説明

小容量経口経粘膜投与形態

【課題】小容量経口経粘膜投与形態の提供。
【解決手段】所定量の医薬上活性な薬物を含む小容量経口経粘膜投与形態またはNanoTabs(登録商標)が提供される。例示的な適用は、急性痛、術後痛または突出痛の治療用の薬物を投与するためのNanoTabs(登録商標)の使用を含む。本発明のNanoTabs(登録商標)は生体接着特徴を有し、口腔粘膜、例えば、舌下または頬膜に接着することができる。そのようなNanoTabs(登録商標)はヒドロゲル−形成または侵食型であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2006年1月6日に出願された米国仮特許出願第60/756,937号の優先権の利益を請求し、その開示はその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、本明細書中において「NanoTabs(登録商標)」という、種々のサイズおよび特徴を有する小容量経口経粘膜薬物送達投与形態、およびそれを用いる方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
現在、多数の疾患の治療用の医薬の経口投与のための標準的な治療養生法は、効率および毒性双方に関して明確な限界を有する。とりわけ、他の属性の中でも、投与の経路、調合物、および用量制御はこれらの限界に寄与する。
【0004】
再現性があり、かつ効果的な薬物送達技術は活発な研究の領域を表し、制御された薬物送達系は慣用的な投与形態に対して多数の利点を提供し、これは改良された効率、低減した毒性ならびに改良された患者コンプライアンスおよび便利さを含む。これは、特に、疼痛、より具体的には:急性痛、間欠痛および突出痛(breakthrough pain)の治療に関連する。
【0005】
種々の投与経路に基づく投薬、および疼痛などの非常に多数の医学的疾患の治療用の新しくかつ改良された投与形態の開発は絶え間なく進行するプロセスである。現在商業的に入手可能な投与形態を用いる投薬で見られる効果のレベルの変動なくしてより安全な薬物投与形態を開発する必要がある。疼痛の治療用の現在利用可能な治療養生法は、しばしば、作用の遅い不規則な開始、および医学的疾患が効果的に治療されないような用量を調製および制御する際の困難性のため、患者に十分なまたは一貫した治療的効果を提供するのに失敗している。
【0006】
米国特許第6,974,590号、第6,764,696号、第6,641,838号、第6,585,997号、第6,509,036号、第6,391,335号、第6,350,470号、第6,200,640号および米国特許公開第20050176790号、第20050142197号および第20050142198号は、頬、舌下および歯肉粘膜を横切っての活性化合物の浸透性に影響させるために浸透促進剤として用いられる発泡剤と組合せた、フェンタニルおよびその同属体などの活性化合物の医薬組合せを記載する。
【0007】
米国特許第6,761,910号および第6,759,059号および米国特許公開第20040213855号は、生体接着および/または粘膜接着促進剤によって担体粒子の表面に接着した少なくとも1つの医薬上活性な剤と、ミクロ粒子との実質的に水を含まない秩序立った混合物の舌下投与による疼痛などの急性障害の治療用の医薬組成物を開示している。米国特許第6,759,059号は、サイズはほぼ100mgである錠剤を用いるフェンタニルまたはその医薬上許容される塩の舌下投与用の組成物および方法を開示する。
【0008】
米国特許第5,800,832号および第6,159,498号(Tapolsky,ら)および国特許公開第20030194420号および第20050013845号は、水溶性で生分解性の薬物送達装置、例えば、共に水溶性である、粘膜表面に接着する接着層および裏打ち層を有する二層フィルムディスクを開示する。
【0009】
米国特許第6,682,716号、第6,855,310号、第7,070,762号および第7,070,764号および(Rabinowitz,ら)は、a)固体支持体上の鎮痛剤薬物の薄層を加熱して蒸気を形成させ;次いで、b)加熱した蒸気に空気を通してエアロゾル粒子を生成することを含む方法を用いる吸入経路を介する鎮痛剤の送達を開示する。
【0010】
特許文献1(Zhangら)は、全身薬物送達調合物の代替方法としての経口経粘膜薬物送達、および医薬の経口経粘膜送達のための方法を開示する。本発明は、固体形態の溶解剤と共に固溶体中の固体医薬剤を含む薬物調合物を提供し、これは固溶体を生じる。該固溶体調合物は、必要に応じて、緩衝液および他の賦形剤とさらに組合せて、薬物の製造、保存、口腔粘膜組織を通じての投与および送達を容易にすることができる。該調合物は、錠剤、舐剤、スティック付き舐剤、チューンインガムおよび頬または粘膜パッチなどの、種々の経口経粘膜送達投与形態と共に用いることができる。また、非特許文献1参照。
【0011】
疼痛の治療用の多数の経粘膜投与形態は現在臨床的に開発されており、その例は、頬モルフィンスプレーおよび頬フェンタニルスプレー(Generex Biotechnology)ならびに舌下投与用のフェンタニルの経口速−溶解性錠剤(Rapinyl(商標);Endo Pharmaceuticals)を含む。現在商業的に入手可能な2つの経粘膜フェンタニル製剤はフェンタニル頬錠剤(FENTORA(商標);Cephalon)およびACTIQ(登録商標)(Cephalon)、アイスキャンディとして投与されるクエン酸フェンタニルの経口経粘膜形態であり、共に、既に受けつつある、およびその根底にある執拗な癌痛に対するオピオイド療法に対して耐性である患者において突出癌痛の管理について示されているに過ぎない。
【0012】
種々の経口薬物送達系および投与形態が種々の医学的障害および疾患の治療のために記載されてきたが、そのような医学的障害および疾患で用いるための、例えば、急性および突出痛の治療のための改良された投与形態、調合物および治療養生法に対する要求が依然として存在する。
【0013】
高い生物学的利用能は、オピオイドを含めた種々の薬物での効果的な治療で臨界的である。というのは、薬物のより高い用量は、一般的に貧弱な生物学的利用能に対抗するために市販の投与形態にパッケージングされる必要がある。例はオキシモルフォン(Opana(登録商標))であり、これは10%の生物学的利用を有し、従って、経口錠剤−対−同等なIV投与形態のために9倍大きな薬物でパッケージされる必要がある。特別な問題は、製品の完全な使用後に残された多量の残存薬物を有する薬物系である。例はIonSys(商標)であり、これは、正規の用法の間に患者に最大に送達されるよりも経皮パッチにパッケージングされる薬物の量の3倍を必要とする不十分な薬物送達系(経皮)である。これらの不十分な系は、経口丸剤またはパッチであるかを問わず、薬物を静脈注射し、過剰な薬物の十分な生物学的利用能を得ることによって容易に乱用され得る。意図する投与経路によって投与された所与の投与形態が十分に近い生物学的利用能を供するとき、静脈内注射による薬物の乱用は増大した生物学的利用能を提供せず、従って、この調合物は薬物乱用および転用を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,252,981号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Zhang,ら、Clin Pharmacokinet.2002;41(9):661−80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
現在利用可能な投与形態よりもより迅速かつ一貫した作用の開始、より一貫した血漿中濃度、およびより高くかつより一貫した生物学的利用能を供する経口薬物送達についての改良された投与形態に対する要求が依然として存在する。本発明はこの要求に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、治療効果および予測可能かつ安全な薬物動態学的プロフィールを供しつつ、自己−投与可能である、医薬上活性な量の薬物の所定の単位用量を含有する小容量経口経粘膜薬物送達投与形態または「NanoTabs(登録商標)」を含む組成物および方法を提供する。
【0018】
NanoTabs(登録商標)の小さなサイズおよびその舌下腔への設置は、強力な親油性分子が、最小の唾液応答および薬物の最小嚥下にて経粘膜的に吸収されるのを可能とする。胃腸(GI)取込のこの回避は、より迅速かつ一貫した作用の開始、より一貫した血漿中濃度およびより高い生物学的利用能を可能とする。この投与経路はGI経路を介する薬物接種を最小化し、これは可変であって、かつそれにより、胃および腸における薬物の重要な代謝が起こり得る。
【0019】
本発明のNanoTabs(登録商標)は生体接着特徴を有し、口腔粘膜、例えば、舌下または頬膜に接着することができる。そのようなNanoTabs(登録商標)はヒドロゲル−形成または侵食型であり得る。
【0020】
本発明のNanoTabs(登録商標)は100mg未満の質量、および100μl未満の容量を有する。さらに具体的には、本発明は100mg未満、90mg未満、80mg未満、70mg未満、60mg未満、50mg未満、40mg未満、30mg未満、20mg未満および10mg未満よりなる群から選択される質量、および/または100μl未満、90μl未満、80μl未満、70μl未満、60μl未満、50μl未満、40μl未満、30μl未満、20μl未満および10μl未満よりなる群から選択される容量を持つNanoTabs(登録商標)を提供する。
【0021】
本発明のNanoTabs(登録商標)は、経粘膜経路を介して吸収でき、かつGIおよび第1のパス代謝をこうむり、かつ従って、この投与形態から利益を受けることができるいずれかの薬物の経口経粘膜投与において利用性を見出す。
【0022】
1つの態様において、本発明のNanoTabs(登録商標)は、約0.25μg〜99.9mg、約1μg〜50mg、または約1μg〜10mgの薬物を含む。
【0023】
1つの態様において、本発明はNanoTabs(登録商標)を提供し、該薬物はスフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レニフェンタニル、トレフェンタニル、およびミルフェンタニルよりなる群から選択されるオピオイドである。
【0024】
本発明はNanoTabs(登録商標)を提供し、これは、約0.25mcg〜200マイクログラム(mcg)のスフェンタニル、約2.5mcg〜100mcgのスフェンタニル、キログラム当たり約0.02mcg〜5マイクログラム(mcg/kg)のスフェンタニル、例えば、約2.5、5.10、または15マイクログラムのスフェンタニル、約10mcg〜10mgのスフェンタニル、約2mcg〜1500mcgのスフェンタニル、約50mcg〜1500mcgのスフェンタニル、約200mcg〜1500mcgのスフェンタニル、約0.25mcg〜99.9mgのロフェンタニル、約0.25mcg〜99.9mgのカルフェンタニル、約0.25mcg〜99.9mgのカルフェンタニル、約0.25mcg〜99.9mgのレミフェンタニル、約0.25mcg〜99.9mgのトレフェンタニル、約0.25mcg〜99.9mgのミルフェンタニルよりなる群から選択される量のオピオイド薬物を含む。
【0025】
NanoTabs(登録商標)は装置を用いる、または用いない、対象による自己−投与用に設計されており、NanoTabs(登録商標)は平坦、凹または凸面を持つ丸いディスク、楕円形状、球形状、および3以上のエッジおよび平坦、凹または凸の面を持つ多角形よりなる群から選択される形状を有する。
【0026】
本発明のNanoTabs(登録商標)は、30秒〜1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間以上の侵食時間によって特徴付けることができる。
【0027】
対象への本発明のNanoTabs(登録商標)の単一の、あるいは反復した経口経粘膜投与に続いての薬物の生物学的利用能は65%超、75%超、85%超、90%または94%超である。
【0028】
本発明のNanoTabs(登録商標)は、さらに、30%または40%未満の変動係数を持つCmax;30%または40%未満の変動係数を持つAUC;40%未満の変動係数を持つTmax;約30分〜約4時間の血漿中半減期;および対象への単一の経口経粘膜投与後における0.07超、または約0.5〜約2.0の治療時間比率によって特徴付けられる。
【0029】
経口経粘膜経路を介して吸収されるNanoTabs(登録商標)中の薬物の量は、投与形態における薬物の合計量の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%である。
【0030】
本発明は、さらに、薬物が症候性医学的状態(symptomatic medical condition)を治療するのに有効であるように、本明細書中に記載の本発明のNanoTabs(登録商標)を投与することによって、症候性医学的状態を呈する対象を治療する方法を提供する。
【0031】
1つの実施形態において、症候性医学的状態は疼痛、例えば、急性痛、突出痛または術後痛であり、NanoTabs(登録商標)はスフェンタニルまたはその同属体などのオピオイドを含む。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
医薬上活性な量の薬物の所定の単位用量を含む薬物の経口経粘膜投与用の溶解可能な小容量投与形態であって、該投与形態はNanoTab(登録商標)である溶解可能な小容量投与形態。
(項目2)
前記投与形態は生体接着特徴を有する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目3)
前記投与形態が口腔粘膜に接着する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目4)
前記口腔粘膜が舌下膜である項目3記載のNanoTab(登録商標)。
(項目5)
前記口腔粘膜が頬膜である項目3記載のNanoTab(登録商標)。
(項目6)
前記投与形態が100mg未満の質量を有する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目7)
前記投与形態が100μl未満の容量を有する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目8)
前記投与形態が100mg未満の質量を有する項目4記載のNanoTab(登録商標)。
(項目9)
前記投与形態が100μl未満の容量を有する項目4記載のNanoTab(登録商標)。
(項目10)
前記投与形態が100mg未満、90mg未満、80mg未満、70mg未満、60mg未満、50mg未満、40mg未満、30mg未満、20mg未満および10mg未満よりなる群から選択される質量を有する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目11)
前記投与形態が100μl未満、90μl未満、80μl未満、70μl未満、60μl未満、50μl未満、40μl未満、30μl未満、20μl未満および10μl未満よりなる群から選択される容量を有する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目12)
前記投与形態が100mg未満、90mg未満、80mg未満、70mg未満、60mg未満、50mg未満、40mg未満、30mg未満、20mg未満および10mg未満よりなる群から選択される質量を有する項目4記載のNanoTab(登録商標)。
(項目13)
前記投与形態が100μl未満、90μl未満、80μl未満、70μl未満、60μl未満、50μl未満、40μl未満、30μl未満、20μl未満および10μl未満よりなる群から選択される容量を有する項目4記載のNanoTab(登録商標)。
(項目14)
前記投与形態が20μl未満の容量を有する項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目15)
前記投与形態が20μl未満の容量を有する項目13記載のNanoTab(登録商標)。
(項目16)
前記投与形態が20mg未満の質量を有する項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目17)
前記投与形態が20mg未満の質量を有する項目12記載のNanoTab(登録商標)。
(項目18)
前記投与形態がヒドロゲル−形成型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目19)
前記投与形態が侵食型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目20)
前記投与形態がヒドロゲル−形成型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目12記載のNanoTab(登録商標)。
(項目21)
前記投与形態が侵食型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目12記載のNanoTab(登録商標)。
(項目22)
前記投与形態がヒドロゲル−形成型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目23)
前記投与形態が侵食型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目24)
前記投与形態がヒドロゲル−形成型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目13記載のNanoTab(登録商標)。
(項目25)
前記投与形態が侵食型の溶解可能薬物−含有投与形態である項目13記載のNanoTab(登録商標)。
(項目26)
前記投与形態が約0.5〜約3.0mmの厚みを有する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目27)
前記投与形態が約1.0〜約30.0mmの直径を有する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目28)
前記医薬上活性な薬物が約0.25μg〜99.9mgの治療上有効な量で存在する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目29)
前記医薬上活性な薬物が約0.25μg〜99.9mgの治療上有効な量で存在する項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目30)
前記医薬上活性な薬物が約0.25μg〜99.9mgの治療上有効な量で存在する項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目31)
前記医薬上活性な薬物が約1μg〜50mgの治療上有効な量で存在する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目32)
前記医薬上活性な薬物が約1μg〜50mgの治療上有効な量で存在する項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目33)
前記医薬上活性な薬物が約1μg〜50mgの治療上有効な量で存在する項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目34)
前記医薬上活性な薬物が約1μg〜10mgの治療上有効な量で存在する項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目35)
前記医薬上活性な薬物が約1μg〜10mgの治療上有効な量で存在する項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目36)
前記医薬上活性な薬物が約1μg〜10mgの治療上有効な量で存在する項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目37)
前記医薬上活性な薬物がスフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、およびミルフェンタニルよりなる群から選択されるオピオイドである項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目38)
前記医薬上活性な薬物がスフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、およびミルフェンタニルよりなる群から選択されるオピオイドである項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目39)
前記医薬上活性な薬物がスフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、およびミルフェンタニルよりなる群から選択されるオピオイドである項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目40)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜200マイクログラム(mcg)のスフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目41)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜200マイクログラム(mcg)のスフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目42)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜200マイクログラム(mcg)のスフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目43)
前記NanoTab(登録商標)が約2.5mcg〜100mcgのスフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目44)
前記NanoTab(登録商標)が約2.5mcg〜100mcgのスフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目45)
前記NanoTab(登録商標)が約2.5mcg〜100mcgのスフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目46)
前記NanoTab(登録商標)がスフェンタニルのキログラム当たり約0.02mcg〜5マイクログラム(mcg/kg)の用量を含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目47)
前記NanoTab(登録商標)がスフェンタニルのキログラム当たり約0.02mcg〜5マイクログラム(mcg/kg)の用量を含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目48)
前記NanoTab(登録商標)がスフェンタニルのキログラム当たり約0.02mcg〜5マイクログラム(mcg/kg)の用量を含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目49)
前記NanoTab(登録商標)が2.5mcg、5mcg、10mcgおよび15mcgよりなる群から選択されるスフェンタニルの用量を含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目50)
前記NanoTab(登録商標)が2.5mcg、5mcg、10mcgおよび15mcgよりなる群から選択されるスフェンタニルの用量を含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目51)
前記NanoTab(登録商標)が2.5mcg、5mcg、10mcgおよび15mcgよりなる群から選択されるスフェンタニルの用量を含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目52)
前記NanoTab(登録商標)が約10mcg〜10mgのアルフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目53)
前記NanoTab(登録商標)が約10mcg〜10mgのアルフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目54)
前記NanoTab(登録商標)が約10mcg〜10mgのアルフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目55)
前記NanoTab(登録商標)が約2mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目56)
前記NanoTab(登録商標)が約2mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目57)
前記NanoTab(登録商標)が約2mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目58)
前記NanoTab(登録商標)が約50mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目59)
前記NanoTab(登録商標)が約50mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目60)
前記NanoTab(登録商標)が約50mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目61)
前記NanoTab(登録商標)が約200mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目62)
前記NanoTab(登録商標)が約200mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目63)
前記NanoTab(登録商標)が約200mcg〜1500mcgのフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目64)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのロフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目65)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのロフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目66)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのロフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目67)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのカルフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目68)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのカルフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目69)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのカルフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目70)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのレミフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目71)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのレミフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目72)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのレミフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目73)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのトレフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目74)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのトレフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目75)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのトレフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目76)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのミルフェンタニルを含む項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目77)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのミルフェンタニルを含む項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目78)
前記NanoTab(登録商標)が約0.25mcg〜99.9mgのミルフェンタニルを含む項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目79)
前記投与形態が平坦、凹または凸面を持つ丸いディスク、楕円形状、球状形状、および3以上のエッジ、および平坦、凹または凸面を持つ多面体よりなる群から選択される形状を有する項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目80)
前記投与形態が平坦、凹または凸面を持つ丸いディスク、楕円形状、球状形状、および3以上のエッジ、および平坦、凹または凸面を持つ多面体よりなる群から選択される形状を有する項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目81)
前記NanoTab(登録商標)が対象による自己投与用に設計された項目10記載のNanoTab(登録商標)。
(項目82)
前記NanoTab(登録商標)が対象による自己投与用に設計された項目11記載のNanoTab(登録商標)。
(項目83)
前記自己投与が装置を用いて達成される項目81記載のNanoTab(登録商標)。
(項目84)
前記自己投与が装置を用いて達成される項目82記載のNanoTab(登録商標)。
(項目85)
前記NanoTab(登録商標)の侵食時間が30秒から1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間よりなる群から選択される時間までである項目1記載のNanoTab(登録商標)。
(項目86)
前記NanoTab(登録商標)の侵食時間が30秒から1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間よりなる群から選択される時間までである項目7記載のNanoTab(登録商標)。
(項目87)
前記NanoTab(登録商標)の侵食時間が30秒から1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間よりなる群から選択される時間までである項目9記載のNanoTab(登録商標)。
(項目88)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、65%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目89)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、65%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目90)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、65%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目91)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、75%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目92)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、75%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目93)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、75%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目94)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、85%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目95)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、85%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目96)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、85%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目97)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、90%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目98)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、90%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目99)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、90%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目100)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、94%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目101)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、94%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目102)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、94%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目103)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、30%未満の変動係数を持つAUCをもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目104)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、30%未満の変動係数を持つAUCをもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目105)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、30%未満の変動係数を持つAUCをもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目106)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数を持つAUCをもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目107)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数を持つAUCをもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目108)
対象への前記NanoTab(登録商標)の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数を持つAUCをもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目109)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、65%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目110)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、65%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目111)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、65%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目112)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、75%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目113)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、75%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目114)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、75%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目115)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、85%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目116)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、85%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目117)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、85%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。

(項目118)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、90%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目119)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、90%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目120)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、90%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目121)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、95%を超える生物学的利用能をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目122)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、95%を超える生物学的利用能をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目123)
対象への前記NanoTab(登録商標)の反復経口経粘膜投与の結果、95%を超える生物学的利用能をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目124)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、30%未満の変動係数でのCmaxをもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目125)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、30%未満の変動係数でのCmaxをもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目126)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、30%未満の変動係数でのCmaxをもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目127)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数でのCmaxをもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目128)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数でのCmaxをもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目129)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数でのCmaxをもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目130)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数でのTmaxをもたらす項目40記載のNanoTab(登録商標)。
(項目131)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数でのTmaxをもたらす項目41記載のNanoTab(登録商標)。
(項目132)
対象への前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、40%未満の変動係数でのTmaxをもたらす項目42記載のNanoTab(登録商標)。
(項目133)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、約30分〜約4時間の血漿半減期をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目134)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、約30分〜約4時間の血漿半減期をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目135)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、約30分〜約4時間の血漿半減期をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目136)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、0.07を超える治療時間比率をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目137)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、0.07を超える治療時間比率をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目138)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、0.07を超える治療時間比率をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目139)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、約0.5〜約2.0の治療時間比率をもたらす項目37記載のNanoTab(登録商標)。
(項目140)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、約0.5〜約2.0の治療時間比率をもたらす項目38記載のNanoTab(登録商標)。
(項目141)
前記薬物投与形態の単一の経口経粘膜投与の結果、約0.5〜約2.0の治療時間比率をもたらす項目39記載のNanoTab(登録商標)。
(項目142)
経口経粘膜経路を介して吸収される前記NanoTab(登録商標)中の薬物の量が前記投与形態中の薬物の合計量の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および少なくとも99%よりなる群から選択される項目3記載のNanoTab(登録商標)。
(項目143)
経口経粘膜経路を介して吸収される前記NanoTab(登録商標)中の薬物の量が前記投与形態中の薬物の合計量の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および少なくとも99%よりなる群から選択される項目7記載のNanoTab(登録商標)。
(項目144)
経口経粘膜経路を介して吸収される前記NanoTab(登録商標)中の薬物の量が前記投与形態中の薬物の合計量の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および少なくとも99%よりなる群から選択される項目9記載のNanoTab(登録商標)。
(項目145)
前記経口経粘膜経路を介して吸収される前記NanoTab(登録商標)中の薬物の量が前記投与形態中の薬物の合計量の少なくとも75%である項目142記載のNanoTab(登録商標)。
(項目146)
前記経口経粘膜経路を介して吸収される前記NanoTab(登録商標)中の薬物の量が前記投与形態中の薬物の合計量の少なくとも75%である項目143記載のNanoTab(登録商標)。
(項目147)
前記経口経粘膜経路を介して吸収される前記NanoTab(登録商標)中の薬物の量が前記投与形態中の薬物の合計量の少なくとも75%である項目144記載のNanoTab(登録商標)。
(項目148)
症候性医学的状態を呈する対象を治療する方法であって、項目1記載のNanoTab(登録商標)を投与することを含み、該NanoTab(登録商標)が該対象において該症状を低減または排除するのに有効な医薬上活性な量の薬物を含む、方法。
(項目149)
症候性医学的状態を呈する対象を治療する方法であって、項目4記載のNanoTab(登録商標)を投与することを含み、該NanoTab(登録商標)が該対象において該症状を低減または排除するのに有効な医薬上活性な量の薬物を含む、方法。
(項目150)
症候性医学的状態を呈する対象を治療する方法であって、項目10記載のNanoTab(登録商標)を投与することを含み、該NanoTab(登録商標)が該対象において該症状を低減または排除するのに有効な医薬上活性な量の薬物を含む、方法。
(項目151)
症候性医学的状態を呈する対象を治療する方法であって、項目11記載のNanoTab(登録商標)を投与することを含み、該NanoTab(登録商標)が該対象において該症状を低減または排除するのに有効な医薬上活性な量の薬物を含む、方法。
(項目152)
前記症候性医学的状態が疼痛である項目148記載の方法。
(項目153)
前記症候性医学的状態が疼痛である項目149記載の方法。
(項目154)
前記症候性医学的状態が疼痛である項目150記載の方法。
(項目155)
前記症候性医学的状態が疼痛である項目151記載の方法。
(項目156)
対象において疼痛を治療する方法であって、項目37記載のNanoTab(登録商標)を投与することを含み、該NanoTab(登録商標)が疼痛の症状を低減または排除するのに有効な治療上活性な量の薬物を含み、該NanoTab(登録商標)の投与後に、疼痛の症状が該対象において低減または排除される、方法。
(項目157)
対象において疼痛を治療する方法であって、項目38記載のNanoTab(登録商標)を投与することを含み、前記NanoTab(登録商標)が疼痛の症状を低減または排除するのに有効な治療上活性な量の薬物を含み、該NanoTab(登録商標)の投与後に、疼痛の症状が該対象において低減または排除される、方法。
(項目158)
対象において疼痛を治療する方法であって、項目39記載のNanoTab(登録商標)を投与することを含み、前記NanoTab(登録商標)が疼痛の症状を低減または排除するのに有効な治療上活性な量の薬物を含み、該NanoTab(登録商標)の投与後に、疼痛の症状が該対象において低減または排除される、方法。
(項目159)
前記症候性医学的状態が急性痛である項目156記載の方法。
(項目160)
前記症候性医学的状態が突出痛である項目156記載の方法。
(項目161)
前記症候性医学的状態が術後痛である項目156記載の方法。
(項目162)
前記症候性医学的状態が急性痛である項目157記載の方法。
(項目163)
前記症候性医学的状態が突出痛である項目157記載の方法。
(項目164)
前記症候性医学的状態が術後痛である項目157記載の方法。
(項目165)
前記症候性医学的状態が急性痛である項目158記載の方法。
(項目166)
前記症候性医学的状態が突出痛である項目158記載の方法。
(項目167)
前記症候性医学的状態が術後痛である項目158記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、実施例1に記載されたヒト臨床試験で用いられたスフェンタニルNanoTabs(登録商標)調合物#46〜#48のインビトロ溶解動態のグラフ表示である。
【図2】図2は、健康なヒトボランティア(n=12)における3つの異なる強度のスフェンタニルNanoTabs(登録商標)の静脈内投与または舌下単一用量投与に続いてのスフェンタニル血漿中濃度のグラフ表示である。
【図3】図3は、健康な、意識があるビーグル犬モデルにおける静脈内スフェンタニル投与(n=3)と比較した、(ヒト#47と同等;n=3)スフェンタニルNanoTabs(登録商標)調合物#44の舌下投与に続いてのスフェンタニル血漿中濃度のグラフ表示である。誤差棒は平均の周りの標準偏差(SEM)を表す。
【図4】図4は、健康な、意識があるビーグル犬モデルにおけるゆっくりと崩壊するスフェンタニルNanoTabs(登録商標)#58(n=3)の舌下投与に続いてのスフェンタニル血漿中濃度のグラフ表示である。
【図5】図5は、健康な、意識があるビーグル犬モデルにおけるスフェンタニルの静脈内投与(n=3)と比較した、スフェンタニル溶液の舌下投与(n=6)に続いての、またはスフェンタニルNanoTabs(登録商標)(n=6)の経口摂取に続いてのスフェンタニル血漿中濃度のグラフ表示である。誤差棒は平均の周りの±標準誤差(SEM)を表す。
【図6】図6は、健康な、意識があるビーグル犬モデルにおける静脈内フェンタニル投与(n=3)と比較した、中程度に崩壊するフェンタニルNanoTabs(登録商標)調合物#60(n=2)、およびゆっくりと崩壊するフェンタニルNanoTabs(登録商標)調合物#62(n=3)に続いてのフェンタニル血漿中濃度のグラフ表示である。誤差棒は平均の周りの±標準誤差(SEM)を表す。
【図7】図7は、健康な、意識があるビーグル犬モデルにおける静脈内アルフェンタニル投与(n=3)と比較した、アルフェンタニルNanoTabs(登録商標)(n=2)の舌下投与に続いてのアルフェンタニル血漿中濃度のグラフ表示である。誤差棒は平均の周りの標準誤差(SEM)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(詳細な説明)
本発明は、高い生物学的利用能、Tmaxにおける低い変動、Cmaxにおける低い変動、AUCにおける低い変動を提供する経口経粘膜投与形態またはNanoTabs(登録商標)を提供する。本発明のNanoTabs(登録商標)は、制御された溶解、溶解性および安定性も提供し、その結果、経時的な薬物の制御された放出が得られ、これは治療ウインドウ内の延長された血漿レベルをもたらす。
【0034】
本発明は、そのいくつかの実施形態が薬物送達の間に口腔粘膜に接着する、小さな固体経口経粘膜投与形態またはNanoTabs(登録商標)に基づく。経粘膜投与形態は、薬物の大部分が口腔粘膜を横切って送達されるように、唾液応答を最小化し、従って、薬物のGI管への送達を最小化する。
【0035】
以下の開示は、本発明を構成するNanoTabs(登録商標)投与形態を記載する。本発明は本明細書中に記載された特定の投与形態および方法または医学的疾患に限定されず、勿論それ自体変化し得る。また、本明細書中で用いる用語は特定の実施形態を記載する目的であり、本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されるべきである。
【0036】
本明細書中で用いるように、かつ特許請求の範囲で用いるように、単数形態「ある」および「該」は、明瞭に文脈が他を示さない限り複数の言及を含む。かくして、例えば、「薬物調合物」への言及は、複数のそのような調合物を含み、「薬物送達装置」に対する言及は、薬物調合物、およびそのような調合物の収納、保存および送達用の装置を含むシステムを含む。
【0037】
別途示さない限り、本明細書中で用いる全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に通常理解されるのと同一の意味を有する。本明細書中に記載されたのと同様または同等ないずれの方法、装置および材料も本発明の実施またはテストで用いることができるが、好ましい方法、装置および材料をここで記載する。
【0038】
本明細書中で言及される全ての刊行物は、現在記載された発明に関連して用いられ得る刊行物に記載された組成物および方法を記載し開示する目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書中で議論した刊行物は、本出願の出願日に先立ってのそれらの開示のためだけに提供する。本明細書中におけるいずれのことも、本発明が先行発明によってそのような開示よりも先行する資格がない自認と解釈されるべきではない。
定義
用語「NanoTabs(登録商標)」とは、本明細書中で用いるように、約0μl(マイクロリットル)〜100μlの容量、および約0mg(ミリグラム)〜約100mgの質量を有する小容量投与形態をいう。本発明のNanoTabs(登録商標)は生体接着特徴を有しても有さなくてもよく、ヒドロゲル−形成または侵食性錠剤の特徴を有することができる溶解可能な薬物−含有投与形態である。
【0039】
用語「調合物」または「薬物調合物」または「投与形態」とは、本明細書中で用いるように、対象への送達のための少なくとも1つの治療剤または医薬を含有する物理的存在をいう。それは舐剤、丸剤、錠剤、カプセル、膜、片、液体、パッチ、フィルム、ゲル、スプレー、ガムの形態または他の形態であってよい。
【0040】
用語「薬物」、「医薬」、「薬理学的に活性な剤」などは本明細書中において相互交換可能に用いられ、一般に、動物の生理学を変化させるいずれの物質もいう。本発明のNanoTabs(登録商標)を用いて、NanoTabs(登録商標)の小さなサイズ、すなわち、0.25μg〜99.9mg、1μg〜50mgまたは1μg〜10mgを介する投与で使用できる量で経口経粘膜経路によって投与することができるいずれの薬物も送達することができる。
【0041】
本発明のNanoTabs(登録商標)に関連して本明細書中で用いられる用語「薬物」は、経口経粘膜経路によって効果的に投与することができるいずれの「薬物」、「活性剤」、「活性」、「医薬」または「治療上活性な剤」も意味する。
【0042】
疼痛(無痛覚症)の治療に適用される用語「薬物」はスフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、およびミルフェンタニルなどのスフェンタニル同属体、ならびに1以上の治療化合物を含む投与形態を含む。「薬物」またはフレーズ「スフェンタニルまたは同属体」の使用は、これらの選択されたオピオイド化合物のただ1つを含む投与形態の使用、または投与形態に限定されることを意味しない。さらに、スフェンタニル単独、あるいは選択されたスフェンタニル同属体単独への言及、例えば、「フェンタニル」への言及は、本発明の方法に従う送達に適した薬物の例示に過ぎないと理解され、断じて限定的であることを意図しない。さらに、本発明の投与形態は1を超える治療剤を含むことができ、治療剤の例示的な組合せはスフェンタニル+アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、およびミルフェンタニルなどのオピオイド、またはモルフィンおよびコデインなどのオピウムアルカロイド;ヘロインおよびオキシコドンなどの半合成オピオイド;およびオピウムアルカロイドに対して無関係な構造を有するペチジンおよびメタドンなどの十分に合成的なオピオイド、または組合せて反対の作用を有し得るいずれかの他の薬物などの2以上のオピオイドアナログの組合せを含む。
【0043】
用語「同属体」とは、本明細書中で用いるように、共通の化学構造の多くの変種または立体配置の1つをいう。
【0044】
用語「対象」は、疼痛または麻酔の管理などの障害についての治療が望まれるいずれの対象、一般には哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、有踵動物等)も含む。
【0045】
用語「粘膜」とは、一般には、体内の粘液−被覆生物学的膜のいずれもいう。口腔の粘膜を通じる吸収は特に興味深いものである。かくして、頬、舌下、歯肉および口蓋吸収は本発明によって特に考えられる。好ましい実施形態において、本発明の浸透促進剤を用いて、その細胞構造が皮膚に最も似た口腔組織、すなわち、歯肉および口蓋を通っての吸収を改良する。
【0046】
薬物等の用語「経粘膜」送達は、粘膜を横切っての、または粘膜を通っての送達の全ての形態を含むことを意味する。特に、薬物の「経口経粘膜」送達は、特に、舌下、歯肉および口蓋粘膜組織を含めた、口、咽頭、喉頭、気管または上部胃腸管のいずれかを横切る送達を含む。
【0047】
用語「経口投与形態」、「経口経粘膜投与形態」は本明細書中において相互交換可能に用いることができ、本発明を実施するにおいて用いる投与形態をいう。
【0048】
経口投与形態は、典型的には、「舌下投与形態」であるが、いくつかの場合においては、他の経口経粘膜経路を使用することができる。本発明は、口腔粘膜を横切っての薬物の持続送達のためのそのような経口投与形態に依拠する。
【0049】
用語「経口経粘膜薬物送達」とは、本明細書中で用いるように、薬物送達が実質的に経粘膜経路を介し、嚥下、続いての、GI吸収を介さずに起こる投与形態をいう。本発明の投与形態は、口腔粘膜を介する、典型的には、舌下口内への投与形態の設置を介する最大送達を可能とする薬物溶解速度を提供するように設計される。
【0050】
本明細書中で用いるように、「舌下」は、文言上は「舌の下」を意味し、消化管を介するよりはむしろ舌の下の血管を介して物質が迅速に吸収されるように口を介して物質を投与する方法をいう。舌下粘膜の高度に血管化された性質、および他の粘膜と比較した上皮細胞層の低減した数のため、治療物質の吸収は迅速に起こり、かくして、経口投与の全ての複雑化を回避しつつ、全身循環への直接的アクセス、かくして、迅速な作用の開始を可能とする。
【0051】
本明細書中で用いるように、用語「ヒドロゲル−形成性製剤」は、体液、特に、口腔粘膜中の体液との接触に際して、構造マトリックスを維持しつつ、それが膨潤し、インサイチュにて水和したゲルを形成するように、水などの水性溶液を吸収することができる水をかなり欠如する固体調合物を意味する。ゲルの形成は、主として拡散によって起こる、経時的な治療薬物放出の制御を可能としつつ、固有の崩壊(または侵食)動態に従う。
【0052】
用語「Tmax」は、本明細書中で用いるように、最大の観察された血漿中濃度の時点を意味する。
【0053】
用語「Cmax」は、本明細書中で用いるように、最大の観察された血漿中濃度を意味する。
【0054】
用語「AUC」は、本明細書中で用いるように、血漿中の薬物の濃度−対−時間のプロットにおける「曲線下面積」を意味する。AUCは通常時間間隔ゼロ〜無限大について与えられるが、明らかに、血漿中薬物濃度が患者について「無限大まで」は測定できず、従って、数学的アプローチを用いて、限定された数の濃度測定からAUCを見積もる。現実的な意味においては、(ゼロ〜無限大の)AUCは、吸収速度に拘わらず、身体によって吸収された薬物の合計量を表す。これは、同一用量の2つの調合物が身体に対して同一用量の薬物を放出するか否かを決定することを試みる場合に有用である。静脈内投与された同一用量のそれと比較した経粘膜投与形態のAUCは、生物学的利用能の測定のための基礎として働く。
【0055】
用語「F」は、本明細書中においては、「パーセント生物学的利用能」を意味し、静脈内投与された場合の同一薬物と比較したテスト製品から吸収された薬物の分率を表す。それは、意図した経路からの送達に続いてのテスト製品のAUC(ゼロ〜無限大)−対−静脈内投与後の同一薬物についてのAUCから計算された。それは方程式:F(%)=AUC(テスト製品)/AUC(静脈内経路/製品)から計算される。これは、テスト経路を介して吸収された薬物(または製品)の相対的分率−対−静脈内経路を介して利用可能な最大可能量を確立する重要な用語である。
【0056】
用語「治療時間比率」または「TTR」は、薬物血漿中濃度が、薬物排出半減期によって正規化されたCmaxの50%を超えて維持される時間と定義された治療レベルで存在し、それは式:TTR=(Cmaxの50%を超える時間)/(薬物の最終静脈内排出半減期)によって計算される。テスト時間は、適当な種における目的の薬物についての文献データから得られる。
【0057】
用語「崩壊」は、本明細書中で用いる場合、錠剤が破壊し、錠剤単独の物理的一体性に関する物理的プロセスを意味する。これは、小さなピース、最終的には、微細かつ大きな粒状物への破壊、あるいは別法として錠剤が消失するまでの外側からの侵食を含めた多数の異なる方法で起こり得る。
【0058】
用語「溶解」は、本明細書中で用いるように、放出のメカニズム、侵食の拡散とは無関係に、インビトロでの溶媒、またはインビボでの生理学的流体、例えば、唾液の不在下で錠剤から有効成分が溶解するプロセスを意味する。
【0059】
用語「膨潤率」は、本明細書中においては、暴露に先立っての乾燥状態でのその質量と比較した水に対する十分な暴露後の投与形態の質量比率を意味する。嚥下比率(SR)は水に対する暴露の特定時間に基づいて定義することができ、比率または百分率として表され、例えば、SRは百分率=(水への暴露後の質量−初期乾燥質量)/(初期乾燥質量)×100として表される。
【0060】
あるいは、そのような「膨潤率」は、水との接触に先立っての同一投与形態の容量と比較した、水との接触後の本発明の投与形態の容量比と定義することができる。膨潤率(SR)は水に対する暴露の特定時間に基づいて定義することができ、比または百分率として表すことができ、例えば、SRは百分率=(暴露後の錠剤容量−暴露前の錠剤容量)/(暴露前の錠剤容量)×100として表すことができる。そのような実験の径方向寸法がよく制御されている場合:百分率=(暴露後の錠剤厚み−暴露前の錠剤厚み)/(暴露前の錠剤厚み)×100として表されたSRのように、同膨潤率は可変寸法、例えば、厚みの換算で定義することができる。
【0061】
用語「生体接着」とは、本明細書中で用いるように、より一般的には、粘膜を含めた生物学的表面への接着をいう。
【0062】
用語「治療上有効量」は、疼痛緩和などの所望の治療効果を促進するのに有効な、治療剤の量、または治療剤の送達速度(例えば、経時的量)を意味する。正確な所望の治療効果(例えば、疼痛緩和の程度、および疼痛軽減の源等)は、治療すべき疾患、対象の許容性、投与すべき薬物および/または薬物調合物(例えば、治療剤(薬物)の能力、調合物における薬物の濃度等)、および当業者によって認識される種々の他の因子に従って変化するであろう。
【0063】
「持続薬物送達」とは、長時間にわたっての、例えば、1分以上の時間にわたっての、源(例えば、薬物調合物)からの薬物の放出または投与をいう。持続薬物送達は、実際にはボーラス薬物送達の反対である。
【0064】
本明細書中で用いるように、薬物調合物は粘膜などの表面に「接着」するといわれる場合、それは、調合物が表面と接触し、外部力の適用なくして調合物が表面に接着し、表面に維持されることを意味する。接着は、粘着またはボンディングのいずれかの特定の程度を示唆することを意味せず、またはそれは永久性のいずれの程度も示唆することを意味しない。
【0065】
用語「活性剤」または「活性」は用語「薬物」と相互交換可能に用いることができ、本明細書では、いずれかの治療上活性な剤をいう。
【0066】
用語「非−閉塞性」は、本明細書中においては、その最も広い意味で用いられて、延長された時間の間、適用の部位において皮膚に留まるパッチ装置、固定されたリザーバ、適用チャンバ、テープ、包帯、絆創膏等による、皮膚を雰囲気に対してトラップまたは閉鎖しないことをいう。
【0067】
用語「粘膜−デポ」は、本明細書中においては、その最も広い意味で用いられて、粘膜内でまたは丁度直下の活性剤のリザーバまたは沈積をいう。
【0068】
表現「粘膜接着」は、本明細書中においては、口腔中のものなどの粘液によって被覆される粘膜への接着をいうのに用いられ、いずれかの生物学的表面への接着をいう用語「生体接着」と本明細書中においては相互交換可能に用いられる。
【0069】
用語「薬物送達装置」は、本明細書中においては、用語「分注装置」と相互交換可能に用いられ、本明細書中においてさらに記載される調合物を含む、本発明のNanoTabs(登録商標)などの経口経粘膜投与形態を分注する装置を意味する。
【0070】
経口経粘膜薬物送達投与形態
本発明は、他の経口投与形態と比較した場合に低減した唾液応答をもたらし、かくして、口腔粘膜を横切っての投与形態中で供される医薬上活性な物質の高い吸収速度、および胃腸管を介しての低減した摂取を供し、従って、薬物送達のより一貫した再現性のある手段を供する経口経粘膜薬物送達投与形態またはNanoTabs(登録商標)を提供する。
【0071】
経口投与形態またはNanoTabs(登録商標)は、典型的には、「舌下投与形態」であるが、いくつかの場合においては、他の経口経粘膜経路を使用することができる。本発明は、口腔粘膜を横切っての薬物の持続送達のためのそのような経口投与形態に依拠する。投与形態は実質的に均質な組成物であり、これは1以上の有効成分を含み、患者の口の粘膜への接着を供する(本明細書中においては「生体接着剤」とも言われる)1以上の粘膜接着剤;単一錠剤中の賦形剤の結合を提供する1以上の結合剤;1以上のヒドロゲル形成性賦形剤;1以上の増量剤;1以上の滑沢剤;1以上の吸収促進剤;1以上の緩衝性賦形剤;ならびに薬物の溶解時間および動態を修飾し、制御し、または活性な薬物を分解から保護する被覆剤または他の賦形剤および因子を含むことができる。
【0072】
舌下送達が好ましい。というのは、舌下粘膜は頬粘膜などの粘膜領域以外の投薬により容易に浸透可能であり、より迅速な摂取をもたらすからである(Shojaei AH ら、Buccal mucosa as a route for systemic drug delivery:a review.Journal of Pharmacy and Pharmaceutical Scientices.1:15−30,1998)。
【0073】
本発明のNanoTabs(登録商標)は、伝統的な経口投与形態または臨床的に用いられる経口経粘膜投与形態と比較して、口腔粘膜を介する薬物のより大きな百分率(および量)の送達、およびGI管を介しての送達の対応する減少を提供する。
【0074】
経口経粘膜薬物送達のための好ましい部位は舌下領域であるが、ある実施形態においては、それは投与形態が頬内側に置かれ、または口の屋根または歯肉に接着するのが有利であろう。
【0075】
本発明の投与形態は薬物の経口経粘膜(例えば、舌下)送達に適合し、典型的には、約60分までの溶解時間、ある場合には、約120分までの、他の場合には、数時間と長い溶解時間を有する。
【0076】
一般に、投与形態における30%超、50%超、75%または95%〜99%超の薬物が口腔粘膜を介して吸収される。
【0077】
本発明の薬物送達投与形態の適用はいずれかの特定の治療適応症に限定されない。疼痛の治療のための本発明の薬物送達投与形態の適用の例は本明細書中で提供されるが、本発明のNanoTabs(登録商標)は、多数の医学的疾患および障害のいずれかの治療に利用性を見出し、いずれかの特定の薬物または患者集団に制限されない。本発明の薬物の投与のNanoTabs(登録商標)の使用は、整形外科および成人集団双方への薬物の投与において、ならびにヒトおよび非−ヒト哺乳動物の治療において利用性を見出す。
【0078】
本発明のNanoTabs(登録商標)が疼痛の治療で用いられる場合、本発明は整形外科および成人集団への薬物の投与において、ならびにヒトおよび非−ヒト哺乳動物の治療において、ならびにオピオイド許容性およびオピオイドナイーブ患者集団において利用性を見出す。
【0079】
NanoTabs(登録商標)投与形態の属性
1つの実施形態において、本発明の投与形態またはNanoTabs(登録商標)は、一般に、薬物送達の間に、および薬物のほとんどまたは全てが投与形態から口腔粘膜に送達されるまで、口腔粘膜へ接着するように適合される(すなわち、生体接着性である)。他の実施形態において、本発明の投与形態またはNanoTabs(登録商標)は生体接着性でない。
【0080】
本発明のNanoTabs(登録商標)は約0μl(マイクロリットル)〜約100μlの容量、約0mg(ミリグラム)〜約100mgの質量、約0.1mm〜約10mm、例えば、約0.5〜約3.0mmの厚み;および約1.0mm〜約30.0mm、約1.0mm〜約10.00mm、例えば約3.0mmの直径を有する。
【0081】
さらに具体的には、本発明のNanoTab(登録商標)は100mg未満、90mg未満、80mg未満、70mg未満、60mg未満、50mg未満、40mg未満、30mg未満、20mg未満、および10mg未満よりなる群から選択される質量を有する。
【0082】
本発明のNanoTabs(登録商標)は100μl未満、90μl未満、80μl未満、70μl未満、60μl未満、50μl未満、40μl未満、30μl未満、20μl未満、および10μl未満よりなる群から選択される容量を有することもできる。
【0083】
形状:本発明のNanoTab(登録商標)投与形態は、NanoTab(登録商標)寸法に関して本明細書中で引用されるパラメータに適合する実質的にいずれの形状を有することもできる。例示的な形状は平坦、凹または凸面を持つ丸いディスク、楕円形状、球形状、3以上のエッジおよび平坦、凹または凸面を持つ多面体よりなる群から選択される。NanoTab(登録商標)形状は対称または非対称であってよく、制御され、便利または容易な保存、取り扱い、パッケージングまたは投与を可能とする特徴または幾何学を有することができる。図6はこれらの形状のいくつかを示す。
【0084】
経口対GI摂取:一般に、本発明のNanoTab(登録商標)中の30%超、50%超、75%または95%〜99%超の薬物は口腔粘膜を介して摂取される。
【0085】
本発明のある実施形態において、NanoTab(登録商標)は単一の薬物投与形態に含有される薬物の合計量の30%以上を、口腔粘膜を介して個体に投与するように適合される。他の実施形態において、経粘膜送達された単一薬物用量に含有される薬物の合計量の百分率は30%〜40%、40%〜50%、60%〜70%、70%〜80%、80%〜90%超であり、好ましくは、95%超であってよい。例示的実施形態において、単一の薬物投与形態に含有された薬物の合計量の少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%が口腔粘膜を介して送達される。
【0086】
口腔粘膜を介する薬物のより大きな百分率(および量)の送達、およびGI管を介する送達の対応する欠如は、薬物送達の以前の方法に対して有意な改良を提供する。
【0087】
低減した唾液応答:本発明のNanoTab(登録商標)薬物投与形態は唾液応答を低減させ、嚥下される薬物の量を低減させ、それにより、相当量の薬物を対象に口腔粘膜を介して送達するように設計され、適合される。また、本発明のNanoTabs(登録商標)は、以前に記載された経口または経口経粘膜投与形態に対して改良された溶解プロフィール、口腔粘膜を介する薬物の効果的な送達、および治療ウインドウ内の一貫した血漿レベルを持つ経口経粘膜投与形態も提供する。
【0088】
侵食時間:本発明の投与形態は、口腔粘膜を介しての、典型的には舌下位置への投与形態の設置を介しての最大送達を可能とする侵食速度を供するように設計される。本発明のNanoTab(登録商標)の舌下投与についての侵食時間は、典型的には、約30秒〜1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間である。
【0089】
溶解時間:本発明の経口経粘膜調合物は、典型的には、患者および薬物投与の環境、ならびに固有の薬物動態に依存して、30秒〜1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間以上で変化し得る薬物溶解時間を達成するように設計される。本発明の経口経粘膜調合物の組成物は、特定の臨床状況に適合させるために、用量の範囲および溶解時間の範囲の双方を供するように調整できることは理解されよう。
【0090】
調合物:経口経粘膜送達のための本発明の医薬投与形態は固体または非−固体であってよい。1つの好ましい実施形態において、投与形態は固体であり、これは唾液との接触に続いてヒドロゲルに変化する。別の好ましい実施形態において、投与形態は固体であり、これは唾液との接触に続いてヒドロゲルを形成することなく侵食する。
【0091】
本発明の投与形態が実質的に均質な調合物であり、これは0.01〜99%w/wの有効成分(薬物、医薬等)を含み、さらに、患者の口の粘膜への接着を供する(本明細書中においては、「生体接着剤」ともいわれる)1以上の粘膜接着剤;単一錠剤中の賦形剤の結合を供する1以上の結合剤;1以上のヒドロゲル形成性賦形剤;1以上の増量剤;1以上の滑沢剤;1以上の吸収促進剤;1以上の緩衝性賦形剤;1以上の被覆剤;1以上の制御放出修飾剤;および1以上の他の賦形剤、および薬物の溶解または崩壊時間および動態を修飾および制御し、または活性薬物を分解から保護する因子を含む。
【0092】
賦形剤は前記したものに限定されず、経口投与形態で用いる多数の適当な非毒性の医薬上許容される担体はRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th Edition,1985に見出すことができる。
【0093】
経口経粘膜薬物送達用の本発明の投与形態は少なくとも1つの生体接着(粘膜接着)剤、またはいくつかの生体接着剤の混合物を含み、薬物送達の間の口腔粘膜への接着を促進することができる。加えて、生体接着剤または粘膜接着剤は、投与形態侵食時間および/または、投与形態が唾液によって湿った場合の経時的薬物溶解動態を制御するのにも効果的である。加えて、本発明において示された粘膜接着剤のいくつかもまた調合物において結合剤として機能して、投与形態への必要な結合を供することもできる。
【0094】
例示的な粘膜接着剤または生体接着剤材料は天然、合成または生物学的ポリマー、脂質、リン脂質等よりなる群から選択される。天然および/または合成ポリマーの例は、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等)、天然ガム(グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、ビーガム等)、ポリアクリレート(カルボポル、ポリカルボフィル等)、アルギネート、ポリオキシエチレン、全ての分子量のポリエチレングリコール(PEG)(好ましくは、1000および40,000Daの間、いずれかの化学、鎖状、または分岐状)、全ての分子量のデキストラン(いずれかの源の1000および40,000Daの間)、乳酸およびグリコール酸の組合せによって調製されたものなどのブロックコポリマー(種々の粘度、分子量およびグリコール酸に対する乳酸の比率)、(Pluronics、TektornixまたはGanapolブロックコポリマーなど)反復単位のいずれかの数および組合せのポリエチレングリコール−ポリエチレングリコールブロックコポリマー、物理的または化学的に連結されたユニット(例えば、PEG−PLAまたはPEG−PLGAコポリマー)混合物いずれかの前記コポリマーの組合せを含む。好ましくは、生体接着剤賦形剤はCarbopol(Carbopol 71G、934P、971P 974Pなど)、およびポリカルボフィル(Noveon
AA−1、Noveon CA−1、Noveon CA−2など)などのポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリアクリル酸ポリマー、セルロースおよびその誘導体よりなる群から選択され、最も好ましくは、それはポリエチレングリコール、カルボポル、および/またはセルロース誘導体またはその組合せである。
【0095】
粘膜接着剤/生体接着剤は、典型的には、1〜50%w/w、好ましくは1〜40%w/w、最も好ましくは5〜30%w/wの間で存在する。本発明の調合物はいずれかの組合せ中に1以上の異なる生体接着剤を含有することができる。
【0096】
経口経粘膜薬物送達用の本発明の投与形態は結合剤、または賦形剤の単一投与形態への結合を容易にする2以上の結合剤の混合物を含むことができる。例示的な結合剤は、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等)、ポリアクリレート(Carbopol、ポリカルボフィル等)、ポビドン(全てのグレード)、いずれかの分子量または照射もしくは未照射のグレードのポリオックス、澱粉、ポリビニルピロリドン(PVP)、Avicel等よりなる群から選択される。
【0097】
結合剤は典型的には0.5〜60%w/w、好ましくは1〜30%w/w、最も好ましくは1.5〜15%w/wで存在する。
【0098】
経口経粘膜薬物送達用の本発明の投与形態は、さらに、1以上のヒドロゲル−形成性賦形剤を含んでもよい。例示的なヒドロゲル形成性賦形剤はポリエチレングリコール、およびホモポリマーまたは架橋されたヘテロポリマーを問わずエチレングリコール骨格を有する他のポリマー、ポリオキシエチレンホモポリマーなどのエチレングリコール単位を用いるブロックコポリマー(その全てがUnion Carbideの商標であり、Polyox N10/MW=100,000l Polyox−80/MW=200,000;Polyox 1105/MW=900,000;Polyox−301/MW=4,000,000;Polyox−303/MW=7,000,000,Polyox WSR−N−60Kなど)、全ての分子量およびグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(その全てがShin−Etsu Chemical companyの商標であり、Metolose 90SH50000,Metolose 90SH30000など)、ポロキサマー(全てがBASF Chemicalsの商標であるLutrol F−68、 Lutrol F−127、F−105等)、Genapol、ポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG−1500、PEG−3500、PEG−4000、PEG−6000、PEG−8000、PEG−12000、PEG−20,000等)、天然ガム(キサンタンガム、ローカストビーンガム等)およびセルロース誘導体(HC、HMC、HMPC、HPC、CP、CMC)、遊離または架橋されたポリアクリル酸系ポリマーおよびその組合せ、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびそのいずれかの組合せなどの生分解性ポリマー(物理的ブレンドまたは架橋を問わず)よりなる群から選択される。ある実施形態において、ヒドロゲル成分は架橋されていてもよい。ヒドロゲル形成性賦形剤は、典型的には、0.1〜70%w/w、好ましくは1〜50%w/w、または最も好ましくは1〜30%w/wで存在する。
【0099】
経口経粘膜薬物送達用の本発明の投与形態は少なくとも1つの制御放出修飾剤も含むことができ、これは、錠剤水和に際して、優先的に薬物分子に接着し、かくして、その拡散の速度を経口投与形態から減じる。そのような賦形剤は調合物による水摂取の速度を低減させることができ、かくして、より遅延された薬物溶解および錠剤からの放出を可能とする。1つの実施形態において、そのような制御放出修飾剤は物理的(および、従って、可逆的)相互作用を介して活性体に分子的に結合することができ、かくして、活性体の有効分子量を増大させ、かくして、さらに、舌下粘膜の上皮および基底膜を通ってのそれらの浸透(拡散)特徴を修飾する。そのような結合は天然では可逆的であり、活性体のいずれの化学的修飾に関与せず、かくして、それは、断じてのその薬理学的作用に影響しない。別の好ましい実施形態において、そのような制御放出修飾剤は、水和に際して、該活性体を自然に捕獲し、かくして、その作用をさらに延長することができる具体的構造を形成することができる。例示的な制御放出修飾剤は、脂質、リン脂質、ステロール、界面活性剤、ポリマーおよび塩よりなる群から選択される。一般に、選択された賦形剤は親油性であって、疎水性または親油性薬物に自然に複合体化することができる。放出修飾剤および薬物の会合の度合いは、調合物における修飾剤対−薬物比率を変えることによって変化させることができる。加えて、そのような相互作用は、製造プロセスにおける放出修飾剤と活性薬物との適当な組合せによって適切に増強することができる。別法として、制御された放出修飾剤は、正または負いずれかの正味の電荷を担い、かつ静電相互作用を介して活性体に結合することができ、かくして、錠剤を通ってのその拡散および/または粘膜表面を通ってのその浸透の動態双方を修飾する、合成または生体ポリマーいずれかの荷電したポリマーであってよい。前記した他の化合物と同様に、そのような相互作用は可逆的であって、活性薬物との永久的な化学結合を含まない。
【0100】
制御放出修飾剤は、典型的には、0〜80%w/w、好ましくは1〜20%w/w、最も好ましくは1〜10%w/wで存在していてよい。
【0101】
経口経粘膜薬物送達のための本発明の投与形態は、典型的には、少なくとも1つの充填剤(増量剤)も含む。例示的な増量剤は、ラクトースUSP、Starch 1500、マンニトール、ソルビトール、マルチトールまたは他の非還元性糖;結晶セルロース(例えば、Avical)、二塩基性リン酸カルシウム脱水物、スクロース、およびその混合物よりなる群から選択される。充填剤/増量剤は、典型的には、20〜99%w/w、好ましくは40〜80%w/wで存在する。
【0102】
経口経粘膜薬物送達のための本発明の投与形態は少なくとも1つの滑沢剤を含むこともできる。例示的な滑沢剤はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、ステアロウェット(Stearowet)およびステロテックス(sterotex)等よりなる群から選択される。滑沢剤は、典型的には、0.01〜8%w/w、好ましくは0.1〜3%w/wの間で存在する。
【0103】
調合物は、アスパテーム、マンニトール、ラクトース、スクロース、他の人工甘味料などのフレーバーまたは甘味剤、および着色剤;酸化第二鉄およびFD&Cレーキも含有することができる。
【0104】
調合物は、化学的または物理的分解から薬物物質を安定化させるのを助けるために添加剤を含有することもできる。そのような分解反応は、酸化、加水分解、凝集、脱アミド化などを含むことができる。薬物物質を安定化させることができる適切な賦形剤は抗−酸化剤、抗加水分解剤、凝集遮断剤等を含むことができる。抗酸化剤はBHT、BHA、ビタミン、クエン酸、EDTA等を含むことができる。凝集遮断剤は界面活性剤、アミノ酸などを含むことができる。
【0105】
調合物は、特に、より早い放出動態が望まれるとき、錠剤の湿潤を増加させるために界面活性剤を含有することもでき、これは、粘膜接着のより速い開始をもたらし得る。そのような界面活性剤は組成物の0.01〜3%重量パーセントとする必要がある。例示的な界面活性剤はイオン性(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、ポリソルベートなどの非−イオン性(TweenおよびSpan界面活性剤シリーズ)、胆汁塩(タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム等)、種々のアルキルグリコシド、およびその混合物よりなる群から選択される。
【0106】
本発明の投与形態は、加えて、錠剤崩壊動態および錠剤からの薬物放出の双方、およびかくして、薬物動態に影響し得る1以上の賦形剤を含むことができる。そのような添加剤は当業者に知られたものなどの崩壊剤であり、澱粉、カルボキシ−メチルセルロース型または架橋したポリビニルピロリドン(クロスポビドン、PVP−XLなどの)、アルギネート、セルロース系崩壊剤(精製されたセルロース、メチルセルロース、架橋されたナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac−Di−Sol)およびカルボキシメチルセルロースなど)、結晶セルロース(Avicelなど)、イオン交換樹脂(Ambrelite IPR 88など)、ガム(糖、ローカストビーン、カラヤ、ペクチンおよびトラガカントなど)、グアガム、ガムカラヤ、キチンおよびキトサン、Smecta、ジェランガム、Isapghula Husk、ポラクリリンカリウム(Tulsion339)、ガス−発生崩壊剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸カルシウムを伴うクエン酸および酒石酸など)、澱粉グリコール酸ナトリウム(ExplotabおよびPrimogelなど)よりなる群から選択することができる。そのような添加剤の添加は投与形態のより小さな粒子への速い分解または崩壊を促進し、該粒子は崩壊剤の不在におけるよりも迅速に溶解する。本明細書中に記載された生体接着性物質を含有する本発明の投与形態中にそのような崩壊剤を含めるさらなる利点は、崩壊に際して形成されるより小さな薬物−含有粒子が、口腔粘膜との接触のかなり増大した表面積により、優れた生体接着特性を有することである。加えて、増大した表面積は、さらに、活性物質の速い放出を促進し、かくして、さらに、薬物吸収、および必要な治療レベルの達成を系統的に加速することができる。しかしながら、前記したように、そのような崩壊剤は固体投与形態中で低いレベルにて、典型的には、投与単位の合計重量に対して1〜20%w/wで用いる。
【0107】
本発明の1つの態様において、投与形態は、延長された薬物放出で有用ないずれかの型の少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む。例示的なポリマー組成物はポリアンヒドリド、および乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリオルトエステル、蛋白質、および多糖を含む。
【0108】
経口経粘膜薬物送達用の本発明の投与形態は、さらに、1以上の吸収促進剤、1以上の緩衝性賦形剤および/または、例えば、硬度および脆さを改良するための1以上の被覆剤を含むことができる。
【0109】
本発明の別の態様において、有効成分を化学的に修飾して、血漿における薬物動態を有意に修飾することができる。これは、例えば、部位−特異的PEG化を含めた、ポリエチレングリコール(PEG)との接合によって達成することができる。PEG化は、薬物動態を最適化し、免疫原性および投与頻度を減少させることによって薬物の性能を改良することができる。
【0110】
本発明のNanoTabs(登録商標)は、口腔における制御された溶解のために本発明のNanoTabs(登録商標)の特徴を維持しつつ、有効成分の性質および量に従って変化する多数の投与形態にて提供される。かくして、薬物吸収のより大きな百分率は口腔粘膜経路を介して起こり、GI経路を介しては起こらず、その結果、経時的な薬物の制御放出がもたらされ、その結果、治療ウインドウ内での延長された血漿レベルがもたらされる。本発明のNanoTabs(登録商標)は、さらに、高い生物学的利用能、Tmaxの低い変動、Cmaxの低い変動、およびAUCにおける低い変動を提供する。
【0111】
本発明の1つの態様において、本発明による調合物を含む均一な投与形態が舌下腔に入れられると、好ましくは、舌小帯のいずれか側の舌の下にて、接触に際して接着する。投与形態が舌下空間の水分に暴露されるにつれ、投与形態は水を吸収し、その結果、ミクロ−およびマクロ−ポア(またはチャネル)を含むヒドロゲルネットワークが形成される。薬物の水和は溶解、および投与形態の多孔性ネットワークを通じての引き続いての拡散に影響する。本発明のヒドロゲル投与形態は、水性溶液との接触に際しての、初期用量の少なくとも110%への膨潤によって特徴付けられる。
【0112】
本発明の投与形態におけるヒドロゲル形成は、水を吸収し、ゲルを形成する能力を有するある種のヒドロゲル−可能化賦形剤の存在下で起こる。そのような賦形剤は、前記で詳細に記載したような、全てのグレードのポリオックス(Polyox)、(全てのグレードの)ポリエチレングリコール、ホモポリマーまたはヘテロポリマーを問わずPEG−系コポリマー(ポロキサマーなど)、デキストラン、HPMC、澱粉などを含む。加えて、そのような賦形剤のいずれの組合せも、体液との接触に際してのヒドロゲル形成に好都合であろう。さらに、そのようなヒドロゲル形成性賦形剤と、ゲル形成に好都合でない(すなわち、膨潤するそのような能力を有しない)賦形剤、例えば、Carbopol、ある種のセルロースなどとの組合せの結果、修飾された特性に拘わらず、ヒドロゲル構造の形成がもたらされるであろう。
【0113】
本発明の別の態様において、本明細書においては、「侵食−型」投与形態という投与形態が提供される。そのような「侵食−型」投与形態は、それらは(それらの組成に応じて)有意な量の水を吸収できるが、それらは同一の膨潤能力を有さず、その結果、それらは前記定義のヒドロゲル型の調合物について記載したようにゲルを形成しない。これらの「侵食−型」調合物は、ヒドロゲル調合物と同様に、接触に際して舌下腔に接着する。しかしながら、ヒドロゲルとは対照的に、それらは、ヒドロゲルの先の形成なくして表面−侵食メカニズムに従う。「侵食−型」投与形態が舌下空間の水分に暴露されるにつれ、錠剤の表面は水和され、侵食し;引き続いての層は水和され、侵食され、かくして、錠剤のサイズの連続的低下がもたらされる。
【0114】
そのような侵食−型投与形態は、典型的には、ヒドロゲル−形成性賦形剤を含めることの欠如によって特徴付けられる。しかしながら、投与形態の種々の成分のパーセント重量−対−重量(w/w)組成は、侵食のメカニズムにインパクトを与えるであろうと理解されるであろう。例えば、少量の特定のヒドロゲル−可能化賦形剤はヒドロゲルの形成を誘導できず、それ自体、いくつかのヒドロゲル−可能化賦形剤は、それらの侵食−ベースの崩壊メカニズムを変えることなく侵食性調合物に含めることができる。ヒドロゲルに、水性溶液との接触に際して構造マトリックスを膨潤および維持するその能力を与えるのは、賦形剤の組合せ、およびそれらのパーセント重量組成の双方である。言い換えれば、一般に、所与の調合物にヒドロゲル−可能化賦形剤を含めることは、必ずしも、投与形態を、ヒドロゲル調合物に典型的なように、「膨潤」しないであろう。ヒドロゲルとなる投与形態は、水性流体との接触に際して、初期容量の少なくとも110%まで膨潤する。
【0115】
薬物動態(PK)
NanoTabs(登録商標)を介する経粘膜投薬の摂取の結果、薬物摂取のより大きな画分がGI経路を介して起こる現在入手可能な経口経粘膜投与形態のそれと比較して、個々の用量および個々の患者の間のより一貫した薬物送達がもたらされる。
【0116】
本発明の投与形態は、限定された量の流体、薬物溶解のための比較的短い時間、および口腔内のpHレベルが薬物に吸収に悪影響しないように、口腔の固有の環境において効率的に働くように設計される。投与形態は、薬物の溶解、可溶性、および安定性を改良するようにも設計される。本発明の利点は、経口経粘膜送達を介する薬物吸収のより高いレベルを供する能力、および一貫した用量−対−効果の時間、本調合物を急性または突出痛の治療のために有意な改良とすることを含む。
【0117】
本発明の経口経粘膜投与形態は、舌下粘膜を利用することによって、および錠剤崩壊(または侵食)および薬物溶解、および経時的錠剤からの放出双方を独立して制御することによって、静脈内投与形態の高いピーク血漿レベルを回避して、より安全な送達プロフィールを供するように設計される。本発明の経口経粘膜投与形態は、定義された量の活性剤を含み、それにより、患者が送達される薬物の量を正確に滴定し、安全かつ効果的な様式で適切には該量を調整するのを可能とする個々の反復用量を提供する。
【0118】
本発明で記載された制御−放出経口経粘膜投与形態の利点は、固体投与形態またはIV投与形態であるかを問わず、高い一貫した生物学的利用能を呈し、かつ現在利用可能な投与形態よりも長い間、有意により低い変動によって標的化された治療ウインドウ内に血漿薬物濃度を維持することができることである。IV投与形態で典型的に観察される高いピークの血漿レベルは、1〜60分以上に渡る薬物の制御放出によって特徴付けられる本発明のNanoTab(登録商標)の投与に続いて平坦とされる。加えて、血漿レベルの迅速な減少が回避される。というのは、薬物は、錠剤の溶解時間の長さまたはそれ以上の間に連続的に横切って口腔から血流に入るからであり、かくして、IV投与形態と比較して延長されたプラトー相を持つ血漿薬物動態を供する。さらに、本発明の投与形態は、治療安全性を危うくし、現在入手可能な投与形態に典型的な、血漿薬物動態におけるピークおよびトラフの相対的低下による、潜在的に有害な副作用を最小化することによって治療安全性を改良することができる。
【0119】
オピオイドの舌下または鼻腔内投与いずれかのための種々の液体形態を越える固体舌下投与形態の利点は、固体投与形態の制御された局所的放出、および鼻腔内または経口経路いずれかを介する嚥下された液体薬物の回避を含む。ヒトにおける鼻腔内スフェンタニル液体投与(15mcg)についての公開された薬物動態データは、78%の生物学的利用能を示す(Helmersら、Comparison of intravenous and intranasal absorption and sedation.Canadian Journal of Anaesthesia 36:494−497,1989)。ビーグル犬における舌下液体スフェンタニル投与(5mcg)(以下の実施例4参照)の結果、40%の生物学的利用能がもたらされた。前記した生物学的利用能データは、本発明のNanoTab(登録商標)の形態で舌下投与されたスフェンタニルを用いるヒトボランティアで得られた91%平均生物学的利用能よりも小さい(以下の実施例1参照)。
【0120】
NanoTabs(登録商標)の小さなサイズのため、持続時間にわたっての舌下腔における反復設置が可能である。最小の唾液生産および最小の身体的不快感が小さなサイズのため起こり、これは、数日から数週間、数ヶ月に渡る反復滴定を可能とする。舌下腔の脂質プロフィールを仮定すれば、この経路は、ある薬物については、血漿へのより遅い放出を可能とし、これは、頬送達と比較してさらに血漿レベルをさらに安定化させる「デポ」効果の利用によるものであり得る。
【0121】
本発明の経口経粘膜投与形態が、薬物形態が十分にゆっくりと崩壊して、米国特許第6,759,059号(Rapinyl)に記載されたような先行技術調合物で観察された、直後のピーク血漿レベル、続いての、有意な効果を回避するように、舌の下に快適に適合するように設計され、フェンタニルは、400mcgのフェンタニルを含有する錠剤を介して投与され、その結果、2.5ng/mlのピーク血漿レベル、続いての、血漿レベルの直後の降下がもたらされた。フェントーマ(Fentora)(フェネタニル頬錠剤)もまたプラトー相の欠如に悩んでいるが、むしろ、Cmaxまでの急峻な減少、続いての、血漿レベルの有意な降下を有する(フェントーラ添付文書)。
NanoTabs(登録商標)の評価のためのテスト
ヒトおよび動物における、本発明の裏付けで実行され、かつ本明細書中において後におよび実施例1〜6に記載された舌下NanoTabs(登録商標)のヒトおよび動物実験に先立って、発明者らは、いずれかの投与形態の舌下スフェンタニルの、またはいずれかの投与形態の舌下アルフェンタニルの使用から動物またはヒトで得られたいずれの公開された薬物動態データを知らなかった。
【0122】
インビボ評価
ヒト実験
ヒト臨床実験は健康なボランティアを用いて行った。以下の実施例1で詳細に記載された実験は、各々、3.7μg、7.5μgまたは15μgのクエン酸スフェンタニルに対応する2.5μg、5μgまたは10μgいずれかのスフェンタニル主薬を含有する舌下スフェンタニルNanoTabs(登録商標)を用いて12の対象(6人の男性および6人の女性)で行った(表1参照)。全ての賦形剤は不活性であって、GRAS(「一般に安全と認識」)状態を有する。
【0123】
舌下使用のために設計されたスフェンタニルNanoTabs(登録商標)を、10分間に渡る連続的注入としてのIVカテーテルを介して投与されたIVスフェンタニルと比較した。血漿試料を遠隔位置において異なるIVカテーテルから吸い取った。該アッセイは、高、中程度および低品質対照試料濃度において、良好な日間精度および正確性を示した。
【0124】
本実験のためのNanoTabs(登録商標)は、全ての対象において、10〜30分間に渡って侵食した。12人の健康なボランティアの舌下腔への各スフェンタニル舌下NanoTab(登録商標)の設置の後に、顕著に一貫した薬物動態プロフィールが得られた(図2および表2参照)。全ての3つの用量の単一投与についてのIV投与と比較した生物学的利用能は平均して91%であり、これは、商業的に入手可能なフェンタニル経粘膜製剤であるActiqおよびFentoraで測定されたものよりもかなり優れている(各々、47%および65%−Fentora添付文書)。この高い生物学的利用能は多数の要因によるものであろうが、小さなNanoTab(登録商標)のサイズによって生じた唾液の欠如は薬物の嚥下を有意に制限し、GI経路を介する薬物吸収に典型的な低い生物学的利用能を回避するようである。FentoraおよびActiq双方の添付文書は、各々、薬物用量の少なくとも50%および75%が唾液を介して嚥下されると主張しており、双方は本発明のNanoTabs(登録商標)よりも低い生物学的利用能を呈する。この臨床試験で用いたNanoTabs(登録商標)は、ほぼ5マイクロリットルの容量(5.5mgの質量)、ActiqおよびFentora舐剤のサイズの小さな画分を有した。実施例4に記載され、かつ前記で議論した犬の実験は、スフェンタニルが非常に貧弱なGI生物学的利用能(12%)を有し、従って、薬物が経口経粘膜経路によって投与されるスフェンタニルNanoTabs(登録商標)の高い生物学的利用能を仮定すれば、該データは、薬物の75%を越えて経粘膜的に吸収されるという結論を支持する。従って、薬物の25%未満が嚥下され、これはFentoraまたはActiqで嚥下されたかなりより低い百分率である。
【0125】
重要なことは、この高い生物学的利用能もまた、患者に送達された合計薬物の高い一貫性に関連している。例えば、スフェンタニルNanoTabs(登録商標)10mcgについての曲線下合計血漿薬物面積(AUC0〜無限大)は0.0705±0.0194 hrng/ml(平均±標準偏差(SD))であった。このSDは合計AUCの27.5%に過ぎない。変動係数(CV)は、平均のパーセントSDを記載するための用語である。FentoraのAUCについての変動係数は45%であって、Actiq AUCについては、41%である(Fentora添付文書)。従って、患者/対象に送達された合計用量はスフェンタニルNanoTabs(登録商標)についてより生物学的利用能であるが、それは患者の間でより一貫して同一である。
【0126】
スフェンタニル舌下NanoTabs(登録商標)は、投与後の一貫した薬物血漿レベルの点でやはり優れていた。10mcgスフェンタニルNanoTab(登録商標)で得られたCmaxは27.5±7.7pg/mlであった。Cmaxの変動係数は、従って、28%に過ぎない。FentoraおよびActiqについてのCmaxは、薬物のGI摂取の変動に悩んでいる。Fentoraは1.02±0.42ng/mlのCmaxを報告しており、従って、Cmaxの変動係数は41%である。種々の用量のFentoraについての変動係数の範囲は41%〜56%である(添付文書)。CmaxのActiqの変動係数は33%として報告されている(Fentora添付文書)。
【0127】
優れた生物学的利用能、および血漿濃度の一貫性に加えて、Tmaxとも言われるCmaxに対する時間は重要である。というのは、疼痛緩和の迅速かつ終始一貫した開始は急性痛の治療で重要だからである。スフェンタニルNanoTabs(登録商標)1mcgについてのTmaxは40.8±13.2分であった(範囲19.8〜60分)。Fentoraについての報告された平均Tmaxは46.8であり、20〜240分の範囲を伴う。ActiqについてのTmaxは90.8分、範囲35〜240分(Fentora添付文書)である。従って、スフェンタニルNanoTabs(登録商標)についての鎮痛の開始における一貫性は、Tmaxの最も遅い開始における400%減少を伴い、FentoraおよびActiqよりも顕著に改良される。
【0128】
急性痛、特に急性突出痛の治療において重要なのは、薬物の一貫した相対的に短い半減期である。10mcgスフェンタニルNanoTab(登録商標)の血漿排出半減期は1.71±0.4時間であり、これは薬物が種々のレベルの疼痛について滴定可能となるようにする。もし突出痛事象が1.5時間よりも長く継続すれば、患者は更なるNanoTab(登録商標)を患者に投与することができる。ActiqおよびFentoraの血漿中排出半減期は、最低用量について、各々、3.2時間および2.63時間である。より高い用量についての半減期はこれらの薬物について実質的に増加し、それにより、これらの薬物の滴定性を制限する。
【0129】
依然として開発中であるが、公表されたデータにより、本発明者らは、本明細書中で提供されたスフェンタニルNanoTab(登録商標)薬物動態データをフェンタニル舌下速−溶解舐剤であるRapinylのそれと比較するのが可能となる。先に記載したように、本発明のスフェンタニルNanoTabs(登録商標)についての観察された生物学的利用能は、ほぼ70%であるRapinylについての公表された生物学的利用能と比較して平均91%である(Bredenberg,New Concepts in Administration of Drugs in Tablet Form,Acta Universitatis Upsaliensis,Uppsala,2003)。RapinylについてのAUC(0〜無限大)の変動係数は、用量に応じて、25〜42%の範囲であり、他方、我々の値は10mcgスフェンタニルNanoTabs(登録商標)について27.5%である。我々の高い生物学的利用能は、用量に拘わらず、スフェンタニルNanoTabs(登録商標)はAUCの一貫して低い変動を有し、他方、Rapinylについては当てはまらない。実際に、スフェンタニルNanoTabs(登録商標)の用量の全ての3つについての我々のAUC変動係数は平均して28.6%であり、これは、この低い変動が用量に依存しないことを示す。
【0130】
RapinylについてのCmaxの変動係数は、用量に依存して、34〜58%で変化する。本明細書中で示したデータによって示されるように、10mcgスフェンタニルNanoTab(登録商標)用量は28%に過ぎないCmax変動を呈し、NanoTabs(登録商標)の全ての3つの用量強度(2、5および10mcg)についてのCmaxの平均変動係数は29.4%であり、これは、用量に依存する最小変動を示す。同様に、RapinylでのTmaxについての変動係数が用量に依存して43〜54%の範囲であり、他方、我々のスフェンタニルNanoTabs(登録商標)については、Tmaxについてのこの変動係数は全ての3つの用量強度に渡って平均して29%に過ぎない。スフェンタニルNanoTabs(登録商標)で達成されたこの一貫した作用の開始は、3つのコンプラトール薬物のいずれに比較した場合にも、より安全な再投与ウインドウを可能とする。というのは、上昇する血漿レベルはより短い時間まで含有される。
【0131】
加えて、FentoraおよびActiqに関しては、RapinylはスフェンタニルNanoTabs(登録商標)よりもより長い血漿排出半減期を示す(用量に応じて5.4〜6.3時間)。スフェンタニルNanoTabs(登録商標)の血漿排出半減期は、ヒトでの単一経口経粘膜投与に続いて1.5〜2時間の範囲であり(表2)、これは、より大きな滴定可能性を可能とし、過剰投与を回避する。当業者によって理解される、例示されたNanoTabs(登録商標)についての本明細書中に記載された半減期は、所与のNanoTab(登録商標)を作成するのに用いた調合物における成分の修飾および賦形剤の相対量によって調整することができる。反復用量の舌下スフェンタニルNanoTabs(登録商標)を投与することによってより高い血漿レベルまで滴定するのもまたこのヒト実験でテストした。4回の投与のための10分毎の5mcg NanoTabs(登録商標)の反復用量の結果、96%の生物学的利用能がもたらされ、これは、高い生物学的利用能を依然として維持しつつより高い血漿レベルを達成するための反復用量が可能であることを示す。術後痛または癌突出痛を治療するか否かに拘わらず、疼痛の緩和の個体自身のレベルまで効果的に滴定できることが重要である。
【0132】
プラトー血漿レベル
舌下スフェンタニルNanoTabs(登録商標)によって作成されたPK曲線の別の態様はプラトー相であり、これは、安全性および効率双方で重要である一貫した血漿レベルの期間を可能とする。IVボーラス投与(動物実験実施例2〜6参照)、または我々のヒト実験における10分のIV注入(実施例1および図2)いずれかと比較して、スフェンタニルNanoTabs(登録商標)についてのPKプロフィールは明確により安全である。迅速で高いCmax血漿レベルは回避される。呼吸器系抑制を生じさせるオピオイドの能力を仮定すれば、PKプロフィールにおいてこれらの高いピークを回避するのは有利である。
【0133】
NanoTab(登録商標)の投与に続いてのスフェンタニルの測定された血漿レベルの延長されたプラトー相を示す重要な数学的比率は、Cmaxの50%を超えて消費された時間を、薬物の既知のIV最終排出半減期で割ったものである。
治療時間比率=(Cmaxの相殺の時間/2−Cmaxの開始の時間/2)/(薬物のIV排出半減期)
排出半減期は分子の固有の特性であって、舌下経路からの薬物の継続した摂取からの汚染を回避するためにIV経路を用いて最も信頼性良く測定される。我々のヒト実験における5mcgのスフェンタニルについてのIV排出半減期は、これらの低い用量におけるアッセイの検出限界のため71.4分であった。かなり高い用量におけるスフェンタニルについての公表されたIV排出半減期は、再分布の迅速なアルファ−排出メカニズム、および代謝および排泄を介する排出のより長いベータ相の検出のため148分である。この公表された排出半減期は、前記方程式で用いるのにより正確かつより適切である。2.5、5および10mcg投与強度についての12人のボランティアでの平均についてのCmaxの50%を超える消費時間は、各々、110分、111分および106分であった。従って、これらの特異的スフェンタニルNanoTabs(登録商標)についての治療時間比率は0.72〜0.75の範囲であった。NanoTabs(登録商標)の調合物は変化するので、NanoTab(登録商標)の侵食時間は減少するかまたは増加するかのいずれかであり、スフェンタニルについてはほぼ0.2〜2.0のある範囲の治療時間比率が見られるであろう。実際に、スフェンタニルについての本発明のいずれかの経口経粘膜投与形態は、この範囲の治療時間比率を呈することができ、従って、我々は本発明の請求の範囲を特定のNanoTab(登録商標)の属性に限定しない。
【0134】
この治療時間比率は、どのようにして成功裏に短時間作用薬物を調合物して、治療時間の増加を生じさせ、高いピークの血漿中Cmax濃度を回避することによって安全性を増大させるかの尺度である。例えば、比較として、ヒト実験のスフェンタニルIV治療群は、10分/148=0.067の治療時間比率を示した。IV治療群についてのこの低い比率値は、従って、スフェンタニルのIV注入によって生じた高いピークの尺度であり、この調合物は有意なプラトー相を生じさせないことを示す。表1にリストされたスフェンタニル調合物(ヒト実験で用いた用量)−対−IVスフェンタニルについて10倍高い治療時間比率があり、これは、これらのNanoTab(登録商標)調合物についての延長された治療プラトープロフィールを示す。
【0135】
動物実験
覚醒した意識がはっきりしているビーグル犬における一連の実験を行って、種々の薬物およびNanoTab(登録商標)調合物を用いてNanoTabs(登録商標)の特性をより十分に解明した。液体舌下投与ならびに嚥下されたNanoTabs(登録商標)に対する本発明のNanoTabs(登録商標)を用いる経口経粘膜薬物送達の比較を行って、NanoTab(登録商標)の種々の属性を評価した。結果は、本発明の小さな生体接着性NanoTabs(登録商標)が(覚醒犬での使用によって示されるように)舌下的によく許容され、注入された液体を含めた他の経口経粘膜投与形態よりも高い生物学的利用能およびより一貫した薬物動態データをもたらすという我々の主張を裏付ける。
【0136】
第1のビーグル犬実験を行って、舌下5mcgスフェンタニルNanoTab(登録商標)を後の実施例2でより十分に記載するようにIVスフェンタニルと比較した。3匹のビーグル犬の合計を調べ、結果を図3においてグラフ化し、表3において表を作成する。舌下スフェンタニルNanoTab(登録商標)の生物学的利用能はIVと比較して75%であった。従って、ヒトデータと同様に、犬におけるこの生物学的利用能データは、より大きな投与形態よりも優れたNanoTab(登録商標)の属性を確認する。さらに、ヒトデータと同様に、AUCについての変動係数は、他の商業的経粘膜投与形態の変動と比較して14%と低かった。舌下スフェンタニルNanoTabs(登録商標)の治療時間比率は0.28であり、他方、(139分の犬におけるスフェンタニルの公表されたIV排出半減期を用いて)IVスフェンタニルについての比率は0.05である。従って、ヒトと同様に、表1における5mcg NanoTab(登録商標)調合物の結果、犬におけるIVスフェンタニルと比較してかなり高い治療時間比率(5.6倍)がもたらされた。
【0137】
さらなる実験は、薬物動態プロフィールに対するNanoTab(登録商標)の調合物を変化させる効果を決定した。この実験は実施例3においてより十分に説明される。NanoTab(登録商標)の侵食時間を延長することによって、血漿半減期は(実施例2における)中程度に崩壊性のNanoTab(登録商標)についての33分から205分まで延長された。治療時間比率は0.28からゆっくりと崩壊するNanoTab(登録商標)についての1.13まで増加した。この実験は、薬物のPKを変化させる、賦形剤選択に基づくNanoTab(登録商標)の可撓性を説明する。この可撓性は、薬物をGI管へ時期尚早に洗浄する過剰の唾液を除去または生じさせることなく舌下粘膜との短いまたは延長された接触時間を可能にするNanoTab(登録商標)の小さなサイズのため可能である。
【0138】
ビーグル犬における別の実験を行って、液体投与よりも優れた舌下NanoTab(登録商標)投与形態の利点を舌下評価した。この実験は後の実施例4により十分に記載される。結果は、注入された液体投与形態中のスフェンタニル(5mcg)の舌下腔への送達の結果、迅速なTmaxを生じるが、薬物投与のこの方法の結果、舌下スフェンタニルNanoTab(登録商標)(75%)と比較して非常に低い生物学的利用能をもたらす(40%)。これは、恐らくは、液体薬物の嚥下によるものである。さらに、高い変動係数(82%)によって示されるように、AUCは極端に可変である。Cmaxもまた、薬物投与のこの方法に従ってかなり可変であり、72%の変動係数を示す。舌下的に注入された液体スフェンタニルについての治療時間比率は、0.03の比率を示したこの実験についてのIVスフェンタニル治療群と非常に似て、0.06と計算された。従って、この注入された舌下液体プロフィールは、舌下NanoTabs(登録商標)で観察された有利な治療プラトーを供しない。これらの知見は、本出願において主張された生体接着性調合物から観察された高い舌下生物学的利用能(NanoTabs(登録商標))が分子に固有のものではなく、むしろ、それは投与形態およびその調合物の固有の設計の直接的結果であることを裏付ける。舌下腔におけるNanoTabs(登録商標)の強力な接着は、液体調合物の場合にもあてはまるように、吸収で利用できる表面積の変動を最小化し、かくして、分子の全身循環への送達を改良する。加えて、その固有の設計および小さな寸法のため、NanoTab(登録商標)は有意な唾液生産を誘導せず、かくして、放出された薬物の摂取についての能力を低減させる。双方の因子は、舌下腔からのより高くより均一な薬物吸収に寄与する。
【0139】
実施例4におけるこの実験のさらなる部は、嚥下されたスフェンタニルNanoTabs(登録商標)の生物学的利用能の決定であった。文献においてはスフェンタニルGI生物学的利用能についてデータはほとんどまたは全くないので、この投与経路の低い生物学的利用能をさらに評価して、NanoTabs(登録商標)の舌下使用からの薬物は嚥下されず、高い生物学的利用能を維持するという観察をさらに裏付けるのは重要であった。表7におけるPK分析データによって示されるように、嚥下されたNanoTabs(登録商標)からのスフェンタニルの経口生物学的利用能は非常に低く、ほぼ12%である。加えて、フェンタニル同族体の既知の異常なGI摂取から予測されるように、嚥下されたNanoTabs(登録商標)は、表7に示すように、吸収された薬物の量(AUC)および吸収の薬物動態(Cmax,Tmax)双方における極端に高い変動を示した。これらのデータは、本発明の生体接着性舌下NanoTabs(登録商標)は、それが除去しないように舌下腔において強力に接着し、かくして、経口摂取を回避し、および薬物がGI経路を介して吸収された場合に典型的である血漿レベルの高い変動を回避する。
【0140】
NanoTabs(登録商標)へ調合物された、フェンタニルおよびアルフェンタニルなどの他の薬物を評価するさらなる実験もビーグル犬で行い、これは以下の実施例5および6においてより十分に記載される。これらの実験は、NanoTab(登録商標)が高い生物学的利用能によって種々の薬物を効果的に舌下送達できるという主張を裏付ける。フェンタニルNanoTabs(登録商標)を、中程度におよびゆっくりと崩壊するNanoTab(登録商標)調合物双方において作成した(表8および9参照)。双方の調合物の結果、現在までに特許されたいずれの他のフェンタニル経口経粘膜調合物よりもかなり高い、高い生物学的利用能をもたらした(各々、95%および90%)。AUCの変動係数は極端に低かった(各々、10.5%および4.5%)。これらのデータは、NanoTab(登録商標)の属性を裏づけ、これらの属性が特定の薬物に制限されないことを示す。より遅く崩壊するフェンタニルNanoTab(登録商標)は、中程度に崩壊するバージョンと比べて、より遅いTmax(50分対22分)およびより長い半減期(154分対121分)を呈した。これらのデータは、さらに、賦形剤選択に基づいてPKを変調するNanoTab(登録商標)の能力を示す。
【0141】
アルフェンタニルNanoTabs(登録商標)の結果、IVアルフェンタニルと比較して94%の生物学的利用能、およびAUCについての5%の変動係数、およびCmaxについての7%およびTmaxについての28%の変動係数をもたらした。治療時間比率は、(犬におけるアルフェンタニルについての104分の公表されたIV排出半減期を用いて計算された)この実験のIVアルフェンタニルについての0.04と比較して、0.33と計算された。従って、(実施例6に記載された)アルフェンタニルNanoTab(登録商標)調合物は、IVアルフェンタニル治療群よりも8倍改良された治療時間比率を生じる。この調合物の高い生物学的利用能は、再度、薬物の最小嚥下がNanoTab(登録商標)の使用に伴って起こるという主張を裏付ける。
【0142】
インビトロNanoTab(登録商標)テスト
生体接着
粘膜接着強度は、吊り下げたプラットフォームの底に錠剤を付着させ、次いで、調合物をブタ頬粘膜基質か脱着させるのに必要な力を決定することによって決定される。精密ロードセル(GS−500 Tranducer techniques,Temecula,CA)およびフックアタッチメントよりなる粘膜接着剤テストシステム。ロードセルはアナログシグナルを発生し、これは、A/D変換器(Model 500 A,Keithley Metrabyte,Taunton,MA)およびIBMコンピュータを備えたデータ獲得システムを通じてデジタルシグナルに変換される。データはEasyLxソフトウェア(Keithley Metrabyte)を用いて分析した。頂部のプラスチックプランジャー(8cm)を付着させたスライドガラス、および底の平坦な表面を持つ円形−スチール突出(0.5cm)よりなる吊り下げたプラットフォームをロードセルに付着させる。平坦−表面錠剤ダイはより低い静的−プラットフォームとして働く。粘膜をスクリュー−クランプを用いて下部プラットフォームに設置する。接着の力を決定するために、その変数の最適レベルを引き続いての評価において一定に保つ。各測定の間に、粘膜表面を4mLの精製水で濯ぐ。過剰の水を柔らかいティッシュペーパーで拭い、粘膜を既知容量のpH6.8のリン酸緩衝液で湿らす。フィルムを備えた吊り下げたプラットフォームを下ろし、既知の適用された力によって粘膜の表面に必要な時間の間置く。脱着力を測定し、N/cm2に変換する。実験は室温(23〜25℃)において三連で行う。接着およびピーク脱着力を用いて、種々の本発明の調合物を含む投与形態の生体接着強さを評価した。
【0143】
薬物溶解動態
薬物溶解動態は、非常に少量の活性薬物を含有する投与形態などの所与の投与形態について適切に修飾されたタイプI、IIおよび/またはタイプIVなどの標準USP溶解装置によって決定する。投与形態からの薬物放出は、UV分光測定、HPLCまたはLC/MSなどの標準分析方法の1つを用いて監視することができる。溶解媒体は、6.5〜7.8の間のpH範囲におけるリン酸塩、トリスその他などの生理学的緩衝液と定義される。本発明の投与形態は、30秒〜1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間以上の溶解時間を有するように製造することができる。
【0144】
投与形態侵食動態
投与形態侵食は、目視調査により舌下NanoTab(登録商標)の経時的消失を観察することによって監視することができる。完全な投与形態侵食は、患者および薬物投与の環境、ならびに固有の錠剤賦形剤に依存して、約30秒〜1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、または長くて8時間以上内での目視調査によって明らかであろう。本発明の経口経粘膜調合物の組成を調整して、一定範囲の用量および一定範囲の侵食時間の双方を供して、特定の臨床的状況に適合させることができる。
【0145】
医薬上活性な成分
本発明は、経口経粘膜経路によって送達することができ、かつNanoTabs(登録商標)の小さなサイズに適した量のいずれかの薬物を含む調合物の経口経粘膜送達用の小容量投与形態またはNanoTab(登録商標)を提供する。本発明のNanoTabs(登録商標)の使用の1つの例は、疼痛緩和への適用に関するものである。本発明のNanoTabs(登録商標)を疼痛の治療で用いる場合、それらは、急性または突出痛の治療のための、オピオイドまたはオピオイドアゴニストなどの薬物を含むであろう。オピオイドは強力な鎮痛剤であって、これを利用して、世界中の中程度〜ひどい強度の急性および慢性双方の疼痛を治療する。しかしながら、適切に用いなければ、それらは重篤な呼吸器系抑制効果も有する場合があり、また高い乱用の可能性に悩んでいる。1998年に、合計36,848のオピエート暴露(純粋な、混合された製剤)が合衆国毒物管理センターに報告されており、そのうち1227(3.3%)は主な毒性をもたらし、161(0.4%)の結果死亡している。純粋なオピオイド過剰用量からの罹患率および死亡率の圧倒的原因は呼吸器系合併症を介している。
【0146】
オピオイドは疼痛の治療のために依然として広く用いられており、一般には、静脈内、経口、硬膜外、経皮、直腸および筋肉内送達される。モルヒネおよびそのアナログは普通に静脈内送達され、重篤な、慢性および急性痛に対して効果的である。
【0147】
オピオイドはミューオピオイド受容体を介してそれらの作用を発揮し、該受容体は脊髄、脳管、中脳および感覚および疼痛処理に関連する基質領域においてシナプス前およびシナプス後双方の末梢神経終末に位置する。
【0148】
そのような調合物中の活性剤はスフェンタニル、あるいはアルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、またはミルフェンタニルなどのスフェンタニル同族体を含むことができる。1つの好ましい実施形態はスフェンタニルを活性剤として利用する。別の好ましい実施形態はスフェンタニル同族体を活性剤として利用する。なお別の好ましい実施形態は、スフェンタニルおよび無痛覚症の治療用の少なくとも1つのさらなる剤の組合せを活性剤として利用する。活性剤はいずれかのオピオイド、あるいはモルヒネまたはその誘導体などのオピオイドアゴニストも含むことができる。
【0149】
本発明の投与形態は少なくとも0.001重量%の医薬有効成分を含むことができる。医薬上活性な薬物は、典型的には、約0.25μg〜99.9mg、約1μg〜50mgまたは約1μg〜10mgの治療上有効な量で存在する。
【0150】
好ましくは、投与形態は少なくとも約0.005%から、99.9重量%ほどの、例えば、約0.25μg〜99.9mg、約1μg〜50mgまたは約1μg〜10mgmのスフェンタニル;アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、またはミルフェンタニルなどのスフェンタニル同族体を含む。
【0151】
別の実施形態において、本発明の調合物は、スフェンタニルなどの2以上のオピオイドアナログ+スフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニルまたはミルフェンタニルなどの組合せを含む。種々のオピオイド薬物は異なる薬物動態プロフィール、およびミューオピオイド受容体スプライス変種とも異なる相互作用を有し、従って、組合せて用いて、治療効果を増強させることができる。
【0152】
別の実施形態において、本発明の薬物投与形態は少なくとも1つのオピオイド薬物および1以上の他の薬物を含むことができ、他の薬物はオピオイドまたは非−オピオイド薬物であってよい。非−オピオイド薬物を加えて、鎮痛効果を増加させ、あるいは乱用を阻止するのを助け、またはオピオイド−誘導副作用を回避することができる。
【0153】
いくつかの実施形態において、本発明の経口投与調合物はナロキソンなどのオピオイドアゴニストを含む。そのような実施形態において、注射されたとしたときの調合物のオピオイド成分の活性を阻害するのに適切な濃度でナロキソンが提供される。
【0154】
本発明は、オピオイドナイーブ患者およびオピオイド耐性患者双方の治療で有用性が見出される。
【0155】
用語「オピオイドナイーブ患者」は、本明細書中においては、数週間〜数ヶ月の期間に渡ってオピオイド物質の反復した投与を受けていない患者に関連して用いられる。
【0156】
用語「オピオイド耐性患者」は、本明細書中で用いるように、慢性投与でのオピオイド物質の効果の減少によって特徴付けられる生理学的状態(例えば、無痛覚症、嘔吐または鎮静)を意味する。オピオイド物質は、オピウムまたはその誘導体を含有するものと同様な鎮痛、鎮静および/または麻薬効果を有する薬物、ホルモン、または他の化学物質である。鎮痛耐性が発生すると、オピオイド物質の用量を増加させて、同一レベルの無痛覚症をもたらす。この耐性は副作用まで拡大することができず、副作用は、用量が増大するにつれてよく許容できない。
【0157】
いくつかの実施形態において、本発明の投与形態は少なくとも0.001重量%の有効成分、例えば、スフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、ミルフェンタニルを含むことができる。好ましくは、投与形態は少なくとも約0.005%〜99.9重量%ほどのスフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニルまたはミルフェンタニルを含む。有効成分の百分率は、口腔粘膜経路を介して最大送達を得るように最適化された、投与形態のサイズ、および有効成分の性質に依存して変化するであろう。本発明のいくつかの態様において、1を超える成分を単一投与形態中に含めることができる。
【0158】
種々の実施形態において、本発明の調合物は、一般に、オピオイド耐性またはナイーブであって、非−ヒト哺乳動物である全ての年齢の子、成体を含めた全てのタイプの患者において適切な疼痛緩和を提供する。本発明は、院内および院外状況双方で利用性が見出される。
【0159】
スフェンタニルの臨床的使用は、手術室または集中治療室におけるIV投与に圧倒的に制限されてきた。低−用量鼻腔内投与のための液状スフェンタニル製剤の使用についての数個の研究(Helmersら、1989;Jackson K,ら、J Pain Symptom Management 2002:23(6):450−452)、および液状スフェンタニル製剤の舌下送達の症例報告(Gardner−Nix J.,J Pain Symptom Management.2001 Aug;22(2)627−30;Kunz KM,Theisen JA,Schroeder ME,Journal of Pain and Symptom Management,8:189−190,1993)があった。これらの研究のほとんどにおいて、成体におけるスフェンタニルの最小用量はオピオイドナイーブ患者において5mcgであった。口腔または鼻腔粘膜に投与された液体はより低い生物学的利用能および、おそらくは、動物実験(舌下液状)ならびに文献(液状点鼻剤−Helmersら、1989)によって示されるようなより短い作用の持続に悩んでいる。Gardner−Nixは液状舌下スフェンタニルによって生じた鎮痛データ(薬物動態データではない)のみを記載しており、6分以内に起こる液状舌下スフェンタニルの鎮痛開始を記載しているが、疼痛緩和の持続はほぼ30分継続したに過ぎなかった。本特許出願に先立っては、いずれかの投与形態の舌下スフェンタニルの使用に関する薬物動態データは全く公表されていない。
【0160】
オピオイドは長期間使用での身体的依存症、可能な嗜癖挙動および耐性を生じさせることが知られている。オピオイドに暴露された細胞はミューオピオイド受容体内部化(迅速なエンドサイトーシス)を示すことができる。臨床的に用いられる一連のオピオイドのインビトロミュー−オピオイド受容体エンドサイトーシスは、ヒト胚腎臓(HEK)293細胞において単独で、およびモルヒネと組合せて評価した(Kochら、Mol Pharmacol.67(1):12−4,2005)。結果は、オピオイド薬物のエンドサイトーシス能力が、HEK293細胞において受容体脱感作およびオピオイド耐性を引き起こすそれらの能力には否定的に関連し、高いエンドサイトーシス効率を持つオピオイドが低減したオピオイド耐性を引き起こすであろうことを示した。Kochら、2005に示された結果は、スフェンタニルは高いエンドサイトーシス効果を持つオピオイドであり、従って、テストした関連オピオイドアナログをあまり引き起こさないようである。
【0161】
スフェンタニル(N−[(4−)メトキシメチル−1−(2−(2−チエニル)エチル)−4−ピペリジニル)]−N−フェニルプロパナミド)は、労働および送達の間における硬膜外投与のために、一次麻酔剤として用いて、心臓外科においてバランスの取れた一般的麻酔を生じ、これは、鼻腔内および液状経口調合物双方において実験的に投与されている。IV送達で用いるスフェンタニルの商業的形態はSUFENTA FORTE(登録商標)調合物Actiq(登録商標)である。この液状調合物は、水中に(0.05mgのスフェンタニル主薬と同等な)0.075mg/mlクエン酸スフェンタニル、および9.0mg/ml塩化ナトリウムを含有する。それは148分の血漿排除半減期を有し、投与された用量の80%は24時間以内に排泄される。
【0162】
フェンタニルN−(1−フェネチル−4−ピペリジル)−N−フェニル−プロパンアミド)は、最初、1950年代の後期にベルギーで合成され、モルヒネのそれの約80倍の鎮痛能力を有する。フェンタニルおよびその同族体は、元来無感覚症剤として開発されたミューオピエートアゴニストであり、しばしば、無感覚症の迅速な開始のため静脈内投与される。静脈内投与に続いて、フェンタニルの鎮痛作用はより迅速であり、モルヒネおよびメペリジンのそれよりもあまり延長されない。舐剤(例えば、Actiq(登録商標)による経頬投与に続いて、舐剤の消費は通常30分間に完了し、生物学的利用能が50%であるが、200mcg Actiq用量のTmaxは20〜120分の範囲であり、薬物の75%の嚥下のため不安定なGI摂取を呈するActiq(登録商標)添付文書)。ActiqのTmaxについてのより最近の発表はこれらの元来の時間はより迅速な開始に向けて非対称であることを示す(Fentoraの添付文書は240分まで延長されるActiqについてのTmaxの範囲を示す)。Fentoraは、薬物の50%の嚥下による、65%生物学的利用能を伴うわずかに改良されたPKプロフィールを有する。従って、この処理の1つの主な不利点は、相当量の舐剤投与フェンタニルが患者によって嚥下されることである。フェンタニルおよび他のオピエートアゴニストは、呼吸器系抑うつ、嘔吐、吐き気および便秘を含めた有害な副作用の可能性を有する。フェンタニルはGI経路からの30%生物学的利用能を有するので、この嚥下された薬物はCmax血漿レベルにかなりの程度寄与でき、その結果、これらの製品で観察された不安定なCmaxおよびTmaxをもたらす。
【0163】
スフェンタニルおよびフェンタニルは優れたミュー−オピオイド受容体アゴニストとして多くの同様性を有するが、それらは多くの鍵となる様式が異なることが示されている。多数の研究はスフェンタニルがフェンタニルよりも7〜24倍優れた範囲にあることを示している(SUFENTA(登録商標)添付文書;Paix A,ら、Pain,63:263−69,1995;Reynolds L,ら、Pain,110:182−188,2004)。従って、スフェンタニルはより小さな投与形態を用いて投与することができ、より大きな投与形態の増大した唾液応答を回避し、それにより、より大きな投与形態に関連する、薬物の嚥下、および最小かつ可変GI摂取を最小化する。
【0164】
加えて、スフェンタニルの脂質溶解度(オクタノール−水分配係数)(1778:1)はフェンタニル(816:1)よりも大きい。スフェンタニルは、フェンタニル(80〜85%)と比較して増大した蛋白質結合(91〜93%)も呈する(各々、(SUFENTA(登録商標)およびActiq(登録商標))添付文書)。スフェンタニルは8.01のpKaを有し、他方、フェンタニルのpKaは8.43である(Paradisら、Therapeutic Drug Monitoring,24:768−74,2002)。これらの差は種々の薬物動態パラメータに影響し得、例えば、スフェンタニルはフェンタニルよりも速い作用の開始および早い回復時間を有することが示されている(Sanfordら、Anesthesia and Analgesia,65:259−66,1986)。これは、本発明におけるように、反復投与が利用できる場合の急性痛の治療で有意である。スフェンタニルの使用の結果、効果を滴定し、過剰用量を回避する能力を伴うより迅速な疼痛の緩和をもたらすことができる。
【0165】
重要なことは、スフェンタニルはフェンタニルよりも80,000倍優れてミュー−オピオイド受容体のエンドサイトーシスを生じることが示されている(Kochら、Molecular Pharmacology,67:280−87,2005)。この受容体内部化の結果は、ニューロンがフェンタニルよりも経時的により頑強にスフェンタニルに継続して応答することであり、これは、臨床的により小さな耐性が、反復投与でのフェンタニルと比較してスフェンタニルに対して発生するであろうことを示唆する。
【0166】
スフェンタニルは、前記したように、経口液体(Gardner−Nix J.,2001;Kunzら、1993)の形態で、かつ点鼻剤(Helmersら、1989)、および鼻スプレー(Jacksonら、2002)として成人で実験的に用いられてきた。いずれかの投与形態の舌下スフェンタニルについて薬物動態データは公表されていない。
【0167】
スフェンタニルおよびフェンタニルの同族体は、本発明の組成物および方法において用途を見出し、その例はレミフェンタニルおよびアルフェンタニルを含む。
【0168】
レミフェンタニルはフェンタニルまたはスフェンタニルよりもかなり迅速に代謝するが、持続−放出調合物を介して投与する場合に急性痛の治療に適する場合がある優れたフェンタニルの同族体である。本発明のNanoTab(登録商標)は、典型的には、約0.25mcg〜99.9mgのレミフェンタニルを含む。レミフェンタニル調合物についての用量範囲は、例えば、成人および小児患者双方について、20分間の時間にわたっての0.1mcg/kg〜50mcg/kgを含むことができる。これらの用量は適切な時間間隔で反復することができ、これはフェンタニルまたはスフェンタニルについての時間間隔よりも短い場合がある。
【0169】
アルフェンタニルもまた、迅速に代謝するが、持続−放出調合物で用いるのに適する場合がある優れたフェンタニルの同族体である。本発明のNanoTab(登録商標)は典型的には、約10mcg〜約10mgのアルフェンタニルを含む。アルフェンタニルの適切な用量は、例えば、成人および小児患者の双方について、20分間にわたる1mcg/kg〜2000mcg/kgの範囲であってよい。これらの用量は適切な時間間隔で反復することができ、これはフェンタニルまたはスフェンタニルについての時間間隔よりも短い場合がある。
【0170】
慢性痛疾患を罹った患者は、それらの疼痛の間欠的亢進も有しかねず、それらのベースライン慢性痛についての遅い−開始時間−放出オピオイドのそれらの使用に加えて、速−作用性突出オピオイドの急性使用を必要とする。
【0171】
突出痛または処置による疼痛は短くて1もしくは2分、または長くて30分以上の短い期間強い可能性があり、従って、より一貫し、かつ予測可能な効果の期間を伴うより迅速で臨床的に有効な血漿レベルを生じるが、短い持続の疼痛事象については過剰のオピオイド用量を避けるためには限定された半減期も有するオピオイド調合物を提供するにおいてかなりの利点があるであろう。
【0172】
オピオイドは依然として鎮痛剤の最も強力な形態であるが、最小の副作用を有し、患者の使用が医師によって容易に追跡することができる方法で供することができる改良された形態が必要とされる。
【0173】
現在の治療方法を用い、疼痛の制御は、一般には:患者−制御無感覚症(PCA)、継続的硬膜外注入(CEI)、および他の種の急性痛制御、緩和看護痛制御、および家庭健康の患者痛制御を含む多数の介入を用いて試みられる。これらの方法は、制御の持続、治療の容易性、および安全性−対−副作用に関する種々の程度の成功に合致する。
【0174】
急性痛の迅速な治療に対する要求は、手術後回復、慢性関節リウマチ、痛んだ背中、末期癌などを含めた多くの異なる臨床的状況で起こる。手術後には、例えば、患者は最初の数日間の重度の疼痛、続いての数日間の温和〜中程度レベルの疼痛に悩む。
【0175】
中程度〜重度の術後痛を治療するのに用いる最も一般的な鎮痛剤はIVモルヒネである。これはIV注射によって看護師より患者に「必要に応じて」送達されるか、あるいは一般には、モルヒネシリンジがPCAポンプ中に入れられ、患者はロック−アウト特徴を有するボタンを押すことによってオピオイドを自己−投与する。ヒドロモルフォンおよびフェンタニルなどの他のオピオイドもこのようにして用いることができる。
【0176】
急性痛の治療もまた、院外状況にある患者で必要である。例えば、多くの患者は慢性痛を罹っており、自己の疼痛を治療するために毎週または毎日のベースでのオピオイドの使用を必要とする。彼らは自己の慢性の根底にある疼痛レベルを治療するのに長時間作用する経口または経皮オピオイド製剤を有することができるが、彼らは、しばしば、自己の高度の突出痛レベルを治療するのに短時間作用性の強力なオピオイドを必要とする。
【0177】
急性痛の治療もまた、高度に次善の条件下で「現場で」必要である。救命救急または軍隊医師は、しばしば、非滅菌状況で重篤な急性痛を治療することが求められ、そこでは、IVまたはIM投与で用いる針の結果、意図せず針が刺さり、感染の危険性をもたらしかねない。経口オピオイド錠剤は、しばしば、重篤な疼痛では幾人かにはあまりにも長い緩和を供するのに60分を要する。
【0178】
多数の臨床的状況においては、滴定可能な様式で効果的な鎮痛をもたらし、安全かつ便利に用いることができ、適当な時間にわたって重篤な突出痛または間欠痛に対して鎮痛を供する調合物に対する要望が明確に存在する。
【0179】
本発明の薬物送達投与形態または調合物は、経口経粘膜送達用の投与形態当たり約0.25〜約200mcgのスフェンタニルを含有する。本発明の1つの例示的実施形態において、各投与形態は、単独で、あるいは1以上の他の治療剤または薬物と組合せて、約0.25〜約200mcgのスフェンタニルを含有する。
【0180】
当業者によって理解されるように、該用量は、特に、長期間オピオイド−耐性成人に投与する場合、体重に依存して、子供にとって該範囲の低い端にあり、成人にとって該範囲の高い端にある。スフェンタニルの小容量経口経粘膜薬物送達投与形態はこれまでに記載されていない。
【0181】
子供(小児患者)への投与のための本発明の例示的調合物は、投与形態当たり約0.25〜約120mcgのスフェンタニルを含有する。例えば、子供への投与のための本発明の調合物は、経口経粘膜送達用に約0.25、0.5、1、2.5、4、5、6、8、10、15、20、40、60または120mcgのスフェンタニルを含有することができる。これは、小児患者については、例示的用量範囲は少なくとも約0.02mcg/kg〜約0.5mcg/kgであり、好ましい範囲は約0.05〜約0.3mcg/kgである。
【0182】
成人への投与のための本発明の例示的調合物は、投与形態当たり約2.5〜約200mcgのスフェンタニルを含有する。例えば、成人への投与のための本発明の調合物は、経口経粘膜送達のために約2.5、3、5、7.5、10、15、20、40、60、80、100、120、140、180または200mcg以上のスフェンタニルを含有することができる。
【0183】
本発明のなお別の例において、各投与形態は、単独で、あるいは1以上の他の治療剤または薬物と組合せて、約2〜約1500mcgのフェンタニルを含有する。当業者に理解されるように、該用量は、特に、長期間オピオイド−耐性成人に投与した場合に、体重に依存して、子供にとって該範囲の低い端にあり、成人にとって該範囲の高い端にある。
【0184】
子供(小児患者)への投与のための本発明の例示的投与形態は、投与形態当たり約2〜約900mcgのフェンタニルを含有する。例えば、子供への投与のための本発明の投与形態は、経口経粘膜送達用に約2、3.75、7.5、18.75、30、37.5、45、60、75、112.5、150、300、450または900mcgのフェンタニルを含有することができる。
【0185】
成人への投与のための本発明の例示的投与形態は、投与形態当たり、約18.75〜約1500mcgのフェンタニルを含有する。例えば、成人への投与のための本発明の投与形態は、経口経粘膜送達のために、約18.75、22.5、37.5、56、75、112.5、150、300、450、600、750、900、1050、1350または1500mcg以上のフェンタニルを含有することができる。
【0186】
1つの例示的実施形態において、疼痛の治療で用いる投与形態は約0.25〜約200mcgのスフェンタニル、約0.5〜約120mcgのスフェンタニル、約2.5〜約40mcgのスフェンタニル、約2.5〜約15.0mcgのスフェンタニル、約2.0〜約1500mcgのフェンタニル、約20〜約1200mcgのフェンタニル、または約100〜約900mcgのフェンタニルを含むことができる。
【0187】
本発明の投与形態は、経口経粘膜送達用に投与形態当たり約10〜約10000mcgのアルフェンタニルを含有する。当業者によって理解されるように、該用量は、特に、長期間オピオイド−耐性成人に投与する場合、体重に依存して、子供にとって該範囲の低い端にあり、成人にとって該範囲の高い端にある。
【0188】
子供(小児患者)への投与のための本発明の例示的投与形態は、投与形態当たり、約10〜約6300mcgのアルフェンタニルを含有する。例えば、子供への投与のための本発明の投与形態は、経口経粘膜送達のために約10、25、50、130、210、280、310、420、600、780、1050、2100、3000または6300mcgのアルフェンタニルを含有することができる。
【0189】
成人への投与のための本発明の例示的投与形態は、投与形態当たり約70〜約10000mcgのアルフェンタニルを含有する。例えば、成人への投与のための本発明の投与形態は、経口経粘膜送達のために約70、140、160、210、280、310、420、600、780、1050、2100、3000、6300または10000mcg以上のアルフェンタニルを含有することができる。
【0190】
異なる例示的実施形態において、疼痛の治療で用いる投与形態は、約2〜約1500mcgのフェンタニルと組合せた約0.25〜約200mcgのスフェンタニル、または1以上のさらなる薬物と組み合わせた約0.25〜約200mcgのスフェンタニル、または約2〜約1500mcgのフェンタニルを含むことができる。
【0191】
本発明の単一用量のスフェンタニル、アルフェンタニル−、またはフェンタニル−含有投与形態のヒト対象への送達に続き、スフェンタニル、アルフェンタニルまたはフェンタニルの血漿レベルは、投与から0および60分の間、5および50分の間または10および40分の間の後に最大レベルに到達することができる。
経口経粘膜投与形態の送達のための方法
NanoTab(登録商標)送達用の装置は、種々の機械的または電気機械的方法を用いて、NanoTab(登録商標)を口腔または舌下空間へ排出することができる。例えば、NanoTab(登録商標)はバネ、圧縮空気、または一旦活性化された他のメカニズムによって強制的に排出することができる。
経口経粘膜投与形態の作成方法
NanoTab(登録商標)などの経口経粘膜送達用の薬物−含有投与形態を作成する方法もまた本発明によって提供される。例として、該方法は薬物および1以上のバイオアドヘシン、結合剤、ヒドロゲル形成性賦形剤、増量剤、滑沢剤またはグライダント、および溶解時間に影響する因子を秤量し、恐らくは粉末を粉砕し、乾燥粉末を混合し、および直接的な圧縮を介して錠剤化する工程を含む。
【0192】
別法として、湿潤造粒プロセスを用いてよい。(高剪断造粒プロセスなどの)そのような方法は、ミキサー中で有効成分および、恐らくは、いくつかの賦形剤を混合することを含む。結合剤は、乾燥ミックス状態で加えられた、あるいは造粒で用いる流体に溶解された賦形剤の1つであってよい。造粒溶液または懸濁液をミキサー中の乾燥粉末に加え、所望の特徴が達成するまで混合する。これにより、通常、適切な硬度、溶解、内容物均一性、および他の物理的特徴を有する投与形態を製造するための適切な特徴のものである顆粒を生じる。湿潤造粒工程の後に、生成物は最もしばしばは乾燥し、および/または乾燥後に粉砕して、所望のサイズ範囲内の主な百分率の生成物を得る。時々、生成物は振動グラニュレータ、またはミルなどの装置を用いて湿潤サイズ分けした後に乾燥される。次いで、乾燥造粒を行って、まず、篩装置でスクリーニングし、次いで、過剰サイズの粒子を粉砕することによって許容されるサイズ範囲を得る。いくつかの例において、適切なグライダントを加えて、顆粒の流動特性を改良する;適切なグライダントはシリカ(SILOIDおよびSILOXシリケート−Grace Davison Productsの商標、Aerosil−Degussa Pharmaの商標など)を含む。
【0193】
加えて、調合物は、スプレー流動床造粒、押し出しおよび球形化または流動床ローター造粒などの全て当業者に知られた代替造粒プロセスによって製造することができる。
【0194】
調合物は、当業者によって日常的に使用される手法を用いて対象への送達用に投与形態に変換されるであろうと理解される。投与形態の調製用のプロセスを最適化して、高用量含有量均一性を達成し、これは、一般に0.01〜10%w/wの質量比率で存在する優れた化合物にとって特に重要である。
【0195】
直接的圧縮、湿潤造粒等などの、本発明で用いられる投与形態の多くの作成方法は当該分野で公知であって、本発明を実施するのに使用することができる。
【0196】
本発明のNanoTab(登録商標)投与形態は、投与形態の外部表面に被膜を有しても有さなくてもよい。
【0197】
本発明の小容量経口経粘膜投与形態の利用性
本発明の投与形態は、経口経粘膜経路によって投与することができるいずれの薬物の送達においても利用性を見出す。本発明の経口経粘膜投与形態またはNanoTab(登録商標)の小容量は、それが高い生物学的利用能、Tmaxの低い変動性、Cmaxの低い変動性、およびAUCの低い変動性を提供することにある。また、本発明のNanoTabs(登録商標)は制御された溶解、溶解度および安定性も供し、その結果、経時的な薬物の制御された放出がもたらされ、その結果、治療ウインドウ内の持続された血漿レベルが得られる。
【0198】
本明細書中で詳細に記載された1つの例示的実施形態において、本発明の投与形態は、種々の同定可能または同定不能病因のいずれかに関連し得る疼痛に罹っている対象を治療する際に利用性を見出す。この実施形態において、本発明の投与形態は疼痛の抑制または緩和に利用性を見出す。用語、疼痛の「治療」または「管理」は、例えば疼痛スコアによって決定されるように、対象をより快適とするような疼痛の逆行、抑制、または緩和を一般的に記載するのに本明細書中で用いる。
【0199】
用語「急性痛」は、本明細書中においては、典型的には1ヶ月未満の間存在する疼痛に関連して用いられるが、いくつかの場合には、3ヶ月も「急性」と考えることができる程長い間存在する疼痛に関連して用いられる。
【0200】
用語「慢性痛」は、本明細書中においては、典型的には1ヵ月よりも長い間存在する疼痛に関連して用いられる。
【0201】
本発明の投与形態は、「現場で」急性痛または他の疾患の治療で、すなわち、高度に次善条件下で特別な利用性を見出す。救命救急または軍隊医師は、しばしば、非−滅菌状況において重篤な急性痛、または他の負傷、または疾患を治療することが要求され、IVまたはIM投与で必要な針の結果、意図せずに針が刺さり、感染の危険性などがもたらされ得る。経口オピオイド錠剤は、しばしば、重篤な疼痛において幾人かではあまりにも長い緩和を供するのに60分を要する。本発明の投与形態は、この要求に取り組むにおいて利用性を見出す。
【0202】
本発明の投与形態は小児適用においてさらなる利用性を見出す。というのは、投与形態の快適かつ確実な性質は小さな子供がこの治療態様を容易に受け入れるのを可能とし、信頼性よく薬物を経粘膜送達するからである。具体的な例は、限定されないが、IVアクセスが可能でなく、または不便な場合の小児急性痛の治療、子供が吸入投与経路を効果的に用いることができない場合の小児喘息の治療、子供が丸剤を嚥下できない、または嚥下しようとしない場合の嘔吐の治療、子供がNPO(経口摂取が許されていない)であるか、あるいはより迅速な開始が必要とされる場合の予備的処置鎮静を含む。
【0203】
本発明の投与形態は動物適用においてさらなる利用性を見出す。具体的な例は、限定されないが、鎮痛、不安/ストレス緩和、予備的処置鎮静などの、IV投与が容易に利用できず、または不便である急性疾患のいずれかの治療を含む。
【0204】
経口経粘膜薬物送達は単純で、非−侵襲性であって、最小の不快感を伴って介護士または患者が投与することができる。一般に、医薬の経口経粘膜送達は、舐剤または錠剤などの固体投与形態を用いて達成されるが、液体、スプレー、ゲル、ガム、粉末、およびフィルムなどを用いることもできる。
【0205】
多くの親油性オピオイドなどのGI管を介しての貧弱な生物学的利用能によるものなどのある種の薬物では、経口経粘膜送達はGI送達よりも良好な送達経路を提供することができる。親油性オピオイドなどの薬物では、経口経粘膜送達は、GI送達よりも短い開始時間(すなわち、投与から治療効果までの時間)を有し、優意に改良された生物学的利用能を提供する。
【0206】
以下の実施例は本発明を説明するために提供し、前記した、または特許請求の範囲に記載された発明のいずれかの態様を限定することを意図していない。
【実施例】
【0207】
インビボ薬物動態
前記したNanoTabs(登録商標)についての投与形態は、舌下投与後にヒトおよび適当な動物の両モデルにおいてインビボ薬物動態についてテストすることができる。以下の実施例は、ヒトボランティアおよび覚醒した意識がはっきりとしたビーグル犬モデルにおいて、舌下投与後にするクエン酸スフェンタニルの一貫した吸収プロフィールを可能にするNanoTab(登録商標)投与形態の能力を示す。
【0208】
実施例1 成人ヒトボランティアにおいて舌下投与された舌下スフェンタニルNanoTabs(登録商標)
(表1.ヒト臨床実験で用いるスフェンタニルNano Tab(登録商標))
【0209】
【表1】

ヒト臨床試験は、健康なボランティアを用いて行った。該試験は、5μLの用量、ほぼ5.5mgの質量を有するように製造され、かつ直径がほぼ3mmおよび厚みが0.8mmの寸法を持つ全ての用量強度のための均一なサイズを有すると決定されたスフェンタニルNanoTabs(登録商標)(表1に示された調合物#46−#48)を用いて12人の対象(6人の男性および6人の女性)で行った。NanoTabs(登録商標)は、各々、3.7μg、7.5μgまたは15μgのクエン酸スフェンタニルに対応する2.5μg、5μgまたは10μgいずれかのスフェンタニル主薬を含有した。全ての賦形剤は不活性であって、GRAS(「一般に安全と認識される」)状態を有する。スフェンタニルNanoTabs(登録商標)を舌下使用についてテストした。試験スタッフは、個々のNanoTabs(登録商標)を平滑−先端ピンセットを用いて小帯の基部に直接置くことによって、それを対象に投与した。
【0210】
NanoTab(登録商標)の属性
生体接着
生体接着は、スフェンタニル成分を含まないスフェンタニル臨床試験調合物(#46−#48)について先に記載したように測定した。NanoTabs(登録商標)の変位に必要な生体接着力は0.046±0.01N/cmと測定された。
【0211】
溶解のインビトロ評価
NanoTab(登録商標)調合物#46、#47および#48からのクエン酸スフェンタニル溶解は、前記したように、タイプIIのインビトロ溶解システムで評価し、以下の図1に示す。
【0212】
生物学的利用能の計算では、5μgの静脈内スフェンタニルを0.9%塩水中に20mLの合計用量まで希釈し、10分間にわたる連続的注入としてIVカテーテルを通じて投与した。血漿試料を遠隔位置において異なるIVカテーテルから吸い取った。このヒト試験は、より高い〜より低い用量の転移の間の洗い流し期間での交差設計であった。対象をオピオイドアンタゴニストのナルトレキソンで毎日ブロックして、オピオイド−誘導副作用を開始した。
●0日:IVスフェンタニル注入:
○17の試料を集めた:
−5.0(注入の開始前)、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、30、45、60、90、120、160、320、480、および640分
●2日:舌下2.5μgスフェンタニルNanoTab(登録商標)
○17の試料:
−5.0(NanoTab(登録商標)投与前)、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、30、45、60、90、120、160、320、480、および640分
●3日:舌下5.0μgスフェンタニルNanoTab(登録商標)
○17の試料:
−5.0(NanoTab(登録商標)投与前)、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、30、45、60、90、120、160、320、480、および640分
●4日:舌下10.0μgスフェンタニルNanoTabs(登録商標);
○17の試料:
−5.0(NanoTab(登録商標)投与前)、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、30、45、60、90、120、160、320、480、および640分
●7日:10分間隔で4回反復した舌下5.0μgスフェンタニルNanoTabs(登録商標);
○23試料:
−5.0(第1のNanoTab(登録商標)投与前)、5、7.5分
10(第2のNanoTab(登録商標)投与の直前)、15、17.5分
20(第3のNanoTab(登録商標)投与の直前)、25、27.5分
30(第4のNanoTabs(登録商標)投与の直前)、35、40、45,50、55、60、90、120、150、190、350、510および670分。
【0213】
薬物動態サンプリングに必要な血液の合計用量はほぼ455mLであった。
【0214】
血漿試料中のスフェンタニル濃度は、確証されたLC−MS/MSスフェンタニルヒト血漿アッセイを用いて決定した。該アッセイは高い、中程度および低い品質制御試料濃度において良好な日間、精度および正確性を示した。
【0215】
侵食時間
この実験のためのNanoTabs(登録商標)は全ての対象において10〜30分の時間にわたって侵食した。12人の健康なボランティアの舌下腔中に各スフェンタニル舌下NanoTabs(登録商標)を入れた後に、顕著に一貫した薬物動態プロフィールが3つの用量で得られた(図2)。
【0216】
(表2.3つの用量強度(2.5mcg=#46,5mcg=#47,10mcg=#48)を用いるヒト臨床試験におけるIV(5mcg)および舌下スフェンタニルNanoTab(登録商標)投与治療群のPK分析)
【0217】
【表2】

(Cmaxの50%を超える)治療レベルを薬物が達成する相対時間を表し、それは式:TTR=(Cmaxの50%を超えて消費された時間)/(IV最終排出半減期)によって計算される。分母は文献から得られ、スフェンタニルについてはヒトで148分である。
【0218】
実施例2 犬モデルにおける舌下スフェンタニルNanoTabs(登録商標)のインビボ評価
以下の実施例2〜5はビーグル犬モデルを用いるものであり、NanoTab(登録商標)についての調合物は、全て、5.5mgの合計質量を持つNanoTab(登録商標)を用いるものである。前記した5mcgのNanoTabs(登録商標)(犬についての調合物#44、これはヒト調合物#47と同一である)の舌下投与に続いてのスフェンタニルのインビボ薬物動態(PK)は、健康なビーグル犬モデルで評価した。簡単に述べれば、前記した単一の5mcgのNanoTabs(登録商標)を直接的に入れることによって十分に覚醒した健康な犬に舌下腔に舌下投与した。合計3匹の犬を評価した。投与に続いて、舌下腔におけるNanoTab(登録商標)の位置を投与後に5〜15分間隔で視覚により観察した。舌下スフェンタニルPKを、同一用量レベルのIV投与されたスフェンタニルのそれと比較した。
【0219】
全ての犬を血液収集のために橈側皮静脈を介して投与から2時間後までカテーテル処理した。投与後2時間血液収集を介して、全ての犬をエリザベスカラーに適合させて、カテーテルの除去を妨げた。カテーテルは2時間の血液収集後に除去した。4−、8−、および24−時間投与後血液収集は橈側皮静脈または他の適当な静脈から収集した。ほぼ2mlの血液を、以下の時点:投与前、および投与からほぼ1、3、5、10、15、30分、1、2、4、8および24時間後に、EDTAカリウムを含有する予め冷却された管に収集した。試料を、犬血漿中のクエン酸スフェンタニルの決定のために適切に確証されたLC/MS/MS方法で分析した。スフェンタニル血漿中濃度および薬物動態結果を図3および表3に示す。
【0220】
(表3.ビーグル犬における静脈内スフェンタニルと比較したスフェンタニル舌下NanoTabs(登録商標)のPK分析)
【0221】
【表3】

(Cmaxの50%を超える)治療レベルを薬物が達成する相対時間を表し、それは、式:TTR=(Cmaxの50%を超えて消費された時間)/(IV最終排出半減期)によって計算される。分母は文献から得られ、スフェンタニルについてはビーグル犬において139分である。
【0222】
実施例3:薬物放出およびインビボ薬物動態を制御するための例示的なスフェンタニル投与形態
説明目的で、より長い持続のNanoTab(登録商標)投与形態(調合物#58)をクエン酸スフェンタニルで調製して、薬物調合物のより遅い速度、およびより長く作用する投与形態のインビボ薬物動態を評価した。表4に記載されたこのより遅く崩壊するスフェンタニルNanoTab(登録商標)は、直接的圧縮によって調製し、前記したようにテストした。犬における侵食時間の範囲は35〜120分であって、プラセボ調合物の生体接着は前記したように測定し、0.18±0.08N/cmと決定された。
【0223】
試料分析は、犬血漿において、スフェンタニルの分析のために確証されたLC/MS/MS方法を用いて行った。薬物動態分析は、吸収の非−区画モデルを用いて行った。スフェンタニル血漿中濃度は図4においてグラフ化して示す。限定されたPK分析の結果を表5に示す。
【0224】
(表4.遅く崩壊するスフェンタニルNanoTab(登録商標)投与調合物)
【0225】
【表4】

(表5.ビーグル犬における遅く崩壊する舌下スフェンタニルNanoTab(登録商標)についてのPK分析)
【0226】
【表5】

(Cmaxの50%を超える)治療レベルを薬物が達成する相対時間を表し、それは、式:TTR=(Cmaxの50%を超えて消費された時間)/(IV最終排出半減期)によって計算する。分母は文献から得られ、スフェンタニルについてはビーグル犬において139分である。
【0227】
実施例4 犬モデルにおける舌下スフェンタニル溶液およびスフェンタニルNanoTabs(登録商標)の嚥下のインビトロ試験
A.溶液投与形態の舌下投与に続いてのスフェンタニルの生物学的利用能の評価
静脈投与のものと比較した溶液からの舌下投与に続いてのスフェンタニルの生物学的利用能を、表6に示したように、健康な意識があるビーグル犬動物モデルで評価した。試験の双方の実験群において、クエン酸スフェンタニルの商業的に入手可能な調合物(Sufenta(登録商標)50μg/mL)を用い、スフェンタニル主薬の5μgの同一合計用量にて投与した。静脈内投与(群1)は、適当なサイズの滅菌針およびシリンジを介する橈側皮静脈へのボーラス注射によるSufenta(登録商標)50μg/mLの単一投与(n=3)によって行った。舌下投与(群2)については、試験製品は、0.9%w/wのSufenta(登録商標)50μg/mLを5μgのスフェンタニル主薬と同一最終用量まで適切に希釈することによって調製し、2回舌下投与し(合計n=6)、各用量は最小2日の洗い流しによって隔てた。用量は、滅菌シリンジを介して小帯と隣接した舌の下にゆっくりと適用した。血液試料は投与に先立ち、および投与からほぼ1、3、5、10、15、30分、1、2、4、8および24時間後に頸静脈または他の適当な静脈から収集した。ほぼ2mLの血液を時点毎にKEDTAを含有する予め冷却された管に収集した。試料を冷蔵した遠心分離機で3,000×gにてほぼ10分間遠心分離した。血漿を収集し、ほぼ−70℃にて遠心分離から20分内に凍結させ、分析まで同一温度で維持した。犬血漿中でのスフェンタニルの分析のために確証されたLC/MS/MS方法を用いて試料の分析を行った。
【0228】
吸収の非−区画モデルを用いて薬物動態分析を行った。スフェンタニル血漿中濃度を図5においてグラフ化する。PK分析の結果を表7に示す。
【0229】
B.NanoTab(登録商標)の経口摂取に続いてのスフェンタニルの生物学的利用能の評価
静脈内スフェンタニル投与と比較した5mcgスフェンタニルNanoTab(登録商標)(調合物#44、これは前記したヒト試験で用いた#47と同一の調合物である)の摂取後のスフェンタニルの生物学的利用能を、前記実施例に記載したように、健康な意識があるビーグル犬動物モデルで評価した。単一の5mcg NanoTab(登録商標)を2回経口投与し、各用量はn=6の合計にて最小2日の洗い流しによって隔てた(表6)。NanoTabs(登録商標)を喉中でできる限り遠く後へ手動で入れ、水でフラッシングして、動物における嚥下応答を促進した。吸収の非−区画モデルを用いて薬物動態分析を行った。スフェンタニル血漿中濃度を図5においてグラフ化して示す。PK分析の結果を表7に示す。
【0230】
(表6.テスト群の組織化)
【0231】
【表6】

a=遊離主薬として表す
b=同一動物を投与間に最終2日の洗い流し期間を設けて群1〜3で用いる。
c=群2および3の動物には合計n=6で最小2日の洗い流し期間を設けて2回投与した。
d=ノーマル(0.9%)w/w塩水を用いて、テスト製品(Sufenta(登録商標)50μg/mLを所望の濃度まで希釈した。
【0232】
(表7.ビーグル犬における舌下注入スフェンタニル溶液および摂取されたスフェンタニルNanoTab(登録商標)と比較した静脈投与されたスフェンタニルのPK分析)
【0233】
【表7】

(Cmaxの50%を超える)治療レベルを薬物が達成する相対時間を表し、それは式:TTR=(Cmaxの50%を超えて消費された時間)/(IV最終排出半減期)によって計算される。分母は文献から得られ、スフェンタニルについてはビーグル犬において139分である。
【0234】
実施例5 犬モデルにおける舌下スフェンタニルNanoTabs(登録商標)のインビボ評価
他の商業的フェンタニル経口経粘膜製剤に対するNanoTab(登録商標)およびその属性の優位性を示す目的で、フェンタニルNanoTab(登録商標)投与形態をクエン酸フェンタニルで調製して、薬物放出の速度および種々の投与形態のインビボ薬物動態を評価した。表8に記載された、中程度に(調合物#60)および遅く(調合物#60)崩壊するフェンタニルNanoTabs(登録商標)双方を、直接的圧縮によって調製された双方の投与形態で評価した。調合物#60の犬における侵食時間は5〜20分の範囲であり、生体接着をプラセボ調合物について0.056±0.01N/cmで測定した。調合物#62についての犬における侵食時間は35〜65分の範囲であり、プラセボ調合物についての生体接着は0.18±0.08N/cmで測定した。
【0235】
クエン酸フェンタニル(Sublimaze(登録商標)50μg/mL)の商業的に入手可能な調合物を用い、70μgのフェンタニル主薬においてIV投与した。静脈内投与は、適当なサイズの滅菌針およびシリンジを介する橈側皮静脈へのボーラス注射によるSublimaze(登録商標)50μg/mLの単一投与(n=3)によって行った。舌下投与では、ピンセットを介する小帯に隣接する舌の下への設置によって、NanoTabs(登録商標)を舌下投与した(各群においてn=3)。これらのパラメータを表9に示す。フェンタニル血漿中濃度は図6においてグラフ化する。PK分析は、非−区画吸収モデルを用いて行った。PK分析の結果は表10に示す。血液サンプリングおよび保存は先に記載した条件を模倣し;試料の分析は、犬血漿におけるフェンタニルの分析のための確証されたLC/MS/MS方法を用いて行った。
【0236】
(表8.例示的フェンタニルNanoTab(登録商標)投与形態)
【0237】
【表8】

(表9.ビーグル犬におけるフェンタニルNanoTabs(登録商標)についての投与パラメータ)
【0238】
【表9】

遊離主薬として表す。
【0239】
(表10.静脈内フェンタニル投与と比較した、中程度に崩壊する(調合物#60)および遅く崩壊する(調合物#62)フェンタニルNanoTabs(登録商標)のPK分析)
【0240】
【表10】

(Cmaxの50%を超える)治療レベルを薬物が達成する相対時間を表し、それは式:TTR=(Cmaxの50%を超えて消費された時間)/(IV最終排出半減期)によって計算される。分母は文献から得られ、フェンタニルについてはビーグル犬において244分である。
【0241】
実施例6:犬モデルにおける舌下アルフェンタニルHCl NanoTabs(登録商標)のインビボ評価
NanoTabs(登録商標)についての別の薬物使用の説明目的で、さらなるNanoTab(登録商標)投与形態をアルフェンタニルHClで調製して、投与のIV経路のそれと比較してアルフェンタニルのPKを効果的に改良する本出願に記載された投与形態の能力を示した。該調合物の組成、中程度に崩壊するNanoTab(登録商標)は表11に記載される。調合物#63の犬における侵食時間は20分であり、生体接着性はプラセボ調合物について0.056±0.01N/cmで測定した。
【0242】
この試験での投与パラメータを表12に示す。アルフェンタニル血漿中濃度は図7においてグラフ化する。PK分析は、非−区画吸収モデルを用いて行った。PK分析の結果を表13に示す。血液サンプリングおよび保存は先に記載した条件を模倣した;試料の分析は、犬血漿中でのアルフェンタニルの分析のための確証されたLC/MS/MS方法を用いて行った。
【0243】
(表11.例示的アルフェンタニルNanoTab(登録商標)投与形態)
【0244】
【表11】

(表12.ビーグル犬における舌下アルフェンタニルNanoTabs(登録商標)および静脈内アルフェンタニル溶液の投与についての投与パラメータ)
【0245】
【表12】

a=遊離塩基として表す
b=投与の間に最小2日の洗い流し期間を設けて同一動物を群1および2で用いた。
【0246】
(表13.ビーグル犬における静脈内アルフェンタニルと比較したアルフェンタニル舌下NanoTabs(登録商標)のPK分析)
【0247】
【表13】

(Cmaxの50%を超える)治療レベルを薬物が達成する相対時間を表し、それは式:TTR=(Cmaxの50%を超えて消費された時間)/(IV最終排出半減期)によって計算される。分母は文献から得られ、ビーグル犬においては104分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−49730(P2013−49730A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−271432(P2012−271432)
【出願日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【分割の表示】特願2008−549612(P2008−549612)の分割
【原出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【出願人】(508202267)エーセルアールエックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】