説明

小型電子機器用横押し型プッシュスイッチ

【課題】横押し型プッシュスイッチの背面の高さ方向中央位置に、小型携帯電子機器のメイン基板を位置させる相対位置関係にて取り付けることができる小型電子機器用横押し型プッシュスイッチの提供。
【解決手段】携帯用小型電子機器の外部ケース30の側面に固定される平板状をしたモールドケース10の表面にスイッチ部11を有し、モールドケース10の平板状の厚さ方向に向く周面から対メイン基板接続片20,21が突出され、対メイン基板接続片20,21は、モールドケース10から突出した縦向き突出部25と、その先端をモールドケース背面側へ斜めに折り曲げた接触バネ部26と、接触バネ部26の先端をその傾斜方向とは逆の向きに湾曲させた形状の接触部27とから構成され、接触バネ部26の先端は、モールドケース10の裏面の中央部分位置まで延長され、接触部27が携帯用小型電子機器内のメイン基板31の表面のパッド部に弾性接触されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として携帯電話機等の小型の携帯電子機器において、薄型箱状をした機器外部ケースの側面に取り付ける小型電子機器用横押し型プッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の小型携帯電子機器には、薄型箱状をした機器外部ケースの表面にテンキーや文字入力用及び各種操作用のプッシュスイッチが備えられている他、機器外部ケースの側面即ち厚さ方向の面にも、各種のプッシュスイッチが使用されている。この機器外部ケース側面のプッシュスイッチは、機器外部ケース内に収容したプリント配線メイン基板(以下「メイン基板」と記す)に対し、その表面と直交する方向に操作する横押し型となっている。
【0003】
従来のこの種の横押し型プッシュスイッチにおけるメイン基板との接続は、例えば、図5に示すように、メイン基板1の表面にスイッチ2を実装し、その操作部4を機器外部ケース3の側面の窓孔から露出させるようにする方式(例えば特許文献1)や、図6に示すようにスイッチ2を機器外部ケース3の側面枠に対し、操作部4を露出させた状態で固定し、スイッチケースの背面に突出させた弾性接触バネからなる接続端子5を、メイン基板表面にプリント配線した接続パッド6の表面に接触させる方式(例えば特許文献2図4)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−79220号公報
【特許文献2】特開2007−149491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の従来の小型電子機器用に使用されている横押し型プッシュスイッチにおいては、電子機器内のメイン基板に接続させる場合において、図5に示すようにメイン基板表面に実装する場合は、スイッチ全体がメイン基板の表面側に固定されるため、メイン基板上面側の空間が、該スイッチの高さ分だけ必要となり、このため機器外部ケースの薄型化に限界があった。
【0006】
一方、図6に示すように弾性接触バネからなる接続端子をスイッチケースの背面に突出させ、これをメイン基板の表面のパッドに圧接させるものにあっても、接続端子の突設位置が、スイッチケースの上下何れかの面から突出させているため、メイン基板に対する相対位置が上下の何れか側に偏ったものとなっていた。このため、横押し型プッシュスイッチの上下方向の中央部分にメイン基板を位置させることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、横押し型プッシュスイッチの背面の高さ方向中央位置に、小型携帯電子機器におけるメイン基板を位置させる相対位置関係にて取り付けることができる小型電子機器用横押し型プッシュスイッチの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、携帯用小型電子機器の外部ケース側面に固定される平板状をしたモールドケースを有し、該モールドケースの表面にスイッチ部を有する小型電子機器用横押し型プッシュスイッチにおいて、前記モールドケースの前記平板状の厚さ方向に向く周面から対メイン基板接続片が突出され、該対メイン基板接続片は、前記モールドケースから突出した縦向き突出部と、該縦向き突出部の先端をモールドケース背面側へ斜めに折り曲げた接触バネ部と、該接触バネ部の先端をその傾斜方向とは逆の向きに湾曲させた形状の接触部とから構成され、前記接触バネ部の先端は、前記モールドケース裏面の中央部分位置まで延長され、前記接触部が前記携帯用小型電子機器内のメイン基板表面のパッド部に弾性接触されるようにしたことにある。
【0009】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記モールドケースの前記周面に、該周面をモールドケース中央側に窪ませた凹部を形成し、前記対メイン基板接続片の縦向き突出部の長さを該凹部の深さより短くしたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る小型電子機器用横押し型プッシュスイッチにおいては、該スイッチを構成するモールドケースの厚さ方向に向く周面から対メイン基板接続片が突出され、該対メイン基板接続片は、前記モールドケースから突出した縦向き突出部と、該縦向き突出部の先端をモールドケース背面側へ斜めに折り曲げた接触バネ部と、該接触バネ部の先端をその傾斜方向とは逆の向きに湾曲させた形状の接触部とから構成され、前記接触バネ部の先端は、前記モールドケース裏面の中央部分位置まで延長され、前記接触部が前記携帯用小型電子機器内のメイン基板表面のパッド部に弾性接触されるようにしたことにより、携帯用小型電子機器の側面に固定して使用する場合において、該機器内のメイン基板を前記モールドケースの中央高さ位置となる相対位置関係とすることができるため、メイン基板の上下に各種電子部品の設置スペースを設けることができ、携帯用小型電子機器の薄型化が可能となる。
【0011】
また、本発明において前記モールドケースの前記周面に、該周面をモールドケース中央側に窪ませた凹部を形成し、前記対メイン基板接続片の縦向き突出部の長さを該凹部の深さより短くすることにより、モールドケースの高さ内に対メイン基板接続片が納まることとなり、横押し型プッシュスイッチの取り付けスペースが小さくなり、携帯用小型電子機器の薄型化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る小型電子機器用横押し型プッシュスイッチの使用状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る小型電子機器用横押し型プッシュスイッチの正面図である。
【図3】同、平面図である。
【図4】同、側面図である。
【図5】従来の小型電子機器用横押し型プッシュスイッチの一例の使用状態を示す断面図である。
【図6】同、他の例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の態様を、図1〜図4に示した実施例に基づいて説明する。
【0014】
図において符合Aは本発明に係る横押し型プッシュスイッチであり、10は矩形形状をした平板状のモールドケースである。モールドケース10は、矩形の平板状をしており、表面が平らなスイッチ操作面となっている。
【0015】
11はこのモールドケース10の表面に組み込んだスイッチ部である。スイッチ部10は、所謂メタルタクトスイッチを構成しているものであり、モールドケース10の前面を窪ませた形状に形成したハウジング部12、該ハウジング部12の底面の中心部分に露出させた第一スイッチ端子13、該底面の周縁部に露出させた第二スイッチ端子14、ハウジング部12内に嵌め込んだドーム状接触片15によって構成され、ハウジング部12の開口部は、シート状の弾性カバー16によって閉鎖されている。
【0016】
この各イスッチ部11は、ドーム状接触片15の常態時には、該接触片15の周縁部は第二スイッチ端子14に接触しているが、該接触片15の中央部分が第一スイッチ端子13から離れた状態にある。そして、弾性カバー16の表面を押圧操作することによってドーム状接触片15が反転し、該接触片15の周縁部は第二スイッチ端子14に接触した状態で該接触片15の中央部分が第一スイッチ端子13に接触するようになっている。
【0017】
各スイッチ端子部11,12は、モールドケース10にインサート成型によってその内部に埋設したリード片17,18に一体に突設されており、各リード片17,18には、モールドケース10の厚さ方向に向く周面、本実施例では下面から突出させた対メイン基板接続片20,21が一体に形成されている。
【0018】
対メイン基板接続片20,21は、モールドケース10の下面を下向きに窪ませた形状の凹部10aの下面から突出されており、それぞれ、モールドケース10から縦向きに突出する縦向き突出部25、該縦向き突出部の先端をモールドケース背面側に斜め上向きに折り曲げた接触バネ部26、該接触バネ部26の先端を斜め下向きに湾曲させた形状の接触部27とから構成されている。
【0019】
この対メイン基板接続片20,21の縦向き突出部25の長さは、凹部10aの深さより小さく形成され、これによって対メイン基板接続片20,21は、モールドケース10の最下面より下に突出しないように形成されている。
【0020】
また、接触バネ部26の先端は、モールドケース10の高さ方向中央部分高さ位置まで延長されており、接触部27は、モールドケース10の凹部10aの最奥縁より高い位置にあるように成型されている。
【0021】
このように構成される横押し型プッシュスイッチの使用に際しては、図1に示すように、外部ケース30内に、該ケースの表面と平行にメイン基板31が固定されている携帯電話機等の携帯用小型電子機器に対し、外部ケース30の側面にモールドケース10の表面側を露出させ、該モールドケース10の高さ方向を外部ケース30の厚さ方向に向けて固定する。
【0022】
メイン基板31に対しては、その背面側に突出している接触バネ部26の接触部27をメイン基板31の下面のパッド部に弾性接触させる。
【0023】
このように、接触バネ部26の先端の接触部27の高さをモールドケース背面の中央高さ位置にてメイン基板31に対して弾性接触させるようにしたことにより、横押し型プッシュスイッチの高さが、外部ケース30に高さに近い大きさであっても、その背面の中央高さ部分にメイン基板31を位置させることができ、メイン基板31の上下に各種電子部品の設置スペースを設けることができることとなり、携帯用小型電子機器の薄型化に寄与することができる。
【0024】
尚、本例ではモールドケース10の下面中央に凹部10aを設けているが、この凹部10aはモールドケース10の上面に形成してもよく、また、モールドケース10の上面又は下面の中央に設ける外、両側部その他の周面に設けてもよい。
【0025】
更に、上述の例は、スイッチ部を2箇所に設けたものを示しているが、1箇所又は3箇所以上のスイッチ部を設けたものであっても良い。
【符号の説明】
【0026】
10 モールドケース
10a 凹部
11 スイッチ部
12 ハウジング部
13 第一スイッチ端子
14 第二スイッチ端子
15 ドーム状接触片
16 弾性カバー
17,18 リード片
20 21 対メイン基板接続片
25 縦向き突出部
26 接触バネ部
27 接触部
30 外部ケース
31 メイン基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用小型電子機器の外部ケース側面に固定される平板状をしたモールドケースを有し、該モールドケースの表面にスイッチ部を有する小型電子機器用横押し型プッシュスイッチにおいて、
前記モールドケースの前記平板状の厚さ方向に向く周面から対メイン基板接続片が突出され、該対メイン基板接続片は、前記モールドケースから突出した縦向き突出部と、該縦向き突出部の先端をモールドケース背面側へ斜めに折り曲げた接触バネ部と、該接触バネ部の先端をその傾斜方向とは逆の向きに湾曲させた形状の接触部とから構成され、
前記接触バネ部の先端は、前記モールドケース裏面の中央部分位置まで延長され、前記接触部が前記携帯用小型電子機器内のメイン基板表面のパッド部に弾性接触されるようにしたことを特徴としてなる小型電子機器用横押し型プッシュスイッチ。
【請求項2】
前記モールドケースの前記周面に、該周面をモールドケース中央側に窪ませた凹部を形成し、前記対メイン基板接続片の縦向き突出部の長さを該凹部の深さより短くした請求項1に記載の小型電子機器用横押し型プッシュスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−253719(P2011−253719A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126781(P2010−126781)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】