導電部材及び導電部材組立体
【課題】3次元曲面を有する湾曲部を備えた被実装物の当該湾曲部に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる小型化の要請に対応した導電部材及び導電部材組立体を提供する。
【解決手段】導電部材1は、絶縁性のベースフィルム10と、ベースフィルム10の一部に配置された導体20とを備えている。導体20が配置されたベースフィルム10の部分には、3次元曲面を有する湾曲部分13が設けられている。「3次元曲面」とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。導電部材組立体40は、導電部材1と、導電部材1が配置された被実装物30とを備えている。
【解決手段】導電部材1は、絶縁性のベースフィルム10と、ベースフィルム10の一部に配置された導体20とを備えている。導体20が配置されたベースフィルム10の部分には、3次元曲面を有する湾曲部分13が設けられている。「3次元曲面」とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。導電部材組立体40は、導電部材1と、導電部材1が配置された被実装物30とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器におけるアンテナ装置などの導電部材及び導電部材組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器、例えば、携帯電話などの移動体通信装置においては、無線通信を行うためにアンテナ装置が内蔵されている。
このアンテナ装置として、従来、例えば、図36に示すものが知られている(特許文献1参照)。
図36に示すアンテナ装置101は、合成樹脂からなる基体110と、FPC120とから構成されている。
【0003】
ここで、FPC120の基材の一方側の面(基体110に貼り付ける側の面)には、それぞれ銅箔等の導電パターンからなる第1素子部121及び第2素子部122が、互いに独立した形態で形成されている。また、FPC120は、基体110の側面位置に配置される折り返し部123を備えている。折り返し部123には、図示しない給電部が設けられ、給電部の一端は、アンテナ素子の根元側となる第2素子部122に接続されている。また、第1素子部121と第2素子部122との間には、共振回路を構成するチップ124、125が設けられている。
そして、FPC120は、アンテナ素子を構成する第1素子部121、第2素子部122、チップ124、125が設けられている面側を、基体110の上面111に両面テープなどで貼り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−274665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話などの移動体通信装置におけるアンテナ装置は、当該通信装置内に内蔵される回路基板等の導電部材から遠く離れた位置に配置した方が効率的に無線通信できるという特性をもつ。このため、近年においては、当該アンテナ装置を、内蔵された回路基板から遠く離れた、移動体通信装置のカバーなどの筐体に配置させたいという要請がある。この筐体が矩形体である場合には、筐体の角部が内蔵された回路基板から最も遠くなるので、筐体の角部にアンテナ装置を配置させることが最も好ましい。一方、カバーなどの筐体の角部は、3次元曲面を有する湾曲部で形成されていることが多い。
ここで、「3次元曲面」とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【0006】
しかしながら、図36に示したFPC120を用いて、筐体の3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置するには、以下の問題点があった。
即ち、FPC120は、平板状のフィルム部材であるため、筐体の3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置しようとしても、円滑に配置することができない。つまり、平板状のフィルム部材であるFPCを折り曲げして3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置しようとすると、しわやゆがみが発生してしまうおそれがある。
【0007】
一方、近年においては、MID(Molded Interconnect Device)アンテナやLDS(Laser Direct Structuring)アンテナといった、樹脂を射出成型したものの表面に導体を配置したアンテナも開発されている。これらMIDアンテナやLDSアンテナの基材は射出成型によって形成されるため、3次元形状の自由度が比較的高く、筐体の3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置することも可能である。
【0008】
しかしながら、これらMIDアンテナやLDSアンテナにおいては、樹脂を金型内に流すため、一定の厚さ(MIDアンテナ:約1mm、LDSアンテナ:約0.5mm)が必要であり、小型化の要請にそぐわない。
従って、本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、3次元曲面を有する湾曲部を備えた被実装物の当該湾曲部に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる小型化の要請に対応した導電部材及び導電部材組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る導電部材は、絶縁性のベースフィルムと、該ベースフィルムの一部に配置された導体とを備えた導電部材であって、前記導体が配置されたベースフィルムの部分に、3次元曲面を有する湾曲部分を設けたことを特徴としている。
ここで、3次元曲面とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係る導電部材は、請求項1記載の導電部材において、前記導体が前記ベースフィルムの表面又は裏面或いは両面に配置されていることを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項3に係る導電部材は、請求項1又は2記載の導電部材において、前記湾曲部分の厚みを、前記湾曲部分以外の前記ベースフィルムの部分の厚みよりも薄くしたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明のうち請求項4に係る導電部材は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の導電部材において、前記ベースフィルムに、前記導電部材が配置される被実装物に対する位置決め部及び前記被実装物に対する固定部を設けたことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項5に係る導電部材は、請求項4記載の導電部材において、前記位置決め部が、前記被実装物の突起を跨ぐ形状である跨ぎ部で構成されることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のうち請求項6に係る導電部材は、請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の導電部材において、前記導体に給電部を設けたことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項7に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの表面に配置された導体の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されることを特徴としている。 また、本発明のうち請求項8に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの裏面に配置された導体の端部から折り曲げて形成されることを特徴としている。
【0013】
また、本発明のうち請求項9に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムから突出する凸部で形成され、ばねコンタクトが前記凸部に弾性接触するようになっていることを特徴としている。
また、本発明のうち請求項10に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り曲げて形成され、弾性コンタクトが前記ベースフィルムの一部を両側から挟むように弾性接触することを特徴としている。
【0014】
また、本発明のうち請求項11に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り返して形成されるとともに、前記ベースフィルムの一部を折り返された部分が前記ベースフィルムの他の部分にある支持部により支持され、ばねコンタクトが前記ベースフィルムの一部を折り返された部分に前記支持部が支持する側とは反対側から弾性接触することを特徴としている。
【0015】
更に、本発明のうち請求項12に係る導電部材は、請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載の導電部材において、当該導電部材がアンテナ装置、センサー又はコイルとして利用されること特徴としている。
加えて、本発明のうち請求項13に係る導電部材組立体は、請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載の導電部材と、該導電部材が配置された被実装物とを備えたことを特徴としている。
【0016】
また、本発明のうち請求項14に係る導電部材組立体は、請求項13記載の導電部材組立体において、前記導電部材が、前記被実装物に形成された凹部に対して入り込むように配置されるとともに、前記凹部に入り込むように配置された際に、前記凹部に対して突っ張るような寸法に設定されていることを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項15に係る導電部材組立体は、請求項13記載の導電部材組立体において、前記導電部材が、前記被実装物に形成された突部に対して被さるように配置されるとともに、前記突部に対して被さるように配置された際に、前記突部を挟持するような寸法に設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る導電部材及び導電部材組立体によれば、導体が配置されたベースフィルムの部分に、3次元曲面を有する湾曲部分を設けたので、当該湾曲部分を、3次元曲面を有する湾曲部を備えた被実装物の当該湾曲部の形状に追従させて、湾曲部に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。そして、ベースフィルムは、フィルムであるため、MIDアンテナやLDSアンテナなどの樹脂を成型したものに比べて、薄い。このため、導電部材及び導電部材組立体の小型化の要請に対応することができる。
また、導電部材の一部の形状を取付けのための固定部とすることにより、導電部材を簡単且つ正確に被実装物に取り付けることができる。さらに、被実装物である筐体に必須のリブ等の補強(突起)部を避け、その補強部を位置決め部として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る導電部材の第1実施形態を正面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の表面側を示している。
【図2】図1の導電部材を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図である。
【図3】図2(B)における3−3線に沿う断面図である。
【図4】図1の導電部材を示し、(A)は底面図、(B)は(A)における4B−4B線に沿う断面図である。
【図5】図1の導電部材を底面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の裏面側を示している。
【図6】図1の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)における矢印6Bで示す部分の拡大図である。
【図7】図1の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体の平面図である。
【図8】図7における8−8線に沿う断面図である。
【図9】図7における9−9線に沿う断面図である。
【図10】図7における矢印10で示す部分の拡大図である。
【図11】図8における矢印11で示す部分の拡大図である。
【図12】図9における矢印12で示す部分の拡大図である。
【図13】位置決め部及び固定部の第1変形例を示す断面図である。
【図14】位置決め部の第2変形例である。
【図15】位置決め部及び固定部の第3変形例を示す断面図である。
【図16】第4変形例の位置決め部を有する導電部材を正面斜め上方から見た斜視図である。
【図17】図16び導電部材を被実装物である突起を有する筐体に配置した導電部材組立体を示し、(A)は要部の斜視図、(B)は(A)における17B−17B線に沿う断面図である。
【図18】本発明に係る導電部材の第2実施形態を正面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の表面側を示している。
【図19】図18の導電部材を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図である。
【図20】図19(B)における20−20線に沿う断面図である。
【図21】図18の導電部材を示し、(A)は底面図、(B)は(A)における21B−21B線に沿う断面図である。
【図22】図18の導電部材を底面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の裏面側を示している。
【図23】図18の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)における矢印23Bで示す部分の拡大図である。
【図24】図18の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体の平面図である。
【図25】図24における25−25線に沿う断面図である。
【図26】図24における26−26線に沿う断面図である。
【図27】図24における矢印27で示す部分の拡大図である。
【図28】図25における矢印28で示す部分の拡大図である。
【図29】図26における矢印29で示す部分の拡大図である。
【図30】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法の他の例を示す概略模式図である。
【図31】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法のもう一つ他の例を示す概略模式図である
【図32】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である突部を有する筐体に固定する方法の更に他の例を示す概略模式図である
【図33】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の他の例を示す概略模式図である。
【図34】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部のもう一つ他の例を示す概略模式図である。
【図35】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の更に他の例を示す概略模式図である。
【図36】従来例のアンテナ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る導電部材の第1実施形態を図1乃至図12を参照して説明する。
図1に示す導電部材1は、携帯電話のアンテナ装置として利用されるものであり、図6(A),(B)乃至図12に示すように、携帯電話の筐体30に配置される。
ここで、導電部材1は、ベースフィルム10と、導体20とを備えて構成されている。
ベースフィルム10は、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を想定した場合に、Y軸方向に延びる第1部分11と、X軸方向に延びる第2部分12とを備えている。そして、第1部分11と第2部分12とが交差する角部には、第1部分11と第2部分12とを連結する湾曲部分13が設けられている。ベースフィルム10は、図2(A)に示すように、平面から見て略L字形に形成される。ベースフィルム10は、ポリカーボネート、ABS等の絶縁性の合成樹脂フィルムで製造される。
【0020】
第1部分11は、表面(図1に現れる面)及び裏面(図5に現れる面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みt2(図3参照)を有する部分であり、Y軸方向に沿って延びている。湾曲部分13の厚みt2は、具体的には0.1〜1mm程度である。ここで、「1次元曲面」とは、図1において、第1部分11をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、ZX平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。第1部分11は、Z軸方向の上端から表面側が凸となるように湾曲してZ軸方向の下端に至る。なお、この第1部分11の表面は、後に述べる第1部分11が配置される筐体30の端壁部33の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状で形成される。このため、第1部分11の表面は、この位置決め機能を有する形状であれば、必ずしも、1次元曲面で構成されていなくてもよい。また、第1部分11の裏面も1次元曲面で構成されていなくてもよい。
【0021】
また、第2部分12は、表面(図1に現れる面)及び裏面(図5に現れる面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する部分であり、X軸方向に沿って延びている。第2部分12の厚みは、第1部分11の厚みt2と同等の厚みである。第2部分12のX軸方向に沿う長さは、第1部分11のY軸方向に沿う長さよりも短い。ここで、「1次元曲面」とは、図1において、第2部分12をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、YZ平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。第2部分12は、Z軸方向の上端から表面側が凸となるように湾曲してZ軸方向の下端に至る。なお、この第2部分12の表面は、後に述べる第2部分12が配置される筐体30の側壁部32の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状で形成される。このため、第2部分12の表面は、この位置決め機能を有する形状であれば、必ずしも、1次元曲面で構成されていなくてもよい。また、第2部分12の裏面も1次元曲面で構成されていなくてもよい。
【0022】
また、湾曲部分13は、第1部分11のY軸方向の一端(図2(A)における左端)と第2部分12のX軸方向の一端(図2(A)における下端)とを連結する。湾曲部分13は、表面(図1に現れる面)及び裏面(図5に現れる面)を3次元曲面で構成したほぼ均一の厚みt1(図3参照)を有する部分である。第1部分11の厚みt1は、具体的には厚みt2の30〜90%程度である。ここで、「3次元曲面」とは、互いに直行するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、及びZX平面に湾曲部分13を投影した場合に、いずれの平面においても連続した曲線を有する面を言う。湾曲部分13をXY平面に投影した場合には、図2(A)における平面図で示すように、XY平面において曲線cを有する面が形成される。また、湾曲部分13をYZ平面に投影した場合には、図2(B)における正面図で示すように、YZ平面において曲線cを有する面で形成される。
【0023】
また、湾曲部分13をZX平面に投影した場合には、図2(C)における左側面図で示すように、ZX平面において曲線cを有する面で形成される。なお、湾曲部分13の表面は、後に述べる湾曲部分13が配置される筐体30の湾曲部34の内表面に沿う3次元曲面で構成される必要がある。その一方、湾曲部分13の裏面は、必ずしも3次元曲面で構成される必要はない。また、図3に示すように、湾曲部分13の厚みt1は、湾曲部分13以外のベースフイルム10の部分、具体的には、第1部分11の厚みt2、第2部分12の厚み、及び後に述べる延出部14の厚みt2よりも薄い。
また、ベースフィルム10は、図1に示すように、第1部分11、第2部分12及び湾曲部分13のZ軸方向の上端から内側に延びる延出部14を備えている。延出部14は、平面から見て略L字形に形成される。延出部14の厚みは、図3に示すように、第1部分11の厚みt2と同等のt2である。この延出部14のY軸方向の他端(図2(A)における右端)及び延出部14のY軸方向の一端には、筐体30に設けられた突起35が入り込む2つの貫通孔25が形成されている。これら貫通孔25には、筐体30の突起35が入り込んで押しつぶされ、これにより、ベースフィルム10が筐体30に固定される。
【0024】
また、ベースフィルム10の第1部分11のY軸方向の他端には、図1に示すように、表面側から裏面側に凹む凹部15が形成され、第2部分12のX軸方向の他端にも、表面側から裏面側に凹む凹部15が形成されている。各凹部15には、図11に示すように、筐体30の台座部37に設けられた突起36が入り込む貫通孔25が形成されている。請求項4に規定する「固定部」は、延出部14に形成された貫通孔25及び凹部15に形成された貫通孔25により構成される。
【0025】
次に、導体20は、図1に示すように、ベースフィルム10の表面の一部に配置され、第1導体部21、第2導体部22及び第3導体部23を有する。第1導体部21は、第1部分11の表面のY軸方向の他端(図2(A)の右端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第2導体部22は、第2部分12の表面のX軸方向の他端(図2(A)における上端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第3導体部23は、湾曲部分13の表面において、第1導体部21の一端から第2導体部22の一端に向けて3重に折り返されるように延びる平面状の導電パターンで形成される。
【0026】
ここで、導体20の第1導体部21のY軸方向の他端部及び第2導体部22のX軸方向の他端部には、図1、図2(A),(B),(C),(D)、図4(A),(B)及び図5に示すように、それぞれ給電部24が設けられている。第1導体部21側の給電部24は、第1導体部21のY軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第1導体部21の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。一方、第2導体部22側の給電部24は、第2導体部22のX軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第2導体部22の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。各給電部24には、凹部15に形成された貫通孔25に対応する位置に、貫通孔26が形成されている。
【0027】
次に、導電部材1の製造方法について説明すると、先ず、平板状に形成されたベースフィルム10を用意する。次に、ベースフィルム10の表面に、前述した形状の導電パターンで形成される導体20を印刷する。そして、導体20を印刷したベースフィルム10を真空成形法によって前述した形状に成形する。これにより、導電部材1が製造される。
このように製造された導電部材1は、図6(A),(B)乃至図12に示すように、被実装物である携帯電話の筐体30に配置され、導電部材組立体40が構成される。
【0028】
導電部材1の配置の態様について具体的に説明する。
先ず、導電部材1が配置される筐体30について説明すると、筐体30は、図6(A),(B)、及び図7乃至図9に示すように、矩形状の平板部31、1対の側壁部32、及び1対の端壁部33を備えている。1対の側壁部32は、平板部31の幅方向(Y軸方向)の両側縁から立ち上がり(Z軸方向に)、1対の端壁部33は、平板部31の長手方向(X軸方向)の両端部から立ち上がる(Z軸方向に)。そして、各側壁部32と各端壁部33とが交差する角部には、湾曲部34が設けられている。
【0029】
ここで、各側壁部32は、図9に示すように、内表面(図9において平板部31側の表面)及び外表面(図9において平板部31に対し外側の表面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する。ここで、「1次元曲面」とは、図6(A)において、側壁部32をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、図7に示すように、YZ平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。各側壁部32は、平板部31の幅方向側縁から外側が凸になるように湾曲して立ち上がり、図7に示すX軸方向に延びている。
【0030】
また、各端壁部33は、図8に示すように、内表面(図8において平板部31側の表面)及び外表面(図8において平板部31に対し外側の表面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する。ここで、「1次元曲面」とは、図6(A)において、端壁部33をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、図8に示すように、ZX平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。各端壁部33は、平板部31の長手方向側縁から外側が凸になるように湾曲して立ち上がり、図7に示すY軸方向に延びている。
【0031】
また、各湾曲部34は、図6(A),(B)に示すように、側壁部32と端壁部33とを連結し、内表面(図6(A)に現れる面)及び外表面(図6(A)に現れる面の裏側の面)を3次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する部分である。ここで、「3次元曲面」とは、図6(A)において、XY平面、YZ平面、及びZX平面に湾曲部34を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【0032】
また、各端壁部33の内表面及び各側壁部32の内表面には、図6(B)に示すように、導電部材1を筐体30に配置した際に、ベースフィルム10に形成された凹部15が着座する台座部37がそれぞれ隆起した形状で形成されている。また、各台座部37の表面には、図11に示すように、ベースフィルムの凹部15が着座された際に、凹部15に形成された貫通孔25及び給電部24に形成された貫通孔26に入り込んで押しつぶされる突起36が形成されている。
更に、平板部31の表面には、図6(B)に示すように、導電部材1を筐体30に配置した際に、ベースフィルム10の延出部14に形成された貫通孔25に入り込んで押しつぶされる突起35が形成されている。
【0033】
そして、導電部材1を筐体30に配置するには、図6(A),(B)乃至図12に示すように、ベースフィルム10を構成する第1部分11の表面が端壁部33の内表面に、第2部分12の表面が側壁部32の内表面に、湾曲部分13の表面が湾曲部34の内表面に接するように、導電部材1を裏返して配置する。ベースフィルム10の表面に配置された導体20は、端壁部33の内表面、側壁部32の内表面及び湾曲部34の内表面に接する。
ここで、湾曲部分13の表面は、3次元曲面を有する湾曲部34の内表面に沿う3次元曲面で構成される。このため、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従し、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。
【0034】
そして、第1部分11の表面が、端壁部33の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状となっている。また、第2部分12の表面が側壁部32の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状になっている。このため、導電部材1を筐体30に配置した際に、第1部分11の表面の形状及び第2部分12の表面の形状により、導電部材1を筐体30に対して位置決めすることができる。請求項4に規定する「位置決め部」は、第1部分11の表面の形状及び第2部分12の表面の形状により構成される。
【0035】
また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図6(B)、図11及び図12に示すように、筐体30に形成された台座部37上にベースフィルム10の凹部15及び給電部24が着座する。ここで、前述したように、台座部37は、各端壁部33の内表面及び各側壁部32の内表面から隆起している。このため、筐体30の内部に配置される回路基板(図示せず)と給電部24との間の距離を、給電部24を各端壁部33の内表面及び各側壁部32の内表面上に直接位置させる場合よりも短くすることができる。これにより、回路基板に接続されたコンタクト(図示せず)の初期状態(コンタクトが弾性変形する前の状態)の高さを低くすることができ、コンタクトの給電部に対する安定した接触を確保することができる。コンタクトの初期状態の高さが高いと、使用時に他の物が引っ掛かったり、無駄な変形をしたりするリスクが高い。
【0036】
そして、台座部37に形成された突起36が、図11及び図12に示すように、凹部15の貫通孔25及び給電部24の貫通孔26に入り込んで貫通する。また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図6(B)に示すように、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部24に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。突起36が凹部15の貫通孔25に、突起35が延出部24の貫通孔25にそれぞれ貫通することにより、導電部材1を筐体30に位置決めすることができる。このため、これら貫通孔25も請求項4にいう「位置決め部」を構成する。
【0037】
そして、これら突起35、36を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
このように、本実施形態の導電部材1にあっては、導体20が配置されたベースフィルム20の部分に、3次元曲面を有する湾曲部分13を設けたので、当該湾曲部分13を、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従させて、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。ここで、ベースフィルム10は、フィルムであるため、MIDアンテナやLDSアンテナなどの樹脂を成型したものに比べて、薄い。このため、導電部材1の小型化の要請に対応することができる。
【0038】
また、本実施形態の導電部材1にあっては、湾曲部分13の厚みt1は、湾曲部分13以外のベースフイルム10の部分、具体的には、第1部分11の厚みt2、第2部分12の厚み、及び延出部14の厚みt2よりも薄い。このため、湾曲部分13を湾曲部34に配置する際に、湾曲部分13を湾曲部34の形状に容易に追従させることができる。
また、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する位置決め部(第1部分11の表面の形状、第2部分12の表面の形状、及び貫通孔25)を設けた。このため、導電部材1を筐体30に配置する際に、導電部材1を筐体30に対して容易に位置決めすることができる。また、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する固定部(延出部14に形成された貫通孔25及び凹部15に形成された貫通孔25)を設けた。このため、筐体30に配置された導電部材1を筐体30に対して容易に固定することができる。
【0039】
更に、導電部材1を構成する導体20には、給電部24が設けられている。このため、給電部24から電力を導体20に供給することができる。
そして、給電部24は、ベースフィルム10の表面に配置された導体20の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成される。このため、導電部材1を裏返して配置し、導体20が端壁部33の内表面、側壁部32の内表面及び湾曲部34の内表面に接するようにしても、導体24の裏面側に180°折り返された給電部24が露出する。従って、給電部24に対して電力を供給する部材から給電部24に容易に電力を供給することができる。
【0040】
なお、図1乃至図12に示す導電部材1にあっては、台座部37に形成された突起36を凹部15の貫通孔25に貫通させることにより、導電部材1を筐体30に位置決めする。そして、突起36を押しつぶす(熱かしめする)ことにより、導電部材1を筐体30に固定する。これに対して、図13に示すように、凹部15に貫通孔25を形成せずに、台座部37に形成された突起36aを覆うように凹部15を配置して被覆部15aを形成し、これにより導電部材1の位置決めをしてもよい。そして、さらにこの被覆部15aを加熱しつつ、つぶすことにより、導電部材1を筐体30に対して固定することができる。
【0041】
また、図14に示すように、ベースフィルム10の凹部15に貫通孔25を形成せずに、台座部27に凹み38を形成し、その一方、ベースフィルム10の凹部25を凹み38に沿うように配置して突出部15bを形成してもよい。ベースフィルム10の突出部15bを台座部37の凹み38に沿わして配置することにより、導電部材1を筐体30に対して位置決めすることができる。
更に、図15に示すように、ベースフィルム10の凹部15に貫通孔25を形成せずに、ベースフィルム10の凹部15の側面の一部を台座部37に形成された突起36bの側面に押しあてて導電部材1の位置決めをしてもよい。さらに突起36b押しつぶす(熱かしめする)ことにより、導電部材1を筐体30に対して固定することができる。
【0042】
また、「位置決め部」として、図16及び図17(A),(B)に示すように、筐体30の端壁部33から突出形成された突起33aを跨ぐ形状である跨ぎ部11aで形成してもよい。これにより、導電部材1を筐体3に配置した際に、図17(A),(B)に示すように、跨ぎ部11aが筐体30の突起33aを跨ぎ、導電部材1が筐体30に対して位置決めされる。なお、突起33aは、筐体30の端壁部33に形成されている場合のみならず、側壁部32であったり平面部31に形成されていてもよい。跨ぎ部11aは、ベースフィルム20のうち突起33aを跨ぐ位置に形成されればよい。
【0043】
次に、本発明に係る導電部材の第2実施形態を図18乃至図29を参照して説明する。図18乃至図29において、図1乃至図12に示した構成部材と同一の構成部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図18乃至図29に示す導電部材1は、図1乃至図12に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、導体20の配置及び給電部24の構成が異なっている。
即ち、図1乃至図12に示す導電部材1において、導体20は、ベースフィルム10の表面の一部に配置されている。これに対して、図18乃至図29に示す導電部材1においては、導体20は、ベースフィルム10の裏面の一部に配置されている。
【0044】
具体的に述べると、導体20は、図22に示すように、ベースフィルム10の裏面の一部に配置され、第1導体部21、第2導体部22及び第3導体部23を有する。第1導体部21は、第1部分11の裏面のY軸方向の他端(図19(A)の右端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第2導体部22は、第2部分12の裏面のX軸方向の他端(図19(A)における上端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第3導体部23は、湾曲部分13の裏面において、第1導体部21の一端から第2導体部22の一端に向けて3重に折り返されるように延びる平面状の導電パターンで形成される。
【0045】
また、図1乃至図12に示す導電部材1において、第1導体部21側の給電部24は、第1導体部21のY軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第1導体部21の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。また、第2導体部22側の給電部24は、第2導体部22のX軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第2導体部22の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。
【0046】
これに対して、図18乃至図29に示す導電部材1において、第1導体部21側の給電部24は、図22に示すように、第1導体部21のY軸方向の他端部から凹部15の裏側に折り曲げられることによって形成されている。また、第2導体部22側の給電部24は、図22に示すように、第2導体部22のX軸方向の他端部から凹部15の裏側に折り曲げられることによって形成されている。
【0047】
そして、図18に示す導電部材1を筐体30に配置するには、図23(A),(B)乃至図29に示すように、ベースフィルム10を構成する第1部分11の表面が端壁部33の内表面に、第2部分12の表面が側壁部32の内表面に、湾曲部分13の表面が湾曲部34の内表面に接するように、導電部材1を裏返して配置する。ベースフィルム10の裏面に配置された導体20は、露出される。
ここで、湾曲部分13の表面は、図1乃至図12に示す導電部材1の湾曲部分13の表面と同様に、3次元曲面を有する湾曲部34の内表面に沿う3次元曲面で構成される。このため、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従し、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。
【0048】
また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図23(B)、図28及び図29に示すように、筐体30に形成された台座部37上にベースフィルム10の凹部15及び給電部24が着座する。また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図23(B)に示すように、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部14に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。
【0049】
そして、突起35を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
このように、本実施形態の導電部材1にあっても、導体20が配置されたベースフィルム20の部分に、3次元曲面を有する湾曲部分13を設けたので、当該湾曲部分13を、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従させて、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。ここで、ベースフィルム10は、フィルムであるため、MIDアンテナやLDSアンテナなどの樹脂を成型したものに比べて、薄い。このため、導電部材1の小型化の要請に対応することができる。
【0050】
また、本実施形態の導電部材1にあっても、図20に示すように、湾曲部分13の厚みt1は、湾曲部分13以外のベースフイルム10の部分、具体的には、第1部分11の厚みt2、第2部分12の厚み、及び延出部14の厚みt2よりも薄い。このため、湾曲部分13を湾曲部34に配置する際に、湾曲部分13を湾曲部34の形状に容易に追従させることができる。
【0051】
また、本実施形態の導電部材1にあっても、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する位置決め部(第1部分11の表面の形状、第2部分12の表面の形状、及び貫通孔25)を設けた。このため、導電部材1を筐体30に配置する際に、導電部材1を筐体30に対して容易に位置決めすることができる。また、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する固定部(延出部14に形成された貫通孔25)を設けた。このため、筐体30に配置された導電部材1を筐体30に対して容易に固定することができる。
【0052】
更に、導電部材1を構成する導体20にも、給電部24が設けられている。このため、給電部24から電力を導体20に供給することができる。
そして、給電部24は、ベースフィルム10の裏面に配置された導体20の端部から折り曲げて形成される。このため、導電部材1を裏返して配置し、導体20が端壁部33の内表面、側壁部32の内表面及び湾曲部34の内表面に接するようにしても、給電部24が露出する。従って、給電部24に対して電力を供給する部材から給電部24に容易に電力を供給することができる。
【0053】
次に、図30を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法の他の例を説明する。
図1に示す導電部材1については、前述したように、導電部材1を裏返して筐体30に配置した際に、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部24に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。突起36が凹部15の貫通孔25に、突起35が延出部24の貫通孔25にそれぞれ貫通することにより、導電部材1を筐体30に位置決めする。そして、これら突起35、36を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
また、図18に示す導電部材1は、前述したように、導電部材1を裏返して筐体30に配置した際に、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部14に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。そして、突起35を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
【0054】
これに対して、図30に示す導電部材51は、図1又は図18に示す導電部材1と同様の構成を有するが、被実装物である筐体60に形成された凹部61に対して入り込むように配置されるとともに、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されている。そして、導電部材51が筐体60の凹部61内に配置されると、導電部材51が凹部61に対して突っ張るので、導電部材51が凹部61に隙間なく嵌り、これにより導電部材51が筐体60に固定される。
ここで、従来の図36に示すFPC120を筐体60の凹部61に嵌め込む場合には、FPC120を折り曲げるためのスリットが必要となり、構造的に剛性が小さくなってしまうが、導電部材61の場合はそのおそれはない。
【0055】
また、導電部材51は、MIDアンテナやLDSアンテナと比較して厚みが薄いので、弾性変形範囲を広くすることができる。
ここで、図30に示す導電部材51の寸法について述べる。
先ず、筐体60は、一側に凹部61を有し、底部62a及び底部62aの両端から底部62aに対して斜め下方に傾斜角αで延びる一対の傾斜部62bを備えている。そして、筐体60は、各傾斜部62bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部62cを備えている。そして、凹部61の幅である一対の垂下部62cの内壁面間の幅がL1で設定されている。
【0056】
一方、導電部材51において、ベースフィルム52が、底部52a、底部52aの両端から底部52aに対して斜め下方に傾斜角βで延びる一対の傾斜部52b、及び各傾斜部52bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部52cを備えている。そして、導電部材51の幅である一対の垂下部52cの外壁面間の幅がI1で設定されている。
そして、導電部材51の幅I1が凹部61の幅L1に対して、I1>L1になるように設定されている。これにより、導電部材51は、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されることになる。
なお、図30に示す筐体60における各傾斜部62bの傾斜角αと、導電部材51における各傾斜部52bの傾斜角βとは、同一であっても異なっていてもかまわないが、β>αとすれば、I1>L1でなくても、導電部材51を凹部61に対して突っ張るような寸法に設定することができる。
【0057】
次に、図31を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法のもう一つ他の例を説明する。
図31に示す導電部材51は、図1又は図18に示す導電部材1と同様の構成を有するが、図30に示す導電部材51と同様に、被実装物である筐体60に形成された凹部61に対して入り込むように配置されるとともに、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されている。そして、導電部材51が筐体60の凹部61内に配置されると、導電部材51が凹部61に対して突っ張るので、導電部材51が凹部61に隙間なく嵌り、これにより導電部材51が筐体60に固定される。
【0058】
ここで、図31に示す導電部材51は、図30に示す導電部材51と異なる形状、寸法に設定されている。
先ず、筐体60は、一側に凹部61を有し、底部62a及び底部62aの両端から底部62aに対して湾曲する一対の湾曲部62dを備えている。そして、筐体60は、各湾曲部62dの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部62cを備えている。そして、各湾曲部62dの内壁面の曲率半径がRに設定される。
【0059】
一方、導電部材51において、ベースフィルム52が、底部52a、底部52aの両端から底部62aに対して湾曲する湾曲部52d、及び各湾曲部52dの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部52cを備えている。そして、各湾曲部52dの外壁面の曲率半径がrに設定される。
そして、導電部材51における各湾曲部52dの曲率半径rが筐体60における各湾曲部62dの曲率半径Rに対して、r>Rになるように設定されている。これにより、導電部材51は、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されることになる。
【0060】
次に、図32を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である突部を有する筐体に固定する方法の他の例を説明する。
図32に示す導電部材51は、図1又は図18に示す導電部材1と同様の構成を有するが、被実装物である筐体60に形成された突部63に対して被さるように配置されるとともに、突部63に被さるように配置された際に、突部63を挟持するような寸法に設定されている。そして、導電部材51が筐体60の突部63に対して被さるように配置されると、導電部材51が突部63を挟持するので、導電部材51が突部63に隙間なく嵌り、これにより導電部材51が筐体60に固定される。
【0061】
ここで、図32に示す導電部材51の寸法について述べる。
先ず、筐体60は、底部64a及び底部64aの両端から底部64aに対して斜め下方に傾斜角αで延びる一対の傾斜部64bを備えている。そして、筐体60は、各傾斜部64bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部64cを備えている。そして、筐体60の幅である一対の垂下部64cの外壁面間の幅がL2で設定されている。
【0062】
一方、導電部材51において、ベースフィルム52が、底部52a、底部52aの両端から底部52aに対して斜め下方に傾斜角βで延びる一対の傾斜部52b、及び各傾斜部52bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部52cを備えている。そして、一対の垂下部54cの内壁面間の幅がI2で設定されている。
そして、一対の垂下部54cの内壁面間の幅I2が筐体60の幅L2に対して、I2<L2になるように設定されている。これにより、導電部材51は、突部63に被さるように配置された際に、突部63を挟持するような寸法に設定されることになる。
【0063】
なお、図30に示す筐体60における各傾斜部62bの傾斜角αと、導電部材51における各傾斜部52bの傾斜角βとは、同一であっても異なっていてもかまわないが、β<αとすれば、I2<L2でなくても、導電部材51を突部63に対して挟持するような寸法に設定することができる。
また、図31と同様に導電部材51に曲率半径rを有する湾曲部があり、筐体60に曲率半径Rの湾曲部がある場合、r<Rとすることにより、導電部材51を、突部63に被さるように配置した際に、突部63を挟持するような寸法に設定できる。
【0064】
次に、図33を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の他の例を説明する。
図33に示す導電部材71は、図1又は図18に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、給電部の構造が異なっている。
即ち、図33に示す導電部材71において、給電部73は、ベースフィルム72から突出する凸部で形成され、ばねコンタクトC1が給電部73の凸部に弾性接触するようになっている。筐体80の内部には、回路基板PCBが図示しない部材によって支持されており、その回路基板PCBには、金属製のばねコンタクトC1が接続されている。ばねコンタクトC1が給電部73に弾性接触することにより、回路基板PCBと導電部材71とが電気的に導通することになる。
【0065】
ここで、給電部73は、ベースフィルム72から回路基板PCB側に突出しているので、回路基板PCBと給電部73との間の距離を、給電部73を筐体80の内壁面上に直接位置させる場合よりも短くすることができる。これにより、回路基板に接続されたばねコンタクトC1の初期状態(ばねコンタクトC1が弾性変形する前の状態)の高さを低くすることができ、ばねコンタクトC1の給電部73に対する安定した接触を確保することができる。ばねコンタクトC1の初期状態の高さが高いと、使用時に他の物が引っ掛かったり、無駄な変形をしたりするリスクが高い。
【0066】
また、図34を参照して図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部のもう一つ他の例を説明する。
図34に示す導電部材71は、図1又は図18に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、給電部の構造が異なっている。
即ち、図34に示す導電部材71において、給電部73が、ベースフィルム72の一部(本例にあっては一端部)を折り曲げて形成され、弾性コンタクトC2が給電部73の両側から挟むように弾性接触するようになっている。給電部73は、ベースフィルム72に対して垂直方向下側に向かって折り曲げられる。筐体80の内部には、回路基板PCBが図示しない部材によって支持されており、その回路基板PCBには、金属製の弾性コンタクトC2が接続されている。弾性コンタクトC2が給電部73の両側から挟むように弾性接触することにより、回路基板PCBと導電部材71とが電気的に導通することになる。
【0067】
ここで、給電部73を、ベースフィルム72の一部を折り曲げて形成した場合においては、給電部73が片持ち梁状になっている。このため、弾性コンタクトC2を給電部73の片側に接触するようにすると、給電部73が変形し、安定した接触が得られ難い。これに対して、弾性コンタクトC2が給電部73の両側から挟むように弾性接触することにより、安定した接触を容易に得ることができる。
【0068】
次に、図35を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の更に他の例を説明する。
図35に示す導電部材71は、図1又は図18に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、給電部の構造が異なっている。
即ち、図35に示す導電部材71において、給電部73は、ベースフィルム72の一部(一端部)を折り返して形成される。給電部73は、後述する回路基板PCBと平行となるように折り返される。そして、ベースフィルム72の一部を折り返された給電部73は、ベースフィルム72の他の部分にある支持部74により支持されるとともに、ばねコンタクトC3が給電部73に支持部74が支持する側とは反対側から弾性接触するようになっている。筐体80の内部には、回路基板PCBが図示しない部材によって支持されており、その回路基板PCBには、金属製のばねコンタクトC3が接続されている。ばねコンタクトC3が給電部73に弾性接触することにより、回路基板PCBと導電部材71とが電気的に導通することになる。
【0069】
ここで、給電部73は、ベースフィルム72の一部(一端部)を回路基板PCBと平行となるよう折り返して形成されるので、回路基板PCBに沿う方向にばねコンタクトC3との接触するポイントを広くとることができる。このため、ばねコンタクトC3のアセンブリを容易に行うことができる。
また、給電部73は、ベースフィルム72の他の部分にある支持部74により、ばねコンタクトC3が接触する側と反対側から支持されるので、給電部73は両端支持構造となる。このため、ばねコンタクトC3が接触した際に、安定した接触を確保することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、導電部材1において、導体20が配置されるベースフィルム10の部分に湾曲部分13があればよく、第1部分11や第2部分12は必ずしも必要はない。
また、導電部材1において、導体20はベースフィルム10の表面あるいは裏面に配置されている必要は必ずしもなく、ベースフィルム10の内部に埋設するようにしてもよい。また、導体20は、ベースフィルム20の表面又は裏面のみならず、ベースフィルム20の両面に配置するようにしてもよい。また、導体20をベースフィルム10の表面又は裏面或いは両面に配置したものを積層して導電部材1を構成し、導体20が導電部材1の内部に配置するようにしてもよい。
【0071】
更に、導電部材1を真空成形法によって製造するようにしてあるが、導電部材1の製造方法は、真空成形法に限られない。
また、導電部材1において、湾曲部分13の厚みt1を、湾曲部分13以外のベースフィルム10の部分の厚みt2よりも薄くしてあるが、湾曲部分13の厚みt1を、湾曲部分13以外のベースフィルム10の部分の厚みt2と同等にしたりあるいは当該厚みt2よりも厚くしても良い。
更に、本実施形態において、導電部材1を携帯電話のアンテナ装置として利用する例を説明したが、アンテナ装置として利用する場合、無線通信を行うものであれば携帯電話に限らず、PHSや他の通信機器に利用されてもよい。
【0072】
また、導電部材1はアンテナ装置以外にも、センサーやコイルとして利用されてもよい。
また、導電部材1を、筐体30に固定する方法は、前述した場合に限られず、例えば、筐体30側に爪又はラッチを設け、導電部材1を当該爪又はラッチによって係止することによって導電部材1を、筐体30に固定してもよい。また、導電部材1を、筐体30に対して、ねじ止め、両面テープ、接着剤、あるいは半田付けによって固定してもよい。
また、導電部材1を、筐体30に固定するに際し、予め導電部材1を製造し、その製造された導電部材1を、筐体30を成形する金型内に配置し、樹脂を射出成形することによって筐体30を導電部材1と一体に成形してもよい。いわゆるインサート成形である。
【0073】
また、導電部材51を筐体60に形成された凹部61に固定する場合には、前述したI1>L1とする場合、r>Rとする場合、及びβ>αとする場合に限らず、導電部材51を凹部61に入り込むように配置した際に、導電部材51が凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されていればよい。
また、導電部材51を筐体60に形成された突部63に固定する場合には、前述したI2<L2とする場合、r<Rとする場合、及びβ<αとする場合に限らず、導電部材51を突部63に被せるように配置した際に、導電部材51が突部63を挟持するような寸法に設定されていればよい。
【0074】
また、導電部材1、51の給電部を、回路基板に接続するに際しては、給電部を金属導体に圧着あるいは半田付けで接続するようにしてもよい。例えば、回路基板に接続されたケーブルの一端を金属バレル(金属導体)の一端に圧着接続し、給電部を金属バレル(金属導体)の他端に半田付けによって接続する。あるいは、回路基板に接続されたバスバー(金属導体)を給電部に圧着接続してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 導電部材
10 ベースフィルム
11 第1部分(位置決め部)
11a 跨ぎ部
12 第2部分(位置決め部)
13 湾曲部分
20 導体
24 給電部
25 貫通孔(位置決め部、固定部)
30 筐体(被実装物)
33a 突起
40 導電部材組立体
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器におけるアンテナ装置などの導電部材及び導電部材組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器、例えば、携帯電話などの移動体通信装置においては、無線通信を行うためにアンテナ装置が内蔵されている。
このアンテナ装置として、従来、例えば、図36に示すものが知られている(特許文献1参照)。
図36に示すアンテナ装置101は、合成樹脂からなる基体110と、FPC120とから構成されている。
【0003】
ここで、FPC120の基材の一方側の面(基体110に貼り付ける側の面)には、それぞれ銅箔等の導電パターンからなる第1素子部121及び第2素子部122が、互いに独立した形態で形成されている。また、FPC120は、基体110の側面位置に配置される折り返し部123を備えている。折り返し部123には、図示しない給電部が設けられ、給電部の一端は、アンテナ素子の根元側となる第2素子部122に接続されている。また、第1素子部121と第2素子部122との間には、共振回路を構成するチップ124、125が設けられている。
そして、FPC120は、アンテナ素子を構成する第1素子部121、第2素子部122、チップ124、125が設けられている面側を、基体110の上面111に両面テープなどで貼り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−274665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話などの移動体通信装置におけるアンテナ装置は、当該通信装置内に内蔵される回路基板等の導電部材から遠く離れた位置に配置した方が効率的に無線通信できるという特性をもつ。このため、近年においては、当該アンテナ装置を、内蔵された回路基板から遠く離れた、移動体通信装置のカバーなどの筐体に配置させたいという要請がある。この筐体が矩形体である場合には、筐体の角部が内蔵された回路基板から最も遠くなるので、筐体の角部にアンテナ装置を配置させることが最も好ましい。一方、カバーなどの筐体の角部は、3次元曲面を有する湾曲部で形成されていることが多い。
ここで、「3次元曲面」とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【0006】
しかしながら、図36に示したFPC120を用いて、筐体の3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置するには、以下の問題点があった。
即ち、FPC120は、平板状のフィルム部材であるため、筐体の3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置しようとしても、円滑に配置することができない。つまり、平板状のフィルム部材であるFPCを折り曲げして3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置しようとすると、しわやゆがみが発生してしまうおそれがある。
【0007】
一方、近年においては、MID(Molded Interconnect Device)アンテナやLDS(Laser Direct Structuring)アンテナといった、樹脂を射出成型したものの表面に導体を配置したアンテナも開発されている。これらMIDアンテナやLDSアンテナの基材は射出成型によって形成されるため、3次元形状の自由度が比較的高く、筐体の3次元曲面を有する湾曲部に沿うように配置することも可能である。
【0008】
しかしながら、これらMIDアンテナやLDSアンテナにおいては、樹脂を金型内に流すため、一定の厚さ(MIDアンテナ:約1mm、LDSアンテナ:約0.5mm)が必要であり、小型化の要請にそぐわない。
従って、本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、3次元曲面を有する湾曲部を備えた被実装物の当該湾曲部に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる小型化の要請に対応した導電部材及び導電部材組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る導電部材は、絶縁性のベースフィルムと、該ベースフィルムの一部に配置された導体とを備えた導電部材であって、前記導体が配置されたベースフィルムの部分に、3次元曲面を有する湾曲部分を設けたことを特徴としている。
ここで、3次元曲面とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係る導電部材は、請求項1記載の導電部材において、前記導体が前記ベースフィルムの表面又は裏面或いは両面に配置されていることを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項3に係る導電部材は、請求項1又は2記載の導電部材において、前記湾曲部分の厚みを、前記湾曲部分以外の前記ベースフィルムの部分の厚みよりも薄くしたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明のうち請求項4に係る導電部材は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の導電部材において、前記ベースフィルムに、前記導電部材が配置される被実装物に対する位置決め部及び前記被実装物に対する固定部を設けたことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項5に係る導電部材は、請求項4記載の導電部材において、前記位置決め部が、前記被実装物の突起を跨ぐ形状である跨ぎ部で構成されることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のうち請求項6に係る導電部材は、請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の導電部材において、前記導体に給電部を設けたことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項7に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの表面に配置された導体の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されることを特徴としている。 また、本発明のうち請求項8に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの裏面に配置された導体の端部から折り曲げて形成されることを特徴としている。
【0013】
また、本発明のうち請求項9に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムから突出する凸部で形成され、ばねコンタクトが前記凸部に弾性接触するようになっていることを特徴としている。
また、本発明のうち請求項10に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り曲げて形成され、弾性コンタクトが前記ベースフィルムの一部を両側から挟むように弾性接触することを特徴としている。
【0014】
また、本発明のうち請求項11に係る導電部材は、請求項6記載の導電部材において、前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り返して形成されるとともに、前記ベースフィルムの一部を折り返された部分が前記ベースフィルムの他の部分にある支持部により支持され、ばねコンタクトが前記ベースフィルムの一部を折り返された部分に前記支持部が支持する側とは反対側から弾性接触することを特徴としている。
【0015】
更に、本発明のうち請求項12に係る導電部材は、請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載の導電部材において、当該導電部材がアンテナ装置、センサー又はコイルとして利用されること特徴としている。
加えて、本発明のうち請求項13に係る導電部材組立体は、請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載の導電部材と、該導電部材が配置された被実装物とを備えたことを特徴としている。
【0016】
また、本発明のうち請求項14に係る導電部材組立体は、請求項13記載の導電部材組立体において、前記導電部材が、前記被実装物に形成された凹部に対して入り込むように配置されるとともに、前記凹部に入り込むように配置された際に、前記凹部に対して突っ張るような寸法に設定されていることを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項15に係る導電部材組立体は、請求項13記載の導電部材組立体において、前記導電部材が、前記被実装物に形成された突部に対して被さるように配置されるとともに、前記突部に対して被さるように配置された際に、前記突部を挟持するような寸法に設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る導電部材及び導電部材組立体によれば、導体が配置されたベースフィルムの部分に、3次元曲面を有する湾曲部分を設けたので、当該湾曲部分を、3次元曲面を有する湾曲部を備えた被実装物の当該湾曲部の形状に追従させて、湾曲部に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。そして、ベースフィルムは、フィルムであるため、MIDアンテナやLDSアンテナなどの樹脂を成型したものに比べて、薄い。このため、導電部材及び導電部材組立体の小型化の要請に対応することができる。
また、導電部材の一部の形状を取付けのための固定部とすることにより、導電部材を簡単且つ正確に被実装物に取り付けることができる。さらに、被実装物である筐体に必須のリブ等の補強(突起)部を避け、その補強部を位置決め部として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る導電部材の第1実施形態を正面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の表面側を示している。
【図2】図1の導電部材を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図である。
【図3】図2(B)における3−3線に沿う断面図である。
【図4】図1の導電部材を示し、(A)は底面図、(B)は(A)における4B−4B線に沿う断面図である。
【図5】図1の導電部材を底面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の裏面側を示している。
【図6】図1の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)における矢印6Bで示す部分の拡大図である。
【図7】図1の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体の平面図である。
【図8】図7における8−8線に沿う断面図である。
【図9】図7における9−9線に沿う断面図である。
【図10】図7における矢印10で示す部分の拡大図である。
【図11】図8における矢印11で示す部分の拡大図である。
【図12】図9における矢印12で示す部分の拡大図である。
【図13】位置決め部及び固定部の第1変形例を示す断面図である。
【図14】位置決め部の第2変形例である。
【図15】位置決め部及び固定部の第3変形例を示す断面図である。
【図16】第4変形例の位置決め部を有する導電部材を正面斜め上方から見た斜視図である。
【図17】図16び導電部材を被実装物である突起を有する筐体に配置した導電部材組立体を示し、(A)は要部の斜視図、(B)は(A)における17B−17B線に沿う断面図である。
【図18】本発明に係る導電部材の第2実施形態を正面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の表面側を示している。
【図19】図18の導電部材を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図である。
【図20】図19(B)における20−20線に沿う断面図である。
【図21】図18の導電部材を示し、(A)は底面図、(B)は(A)における21B−21B線に沿う断面図である。
【図22】図18の導電部材を底面斜め上方から見た斜視図であり、導電部材の裏面側を示している。
【図23】図18の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)における矢印23Bで示す部分の拡大図である。
【図24】図18の導電部材を被実装物である筐体に配置した導電部材組立体の平面図である。
【図25】図24における25−25線に沿う断面図である。
【図26】図24における26−26線に沿う断面図である。
【図27】図24における矢印27で示す部分の拡大図である。
【図28】図25における矢印28で示す部分の拡大図である。
【図29】図26における矢印29で示す部分の拡大図である。
【図30】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法の他の例を示す概略模式図である。
【図31】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法のもう一つ他の例を示す概略模式図である
【図32】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である突部を有する筐体に固定する方法の更に他の例を示す概略模式図である
【図33】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の他の例を示す概略模式図である。
【図34】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部のもう一つ他の例を示す概略模式図である。
【図35】図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の更に他の例を示す概略模式図である。
【図36】従来例のアンテナ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る導電部材の第1実施形態を図1乃至図12を参照して説明する。
図1に示す導電部材1は、携帯電話のアンテナ装置として利用されるものであり、図6(A),(B)乃至図12に示すように、携帯電話の筐体30に配置される。
ここで、導電部材1は、ベースフィルム10と、導体20とを備えて構成されている。
ベースフィルム10は、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を想定した場合に、Y軸方向に延びる第1部分11と、X軸方向に延びる第2部分12とを備えている。そして、第1部分11と第2部分12とが交差する角部には、第1部分11と第2部分12とを連結する湾曲部分13が設けられている。ベースフィルム10は、図2(A)に示すように、平面から見て略L字形に形成される。ベースフィルム10は、ポリカーボネート、ABS等の絶縁性の合成樹脂フィルムで製造される。
【0020】
第1部分11は、表面(図1に現れる面)及び裏面(図5に現れる面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みt2(図3参照)を有する部分であり、Y軸方向に沿って延びている。湾曲部分13の厚みt2は、具体的には0.1〜1mm程度である。ここで、「1次元曲面」とは、図1において、第1部分11をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、ZX平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。第1部分11は、Z軸方向の上端から表面側が凸となるように湾曲してZ軸方向の下端に至る。なお、この第1部分11の表面は、後に述べる第1部分11が配置される筐体30の端壁部33の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状で形成される。このため、第1部分11の表面は、この位置決め機能を有する形状であれば、必ずしも、1次元曲面で構成されていなくてもよい。また、第1部分11の裏面も1次元曲面で構成されていなくてもよい。
【0021】
また、第2部分12は、表面(図1に現れる面)及び裏面(図5に現れる面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する部分であり、X軸方向に沿って延びている。第2部分12の厚みは、第1部分11の厚みt2と同等の厚みである。第2部分12のX軸方向に沿う長さは、第1部分11のY軸方向に沿う長さよりも短い。ここで、「1次元曲面」とは、図1において、第2部分12をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、YZ平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。第2部分12は、Z軸方向の上端から表面側が凸となるように湾曲してZ軸方向の下端に至る。なお、この第2部分12の表面は、後に述べる第2部分12が配置される筐体30の側壁部32の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状で形成される。このため、第2部分12の表面は、この位置決め機能を有する形状であれば、必ずしも、1次元曲面で構成されていなくてもよい。また、第2部分12の裏面も1次元曲面で構成されていなくてもよい。
【0022】
また、湾曲部分13は、第1部分11のY軸方向の一端(図2(A)における左端)と第2部分12のX軸方向の一端(図2(A)における下端)とを連結する。湾曲部分13は、表面(図1に現れる面)及び裏面(図5に現れる面)を3次元曲面で構成したほぼ均一の厚みt1(図3参照)を有する部分である。第1部分11の厚みt1は、具体的には厚みt2の30〜90%程度である。ここで、「3次元曲面」とは、互いに直行するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、及びZX平面に湾曲部分13を投影した場合に、いずれの平面においても連続した曲線を有する面を言う。湾曲部分13をXY平面に投影した場合には、図2(A)における平面図で示すように、XY平面において曲線cを有する面が形成される。また、湾曲部分13をYZ平面に投影した場合には、図2(B)における正面図で示すように、YZ平面において曲線cを有する面で形成される。
【0023】
また、湾曲部分13をZX平面に投影した場合には、図2(C)における左側面図で示すように、ZX平面において曲線cを有する面で形成される。なお、湾曲部分13の表面は、後に述べる湾曲部分13が配置される筐体30の湾曲部34の内表面に沿う3次元曲面で構成される必要がある。その一方、湾曲部分13の裏面は、必ずしも3次元曲面で構成される必要はない。また、図3に示すように、湾曲部分13の厚みt1は、湾曲部分13以外のベースフイルム10の部分、具体的には、第1部分11の厚みt2、第2部分12の厚み、及び後に述べる延出部14の厚みt2よりも薄い。
また、ベースフィルム10は、図1に示すように、第1部分11、第2部分12及び湾曲部分13のZ軸方向の上端から内側に延びる延出部14を備えている。延出部14は、平面から見て略L字形に形成される。延出部14の厚みは、図3に示すように、第1部分11の厚みt2と同等のt2である。この延出部14のY軸方向の他端(図2(A)における右端)及び延出部14のY軸方向の一端には、筐体30に設けられた突起35が入り込む2つの貫通孔25が形成されている。これら貫通孔25には、筐体30の突起35が入り込んで押しつぶされ、これにより、ベースフィルム10が筐体30に固定される。
【0024】
また、ベースフィルム10の第1部分11のY軸方向の他端には、図1に示すように、表面側から裏面側に凹む凹部15が形成され、第2部分12のX軸方向の他端にも、表面側から裏面側に凹む凹部15が形成されている。各凹部15には、図11に示すように、筐体30の台座部37に設けられた突起36が入り込む貫通孔25が形成されている。請求項4に規定する「固定部」は、延出部14に形成された貫通孔25及び凹部15に形成された貫通孔25により構成される。
【0025】
次に、導体20は、図1に示すように、ベースフィルム10の表面の一部に配置され、第1導体部21、第2導体部22及び第3導体部23を有する。第1導体部21は、第1部分11の表面のY軸方向の他端(図2(A)の右端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第2導体部22は、第2部分12の表面のX軸方向の他端(図2(A)における上端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第3導体部23は、湾曲部分13の表面において、第1導体部21の一端から第2導体部22の一端に向けて3重に折り返されるように延びる平面状の導電パターンで形成される。
【0026】
ここで、導体20の第1導体部21のY軸方向の他端部及び第2導体部22のX軸方向の他端部には、図1、図2(A),(B),(C),(D)、図4(A),(B)及び図5に示すように、それぞれ給電部24が設けられている。第1導体部21側の給電部24は、第1導体部21のY軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第1導体部21の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。一方、第2導体部22側の給電部24は、第2導体部22のX軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第2導体部22の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。各給電部24には、凹部15に形成された貫通孔25に対応する位置に、貫通孔26が形成されている。
【0027】
次に、導電部材1の製造方法について説明すると、先ず、平板状に形成されたベースフィルム10を用意する。次に、ベースフィルム10の表面に、前述した形状の導電パターンで形成される導体20を印刷する。そして、導体20を印刷したベースフィルム10を真空成形法によって前述した形状に成形する。これにより、導電部材1が製造される。
このように製造された導電部材1は、図6(A),(B)乃至図12に示すように、被実装物である携帯電話の筐体30に配置され、導電部材組立体40が構成される。
【0028】
導電部材1の配置の態様について具体的に説明する。
先ず、導電部材1が配置される筐体30について説明すると、筐体30は、図6(A),(B)、及び図7乃至図9に示すように、矩形状の平板部31、1対の側壁部32、及び1対の端壁部33を備えている。1対の側壁部32は、平板部31の幅方向(Y軸方向)の両側縁から立ち上がり(Z軸方向に)、1対の端壁部33は、平板部31の長手方向(X軸方向)の両端部から立ち上がる(Z軸方向に)。そして、各側壁部32と各端壁部33とが交差する角部には、湾曲部34が設けられている。
【0029】
ここで、各側壁部32は、図9に示すように、内表面(図9において平板部31側の表面)及び外表面(図9において平板部31に対し外側の表面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する。ここで、「1次元曲面」とは、図6(A)において、側壁部32をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、図7に示すように、YZ平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。各側壁部32は、平板部31の幅方向側縁から外側が凸になるように湾曲して立ち上がり、図7に示すX軸方向に延びている。
【0030】
また、各端壁部33は、図8に示すように、内表面(図8において平板部31側の表面)及び外表面(図8において平板部31に対し外側の表面)を1次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する。ここで、「1次元曲面」とは、図6(A)において、端壁部33をXY平面、YZ方面、及びZX平面に投影した場合に、図8に示すように、ZX平面等のいずれかの平面のみに曲線を有する面をいう。各端壁部33は、平板部31の長手方向側縁から外側が凸になるように湾曲して立ち上がり、図7に示すY軸方向に延びている。
【0031】
また、各湾曲部34は、図6(A),(B)に示すように、側壁部32と端壁部33とを連結し、内表面(図6(A)に現れる面)及び外表面(図6(A)に現れる面の裏側の面)を3次元曲面で構成したほぼ均一の厚みを有する部分である。ここで、「3次元曲面」とは、図6(A)において、XY平面、YZ平面、及びZX平面に湾曲部34を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【0032】
また、各端壁部33の内表面及び各側壁部32の内表面には、図6(B)に示すように、導電部材1を筐体30に配置した際に、ベースフィルム10に形成された凹部15が着座する台座部37がそれぞれ隆起した形状で形成されている。また、各台座部37の表面には、図11に示すように、ベースフィルムの凹部15が着座された際に、凹部15に形成された貫通孔25及び給電部24に形成された貫通孔26に入り込んで押しつぶされる突起36が形成されている。
更に、平板部31の表面には、図6(B)に示すように、導電部材1を筐体30に配置した際に、ベースフィルム10の延出部14に形成された貫通孔25に入り込んで押しつぶされる突起35が形成されている。
【0033】
そして、導電部材1を筐体30に配置するには、図6(A),(B)乃至図12に示すように、ベースフィルム10を構成する第1部分11の表面が端壁部33の内表面に、第2部分12の表面が側壁部32の内表面に、湾曲部分13の表面が湾曲部34の内表面に接するように、導電部材1を裏返して配置する。ベースフィルム10の表面に配置された導体20は、端壁部33の内表面、側壁部32の内表面及び湾曲部34の内表面に接する。
ここで、湾曲部分13の表面は、3次元曲面を有する湾曲部34の内表面に沿う3次元曲面で構成される。このため、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従し、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。
【0034】
そして、第1部分11の表面が、端壁部33の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状となっている。また、第2部分12の表面が側壁部32の内表面に沿い、導電部材1を筐体30に対して位置決めできる形状になっている。このため、導電部材1を筐体30に配置した際に、第1部分11の表面の形状及び第2部分12の表面の形状により、導電部材1を筐体30に対して位置決めすることができる。請求項4に規定する「位置決め部」は、第1部分11の表面の形状及び第2部分12の表面の形状により構成される。
【0035】
また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図6(B)、図11及び図12に示すように、筐体30に形成された台座部37上にベースフィルム10の凹部15及び給電部24が着座する。ここで、前述したように、台座部37は、各端壁部33の内表面及び各側壁部32の内表面から隆起している。このため、筐体30の内部に配置される回路基板(図示せず)と給電部24との間の距離を、給電部24を各端壁部33の内表面及び各側壁部32の内表面上に直接位置させる場合よりも短くすることができる。これにより、回路基板に接続されたコンタクト(図示せず)の初期状態(コンタクトが弾性変形する前の状態)の高さを低くすることができ、コンタクトの給電部に対する安定した接触を確保することができる。コンタクトの初期状態の高さが高いと、使用時に他の物が引っ掛かったり、無駄な変形をしたりするリスクが高い。
【0036】
そして、台座部37に形成された突起36が、図11及び図12に示すように、凹部15の貫通孔25及び給電部24の貫通孔26に入り込んで貫通する。また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図6(B)に示すように、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部24に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。突起36が凹部15の貫通孔25に、突起35が延出部24の貫通孔25にそれぞれ貫通することにより、導電部材1を筐体30に位置決めすることができる。このため、これら貫通孔25も請求項4にいう「位置決め部」を構成する。
【0037】
そして、これら突起35、36を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
このように、本実施形態の導電部材1にあっては、導体20が配置されたベースフィルム20の部分に、3次元曲面を有する湾曲部分13を設けたので、当該湾曲部分13を、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従させて、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。ここで、ベースフィルム10は、フィルムであるため、MIDアンテナやLDSアンテナなどの樹脂を成型したものに比べて、薄い。このため、導電部材1の小型化の要請に対応することができる。
【0038】
また、本実施形態の導電部材1にあっては、湾曲部分13の厚みt1は、湾曲部分13以外のベースフイルム10の部分、具体的には、第1部分11の厚みt2、第2部分12の厚み、及び延出部14の厚みt2よりも薄い。このため、湾曲部分13を湾曲部34に配置する際に、湾曲部分13を湾曲部34の形状に容易に追従させることができる。
また、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する位置決め部(第1部分11の表面の形状、第2部分12の表面の形状、及び貫通孔25)を設けた。このため、導電部材1を筐体30に配置する際に、導電部材1を筐体30に対して容易に位置決めすることができる。また、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する固定部(延出部14に形成された貫通孔25及び凹部15に形成された貫通孔25)を設けた。このため、筐体30に配置された導電部材1を筐体30に対して容易に固定することができる。
【0039】
更に、導電部材1を構成する導体20には、給電部24が設けられている。このため、給電部24から電力を導体20に供給することができる。
そして、給電部24は、ベースフィルム10の表面に配置された導体20の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成される。このため、導電部材1を裏返して配置し、導体20が端壁部33の内表面、側壁部32の内表面及び湾曲部34の内表面に接するようにしても、導体24の裏面側に180°折り返された給電部24が露出する。従って、給電部24に対して電力を供給する部材から給電部24に容易に電力を供給することができる。
【0040】
なお、図1乃至図12に示す導電部材1にあっては、台座部37に形成された突起36を凹部15の貫通孔25に貫通させることにより、導電部材1を筐体30に位置決めする。そして、突起36を押しつぶす(熱かしめする)ことにより、導電部材1を筐体30に固定する。これに対して、図13に示すように、凹部15に貫通孔25を形成せずに、台座部37に形成された突起36aを覆うように凹部15を配置して被覆部15aを形成し、これにより導電部材1の位置決めをしてもよい。そして、さらにこの被覆部15aを加熱しつつ、つぶすことにより、導電部材1を筐体30に対して固定することができる。
【0041】
また、図14に示すように、ベースフィルム10の凹部15に貫通孔25を形成せずに、台座部27に凹み38を形成し、その一方、ベースフィルム10の凹部25を凹み38に沿うように配置して突出部15bを形成してもよい。ベースフィルム10の突出部15bを台座部37の凹み38に沿わして配置することにより、導電部材1を筐体30に対して位置決めすることができる。
更に、図15に示すように、ベースフィルム10の凹部15に貫通孔25を形成せずに、ベースフィルム10の凹部15の側面の一部を台座部37に形成された突起36bの側面に押しあてて導電部材1の位置決めをしてもよい。さらに突起36b押しつぶす(熱かしめする)ことにより、導電部材1を筐体30に対して固定することができる。
【0042】
また、「位置決め部」として、図16及び図17(A),(B)に示すように、筐体30の端壁部33から突出形成された突起33aを跨ぐ形状である跨ぎ部11aで形成してもよい。これにより、導電部材1を筐体3に配置した際に、図17(A),(B)に示すように、跨ぎ部11aが筐体30の突起33aを跨ぎ、導電部材1が筐体30に対して位置決めされる。なお、突起33aは、筐体30の端壁部33に形成されている場合のみならず、側壁部32であったり平面部31に形成されていてもよい。跨ぎ部11aは、ベースフィルム20のうち突起33aを跨ぐ位置に形成されればよい。
【0043】
次に、本発明に係る導電部材の第2実施形態を図18乃至図29を参照して説明する。図18乃至図29において、図1乃至図12に示した構成部材と同一の構成部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図18乃至図29に示す導電部材1は、図1乃至図12に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、導体20の配置及び給電部24の構成が異なっている。
即ち、図1乃至図12に示す導電部材1において、導体20は、ベースフィルム10の表面の一部に配置されている。これに対して、図18乃至図29に示す導電部材1においては、導体20は、ベースフィルム10の裏面の一部に配置されている。
【0044】
具体的に述べると、導体20は、図22に示すように、ベースフィルム10の裏面の一部に配置され、第1導体部21、第2導体部22及び第3導体部23を有する。第1導体部21は、第1部分11の裏面のY軸方向の他端(図19(A)の右端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第2導体部22は、第2部分12の裏面のX軸方向の他端(図19(A)における上端)から一端に向けて延びる平面状の導電パターンで形成される。第3導体部23は、湾曲部分13の裏面において、第1導体部21の一端から第2導体部22の一端に向けて3重に折り返されるように延びる平面状の導電パターンで形成される。
【0045】
また、図1乃至図12に示す導電部材1において、第1導体部21側の給電部24は、第1導体部21のY軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第1導体部21の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。また、第2導体部22側の給電部24は、第2導体部22のX軸方向の他端部から凹部15側に折り曲げられ、そして、第2導体部22の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されている。
【0046】
これに対して、図18乃至図29に示す導電部材1において、第1導体部21側の給電部24は、図22に示すように、第1導体部21のY軸方向の他端部から凹部15の裏側に折り曲げられることによって形成されている。また、第2導体部22側の給電部24は、図22に示すように、第2導体部22のX軸方向の他端部から凹部15の裏側に折り曲げられることによって形成されている。
【0047】
そして、図18に示す導電部材1を筐体30に配置するには、図23(A),(B)乃至図29に示すように、ベースフィルム10を構成する第1部分11の表面が端壁部33の内表面に、第2部分12の表面が側壁部32の内表面に、湾曲部分13の表面が湾曲部34の内表面に接するように、導電部材1を裏返して配置する。ベースフィルム10の裏面に配置された導体20は、露出される。
ここで、湾曲部分13の表面は、図1乃至図12に示す導電部材1の湾曲部分13の表面と同様に、3次元曲面を有する湾曲部34の内表面に沿う3次元曲面で構成される。このため、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従し、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。
【0048】
また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図23(B)、図28及び図29に示すように、筐体30に形成された台座部37上にベースフィルム10の凹部15及び給電部24が着座する。また、導電部材1を裏返して筐体30に配置すると、図23(B)に示すように、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部14に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。
【0049】
そして、突起35を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
このように、本実施形態の導電部材1にあっても、導体20が配置されたベースフィルム20の部分に、3次元曲面を有する湾曲部分13を設けたので、当該湾曲部分13を、3次元曲面を有する湾曲部34を備えた筐体30の当該湾曲部34の形状に追従させて、湾曲部34に沿うようにしわやゆがみがなく円滑に配置することができる。ここで、ベースフィルム10は、フィルムであるため、MIDアンテナやLDSアンテナなどの樹脂を成型したものに比べて、薄い。このため、導電部材1の小型化の要請に対応することができる。
【0050】
また、本実施形態の導電部材1にあっても、図20に示すように、湾曲部分13の厚みt1は、湾曲部分13以外のベースフイルム10の部分、具体的には、第1部分11の厚みt2、第2部分12の厚み、及び延出部14の厚みt2よりも薄い。このため、湾曲部分13を湾曲部34に配置する際に、湾曲部分13を湾曲部34の形状に容易に追従させることができる。
【0051】
また、本実施形態の導電部材1にあっても、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する位置決め部(第1部分11の表面の形状、第2部分12の表面の形状、及び貫通孔25)を設けた。このため、導電部材1を筐体30に配置する際に、導電部材1を筐体30に対して容易に位置決めすることができる。また、ベースフィルム10に、導電部材1が配置される筐体30に対する固定部(延出部14に形成された貫通孔25)を設けた。このため、筐体30に配置された導電部材1を筐体30に対して容易に固定することができる。
【0052】
更に、導電部材1を構成する導体20にも、給電部24が設けられている。このため、給電部24から電力を導体20に供給することができる。
そして、給電部24は、ベースフィルム10の裏面に配置された導体20の端部から折り曲げて形成される。このため、導電部材1を裏返して配置し、導体20が端壁部33の内表面、側壁部32の内表面及び湾曲部34の内表面に接するようにしても、給電部24が露出する。従って、給電部24に対して電力を供給する部材から給電部24に容易に電力を供給することができる。
【0053】
次に、図30を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法の他の例を説明する。
図1に示す導電部材1については、前述したように、導電部材1を裏返して筐体30に配置した際に、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部24に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。突起36が凹部15の貫通孔25に、突起35が延出部24の貫通孔25にそれぞれ貫通することにより、導電部材1を筐体30に位置決めする。そして、これら突起35、36を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
また、図18に示す導電部材1は、前述したように、導電部材1を裏返して筐体30に配置した際に、筐体30の平面部31に形成された突起35がベースフィルム10の延出部14に形成された貫通孔25に入り込んで貫通する。そして、突起35を押しつぶす(熱かしめする)。これにより、導電部材1が筐体30に固定される。
【0054】
これに対して、図30に示す導電部材51は、図1又は図18に示す導電部材1と同様の構成を有するが、被実装物である筐体60に形成された凹部61に対して入り込むように配置されるとともに、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されている。そして、導電部材51が筐体60の凹部61内に配置されると、導電部材51が凹部61に対して突っ張るので、導電部材51が凹部61に隙間なく嵌り、これにより導電部材51が筐体60に固定される。
ここで、従来の図36に示すFPC120を筐体60の凹部61に嵌め込む場合には、FPC120を折り曲げるためのスリットが必要となり、構造的に剛性が小さくなってしまうが、導電部材61の場合はそのおそれはない。
【0055】
また、導電部材51は、MIDアンテナやLDSアンテナと比較して厚みが薄いので、弾性変形範囲を広くすることができる。
ここで、図30に示す導電部材51の寸法について述べる。
先ず、筐体60は、一側に凹部61を有し、底部62a及び底部62aの両端から底部62aに対して斜め下方に傾斜角αで延びる一対の傾斜部62bを備えている。そして、筐体60は、各傾斜部62bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部62cを備えている。そして、凹部61の幅である一対の垂下部62cの内壁面間の幅がL1で設定されている。
【0056】
一方、導電部材51において、ベースフィルム52が、底部52a、底部52aの両端から底部52aに対して斜め下方に傾斜角βで延びる一対の傾斜部52b、及び各傾斜部52bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部52cを備えている。そして、導電部材51の幅である一対の垂下部52cの外壁面間の幅がI1で設定されている。
そして、導電部材51の幅I1が凹部61の幅L1に対して、I1>L1になるように設定されている。これにより、導電部材51は、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されることになる。
なお、図30に示す筐体60における各傾斜部62bの傾斜角αと、導電部材51における各傾斜部52bの傾斜角βとは、同一であっても異なっていてもかまわないが、β>αとすれば、I1>L1でなくても、導電部材51を凹部61に対して突っ張るような寸法に設定することができる。
【0057】
次に、図31を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である凹部を有する筐体に固定する方法のもう一つ他の例を説明する。
図31に示す導電部材51は、図1又は図18に示す導電部材1と同様の構成を有するが、図30に示す導電部材51と同様に、被実装物である筐体60に形成された凹部61に対して入り込むように配置されるとともに、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されている。そして、導電部材51が筐体60の凹部61内に配置されると、導電部材51が凹部61に対して突っ張るので、導電部材51が凹部61に隙間なく嵌り、これにより導電部材51が筐体60に固定される。
【0058】
ここで、図31に示す導電部材51は、図30に示す導電部材51と異なる形状、寸法に設定されている。
先ず、筐体60は、一側に凹部61を有し、底部62a及び底部62aの両端から底部62aに対して湾曲する一対の湾曲部62dを備えている。そして、筐体60は、各湾曲部62dの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部62cを備えている。そして、各湾曲部62dの内壁面の曲率半径がRに設定される。
【0059】
一方、導電部材51において、ベースフィルム52が、底部52a、底部52aの両端から底部62aに対して湾曲する湾曲部52d、及び各湾曲部52dの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部52cを備えている。そして、各湾曲部52dの外壁面の曲率半径がrに設定される。
そして、導電部材51における各湾曲部52dの曲率半径rが筐体60における各湾曲部62dの曲率半径Rに対して、r>Rになるように設定されている。これにより、導電部材51は、凹部61に入り込むように配置された際に、凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されることになる。
【0060】
次に、図32を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材を被実装物である突部を有する筐体に固定する方法の他の例を説明する。
図32に示す導電部材51は、図1又は図18に示す導電部材1と同様の構成を有するが、被実装物である筐体60に形成された突部63に対して被さるように配置されるとともに、突部63に被さるように配置された際に、突部63を挟持するような寸法に設定されている。そして、導電部材51が筐体60の突部63に対して被さるように配置されると、導電部材51が突部63を挟持するので、導電部材51が突部63に隙間なく嵌り、これにより導電部材51が筐体60に固定される。
【0061】
ここで、図32に示す導電部材51の寸法について述べる。
先ず、筐体60は、底部64a及び底部64aの両端から底部64aに対して斜め下方に傾斜角αで延びる一対の傾斜部64bを備えている。そして、筐体60は、各傾斜部64bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部64cを備えている。そして、筐体60の幅である一対の垂下部64cの外壁面間の幅がL2で設定されている。
【0062】
一方、導電部材51において、ベースフィルム52が、底部52a、底部52aの両端から底部52aに対して斜め下方に傾斜角βで延びる一対の傾斜部52b、及び各傾斜部52bの先端から垂直下方に延びる一対の垂下部52cを備えている。そして、一対の垂下部54cの内壁面間の幅がI2で設定されている。
そして、一対の垂下部54cの内壁面間の幅I2が筐体60の幅L2に対して、I2<L2になるように設定されている。これにより、導電部材51は、突部63に被さるように配置された際に、突部63を挟持するような寸法に設定されることになる。
【0063】
なお、図30に示す筐体60における各傾斜部62bの傾斜角αと、導電部材51における各傾斜部52bの傾斜角βとは、同一であっても異なっていてもかまわないが、β<αとすれば、I2<L2でなくても、導電部材51を突部63に対して挟持するような寸法に設定することができる。
また、図31と同様に導電部材51に曲率半径rを有する湾曲部があり、筐体60に曲率半径Rの湾曲部がある場合、r<Rとすることにより、導電部材51を、突部63に被さるように配置した際に、突部63を挟持するような寸法に設定できる。
【0064】
次に、図33を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の他の例を説明する。
図33に示す導電部材71は、図1又は図18に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、給電部の構造が異なっている。
即ち、図33に示す導電部材71において、給電部73は、ベースフィルム72から突出する凸部で形成され、ばねコンタクトC1が給電部73の凸部に弾性接触するようになっている。筐体80の内部には、回路基板PCBが図示しない部材によって支持されており、その回路基板PCBには、金属製のばねコンタクトC1が接続されている。ばねコンタクトC1が給電部73に弾性接触することにより、回路基板PCBと導電部材71とが電気的に導通することになる。
【0065】
ここで、給電部73は、ベースフィルム72から回路基板PCB側に突出しているので、回路基板PCBと給電部73との間の距離を、給電部73を筐体80の内壁面上に直接位置させる場合よりも短くすることができる。これにより、回路基板に接続されたばねコンタクトC1の初期状態(ばねコンタクトC1が弾性変形する前の状態)の高さを低くすることができ、ばねコンタクトC1の給電部73に対する安定した接触を確保することができる。ばねコンタクトC1の初期状態の高さが高いと、使用時に他の物が引っ掛かったり、無駄な変形をしたりするリスクが高い。
【0066】
また、図34を参照して図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部のもう一つ他の例を説明する。
図34に示す導電部材71は、図1又は図18に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、給電部の構造が異なっている。
即ち、図34に示す導電部材71において、給電部73が、ベースフィルム72の一部(本例にあっては一端部)を折り曲げて形成され、弾性コンタクトC2が給電部73の両側から挟むように弾性接触するようになっている。給電部73は、ベースフィルム72に対して垂直方向下側に向かって折り曲げられる。筐体80の内部には、回路基板PCBが図示しない部材によって支持されており、その回路基板PCBには、金属製の弾性コンタクトC2が接続されている。弾性コンタクトC2が給電部73の両側から挟むように弾性接触することにより、回路基板PCBと導電部材71とが電気的に導通することになる。
【0067】
ここで、給電部73を、ベースフィルム72の一部を折り曲げて形成した場合においては、給電部73が片持ち梁状になっている。このため、弾性コンタクトC2を給電部73の片側に接触するようにすると、給電部73が変形し、安定した接触が得られ難い。これに対して、弾性コンタクトC2が給電部73の両側から挟むように弾性接触することにより、安定した接触を容易に得ることができる。
【0068】
次に、図35を参照して、図1又は図18に示す導電部材と同様の構成を有する導電部材において、給電部の更に他の例を説明する。
図35に示す導電部材71は、図1又は図18に示す導電部材1と基本構成は同様であるが、給電部の構造が異なっている。
即ち、図35に示す導電部材71において、給電部73は、ベースフィルム72の一部(一端部)を折り返して形成される。給電部73は、後述する回路基板PCBと平行となるように折り返される。そして、ベースフィルム72の一部を折り返された給電部73は、ベースフィルム72の他の部分にある支持部74により支持されるとともに、ばねコンタクトC3が給電部73に支持部74が支持する側とは反対側から弾性接触するようになっている。筐体80の内部には、回路基板PCBが図示しない部材によって支持されており、その回路基板PCBには、金属製のばねコンタクトC3が接続されている。ばねコンタクトC3が給電部73に弾性接触することにより、回路基板PCBと導電部材71とが電気的に導通することになる。
【0069】
ここで、給電部73は、ベースフィルム72の一部(一端部)を回路基板PCBと平行となるよう折り返して形成されるので、回路基板PCBに沿う方向にばねコンタクトC3との接触するポイントを広くとることができる。このため、ばねコンタクトC3のアセンブリを容易に行うことができる。
また、給電部73は、ベースフィルム72の他の部分にある支持部74により、ばねコンタクトC3が接触する側と反対側から支持されるので、給電部73は両端支持構造となる。このため、ばねコンタクトC3が接触した際に、安定した接触を確保することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、導電部材1において、導体20が配置されるベースフィルム10の部分に湾曲部分13があればよく、第1部分11や第2部分12は必ずしも必要はない。
また、導電部材1において、導体20はベースフィルム10の表面あるいは裏面に配置されている必要は必ずしもなく、ベースフィルム10の内部に埋設するようにしてもよい。また、導体20は、ベースフィルム20の表面又は裏面のみならず、ベースフィルム20の両面に配置するようにしてもよい。また、導体20をベースフィルム10の表面又は裏面或いは両面に配置したものを積層して導電部材1を構成し、導体20が導電部材1の内部に配置するようにしてもよい。
【0071】
更に、導電部材1を真空成形法によって製造するようにしてあるが、導電部材1の製造方法は、真空成形法に限られない。
また、導電部材1において、湾曲部分13の厚みt1を、湾曲部分13以外のベースフィルム10の部分の厚みt2よりも薄くしてあるが、湾曲部分13の厚みt1を、湾曲部分13以外のベースフィルム10の部分の厚みt2と同等にしたりあるいは当該厚みt2よりも厚くしても良い。
更に、本実施形態において、導電部材1を携帯電話のアンテナ装置として利用する例を説明したが、アンテナ装置として利用する場合、無線通信を行うものであれば携帯電話に限らず、PHSや他の通信機器に利用されてもよい。
【0072】
また、導電部材1はアンテナ装置以外にも、センサーやコイルとして利用されてもよい。
また、導電部材1を、筐体30に固定する方法は、前述した場合に限られず、例えば、筐体30側に爪又はラッチを設け、導電部材1を当該爪又はラッチによって係止することによって導電部材1を、筐体30に固定してもよい。また、導電部材1を、筐体30に対して、ねじ止め、両面テープ、接着剤、あるいは半田付けによって固定してもよい。
また、導電部材1を、筐体30に固定するに際し、予め導電部材1を製造し、その製造された導電部材1を、筐体30を成形する金型内に配置し、樹脂を射出成形することによって筐体30を導電部材1と一体に成形してもよい。いわゆるインサート成形である。
【0073】
また、導電部材51を筐体60に形成された凹部61に固定する場合には、前述したI1>L1とする場合、r>Rとする場合、及びβ>αとする場合に限らず、導電部材51を凹部61に入り込むように配置した際に、導電部材51が凹部61に対して突っ張るような寸法に設定されていればよい。
また、導電部材51を筐体60に形成された突部63に固定する場合には、前述したI2<L2とする場合、r<Rとする場合、及びβ<αとする場合に限らず、導電部材51を突部63に被せるように配置した際に、導電部材51が突部63を挟持するような寸法に設定されていればよい。
【0074】
また、導電部材1、51の給電部を、回路基板に接続するに際しては、給電部を金属導体に圧着あるいは半田付けで接続するようにしてもよい。例えば、回路基板に接続されたケーブルの一端を金属バレル(金属導体)の一端に圧着接続し、給電部を金属バレル(金属導体)の他端に半田付けによって接続する。あるいは、回路基板に接続されたバスバー(金属導体)を給電部に圧着接続してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 導電部材
10 ベースフィルム
11 第1部分(位置決め部)
11a 跨ぎ部
12 第2部分(位置決め部)
13 湾曲部分
20 導体
24 給電部
25 貫通孔(位置決め部、固定部)
30 筐体(被実装物)
33a 突起
40 導電部材組立体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のベースフィルムと、該ベースフィルムの一部に配置された導体とを備えた導電部材であって、前記導体が配置されたベースフィルムの部分に、3次元曲面を有する湾曲部分を設けたことを特徴とする導電部材。
ここで、3次元曲面とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【請求項2】
前記導体が前記ベースフィルムの表面又は裏面或いは両面に配置されていることを特徴とする請求項1記載の導電部材。
【請求項3】
前記湾曲部分の厚みを、前記湾曲部分以外の前記ベースフィルムの部分の厚みよりも薄くしたことを特徴とする請求項1又は2記載の導電部材。
【請求項4】
前記ベースフィルムに、前記導電部材が配置される被実装物に対する位置決め部及び前記被実装物に対する固定部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の導電部材。
【請求項5】
前記位置決め部が、前記被実装物の突起を跨ぐ形状である跨ぎ部で構成されることを特徴とする請求項4記載の導電部材。
【請求項6】
前記導体に給電部を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の導電部材。
【請求項7】
前記給電部が、前記ベースフィルムの表面に配置された導体の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されることを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項8】
前記給電部が、前記ベースフィルムの裏面に配置された導体の端部から折り曲げて形成されることを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項9】
前記給電部が、前記ベースフィルムから突出する凸部で形成され、ばねコンタクトが前記凸部に弾性接触するようになっていることを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項10】
前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り曲げて形成され、弾性コンタクトが前記ベースフィルムの一部を両側から挟むように弾性接触することを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項11】
前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り返して形成されるとともに、前記ベースフィルムの一部を折り返された部分が前記ベースフィルムの他の部分にある支持部により支持され、ばねコンタクトが前記ベースフィルムの一部を折り返された部分に前記支持部が支持する側とは反対側から弾性接触することを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項12】
アンテナ装置、センサー又はコイルとして利用されること特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載の導電部材。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載された導電部材と、該導電部材が配置された被実装物とを備えたことを特徴とする導電部材組立体。
【請求項14】
前記導電部材が、前記被実装物に形成された凹部に対して入り込むように配置されるとともに、前記凹部に入り込むように配置された際に、前記凹部に対して突っ張るような寸法に設定されていることを特徴とする請求項13記載の導電部材組立体。
【請求項15】
前記導電部材が、前記被実装物に形成された突部に対して被さるように配置されるとともに、前記突部に対して被さるように配置された際に、前記突部を挟持するような寸法に設定されていることを特徴とする請求項13記載の導電部材組立体。
【請求項1】
絶縁性のベースフィルムと、該ベースフィルムの一部に配置された導体とを備えた導電部材であって、前記導体が配置されたベースフィルムの部分に、3次元曲面を有する湾曲部分を設けたことを特徴とする導電部材。
ここで、3次元曲面とは、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を想定し、XY平面、YZ平面、ZX平面に対象物を投影した場合に、いずれの平面においても曲線を有する面をいう。
【請求項2】
前記導体が前記ベースフィルムの表面又は裏面或いは両面に配置されていることを特徴とする請求項1記載の導電部材。
【請求項3】
前記湾曲部分の厚みを、前記湾曲部分以外の前記ベースフィルムの部分の厚みよりも薄くしたことを特徴とする請求項1又は2記載の導電部材。
【請求項4】
前記ベースフィルムに、前記導電部材が配置される被実装物に対する位置決め部及び前記被実装物に対する固定部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の導電部材。
【請求項5】
前記位置決め部が、前記被実装物の突起を跨ぐ形状である跨ぎ部で構成されることを特徴とする請求項4記載の導電部材。
【請求項6】
前記導体に給電部を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の導電部材。
【請求項7】
前記給電部が、前記ベースフィルムの表面に配置された導体の端部表面側から裏面側に180°折り返すことによって形成されることを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項8】
前記給電部が、前記ベースフィルムの裏面に配置された導体の端部から折り曲げて形成されることを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項9】
前記給電部が、前記ベースフィルムから突出する凸部で形成され、ばねコンタクトが前記凸部に弾性接触するようになっていることを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項10】
前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り曲げて形成され、弾性コンタクトが前記ベースフィルムの一部を両側から挟むように弾性接触することを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項11】
前記給電部が、前記ベースフィルムの一部を折り返して形成されるとともに、前記ベースフィルムの一部を折り返された部分が前記ベースフィルムの他の部分にある支持部により支持され、ばねコンタクトが前記ベースフィルムの一部を折り返された部分に前記支持部が支持する側とは反対側から弾性接触することを特徴とする請求項6記載の導電部材。
【請求項12】
アンテナ装置、センサー又はコイルとして利用されること特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載の導電部材。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載された導電部材と、該導電部材が配置された被実装物とを備えたことを特徴とする導電部材組立体。
【請求項14】
前記導電部材が、前記被実装物に形成された凹部に対して入り込むように配置されるとともに、前記凹部に入り込むように配置された際に、前記凹部に対して突っ張るような寸法に設定されていることを特徴とする請求項13記載の導電部材組立体。
【請求項15】
前記導電部材が、前記被実装物に形成された突部に対して被さるように配置されるとともに、前記突部に対して被さるように配置された際に、前記突部を挟持するような寸法に設定されていることを特徴とする請求項13記載の導電部材組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2013−78103(P2013−78103A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103642(P2012−103642)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]