説明

小ゴム粒子及び低ゴム粒子ゲル含量を有し且つブロックコポリマーを含む配向ポリスチレンフィルムのシュリンクラベル

(a)ポリスチレンにグラフトされたブロックコポリマーを含み、HIPS重量に基づき、1〜7重量%のゴム状共役ジエン含量、10重量%未満のゲル濃度、1〜0.01μmの平均ゴム粒径、約0.4ミクロン未満の直径を有するゴム粒子約40〜約90体積%及び約0.4〜約2.5ミクロンの直径を有するゴム粒子約10〜約60体積%を有し、ゴム粒子の大部分がコア/シェル形態を有し、且つ総ポリマー組成物重量の10〜70重量%及び、総ポリマー重量に基づき、1〜5重量%のゴム状ジエンに相当する濃度を有する耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)成分;(b)総ポリマー組成物重量に基づき、10〜70重量%の汎用ポリスチレン及び約2〜約80重量%のスチレンブロックコポリマー成分を含むポリマー組成物。好ましくは配向されたフィルムにおいて、ポリマー組成物はフィルムの少なくとも95重量%に相当し、フィルム又はフィルム組成物重量の残りは添加剤である。シュリンクラベルがこのフィルムから製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸張方向に優先配向(orientation)を有する配向(oriented)ゴム強化ポリスチレンフィルム及びそのようなポリスチレンフィルムを含むシュリンクラベルフィルム並びにそのようなフィルムの製造に有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シュリンクラベル(収縮ラベル)は一般に、ロールオン・シュリンクオン(ROSO)ラベル及びスリーブ型ラベルの2つのカテゴリーに分類され;スリーブラベルはチューブラベルと称されることもある。ROSOラベルは容器に巻き付くフィルムシートである。スリーブラベルはチューブ状の形状であり、容器がチューブで取り囲まれるように容器にかぶせることによって容器の周囲にフィットさせる。容器の周囲のシュリンクラベルを加熱することによって、ラベルを収縮させ、容器にぴったり密着させる。
【0003】
容器にぴったり密着させるためには、いずれの型のラベルも、容器周囲において円周方向に伸びる方向で優先的に(即ち、全ての他の方向よりも大きく)収縮しなければならない。ROSOフィルムは通常、フィルムの機械方向(縦方向)(MD)が容器周囲において円周方向に伸びた状態で容器上に存在する。従って、ROSOフィルムは、機械方向の配向(MDO)が優先的であるため、主としてフィルムの機械方向(MD)に収縮する。これに対して、スリーブラベルは通常、ラベルの横断方向(横方向)(TD)が容器周囲において円周方向に伸びた状態で容器上に存在する。従って、スリーブラベルは、横断方向の配向(TDO)が優先的であるため、主としてフィルムの横断方向(TD)において収縮する。
【0004】
ROSOラベルは製造速度が優れているのに対して、スリーブラベルは歴史的に容器周囲の収縮度が優れている。スリーブラベルは典型的には容器の円周の周囲で70パーセント(%)まで収縮する。スリーブラベルは、接着部を有さないか又は容器への適用前には広範囲に硬化した接着部を有するので、収縮中により大きい応力に耐えることができる。
【0005】
スリーブラベルは歴史的にROSOラベルよりも大きい収縮度を有し、従って起伏のある容器によりぴったりと密着する。しかし、ROSOラベルは、機械方向において、即ち、製造の間に使用される機械装置を通ってそれらが進む方向において、配向されるという点で製造上有利である。従って、ポリプロピレンROSOラベルよりも容器の周囲で円周方向により大きく収縮できるが、好ましくはラベルの接着部における破損という不利点のないROSOラベルの製造に適当である配向フィルムを特定することが望ましい。
【0006】
ポリスチレン(PS)はシュリンクラベルに特に望ましいポリマーである。ポリプロピレン(PP)のシュリンクラベルフィルムは典型的には120℃未満の温度ではいずれの方向にも約20以下しか収縮しない。PPの結晶性は、更なる配向の緩和に、PPの結晶融点よりも高温への加熱を必要とする。これに対して、PS系シュリンクラベルフィルムは、その非晶質性のためにポリマーのガラス転移温度(一般にPPの結晶溶融温度よりも低い)を超えるだけでよい。従って、PSフィルムは、PPフィルムよりも低い加工温度でより大きい収縮を提供することができるので望ましい。
【0007】
更に、PSは、PPに比較して、長時間のコロナ処理(典型的にはポリマーフィルムの表面を印刷に適するようにするのに必要である)後により高い表面エネルギーを保持する。従って、PPフィルムとは異なり、PSフィルムのコロナ処理は、ラベルへの印刷の直前ではなく、製造中に行うことができる。
【0008】
PSフィルムの使用は、コポリエステル及びポリ塩化ビニル(PVC)とは異なり、より低い密度がラベルをより高い密度(例えばポリエステル)のボトルから容易に分離することができるので、ボトル及びラベルのリサイクル可能性を促進する。更に、より低いPS密度は、より高いフィルム収率又はフィルムlb.又はkg当たりより大きい面積を提供するので有利である。コポリエステル又はPVCフィルムのようなより高密度のラベル素材は同様な利点を提供しない。
【0009】
ポリスチレン系シュリンクラベルフィルムは、ラベルの靭性(例えば引裂抵抗)を改善するために、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)成分を含むことができる。しかし、典型的なHIPS系のゴム粒子は、1μmよりも大きい平均粒径を有する(例えば、米国特許(USP)第6897260号,4欄,26〜27行参照)。大きいゴム粒子は、ラベルフィルムの明澄性を低下させる傾向があり、裏面印刷へのフィルムの使用に(フィルムを通して読むことができるように、フィルムの容器に隣接したラベルフィルム面に印刷するのに)、また、ラベルを通して容器又は製品を見るのに支障を来す。典型的なHIPSは、また、総HIPS重量に基づき、7%より多いゴムを含む。高濃度のゴムはフィルムの印刷適性を妨げ、フィルムの明澄性を低下させ、寸法安定性を低下させ、更に最終フィルム中のゲル量を不所望に増加させるおそれがある。しかし、直径の小さいボトル又はボトルネックのようないくつかの場合には、HIPS単独では、応力を受けて裂ける傾向をなくすのに充分な靭性を与えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
シュリンクラベルへの利用に適当な配向PSフィルムを得ることが望ましい。更に、フィルムは、フィルムの印刷適性も明澄性も実質的に妨げることなくフィルムを強化するために、典型的なHIPSよりも小さいゴム粒子及び低いゴム濃度を有する型の耐衝撃性ポリスチレンを含むのが望ましい。更に、フィルムは、フィルムの靭性を更に改善するために、ブロックコポリマー技術に基づいて明澄な耐衝撃性ポリスチレンを含むことが望ましい。更にまた、このようなフィルムは、PVC又はポリエステルによって得られるのに匹敵する円周方向収縮を容器周囲において示すシュリンクラベルとして働くことができれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、典型的なHIPSよりも小さいゴム粒径及び低いゴム濃度を有するHIPSと靭性、耐衝撃性又はその組合せを改善するためのポリスチレンブロックコポリマー及び汎用ポリスチレンを含む、シュリンクラベルとしての使用に適した配向ポリスチレン系フィルムを提供することによって、シュリンクラベル技術を向上させる。本発明は、高い明澄度、90,000〜300,000 lb/in2(620〜2070MPa)の好ましい範囲のMD及びTD両方向の1%割線モジュラスによって示される高速印刷に適切な剛性並びに、自由大気中で110℃において10分間測定した場合に、主たる伸張方向において20〜80%の好ましい範囲の収縮比によって示される、伸張方向における高い収縮率のうち1つ又はそれ以上を意外にも有する、ゴム強化ポリスチレンフィルム及びこのようなフィルムを含むシュリンクラベルを提供できる。
【0012】
第1の態様において、本発明は、(a)(i)ポリスチレンにグラフトされたスチレンとゴム状共役ジエンとのブロックコポリマーを含み;(ii)任意的な、HIPS成分の重量に基づき、2重量%又はそれ以上で8重量%又はそれ以下のゴムホモポリマーを含み;(iii)HIPS成分の総重量に基づき、1重量%又はそれ以上で7重量%又はそれ以下の総ゴム状共役ジエン含量を有し;(iv)メチルエチルケトン/メタノール抽出による10重量%未満のゲル濃度を有し;(v)1.0μm未満で且つ0.01μm又はそれ以上の平均ゴム粒径を有し;(vi)約0.4ミクロン未満の直径を有するゴム粒子約40〜約90体積%及び約0.4〜約2.5ミクロンの直径を有するゴム粒子約10〜約60体積%を含み;(vii)ゴム粒子の大部分がコア/シェル形態であり;(viii)組成物中のポリマーの少なくとも約10重量%で最大でも約70重量%以下の濃度で存在し且つ総組成物重量に対して1重量%又はそれ以上で5重量%又はそれ以下のゴム状ジエン重量を有する少なくとも1種の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)成分;そして(b)組成物中のポリマーの少なくとも約10重量%で最大でも約50重量%以下の濃度で存在する、200,000g/モルより大きく350,000g/モル又はそれ以下の重量平均分子量を有する少なくとも1種の汎用ポリスチレン;並びに(c)組成物中のポリマーの少なくとも約2重量%で最大でも約80重量%以下の濃度で存在する少なくとも1種のスチレンブロックコポリマー[ここで、(a)、(b)及び(c)はポリマー組成物中のポリマー100重量%を構成する]を含んでなるポリマー組成物である。
【0013】
第2の態様において、本発明は、ポリマー及び添加剤の総重量に基づき、本発明のポリマー組成物95〜100重量%及び添加剤0〜5重量%からなる配向フィルムであって、好ましくは前記フィルムは伸張された主たる方向(通常はROSOに関してはMDO又はスリーブ用途に関してはTDO)における比が4:1より大きく、より好ましくは6:1であり且伸張の少ない方向における比が1.2:1又はそれ以下であり、伸張をより多く受けた方向における比が他の方向における比よりも大きい配向フィルムである。
【0014】
第3の態様において、本発明は、フィルムが好ましくは片面又は両面に印刷を有する第1の態様の軸方向に不均衡な配向ポリマーフィルム(即ち、MDにおいてTDとは異なる量の延伸を有するフィルム)を含んでなるシュリンクラベルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のフィルムは、HIPS成分、汎用ポリスチレン(GPPS)及びスチレンブロックポリマー成分を含むポリエステル組成物を含んでなる。HIPS成分、GPPS及びスチレンブロックコポリマー成分の組合せは、ポリマー組成物である、添加剤を除いた組成物中のポリマーの100重量%(wt%)に相当する。ポリマー組成物は望ましくはフィルムのフィルム組成物の総重量の95重量%又はそれ以上、好ましくは97重量%又はそれ以上に相当し、100重量%を構成できる。ポリマー組成物がフィルム重量の100重量%未満である場合には、100重量%までの残りは、商業的に又は製造によって得られたHIPS成分、GPPS及びスチレンブロックコポリマー成分の一部であることができる任意の添加剤を含む添加剤から成る。添加剤は、当業界における技術の範囲内の充填剤、加工助剤、スリップ剤又は可塑剤を包含し、場合によっては、ポリマー添加剤を包含する。
【0016】
本明細書中における全ての百分率、好ましい量又は測定値、範囲及びその端点は包括的である。即ち、「約10未満(less than about 10)」は約10を含む。従って、「少なくとも〜」は「〜又はそれ以上」に相当し、従って、「最大でも(at most)〜」は「〜又はそれ以下」に相当する。ある数値「又はそれ以上」は、「少なくとも」その数値に相当する。同様に、ある数値「又はそれ以下」は「最大でも」その数値に相当する。本明細書中に数値は、記載した以上には正確でない。従って、「105」は少なくとも104.5〜105.49を包含する。更に、全てのリストは、そのリストの2つ又はそれ以上の構成員の組合せを含む。「少なくも〜」、「〜より大きい」、「〜又はそれ以上」などと記載したパラメーターから、「最大でも〜」、「〜以下」、「〜未満」、「〜又はそれ以下」などと記載したパラメーターまでの全ての範囲は、各パラメーターに関して示された相対的な優先度にかかわらず、好ましい範囲である。従って、有利な下限値と最も好ましい上限値が組み合わされた範囲が、本発明の実施には好ましい。全ての量、比、割合及び他の測定値は、特に断らない限り重量に基づく。ポリマー中のモノマーの百分率が特に断らない限り重量百分率である以外は、全ての百分率は、特に断らない限り本発明の実施に係る総組成物に基づく重量%を意味する。特に断らない限り又はそうでなければ不可能であると当業者によって認められない限り、本明細書中に記載した方法の工程は、任意選択で、本明細書中にそれらの工程を記載した順序とは異なる順序で実施される。更に、工程は任意選択で別々に、同時に又はタイミングを一部重複させて行う。例えば、加熱及び混合のような工程は当業界においては多くの場合、時間的に別々であるか、同時であるか又は部分的に重複している。特に断らない限り、不所望な影響をもたらしかねない要素、材料又は工程が、その影響を許容され得ない程度まではもたらさないような量又は形態で存在する場合には、本発明の実施に関してはそれは実質的に存在しないと見なされる。更に、用語「許容され得ない」及び「許容され得ない程度に」は、商業的に有用であり得るものからの、そうでなければ一定の状況において有用であるものからの偏差、又は特定の状況及び用途によって異なり且つ性能基準値のような事前決定によって設定され得る事前決定限度の範囲外を意味するのに使用する。当業者ならば、許容され得る限度は装置、条件、用途及び他の変数によって異なるが、それらが適用可能な各状況内において必要以上の実験を行うことなく決定できることがわかる。場合によっては、1つのパラメーターの変動又は偏差は、別の望ましい目標を達成するのに許容され得るであろう。
【0017】
用語「含んでなる(comprising)」は、「包含する」、「含む」又は「特徴とする」と同義であり、包括的であるか又は状況に応じて変更可能(オープンエンド)であり、その他の列挙されていない要素、材料又は工程を除外しない。用語「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、指定された要素、材料又は工程の他に、要素、列挙されていない材料又は工程を、主題の少なくとも1つの基本的且つ新規な特性に許容され得ないほどには実質的に影響を与えない量で存在できることを示す。用語「からなる(consisting of)」は、記載した要素、材料又は工程のみが存在することを示す。用語「含んでなる」は、「〜から本質的になる」及び「からなる」を含んでいる。
【0018】
HIPS成分は、グラフトされたゴム成分を含むスチレンポリマーである。ポリスチレン中へのゴム成分のグラフトは、ポリスチレンの靭性及び機械的強度を増加させる傾向がある。グラフト化によるポリスチレンへのゴムの結合は、ポリスチレンとゴム成分との単なるブレンドよりも技術的効果がある。ゴムの結合は、一般に、単にブレンドされたゴムよりも低いゴム含量によってより高いモジュラス及び同等の衝撃強度を有する材料を提供する。スチレンポリマー中へのゴム成分のグラフトは、スチレンモノマーの重合前にゴム成分とスチレンモノマーを合することによって、典型的にはスチレンモノマー中にゴムを溶解させることによって行う。次いで、スチレンモノマーの重合によって、スチレンポリマーにグラフトされたゴムを含むポリスチレンのマトリックスを生成する。
【0019】
ポリスチレンマトリックスは、典型的には、組成物において望ましいレベルの加工性及び機械的性質を提供するのに充分に高い重量平均分子量(重量平均分子量)、典型的には少なくとも100,000g/モル(g/mol)、好ましくは少なくとも120,000g/mol、より好ましくは少なくとも約130,000g/mol、最も好ましくは少なくとも約140,000g/molを有する。ポリスチレンは、典型的には、充分な加工性を提供するには、約260,000g/mol又はそれ以下、好ましくは約250,000g/mol又はそれ以下、より好ましくは約240,000g/mol又はそれ以下、最も好ましくは約230,000g/mol又はそれ以下の重量平均分子量を有する。ポリスチレンマトリックスの重量平均分子量の測定は、較正のためにポリスチレン標準を用いてゲル透過クロマトグラフィーによって行う。
【0020】
ゴム成分は、ゴム状共役ジエンとスチレンとのコポリマー(ゴムコポリマー)又は前記ゴムコポリマーと微量のゴム状共役ジエンホモポリマー(ゴムホモポリマー)の両方を含むブレンドである。両ゴム中の共役ジエンは、典型的には、1,3−アルカジエン、好ましくはブタジエン、イソプレン又はブタジエンとイソプレンの両方、最も好ましくはブタジエンである。共役ジエンコポリマーゴムは好ましくはスチレン/ブタジエン(S/B)ブロックコポリマーである。ポリブタジエンが望ましいゴムホモポリマーである。
【0021】
ゴムコポリマーは望ましくは100,000g/mol又はそれ以上、好ましくは150,000g/mol又はそれ以上で且つ望ましくは350,000g/mol又はそれ以下、好ましくは300,000g/mol又はそれ以下、より好ましくは250,000g/mol又はそれ以下の重量平均分子量を有する。重量平均分子量の測定は、トライアングル光散乱ゲル透過クロマトグラフィー(Tri Agnle Light Scattering Gel Permeation Chromatography)を用いて行う。
【0022】
ゴムポリマーはまた、望ましくは約5〜約100センチポアズ(cP)(約5〜約100ミリパスカル−秒(mPa*s))、好ましくは約20〜約80cP(約20〜約80mPa*s)の範囲の溶液粘度;及び少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも約30%であって且つ望ましくは99%又はそれ以下、好ましくは55%又はそれ以下、より好ましくは50%又はそれ以下のシス含量を有する。Buna BL 6533T銘柄のゴム及び他の同様なゴムがゴムコポリマーの望ましい例である。
【0023】
HIPS成分の製造時においてゴムコポリマーと共にゴムホモポリマーを組み込むと、破断点伸びの量を増大させることによってHIPSポリマーの機械的性能に寄与することができる。適当なゴムホモポリマーは望ましくは0℃又はそれ以下、好ましくは−20℃又はそれ以下の二次転移温度を有する。ゴムホモポリマーは好ましくは約20〜約250cP(約20〜約250mPa*s)、より好ましくは約80〜約200cP(約80〜約200mPa*s)の範囲の溶液粘度を有する。ゴムホモポリマーは望ましくは少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%であって且つ望ましくは約99%又はそれ以下、好ましくは55%又はそれ以下、より好ましくは50%又はそれ以下のシス含量を有する。ゴムホモポリマーは望ましくは100,000g/mol又はそれ以上、より好ましくは150,000g/mol又はそれ以上であって且つ望ましくは600,000g/mol又はそれ以下、好ましくは500,000g/mol又はそれ以下の重量平均分子量を有する。重量平均分子量の測定は、トライアングル光散乱ゲル透過クロマトグラフィーによって行う。適当なゴムホモポリマーの一例は、Diene(登録商標)55銘柄のゴム(DieneはFirestoneの商標である)である。
【0024】
ゴムホモポリマーは、存在する場合には、HIPSポリマー中の総ゴム重量に基づき、典型的には少なくとも約2重量%。好ましくは少なくとも約4重量%、より好ましくは少なくとも約6重量%、最も好ましくは少なくとも8重量%を占めるであろう。不必要に低い透明性又は明澄性を回避するために、ゴムホモポリマー含量は、総ゴム重量に基づき、望ましくは25重量%又はそれ以下、好ましくは20重量%又はそれ以下、より好ましくは16重量%又はそれ以下、最も好ましくは12重量%又はそれ以下である。
【0025】
HIPS成分は、ゴム成分からの総ジエン成分含量(即ち、HIPS成分の製造時にゴムコポリマー及びゴムホモポリマーの両方のゴム状共役ジエンに由来する量)が、HIPS成分の重量に基づき、約1重量%又はそれ以上、好ましくは1.5重量%又はそれ以上、より好ましくは2重量%又はそれ以上、更に好ましく2.5重量%又はそれ以上、最も好ましくは3重量%又はそれ以上である。約1重量%未満のゴム濃度は、望ましいレベルの機械的強度及び靭性を得ることができない。望ましい透明度を提供するためには、ゴム濃度は、HIPS成分の総重量に基づき、典型的には7重量%又はそれ以下、好ましくは6重量%又はそれ以下、より好ましくは5重量%又はそれ以下、更に好ましくは4重量%又はそれ以下である。
【0026】
理論によって拘束するものではないが、ゴム粒子中の広範な架橋を回避し且つゲル形成の可能性を減少させるためには、HIPSに基づき、7重量%又はそれ以下のようなより低いゴム濃度が望ましい。製造における剪断中にゴムの結着性を保持するためにはゴム中の若干の架橋が望ましいが、広範な架橋は、フィルム延伸中にゴム粒子が変形する能力を妨げる可能性がある。ゴム粒子がより高いアスペクト比を有する粒子に変形するにつれて、フィルムの明澄性及び透明性は増加する。架橋度がより小さいゴム粒子は、架橋度がより高いゴム粒子よりも容易に変形し且つその変形形状を持ち続ける傾向があるので、架橋度がより低い粒子は明澄且つ透明なフィルムにより修正可能である。架橋が不所望に広範となる具体的なゴム濃度を明確にすることは、それが具体的な加工条件によって決まるので、困難である。それでも、HIPS重量に基づき、12重量%又はそれ以上のゴム濃度は不所望に広範な架橋を生じる傾向がある。
【0027】
同様に、理論によって限定するものではないが、本発明のフィルムにとっては、より低いゴム濃度の結果としてのより低いゲル形成が有益であると考えられる。ゲルは、フィルム製造中に小さい粒子に剪断されることができないゴム凝集塊の広範な架橋によって形成される。架橋されたゲル凝集塊は、例えばブローンフィルム・プロセスにおいてバブル破裂を引き起こすことによって、フィルム製造を困難にする。ゲル凝集物はまた、フィルム品質に悪影響を与え、フィルム中の不均一な欠陥として現れ且つ巻き付けられたフィルムに凝集粒子上でへこみきずを生じる。へこみきずは、印刷時に、フィルム表面のへこみきずのできた箇所でインキの受理を妨げることによって、問題を引き起こす傾向がある。
【0028】
HIPS成分は更に、メチルエチルケトン/メタノール抽出によるゲル濃度が総HIPS成分重量に対して10重量%未満である。フィルムの明澄性を最大にするには、このような低いゲル濃度が望ましい。ゲル濃度の測定のために、特開2000−351860号公報(P2000−351860A)の方法と同様なメチルエチルケトン/メタノール抽出を実施する。要するに、室温(約23℃)において混合溶媒メチルエチルケトン/メタノール(容量比10:1)中にHIPSのサンプル(サンプル重量W1)を溶解させる。遠心分離によって不溶性フラクションを分離する。不溶画分を単離し、乾燥させる。単離され且つ乾燥させた不溶画分の重量はW2である。ゲル濃度(重量%)は100×W2/W1である。
【0029】
HIPS成分は1μm未満、好ましくは0.5μm又はそれ以下であって且つ一般に0.01μm又はそれ以上、好ましくは0.1μm又はそれ以上、より好ましくは0.3μm又はそれ以上の体積平均ゴム粒径を有する。このようなゴム体積平均粒径は、少なくとも1μmのゴム平均粒径を有する従来のHIPS材料とは異なる(例えば、当業界の技術を説明している米国特許第6897260B2号明細書,4欄,22〜34行を参照;法的に認められる最大限までこれを引用することによって本明細書中に組み入れる)。小さいゴム粒径は、より大きいゴム粒子を含むフィルムよりも高い明澄性及び低いヘイズを有するフィルムを生成する傾向があるので、望ましい。しかし、0.01μm未満のゴム粒子は、それらの透明性及び明澄性にもかかわらず、組成物の耐久性にはほとんど寄与しない傾向がある。
【0030】
HIPS成分中のゴム粒子は、粒子の大部分がより小さく且つ粒子の少量だけがより大きい広い粒径分布を有する。特に、粒子の約40〜約90体積%が約0.4μm未満の直径を有する分布を得るのが望ましい。それに対応して、粒子の約10〜約60体積%が約0.4μmより大きく2.5μm未満の直径を有し、好ましくは粒子の約15〜55体積%の、より好ましくは約20〜約50体積%が約0.5μm又はそれ以上で約2.5μm又はそれ以下の直径を有する比較的大きい粒子の分布を得るのが望ましい。好ましくは、比較的大きい粒子のこの成分については、粒子の指定した百分率量が約2μm未満、より好ましくは約1.5μm又はそれ以下、更に好ましくは約1.2μm又はそれ以下、更に好ましくは約1μm又はそれ以下の直径を有する。
【0031】
ゴム粒径は、ゴム粒子内のモノビニリデン芳香族ポリマーの全ての吸蔵(occlusion)を含む、ゴム含有粒子の尺度である。ゴム粒径の測定は、Beckham Coulter:LS230光散乱装置及びソフトウェアを用いて行う。製造業者取扱説明書及び文献(JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCE, Vol.77(2000),1165頁,Jun Gao及びChi Wu,”A Novel Application of Using a Commercial Fraunhofer Diffractometer to Size Particles Dispersed in a Solid Matrix”)は、Beckman Coulterを用いたゴム粒径の測定方法を提供する。好ましくは、この装置及びソフトウェアを用いてゴム粒径及び分布統計値を計算するための光学モデルは以下の通りである:(i)1.43の流体屈折率、(ii)1.57のサンプル実屈折率及び(iii)0.01のサンプル虚屈折率(屈折率の虚部)。
【0032】
HIPS成分中のゴム粒子の大部分、好ましくは70%又はそれ以上、より好ましくは80%又はそれ以上、より好ましくは90%又はそれ以上はコア/シェル粒子形態を有するであろう。コア/シェル形態は、ゴム粒子が薄い外殻を有し且つマトリックスポリマーの単一オクルージョンを中心に含むことを意味する。この型の粒子形態は通常、「単一オクルージョン」又は「カプセル」形態と称する。これに対して、用語「エンタングルメント(entanglement)」又は「気泡質(cellular)」形態は、「絡合(entangled)」、「多重オクルージョン(multiple occlusion)」、「ラビリンス(labyrinth)」、「コイル」、「オニオンスキン」又は「同心円」構造を含む種々の他のより複雑なゴム粒子形態を意味する。HIPS成分の透過電子顕微鏡写真における500個の粒子からの数的百分率として、コア/シェル形態を有するゴム粒子の百分率を求める。
【0033】
HIPS成分中のコア−シェル粒子は、剪断下に(即ち延伸プロセス中に)伸張するが破壊されないであろう程度まで架橋させる。それらの薄壁(コポリマーゴムの存在によって生じる高い相溶性の結果として)は更に薄くなるが無傷のまま、必要とされる機械的及び引裂強度特性を提供するであろう。推定するところ、フィルム延伸時には、延伸ゴムの形態は、おそらく系中の多重吸蔵粒子が少量である結果として、極めて薄いリボン状ゴムの共連続分布に非常に近い。非常に薄いシェル壁は、より厚い壁によって生じるであろうよりも良好であって、且つ延伸時に非常に薄いリボンとしては分布しない残留気泡質又は多重吸蔵粒子が存在した場合よりも明らかに優れている光の透過率を有する。
【0034】
HIPS成分は、鉱油又は他の可塑剤のような他の添加剤を任意選択で含まないか又は任意選択で含む。適当な量の鉱油は、破断点伸びのような機械的性質を改善することができる。HIPS成分は、HIPS成分の総重量に基づき、典型的には少なくとも約0.4重量%、好ましくは0.6重量%又はそれ以上、より好ましくは0.8重量%又はそれ以上、更に好ましくは1重量%又はそれ以上の鉱油を含む。望ましい明澄度を得るためには、HIPS成分は、HIPS成分の総重量に基づき、一般に約3重量%未満、好ましくは2.8重量%又はそれ以下、より好ましくは2.6重量%又はそれ以下、最も好ましくは2.4重量%又はそれ以下の鉱油を含む。
【0035】
HIPS成分としての使用に適当な材料は、U.S. Pregrant Publication 2006−0084761(発明の名称:IMPROVED RUBBER MODIFIED MONOVINYLIDENE AROMATIC POLYMERS AND THERMOFORMED ARTICLES)に記載されたものである。
【0036】
HIPS成分は、ゴム粒径分布が比較的広く且つゴム粒子の大部分がコア−シェル形態を有する点で、標準的な塊状重合又は溶液重合HIPSとは異なる。これに対して、従来のHIPS樹脂は、比較的狭い粒径分布を有し且つ又は主に又は少なくともより大きい割合の気泡質多重吸蔵粒子構造を有する傾向がある。
【0037】
本発明の組成物及びフィルムは、存在するポリマーの総量に基づき、好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、最も好ましくは少なくとも約25重量%で且つ好ましくは最大でも約70重量%、より好ましくは最大でも約65重量%、最も好ましくは最大でも約60重量%のHIPS成分を含む。
【0038】
本発明のフィルム中のHIPS成分に由来する総ゴム含量(コポリマー及びホモポリマーからの総ジエン含量に基づく)は、フィルム総重量に基づき、1重量%又はそれ以上、好ましくは3重量%又はそれ以上であって且つ5重量%又はそれ以下である。
【0039】
本発明のフィルムのポリマー組成物は、汎用ポリスチレン(GPPS)とも称する結晶ポリスチレンを含む。本発明に使用するGPPSは望ましくは200,000g/molより大きい、好ましくは280,000g/mol又はそれ以上であって且つ350,000g/mol又はそれ以下、好ましくは320,000g/mol又はそれ以下の重量平均分子量を有する。重量平均分子量の測定は、ゲル透過クロマトグラフィーと既知の標準を用いて行う。GPPSは望ましくは1グラム/10分(g/10min)又はそれ以上、好ましくは1.2g/10min又はそれ以上であって望ましくは3g/10min又はそれ以下、好ましくは2g/10min又はそれ以下のメルトフローレート(MFR)を有する。MFRの測定は、ASTM法D1238に従って行う。GPPSは、鉱油、エチレン若しくはプロピレングリコール、フタル酸エステル類又はスチレン系オリゴマーのような可塑剤を含まなくてよいし、或いは含んでもよい。可塑剤は、存在する場合には、GPPS重量に基づき、典型的には4重量%又はそれ以下、好ましくは3重量%又はそれ以下の濃度で存在する。存在する場合には、可塑剤は典型的にはGPPS重量の1重量%又はそれ以上を占める。適当なGPPSの例としては、STYRON(登録商標)665汎用ポリスチレン(STYRONはThe Dow Chemical Companyの商標である)、STYRON 663、STYRON 685D、STYRON 660及びSTYRON 6856Eが挙げられる。
【0040】
本発明の組成物及びフィルムは、存在するポリマーの総量に基づき、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、最も好ましくは少なくとも35重量%であって且つ好ましくは最大でも約50重量%、より好ましくは最大でも約45重量%、最も好ましくは最大でも約40重量%のGPPS成分を含む。
【0041】
配合物の第3成分は少なくとも1種のスチレンブロックコポリマーである。用語「スチレンブロックコポリマー又はスチレン系ブロックコポリマー」は、スチレン系モノマーの少なくとも1つのブロックセグメントを少なくとも1つの飽和又は不飽和ゴムモノマーセグメントと一緒に含む、より好ましくはゴムでもスチレン系でもないポリマーのブロックは有さないポリマーを意味する。不飽和ゴムモノマーを有する適当なスチレンブロックコポリマーとしては、スチレン−ブタジエン(SB)、スチレン−イソプレン(SI)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレン、α−メチルスチレン−イソプレン−α−メチルスチレンなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。用語「スチレンブタジエンブロックコポリマー」は、本明細書中ではSB、SBS並びにスチレン及びブタジエンのより多数のブロックを含めて用いる。同様に、用語「スチレンイソプレンブロックコポリマー」は、スチレンの少なくとも1つのブロック及びイソプレンの少なくとも1つのブロックを有するポリマーを含めて用いる。本発明において有用なスチレンブロックコポリマーの構造は、線状又は放射型であって、ジブロック、トリブロック又はそれ以上のブロック型であることができる。いくつかの実施態様においては、少なくとも4種の異なるブロック又は1対の2種の反復ブロック、例えばスチレン/ブタジエン若しくはスチレン/エチレンプロピレン反復ブロックを有するスチレン系ブロックコポリマーが望ましい。スチレンブロックコポリマーは充分に当業界における技術の範囲内であり、Dexco Polymersから商標VECTORとして、KRATON Polymersから商標KRATONとして、Chevron Phillips Chemical Co.から商標SOLPRENE及びK−Resinとして、並びにBASF Corp.から商品名Styroluxとして市販されている。スチレンブロックコポリマーは任意選択で単独で又は2種若しくはそれ以上の組合せで使用する。
【0042】
ブロックコポリマーのスチレン系部分は好ましくは、スチレン又はその類似体若しくは同族体のポリマー又はインターポリマー、例えばα−メチルスチレン及び環置換スチレン類、特に環メチル化スチレン類である。好ましいスチレン系モノマーはスチレン及びα−メチルスチレンであり、スチレンが特に好ましい。
【0043】
ブロックコポリマーのゴム部分は任意選択で不飽和又は飽和である。不飽和ゴムモノマー単位を有するブロックコポリマーは、ブタジエン又はイソプレンのホモポリマー及びこれらの2種のジエンの一方又は両方と微量のスチレン系モノマーとのコポリマーを含むことができる。使用するモノマーがブタジエンである場合には、ブタジエンポリマーブロック中の縮合ブタジエン単位の約35〜約55モル%は1,2−配置を有するのが好ましい。このようなブロックを水素化する場合には、得られる生成物はエチレンと1−ブテンとの規則的コポリマーブロック(EB)であるか又はそれに類似している。使用する共役ジエンがイソプレンである場合には、得られる水素化生成物はエチレンとプロピレンとの規則的なコポリマーブロック(EP)であるかそれに類似している。好ましいブロックコポリマーは不飽和ゴムモノマー単位を有し、より好ましくはスチレン単位の少なくとも1つのセグメントとブタジエン又はイソプレンの少なくとも1つのセグメントを含み、SBS及びSISが最も好ましい。フィルムの製造にキャストテンターライン(cast tenter line)を用いる場合には、これらのうちでスチレンブタジエンブロックコポリマーが好ましい。これは、スチレンブタジエンブロックコポリマーがSISに比較してより高い明澄度及びより低いヘイズを有するためである。しかし、ブローンフィルム・プロセスにおいては、スチレンイソプレンブロックコポリマーが、SBSに比較して製造中に架橋してゲルを形成する傾向がより低いので、好ましい。
【0044】
スチレンブロックコポリマーのうちでは、明澄性、耐衝撃性及びエラストマー的挙動のうち1つ、好ましくは2つ又はより好ましくは3つ全てを有するものが望ましい。
【0045】
本発明の実施において、靭性とブロックコポリマーの不存在下で得られるであろうよりも低い剛性を提供するのには、エラストマー系スチレンブロックコポリマーが好ましい。エラストマー的挙動は、ASTM D−412及び/又はD−882の方法によって測定した場合に、有利には少なくとも約200%、好ましくは少なくとも約220%、より好ましくは少なくとも約240%、最も好ましくは少なくとも約260%であって且つ好ましくは最大でも約2000%、より好ましくは最大でも約1700%、最も好ましくは最大でも約1500%の破断点引張%伸び(tensile percent elongation at break)の性質によって示される。工業的には、この型のほとんどのポリマーは10〜80重量%のスチレンを含む。特定の型及び形態のポリマーの範囲内では、スチレン含量が増加するにつれて、ブロックコポリマーのエラストマー性が低下する。
【0046】
ブロックコポリマーは望ましくは少なくとも約2グラム/10分(g/10min)、好ましくは少なくとも約4g/10minであって且つ望ましくは最大でも20g/10min、好ましくは最大でも30g/10minのメルトフローレート(MFR)を有する。MFRの測定は、ASTM法D1238 Condition Gに従って行う。
【0047】
好ましいスチレンブロックコポリマーは透明度が高く(高い、即ち好ましい範囲の明澄度を有する)、ASTM D1746によって測定した場合に、少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%の可視光透過率に相当する明澄度を有する。この透明度は、典型的には約20nmである非常に小さいドメインサイズによると考えられる。ブロックコポリマーにおいて、ドメインサイズは主としてブロックの分子量によって決定される。
【0048】
スチレンブロックコポリマーはまた好ましくは、スチレンブロックコポリマーを含まない以外は同じ組成(成分の割合)を有するフィルムの耐久性に比較して、フィルム用途において耐久性を増すのに充分に耐衝撃性である。ノッチ付きアイゾッド耐衝撃性は、ASTM D−256の方法に従って測定し、72°F又は23℃において試験した場合に非破壊状態を生じるのが好ましい。
【0049】
特に好ましいスチレンブタジエンブロックコポリマーは、コアにポリブタジエン及びアームの先端にポリスチレンを有する放射状又は星形ブロック構造を有する。このようなポリマーを本明細書中では星形スチレンブタジエンブロックコポリマーと称し、当業者の技術の範囲内であり、Chevron Phillips Chemical Co.から商品名K−Resinとして市販されている。これらのポリマーは、約27%又はそれ以上のブタジエンを星形ブロックの形態で含み、多くの場合、ポリスチレンの二峰性分子量分布を特徴とする。内側ポリブタジエンセグメントはほぼ同じ分子量を有するが、外側ポリスチレンセグメントは種々の分子量を有する。この特徴は、改善された明澄度を得るためのポリブタジエンセグメントの厚さの制御を容易にする。高い明澄度のためには、ポリブタジエンセグメントの厚さは好ましくは可視スペクトルの波長の約1/10又はそれ以下である。
【0050】
スチレンブロックコポリマー成分は、他の成分は含むがこのブロックコポリマーは含まない組成物よりも、靭性を改善し且つ剛性を低下させるのに有用である。しかし、高量のスチレン−イソプレン−スチレン成分の組み込みは、フィルムの明澄性及び透明性を損なう傾向があり得る。スチレンブロックコポリマーは、フィルム又は組成物中のポリマーの好ましくは少なくとも約2重量%、フィルム中又はフィルムの製造に使用するブレンド(組成物)中のポリマーの重量に基づき、より好ましくは少なくとも約3重量%、最も好ましくは少なくとも約4重量%であって、好ましくは最大でも約80重量%、より好ましくは最大でも約75重量%、最も好ましくは最大でも約70重量%の量で存在する。これらの好ましい量の範囲内において、ブロックコポリマーがスチレン−ブタジエンブロックコポリマー、即ち好ましくはSB又はSBSである場合には、その量はフィルム又は組成物中のポリマーの総重量に基づき、好ましくは少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、最も好ましくは少なくとも約40重量%であって且つ好ましくは最大でも約80重量%、より好ましくは最大でも約75重量%、最も好ましくは最大でも約70重量%である。80重量%を超えるブタジエンブロックコポリマーは、1%割線モジュラス及びガラス転移温度を不所望に低下させる傾向があるので、フィルムはひょっとすると低温で、例えば約80℃未満で収縮する。一方、SIS及びSIS/SIは約10重量%又はそれ以上の量である場合には曇りを生じる可能性があるので、これより低い百分率のスチレン−イソプレンブロックコポリマー成分が好ましい。スチレンイソプレンブロックコポリマーが存在する場合には、その量は、ブレンド又はフィルム中のポリマーの総重量に基づき、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約2重量%、最も好ましくは少なくとも約3重量%であって且つ好ましくは最大でも約9重量%。より好ましくは最大でも約8重量%、最も好ましくは最大でも約6重量%である。これらの量は、SIS又はSIブロックコポリマーを単独で使用する場合であっても又は他のスチレンブロックコポリマーと組合せて使用する場合であっても、好ましい。
【0051】
本発明のフィルムは、フィルムの形成又は加工時に最も大きい伸張を受ける方向の配向が優先的である配向を有する。得られたフィルムは、フィルムの製造時により多く伸張された方向において優先的に収縮する。機械方向(MD)は、フィルムの押出又はブローイング(blowing)中又はその後においてフィルム輸送方向である。横断方向(TD)は、フィルム輸送方向(MD)に垂直である。横断方向(TD)よりも機械方向(MD)に大きい伸張を適用する場合には、収縮は優先的に機械方向配向(MDO)であり、機械方向よりも大きい伸張を横断方向に適用する場合には、収縮は優先的に横断方向配向(TDO)である。優先的なTDOは、本発明のフィルムを、例えばスリーブラベルにおいて、加熱時に主としてTDに収縮させる。優先的なMDOは、ROSOラベルに通常使用されるのであるが、TD方向よりも機械方向においてより大きい収縮をもたらす。
【0052】
本発明のフィルムは、有利には少なくとも約3:1、好ましくは少なくとも約4:1、より好ましくは少なくとも約5:1、更に好ましくは少なくとも約6:1のMDO又はTDO比(最も伸張された方向、それぞれMD又はTDにおける延伸長さ対非延伸長さの比)を有する。フィルムは典型的には、シュリンクチューブラベル用途において有用であるようにそれらのMDO比より大きいTDO比、又はROSOラベルフィルムにおいて有用であるようにTDO比よりも大きいMDO比を有する。スリーブ用途のためのTDO又はROSO用途のためのMDOが3:1未満であるフィルムは、シュリンクラベル用途において容器にぴったり密着するには不充分な、利用法によってMDO又はTDOである方向性配向(DO)を有する傾向がある。DO比にはっきりした上限はないが、フィルムは典型的には10:1又はそれ以下のDO比を有する。10:1より大きいDO比を有するフィルムは、ラベル用途において、ボトル周囲にラベルを保持するグルーシーム(glue seam)が脆弱化するか又は機能しなくなり得るほど、容器周囲で収縮するおそれがある。
【0053】
MDO比及びTDO比の測定は、MD及びTDの両方向において4”(10.16cm)の配向フィルムサンプル(即ち、正方形のサンプル)を用いることによって行う。サンプルを120℃の加熱エアオーブン中に10分間入れ、次いでMD及びTDの寸法を再び測定する。予熱されたMD及びTD寸法:後加熱されたMD及びTD寸法の比はそれぞれMDO及びTDO比に相当する。
【0054】
本発明のフィルムは、より伸張された方向で110℃、好ましくは100℃において、望ましくは少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%、有利には少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、最も好ましくは少なくとも約70%の収縮率を示す。20%未満の収縮率は、フィルムが容器外形にぴったりと密着できる程度を不所望に制限する傾向がある。方向性収縮の程度の上限は不明であるが、100%未満であろう。
【0055】
フィルムは、最小収縮の方向で100℃、好ましくは110℃において、望ましくは少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約7%、最も好ましくは少なくとも約10%の逆方向収縮率を示す。より収縮の少ない方向の収縮が約5%未満であるフィルムは、取り扱い時において結着性が不良であり且つ屈曲時に破断する傾向がある。従って、フィルム結着性を向上させるためにはある程度の延伸及び収縮が望ましい。伸張の少ない方向における広範な収縮は、フィルムの縮小、従って他の方向におけるラベルのゆがみを生じることによって、シュリンクラベル用途におけるフィルム性能を妨げる。従って、本発明のフィルムは、伸張の少ない方向において、典型的には、最大でも約1.2:1、好ましくは最大でも1.15:1の延伸比を有し、これは最大でも約20%、好ましくは最大でも約15%の収縮に相当する。
【0056】
本発明のフィルムは更に望ましくは、110℃、好ましくは100℃において一次延伸の反対の方向である主収縮方向と反対の方向において長さ増加(伸び)がせいぜい約10%である。(指定温度においてその方向で20%より大きく収縮するか又は10%より多く伸びるフィルムは、その方向のゆがみのために、シュリンクラベル用途における容器へのフィルムの適合を複雑にする傾向がある。)収縮率の測定は、ASTM法D−1204に従って行う。本発明のフィルムは更に望ましくは、USP 6.897.260B2よる試験方法において意図的には伸張させない方向又は伸張の少ない方向で比較的少ない伸びを示す。
【0057】
HIPS成分の存在は、本発明のフィルムに望ましい高い明澄度及び透明度を与えると同時に、フィルムの靭性を増大させる。明澄性及び透明性は、ラベル業界において、周囲にラベルが存在する製品をぼやけずに見えるようにするために望ましい。高い明澄度及び透明度はまた、ラベルと容器の間に印刷が存在し且つ消費者がラベルを通して印刷を見るラベルの「裏面」印刷に望ましい。典型的には、本発明のフィルムは、業務用機器、即ち商業用ラベルフィルムの製造に使用される装置上で製造した場合に、2.0mil(50μm)のフィルム厚において少なくとも約10、有利には少なくとも約15、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25、最も好ましくは少なくとも約30の明澄度値を有する。当業者には、より厚いフィルムは、同様にして製造された同一組成のより薄いフィルムよりも低い明澄度を有するであろうことがわかる。明澄度の測定は、ASTM法D−1746に従って行う。
【0058】
ヘイズ値もまた、フィルムの観察される明澄度の指標を提供し、低いヘイズは高い明澄度に相当する。本発明のフィルムのヘイズ値は、任意の考えられる値に及ぶことができる。しかし、本発明の1つの利点は、高い明澄度及び低いヘイズを有する配向フィルムを得られることである。フィルム厚2.0mil(50μm)の本発明のフィルムの典型的なヘイズ値は、最大でも約15、好ましくは最大でも約10、より好ましくは最大でも約6、最も好ましくは最大でも約4である。ヘイズの測定は、ASTM法D−1003に従って行う。
【0059】
スチレン系フィルムは、有利には、例えば配向ポリプロピレン又は配向ポリ塩化ビニルフィルムよりも高い割線モジュラスを有する。シュリンクラベルフィルムの割線モジュラスの増加は、印刷中のフィルムの伸張可能性を妨げるために望ましい。結果として、本発明のフィルムは、HIPS成分を含まないより低い割線モジュラスを有するフィルムに比較して、フィルム破損又はゆがみのリスクなしで、より速い印刷速度で進むことができる。本発明のフィルムは、MD及びTDの両方における1%割線モジュラスが、少なくとも約90,000ポンド/平方インチ(psi)(620メガパスカル(MPa))、好ましくは少なくとも約100,000psi(690MPa)、より好ましくは少なくとも約200,000psi(1,380MPa)である。1%割線モジュラスの測定は、American Society for Testing and Materials(ASTM)法D−882によって行う。
【0060】
高割線モジュラスを有するフィルムと同様に、印刷プロセスにおいて伸張することなく、より低い引張応力を有するフィルムに比べてフィルムがより速く且つより高い張力下で進むことができるように、高い破断点引張応力(特にMDにおいて)を有するフィルムが望ましい。望ましくは、本発明のフィルムは、破断点引張応力が少なくとも約2,000psi(14MPa)、好ましくは少なくとも約2,500psi(17MPa)、より好ましくは少なくとも約3000psi(21MPa)、最も好ましくは少なくとも約4,000psi(28MPa)である。破断点引張応力の測定は、ASTM D−882によって行う。
【0061】
フィルムを引き裂くことなく、高速加工装置を用いてフィルムの印刷及び取り扱いができるためには、高い破断点引張歪を有するフィルムが望ましい。望ましくは、本発明のフィルムは、両試験方向において少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約35%、より好ましくは少なくとも約40%、最も好ましくは少なくとも約45%の破断点引張歪を有する。破断点歪パーセントの測定は、ASTM D−882によって行う。望ましくは、本発明のフィルムは、ASTM D−882の方法によって測定した靭性が、少なくとも約2,000psi(14MPa)、好ましくは少なくとも約2,500psi(17MPa)、より好ましくは少なくとも3000psi(21MPa)、最も好ましくは少なくとも約4,000psi(28MPa)である。
【0062】
本発明のフィルムは一般に少なくとも約1mil(25μm)、好ましくは少なくとも約1.5mil(38μm)であって且つ一般に最大でも約4mil(100μm)、好ましくは最大でも約3mil(76μm)の厚さを有する。1mil(25μm)未満の厚さでは、フィルムは加工及び取扱中の切断が不所望に困難な傾向がある。4mil(100μm)を超える厚さは技術的には達成可能であるが、一般に経済的に望ましくない。
【0063】
本発明のフィルムは、望ましくは400psi(2758kPa)又はそれ以下の配向緩和応力(orientation release stress)(ORS)を有する。ORSは、フィルムが加熱時の収縮の間に受ける応力の指標である。シュリンクフィルムのORS値は低下させるのが望ましい。シュリンクフィルムは、典型的には、少なくとも一端が、フィルムが周囲に適用された容器に接着されている。高ORS値を有するラベルは、容器周囲のラベルを固定するグルーシームに収縮中に充分な応力を加えて、シームを損傷又は破断する可能性がある。ORS値を低下させると、収縮中にシームライン(フィルム・オン・フィルム)が損傷を受けるか破断される可能性が低下する。
【0064】
本発明のフィルムの製造は、ブローンフィルム・プロセス及びキャストテンタリング・プロセスを含む任意の配向フィルム製造方法によって行う。特に望ましいのは、米国特許(USP)第6,897,260号及び英国特許(GBP)第862,966号(いずれも引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載されたようなブローンフィルム・プロセスである。
【0065】
意図的せぬ架橋を回避するために、加工温度及び滞留時間は最小にする必要がある。溶融温度は好ましくは約230℃未満、好ましくは約220℃未満、より好ましくは約210℃未満である。そのプロセスの溶融温度が高いほど、ポリマーは、許容され得ない分解前にその温度に保持される時間が短い可能性がある。例えば、約230℃を超える温度への暴露は、好ましくは約10分未満に、より好ましくは約7分未満に、最も好ましくは約300秒未満に限定される。
【0066】
本発明のフィルムを製造するための1つの適当な方法(「方法A」)は、USP6,897,260又はGBP862,966に記載された装置を用いたブローンフィルム・プロセスである。装置にポリマーペレットを供給し、170〜100℃の範囲内の温度を有するポリマーメルトにそれらを加工し;次いで、ポリマーメルトを130〜170℃の範囲内の温度に冷却して溶融粘度を増加させてから、ポリマーメルトをブローンフィルムダイを通して気体雰囲気中に押出す。気体雰囲気を、ポリマーメルト中の各ポリマー組成物成分(HIPS成分並びに存在するならば、CPPS及び/又はスチレンブロックコポリマー成分)の加熱撓み温度よりも少なくとも40℃低い温度に保持する。押出されたポリマーメルトのブローを、GBP862,966のバブルプロセスによって行う。
【0067】
本発明のフィルムの製造に適当な別の考えられるブローンフィルム・プロセス(「方法B」)は2つの押出機(押出機1及び押出機2)を直列で用いる。押出機1は、それぞれが155〜200℃の温度に設定された5つのバレルゾーンを有する、直径2−1/2インチ(6.35cm)の24:1一軸スクリュー押出機であり、典型的には押出機の下流に向かって温度が増加していく。押出機2は、1つのバレル混合スクリュー及びそれぞれが典型的には115〜175℃の温度に温度整定値を有する5つのバレルゾーンを有する、直径3−1/2インチ(8.89cm)の32:1一軸スクリューである。ポリマーペレットを押出機1に供給してポリマーを可塑化させ、そのポリマーを200〜260℃において押出機2にポンプ輸送する。ポリマーは押出機1からトランスファーラインを通って押出機2の入口まで進む。押出機2中のポリマーを、安定なバブルを獲得し且つフィルムの配向緩和応力(ORS)を望ましい値まで最適化するために、150〜190℃の間で選択された溶融温度(押出温度)まで冷却する。押出機2の壁を冷却することによって、ポリマーを冷却する。押出機2からのポリマーを3.25インチ(8.3cm)の環状ダイを通して、次いで直径4.5インチ(11.4cm)のエアリングを通して押出し、そして典型的には9インチ(22.9cm)〜24インチ(63.5cm)範囲の直径を有するバブルにポリマーをブローするか又は膨張させる。GBP862,966のバブルブローイング・プロセスを用いる。
【0068】
別の実施態様において、フィルムの製造に好ましい方法は、キャストテンタリング法(「方法C」)である。最初に、フィルム又はシートをキャスト(流延)し、即ち、押出システムによって供給されたメルトから自立フィルム又はシートを形成する。樹脂をスリットを通して、冷却された平滑なキャストロール(温度約30〜約70℃)上に厚さ約0.3〜2.5mmのフラットシートとして押出して、単層フィルムを形成する。キャストロールの速度を、フィルムの厚さが約0.3〜約1mmとなるように調整する。このフィルム又はシートは、ローラーによってテンターフレームを含む加熱室に運ばれる。約95〜約150℃の、フィルムの組成に応じた温度において引裂を生じずに伸張させるのに充分な加熱をフィルム又はシートに行うために、加熱室中の空気を充分に加熱する。テンターフレームは、一定の角度で発散する2つの並列エンドレスチェーンを有する。フィルムはフィルムクリップによってこれらのチェーン上に固定させる。ポリマーがチェーンに沿って輸送されるにつれて、これらのチェーンの発散がポリマーを強制的に伸張させ、所望の配向を与える。伸張速度はチェーン速度、発散角及び配向度によって決定される。前述の伸張量と対応する収縮量を得るために、(系に入るフィルムの幅)対(系から出ていくフィルムの幅)の比によって配向度を求める。これは主としてTD配向を与える。次に、フィルムを所望ならばアニールし、緩和させる。ほとんどの場合、フィルムの縁端部は細長く切り取り、粉砕し、リサイクルする。フィルムは任意選択で全幅を巻くか、又はより狭い幅に分割し、任意選択で印刷適性を向上させるために処理してから、更なる加工のためにロール上に巻き付ける。所望ならば、前述の配向度までの機械方向配向の付与を、フィルム又はシートが伸張できる充分に温かい任意の段階(例えば、フィルム又はシートを形成時であって急冷前、TD配向のための加熱時)において逐次的に速くなるローラーによる機械方向延伸によって、又は別の工程で、行う。
【0069】
本発明のフィルムは、熱によって誘発される収縮が有効である全ての用途において有用である。本発明のフィルムはシュリンクラベルとして特に有用である。本発明のフィルムを本発明のシュリンクラベルに加工するためには、フィルムを望ましい幅に切断し且つフィルムの面をコロナ処理し(任意の順序で)、次いでフィルムのコロナ処理面に印刷を行う。裏印刷ラベルを作成するためには、印刷はフィルムの「裏」面に存在できる。フィルムがシュリンクラベル用途において容器の周囲にある場合、フィルムの裏面が容器に接触して存在し、裏面の印刷をフィルムを通して見る。これらの工程は典型的には、当業界で有用な任意の方法によって連続ウェブプロセスで実施する。
【0070】
本発明のフィルム及びラベルはまた、有利にはフィルム又はラベルを貫通するパーフォレーション(perforation)を有することができる。パーフォレーションは最も望ましくは、フィルムが周囲に適用された容器の最も狭い1つ又は複数の部分に隣接したフィルムの部分に配置する。パーフォレーションは、そうしなければラベルと容器との間に捕捉される傾向がある気体を逃がし、それによってラベルを容器によりぴったりと密着させる。本発明のフィルム及びラベルは、フィルム表面全体に均一に分散されたパーフォレーションを含むか、或いはフィルム(又はラベル)が周囲に存在するであろう容器の最も狭い部分と一致するフィルム(又はラベル)の領域の隣接域に限定して配置された、有利には容器の最も狭い部分と一致するフィルム(又はラベル)の領域に限定して配置されたパーフォレーションを含む。本発明のフィルム及びラベルのパーフォレーションはどの時点でも施すことができるが;ラベルの印刷を容易にするためには、印刷後にフィルム及びラベルにパーフォレーションを施すのが望ましい。
【0071】
本発明の目的及び利点を以下の実施例によって更に説明する。これらの実施例中に列挙した個々の材料及びその量並びに他の条件及び詳細は、本発明を限定するために使用すべきではない。特に断らない限り、全ての百分率、部及び比は重量に基づく。本発明の実施例には番号を付け、本発明の例ではない比較サンプルはアルファベットで表した。
【0072】
実施例1〜3及び比較サンプルA、B及びDのためのHIPS−X成分
実施例1〜3及び比較サンプルA、B及びDは以下においてHIPS成分としてHIPS−Xを用いる。HIPS−Xの製造は、例えば以下の連続法で、直列で動作する3つの撹拌反応器を用いて行う。ゴム供給材料溶液の製造は、表Iのゴム成分をスチレン中に、Diene 55 1部対Buna 6533 15部(即ち、総ゴム供給材料溶液に基づきDiene 55 0.3重量%及びBuna 6533 4.5重量%)のゴム成分比で溶解させることによって行う。鉱油(動粘性率70センチストーク)2.5重量%及びエチルベンゼン7重量%を前記ゴム供給材料液に混和して、供給材料流を形成する(重量%は総供給材料流の重量を基準とする)。最終生成物中のレベルが約1200ppmとなるように、0.1重量%のAntioxidant Irganox 1076を加える。100重量%までの供給材料の残りはスチレンである。第1反応器に750g/時(g/h)の速度で供給材料流を供給する。供給材料流中のゴムブレンド含量並びに反応器へのスチレン及びゴムの供給速度は、4重量%のブタジエンを含むゴム改質ポリスチレン生成物(HIPS−X)を生成するように目標設定する。
【0073】
3つの反応器はそれぞれ、温度制御が独立した3つのゾーンを有する。以下の温度プロフィール:125、130、135、143、149、153、157、165、170℃を用いる。第1反応器中では80回転/分(RPM)、第2反応器中では50RPM及び第3反応器中では25RPMで撹拌する。連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン又はnDM)100ppmを第1反応器の第2ゾーン中に加える。
【0074】
脱揮押出機(devolatilizing extruder)を用いて、残留スチレン及びエチルベンゼン希釈剤を蒸発させ且つゴムを架橋させる。脱揮押出機の温度プロフィールは、バレルの最初、中間ゾーン及び最終ゾーンにおいて240℃である。スクリュー温度は220℃である。
【0075】
以下の試験方法(又は本明細書中に前に明示した方法)を用いて、HIPS−Xを特性決定する:メルトフローレート:ISO−133;PSマトリックス分子量分布:PS較正ゲル透過クロマトグラフィー;ゴム粒径:Beckman Coulter製のLS230装置及びソフトウェアを用いた光散乱;引張降伏、伸び及びモジュラス:ISO−527−2。
【0076】
HIPS−Xのゲル濃度をメチルエチルケトン抽出によって求める。HIPS−Xの分析のために、HIPS−Xのサンプル0.25gとメチルエチルケトン/メタノール混合物(容量比10:1)を既知重量のチューブ中に入れ且つリストシェーカー上で室温(23℃)において2時間撹拌することによって、HIPS−Xのサンプルをメチルエチルケトン/メタノール混合物中に溶解させる。チューブを高速遠心分離機中に入れ且つ5℃において19500回転/分で1時間回転させることによって、不溶画分を単離する。過剰の液体をデンカントによって取り除き、チューブを150℃の真空オーブン中に2〜5mmHgの真空において45分間入れる。オーブンからチューブを取り出し、約23℃まで冷却させる。測定するチューブを秤量し、チューブの既知重量を差し引いて、ゲル重量を求める。ゲル重量÷0.25g×100は、総HIPS−X重量に対する重量%ゲル含量となる。
【0077】
【表1】

【0078】
HIPS−Xは0.35μmの体積平均ゴム粒径を有し、粒子の65体積%が0.4μm未満の粒径を有し、粒子の35体積%が0.4〜2.5μmの粒径を有する。HIPS−Xは、HIPS−X重量に基づき、総ゴム濃度が5.98重量%の場合には、ブタジエンホモポリマー0.38重量%及びスチレン/ブタジエンコポリマー5.6重量%のゴム濃度を有する。HIPS−Xは、総HIPS−X重量に対して約8重量%のゲル濃度を有する。HIPS−Xは鉱油2重量%を含み、7.0g/10minのMFR、101℃のビカー軟化温度(Vicat temperature)、20メガパスカル(Mpa)の引張降伏、25%の破断点伸び及び2480Mpaの引張弾性率を有する。
【0079】
本発明の実施例及びいくつかの比較サンプルにおいては、HIPS−Xの他に以下の材料を用いる:
【0080】
GPPS−1は、The Dow Chemical Companyから商品名STYRON(登録商標)665 Polystyrene Resinとして市販されている、400,000psi(2750Mpa)の引張弾性率を有する汎用ポリスチレンである。
【0081】
Block−1は、Chevron−Phillips Chemical Companyから商品名K−Resin(登録商標)KK38スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂として市販されている、30重量%より多いジエン含量及び200,000(1380Mpa)未満の曲げ弾性率を有するスチレン−ブタジエン(SB)ブロックコポリマーである。
【0082】
Block−2は、Dexco Polymers LPから商品名VECTOR(登録商標)4114A Styrene−Isoprene−Styrene/Styrene−Isoprene SIS/SI Styrenic Block Copolymerとして市販されている、スチレン含量約15重量%及びSHORE A硬度24(ASTM D−2240)を有するスチレン−イソプレン−スチレン/スチレン−イソプレン(SIS/SI)ブロックコポリマーである。
【0083】
Block−3は、Dexco Polymers LPから商品名VECTOR(登録商標)4111A Styrene−Isoprene−Styrene (SIS) Styrenic Block Copolymerとして市販されている、スチレン含量約18重量%及びSHORE A硬度39のスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマーである。
【0084】
Block−4は、BASF Corporationから商品名Styrolux(登録商標)3G55 Q420スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーとして市販されている、スチレン含量70〜80重量%及び引張弾性率120,000psi(825Mpa)を有する熱可塑性スチレン−ブタジエンブロックコポリマーである。
【0085】
実施例1〜3及び比較サンプルA〜Dのための操作
以下の各例中において、表IIに挙げた各成分はペレットの形態であり、タンブラーブレンダー中にすくい入れ、タンブラーブレンダー中で成分を約2分間混合して、混合物を形成する。添加剤は添加しないが、使用する市販ポリマーのいくつかは市販時に添加剤を含んでいる可能性があることがわかっている。
【0086】
前記混合物を、それぞれが24:1の長さ対直径(L/D)比を有する直径1インチ(2.54cm)の3つの押出機のそれぞれに入れる。混合物を、押出機に内蔵のヒーターによって390°F(198℃)の温度まで加熱する。フィルムを、0.040インチ(0.10cm)の間隙を有する10インチ(25.4cm)インチ幅のスリットを有するダイに通して、水/グリコールで冷却された平滑なキャストロール上にキャストするまで、その温度を保持して、いずれの場合にも単層フィルムを形成する。各実施例又はサンプルの欄に記載した厚さを生じるように、キャストロールの速度を調整する。
【0087】
フィルム実施例及びサンプルを次に4”(10.16cm)平方に切断し、Somerville,N.J.のT.M.Long Co.,Incから市販されているT.M.Long Film Stretching Machineによって伸張させる。フィルム伸張機は、サンプルの4つの縁端部のそれぞれに対して数個のエッジクランプを備えたサンプルホルダーを有する。クランプによって空中につるされたサンプルに向かって、熱風を下方から吹き付ける。分流加減器(diverter)はサンプルホルダーの下方にあって、サンプルへの直接吹き付けから熱風をそらす。分流加減器がない場合には、熱風はサンプル上に吹き付ける。各フィルム実施例又はサンプルを、表IIに示した空気温度において1分間、表IIに示された期間の間分流加減器を出し入れしながら、加熱する。次いで、サンプル又は実施例を、フィルムが押出の横断方向において元の寸法の4倍伸張されるまで0.4インチ/秒(1.0cm/s)の速度で伸張させ、機械方向においてはエッジクランプによって強制的に伸張ゼロとする。
【0088】
実施例及び比較サンプルにおいて、エッジクランプによるサンプルの引裂を回避するように、空気温度を変更する。特定の空気温度を、機械上のダイヤルインジケーターによって選択し、機械によって保持する。分流加減器が出入りする時間長は、伸張中のサンプルの引裂を回避するように選択する。これは、分流加減器が出入りする時間長にはサンプル温度を変化させる効果があるためである。
【0089】
実施例(Ex)1〜3及び比較サンプル(C.S.)A〜D
【0090】
【表2】

【0091】
表IIIは、Ex1〜3及びC.S.A〜Dに関するフィルム特性を示す。以下の試験方法を用いて、本開示全体にわたってフィルムを特性決定する。ヘイズは、ASTM法D−1003の方法に従って測定する。明澄度は、ASTM法D−1746の方法に従って測定する。引張応力及び歪、靭性及び割線モジュラスは、ASTM法D−882の方法に従って測定する。配向緩和応力(ORS)は、ASTM法D−2838の方法に従って測定する。自由大気収縮は、ASTM法D−1204の方法に従って測定する。
【0092】
【表3】

【0093】
実施例1〜3は、本発明の範囲内の種々の配合物を例示し、それらの特性がシュリンクラベルの製造にふさわしいことを示している。比較サンプルAは、過剰のSISの使用が、シュリンクラベルに望ましいよりも大きいヘイズをもたらすことを示している。比較サンプルBは、スチレンブロックコポリマーが存在しないとMD靭性がシュリンクラベルに有効であるよりも低くなることを示している。これは、このようなラベルは非延伸方向に容易に裂けるのが観察されるであろうためである。比較サンプルCは、HIPS−Xを含まないラベルが低いモジュラスを有することを示し、このような配合物を用いて製造したこれらのラベルは、不所望に低い剛性を有することが観察されるであろう。比較サンプルDは、GPPSを含まないラベルが、シュリンクラベルに望ましいよりも大きいヘイズを有することを示している。
【0094】
比較サンプルCと比較サンプルDとの比較から、ブロックコポリマーへのHIPS−Xの添加が、より高い1%割線モジュラスによって示されるようにより高い剛性をもたらすことがわかる。
【0095】
本発明の好ましい実施態様としては以下が挙げられるが、これらに限定するものではない:
1.(a)(i)ポリスチレンにグラフトされたスチレンとゴム状共役ジエンとのブロックコポリマー;
(ii)任意的な、HIPS成分中の総ゴム重量に基づき、2重量%又はそれ以上で8重量%又はそれ以下のゴム状共役ジエンホモポリマー;
(iii)HIPS成分の総重量に基づき、1重量%又はそれ以上で7重量%又はそれ以下のゴム成分からの総ジエン成分含量;
(iv)メチルエチルケトン/メタノール抽出による10重量%未満のゲル濃度;
(v)1.0μm未満であって且つ0.01μm又はそれ以上の平均ゴム粒径;
(vi)約0.4ミクロン未満の直径を有するゴム粒子約40〜約90体積%及び約0.4〜約2.5ミクロンの直径を有するゴム粒子約10〜約60体積%
を有し;
(vii)ゴム粒子の大部分がコア/シェル形態を有し;
(viii)組成物中のポリマーの少なくとも約10重量%で最大でも約70重量%以下の濃度で存在し且つ総組成物重量に対して1重量%又はそれ以上で5重量%又はそれ以下のゴム状ジエン重量を有する
少なくとも1種の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)成分;
(b)組成物中のポリマーの少なくとも約10重量%で最大でも約50重量%以下の濃度で存在する、200,000g/モルより大きく350,000g/モル又はそれ以下の重量平均分子量を有する少なくとも1種の汎用ポリスチレン;並びに
(c)組成物中のポリマーの少なくとも約2重量%で最大でも約80重量%以下の濃度で存在する、有利には少なくとも約200の破断点引張伸び及びASTM D1238、Condition Gの方法によって測定された、少なくとも約2g/10minのメルトフローレートを有する少なくとも1種のスチレンブロックコポリマー
から本質的になる[(a)、(b)及び(c)の組合せ全体がポリマー組成物の100重量%に相当する]ポリマー組成物95〜100重量%及び添加剤0〜5重量%を含んでなるフィルム組成物。
【0096】
2.前記スチレンブロックコポリマーが、ASTM D1746によって測定した場合に、可視光の少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%の透過率に相当する明澄度を有する実施態様1の組成物。
【0097】
3.HIPS、GPPS、スチレンブロックコポリマーのうちの1種又はそれ以上を選択し、且つ特性の測定のために指定された方法において指定された厚さを好ましくは有するフィルムを作成するのに前記組成物を使用した場合に、或いは好ましくは約25若しくは38μm〜約76、100若しくは110μmの使用のための厚さにおいて、より好ましくは64、65、89、90、100、104、105、109又は110μmの伸張厚さにおいて、最も好ましくは50μmの伸張厚さにおいて、以下:
(a)ASTM D−1746の方法に従って測定した場合に、少なくとも約10、15、20、25又は30のいずれかの50μmフィルムの明澄度に相当する明澄度;
(b)ASTM D−1003の方法に従って測定した場合に、約15、10、6又は4のいずれかより小さい50μmフィルムのヘイズに相当するヘイズ;
(c)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約620MPa、680MPa又は1380MPaのいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の1%割線モジュラス;
(d)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約30、35、40又は45%のいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の破断点引張歪;
(e)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約14、17、21又は28MPaのいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の破断点引張応力;
(f)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約14、17、21又は28MPaのいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の靭性;或いは
(g)ASTM D−2838の方法に従って測定した場合に、2758kPa未満の配向緩和応力
の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つ、より有利には少なくとも3つ、最も有利には少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは少なくとも6つ、最も好ましくは少なくとも7つを達成するのに有効な量でそれらを使用する実施態様1又は2の組成物。
【0098】
4.前記耐衝撃性ポリスチレン成分が0.5μm又はそれ以下であって0.01μm又はそれ以上の体積平均ゴム粒径を有する実施態様1〜3のいずれかの組成物。
【0099】
5.ポリマー成分(a)、(b)及び(c)又はそれらの任意の組合せの総重量に基づき、(a)HIPSの量が少なくとも約10、20若しくは25重量%のいずれか、最大でも約60、65又は70重量%のいずれか、(b)GPPSの量が少なくとも約10、20又は35重量%のいずれか、最大でも約40、45又は50重量%のいずれか、又は(c)スチレンブロックコポリマー成分の量が少なくとも約2、3若しくは4重量%、最大で約70、75若しくは80重量%である、実施態様1〜4のいずれかの組成物。
【0100】
6.前記スチレンブロックコポリマーが少なくとも1種のスチレンブタジエンブロックコポリマーであり、且つ(a)、(b)及び(c)の総重量に基づき、少なくとも約20、30若しくは40重量%又は最大でも約70、75若しくは80重量%の量で存在する実施態様1〜5のいずれかの組成物。
【0101】
7.前記スチレンブロックコポリマーが少なくとも1種のスチレンイソプレンブロックコポリマーであり、且つ(a)、(b)及び(c)の総重量に基づき、少なくとも約2、3若しくは4重量%又は最大でも約6、8若しくは9重量%の量で存在する実施態様1〜6のいずれかの組成物。
【0102】
8.(a)のコポリマー中の前記ゴム状共役ジエンがブタジエンである実施態様1〜7のいずれかの組成物。
【0103】
9.前記ゴム粒子の90%又はそれ以上が0.4μm未満の粒径を有し且つ100%までのゴム粒子の残りが2.5μm又はそれ以下の粒径を有する実施態様1〜8のいずれかの組成物。
【0104】
10.実施態様1〜9のいずれか1つの組成物を含んでなるフィルム。
【0105】
11.前記フィルムが、110℃の熱風炉中で5分後に、伸張の少ない方向において10%未満の伸びを示す実施態様10のフィルム。
【0106】
12.前記ポリマー組成物が延伸フィルム重量の少なくとも95重量%に相当し、100重量%までの残りが添加剤から選ばれ;前記フィルムが伸張方向において少なくとも約3:1の方向性配向を有する実施態様10〜11のいずれか1つに記載のフィルム。
【0107】
13.前記フィルムのAmerican Society for Testing and Materials Method 882による機械方向(MD)及び横断方向(TD)1%割線モジュラスが、少なくとも約250,000ポンド/平方インチ(1,724メガパスカル)である実施態様10〜12のいずれか1つに記載のフィルム。
【0108】
14.好ましくは約25若しくは38μm〜約76、100若しくは110μm、より好ましくは64、65、89、90、100、104、105、109若しくは110μmmのいずれか、最も好ましくは50μmの厚さを有する、実施態様10〜13のいずれか1つに記載のフィルム。
【0109】
15.実施態様3に明記された特性の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つ、より有利には少なくとも3つ、最も有利には少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは少なくとも6つ、最も好ましくは少なくとも7つを有する、実施態様に明記された任意の厚さの実施態様10〜14のいずれか1つに記載のフィルム。
【0110】
16.前記フィルムが、(a)伸張の最も大きい方向における、少なくとも約3:1、4:1、5:1若しくは6:1の延伸長さ対非延伸長さの比、又は(b)伸張の最も大きい方向に垂直な方向における、少なくとも約1.05:1、1.07:1若しくは1.10:1〜最大でも約1.2:1若しくは1.15:1の延伸長さ対非延伸長さの比の一方又は両方を有する実施態様10〜15のいずれか1つに記載のフィルム。
【0111】
17.前記フィルムが、(a)伸張の最も大きい方向における、少なくとも約20、30、40、50、60若しくは70%の収縮;又は(b)伸張の最も小さい方向における、5、7若しくは10%のいずれか〜15若しくは20%のいずれかの収縮の一方又は両方を有する実施態様10〜16のいずれか1つに記載のフィルム。
【0112】
18.パーフォレーションを更に含む実施態様10〜17のいずれか1つに記載のフィルム。
【0113】
19.好ましくは前記フィルムが片面又は両面に印刷を有する、実施態様10〜18のいずれか1つに記載の配向ポリマーフィルムを含むシュリンクラベル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)ポリスチレンにグラフトされたスチレンとゴム状共役ジエンとのブロックコポリマー;
(ii)任意的な、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)成分中の総ゴム重量に基づき2重量%又はそれ以上で8重量%又はそれ以下のゴム状共役ジエンホモポリマー;
(iii)HIPS成分の総重量に基づき1重量%又はそれ以上で7重量%又はそれ以下のゴム成分からの総ジエン成分含量;
(iv)メチルエチルケトン/メタノール抽出による10重量%未満のゲル濃度;
(v)1.0μm未満で且つ0.01μm又はそれ以上の平均ゴム粒径;
(vi)約0.4ミクロン未満の直径を有するゴム粒子約40〜約90体積%及び約0.4〜約2.5ミクロンの直径を有するゴム粒子約10〜約60体積%
を有し;
(vii)ゴム粒子の大部分がコア/シェル形態を有し;
(viii)組成物中のポリマーの少なくとも約10重量%で最大でも約70重量%以下で存在し且つ総組成物重量に対して1重量%又はそれ以上で5重量%又はそれ以下のゴム状ジエン重量を有する
少なくとも1種の耐衝撃性ポリスチレン成分;
(b)組成物中のポリマーの少なくとも約10重量%で最大でも約50重量%以下の濃度で存在する、200,000g/モルより大きく350,000g/モル又はそれ以下の重量平均分子量を有する少なくとも1種の汎用ポリスチレン;並びに
(c)組成物中のポリマーの少なくとも約2重量%で最大でも約80重量%以下の濃度で存在する、有利には少なくとも約200の破断点引張伸び及びASTM D1238、Condition Gの方法によって測定して、少なくとも約2g/10minのメルトフローレートを有する少なくとも1種のスチレンブロックコポリマー
から本質的になるポリマー組成物[ここで、(a)、(b)及び(c)の合計量はポリマー組成物の100重量%を構成する]95〜100重量%及び添加剤0〜5重量%を含んでなるフィルム組成物。
【請求項2】
前記スチレンブロックコポリマーが、ASTM D1746によって測定した場合に、可視光の少なくとも約85%の透過率に相当する明澄度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記耐衝撃性ポリスチレン成分が0.5μm又はそれ以下で0.01μm又はそれ以上のゴム体積平均粒径を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記スチレンブロックコポリマー成分の量が、ポリマー組成物の重量に基づき、少なくとも約3重量%である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記スチレンブロックコポリマーが少なくとも1種のスチレンブタジエンブロックコポリマーであり、且つ総ポリマー組成物重量に基づき、少なくとも約20重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記スチレンブロックコポリマーが少なくとも1種のスチレンイソプレンブロックコポリマーであり、且つ総ポリマー組成物重量に基づき、2〜9重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(a)のコポリマー中の前記ゴム状共役ジエンがブタジエンである請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ゴム粒子の90%又はそれ以上が0.4μm未満の粒径を有し且つ100%までのゴム粒子の残りが2.5μm又はそれ以下の粒径を有する請求項1に記載のいずれかの組成物。
【請求項9】
HIPS、GPPS、スチレンブロックコポリマーのうちの1種又はそれ以上を選択し、且つ特性の測定のために指定された方法において指定された厚さを有するフィルムを作成するのに前記組成物を使用した場合に、又は厚さが100μmに指定されない場合には、以下:
(a)ASTM D−1746の方法に従って測定した場合に、少なくとも約10、15、20、25又は30のいずれかの50μmフィルムの明澄度に相当する明澄度;
(b)ASTM D−1003の方法に従って測定した場合に、約15、10、6又は4のいずれかより小さい50μmフィルムのヘイズに相当するヘイズ;
(c)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約620MPa、680MPa又は1380MPaのいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の1%割線モジュラス;
(d)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約30、35、40又は45%のいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の破断点引張歪;
(e)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約14、17、21又は28MPaのいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の破断点引張応力;
(f)ASTM D−882の方法に従って測定した場合に、少なくとも約14、17、21又は28MPaのいずれかのMD、TD又はより好ましくは両者の靭性;或いは
(g)ASTM D−2838の方法に従って測定した場合に、2758kPa未満の配向緩和応力
の少なくとも3つを達成するのに有効な量でそれらを使用する請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物を含んでなるフィルム。
【請求項11】
前記フィルムが、110℃の熱風炉中で5分後に、伸張の少ない方向において10%未満の伸びを示す請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記ポリマー組成物が配向フィルム重量の少なくとも95重量%に相当し、100重量%までの残りが添加剤から選ばれ;前記フィルムが伸張方向において少なくとも約3:1の方向性配向を有する請求項10に記載のフィルム。
【請求項13】
前記フィルムのAmerican Society for Testing and Materials Method 882による機械方向(MD)及び横断方向(TD)1%割線モジュラスが、少なくとも約250,000ポンド/平方インチ(1,724メガパスカル)である請求項10に記載のフィルム。
【請求項14】
前記フィルムが、伸張の最も大きい方向において少なくとも約50%の収縮を有し且つ伸張の最も少ない方向において5〜20%の収縮を有する請求項10に記載のフィルム。
【請求項15】
パーフォレーションを更に含む請求項10に記載のフィルム。
【請求項16】
前記フィルムが片面又は両面に印刷を有する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の配向ポリマーフィルムを含むシュリンクラベル。

【公表番号】特表2010−502770(P2010−502770A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521729(P2009−521729)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/029493
【国際公開番号】WO2008/013542
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】