説明

導電膜付き基材

【課題】透明性が良好で、表面抵抗が低く、優れたガスバリアー性や接着性を有する導電膜付き基材を提供する。
【解決手段】本発明の導電膜付き基材10は、樹脂フィルム11と、−OR1で表される官能基を有するシランカップリング剤を含む有機樹脂層12と、Si(OR2)4で表されるテトラアルコキシシランに、M(OR3)nで表される金属アルコキシドまたはPO(OR4)3で表されるリン酸エステルのうち、少なくとも1種以上を加えたものの共加水分解溶液を塗布し、120℃以上で樹脂フィルムのガラス転移温度以下の条件で加熱して得られる無機硬化層13と、導電性ナノ繊維16を含む導電膜14と、が順に積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電膜付き基材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被成膜材料に、正の電解質ポリマーからなる層と、負の電解質ポリマーからなる層とを交互に成膜する方法、およびそれにより得られた交互吸着膜を有する構造体が記載されている。
また、特許文献2には、基板と、該基板上に形成された銀ナノワイヤーを含む導電層を備える透明導電体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2000/13806号パンフレット
【特許文献2】特表2009−505358号公報
【特許文献3】特開平9−157419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
特許文献1に記載の交互吸着膜を有する構造体は、表面抵抗に若干の改良の余地があった。
【0005】
特許文献2に記載の透明導電体は表面抵抗が低減されているものの、ガスバリアー性や基材との接着性に課題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透明性が良好で、表面抵抗が低く、ガスバリアー性や基材との接着性にも優れた導電膜付き基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下に示される。
(1)樹脂フィルムと、
−OR1(H−OR1で表される化合物の常圧における沸点が120℃以下となるアルコール残基)で表される官能基を有するシランカップリング剤を含む有機樹脂層と、が順に積層されてなり、
前記有機樹脂層が導電性ナノ繊維を含む導電膜付き基材。
【0008】
(2)樹脂フィルムと、
−OR1(H−OR1で表される化合物の常圧における沸点が120℃以下となるアルコール残基)で表される官能基を有するシランカップリング剤を含む有機樹脂層と、
Si(OR2)4(R2は炭素数4以下のアルキル基)で表されるテトラアルコキシシランに、M(OR3)n(Mは金属元素、R3は炭素数4以下のアルキル基、nは3から5の整数)で表される金属アルコキシドまたはPO(OR4)3(R4は炭素数4以下のアルキル基)で表されるリン酸エステルのうち、少なくとも1種以上を加えたものの共加水分解溶液を塗布し、120℃以上で樹脂フィルムのガラス転移温度以下の条件で加熱して得られる無機硬化層と、
導電性ナノ繊維を含む導電膜と、が順に積層された導電膜付き基材。
【0009】
(3)前記導電性ナノ繊維は、平均繊維径が5nm以上、150nm以下、平均繊維長が100nm以上、100μm以下である(1)または(2)に記載の導電膜付き基材。
【0010】
(4)前記導電性ナノ繊維は、金属繊維である(1)乃至(3)のいずれかに記載の導電膜付き基材。
【0011】
(5)前記金属繊維は銀を含む(4)に記載の導電膜付き基材。
【0012】
(6)前記有機樹脂層または前記導電膜は、前記導電性ナノ繊維を25体積%以上、75体積%以下の量で含む(1)乃至(5)のいずれかに記載の導電膜付き基材。
【0013】
(7)表面抵抗値が10Ω/□以上、300Ω/□以下である(1)乃至(6)のいずれかに記載の導電膜付き基材。
【0014】
(8)波長400nm以上500nm以下における透過率が85%以上である(1)乃至(7)のいずれかに記載の導電膜付き基材。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透明性が良好で、表面抵抗が低く、ガスバリアー性や基材との接着性にも優れた導電膜付き基材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における導電膜付き基材の概略断面図である。
【0017】
【図2】第2実施形態における導電膜付き基材の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0019】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の導電膜付き基材10は、樹脂フィルム11と、導電性ナノ繊維16を含む有機樹脂層12とが順に積層されてなる。
【0020】
(樹脂フィルム11)
本実施形態における樹脂フィルム11としては、例えば、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、シリコン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエーテルスルフォン等を含む樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルム11の厚さは、導電膜付き基材の用途により好ましい範囲が異なるが、タッチパネルとして用いる場合、10nm以上、500nm以下程度である。
【0021】
(有機樹脂層12)
本実施形態における有機樹脂層12は、導電性ナノ繊維16を含む。
本実施形態における有機樹脂層12は、−OR1(H−OR1で表される化合物の常圧における沸点が120℃以下となるアルコール残基)で表される官能基を有するシランカップリング剤を含む。
【0022】
H−ORで表される化合物の常圧における沸点が120℃以下となる化合物残基を有する化合物としては、−OCH、−OC等のアルコール残基を有する化合物が挙げられる。特に、入手が容易であり、有機樹脂やそれを塗布液とするための溶剤への溶解性にすぐれるシランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0023】
シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0024】
有機樹脂層12を構成する樹脂としては、紫外線等の活性エネルギー線又は熱で硬化できる各種樹脂が適用できる。好ましい硬化性樹脂組成物としては、アクリレート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物から選ばれる1種以上を主成分とした液状の紫外線硬化性樹脂組成物や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂から選ばれる1種以上を主成分とした熱硬化性樹脂組成物、またはこれらを混合したもの等が挙げられる。これらの樹脂組成物は、塗布装置によりベースシート上に塗布し、溶剤を含む場合には乾燥装置により溶剤を揮発させる。樹脂組成物成分には、必要に応じてフィラー成分、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤などを添加しても良い。
【0025】
有機樹脂層12は、グラビアコーター、ダイコーター、ロールコーター等を用いて形成することができる。
【0026】
導電性ナノ繊維16としては、カーボン繊維、銀、銅、プラチナ等からなる金属繊維などを用いることができる。本実施形態においては、導電性付与の観点から金属繊維を用いることが好ましい。導電性ナノ繊維16としては、平均繊維径5nm以上、150nm以下、好ましくは30nm以上、100nm以下、平均繊維長100nm以上、100μm以下、好ましくは1μm以上、30μm以下、のものを用いることができる。
【0027】
有機樹脂層12における導電性ナノ繊維16の割合は、有機樹脂層12を100体積%とした場合において、25体積%以上、75体積%以下、好ましくは45体積%以上、60体積%以下である。25体積%より低い場合には導電性ナノ繊維同士の接合が不十分となり所望の導電性を発現できない。また75体積%より高くなると樹脂フィルム11と有機樹脂層12との密着性が低下し、好ましくない。つまり、有機樹脂層12中に導電性ナノ繊維16が上記範囲で含まれていると、所望の導電性を発現するとともに、樹脂フィルム11と有機樹脂層12との密着性に優れる。
【0028】
導電性ナノ繊維16を有機樹脂層12に分散させる方法には特に制限はなく、有機樹脂中に導電性ナノ繊維16を分散させることのできる装置であればオリフィス収縮流を利用した分散装置、回転せん断流を利用した分散装置、超音波を利用した分散装置、あるいはこれらを組合せた分散装置を利用することができる。
【0029】
本実施形態において、有機樹脂層12に、導電性ナノ繊維16を含むので、表面抵抗が低減された導電膜付き基材を提供することができる。
【0030】
有機樹脂層12は、導電性ナノ繊維16が分散している樹脂組成物を用い、
グラビアコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター等の方法により形成することができる。
【0031】
<第2実施形態>
図2に示すように、本実施形態の導電膜付き基材10は、樹脂フィルム11と、有機樹脂層12と、無機硬化層13と、導電性ナノ繊維16を含む導電膜14とが順に積層されてなる。
【0032】
本実施形態において、樹脂フィルム11は第1実施形態と同様の構成とすることができる。また、有機樹脂層12は、導電性ナノ繊維16を含まない以外は第1実施形態と同様の構成とすることができる。
【0033】
(無機硬化層13)
本実施形態における無機硬化層13は、有機樹脂層12上に、Si(OR2)4(R2は炭素数4以下のアルキル基)で表されるテトラアルコキシシランに、M(OR3)n(Mは金属元素、R3は炭素数4以下のアルキル基、nは3から5の整数)で表される金属アルコキシドまたはPO(OR4)3(R4は炭素数4以下のアルキル基)で表されるリン酸エステルのうち、少なくとも1種以上を加えたものの共加水分解溶液を塗布し、120℃以上で樹脂フィルム11のガラス転移温度以下の条件で加熱して得られる。
【0034】
M(OR3)n(Mは金属元素、R3は炭素数4以下のアルキル基、nは3から5の整数)で表される金属アルコキシドは、周期表の3A族、4A族、5A族、4B族又は5B族のいずれかの金属元素からなる金属アルコキシドであり、例えば、Ti、Al、Zr等である。上記以外の金属元素では十分なガスバリアー性を保有する無機硬化層は得られない。
【0035】
Si(OR2)4(R2は炭素数4以下のアルキル基)で表されるテトラアルコキシシランの加水分解方法はすでに良く知られており、例えば作花済夫著『ゾルーゲル法の科学』(アグネ承風社)等を参照することが出来る。加水分解物やその縮重合物を塗布し無機膜を形成することも知られている。しかし、タッチパネル用透明導電フィルムに求められる特性を損なわず、目的とするガスバリアー性と可撓性、密着性を兼ね備えた無機硬化層13は、本発明によって初めて達成される。
【0036】
まず、第一に単なる加水分解物の塗布によっては、加熱無機化での体積収縮によりフィルムがカールしたり、無機膜にクラックが入る。よって、塗布液はあらかじめ縮重合を進めたものでなくてはならない。次に、テトラアルコキシシランのR2は炭素数4以下のアルキル基でなくてはならない。これは、無機化の為の加熱条件である120℃以上の温度で、脱離反応で発生してくるアルコールが気体の状態であるために重要である。液体や固体であると、無機膜に求めるガスバリアー性や密着性に重大な障害が発生する。
【0037】
(導電膜14)
本実施形態における導電膜14は、上述の導電性ナノ繊維16を含む。導電膜14は有機樹脂から構成されている。
【0038】
導電膜14における導電性ナノ繊維16の割合は、導電膜14を100体積%とした場合において、25体積%以上、75体積%以下、好ましくは45体積%以上、60体積%以下である。25体積%より低い場合には導電性ナノ繊維同士の接合が不十分となり所望の導電性を発現できない。また75体積%より高くなると無機硬化層13と導電膜14との密着性が低下し、好ましくない。つまり、導電膜14中に導電性ナノ繊維16が上記範囲で含まれていると、所望の導電性を発現するとともに、無機硬化層13と導電膜14との密着性に優れる。
【0039】
導電性ナノ繊維16を導電膜14に分散させる方法には特に制限はなく、有機樹脂中に導電性ナノ繊維16を分散させることの出来る装置であればオリフィス収縮流を利用した分散装置、回転せん断流を利用した分散装置、超音波を利用した分散装置、あるいはこれらを組合せた分散装置を利用することができる。
【0040】
有機樹脂としては、紫外線等の活性エネルギー線又は熱で硬化できる各種樹脂が適用できる。好ましい硬化性樹脂組成物としては、アクリレート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物から選ばれる1種以上を主成分とした液状の紫外線硬化性樹脂組成物や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂から選ばれる1種以上を主成分とした熱硬化性樹脂組成物、またはこれらを混合したもの等が挙げられる。これらの樹脂組成物は、塗布装置によりベースシート上に塗布し、溶剤を含む場合には乾燥装置により溶剤を揮発させる。樹脂組成物成分には、必要に応じてフィラー成分、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤などを添加しても良い。
【0041】
本実施形態において、導電膜14に、導電性ナノ繊維16を含むので、表面抵抗が低減された導電膜付き基材を提供することができる。
【0042】
導電膜14は、導電性ナノ繊維16が分散している樹脂組成物を用い、
グラビアコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター等の方法により形成することができる。
【0043】
導電膜14を無機硬化層13上に形成する前に、無機硬化層13に導電膜14との密着力を向上させるために下地処理をおこなうことも有効である。特に、シランカップリング剤を含むUV硬化型アクリレート樹脂硬化層を塗布することは、導電膜14との密着性も無機硬化層13との密着性も優れており好ましい。
【0044】
なお、第1および第2実施形態においては、樹脂フィルム11の一方の面にのみ積層構造を有する態様により説明したが、両面に積層構造を有していてもよい。さらに、第1実施形態の積層構造と、第2実施形態の積層構造とを組み合わせて用いることもできる。
【0045】
(導電膜付き基材の物性)
第1および第2実施形態の導電膜付き基材10の表面抵抗値は、10Ω/□以上、300Ω/□以下とすることができる。このように本実施形態の導電膜付き基材10は、その表面抵抗を低減させることができるので、後述する抵抗膜式タッチパネルだけでなく静電容量タイプのタッチパネルにも適用することができる。
【0046】
さらに、第1および第2実施形態の導電膜付き基材10は、波長400nm以上500nm以下における透過率を80%以上、好ましくは85%以上とすることができる。第1および第2実施形態の導電膜付き基材10は光線透過性にも優れているので、上記の用途以外にも、後述する色素増感タイプの太陽電池の電極や、有機薄膜タイプの太陽電池の電極にも適用することができる。
【0047】
<用途>
第1および第2実施形態の導電膜付き基材10は、透明性に優れ、表面抵抗が低減されているので、抵抗膜式タッチパネルや静電容量タイプのタッチパネル等における導電膜が形成された表面フィルム;色素増感タイプの太陽電池や有機薄膜タイプの太陽電池等における電極などとして用いることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
【0049】
(導電性ナノ繊維16)
導電性ナノ繊維16として、Agナノワイヤーは、製品番号(ClearOhm Ink−A AQ)、CAMBRIOS社製のものを用いた。Agナノワイヤーのサイズは、繊維長約数10μm、直径約80nmであった。
【0050】
(抵抗値測定方法)
高精度抵抗率計(三菱化学株式会社製LorestaGP(MCP−T610))を用いて測定した。
【0051】
[実験例1]
ポリエーテルサルホンフィルム(住友ベークライト(株)製スミライトFS−5300、ガラス転移温度223℃、厚み100μm、リターデーション10nm)の片面に、エポキシアクリレート15重量部、ウレタンアクリレート10重量部、ポリエステルアクリレート10重量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2重量部、UV架橋開始剤1重量部、溶剤65重量部を混合した塗布液を、グラビアコーターにより、乾燥厚み3μmとなるよう塗布し硬化させて有機樹脂層12を形成した。その上に、テトラエトキシシラン187g、チタンテトラエトキシド23g(テトラエトキシシランとチタンテトラエトキシドのモル比が90対10)、イソプロピルアルコール120gを混合し、40℃で12時間攪拌し、イソプロピルアルコール1.7kgを加えて塗布液とし、リバースコーターにより、計算による乾燥塗布厚が0.1μmになるように塗布し、180℃の熱風乾燥炉によって加熱無機膜化し無機硬化層13を形成した。この無機硬化膜13を形成した段階で、オキシトラン法により、酸素ガス透過係数を測定したところ、湿度0%において0.6cc/m2・day・atm、湿度95%において0.7cc/m2・day・atmと、塗布前のフィルムでは、湿度0%においても、200cc/m2・day・atmであったのに比べ格段に向上していた。さらに、この無機硬化膜13の表面に、最初の工程でポリエーテルサルホンフィルムに塗布した塗布液と同じものを、リバースコーターにより乾燥厚み3μmとなるように塗布し硬化させてUV硬化型アクリレート樹脂硬化層を形成した。次に、このUV硬化型アクリレート樹脂硬化層の上に、ダイコーターにより導電性ナノ繊維16が分散している導電膜14を形成した。得られた導電膜付きフィルム10に対し、100℃で1時間熱処理を行った。熱処理前後での表面抵抗率を測定した。結果は250Ω/□であった。
【0052】
[実験例2]
導電性ナノ繊維16を用いない以外は、実験例1と同様にして導電膜付きフィルムを作成した。熱処理前後での表面抵抗率を測定した。結果は、1×1015Ω/□であった。
【0053】
上記の結果から、導電性ナノ繊維16を含む導電膜付きフィルムがタッチパネル用透明導電フィルムに求められる表面抵抗値を満足し、さらにガスバリアー性にも優れることが確認された。さらに、樹脂フィルムとの接着性にも優れていることが確認された。また、図1の構成の導電膜付き基材においても、同様の効果を得ることができた。
【符号の説明】
【0054】
10 導電膜付き基材
11 樹脂フィルム
12 有機樹脂層
13 無機硬化層
14 導電膜
16 導電性ナノ繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムと、
−OR1(H−OR1で表される化合物の常圧における沸点が120℃以下となるアルコール残基)で表される官能基を有するシランカップリング剤を含む有機樹脂層と、が順に積層されてなり、
前記有機樹脂層が導電性ナノ繊維を含む導電膜付き基材。
【請求項2】
樹脂フィルムと、
−OR1(H−OR1で表される化合物の常圧における沸点が120℃以下となるアルコール残基)で表される官能基を有するシランカップリング剤を含む有機樹脂層と、
Si(OR2)4(R2は炭素数4以下のアルキル基)で表されるテトラアルコキシシランに、M(OR3)n(Mは金属元素、R3は炭素数4以下のアルキル基、nは3から5の整数)で表される金属アルコキシドまたはPO(OR4)3(R4は炭素数4以下のアルキル基)で表されるリン酸エステルのうち、少なくとも1種以上を加えたものの共加水分解溶液を塗布し、120℃以上で樹脂フィルムのガラス転移温度以下の条件で加熱して得られる無機硬化層と、
導電性ナノ繊維を含む導電膜と、が順に積層された導電膜付き基材。
【請求項3】
前記導電性ナノ繊維は、平均繊維径が5nm以上、150nm以下、平均繊維長が100nm以上、100μm以下である請求項1または2に記載の導電膜付き基材。
【請求項4】
前記導電性ナノ繊維は、金属繊維である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電膜付き基材。
【請求項5】
前記金属繊維は銀を含む請求項4に記載の導電膜付き基材。
【請求項6】
前記有機樹脂層または前記導電膜は、前記導電性ナノ繊維を25体積%以上、75体積%以下の量で含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の導電膜付き基材。
【請求項7】
表面抵抗値が10Ω/□以上、300Ω/□以下である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の導電膜付き基材。
【請求項8】
波長400nm以上500nm以下における透過率が85%以上である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の導電膜付き基材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−222453(P2011−222453A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93338(P2010−93338)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】