃まで約20分間かけて昇温し、500℃で30分間保持した。その後、加熱を止め、アルミナボートを取り出して急冷し、導電性酸化物微粒子を得た。
得られた導電性酸化物微粒子の平均粒径は43nmであった。また、ゼータ電位はプラス73mVであった。
【0082】
合成例4
導電性酸化物微粒子の焼成時に2%水素含有窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した以外は合成例3と同様の操作で導電性酸化物微粒子を得た。
平均粒径は45nm、ゼータ電位はプラス38mVであった。
【0083】
合成例5
原料である純度99.99%の酸化インジウム粉末(アジア物性株式会社製)94.6gを秤量し、これをメノウ乳鉢に入れ、次いで、原料である純度98%の酸化第二錫粉末(日本化学工業株式会社製)5.4gを秤量し、これを前記メノウ乳鉢に入れた。さらに水20gを前記メノウ乳鉢に添加して、原料粉末を混合、粉砕した後乾燥した。
フッ化アンモニウム(和光純薬工業(株)製:純度97%)0.081g及び特級グレードの炭酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製)0.1gを2gの蒸留水に溶解させ、先に作製した酸化インジウム、酸化錫混合微粒子10gに添加し遊星ボールミルにて1時間混合し、混合粒子を得た。その後、さらになる混合、粉砕をするために、遊星ボールミルで6時間混合、粉砕し、混合粉体を得た。
次に、得られた混合粉体を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後、この混合粉体をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、加熱雰囲気として、水素が0.4体積%に混合した窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した。そして、加熱温度を500℃、加熱時間を30分とするために、室温から500℃まで約20分間かけて昇温し、500℃で30分間保持し、その後加熱を止め、アルミナボートを取り出して冷却し、灰褐色の粒子を得た。
平均粒径は42nm、ゼータ電位はプラス47mVであった。
【0084】
合成例6
まず、原料の酸化亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、第一種)100g(1.228モル)及び炭酸アンモニウム4gを溶解させた水溶液20gを前記メノウ乳鉢に添加して、原料粉末を混合した。
その後、遊星ボールミルで6時間混合、粉砕した後、遊星ボールミルの回転を止めて、臭化アンモニウム1.5g(0.0123モル)を溶解させた水溶液20gを追加した。その後、さらに遊星ボールミルで1時間混合を続け、混合粉体を得た。
次に、得られた混合粉体を90℃で3時間乾燥させ、乾燥後の混合粉体をアルミナボートに入れ、このアルミナボートを管状炉の中に挿入し、処理雰囲気として、水素含有窒素ガスとするために、水素2体積%を混合した窒素ガスを0.5リットル/分の流量で流した。そして、加熱温度を400℃、加熱時間を30分とするために、室温から400℃まで約20分間かけて昇温し、400℃で30分間保持し、その後加熱を止め、アルミナボートを取り出して急冷し、白色の粉体を得た。
この粉体について、電気伝導度(σ)を測定したところ、9.81MPaの加圧時の電気伝導度は、1.9×10−1S/cmであった。また、ゼータ電位はプラス38mVであった。さらに、この粉体について、ハロゲン含有比を蛍光X線により測定したところ、Znとハロゲンの合計の原子数1に対して0.0045であった。
【0085】
[導電性酸化物微粒子分散組成物の調製]
実施例1
合成例1の導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.18g(日本合成化学工業社製、ポリエスターTP−219、分子量3,000)、分散剤0.12g(ビックケミー社製、DISPERBYK−2095、酸価36mgKOH/g)、及びシクロペンタノン(溶剤)23.7g(日本ゼオン社製)を混合し、ビーズミルを用いて4時間分散して、導電性酸化物微粒子分散組成物を調製した。
【0086】
得られた導電性酸化物微粒子分散組成物について、平均分散粒径をゼータサイザー ナノ装置(マルバーン社製)を用いて測定したところ、平均分散粒径は99nmであった。
【0087】
実施例2
合成例1の導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.072g(ポリエスターTP−219、分子量3,000)、分散剤0.018g(DISPERBYK−2095、酸価36mgKOH/g)、シクロヘキサノン(溶剤)17.9g(和光純薬社製)を混合し、ビーズミルを用いて3時間分散して、導電性酸化物微粒子分散組成物を調製した。
【0088】
得られた導電性酸化物微粒子分散組成物について、平均分散粒径を実施例1と同様にして測定したところ、平均分散粒径は105nmであった。
【0089】
実施例3
合成例1の導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.072g(ポリエスターTP−219、分子量3,000)、分散剤0.030g(ビックケミー社製、DISPERBYK−102、酸価101mgKOH/g)、シクロペンタノン23.9gを混合し、ビーズミルを用いて4時間分散して、導電性酸化物微粒子分散組成物を調製した。
【0090】
得られた導電性酸化物微粒子分散組成物について、平均分散粒径を実施例1と同様にして測定したところ、平均分散粒径は115nmであった。
【0091】
実施例4
合成例1の導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.060g(SK Chemicals社製、SKYBON ES710、分子量10,000)、分散剤0.048g(ビックケミー社製、ANTI−TERRA−U、酸価24mgKOH/g、有効成分50%)、N−メチルピロリドン(溶剤)23.9gを混合し、ビーズミルを用いて3時間分散して、導電性酸化物微粒子分散組成物を調製した。
【0092】
得られた導電性酸化物微粒子分散組成物について、平均分散粒径を実施例1と同様にして測定したところ、平均分散粒径は100nmであった。
【0093】
実施例5
合成例3で得た導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.318g(日本合成化学工業社製、ポリエスターTP−219、分子量3,000)、分散剤0.009g(ビックケミー社製、DISPERBYK2095、酸価36mgKOH/g)、シクロヘキサノン(溶剤、和光純薬社製)17.7gを混合し、ビーズミルを用いて4時間分散し、導電性酸化物微粒子分散組成物を得た。平均分散粒径は176nmであった。
【0094】
実施例6
合成例4で得た導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.18g(日本合成化学工業社製、ポリエスターTP−219、分子量3,000)、分散剤0.087g(ビックケミー社製DISPERBYK102、酸価101mgKOH/g)、シクロヘキサノン17.7g(溶剤)を混合し、ビーズミルを用いて3時間分散し、導電性酸化物微粒子分散組成物を得た。平均分散粒径は180nmであった。
【0095】
実施例7
合成例5で得た導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.060g(日本合成化学工業社製、ポリエスターTP−219、分子量3,000)、分散剤0.058g(ビックケミー社製DISPERBYK110、酸価53mgKOH/g、不揮発分52%)、シクロヘキサノン17.9g(溶剤)を混合し、ビーズミルを用いて3時間分散し、導電性酸化物微粒子分散組成物を得た。平均分散粒径は190nmであった。
【0096】
実施例8
合成例6で得た導電性酸化物微粒子6.0gを用いた以外は実施例6と同様の操作によって導電性酸化物微粒子分散組成物を得た。平均分散粒径は183nmであった。
【0097】
[導電性塗料組成物の調製及び透明導電膜の成膜]
実施例9
実施例1で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物1.0gに、ポリエステル樹脂(ポリエスターTP−219、分子量3,000)の60%シクロヘキサノン溶液0.012g、及びブロックイソシアネート0.008g(旭化成ケミカルズ社製、デュラネートTPA−B80E、80%溶液)を添加・混合して導電性塗料組成物を調製した。
【0098】
得られた導電性塗料組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.8)を用いてPETフィルム(東レ社製、ルミラーT60、フィルム厚さ188μm)に塗布した。50℃にて乾燥させた後、150℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。
硬化後の塗膜の厚さ、全光線透過率、ヘイズ値及び表面抵抗値を評価した。結果を表1に示す。
尚、全光線透過率及びヘイズ値は、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を用いて測定した。表1の値は、基材を含むサンプル全体の測定値から、基材のみの測定値を差し引いた値である。表面抵抗値は、三菱化学アナリテック社製ロレスタGPを用いて、JIS−K7105に準拠して測定した。
【0099】
実施例10
実施例2で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物1.0gに、ポリエステル樹脂(ポリエスターTP−219、分子量3,000)の60%シクロヘキサノン溶液0.015g、ブロックイソシアネート0.021g(デュラネートTPA−B80E、80%溶液)を添加・混合して導電性塗料組成物を調製した。
【0100】
得られた導電性塗料組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.8)を用いてPETフィルムに塗布した。50℃にて乾燥させた後、150℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。
硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を実施例9と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0101】
実施例11
実施例3で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物1.0gにポリエステル樹脂(日本合成化学工業社製、ポリエスターTP−236、分子量16,000)の60%溶液0.020g(ポリエスターTP−236/ソルベッソ100/ソルベッソ150/シクロヘキサノン/イソホロンを60/14/14/8/4の重量比で含む)、及びブロックイソシアネート0.014g(デュラネートTPA−B80E、80%溶液)を添加・混合して導電性塗料組成物を調製した。
【0102】
得られた導電性塗料組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.8)を用いてスライドガラスに塗布した。50℃にて乾燥させた後、180℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。
硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を実施例9と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0103】
実施例12
実施例4で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物1.0gに実施例1と同じポリエステル樹脂(ポリエスターTP−219、分子量3,000)の60%シクロヘキサノン溶液0.023g、及びブロックイソシアネート(旭化成ケミカルズ社製、デュラネートMF−K60X、60%溶液)0.0092gを添加・混合して導電性塗料組成物を調製した。
【0104】
得られた導電性塗料組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.8)を用いてPETフィルムに塗布した。60℃にて乾燥させた後、120℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。
硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を実施例9と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0105】
実施例13
実施例5で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物1.0gに実施例5と同じポリエステル樹脂の30%シクロヘキサノン溶液0.017g、ブロックイソシアネート(60%溶液)0.009g(旭化成ケミカルズ社製デュラネートMF−K60X)を混合して導電性塗料組成物を調製した。
上記の組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.6)を用いてスライドガラスに塗布した。50℃にて乾燥させた後、110℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を表1に示す。
【0106】
実施例14
実施例6で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物2.0gにポリエステル樹脂(日本合成化学工業社製、ポリエスターTP−249、分子量16,000)の20%シクロヘキサノン溶液0.145g、ブロックイソシアネート0.010g(旭化成ケミカルズ社製デュラネートMF−K60X、60%溶液)を混合して導電性塗料組成物を調製した。
上記の組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.6)を用いてスライドガラスに塗布した。室温にて乾燥させた後、110℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を表1に示す。
【0107】
実施例15
合成例4で得た導電性酸化物微粒子6.0g、ポリエステル樹脂0.24g(日本合成化学工業社製、ポリエスターTP−219、分子量3,000)、分散剤0.009g(ビックケミー社製、DISPERBYK2095、酸価36mgKOH/g)、ブロックイソシアネート0.133g(旭化成ケミカルズ社製デュラネートMF−K60X、60%溶液)、シクロヘキサノン(溶剤)17.6g(和光純薬社製)を混合し、ビーズミルを用いて4時間分散し、導電性塗料組成物を直接得た。平均分散粒径は163nmであった。
得られた導電性塗料組成物をワイヤーバーコーター(6mm径、No.8)を用いてPETフィルム(東山フィルム社製,HK−31WF,フィルム厚さ188μm)に塗布した。室温にて乾燥させた後、110℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を表1に示す。
【0108】
実施例16
実施例7で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物5.0gにポリエステル樹脂溶液0.30g(東洋紡績社製、バイロンUR−8200、分子量25,000、30%溶液)、ブロックイソシアネート0.013g(旭化成ケミカルズ社製デュラネートMF−K60X、60%溶液)を混合して導電性塗料組成物を調製した。
上記の組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.6)を用いてスライドガラスに塗布した。室温にて乾燥させた後、110℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を表1に示す。
【0109】
実施例17
実施例8で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物2.0gにポリエステル樹脂溶液0.063g(東洋紡績社製、バイロンUR−8200、分子量25,000、30%溶液)、ブロックイソシアネート0.010g(旭化成ケミカルズ社製デュラネートMF−K60X、60%溶液)を混合して導電性塗料組成物を調製した。
上記の組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.8)を用いてスライドガラスに塗布した。室温にて乾燥させた後、180℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を表1に示す。
【0110】
比較例1
DISPERBYK−2095の代わりに、分散剤としてDISPERBYK−2150(酸価なし、アミン価57mgKOH/g、有効成分52%、ビックケミー社製)0.035gを用いた他は実施例2と同様にして導電性酸化物微粒子分散組成物を調製した。
【0111】
得られた導電性酸化物微粒子分散組成物について、平均分散粒径を実施例1と同様にして測定したところ、平均分散粒径は103nmであった。
【0112】
実施例2で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物の代わりに、調製した比較例1の導電性酸化物微粒子分散組成物1.0gを用いた他は、実施例10と同様にして導電性塗料組成物を調製し、塗膜を成膜した。
硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を実施例9と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0113】
比較例2
ポリエスターTP−219の代わりに、ポリエステル樹脂としてポリエスターTP−236(日本合成化学工業社製、分子量16,000)を用いた他は実施例2と同様にして導電性酸化物微粒子分散組成物を調製した。
【0114】
得られた導電性酸化物微粒子分散組成物について、平均分散粒径を実施例1と同様にして測定したところ、平均分散粒径は79nmであった。
【0115】
実施例2で調製した導電性酸化物微粒子分散組成物の代わりに、調製した比較例2の導電性酸化物微粒子分散組成物1.0gを用いた他は、実施例10と同様にして導電性塗料組成物を調製し、塗膜を成膜した。
硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を実施例9と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0116】
比較例3
合成例1の導電性酸化物微粒子の代わりに合成例2の導電性酸化物微粒子を用いた他は、実施例1と同様にして導電性酸化物微粒子分散組成物の調製を試みたが、導電性酸化物微粒子は分散できなかった。
【0117】
比較例4
合成例3で得た導電性酸化物微粒子6.0g、メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体0.318g(共重合比=88:12、分子量5,000)、分散剤0.009g(ビックケミー社製、DISPERBYK2095、酸価36mgKOH/g)、シクロヘキサノン(溶剤、和光純薬社製)17.7gを混合し、ビーズミルを用いて4時間分散し、導電性酸化物微粒子分散組成物を得た。
得られた組成物は分散直後には均一に分散していたが、分散後30以内に導電性酸化物微粒子が凝集沈降してしまった。そのため平均分散粒径は測定していない。
導電性酸化物微粒子が凝集沈降する前に導電性酸化物微粒子分散組成物1gをとり、そこにトリメチロールプロパントリアクリレート(東京化成工業社製)と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤、和光純薬社製)の99:1(質量比)の80%シクロヘキサノン溶液0.021gとメタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体0.318g(共重合比=88:12、分子量12,000)の30%シクロヘキサノン溶液0.060gを加えて導電性塗料組成物を調製した。
上記の組成物を、ワイヤーバーコーター(6mm径、No.8)を用いてスライドガラスに塗布した。50℃にて乾燥させた後、110℃で20分加熱して塗膜を硬化させた。硬化後の塗膜の厚さ、光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗値を表1に示す。
【0118】
【表1】

【0119】
尚、実施例9〜17及び比較例1、2、4の膜厚の測定は、スライドガラス上に塗布した場合は、スライドガラス上の塗膜の一部を削り取り、膜厚に相当する段差をマイクロマップ5200(菱化システム社製)により測定した。PETフィルム上に塗布した場合は、基材ごと切断し、断面を走査型電子顕微鏡によって観察して測定した。
【0120】
上記の実施例及び比較例から、安定して微細に分散した導電性酸化物微粒子分散組成物を調製し、さらに、高透明で低抵抗な塗膜を作製できる導電性塗料組成物を調製するには、ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子と、分子量が1,000〜15,000であるポリエステル樹脂と、10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤とを組み合わせることが重要であることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の導電性塗料組成物から得られる透明導電性膜は、タッチパネルやフラットパネルディスプレイの透明電極として好適に利用できる。特に、本発明の導電性塗料組成物は、硬化温度を低くすることができるので、プラスチックフィルム等の保護膜機能を兼ね備えた帯電防止膜やプラスチック上に作製されるタッチパネル用の透明電極膜として好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、
分子量が1,000〜15,000であるポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、
10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、及び
溶媒を40〜500重量部含む導電性酸化物微粒子分散組成物。
【請求項2】
導電性酸化物微粒子の平均粒径が10nm〜0.1μmである、請求項1に記載の導電性酸化物微粒子分散組成物。
【請求項3】
ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、
分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、
分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂を0.95〜19.5重量部、
10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、
溶媒を40〜500重量部、及び
多官能ブロックイソシアネートを0.1〜10重量部含み、
前記分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂及び前記分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂の合計量が、前記導電性酸化物微粒子100重量部に対して1〜20重量部である導電性塗料組成物。
【請求項4】
ゼータ電位が+10mV以上の導電性酸化物微粒子を100重量部、
分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂を0.05〜10重量部、
10mgKOH/g以上の酸価を有する分散剤を0.05〜5重量部、及び
溶媒を40〜500重量部を混合して導電性酸化物微粒子分散組成物を調製し、
前記導電性酸化物微粒子分散組成物に、多官能ブロックイソシアネートを0.1〜10重量部、及び
前記分子量が1,000〜15,000である第1のポリエステル樹脂との合計量が前記導電性酸化物微粒子100重量部に対して1〜20重量部となるように分子量が1,000〜30,000である第2のポリエステル樹脂を0.95〜19.5重量部添加する導電性塗料組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法により得られる導電性塗料組成物。
【請求項6】
導電性酸化物微粒子の平均粒径が10nm〜0.1μmである、請求項3又は請求項5に記載の導電性塗料組成物。
【請求項7】
請求項3、5又は6に記載の導電性塗料組成物を塗布後、乾燥させ、さらに硬化させることにより得られる透明導電性膜。
【請求項8】
請求項7に記載の透明導電性膜を備える装置。


【公開番号】特開2010−272514(P2010−272514A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92737(P2010−92737)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】