説明

小型医療機器における有機ディスプレイのための電子保護装置

電力供給装置130と、1つの情報の光学表示のための表示装置122とを備える医療補助手段110が提案される。前記表示装置122は、少なくとも1つの有機発光材料を有するディスプレイ124を含み、かつ前記電力供給装置130を利用して電力を供給するために設けられている。前記表示装置122は、さらに前記ディスプレイ124の駆動のための駆動装置126ならびにディスプレイドライバ140を含む。前記駆動装置126は、前記ディスプレイ124を前記情報の表示のための正規の動作モードで駆動するために設けられている。前記駆動装置126は、前記電力供給装置130から供給された電気信号を監視し、かつ標準範囲からの前記電気信号の偏差により前記表示装置122を安全状態へ切り換えるために設けられている保護回路186を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電力供給装置と、1つの情報の光学表示のための表示装置とを備える医療補助手段に関する。本発明は、さらに表示装置の駆動方法に関する。この種の表示装置、方法および医療補助手段は、特に医学診断、たとえば血糖濃度、乳酸濃度の定量または凝結測定のための医療補助手段に使用されている。
【背景技術】
【0002】
従来の技術
血糖濃度の定量ならびに相応の投薬は、糖尿病患者にとり一日の経過の本質的な構成要素である。その際に血糖濃度は、必要に応じて相応の医療措置を講ずることができるようにするため、迅速かつ簡単に日に何度も(典型的に2〜7回)定量する必要がある。多くの場合、その際に自動システム、特にいわゆるインスリンポンプによる投薬が行われる。
【0003】
糖尿病患者の一日の経過を不必要に制限しないために、しばしば簡単に搬送し、かつ取り扱われる相応の移動機器が使用され、その結果、血糖濃度の測定は、たとえば職場または自由時間内でも問題なく行うことができる。目下、市場には一部様々な測定方法によりかつ様々な診断方法の使用下に機能する種々の移動機器がある。第1の測定法は、たとえば電気化学的測定法に基づき、血液サンプルが酵素および媒介物で被覆した電極上に塗布される。この種の測定法のための相応の試験ストリップは、たとえば米国特許第5,286,362号明細書に記載されている。その他の公知の測定法は、たとえば被検出物質が所定の検出試薬と反応できることに基づく光学測定法を使用し、反応混合物の変色が発生する。この種の色反応の検出と、それによる相応の被分析体の検出のためのシステムは、たとえばカナダ特許第2,050,677号明細書から知られている。
【0004】
一般に年齢に制約された疾病の増加によって、糖尿病がしばしば高齢者に発生することが判明している。しかしながら、まさに高齢者の場合、特に年齢に制約されて劣悪な照明条件下に視力が大幅に制限されている。とりわけ眼の傷害は、しばしば真性糖尿病の典型的な随伴障害の形態である。そのため、特に糖尿病患者は、自己管理に使用される携帯用の測定機器で良く読み取ることができる表示素子を必要とする。類似の問題は、携帯可能の機器がホームケアコンセプトの枠組みの中で使用される、その他の疾病の種類でも現れる。
【0005】
しかしながら、目下市場にある携帯用の医療システム、特に携帯用グルコース測定機器は、典型的に液晶表示装置(Liquid Crystal Displays、LCDs)をグルコース測定値、警告および指示、日付、時刻等のための表示器具として使用する。その際に、セグメントLCDsも、いわゆるマトリックスLCDsも使用される。その低コストと簡単な駆動のために主にセグメントLCDsが使用される。マトリックスLCDsは、わずかなグルコース測定機器に含まれており、この機器はしばしば包括的なデータ管理機能を備える高価値の機器である。
【0006】
しかしながら、液晶表示装置は、その読み取り性に関していくつかの欠点を有する。つまり、液晶表示装置は、特に自己照明式ではない。液晶表示素子は、むしろ単に局所的な透過性の入および切のための「スイッチ」として作用する。しかしながら、光の供給は、液晶表示装置自体としてその他の手段によって行われなければならない。一方で、これは周囲光が液晶表示装置の背後の反射面で反射され、かつ液晶表示装置を通して透過されることによって行うことができる。しかしながら、この場合、液晶表示装置の読み取り性は、強く周囲光の照明強度に左右される。暗いまたは弱い光の環境で液晶表示装置は劣悪にのみ読み取ることができ、またはまったく読み取ることができない。液晶表示装置の使用のその他の欠点は、液晶表示装置の読み取り性が強く読取角度(典型的に表示素子に対する法線と観察者の視方向の間の角度として定義される)に依存することである。この効果は、付加的な背景照明の有無にかかわらず発生する。それによって糖尿病患者によるグルコース測定機器の利用自由度が大幅に制限されている。これは、その限りで多くの糖尿病患者がグルコース測定機器を測定および操作のためにテーブル台上に置くことによって糖尿病患者がその機器を使用するので、特に欠点があると感じられている。ここで状況に制約されて、ディスプレイの読み取りが損なわれ、またはその上不可能になる読取角度が生じ得る。
【0007】
液晶表示装置のほかに、その他一連のディスプレイ技術が知られている。特に、有機材料による発光に基づく技術が知られている。特に、ここでは種々の技術的変形に使用される有機発光ダイオード(OLEDs)の技術が挙げられる。有機発光ダイオードの場合、有機薄膜(典型的に50および300nmの間の全厚さを有する1または複数の有機層)が2本の電極の間に埋め込まれている。電流がこの有機層を通して印加されると、無機半導体と同じように、有機層の中に「電子」および「正孔」(もしくはそれらの有機ペンダント)の再結合が生じる。この再結合により光子が放出される。この効果が有機エレクトロルミネセンスと呼ばれる。
【0008】
通常、有機発光ダイオードは薄膜システムとして透明の基板、たとえばガラス基板またはプラスチック基板上に構成される。その際、通常、上記の「サンドイッチ構造」が発生するまで、順々に電極層および有機層が構成される。通常、その際に第1の電極層(たとえばアノード層)として透明の電極層、たとえばインジウム−スズ酸化物が使用される。対電極(通常カソード)として、たとえば金属層、たとえばカルシウムまたはマグネシウムが使用される。それに続き、前記構造を空気湿度および酸素の影響から保護するために前記「サンドイッチ構造」が好適にカプセル化される。前記標準構造のほかに、その他の構造体、たとえば重ね合わせて積層した複数のOLEDsを備える構造体も知られており、この場合ガラス基板を通して放出されず、透明の金属電極層を通して放出される。さらに、使用する有機材料に関して区別される種々の技術がある。つまり、材料が(一般に蒸着された)単分子物質から構成される技術がある。その他の技術は、有機材料として、通常、湿式化学で塗布されるポリマーを使用する。ハイブリッド技術も当業者に知られている。
【0009】
有機発光ダイオードは、この間に様々な技術分野で使用されている。この場合の一例は、移動電話、オーディオ分野のオーディオミキサ、デジタルカメラ用ディスプレイならびにMP3プレイヤーまたはマルチメディアプレイヤーである。医療技術分野でも適用例が見出される。たとえば、国際公開第2004/048881号パンフレットおよび米国特許出願公開第2003/0035109号明細書は、有機発光ダイオードが光源として使用されるシステムを記載する。国際公開第2004/048881号パンフレットは、光源、受光器および試験エレメントの位置決め装置を備える診断試験エレメントの光学検査のための測定装置を開示する。前記光源は1個または複数個の有機発光ダイオードを有する。米国特許第2003/0035109号明細書は、有機分子、特に生物分子またはポリマーの検出用の機器を開示し、照明目的のために特にOLEDの使用も提案されている。
【0010】
照明手段としての使用のほかに、医療技術における表示素子としてのOLEDsの適用も知られている。米国特許出願公開第2005/0015115号明細書は、出力デバイスを有する応急処置システムを開示する。ここで出力デバイスがOLEDディスプレイを有してもよいことが指摘されている。米国特許第6,579,237号明細書も、OLEDディスプレイを備える医療システムを開示する。これは、超音波データを表示するOLEDディスプレイを有する診断用超音波画像システムである。
【0011】
しかしながら、その他の技術分野から知られているOLEDディスプレイの使用における挑戦は、しばしば使用するディスプレイが比較的短い寿命を有し、かつ高い故障発生率の傾向があることである。これは、特に使用する有機材料および/または使用する電極材料が経時により劣化することである。さらに、品質管理はしばしば構築することが困難であり、たとえば使用する電極材料(たとえばカルシウムまたはマグネシウムのような反応性金属)は酸化作用の傾向がある。とりわけ、OLEDディスプレイは過電圧または別様に置かれた欠陥のある電気駆動に対して非常に鋭敏である。
【0012】
上記効果は、全体的に個々の画素、個々の行または列ならびに部分的に全ディスプレイがゆるやかにまたは予測できずに突然の故障をもたらす。しかしながら、この種の故障はまさに医療機器において、特に自己管理および/または自己投薬のために私的領域で使用される医療機器においてしばしば致命的な結果に結びついている。つまり、特に高齢の患者で発生する誤りが知覚されず、または前記誤りが知覚される場合でさえ、前記誤りに適切に対応しないこともあり得る。これは、たとえば誤りのある投薬 − 周知の重大な結果を伴う − を生じ得る。特に、ここでセグメントディスプレイ、たとえば7セグメント表示装置は、ここで気づかれない個々のセグメントの故障によって容易に、表示された値の歪曲が発生し得るので、不利であることが証明されている。たとえば、最上位の水平セグメントが故障すると、表示「7」から簡単に表示「1」になり得る。この種の故障は、医療分野におけるディスプレイで致命的な結果を伴って現れ得る。
【0013】
寿命の増大と、その他の有利なディスプレイ特性に関する特別の役割は、この種のディスプレイの駆動に帰せられる。従来の技術から、それぞれのディスプレイ型式に応じてディスプレイ自体を故障から保護するOLEDディスプレイ用の多数の駆動回路が知られている。この種の駆動回路の一例は、米国特許第7,193,589号明細書に開示されており、前記印刷物は能動マトリックスOLED表示装置用の駆動回路を示す。その他多数の例が知られている。
【0014】
多くの場合、OLEDディスプレイ用の駆動回路は、一般にディスプレイドライバで映される画像データに応じて、ディスプレイの個々のピクセル(画素)によって電流を制御するディスプレイドライバを含む。しかしながら、特に移動機器分野におけるこの種の駆動回路の問題は、機器を遮断にする場合である。突然の遮断時または駆動回路が突然エネルギーを奪われるその他の場合で、制御されない電圧状態および/または電流状態が生じ得る不規則な状態が生じ得ることが判明している。特に前記問題は、たとえば電池または蓄電池のような、特に入の状態で取出可能のエネルギー蓄積器が取り出される場合に移動機器で生じる。前記機器が地面に落下し、またはその際に電池または蓄電池が機器から落下する場合にもエネルギー供給が突然崩壊する。電力供給が突然崩壊する前記の場合、通常、ディスプレイ駆動中のプログラム進行はそれ以上必要なタイミングを保証できず、その結果、前記の制御されない電圧状態を生じ得る。これは、さらにディスプレイおよび/またはその他の装置回路部分の破壊を生じ得る。
【発明の概要】
【0015】
発明の課題
したがって、本発明の課題は、公知の医療補助手段の欠点を回避する、少なくとも1つの医療機能を実施するための医療補助手段を提供することである。特に、前記医療補助手段は、エネルギー供給装置の崩壊時の制御されない電圧状態からディスプレイもしくはその中に含まれるディスプレイの効果的な保護を含まなければならない。
【0016】
発明の説明
この課題は、独立請求項の特徴を有する医療補助手段および方法によって解決される。それぞれ個別的にまたは組合せで実現できる本発明の有利な発展的形成は、従属請求項に示されている。全請求項は、ここで引用により本明細書の内容になる。
【0017】
本発明により電力供給装置と、1つの情報の光学表示のための表示装置とを備える医療補助手段が提案されている。しかしながら、以下に説明する実施形態における表示装置は、ここで基本的に単独でも、すなわち医療補助手段に関係なく、たとえば電力供給装置を備える機器のその他の型式、特に携帯可能の機器に使用することができる。
【0018】
医療補助手段とは、ここで基本的に少なくとも1つの医療機能を実行する各医療機器としてよい。その際に医療機能とは、何らかの方法で治療および/または診断および/または外科目的に利用される機能のことである。特に、これは体液(たとえば血液および/または組織間液)の中の少なくとも1つの被分析体、特に少なくとも1つの代謝産物の濃度を定性的または定量的に決定される機能の形態における診断機能であってよい。例として、ここで血糖測定、コレステリン測定、凝結測定、ホルモンレベルまたは類似の機能の定量が挙げられる。たとえば、医療補助手段は血糖計、特に携帯可能の血糖計を含むことができる。択一的または付加的に、身体機能の測定機能、たとえば血液測定も含まれていてよい。しかしながら、択一的または付加的に医療機能、たとえば投薬機能、たとえば一定量のインスリンの注射の機能を含むこともできる。その限りで、前記医療補助手段は、たとえば携帯可能の、自動インスリン注射器および/またはインスリンポンプを含んでもよい。さらに、前記医療機能は、たとえばサンプル採取機能、たとえば少なくとも1つのランセットを利用する、たとえば体液の液体サンプル、たとえば血液滴の生成のための機能を含んでもよい。前記機能は、その際に個別的または任意の組合せでも医療補助手段の中に実装することができる。各場合において、その際に前記医療補助手段がその重量および/またはその寸法によって携帯可能の医療補助手段として形成されている場合が有利である。
【0019】
前記医療補助手段の全ての例は、利用者に対して少なくとも1つの光学情報をグラフィック表示する必要性と結び付けることができる。携帯可能の分析装置、たとえば血糖計の場合、これは、たとえば医療補助手段の分析結果および/または機能制御のメニュー機能であってよい。投薬装置の場合、たとえば設定される投薬量および/または医療補助手段の機能制御のメニュー機能であってよい。サンプル採取装置の場合、たとえばまだ使用できるランセットの数および/または穿刺深さに関する情報および/または医療補助手段の機能制御のメニュー機能であってよい。この医療補助手段は、特に家庭で健康値を監視するホームケアプログラムの枠組みの中で使用することができ、かつ、たとえばスポット状の不連続な測定(たとえば一定に設定された時間)で使用でき、または連続的監視を含んでもよい。
【0020】
「表示装置」とは、ここで利用者に光学的方法で情報を提供するために装備される任意の装置である。以下に説明する表示装置は、具体的に医療補助手段における使用との関連性で記載されている。それにもかかわらず、電力供給装置によって電力を供給可能である表示装置は、以下に示す実施形態の1つまたは複数で基本的にその他の電子機器、好ましくは携帯可能の電子機器の枠組みの中でも使用可能である。たとえば、表示した実施形態の1つの表示装置を、たとえば移動通信機器、たとえば移動電話またはPDAs(personal digital assistant、携帯式小型コンピュータ)の枠組みの中で使用することも考え得る。また、その他の電子機器の型式、特に携帯式電子機器は、有利には前記表示装置を装備可能であり、かつ以下に説明する長所によって有利になる。
【0021】
表示装置は、光学情報を提供する目的で、少なくとも1つの有機発光材料を有する少なくとも1つのディスプレイを含む。前記ディスプレイは、光学情報を表示する任意の装置、たとえば単純な発光点、記号、セグメント表示(たとえば7セグメント表示)、マトリックスディスプレイまたはその他のディスプレイ型式であってよい。また別様に形成されたディスプレイ用の単純な背景照明として、たとえばディスプレイが有機背景照明、たとえば背景照明として大面積OLEDを備える液晶ディスプレイを有することによって、有機発光材料を使用してよい。対応して、たとえばバイナリ形式の表示情報であってもよい(たとえば発光記号による単純なオンオフ情報)または、たとえば、好ましくはセグメントディスプレイまたはマトリックスディスプレイ上に表示される、たとえば文字数字情報を含んでもよい。ディスプレイ自体は、好ましくは後述する表示装置がこの種のディスプレイを特に効果的に保護するので、受動マトリックス表示装置を含んでもよい。しかしながら、これは択一的または付加的に、その他のディスプレイ動作方式もしくはたとえば能動マトリックス表示装置のようなディスプレイ構造の使用を除外しない。前記ディスプレイ型式の組合せも可能である。
【0022】
有機発光材料は、好ましくはポリマーおよび/または低分子有機材料を含んでもよい。ディスプレイは、好ましくは、たとえば上記明細書にしたがっておよび/または従来の技術に記載された一実施例にしたがって少なくとも1つの有機発光材料でOLEDディスプレイとして形成されている。しかしながら、これは有機発光材料を有する別様に形成されたディスプレイ、たとえば有機発光材料が無機発光材料の中に埋め込まれたディスプレイを除外しない。
【0023】
表示装置は、電力供給装置から電力を供給するためにも設けられている。電力供給装置は、その際たとえば直接表示装置自体の中に組み込んでもよく、または択一的または付加的に、外部に配置してもよく、かつたとえば表示装置を含む、特に医療補助手段のケースの中に組み込まれた医療補助手段の構成要素であってよい。表示装置自体は、その場合表示装置が電力供給装置によって電力で作動できる、たとえば相応のインタフェースまたは接続部を含んでよい。
【0024】
なお、原理的にこの種のエネルギー供給装置の任意の方式を使用してよい。つまり、電力供給装置は、たとえば電圧および/または電流の外部供給のための電源ケーブルおよび/またはインタフェースを含んでよく、これはたとえば定置型実験室機器で有利となり得る。しかしながら、電力供給装置が表示装置を含む医療補助手段の移動性の要件に適合されている場合が有利であり、その結果、特に好ましく取出可能のエネルギー供給装置が使用される。つまり、電力供給装置は、特に1つまたは複数の交換可能のエネルギー蓄積器、たとえば交換可能の蓄電池および/または交換可能の電池を含んでよい。この交換可能性は、その際たとえば相応のフラップ、スライダー、交換可能のエネルギー蓄積器用の収容部または類似の、表示装置自体および/または医療補助手段(たとえばそのケース)内に設けることができる装置によって保証することができる。エネルギー供給装置は、表示装置の供給に加えて、医療補助手段のその他の部品もしくは機能の提供、たとえば医療補助手段の中央制御のエネルギー供給装置にも利用することができる。
【0025】
表示装置は、さらに同様にディスプレイドライバを含むディスプレイを駆動するための駆動装置を有する。この駆動装置は、情報を表示する正規の動作モードでディスプレイを駆動するために設けられている。ここで「正規の動作モード」とは、たとえば医療補助手段の制御によって供給され、かつ指令によってディスプレイ上にもしくはディスプレイによって表示される情報データによって駆動装置が作動される表示装置の動作モードである。これは、素子がスイッチ入りにされた表示装置もしくは医療補助手段の標準モードである。
【0026】
「ディスプレイドライバ」とは、ディスプレイ上での画像情報の正確な再現を保証する電子装置である。特にOLEDディスプレイの場合、しかしまたその他のディスプレイ型式においても、たとえばディスプレイドライバが電流を少なくとも1つのディスプレイ画素(ピクセル)によって制御するように、前記ディスプレイドライバを形成することができる。この画素の輝度は、多くの場合少なくとも近似的に電流密度に比例しているので、それによって個々の画素の輝度を標定して駆動することができる。つまり、この場合、ディスプレイドライバは、個々の画素に対する電流制御、たとえばディスプレイの個々の行および/または列に対する電流制御を提供する。
【0027】
駆動装置は、少なくとも1つのディスプレイドライバ(たとえば様々なディスプレイ領域を駆動するために、字義どおりに複数のこの種のディスプレイドライバを設けてもよい)のほかに、別の素子を含んでもよい。これらの別の素子は、たとえば受動的および/または能動的電子部品を含んでもよい。さらに、これらの別の部品が少なくとも1つのデータ処理装置、たとえばマイクロプロセッサを含む場合が好適である。
【0028】
駆動装置は、好ましくは分散式に構成されている。この目的のために、たとえば少なくとも1つのディスプレイドライバをディスプレイの直接近傍に、たとえばディスプレイの基板(パネル)上および/または前記ディスプレイパネルへの好ましくは可撓性リード線(フレックスケーブル)上に配設することができる。駆動装置のその他の部品は、この場合にディスプレイドライバの直接近傍に配設してよく、または択一的または付加的に、前記ディスプレイドライバから離して、たとえば別々の電子基板上に配設してもよい。この方法により、最適なスペース利用を保証することができ、これが特に移動医療補助手段にとり有利である。
【0029】
その限りで、表示装置は、たとえば商業的に入手できる表示装置に相当してよい。しかしながら上述のように、この種の表示装置の問題は、特に電力供給装置の突然の降下時に発生し得る制御されていない電圧状態によって生じ得る損傷である。まさに、ディスプレイドライバがディスプレイの直接近傍に、たとえばディスプレイパネル上および/または前記ディスプレイパネルへの可撓性リード線上に配設されている場合、ディスプレイドライバのハードウェア(これは、たとえばアプリケーション仕様の集積回路、ASICとして形成されていてよい)に介入することなく、ディスプレイドライバと本来のディスプレイとの間の駆動の正確さを検査することは技術的に非常に困難である。
【0030】
したがって、本発明により、駆動装置が保護回路を含むことが提案されている。この保護回路は、個々の回路として全部または一部駆動装置の中へ集積されていてよく、または複数の部品を含んでもよい。この保護回路は、電力供給装置から供給された電気信号を監視し、かつ標準範囲からの前記電気信号の偏差により表示装置を安全状態へ切り換えるために設けられている。
【0031】
たとえば、電力供給装置から供給された少なくとも1つの電気信号は、1または複数の電圧および/または1または複数の電流を含むことができる。特に、駆動装置におよび/またはディスプレイドライバにおよび/またはディスプレイに供給された電圧を監視することができる。その際に、電力供給装置から供給された電気信号は、たとえば直接前記電力供給装置の電圧および/または電流を含むことができる。ここで「直接」とは、電力供給装置の信号が能動的および/または受動的な、前記信号の量および/または位相および/または周波数に本質的な影響を及ぼす構成要素の中間接続なしに監視されることである。たとえば、電池のような直流電源の場合、たとえば直接前記直流電源の供給電圧を監視することができる。しかしながら、択一的または付加的に、電力供給装置から供給された電気信号は、間接的信号、たとえば電圧変換信号であってもよい。たとえば、電力供給装置と表示装置のマイクロプロセッサの間で変換されたおよび/または一定に保持されたマイクロプロセッサのための供給電圧を発生する電圧変換器(たとえばDC/DCコンバータ)を採用することができる。この供給電圧も「間接的」信号として監視できる。それによって、直接電力供給装置から供給された電気信号の監視も、「間接的」すなわち導出された信号の直接的信号の能動的および/または受動的構成要素の中間接続下の監視も可能であり、かつ本発明によって包括されている。
【0032】
前記監視は種々の方法で行うことができる。たとえば、電気信号が、たとえば閉じたおよび/または開いたおよび/または半分開いた値間隔の形態で表示できる少なくとも1つの所定の標準範囲内に電気信号があるかどうかを監視することができる。電気信号は、たとえば1または複数の規定された目標値と比較することができ、または択一的または付加的に、経時的に変化する目標値および/または標準範囲、たとえばディスプレイの様々な動作状態に対する様々な標準範囲を考慮することもできる。この標準範囲は、必ずしも経時的に一定とする必要がなく、たとえば字義に即して目標値関数または標準範囲関数を、電気信号の経時的経過と比較される時間変数の関数として考慮することができる。
【0033】
特に急激に降下するエネルギー供給装置が問題を生じ得るので、少なくとも1つの電気信号が閾値と比較され、その結果、標準範囲がたとえば前記目標値以下または以上の範囲にある場合が特に有利である。この目標値が、たとえば所定の電圧Aであるとき、標準範囲は、たとえばAよりも大きい、またはAよりも大きいか等しい、またはAよりも小さい、またはAよりも小さいか等しい全ての電圧値を含むことができる。たとえば、所定の最小電圧が下回るかどうか、および/または所定の最大電圧を上回るかどうかを検出することができる。たとえば、過電圧も検出し、かつ安全状態へ移行させることができる。A<Bである2つの電圧値AおよびBも目標値として考慮することができ、電圧Vに対する標準範囲は、たとえばA≦V≦BまたはA≦V<BまたはA<V≦BまたはA<V<Bを含むことができる。その際に、それぞれ公差閾値も考慮することができる。
【0034】
駆動装置は、ここで前記駆動装置が標準範囲からの偏差により前記表示装置を安全状態へ切り換えるように形成されている。前記安全状態は、ディスプレイの損傷が回避される1または複数の任意の状態を含むことができる。ここで「状態」とは、必ずしも等しくとどまる、すなわち静的モードである必要はなく、「状態」とは、安全手順またはプログラム進行としてもよい。特に、この安全状態は、ディスプレイの動作電圧および/または駆動電流の規定された遮断を含むことができ、これは好ましくは前記遮断時に制御されない状態が発生できないように形成されている。前記態様について、別の有利な実施例の明細書でより詳しく説明する。しかしながら原理的に、安全状態はディスプレイで、特にディスプレイの個々の画素で過大な電流および/または電圧の発生が回避または阻止される任意の、正規の動作モードと異なる状態を含むことができる。
【0035】
それによって、提案された保護回路を有する表示装置は、通常、電力供給装置の瞬間的な断続時にディスプレイ(たとえばマトリックスディスプレイの個々のまたは複数の画素)を損傷し得る制御されない状態がディスプレイに発生し得ることを効果的に阻止する。たとえば、ディスプレイの個々のまたは複数の画素で短期の過電圧および/または過大な電流負荷を回避することができる。それによって、表示装置の正規の遮断時にディスプレイの保護が増大し、かつ表示装置の寿命および誤り安全性が著しく向上する。とりわけ、不正規の遮断時、たとえば蓄電池および/または電池の取出し時でも表示装置の入り状態でまたは表示装置の落下時およびその際の電池の落下時に短期に発生する不正規の状態が阻止される。表示装置および/または表示装置を含む医療補助手段の製品の品質および製品寿命はそれによって著しく改善される。
【0036】
表示装置は、様々な方法で有利に発展的に形成することができる。本発明の前記形成およびすでに挙げた好ましい発展的形成は、個別的にまたは組み合わせて実現することができる。
【0037】
安全状態が電力供給装置から供給される電力の突然の降下時に、少なくともディスプレイが電力を供給されるまで長くディスプレイドライバの動作が維持されることを保証するように保護回路が設けられている場合が特に有利である。この方法により、ディスプレイがディスプレイドライバを利用して最後の危険な瞬間まで、つまりディスプレイ自体がエネルギーを印加されるまで長く、制御された方法でエネルギーが供給されることが保証される。それによって、好ましくは制御されない状態がここで発生できない。
【0038】
さらに、安全モードで少なくとも1つのコンデンサ要素が規定されて放電される場合に有利である。電力供給装置とディスプレイおよび/またはディスプレイドライバの間の接続部のコンデンサ要素は、前記素子が(電気抵抗と一緒に)、たとえば放電過程の時定数を決定するので、本質的に遮断過程のタイミングに寄与する。この方法により、たとえばディスプレイが最後まで制御されて作動される遮断プロセスの前記の有利なタイミングを保証することができる。とりわけ、特に大型コンデンサ要素にさらに長くエネルギー供給の崩壊後に、たとえばディスプレイに引き続きエネルギーを供給するために十分である高い電圧を印加することができ、それと逆に、たとえばディスプレイドライバがすでに遮断されている。特にこの場合、不定の制御されない状態を生じ得る。安全状態でのコンデンサ要素の規定された放電によって、表示装置の損傷は前記の制御されない状態によって回避することができる。コンデンサ要素は、コンデンサのほかにまたはコンデンサに加えて、たとえば単純なリード線または遮断後にもう1つの電圧を維持できる別の素子を含むことができる。
【0039】
少なくとも1つのコンデンサ要素の規定された放電のために、特に保護回路は少なくとも1つの放電スイッチを有してよい。この少なくとも1つの放電スイッチは、たとえばトランジスタ回路として形成されていてよく、かつ前記放電スイッチが少なくとも1つのコンデンサ要素の規定された放電を生ぜしめるように、保護回路もしくは駆動装置によって切り換えることができる。特に、少なくとも1つのコンデンサ要素は、その際に1つのコンデンサ要素をエネルギー供給装置とディスプレイドライバの間に含むことができる。放電スイッチは、好ましくはマイクロプロセッサ、特に駆動装置のマイクロプロセッサによって切り換えることができる。前記マイクロプロセッサは、その際に多重機能を引き受けることができ、かつたとえば、ディスプレイドライバの駆動も課題としてもつことができる。
【0040】
少なくとも1つのコンデンサ要素は、たとえば全体的にディスプレイ供給路を介して供給される電気信号の平滑化を生ぜしめる2またはそれ以上の個々のコンデンサ要素を含むことができる。この両方の個々のコンデンサ要素は、ディスプレイ供給路内のスイッチによって分離可能とすることもできる。たとえば、電気スイッチは、安全状態で開かれるディスプレイ供給路の中に組み込むことができる。たとえば、前記スイッチは、同様にマイクロプロセッサを介して、たとえば同時にまたは単に多少時間をずらして放電スイッチの切り換えのために切り換えることができる。たとえば、両方の素子は同じ制御回線を介して駆動することができる。それによって、前記スイッチは保護回路のもう1つの構成要素を形成することができる。放電スイッチは、好ましくはスイッチの開放後にまだ1つだけ小さい静電容量がディスプレイドライバと接続されており、それに対してコンデンサ要素のより大きい構成要素がディスプレイドライバから分離されるように、両方の個々のコンデンサ要素を分離する。
【0041】
電力供給装置がディスプレイ供給路を介して電力をディスプレイの駆動のために供給する態様が特に有利である。ここで「路(path)」とは、たとえば電気的または光学的信号を導通できる1または複数の接続部、特に接続リード線である。コンデンサ要素は、その際に前記ディスプレイ供給路の中に組み込まれている。さらに、前記の有利な実施形態において電力供給装置がドライバ供給路を介してディスプレイドライバと接続され、かつ前記ディスプレイドライバを駆動するための電力が提供される。次いで、ドライバ供給路の中に好ましくはドライバコンデンサが組み込まれ、字義に即して同様に複数の静電容量も含まれていてよい。その際に、好ましくは電力供給装置の断続時にコンデンサ要素がディスプレイ供給路の中でドライバコンデンサよりも速く放電されるように、コンデンサ要素、ドライバコンデンサおよび放電スイッチが指定されている。「より速い放電」とは、好ましくはディスプレイ供給路の中に印加される電圧がドライバ供給路の中に印加される電圧の前で崩壊する状態である。すなわちドライバ供給路の中に印加される電圧がディスプレイドライバの駆動に必要な最小電圧以下に下がるよりも速くディスプレイ供給に必要な最小値以下に低下する状態である。別の言葉では、前記実施形態において、ディスプレイドライバが時間的にディスプレイドライバの設定前にまたは好ましくは設定後に遮断することが保証され、その結果、ディスプレイ動作が最後の瞬間まで制御される。この方法により、遮断過程のタイミングを正確に規定することができ、ディスプレイに制御されない状態が発生しない。
【0042】
電力供給装置の突然の遮断時に、引き続きディスプレイドライバを介するものと異なる方向へのドライバコンデンサの望ましくない放電を阻止するために、さらにドライバ供給路の中に1または複数のダイオードを収容してよい。たとえば、前記ダイオードは、第1のDC/DCコンバータを介してドライバコンデンサの放電を阻止するために、第1のDC/DCコンバータとドライバコンデンサの間に収容してよい。
【0043】
なお、ディスプレイ供給路は1つのDC/DCコンバータを含んでよい。また、ドライバ供給路も第2のDC/DCコンバータを含んでよい。前記DC/DCコンバータは、電力供給装置から供給される電圧をディスプレイドライバおよび/または駆動装置の駆動および/またはディスプレイの駆動に必要な動作電圧に変換するために設けることができる。それによって、必要な目標電圧は指定された、たとえば所定の電池および/または蓄電池によって設定された電圧値からも発生しかつ一定に保持することができる。
【0044】
標準範囲と偏差の確定により、少なくとも1つの電気信号を監視するために、保護回路は特に、たとえば電力供給装置から供給された電圧および/または電力供給装置から供給された電流を目標値と比較する比較器を含んでよい。前記比較器は、字義に即して複数の比較器を設けてもよく、1または複数の不連続電子モジュールを含んでよい。しかしながら、前記比較器が少なくとも部分的にマイクロプロセッサの中に、好ましくは駆動装置のマイクロプロセッサの中に組み込まれている場合が特に有利である。つまり、前記比較器は、たとえば全部または一部マイクロプロセッサ内で進行するソフトウェア要素によって、および/またはマイクロプロセッサの中に組み込まれたハードウェア要素によって実現することができる。
【0045】
少なくとも1つの電気信号が、標準範囲からの偏差を確認するために1または複数の目標値と比較される場合、前記目標値は、たとえば比較器に印加される基準電圧によって特性化することができる。より複雑な目標値が所望される場合、前記基準電圧は、たとえば複数の個々の基準電圧、1または複数の時間的に変化する基準電圧または時間の関数としての基準電圧関数を含んでよい。特に、マイクロプロセッサの中へ集積することにより、前記装置変形は容易に実現可能である。基準電圧は少なくとも部分的に、マイクロプロセッサが通常規定された電圧出力を供給するので、前記マイクロプロセッサから供給することができる。択一的または付加的に、1または複数の基準電圧に、外部から印加し、かつたとえば定電圧源によって供給することができる。
【0046】
上述のように、保護回路は、好ましくはデータ処理装置、特にマイクロプロセッサを含む。前記マイクロプロセッサもしくはデータ処理装置は、特に、ディスプレイを駆動する駆動プログラムを実行するために設けることができる。前記データ処理装置のほかに、表示素子を含む医療補助手段は、別のデータ処理装置、たとえば別の機能、たとえば液体サンプル(たとえば血糖濃度での血液サンプル)の分析時の機能を引き受けることができる別のマイクロプロセッサを含んでよい。複数のデータ処理装置、特にマイクロプロセッサが設けられている場合、前記データ処理装置は、好ましくはマスター・スレーブ・モードでも利用することができ、たとえば保護回路もしくは駆動装置の少なくとも1つのマイクロプロセッサをマスターとして利用することができ、かつ医療補助手段のもう1つのマイクロプロセッサをスレーブとして利用できる。駆動装置もしくは保護回路のデータ処理装置がスレーブとして使用される逆の態様も可能である。
【0047】
保護回路もしくは駆動回路のデータ処理装置は、特に安全状態で駆動プログラムを断続し、かつ遮断プログラムを実行するために設けることができる。前記断続は、たとえばディスプレイを正規の動作モードで駆動する駆動プログラムが断続されるインタラプトの形態で生じ得る。たとえば、電力供給装置から供給される電気信号が1つの目標値(たとえば最小電圧)を下回ることが確認されるとき、たとえば1つのフラグ(すなわち所定の、好ましくはブール演算変数)を断続値に設定することができ、かつインタラプトを介して進行する正規の動作モードの正規の駆動プログラムのプログラム実行を断続し、かつ遮断プログラムに切り換えることができる。
【0048】
上述のように、表示装置、特に駆動装置および/または保護回路のデータ処理装置は、表示装置もしくは医療補助手段の別の機能を引き受けることができる。データ処理装置が引き続きディスプレイドライバを駆動するために設けられている場合が特に有利である。
【0049】
上述のように、医療補助手段に関係なく使用できる前記実施形態の1つにおける上記表示装置は、医療補助手段、特に携帯可能の血糖装置内の使用に特に好適である。つまり、提案した表示装置によって技術的に有利にOLEDディスプレイを使用することができ、前記ディスプレイ素子の技術的欠点は、提案した保護回路によって回避もしくは低減することができる。それによって、前記表示素子の方式の長所、特に高い観察角度、鮮明なコントラストおよび、たとえば背景照明を必要としないこの種のディスプレイの自己照明特性が優れている。
【0050】
前記実施形態の1つにおいて提案した医療補助手段および表示装置のほかに、さらに1つの情報の光学表示のための表示装置の駆動方法が提案される。前記表示装置は、特に上記実施形態の1つの表示装置であってよく、その結果、任意選択式の有利な方法変形は、上記明細書を参照してよい。前記表示装置は、同様に少なくとも1つの有機発光材料を有するディスプレイ、電力供給装置およびディスプレイを駆動する駆動装置ならびにディスプレイドライバを含む。前記ディスプレイは、表示装置の入り状態で情報を表示するために正規の動作モードで駆動される。その際に、上記説明と同様に、電力供給装置から供給される電気信号が監視され、かつ標準範囲からの偏差により表示装置が安全状態へ切り換えられる。
【0051】
実施例
本発明のその他の詳細および特徴は、従属請求項に関係する有利な実施例の以下の説明から明らかである。その際に、各特徴は単独でまたは複数の互いの組合せで実現することができる。本発明はこの実施例に制限されていない。本実施例は図に模式的に示されている。その際に、個々の図中の同じ参照符号は、同一のまたは機能的に同一のもしくはその機能に関して互いに相応する素子を表す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】表示装置を有する医療補助手段の一実施例である。
【図2】本発明に係る表示装置の第1の実施例のブロック図である。
【図3】本発明に係る表示装置の第2の実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1に、医療補助手段110の可能な一実施例を模式的に示している。医療補助手段110は、本実施例においてケースを有するポータブル手持形機器として構成されており、かつ、たとえば血糖測定に用いられる。この目的のために、医療補助手段110は、分析試験エレメント112を含む。前記分析試験エレメント112は、図1に記号により液体サンプル114(血液滴)を塗布できる試験ストリップとして示されており、次に、たとえば電気化学的および/または光学的測定法を利用して液体サンプル114の中の分析濃度、本件の場合は血糖濃度を定量することができる。
【0054】
この測定の評価のために、医療補助手段110は、さらにたとえば血糖測定を評価する電子部品を含んでよい制御部116を含む。前記制御部116が、たとえば測定を評価する相応のソフトウェアアルゴリズムを進行できるマイクロコンピュータ118を含む場合が特に有利である。別の、たとえばメモリ機能、入力および出力機能、データバンク機能または類似の機能も含まれていてよい。
【0055】
さらに、医療補助手段110は、医療補助手段110の機能を操作する一連の操作要素120ならびに表示装置122を含む。情報の視覚的再現に利用される前記表示装置122は、以下ここでOLEDディスプレイであることが想定されるディスプレイ124を含む。択一的または付加的に、別のディスプレイ方式、たとえば単純な発光領域、記号、電池状態表示等を設けてもよい。さらに、以下、ディスプレイ124(発明の範囲の制限なし)が受動マトリックス表示装置であることが想定されている。
【0056】
表示装置122は、さらにディスプレイ124を駆動する駆動装置126を含む。前記駆動装置126は、図1に単に記号で表しており、以下より詳しく説明する。前記駆動装置126は、データ接続部128を介して制御部116と接続されており、それによってデータを交換することができる。駆動装置126および制御部116が、全部または一部、部品同一に、たとえば制御部116が駆動装置126の課題を同時に引き受けることによって実現できることを指摘しておく。この場合、制御部116は、たとえば大型かつ高性能のマイクロプロセッサ、たとえば米国サンホセのATMEL社の型式ATMega2561のマイクロプロセッサを含んでよい。制御部116と駆動装置126の間のマスター・スレーブ・モードも、たとえば制御部116が駆動装置126の第2のマイクロプロセッサ(図2下の参照符号136参照)に対するマスターとして機能する第1のマイクロプロセッサを有することによっても考え得る。後者の場合、第2のマイクロプロセッサは、たとえば前記マイクロプロセッサがより少ない課題を引き受ける必要があるので、多少より小型にかつより弱い出力で指定されてよい。たとえば、後者の場合、型式ATMega168のマイクロプロセッサを使用してもよい。
【0057】
さらに、図1の実施例による医療補助手段110は、好ましくは取出可能の電力供給装置130、たとえば1または複数の電池および/または蓄電池であってよい電力供給装置130を有する。前記電力供給装置130は、図1記載の本実施例において、たとえば表示装置122および/または制御部116にエネルギーを供給することができる。医療補助手段110の別のシステム機能も電力供給装置130からエネルギーを供給することができる。
【0058】
図1に示した医療補助手段110は、単に記号により表しており、かつ様々な方法で変形できる。たとえば、分析試験エレメント112としての試験ストリップに代わり、別の方式の試験エレメント112、たとえば分析試験テープ、試験管または類似物を使用してもよい。たとえば、医療補助手段110は、分析試験エレメント112が多数の個別の試験フィールドを有する試験テープを含むテープ装置であってよい。たとえば、穿刺機能および分析機能を有する、たとえば組み合わせ医療補助手段110のような別の方式の医療補助手段110または、たとえば上に例示した、1または複数の医療補助手段110、たとえば血圧測定器、サンプル採取システム、投薬装置または複数の機能を有する組み合わせ機器(たとえば血糖測定装置を有する集積サンプルシステム)のような別の医療補助手段の方式も考え得る。
【0059】
表示装置122もそれらの素子と一緒に図1に単に大幅に模式的に示されている。図2に、たとえば図1記載の医療補助手段110に使用してよいこの種の表示装置122の可能な一実施例が示されている。
【0060】
図1の表示装置122は、電力供給装置130によって電力を供給する。電力供給装置130は、第1のDC/DCコンバータ132に接続されている。たとえば、電力供給装置130は、直列に接続された、それぞれ1.65Vの2個の電池を含むことができ、第1のDC/DCコンバータ132は、その出力部134で3.3Vの一定の電圧を維持するために設けられている。
【0061】
第1のDC/DCコンバータ132は、さらにその出力部134を介して駆動装置126のマイクロプロセッサ136と接続されており、それによって前記マイクロプロセッサに3.3Vの一定の電圧を供給する。マイクロプロセッサ136は、さらに制御回線138を介して、ディスプレイ124を画像回線142を介して駆動するディスプレイドライバ140と接続されており、その結果、所望の情報が表示される。
【0062】
第1のDC/DCコンバータ132の出力部134は、さらにドライバ供給路144を介してディスプレイドライバ140と接続されており、その結果、前記ドライバ供給路144を介してディスプレイドライバ140が同様に好ましくは第1のDC/DCコンバータ132の3.3Vの出力電圧で作動される。ドライバ供給路144の中に、一端でアース148に切り換えられているドライバコンデンサ146が組み込まれている。
【0063】
電力供給装置130は、さらに第2のDC/DCコンバータ150と接続されている。前記DC/DCコンバータは、3.3Vの電力供給装置130の電圧を本実施例において約13Vに変換し、そこで前記電圧を一定に保持する。第2のDC/DCコンバータ150は、制御回線152を介してマイクロプロセッサ136と接続され、かつこの方法によりマイクロプロセッサ136によって制御、すなわち、特に入および切にすることができる。
【0064】
第2のDC/DCコンバータ150は、ドライバ供給路154を介してディスプレイドライバ140と接続されており、かつこの方法によりディスプレイ124を駆動する電力を供給し、電力、すなわち、特に電圧をディスプレイドライバ140の制御ロジックに対して供給するドライバ供給路144と逆である。
【0065】
ディスプレイ供給路154の中に、ドライバ供給路144と同様に、本実施例において第2のDC/DCコンバータ150と放電回線158(下記参照)の分岐部との間に配設された第1のコンデンサ要素155と、前記放電回線158の分岐部とディスプレイドライバ140との間に配設された第2のコンデンサ要素157とから構成されたコンデンサ要素156が組み込まれている。コンデンサ要素155、157は、ドライバコンデンサ146と同様に、一端でアース148に接続されている。たとえば、第1のコンデンサ要素155は、4.7マイクロファラッドの容量を有し、第2のコンデンサ要素157は26.7マイクロファラッドの値を有してよく、その結果、コンデンサ要素156に対して合計31.4マイクロファラッドの容量が生じる。また、コンデンサ要素155、156、157の容量に対して別の値または前記コンデンサ要素155、156、157の別の配列(たとえば別の数のコンデンサ要素155、156、157および/または前記コンデンサ要素155、156、157の別の回路)も可能であり、かつ当業者にとり認識可能および実現可能である。コンデンサ要素155、156、157は一緒にドライバ供給路154を介して供給された信号の平滑化を生ぜしめる。ドライバ供給路144の中に収容されたドライバコンデンサ146は、たとえば0.5マイクロファラッドの容量を有することができ、これがコンデンサ要素156の容量を著しく上昇させ、かつ以下より詳しく説明するように、電力供給装置130の突然の遮断時にディスプレイドライバ140の機能性をディスプレイ供給の機能性よりも長く維持した状態にとどまり、その結果、制御されない電圧状態および/または電流状態がディスプレイ124の供給装置に現れることができない。
【0066】
さらに、ドライバ供給路154から第2のDC/DCコンバータ150とディスプレイドライバ140の間に放電回線158が分岐する。前記放電回線158は、ドライバ供給路154を放電抵抗160と放電スイッチ162とを介してアース148と接続する。たとえば、放電抵抗160に対して上記静電容量または前記静電容量の類似の大きさおよび配分との関係で39オームのオーダーの値を使用することができる。この場合、放電抵抗160を介してコンデンサ要素155、156、157の放電に対して約1.2ミリ秒のRC時定数が生じる。
【0067】
放電スイッチ162は、トランジスタスイッチとして形成されており、その入力および出力がドレイン164もしくはソース166である。前記放電スイッチ162のゲート168は、制御回線170を介してマイクロプロセッサ136と接続されており、その結果、放電スイッチ162をマイクロプロセッサ136によって切り換えることができる。
【0068】
さらに、駆動装置126は比較器172を含む。前記比較器172は、本実施例においてマイクロプロセッサ136の一部として形成されている。比較器172の比較入力部174は、電力供給装置130と接続されており、その結果、前記比較入力部174に、たとえば直接電力供給装置130の電圧、たとえば上記の3.3Vが印加される。
【0069】
基準入力176は、基準電圧を供給する基準電圧源178と接続されている。基準電圧180は、たとえば1.1Vに置いてよい。本実施例において、基準電圧180は、マイクロプロセッサ136の内部基準電圧によって実現されている。しかしながら、択一的または付加的に、外部基準電圧による比較器172も実現可能である。
【0070】
比較器172の信号出力182は、マイクロプロセッサ136のインタラプト入力部184と接続されている。別の言葉では、比較器172の出力信号によってインタラプトを解除することができる。比較器172の要素およびインタラプト入力部184は、全部または一部マイクロプロセッサ136によって実現されていてよく、かつたとえば全部または一部ソフトウェアモジュールおよび/またはマイクロプロセッサ136のハードウェア要素によって実装されてよい。
【0071】
本実施例において、たとえば電力供給装置130として3.3Vの電圧を発生するために、2つのAAA電池の組み合わせを使用してよい。マイクロプロセッサ136として、すなわちディスプレイプロセッサとして、たとえば米国サンホセのATMEL社のプロセッサATMega168を使用してよい。比較器172および基準電圧180として、相応の前記ディスプレイプロセッサの機能を使用してよく、その結果、付加的な要素は不要である。ディスプレイドライバ140として、ドイツのグラースヒュッテンのソロモン・システク・リミテッド社の型式SSD1325、SSD1328またはSSD0323の受動マトリックスOLEDドライバ・コントローラを使用してよい。しかしながら、択一的または付加的に、ディスプレイドライバ140の別の方式も使用可能である。ディスプレイ124は、たとえばドイツのレーゲンスブルクのオズラム・オプト・セミコンダクターズの商標Pictivaの受動マトリックス・ポリマーOLEDディスプレイを含んでよい。
【0072】
比較器172を有するマイクロプロセッサ136、制御回線170、放電回線158、放電抵抗160および放電スイッチ162は、本実施例において駆動装置126の保護スイッチ186の要素を形成する。
【0073】
前記保護回路186および全体を図2に示した駆動装置126および表示装置122の作用は、以下簡単に説明する。ディスプレイ126の駆動時の制御されていない状態の上記問題は、特に医療補助手段110の入り状態で電力供給装置130の電池が取り出されまたは、たとえば落下によって落ちる場合に発生する。しかしながら、エネルギー供給の断続時、ドライバ供給路144を介してディスプレイドライバ140に供給されるディスプレイドライバ140の制御ロジックに対する動作電圧は、前記制御ロジックが崩壊し、かつディスプレイ124を未規定の、制御されない状態で駆動できるように下げることができ、一方、ディスプレイ供給路154を介して供給されるディスプレイ124に対するエネルギー供給はまだ広範囲に維持される。ところで、それ以上制御されない後者のエネルギー供給によって、ディスプレイ124は、たとえば過電圧および/または過電流によって損傷し得る。
【0074】
図2に示した前記問題の解決策は、電力供給装置130の電池電圧の連続監視から出発する。前記監視は、基準電圧180の形態で目標値と比較器172内の電力供給装置130から供給された電圧の比較によって行われ、一方で電圧供給(OLED供給および一般的な制御電子回路の供給)が損傷を生じ得る状態に至ることができないように時間的に評価する。他方、全システムは、円滑な再始動(たとえば電池の新規挿入時)を保証する一定の状態へ移される。
【0075】
この目的のために、比較器172は、OLEDディスプレイ124の供給が入にされたとき、その比較入力部174に印加される電池電圧を連続的に監視する。基準電圧180以下、すなわち、たとえば1.1V±0.1V以下の電圧降下時に、比較器172は1つのフラグつまりそのために設けられた動作状態変数を設定し、かつインタラプトをディスプレイプロセッサ136で解除する。このインタラプトは直ちに医療補助手段110もしくは表示装置122の正規の動作モードで進行する連続的なプログラム実行を断続し、かつここで遮断プログラムを使い果たす。この遮断プログラムは、表示装置122が安全な規定された状態に移される複数の工程を含み、遮断中に制御されていない状態は発生し得ない。この遮断プログラムは、特にOLEDディスプレイ124の供給を遮断することができ、OLEDディスプレイ124の供給のコンデンサ要素156を放電でき、かつ全システムを規定して遮断することができる。
【0076】
その際に前記監視は、ディスプレイプロセッサ136が上記動作を実施するまだ十分な時間を有するように早期に解除する必要がある。提案された回路において、制御電子回路(すなわちマイクロプロセッサ136およびディスプレイドライバ140)の供給が約3.3Vに一定に保持する第1のDC/DCコンバータ132が典型的に約0.5〜0.8Vの入力電圧以下になるまでまだ作動しているので、たとえば約20〜40msを提供することができる。
【0077】
つまり、これは、比較入力部174に印加される、電力供給装置130から供給される供給電圧が1.1V以下に下がるとき、マイクロプロセッサ136が放電スイッチ162の制御回線170を介して切り換えられる遮断プログラムを実行できることを意味する。この切り換えによって、前記スイッチ162のドレイン164とソース166の間の電気接続が生じる。それによって、コンデンサ要素156は放電抵抗160を介して規定して放電され、その結果、ディスプレイ124の電力供給装置は規定して下げられる。その際に静電容量146および156ならびに放電抵抗160は、特にディスプレイドライバ140に印加される供給電圧が、まだ前記ディスプレイドライバ140が作動する最小供給電圧に下がらないように速くコンデンサ要素156の前記放電が実行されるように指定されている。たとえば、上述のように、前記最小供給電圧は0.5〜0.8Vに置くことができる。任意選択式に、さらに遮断プログラムは制御回線152を介してマイクロプロセッサ136による第2のDC/DCコンバータ150の遮断も含んでよい。この単純な保護措置によって、ディスプレイ124の寿命を延ばすことができ、かつ前記ディスプレイ124の内発的な故障を回避することができる。
【0078】
図3に、図2の実施例に対して多少変形した表示装置122の第2の実施例が示されている。この図2の実施例に対する変形は、図3に示したように、組み合わせて実現可能であるだけではなく、当業者が認識しているように、個別的にも実現可能である。
【0079】
図2に示した実施形態に対する本質的な変形は、図3の表示装置122で、比較器172が直接電力供給装置130から供給される信号を監視せず、第1のDC/DCコンバータ132からマイクロプロセッサ136に供給される供給信号を監視することである。これは、本発明の意味で、一方で電力供給装置130から供給された電気信号を、直接、すなわち別の電気素子の中間接続なしに監視することが可能であるが、間接的な監視も別の電気素子の中間接続下に可能であることを示す。しかしながら、その際に前記の別の電気素子は、前記素子から発生した二次信号(この場合は図2によりマイクロプロセッサ136に対する第1のDC/DCコンバータの出力部134に供給される供給信号)が電力供給装置130の信号への逆推論を可能にするように形成されていなければならない。
【0080】
比較器172による第1のDC/DCコンバータ132の信号の前記監視は、比較器172として自由にプログラミング可能の比較器(たとえばプロセッサATMega168)が使用される図2に示した実施例でも実現可能である。しかしながら、図3の実施例によるマイクロプロセッサ136の電力供給装置の監視を可能にする別法の可能性は、自由にプログラミング可能の比較器またはその他の比較器172に代わり、いわゆるマイクロプロセッサ136の電圧低下検出器を使用することにある。この種の電圧低下検出器は、マイクロコントローラ、たとえば型式ATMega2561のマイクロプロセッサの供給電圧の低下を監視するために設けられている。この目的のために、前記供給電圧は、図2に記載された構造と同様に、基準電圧源178の基準電圧と比較されるが、この場合、通常、前記基準電圧が自由にプログラミングできず、マイクロプロセッサ136によって一定に設定されている。しかしながら、それ以外は、接続回路が広範囲に図2を利用して説明した上記実施例と同様であり、その結果、たとえばさらにインタラプトもインタラプト入力部184を介して解除することができる。
【0081】
図3の実施例のその他の構成は、再び図2記載の実施例と同様に行われ、その結果、広範囲に上記明細書を参照することができる。さらに、コンデンサ要素156は、2つの個々のコンデンサ要素155、157を有し、前記コンデンサ要素155の第1の素子はディスプレイ供給路154内の放電回線158の分岐部の前に配設されており、第2のコンデンサ要素157は前記分岐部の後に配設されている。本実施例において、たとえば第1のコンデンサ要素155は、150マイクロファラッドの値をとり、第2のコンデンサ要素157は、4.7マイクロファラッドの値をとってよい。したがって、154.7マイクロファラッドのコンデンサ要素156の総容量が生じ、これがドライバ供給路154を介して供給される電気信号の平滑化を生ぜしめる。
【0082】
さらに図3に、洗練された方法で回路形成の目標矛盾を解決する図2に示した回路形成の変形のもう1つの可能性が示されている。つまり一方で、可能な限り平滑な信号をディスプレイ供給路154を介してディスプレイドライバ140に供給することが所望されており、その結果、コンデンサ要素156が可能な限り大きく選択されなければならない。しかしながら他方では、前記コンデンサ要素156は、上に図3を利用して説明したように、安全モードですばやくかつ確実に放電されなければならない。前記の154.7マイクロファラッドの大型静電容量と、たとえば100オームの放電抵抗160によって、これは約15ミリ秒のRC時定数を与え、これが比較的長い。したがって、図3に、スイッチ188が使用されることによってディスプレイ供給路154内のコンデンサ要素156を分割する回路形成の変形が実行されている。前記スイッチ188は、切換回線190を介して制御回線170(またはマイクロプロセッサ136のその他の制御出力)と接続されており、そのためマイクロプロセッサ136を介して切り換えすなわち放電スイッチ162の閉と同時に切り換えることができる。つまり電圧降下が電力供給装置130の信号で検出されると、上述のように、比較器172を介してインタラプトが解除され、かつ放電スイッチ162が閉じられる。しかしながら、同時にまたは単に多少時間をずらしてスイッチ188も開かれ、その結果、第1のコンデンサ要素155がディスプレイドライバ140から分離される。しかしながら、これは、放電回線148を介してここで単にまだ電荷が第2のコンデンサ要素157上で放電スイッチ162を介して放電される必要があり、つまり、たとえば4.7マイクロファラッドの容量を放電させなければならないことを生ぜしめる。たとえば、100オームの上記放電抵抗の場合、これは約0.5ミリ秒のここでまだ単に作用するコンデンサ要素157(すなわちまだディスプレイ供給路154でディスプレイドライバ140の前に提供されるコンデンサ要素156の部分)の放電に対する時定数を意味し、その結果、ディスプレイ供給路154内の電力供給装置が相当速く崩壊し、かつディスプレイ124の供給で制御されていない電圧状態および/または電流状態を効果的に回避することができる。
【0083】
ドライバ供給路144の中に組み込まれているドライバコンデンサ146は、本実施例において、たとえば150マイクロファラッドの値をとってよい。さらに、このドライバコンデンサ146は、種々の静電容量から構成することができ、別の量の静電容量を使用してもよく、かつ回路形成は一般的に図3に示した回路形成から異なっていてもよいことを指摘しておく。本発明に係る表示装置122の別の実施例によっても実現できるその他の変形として、ドライバ供給路144の中に第1のDC/DCコンバータ132とドライバコンデンサ146の間にダイオード192が組み込まれている。前記ダイオード192は、ドライバ供給路144を介して供給される電力供給装置130のエネルギーの崩壊時に、ドライバコンデンサ146が図3でダイオード192の上方に続くドライバ供給路144を介して、たとえば第1のDC/DCコンバータ132および/またはその他のここで配設された、図示しない医療補助手段110の要素を介して放電できることを阻止する。遮断時に効果的に作用する静電容量(すなわち、たとえばドライバコンデンサ146と第2のコンデンサ要素157の間の関係)の指定のほかに、前記保護措置は、電力の突然の低下時にディスプレイドライバ140の機能性が最後まで維持される状態にとどまり、その結果、完全な遮断まで制御されない電圧状態および/または電流状態がディスプレイ124に発生できないことに寄与する。
【符号の説明】
【0084】
110 医療補助手段
112 分析試験エレメント
114 液体サンプル
116 制御部
118 マイクロコンピュータ
120 操作要素
122 表示装置
124 ディスプレイ
126 駆動装置
128 データ接続部
130 電力供給装置
132 第1のDC/DCコンバータ
134 出力部
136 マイクロプロセッサ
138 制御回線
140 ディスプレイドライバ
142 画像回線
144 ドライバ供給路
146 ドライバコンデンサ
148 アース
150 第2のDC/DCコンバータ
152 制御回線
154 ディスプレイ供給路
155 第1のコンデンサ要素
156 コンデンサ要素
157 第2のコンデンサ要素
158 放電回線
160 放電抵抗
162 放電スイッチ
164 ドレイン
166 ソース
168 ゲート
170 制御回線
172 比較器
174 比較入力部
176 基準入力部
178 基準電圧源
180 基準電圧
182 信号出力
184 インタラプト入力部
186 保護回路
188 スイッチ
190 切換回線
192 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療機能を実行するための医療補助手段(110)であって、
前記医療補助手段(110)が、電力供給装置(130)と、情報の光学表示のための表示装置(122)とを有し、
前記表示装置(122)が少なくとも1つの有機発光材料によるディスプレイ(124)を備え、
前記表示装置(122)が、前記電力供給装置(130)を利用して電力を供給するために設けられ、
前記表示装置(122)が、さらに前記ディスプレイ(124)を駆動するための駆動装置(126)を備え、
前記駆動装置(126)がディスプレイドライバ(140)を備え、
前記駆動装置(126)が情報の表示のための正規の動作モードで前記ディスプレイ(124)を駆動するように構成され、
前記駆動装置(126)が保護回路(186)を備え、
前記保護回路(186)が前記電力供給装置(130)から供給された電気信号を監視し、かつ標準範囲からの前記電気信号の偏差で前記表示装置(122)を安全状態へ切り換えるように構成されてなる
ことを特徴とする医療補助手段。
【請求項2】
電力供給装置(130)が交換可能のエネルギー蓄積器、特に交換可能の蓄電池および/または交換可能の電池を含む請求項1記載の医療補助手段(110)。
【請求項3】
電力供給装置(130)から供給された電気信号が前記電力供給装置(130)から供給された供給電圧を含む請求項1または2記載の医療補助手段(110)。
【請求項4】
電力供給装置(130)の供給電圧が直接検出される請求項3記載の医療補助手段(110)。
【請求項5】
供給電圧が電圧変換器(132)によって変換されることによって、電力供給装置(130)から供給された電気信号が発生される請求項3または4記載の医療補助手段(110)。
【請求項6】
電力供給装置(130)から供給された電気信号がマイクロプロセッサ(136)の供給電圧である請求項5記載の医療補助手段(110)。
【請求項7】
安全状態が電力供給装置(130)から供給される電力の突然の降下時に、少なくともディスプレイ(124)が電力を供給されるまで長くディスプレイドライバ(140)の動作が維持されることを保証するように、保護回路(186)が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項8】
ディスプレイ(124)が受動マトリックス表示装置を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項9】
安全状態がディスプレイ(124)の動作電圧および/または駆動電流の規定された遮断を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項10】
安全状態において少なくとも1つのコンデンサ要素(156)が規定されて放電され、保護回路(186)が少なくとも1つの放電スイッチ(162)を含み、前記放電スイッチ(162)が少なくとも1つのコンデンサ要素(156)の規定された放電のために切り換えることができる請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項11】
少なくとも1つのコンデンサ要素(156)が電力供給装置(130)とディスプレイドライバ(140)の間で切り換えられている請求項10記載の医療補助手段(110)。
【請求項12】
コンデンサ要素(156)が少なくとも2つの個々のコンデンサ要素(155、157)を含む請求項10または11記載の医療補助手段(110)。
【請求項13】
放電スイッチ(162)がマイクロプロセッサ(136)によって駆動される請求項10〜12のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項14】
電力供給装置(130)がディスプレイ供給路(154)を介してディスプレイ(124)の駆動のために電力を供給し、コンデンサ要素(156)が前記ディスプレイ供給路(154)の中に組み込まれており、前記電力供給装置(130)がさらにドライバ供給路(144)を介してディスプレイドライバ(140)を駆動するための電力を提供し、前記ドライバ供給路(144)の中にドライバコンデンサ(146)が組み込まれており、電力供給装置(130)の断続時にコンデンサ要素(156)がドライバコンデンサ(146)よりも速く放電されるように、コンデンサ要素(156)、ドライバコンデンサ(146)および放電スイッチ(162)が指定されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項15】
ドライバ供給路(144)が第1のDC/DCコンバータ(132)を含む請求項14記載の医療補助手段(110)。
【請求項16】
ディスプレイ供給路(154)が第2のDC/DCコンバータ(150)を含む請求項14または15記載の医療補助手段(110)。
【請求項17】
安全状態が第2のDC/DCコンバータ(150)の遮断を含む請求項16記載の医療補助手段(110)。
【請求項18】
ドライバ供給路(144)の中にさらに、電力供給装置(130)の遮断時にディスプレイドライバ(140)を介したものと異なる方向へドライバコンデンサ(146)の放電を少なくとも広範囲に阻止するダイオード(192)が配設されている請求項14〜17のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項19】
電力供給装置(130)がディスプレイ供給路(154)を介してディスプレイ(124)の駆動のために電力を供給し、さらにスイッチ(188)が前記ディスプレイ供給路(154)の中に組み込まれており、安全状態がスイッチ(188)の開放によるディスプレイ供給路(154)の断続を含む請求項1〜18のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項20】
少なくとも2つの個々のコンデンサ要素(155、157)を備えるコンデンサ要素(156)がディスプレイ供給路(154)の中に組み込まれており、前記両方の個々のコンデンサ要素(155、157)がスイッチ(188)によって分離されている請求項19記載の医療補助手段(110)。
【請求項21】
電力供給装置(130)とスイッチ(188)の間に配設された第1のコンデンサ要素(155)がスイッチ(188)とディスプレイドライバ(140)の間に配設された第2のコンデンサ要素(157)よりも大きい請求項20記載の医療補助手段(110)。
【請求項22】
保護回路(186)が比較器(172)を含み、電力供給装置(130)から供給された電気信号の監視が目標値と前記電気信号の比較を含む請求項1〜21のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項23】
比較器(172)が少なくとも部分的にマイクロプロセッサの中に組み込まれている請求項22記載の医療補助手段(110)。
【請求項24】
保護回路(186)が、目標値を下回ることを電気信号によって標準範囲からの偏差として検出するために設けられている請求項22または23記載の医療補助手段(110)。
【請求項25】
前記目標値が比較器(172)に印加される基準電圧(180)によって特性化される請求項22〜24のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項26】
基準電圧(180)が少なくとも部分的にマイクロプロセッサ(136)から供給される請求項25記載の医療補助手段(110)。
【請求項27】
保護回路(186)が、ディスプレイ(124)の駆動のために駆動プログラムを実行するために設けられているデータ処理装置、特にマイクロプロセッサ(136)を含む請求項1〜26のいずれか1項に記載の医療補助手段(110)。
【請求項28】
前記データ処理装置が、安全状態で駆動プログラムを断続し、かつ遮断プログラムを実行するために設けられている請求項27記載の医療補助手段(110)。
【請求項29】
前記データ処理装置がディスプレイドライバ(140)を駆動するために設けられている請求項27または28記載の医療補助手段(110)。
【請求項30】
1つの情報を光学的に表示するための表示装置(122)の駆動方法において、前記表示装置(122)が少なくとも1つの有機発光材料によるディスプレイ(124)を含み、前記表示装置(122)が電力供給装置(130)を利用して電力が供給され、前記表示装置(122)がさらに前記ディスプレイ(124)の駆動のための駆動装置(126)とディスプレイドライバ(140)とを含み、前記ディスプレイ(124)が前記情報の表示のための正規の動作モードで駆動される方法であって、
前記電力供給装置(130)から供給された電気信号が監視され、かつ標準範囲からの前記電気信号の偏差により前記表示装置(122)を安全状態へ切り換えることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−538333(P2010−538333A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523494(P2010−523494)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061571
【国際公開番号】WO2009/030687
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】