説明

小型シールド磁性部品及び製造方法

薄型磁性部品及びその製造方法は、コイル404の開放中央エリア420の内側及び外側に延びる第一コアピース418及び第二コアピース402を含む。表面実装端子422も設置されて、回路基板への電気接続を完成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には電子部品の製造に関し、より詳細にはインダクタなど小型磁性部品の製造に関する。
【発明の概要】
【0002】
下記の図面に関連して非限定的かつ非網羅的実施形態について説明する。図面において、同様の参照番号は、特に明記されない限り図面全体を通じて同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】電子デバイス用の既知の磁性部品の斜視図である。
【図2】従来のシールド磁性部品の分解図である。
【図3】図2の部品の底面からの組立図である。
【図4】別の従来のシールド磁性部品の分解図である。
【図5】図4の部品の底面からの組立図である。
【図6】別の従来のシールド磁性部品の底面からの組立図である。
【図7】薄型インダクタ部品用の従来の予形成コイルの上面図である。
【図8】本発明に従って形成されたコイルの上面図である。
【図9】本発明の代表的実施形態に従って形成された部品の分解図である。
【図10】組立済み状態の図9の部品の斜視図である。
【図11】図10の部品の底面斜視図である。
【図12】一部を取り除いた図10〜12の部品の側面透視図である。
【図13】本発明の別の実施形態に従って形成された部品の分解図である。
【図14】組立済み状態の図13の部品の斜視図である。
【図15】図14の部品の底面斜視図である。
【図16】図13〜15の部品の側面概略図である。
【図17】本発明の代表的実施形態に従って形成された別の部品の部分分解図である。
【図18】一部を取り除いた図17の部品の側面斜視図である。
【図19】部分的に組み立てられた状態の図17の部品を示す。
【図20】図19の部品の底面斜視図である。
【図21】完全組立状態の図17の部品の上面斜視図である。
【図22】本発明の別の代表的実施形態に従って形成されたさらに別の磁性部品の斜視図である。
【図23】別の製造段階における図22の部品を示す。
【図24】完全組立状態の図23の部品の上面斜視図である。
【図25】図23の部品の底面斜視図である。
【図26】本発明の別の代表的実施形態に従って形成されたさらに別の磁性部品の斜視図である。
【図27】別の製造段階における図26の部品を示す。
【図28】完全組立状態の図26の部品の上面斜視図である。
【図29】図28の部品の底面斜視図である。
【図30】ステップダウンコンバータの基本回路図である。
【図31】ステップアップコンバータの基本回路図である。
【図32】高電圧ドライバの回路図である。
【図33】代表的デバイスのインダクタンス対電流性能を示すグラフである。
【図34】代表的デバイスのインダクタンスのロールオフを示すグラフである。
【図35】磁性部材の別の代表的実施形態の分解図である。
【図36】図35の部品の組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
妥当なコストで電子デバイス用の薄型部品を確実に製造する際の技術上の多数の課題を解決する磁性部品の代表的実施形態を、本明細書において開示する。特に、インダクタ及びトランスなど代表的小型シールド出力部品及びその製造方法を開示する。部品は、独特のコア構造体、予形成コイル、及び予形成コイル用の成端構造体を形成するための溶接及びメッキ技術を利用する。コア内のギャップサイズは、大きな生産ロットサイズに対して厳密に制御され、より厳密に制御されたインダクタンス値を与えることができる。部品は、回路基板用の既知の磁性部品に比べてより簡単に組み立てられかつ生産高が上がるので、低コストで提供できる。また、部品は、既知の部品に比べて、出力密度が高いので、特に電子デバイスの電源回路に適する。
【0005】
本発明を充分に理解できるように、以下の開示をいくつかの節に区分する。第I部は、従来のシールド磁性部品及びこれに関連する課題を開示し、第II部は、本発明の代表的実施形態に従って形成された磁性部品の代表的実施形態を開示する。
【0006】
I.発明の紹介
多くのタイプの電子装置において、より小さい物理的パッケージサイズでますます多くの機構及び機能性を提供することが望ましくなっている。例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)デバイス及び携帯音楽娯楽デバイスなど手持ち電子デバイスは、現在、この種のデバイスに望まれる機能性の増大に対処するために増大した数の電子部品を含んでいる。このようなデバイスにおいて物理的に小さくなったパッケージサイズの中により多くの部品を収容することは、回路基板の表面から突出する高さが比較的小さい「薄型(low profile)」部品の多用を導いた。部品の薄型化は、電子部品内において基板の上に必要とされるクリアランスを小さくして、デバイスの小さい空間内部で複数の回路基板を積み重ねられるようにする。
【0007】
しかし、この種の薄型部品の製造は、実用上多数の課題を呈するので、ますます小型化する電子デバイスを生産するために必要とされるより薄型の部品を製造することを困難にし、かつコスト高にする。インダクタ及びトランスなど非常に小さい磁性部品において均等の性能を生じることは、特に部品が製造時の制御が難しいギャップ付きコア構造体を含む場合、非常に困難であり、その結果性能及びコスト上の問題を生じる。電子部品の大量生産において、部品間の性能の変動は望ましくなく、また比較的小さいコスト削減でも大きい意味を持つ可能性がある。
【0008】
電子デバイスに使用されるインダクタ及びトランスを含めて(ただし、これに限定されない)回路基板用の多様な磁性部品は、磁気コアの周りに配置された少なくとも1つの導電性巻線を含む。磁性部品によっては、コア組立体は、ギャップを持ち一緒に接合されたフェライトコアから製作される。使用時に、コアの間のギャップは、コアの中にエネルギーを蓄積するために必要であり、ギャップは、開回路インダクタンス及び直流バイアス特性を含めて(ただし、これに限定されない)磁気特性に影響を与える。特に小型部品において、コアの間に均等のギャップを作ることが、信頼できる高品質の磁性部品を一貫して製造するために重要である。
【0009】
従って、部品のサイズを増大することなくまた印刷回路基板上において不当な空間量を占めることなく、より効率の良くかつより製造可能性の高い回路基板用磁性部品を提供することが好ましい。
【0010】
図1は、電子デバイス用の既知の磁性部品100の斜視図である。図1に示すように、部品100は、例えばフェノール樹脂など非導電性回路基板材から製作されたベース102を含むパワーインダクタである。フェライトドラムコア104(時には巻線ボビンと呼ばれる)は、エポキシ系接着剤など接着剤106を用いてベース102に取り付けられる。巻線またはコイル108は、ドラムコア104の周りに所定巻き数巻き付けた導線の形で設置され、巻線108は、対向する端部においてドラムコア104から延びるコイルリード110、112で成端する。金属性端子クリップ114、116は、ベース102の対向する側縁に設置される。クリップ114、116は、例えば金属シートから別個に製作して、ベース102に組み立てられる。それぞれのクリップ114、116の一部を電子デバイスの回路基板(図示せず)の導電トレースにはんだ付けでき、クリップ114、116の一部は、機械的かつ電気的にコイルリード110、112に接続する。フェライトシールドリングコア118は、実質的にドラムコア104を取り囲み、ドラムコア104に対してギャップ付きで離間する。
【0011】
巻線108は、ドラムコア104に直接巻かれ、シールドリングコア118は、ドラムコア104に組み立てられる。インダクタンス値を制御し、導体の直流バイアス性能を確実にするには、シールドコア118に対してドラムコア104を慎重に心出しする必要がある。一般に、比較的高温のはんだ付け工程を用いて、ワイヤリード110、112を端子クリップ114、116にはんだ付けする。
【0012】
シールドコア118内部でのドラムコア104の心出しは、小型の薄型部品においては実践的に多数の困難を呈する。いくつかの例においては、エポキシを用いてフェライトコア104と118を接合して、磁性部品用の結合コア組立体が生産されてきた。コア間のギャップを一貫させるために、時には、非磁性ビーズ(典型的には、ガラス球)が接着性絶縁材と混合され、コア104と118との間に少量ずつ配分されて、ギャップを形成する。熱硬化すると、エポキシはコア104と118を接合し、ビーズはコア104と118を離間させて、ギャップを形成する。しかし、コア104と118の間の接合は、主にエポキシの粘性及びコアの間に少量ずつ配分される接着混合物のエポキシ対ビーズ比次第で決まる。用途によっては、接合されたコア104と118は、その使用目的にとって不十分にしか接合されないことが分かっており、接着混合物におけるエポキシ対ガラス球比を制御することは非常に困難であることが明らかになっている。
【0013】
シールドコア118内部においてドラムコア104を心出しする別の既知の方法は、コア104と118の間に非磁性スペーサ材(図示せず)を配置する。スペーサ材は、紙またはマイラー絶縁材で作られることが多い。一般には、コア104及び118とスペーサ材は、コア半体の外面に巻かれたテープによって、コア半体同士を固定する接着剤で、またはコア半体を固定してコア半体の間のギャップを維持するクランプで、相互に固定される。複数の(すなわち、2つより多い)スペーサ材のピースが使用されることは稀である。なぜなら、構造体を一緒に固定する問題が非常に複雑化して、困難かつコスト高になるからである。
【0014】
コイルリード110、112を端子クリップ114及び116に電気的に接続するはんだ付け工程において、特に非常に小さいコアが使用される場合、ドラムコア104及びシールドコア118の一方または両方にクラックが生じる可能性があることが明らかになっている。さらに、はんだ付け工程において巻線108内に短絡が生じる可能性もある。いずれの状況も、使用時にインダクタ部品の性能及び信頼性の問題を生じる。
【0015】
図2及び3は、それぞれ、別の既知のタイプのシールド磁性部品150の分解図及び斜視図を示す。この磁性部品は、いくつかの点で、図1の部品100より製造及び組立が容易である。さらに、部品150は、部品100より薄型で提供できる。
【0016】
部品150は、ドラムコア152と、ドラムコアを受け入れるシールドコア156とを含み、ドラムコア152上にコイルまたは巻線154が所定巻き数延びる。シールドコア156は、その表面に形成された電気めっき端子160を含む。ワイヤリード162、164は、巻線154から延びて、端子の側縁で端子158及び160と電気的に接続する。電気めっき端子160は、図1の場合のようにクリップ114及び116など別個に製作される端子クリップ及びクリップ114及び116が組み立てられるベース102(同じく図1)を回避する。クリップ114、116及びベース102が排除されることによって、材料及び組立コストが削減され、部品100(図1)に比べて部品150を薄型にする。
【0017】
しかし、部品150は、もっと薄型で製造するにはまだ課題が残る。シールドコア156に対するドラムコア152の心出しは依然として困難であり、コスト高である。また、部品150は、熱衝撃、部品150の製造時にコイルリード162、164をシールドコア156上の端子158及び160に成端する高温のはんだ付け作業から受ける可能性のある損傷、または部品150を回路基板に表面実装する際に受ける熱衝撃に弱い。熱衝撃は、コア104及び118の一方または両方の構造的強さを減じる傾向がある。部品はますます薄型になる傾向があるので、ドラムコア152及びシールドコア156の寸法は減少しており、コアをさらに熱衝撃に弱くする。シールドコア156のクラックは、端子を形成する電気めっき工程時に見られ、性能及び信頼性の問題を引き起こし、適正な部品の生産高が低くなり好ましくない。
【0018】
図4及び5は、いくつかの点で部品150と同様の部品180の別の実施形態をしめす。図4及び5において、共通の機構については、図2及び3と同様の参照番号を使用する。部品150と異なり、部品180は、シールドコア156に埋め込まれた端子溝182、184(図4)を含む。埋込み端子溝182及び184は、シールドコア156の表面上で巻線リード166、168(図5)を受け入れる。シールドコアの表面は、電子デバイスの回路基板に表面実装できる。埋込み端子溝182及び184は、コンポーネント高さを小さくできる。すなわち部品150に比べて部品のプロフィールを小さくできるが、それでも、上述のコアの心出しの困難、端子158及び160の電気めっきによるコアの損傷の可能性、及び部品180を回路基板に表面実装する際の高温はんだ付け作業による熱衝撃の問題はある。
【0019】
図6は、部品150あるいは180に従って構成できるさらに別の既知の部品200を示すが、別個に用意されたコイル端子クリップ202、204を含む。コイル端子クリップは、コイルリード166、168(図2〜5)をさらに確実に保持する。クリップ202、204は、電気めっき端子158、160(図2〜5)に被せて設置され、コイルリード166、168を捕捉する。コイルリード166、168の成端がより信頼できることを除くと、部品200に関しては、シールドコア156内部におけるドラムコア154の心出しが同様に困難であり、端子を電気めっきする際のコアの損傷に関する同様の問題があり、使用時の部品200の信頼性及び性能に悪影響を及ぼす可能性のある熱衝撃の同様の問題がある。
【0020】
ますます小さくなるドラムコア152にコイルを巻く際の困難を回避し、かつこの種の部品の小さいプロフィールをさらに小さくすることを考慮して、予形成コイル構造体を利用することが提案された。予形成コイル構造体は、コア構造体にコイルを巻く代わりに、別個に製作して、コア構造体に組み立てられる。図7は、薄型インダクタ部品の構成に使用できるこの種の従来の予形成コイル220の上面図である。コイル220は、第一リード222及び第二リード224と、その間の所定の長さのワイヤとを有する。ワイヤは、所定巻き数で巻かれる。従来のコイル220の巻き方であるため、一方のリード222はコイル220の内側円周から延び、他方のリード224はコイル220の外側円周から延びる。
【0021】
II.本発明の代表的実施形態
図8は、本発明に従って形成された小型または薄型磁性部品用の予形成巻線またはコイル240の上面図である。コイル220(図7)と同様、コイル240は、第一遠位端すなわちリード242及び第二遠位端すなわちリード244と、その間の所定長さのワイヤとを有する。ワイヤは、例えば選択された最終用途に望ましいインダクタンス値など所望の効果を得る所定の巻き数で巻かれる。
【0022】
例証的実施形態において、コイル240は、既知の技法に従って導線から形成できる。希望する場合には、コイル240の形成に使用されるワイヤを、エナメルコーティングまたはこれに類似するものでコーティングして、コイル240の構造面及び機能面を改良できる。当業者には分かるように、コイル240のインダクタンス値は、部分的に、ワイヤのタイプ、コイルにおけるワイヤの巻き数、及びワイヤの直径によって決まる。従って、用途によってコイルのインダクタンス定格をかなり変えることができる。
【0023】
コイル220と異なり、リード242及び244は両方とも、コイル240の外側円周246から延びる。言い換えれば、リード242及び244のいずれも、コイル240の内側円周240すなわち中央開口から延びない。リード242及び244のいずれもコイル内側円周から延びないので、コア構造体(図8には図示しないが、下で説明する)における巻線スペースが、コイル220の場合より効果的に使用できる。コイル240のために巻線スペースがより効果的に使用されることは、性能上の利点を与え、磁性部品のロープロフィール(薄型)高さをさらに小さくする。
【0024】
さらに、巻線スペースのより効果的な使用は、コイルの製作においてより大きなワイヤゲージを使用しながら、小さいワイヤゲージから製作された従来のコイルと物理的に同じ面積しか占めないことを含めて、さらなる利点を与える。あるいは、所定のワイヤゲージの場合、未使用の空間を排除することによって、巻き数がより少ない従来のコイルが占めるのと同じ物理的空間においてコイルの巻き数をより多くすることができる。さらに、巻線スペースをより効果的に使用することによって、使用時の部品260の直流抵抗(DCR)を減少し、電子デバイスにおける力損を減少できる。
【0025】
予形成コイル240は、コア構造体から独立して製作でき、その後、指定される製造段階で、コア構造体と組み立てることができる。コイル240の構成は、下に説明する実質的に自動心出しの磁気コア構造体に使用される場合有利であると思う。
【0026】
図9〜12は、本発明の代表的実施形態に従って形成された磁性部品260の様々な図である。部品260は、第一コア262と、シールドコア262に挿入可能な予形成コイル240(図8にも図示)と、コイル240の上に重なりかつ第一コア262内部に自動心出し式に受け入れられる第二コア264とを含む。第一コア262は、上述のシールドコアを多少連想させるものであり、第二コア264は、時にはシュラウドと呼ばれ、第一コア262内部にコイル240を囲繞する。
【0027】
図9から分かるように、第一コア262は、透磁性材料から、中実の平らなベース266と、ベース266から直角に、概して垂直の方向に延びる直立壁268、270とを持つように、形成できる。壁268及び270は、その間にかつベース266の上に、コイル240を受け入れるための概して円筒形の巻線スペースすなわち巻線レセプタクル272を形成できる。側壁260及び270の端部の間にカットアウトまたは開口273が延び、それぞれコイルリード242及び244のための空隙を提供する。
【0028】
コア262の製造に適する多様な磁性材料が知られている。例えば、鉄粉コア、粉末状ニッケル、鉄及びモリブデンを含有するモリパーマロイ粉末(MPP)、フェライト材料及び高磁束トロイド材料が知られており、部品が電源または電力変換回路に使用されるのかあるいは例えばフィルタインダクタなど別の用途に使用されるのかに応じて、これらの材料を使用できる。代表的なフェライト材料は、マンガン亜鉛フェライト、及び特にパワーフェライト、ニッケル亜鉛フェライト、リチウム亜鉛フェライト、マグネシウムマンガンフェライト及び商業的に使用されてきてかなり広範に入手可能なこれに類似するものを含む。さらに、低損失粉末鉄、鉄を主原料とするセラミック材料またはその他の材料を用いてコアを製作して、本発明の利点の少なくともいくつかを得ることができる。
【0029】
図10〜12に示すように、第一コア262は、第一コア262の外面に形成された表面実装端子276、278も含むことができる。端子276、278は、技術上一般に使用される電気めっきの代わりに、例えば物理蒸着(PVD)工程において導電性材料からコア262上に形成できる。物理蒸着法は、従来使用されてきた電気めっき工程に比べて、プロセス制御の強化及び非常に小さいコア構造体における端子268、279の品質の向上を可能にする。物理蒸着法は、また、電気めっきに伴うコアの損傷及び関連する問題を回避できる。物理蒸着法は、端子268、270の形成に有利であると思われるが、電気めっき端子、端子クリップ、コア262の一部を導電性インク及びこれに類似するものに浸漬して形成された表面端子及び技術上既知のその他の成端方法及び構造体を含めて、他の成端構造体を同様に設置できる。
【0030】
同じく図10〜12に示すように、端子276及び278は、各々、コイルリード242及び244の端部を受け入れる埋め込み端子溝280を持つように形成できる。図9から分かるように、図示される例において、コイル240を第一コア262に組み立てるときコイル240のリードを隣接するベース266に向け、リードを端子溝280と係合するように折り曲げることができる。その後、リード242及び244を、例えば端子276及び278に溶接して、コイルリード242及び244を端子276及び278に機械的及び電気的に適切に接続できる。特に、スパーク溶接及びレーザー溶接を利用して、コイルリード242及び244を成端できる。
【0031】
はんだ付けと異なり、端子276及び278へのコイルリード242及び244の溶接は、部品の全体高さへのはんだ付けの望ましくない影響を回避し、望ましくない熱衝撃の問題及びはんだ付けに伴うコイル240への高温の影響及びコア損傷の可能性を回避する。しかし、溶接の利点にもかかわらず、本発明のいくつかの実施形態においてはんだ付けを使用して、本発明の利点の多くを得ることができることが分かる。
【0032】
端子276及び278は、第一コアのベース266の底面に巻き付き、回路基板上の導電回路トレースへの電気接続のための表面実装パッドを提供する。
【0033】
第二コア264は、第一コア262から独立してこれとは別に製作して、下に説明するように後に第一コア262に組み立てることができる。第二コア264は、上述の材料など透磁性材料から、第一の直径を有する概して平らなディスク形の本体290と、本体290と一体的に形成され本体の一方の面から外向きに延びる心出し突起体292とを持つように製作できる。心出し突起体292は、本体290の中央に位置し、例えば、本体290より小さい直径を有する概して円筒形のプラグまたはポスト状に形成できる。さらに、ポスト292は、コイル240の内側円周248にぴったりと合うがこの中に受け入れられる寸法に設計できる。従って、ポスト292は、部品260が組み立てられるとき第二コア264の整列または心出し機構として役立つ。ポスト292は、コイル内側円周248においてコイルの開口の中へ延びて、本体290の外側円周は、第一コア262の側壁268、270の上面に着座できる。コア262と264が、例えば、エポキシ系接着剤を用いて接合されたとき、コイル240は、コア262と264との間に挟まれて、第二コア264のポスト292によって所定の位置に維持される。
【0034】
特にコイル240の外側円周(図8において参照番号246で示す)が第一コア262のレセプタクル272の内側寸法にぴったりと合う場合、コア262及び264とコイル240の嵌合組立体は、特にコンパクトで機械的に安定した部品260を提供し、外部的な心出し要素を必要としない。コア262及び264及び予形成コイル240を別個に独立して製作することによって、コイルを小さいコア構造体に直接巻きつける従来の部品組立体と異なり、部品260の組立が簡単であり、製造が単純化される。
【0035】
図12(コイル240が図示されない側面図)から分かるように、第二コア264のポスト292は、本体290からコイルの内側円周248(図9)を通過して第一コア262のベース266までの距離の一部しか延びない。すなわち、ポスト292の端部は、第一コア262のベース266までは延びず、これと離間して、物理的コアギャップ296を与える。物理的ギャップ296は、コアにおけるエネルギー蓄積を可能にして、開回路インダクタンス及び直径バイアス特性など部品260の磁気特性に影響を及ぼす。ポスト292とベース266との間にギャップ296を与えることによって、単純にかつ電子デバイス用の従来の薄型磁性部品に比べて低コストで、大量の部品260全体において安定した一貫したギャップ296の製造が得られる。従って、部品260のインダクタンス値を、既存の部品構成に比べて低コストで厳密に制御できる。プロセス制御が強まることによって適格部品の生産高が高まる。
【0036】
図13〜16は、本発明の別の実施形態に従って形成された別の部品300の様々な図である。部品300は、多くの点で図9〜12に関連して上で説明した部品260と同様であり、図14〜16において、共通の機構には同様の参照番号を使用する。下記のことを除いて、部品300は、部品260と構成において実質的に同じであり、実質的に同様の利点を与える。
【0037】
部品300の第一コア262は、部品260と異なり、実質的に中実で連続的な側壁302を持つように形成される。側壁は予形成コイル240のレセプタクル272を形成する。すなわち、部品300は、第一コア262において、図9に示すカットアウト273を含まない。また、図14から分かるように、コイル240は、図9に示す構成とは異なり(すなわち、リードがベース266に隣接するコイル240の底面に配置される)、リード242、244がコイル240の上面から延びるような方向を向く。コイル240の向き及びカットアウトを持たない側壁302によって、端子276、278の端子溝280は、端子溝280がベース266の高さしか延びない図9の実施形態と異なり、第一コア162の高さ全体に延びる。端子276及び278及び端子溝280が壁302の高さ全体に延長したことによって、端子276及び278上におけるコイルリード242及び244の接合面積が増大し、コイルリード242及び244を第一コア262の端子276、278に固定するはんだ付けまたは溶接作業が容易になる。
【0038】
図17〜21は、本発明の別の実施形態に従って形成された別の部品320の様々な図である。部品320は、多くの点で、図9〜12に関連して上に説明した部品260と同様であり、図17〜21において、共通の機構には同様の参照番号を使用する。下記のことを除いて、部品320は、部品260とその構成において実質的に同じであり、実質的に同様の利点を与える。
【0039】
図17〜21に示すように、部品320は、予形成導電端子クリップ322及び324を含む。端子クリップは、コア262から独立して独立型構造体に製作されて、コア262に組み立てられる。クリップ322及び324は、例えば、導電性材料シートから製作して、打ち抜き、折り曲げまたはその他の方法で所望の形状に形成できる。端子クリップ322及び324は、コイルリード242及び244並びに回路基板用の表面実装端子パッドの成端に備える。クリップ322は、上述の端子276、278の代わりにまたはこれに追加して使用できる。
【0040】
図22〜25は、本発明の別の代表的実施形態に従って形成されたさらに別の磁性部品350の様々な図である。部品350は、多くの点で、図9〜12に関連して上に説明した部品260と同様であり、図22〜25において、共通の機構には同様の参照番号を使用する。下記のことを除いて、部品350は、部品260とその構成において実質的に同じであり、実質的に同様の利点を与える。
【0041】
部品260と異なり、部品350は、上述のように第二コア264ではなく、第一コア262に形成された心出し突起体またはポスト352を含む。ポスト352は、第一コア262のレセプタクル272の中央に位置し、第一コア262のベース266から上向きに延びることができる。つまり、ポスト352は、コイル240の内側円周248の中へ上向きに延びて、コイル240をコア262に対して固定され設定された中心位置に維持できる。しかし、コア264は、本体290しか含まない。すなわち、コア264は、代表的実施形態において図9及び12に示すポスト292を含まない。
【0042】
ポスト352は、第一コア262のベース266とコア264の本体290との間の距離の一部しか延びないので、ポスト352の端部とコア264との間に一貫して確実にギャップを与えることができる。例えば、紙またはマイラー絶縁材から製作された非磁性スペーサ要素(図示せず)をコア262の上面及びコア264に設置して、コア262と264との間に伸ばして、ポスト352からコア264を持ち上げて分離して、希望する場合には全面的または部分的にギャップを形成できる。あるいは、レセプタクル272を形成するコア262の側壁より低くなるようにポスト264を形成することによって、部品が組み立てられたとき、ポスト352とコア264との間に物理的ギャップを生じることができる。
【0043】
別の実施形態において、コア262及びコア264は、各々、心出し突起体またはポストを持つように形成され、ポストの寸法は、ポストの端部の間にギャップを与えるように選択される。このような実施形態においては、スペーサ要素を設置して、全面的にまたは部分的にギャップを形成できる。
【0044】
図26〜29は、本発明の別の代表的実施形態に従って形成された別の磁性部品370の様々な図である。部品370は、多くの点で図22〜25に関連して上で説明した部品350と同様であり、図26〜29において、共通の機構には同様の参照番号を使用する。下記のことを除いて、部品370は、部品350とその構成において実質的に同じであり、実質的に同様の利点を与える。
【0045】
部品370のコイル240は、各々1対のリードと結合された複数の巻線を含む。すなわち、第一コイルリード242及び第二コイルリード244は、コイル240の第一の巻線セットを成端し電気的に接続するように設置され、第三コイルリード372及び第四コイルリード374は、コイル240の第二の巻線セットを成端し電気的に接続するように設置される。従って、コア262は、それぞれ第一コイルリード242及び第二コイルリード244用の端子276及び278を備え、また、コイル262は、それぞれ第三コイルリード372及び第四コイルリード374用の端子376及び378を備える。追加のコイルリード及び端子を設置して、コイル240の追加の巻線セットに対処できる。
【0046】
コイル240の複数の巻線セットは、特に結合回路が望ましい場合またはゲートドライブトランス及びこれに類似するものなどトランスの製造の場合有利である可能性がある。
【0047】
本明細書に示すインダクタは、例えばステップダウンまたはステップアップコンバータなど多様なデバイスに使用できる。例えば、図30は、ステップダウンまたはバックコンバータ用の典型的な回路図を示し、図31は、ステップアップまたはブーストコンバータ用の典型的な回路図を示す。本発明に従って用意されたインダクタは、例えば、移動電話、携帯情報端末及びGPSデバイス及びその類似品など多様な電子デバイスにも使用できる。1つの代表的実施形態において、図32の回路図に示すように、本明細書に説明する方法に従って用意されたインダクタを、例えば移動電話など電子デバイスに使用されるエレクトロルミネセントランプを駆動するために設計された高電圧ドライバに含めることができる。
【0048】
代表的実施形態において、2.5mm×2.5mm×0.7mmの寸法を持つインダクタが提供される。代表的デバイスのピークインダクタンスは4.7μH±20%であり、ピーク電流0.7A及び平均電流0.46Aである。ワイヤの抵抗は0.83オームと測定される。表1に示すように、代表的デバイスの特性を2つの競合デバイスと比較する。比較例1は、村田インダクタ型式番号LQH32CNであり、比較例2はTDKインダクタである。表に示すように、代表的インダクタ(例1)は、ずっと小さいパッケージで、インダクタンス及びピーク電流に関しては同じ性能を示す。例1の性能を図33に示す。図ではインダクタンスを電流の関数として示す。例1のインダクタのロールオフ(電流の増大に伴うインダクタンスの減少率)が図34に示され、ピーク電流値0.7Aのとき約20%である。
【0049】
【表1】

【0050】
同様の利点を与える磁性部品の別の様々な改造が可能である。
【0051】
例えば、いくつかの実施形態において有利であると思われる特定のコイル240(図8)を開示するが、他のコイルの構成も当然可能であり、別の実施形態においては有利に使用できるかも知れない。限定ではなく例示として、コイルを平形または丸形導線から製作でき、導線は、磁性部品の組立をさらに容易にするために保温材及び加熱活性化または化学的活性化接合剤を含むことができる。さらに、らせん状または非らせん状巻線でコイルを構成でき、いくつかの実施形態においては、コイルは、複数巻き数の巻線または端数(1未満)巻き数の巻線を含むことができる。
【0052】
別の例として、上述の材料からコアピースを製作する以外に、いわゆる分散ギャップ材を利用してコアを製作できる。この場合、コア構造体において物理的ギャップを与える必要がなくなる。
【0053】
例えば、想定される代表的実施形態において、上に開示したコアピースを成形可能磁性材料から製作できる。成形可能磁性材料は、例えば、分散ギャップ特性を有する磁粉粒子と高分子結合剤の混合物である。圧縮成形法を用いて、このような材料を1つまたはそれ以上のコイル(または、同一コイルの異なる巻数)の周りに圧迫でき、それによって、小型レベルの個別の物理的ギャップを持つコアとコイルの組立ステップを回避できる。
【0054】
図35及び36は、概して、磁性体402を形成する粉末磁性材料と磁性体402に結合されたコイル404とを含む、別の磁性部品組立体400を示す。図示する例において、磁性体402は、コイル404の片側に成形可能磁性層406、408、410を持ち、コイル404の反対側に成形可能磁性層412、414、416を持つように製作される。図には6層の磁性層を示すが、別の実施形態においては、これより多いまたは少ない数の磁性層を設置できる。
【0055】
代表的実施形態において、磁性層406、408、410、412、414、416は、フェライト粒子、鉄(Fe)粒子、センダスト(Fe−Si−Al)粒子、MPP(Ni−Mo−Fe)粒子、HighFlux(Ni−Fe)粒子、Megaflux(Fe−Si合金)粒子、鉄を主原料とするアモルフォス粉末粒子、コバルトを主原料とするアモルフォス粉末粒子、または技術上既知の同等材料など粒子を含む粉末磁性材料から製作できる。この種の磁粉粒子が高分子結合剤と混合されると、その結果得られる磁性材料は分散ギャップ特性を示し、磁性材料の様々なピースに物理的ギャップを作るまたはこれを分離する必要がなくなる。つまり、一貫した物理的ギャップサイズを確立しこれを維持することに関連する困難及び費用が回避され、有利である。高電流の用途の場合、予備焼きなまし磁性アモルフォス金属粉末を高分子結合剤と組み合わせると有利であると思われる。
【0056】
磁性層406、408、410、412、414、416は、積み重ねて、積層加工または技術上既知のその他の技法によって相互に接合できる、比較的薄いシート状で用意できる。磁性層406、408、410、412、414、416は、別個の製造段階において予備製作して、その後の組立段階における磁性部品の形成を単純化できる。磁性材料の層を図35及び36に示すが、この粉末磁性材料は、任意に、上述のような層を形成する予備製作段階なしに、粉末状で直接コイルに圧迫またはその他の方法で結合できる。いずれにしても、コア構造体における物理的個別ギャップを利用することなく、適切な磁気性能を示すモノリシックコア構造体が得られる。しかし、分散ギャップ性の磁性材料が使用されたとしても、コア構造体内に物理的ギャップが望ましい可能性がある。
【0057】
1つの実施形態においては、層406、408、410、412、414、416は全て、層406、408、410、412、414、416が、(同一ではないとしても)同様の磁気特性を持つように、同じ磁性材料から製作できる。別の実施形態においては、層406、408、410、412、414、416の1つまたはそれ以上を、磁性体402の他の層と異なる磁性材料から製作できる。例えば、層408、412及び416を、第一の磁気特性を有する第一の成形可能材料から製作し、層406、410及び414を、第一の磁気特性とは異なる第二の磁気特性を有する第二の成形可能磁性材料から製作できる。
【0058】
また、上述の実施形態と同様、磁性部品組立体400は、コイル404の開放中央エリア420に挿入される形状を持つコア素子418を含む。代表的実施形態において、形状化コア素子418は、磁性体402とは異なる磁性材料から製作できる。形状化コア素子418は、上述の材料を含めて(ただし、これに限定されない)技術上既知の任意の材料から製作できる。図35及び36に示すように、形状化コア素子418は、コイル404の中央開口420の形状と相補的な、概して円筒形に形成できるが、非円筒形開口を持つコイルには非円筒形を同様に使用できると想定される。さらに別の実施形態において、形状化コア素子418とコイル開口は、相補的形状を持つ必要はない。
【0059】
形状化コア素子418をコイル404の開口420を通過して延在させることができ、その後成形可能磁性材料をコイル404及び形状化コア素子418の周りで成形して、磁性体402を完成する。形状化コア素子418と磁性体418の磁気特性が異なることは、形状化コア素子418のために選ばれた材料が磁性体400を形成するために使用された成形可能磁性材料より優れた特性を有するとき、特に有利である。コア素子418を通過する磁束通路は、磁性体の場合より優れた性能を示すことができる。成形可能磁性材料の製造上の利点によって、磁性体全体が形状化コア素子418の材料から製作された場合より部品コストは低くなる。
【0060】
図35及び36には1つのコイル404及びコア素子418を示すが、複数のコイル及びコア素子を同様に磁性体402に設置できると想定される。さらに、上述のものまたは上記の関連出願に記載されるものを含めて(ただし、これに限定されない)他のタイプのコイルを、コイル404の代わりに利用できる。
【0061】
技術上既知の任意の方法で表面実装端子422を形成して、回路基板と磁性体400のコイルとの間の電気接続を完成できる。本発明の様々な実施形態において、上でまたは上記の関連出願において説明するまたは技術上既知のその他の成端構造体及び成端技術のいずれでも利用できる。
【0062】
III .開示した代表的実施形態
上述の様々な特徴は、様々な組合せで混合し、釣り合わせることができる。例えば、丸形導線コイルが説明されるところに、代わりに平形ワイヤコイルを利用できる。磁性体について層状構成が説明されるところに、代わりに非層状構成を利用できる。異なる磁性特性、異なる数及びタイプのコイルを有し、異なる性能特性を有する多様な磁性部品組立体を提供して、特定の用途のニーズに応えることができる。
【0063】
また、説明した特徴の特定のものを、物理的ギャップを持ち相互に離間した個別のコアピースを持つ構造体に有利に利用できる。特に、上述の成端機構及びコイル結合機構のいくつかについてこれが言える。
【0064】
上記の開示の範囲内の様々な可能性の中で、少なくとも下記の実施形態が、従来のインダクタ部品に比べて有利であると思われる。
【0065】
開放中央エリアを有する少なくとも1つの導電コイルと、開放中央エリアを通過して延びる内側磁気コアピースと、コイル及び第一コアピースの一部を取り囲む外側磁気コアピースと、回路基板と少なくとも1つの導電コイルとの間の電気接続を完成させる表面実装端子と、を含む薄型磁性部品を開示した。
【0066】
任意に、内側磁気コアピースは、実質的に円筒形である。内側磁気コアピースは、開放中央エリアを完全に通過して延びることができる。外側磁気コアピースと内側磁気コアピースを異なる磁性材料から製作できる。
【0067】
内側磁気コアピースを外側磁気コアピースの中に完全に埋め込める。内側コアピースは、第一直径を有する第一部分と、第一直径より大きい第二直径を有する第二部分とを含むことができ、第一部分は開放中央エリアを通過して延びる。
【0068】
外側磁気コアピースは、磁性材料の層から製作できる。磁性材料の層は、高分子結合剤と混合された粉末磁性材料を含むことができる。少なくとも2つの磁性層を異なる磁性材料から製作できる。内側コアピース及び外側コアピースの少なくとも一方を、高分子結合剤と混合された粉末磁性粒子から製作できる。外側磁気コアピースを、コイル及び内側磁気コアピースを被覆して形成できる。内側磁気コアピースは、内側コアピースと外側コアピースが組み立てられたとき開放中央エリアを通過する軸方向の全距離より短い距離を延びて、それにより内側磁気コアピースと外側磁気コアピースとの間にギャップを形成できる。
【0069】
内側磁気コアピースと外側磁気コアピースは、物理的ギャップを含まないモノリシックコア構造体を形成できる。または、外側磁気コアピースを内側磁気コアピースから独立して製作できる。
【0070】
表面実装端子は、それぞれ第一及び第二コイルリードを受け入れる第一及び第二導電クリップを含むことができる。コイルは、内側円周及び外側円周を含むことができ、第一リード及び第二リードの各々は、外側円周においてコイルと接続する。部品をパワーインダクタとすることができる。
【0071】
透磁性材料から製作された第一コアを用意するステップと、第一コアから独立して形成されたコイルを用意するステップと、コイルの開放中央エリアの中に第一コアの少なくとも一部を延在させるステップと、透磁性材料から製作された第二コアを第一コアに結合するステップと、第二コア上に表面実装端子を設置するステップと、を含む、薄型磁性部品の製造方法も開示する。コイルは、第一リード及び第二リードと、その間の複数の巻きとを含む。
【0072】
第二コアを結合するステップは、コイル及び第一コアを被覆して第二コアを形成し、それによって第一コア及びコイルを第二コアの中に埋め込むステップを含むことができる。コイル及び第一コアを被覆して第二コアを形成するステップは、コイル及び第一コアを被覆して第二コアを成形するステップを含むことができる。第一コアを形成するステップは、粉末磁性粒子及び結合剤を含む材料を圧縮成形するステップを含むことができる。圧縮成形するステップは、磁性層のシートを積み重ねて、層を積層加工するステップを含むことができる。コイルは、内側円周及び外側円周を含むことができ、第一及び第二遠位端の各々は外側円周においてコイルに接続し、方法は、さらに、第一及び第二遠位端を表面実装端子に接続するステップを含む。また、方法は、第一及び第二遠位端を表面実装端子に接続するステップを含むことができる。表面実装端子を形成する予形成端子クリップを設置できる。
【0073】
IV.結論
本発明の利点及び長所は上述の実施形態において、充分に論証されたと思う。独特のコア構造体、予形成コイル及び予形成コイルの成端構造体を形成する溶接及びメッキ技術は、従来の部品構成が影響を受けやすい熱衝撃の問題を回避し、ギャップ付きコア構造体を形成するための外部ギャップ形成要素及び物質の必要をなくし、大きい生産ロットサイズに対してコアのギャップサイズを厳密に制御できるようにして、部品により厳密に制御されたインダクタンス値を与えることができる。部品は、回路基板用の既知の磁性部品に比べてより簡単に組み立てられ、生産高が上がるので、低コストで提供できる。
【0074】
様々な実施形態を開示したが、本明細書において開示した代表的実施形態のさらに別の変形例及び改造は、本発明の範囲及び思想から逸脱することなく、当業者の理解しうる範囲内にあると想定される。例えば、粉末鉄と樹脂結合剤が粒子レベルで混合されて、構造体において個別ギャップを形成することなくギャップ効果を生じる分散エアギャップコア材が入手可能であり、これを利用して物理的個別ギャップなしにほぼ自動心出し式のコア及びコイル構成体を生産でき、さらに生産工程が単純化され、直流バイアス特性を改良して、部品の交流巻線損失を減少する可能性がある。
【0075】
本明細書は、最良の形態を含めて例を用いて本発明を開示して、デバイスまたは装置の製造及び使用及び組み込まれた方法の実施を含めて、当業者が本発明を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思い浮かぶ他の例を含むことができる。この種の他の例は、請求項の文言と異ならない構造的要素を持つ場合、または請求項の文言と実質的ではない違いを持つ同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放中央エリアを有する少なくとも1つの導電コイルと、
前記開放中央エリアを通過して延びる内側磁気コアピースと、
前記コイル及び前記第一コアピースの一部を取り囲む外側磁気コアピースと、
回路基板と前記少なくとも1つの導電コイルとの間の電気接続を完成させる表面実装端子と、
を備える、薄型磁性部品。
【請求項2】
前記内側磁気コアピースが実質的に円筒形であることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項3】
前記内側磁気コアピースが前記開放中央エリアを完全に通過して延びることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項4】
前記外側磁気コアピースと前記内側磁気コアピースが異なる磁性材料から製作されることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項5】
前記内側磁気コアピースが前記外側磁気コアピースの中に完全に埋め込まれることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項6】
前記内側コアピースが、第一直径を有する第一部分と、前記第一直径より大きい第二直径を有する第二部分とを備え、前記第一部分が前記開放中央エリアを通過して延びることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項7】
前記外側磁気コアピースが磁性材料の層から製作されることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項8】
前記磁性材料の層が、高分子結合剤と混合された粉末磁性材料を含むことを特徴とする、請求項7に記載の薄型磁性部品。
【請求項9】
少なくとも2つの磁性層が異なる磁性材料から製作されることを特徴とする、請求項7に記載の薄型磁性部材。
【請求項10】
前記内側コアピース及び前記外側コアピースの少なくとも一方が、高分子結合剤と混合された粉末磁性粒子から製作されることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項11】
前記外側磁気コアピースが、前記コイル及び前記内側磁気コアピースを被覆して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項12】
前記内側磁気コアピースが、前記内側コアピースと前記外側コアピースが組み立てられたとき前記開放中央エリアを通過する軸方向の全距離より短い距離を延びて、それにより前記内側磁気コアピースと前記外側磁気コアピースとの間にギャップを形成することを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項13】
前記内側磁気コアピースと前記外側磁気コアピースがモノリシックコア構造体を形成することを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項14】
前記モノリシックコア構造体が物理的ギャップを含まないことを特徴とする、請求項13に記載の薄型磁性部品。
【請求項15】
前記表面実装端子が、それぞれ前記第一コイルリード及び第二コイルリードを受け入れる第一及び第二導電クリップを備えることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項16】
前記コイルが内側円周及び外側円周を備え、前記第一リード及び第二リードの各々が、前記外側円周においてコイルと接続することを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項17】
前記部品がパワーインダクタであることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項18】
前記外側磁気コアピースが前記内側コアピースから独立して製作されることを特徴とする、請求項1に記載の薄型磁性部品。
【請求項19】
透磁性材料から製作された第一コアを用意するステップと、
前記第一コアから独立して形成されたコイルを用意するステップであって、前記コイルが、第一リード及び第二リードと、前記第一リードと前記第二リードとの間の複数の巻きとを含む、ステップと、
前記コイルの開放中央エリアの中に前記第一コアの少なくとも一部を延在させるステップと、
透磁性材料から製作された第二コアを前記第一コアに結合するステップと、
前記第二コア上に表面実装端子を設置するステップと、
を含む、薄型磁性部品の製造方法。
【請求項20】
前記第二コアを結合するステップが、前記コイル及び第一コアを被覆して前記第二コアを形成し、それによって前記第一コア及びコイルを前記第二コアの中に埋め込むステップを含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コイル及び第一コアを被覆して前記第二コアを形成するステップが、前記コイル及び第一コアを被覆して前記第二コアを成形するステップを含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第一コアを形成するステップが、粉末磁性粒子及び結合剤を含む材料を圧縮成形するステップを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
圧縮成形するステップが、磁性層のシートを積み重ねて、前記層を積層加工するステップを含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コイルが内側円周及び外側円周を含み、前記第一及び第二遠位端の各々が前記外側円周においてコイルに接続することを特徴とし、前記方法が、さらに、前記第一及び第二遠位端を前記表面実装端子に接続するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
さらに、前記第一及び第二遠位端を前記表面実装端子に接続するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記表面実装端子を形成する予形成端子クリップを設置するステップを含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公表番号】特表2012−526390(P2012−526390A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509851(P2012−509851)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/033006
【国際公開番号】WO2010/129392
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(506257537)クーパー テクノロジーズ カンパニー (35)
【Fターム(参考)】