説明

小球体含有油中水乳化剤形の皮膚外用剤

【課題】 油中水乳化剤形でありながら、水溶性の有効成分の経皮吸収性も高める技術を提供する。
【解決手段】 1)有機変性粘土鉱物と2)水酸化リン脂質とを、油中水乳化剤形の皮膚外用剤に含有する。前記水酸化レシチンを小球体の形態で水相中に含有することが好ましく、前記小球体は、リポソーム乃至はベシクルであることが好ましく、前記リポソームは内水相に水溶性の有効成分を含有していることが好ましく、前記ベシクルが油溶性の有効成分を含有していることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、化粧料に好適な、リン脂質小球体を含有する油中水乳化剤形の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水乳化物は、連続相に油性成分が存するため、水中油乳化物に比して、閉塞効果による保湿性が高く、且つ、油性有効成分の経皮吸収性に優れる、或いは、油性汚れを化粧料に溶かし込み、除去する作用に優れるなど、種々の好ましい特性を有している。その反面、使用感としては、油ぽっく、重たい欠点を有する。この様な欠点を克服して、油中水乳化物の利点を生かす方法として、高内相の油中水乳化物を作る試みが種々為され、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライトなどの有機変性粘土鉱物を用いた高内相の油中水乳化物製造技術が開発されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。その一方で、今までは明らかではなかった油中水乳化剤形の欠点も明らかになりつつある。即ち、油溶性成分に関しては、経皮吸収が向上するものの、水溶性の有効成分については、油相の内部に水相が存在するため、ローション、水中油乳化剤形に比して、容易には皮膚に吸収されにくい課題が存した。
【0003】
一方、水酸化レシチン(リゾレシチン)は既に化粧料用の原料として用いられており、レシチン同様、有効成分の経皮吸収性を高める作用を有していることが知られている(例えば、特許文献4を参照)。又、水酸化レシチンはレシチン同様リポソームやベシクルを形成することも知られている(例えば、特許文献5、特許文献6を参照)。又、レシチンなどを用いたリポソームを有機変性粘土鉱物を用いた乳化剤形に含有せしめる技術も知られている(例えば、特許文献7、特許文献8を参照)。しかしながら、1)有機変性粘土鉱物と2)水酸化リン脂質とを含有する油中水乳化剤形の皮膚外用剤は全く知られていない。従って、この様な構成を取ることにより、油中水乳化剤形でありながら、水溶性の有効成分の経皮吸収性も高められることは全く知られていなかった。
【0004】
加えて、トリメチルグリシン、カルニチン又はその塩は、抗炎症作用等を有する化粧料用の有効成分として知られており、化粧料に含有させる技術は既に知られているが(例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11を参照)、1)有機変性粘土鉱物と2)水酸化リン脂質とを含有する油中水乳化剤形の皮膚外用剤に含有させる技術は全く知られていなかったし、かかる成分を含有せしめることにより、内水相に存するベシクルやリポソームを、外相との合一から防ぎ、安定化できることも全く知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−255623号公報
【特許文献2】特開2004−292373号公報
【特許文献3】特開2001−58937号公報
【特許文献4】特開2002−128702号公報
【特許文献5】特開2004−269433号公報
【特許文献6】特表2005−518266号公報
【特許文献7】特開2003−113069号公報
【特許文献8】特表2002−524487号公報
【特許文献9】特開2005−53835公報
【特許文献10】特開2004−339144公報
【特許文献11】特開2004−242509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、油中水乳化剤形でありながら、水溶性の有効成分の経皮吸収性も高める技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、油中水乳化剤形でありながら、水溶性の有効成分の経皮吸収性も高める技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)有機変性粘土鉱物と2)水酸化リン脂質とを含有する油中水乳化剤形の皮膚外用剤がその様な特性を備えていることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)1)有機変性粘土鉱物と2)水酸化リン脂質とを含有することを特徴とする、油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
(2)前記水酸化レシチンを小球体の形態で水相中に含有することを特徴とする、(1)に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
(3)前記小球体が、リポソーム乃至はベシクルであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
(4)(3)に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、前記リポソームが内水相に水溶性の有効成分を含有していることを特徴とする、(3)に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
(5)(3)に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、前記ベシクルが油溶性の有効成分を含有していることを特徴とする、請求項3に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
(6)水相中にトリメチルグリシン、カルニチン及びカルニチンの塩から選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、油中水乳化剤形でありながら、水溶性の有効成分の経皮吸収性も高める技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である有機変性粘土鉱物
本発明の皮膚外用剤は有機変性粘土鉱物を必須成分として含有することを特徴とする。ここで有機変性とは、粘土鉱物の一部に有機化合物の一部を共有結合乃至はイオン結合を介して強固乃至は緩やかな結合を生ぜしめ、有機化合物の性質の一部乃至は全部を粘土鉱物に付与させることを意味し、この様な変性としては4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法、カルボキシル基と粘土鉱物のカチオン部分を結合させる方法等が例示でき、4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法が特に好ましく例示できる。
【0010】
粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物としては、特に限定されるわけではないが、クオタニウムと称される化合物が例示される。クオタニウムとは、低分子の置換第4級アンモニウム塩であって、国際基準化粧品原材料(INCI)に登録された化粧料原料が好ましい。さらに、粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物は、クオタニウム化合物のなかでも、従来の皮膚外用剤に含有されるクオタニウム化合物であることが好ましい。従来の皮膚外用剤で使用されているクオタニウム化合物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等が好ましく例示される。ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等は、粘土鉱物とともに安定な油中水乳化構造を形成することができるので好ましい。
【0011】
一方、4級アミノ基を有する化合物で変性される粘土鉱物(未変性粘土鉱物)としては、従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物であれば特段の限定無く使用することができる。従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物としては、スメクタイト系のヘクトライト、ベントナイトやモンモリロナイト;カオリナイト;イライト;マリーン粘土鉱物(海泥);デザートローズ粘土鉱物;パスカライトなどが好ましく挙げられる。これらのうち、油中水乳化構造を安定化させることができるベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト又はカオリナイトが好ましく例示される。
【0012】
本発明の皮膚外用剤に含有される4級アミノ基を有する化合物で変性された粘土鉱物の製造方法の一例を以下に説明する。
前記未変性粘土鉱物を分散媒に分散させる。該分散剤は水系の溶媒であることが好ましく、水であってもよい。分散未変性粘土鉱物を含む分散液に、さらに4級アミノ基を有する化合物を加え、よく撹拌する。4級アミノ基を有する化合物は、水に溶解されて加えられてもよい。加えられる4級アミノ基を有する化合物の量は、分散未変性粘土鉱物の量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。この様な構成を取ることにより、乳化系において、好ましい使用感を呈するためである。撹拌後、分散質を濾取し、脱水、乾固することにより本発明における変性粘土鉱物を得ることができる。あるいは、分散質を濾取することなく、減圧濃縮することにより分散剤を除去して乾固させることにより、本発明における変性粘土鉱物を得ることもできる。得られた変性粘土鉱物は、好ましくは所望のサイズ(粒径が1〜1000μmであることが好ましい)に粉砕され、本発明の皮膚外用剤に含有される。
【0013】
本発明における変性粘土鉱物は、前述したように調製して使用されることもできるが、市販されているものを使用することもできる。市販されている変性粘土鉱物には、化粧料などの皮膚外用剤などとして用いられているものもある。市販されている変性粘土鉱物としては、例えば、エレメンティス社より「ベントン38V」の名称で販売されている、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどが好ましく例示される。
【0014】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分は0.5〜10質量%好ましく含有され、より好ましくは1〜5質量%含有される。かかる成分は、前記の含有量の範囲において、乳化剤として、高内相の油中水乳化剤形を形成すべく働く。
【0015】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分である水酸化レシチン
本発明の皮膚外用剤は水酸化レシチン(リゾレシチン)を必須成分として含有することを特徴とする。リゾレシチンはレシチンのアシル基の一つが脱離し、水酸基に変換した構造を有するリン脂質であり、既に化粧料用の原料が市販されている。好ましい市販品としては、例えば、「レシノールSH50」(日本サーファクタント工業株式会社製)等を例示することができる。本発明の皮膚外用剤では、前記水酸化レシチンは、有効成分とともに油中水乳化剤形の水相中に分散して存在することが好ましい。かかる存在形式としては、小球体の形態が好ましく例示でき、該小球体としては、内部まで脂質二重層構造を取るベシクル系、内部に内水相を有し、その壁面として脂質二重膜が存在するリポソーム系が好ましく例示できる。ベシクル系は、水酸化レシチンをクロロホルムの様な有機溶剤で溶解せしめ、これから溶剤を除去し、そこに水性担体を加え、静置することにより、製造することができるし、リポソームは、減圧留去し、薄膜を形成せしめ、これに内水相を加えて、超音波処理などを行うことにより製造することができる。ベシクルに油溶性成分を含有させる場合には、水酸化レシチンとともに有機溶剤に溶解せしめて、同様に処理すればよいし、リポソームの内水相に水溶性成分を含有せしめるには、水性担体に水溶性成分を溶解させ、しかる後に超音波処理を行えばよい。
【0016】
ベシクル形態に油溶性有効成分を含有せしめることにより、経皮吸収されながら、皮膚内へのリリースを遅れさせることができるため、コントロールド・リリース製剤を設計するのに有用な手段となる。油相中にも有効成分を含有せしめれば、持続性のあるコントロールド・リリース製剤となる。この様な油溶性の有効成分としては、例えば、ウルソール酸、ウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸ステアリルエステル等のウルソール酸エステル、ベツリン酸、ベツリン、ベツリン酸ステアリルエステル、ベツリン酸ベンジルエステル等のベツリン酸エステル、スフィンゴシン、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質、ビタミンA、ビタミンA酸、ビタミンD、ビタミンE、グリチルレチン酸ステアリル、エスシン、ピロロキノリンキノン、ユビデカレノン、α−リポ酸、コウジ酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸、エラグ酸、イソフラバン、イソフラバノン、エストラジオール、エストリオール、プレドニゾロン、デキサメタゾンなどのステロイド類或いは前記の物質の塩等が好適に例示できる。これらは水酸化レシチンに対して、0.1〜10質量%含有させることが好ましい。
【0017】
リポソームの内水相に水溶性有効成分を含有せしめることにより、油中水乳化剤形では経皮吸収がされにくい水溶性有効成分の経皮吸収性を高めることができる。油中水乳化剤形の油溶性有効成分の優れた油溶性有効成分経皮吸収性と組み合わせると、多種多様な有効成分を効率よく経皮吸収せしめる製剤とすることができる。この様な水溶性の有効成分としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド或いはこれらの塩の様なアスコルビン酸類、ピリドキシン、リボフラビン或いはこれらの塩の様なビタミンB類、ヒアルロン酸やその塩、フコイダン、硫酸化トレハロース或いはその塩、トレハロース、エスクレチン配糖体、グリチルリチン酸或いはその塩等が好適に例示できる。これらは水酸化レシチンに対して、0.1〜10質量%含有させることが好ましい。
【0018】
斯くの如く含有される水酸化レシチンの好ましい含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜1質量%である。これは少なすぎると添加効果を発揮しない場合が存し、多すぎると、リポソーム或いはベシクル同士が合一し、安定性、効果を損なう場合が存するためである。
【0019】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、油中水乳化剤形であることを特徴とする。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば、特段の限定無く使用することができ、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示でき、化粧料に適用することが特に好ましい。これは本発明の皮膚外用剤が、比類無き使用感の様さを有しているため、使用感が重要な化粧料に特に好適であるためである。化粧料としては、油中水乳化剤形を応用できるものであれば、特段の限定はなく、例えば、エッセンス、乳液、クリーム等の基礎化粧料、アンダーメークアップ、ファンデーション、チークカラー、マスカラ、アイライナーなどのメークアップ化粧料、ヘアクリームなどの毛髪化粧料などが好適に例示できる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分以外に、L−カルニチン及び/又はその塩を好ましい成分として含有する。L−カルニチンは、前記必須成分である、有機変性粘土鉱物を用いた油中水エマルションにおいて、水相中に存在する、水酸化レシチンを含むベシクル乃至はリポソームの水相中分散安定性を向上させる作用を有する。L−カルニチンは下記に示す構造を有しており、既に、化粧料用の原料として使用されている。この様な市販品を購入して使用することができる。又、試薬としても市販れているのでその入手は容易である。本発明では、かかるL−カルニチンをそのまま使用することもできるし、酸などともに塩と無し、かかる塩を含有させることもできる。保存においては塩の状態の方が安定性が高いので、塩を用いることが好ましい。塩としては、通常皮膚外用剤で使用されている塩であれば特段の限定なく使用することができ、例えば、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの鉱酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酢酸塩等の有機酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等の酸性アミノ酸塩等が好適に例示できる。かかる成分は、ベシクル乃至はリポソームを安定化させる作用、具体的には、ベシクル乃至はリポソームが互いに合一したり、油相と合一したりするのを抑制する作用を有し、副次的な作用として、有効成分の経皮吸収性を向上或いはコントロールする作用を有する。この様な作用を発揮するためには、L−カルニチン及び/又はその塩は、L−カルニチン相当量に換算して、皮膚外用剤全量に対して、0.1〜10質量%含有することが好ましく、0.5〜5質量%含有することがより好ましい。又、水酸化レシチンに対しては、等質量乃至は20倍質量であることが好ましい。少なすぎると、前記効果を奏さない場合が存し、多すぎると却って乳化系を損なう場合が存するからである。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、油中水乳化剤形を取るため、油中水乳化剤形の使用感、仕上がり感の欠点を補うために、シリコーン、特に好ましくは、シクロメチコン及び/又は粘度1mPa・s以下のジメチコンを含有することが好ましく、該シリコーンの含有量としては、化粧料全量に対しては、10〜50質量%含有することが好ましく、より好ましくは、20〜40質量%であり、シクロメチコン及び粘度1mPa・s以下のジメチコンの含有量の和が油相全量に対して、50質量%以上、より好ましくは55質量%以上であることが好ましい。
【0022】
又、本発明の皮膚外用剤では、乳化剤として前記有機変性粘土鉱物を用いる場合、前記有機変性粘土鉱物の乳化作用を補助する意味で、POE変性メチルポリシロキサン、POP変性メチルポリシロキサン、POP・POE変性メチルポリシロキサン等のポリエーテル変性メチルポリシロキサンを含有することが好適に例示できる。かかるポリエーテル変性メチルポリシロキサンの好ましい含有量は、0.5〜5質量%、1〜3質量%がより好ましい。
【0023】
乳化剤として前記有機変性粘土鉱物を用いる場合、更に、上記の成分以外の好ましい任意成分としては、乳化状態を安定化できる、多価アルコールが例示できる。特に、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコールが好適に例示できる。かかる成分は唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。好ましい含有量は、総量で、皮膚外用剤全量に対して、5〜30質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である。更に加えて、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上を3〜7質量%含有させることも、防腐力を向上させる見地から好ましい。
【0024】
上記以外にも、本発明の皮膚外用剤に於いては、本発明の効果を損ねない限度に於いて、通常使用される任意成分を含有することもできる。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、2,4−ヘキサンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0025】
本発明の皮膚外用剤は、前述の成分を常法に従って処理することにより本発明の皮膚外用剤を製造することができる。
【0026】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0027】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、油中水乳化剤形の化粧料を製造した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加温し、イを混練りしてゲルを形成させ、この中にハを加えて溶解させ、これに攪拌下徐々にロを加えて乳化し、攪拌冷却して油中水乳化剤形の化粧料1を得た。同様に操作して、水酸化レシチン(「レシノールSH50」)を水に置換した比較例1、大豆レシチンに置換したリポソーム(比較)を用いた比較例2も作成した。又、リポソーム1は表2のイの成分を200質量倍のクロロホルムに溶かし、減圧留去し薄膜を作成し、これにロの成分を加え超音波処理し、これを遠心分離(10g×10分)で沈殿させ、水洗を2回行い10質量倍の水に分散させて作成した。内水相の総質量は水酸化レシチンの質量に対して57%であった。又、比較例2に於いては、できあがった化粧料に蛍光を有する黄色の色の着色が若干観察され、リポソームと油相とが一部合一していることが示唆された。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
<試験例1>
フランツ型セルを用いて、リボフラビンの経皮吸収性を調べた。即ち、隔壁として豚皮を用い、レシーバーにリン酸緩衝生理食塩水(pH7)を充填し、豚皮上に0.1gの検体を乗せ、37℃で6時間保持し、レシーバー液の266nmにおける吸光度を測定した(日立製作所製;紫外可視分光光度計 U−2001)。結果を表3に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は水溶性の有効成分を経皮吸収せしめる作用に優れることがわかる。
【0031】
【表3】

【実施例2】
【0032】
実施例1と同様に、下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、化粧料2を作成した。試験例1の方法で評価したところ、吸光度は39.4%であった。これより、カルニチンを含有することが好ましいことがわかる。
【0033】
【表4】

【実施例3】
【0034】
実施例1と同様に、下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、化粧料3を作成した。試験例1の方法で評価したところ、吸光度は49.1%であった。これより、トリメチルグリシンも塩化L−カルニチンと同様の作用を有することがわかった。
【0035】
【表4】

【実施例4】
【0036】
実施例1と同様に、下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、化粧料4を作成した。尚、ベシクル1は、表6のイの成分を200質量倍のクロロホルムに溶かし、減圧留去し薄膜を作成し、これにロの成分を加え24時間静置し、これを遠心分離(10g×10分)で沈殿させ、水洗を2回行い10質量倍の水に分散させて作成した。同様に操作して、水酸化レシチン(「レシノールSH50」)を水に置換し、α−トコフェロールを直接表5のイの成分に加えた比較例3、大豆レシチンに置換したベシクル(比較)を用いた比較例4も作成した。試験例1に準じて評価した結果を表7に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は油溶性成分に於いても経皮吸収促進作用に優れることがわかる。
【0037】
【表5】

【0038】
【表6】

【0039】
【表7】

【0040】
<試験例2>
前記の試験での37℃での保持時間を12時間にして、同様に試験した。結果を表8に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は徐放性を有することがわかった。
【0041】
【表8】

【実施例5】
【0042】
実施例1と同様に、以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料5を製造した。
【0043】
【表9】

【0044】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)有機変性粘土鉱物と2)水酸化リン脂質とを含有することを特徴とする、油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項2】
前記水酸化レシチンを小球体の形態で水相中に含有することを特徴とする、請求項1に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記小球体が、リポソーム乃至はベシクルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項4】
請求項3に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、前記リポソームが内水相に水溶性の有効成分を含有していることを特徴とする、請求項3に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項3に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤に於いて、前記ベシクルが油溶性の有効成分を含有していることを特徴とする、請求項3に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項6】
水相中にトリメチルグリシン、カルニチン及びカルニチンの塩から選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−308380(P2007−308380A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136244(P2006−136244)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】