説明

尿の作業領域マネージャーおよび尿の作業領域

【課題】中心となる作業領域マネージャーを用いて尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器を制御する。
【解決手段】尿の作業領域マネージャーは、尿検査ストリップ読み取り器の分析結果を受信し、その検査結果を用いて、尿沈殿物分析器を制御するために制御命令を発生させ、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の結果を比較する。この比較の間、尿の作業領域マネージャーは、2つの分析結果が一致するかどうか、または検査の再実行やオペレーターからの入力の要求などのさらなる処置が必要かどうかを決定できる。この決定プロセスはルールに基づいて、またはコンピューター・プログラム製品の一部であるエキスパートシステムを用いて行われ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿サンプルの自動分析法に関し、とりわけ、尿の化学分析器および尿沈殿物分析器の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
尿サンプルは一般的に、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器を用いて分析される。尿検査ストリップ読み取り器は、当該技術で既知の検査エレメントを用いることにより、尿の化学分析を行う分析器である。検査エレメントの一例は、Roche Diagnostics Ltd.により製造されるCombur-Testストリップである。化学分析は尿のpH値などの検査を含むが、尿中の特定の種類の細胞または代謝産物の存在を検出するためにも用いることができる。
【0003】
尿沈殿物分析器は、粒子の存在を検出するために光学手段を用い、またその粒子を特定および分類できる場合もある。例えば尿は、毛細管を貫流する際に、顕微鏡および/またはカメラを用いて調べられ得る。尿沈殿物分析器の他の例においては、液体の尿から尿沈殿物を分離するために、遠心分離機が使用される。尿を遠心分離する工程において、沈殿物はキュベットの底に置かれ、その後カメラおよび/または顕微鏡を用いて調べられる。いくつかの尿沈殿物分析器は、自動的に作動し、またパターン認識ソフトウェアを用いて尿沈殿物を特定することができる。例えば、尿沈殿物分析器は、赤血球や精細胞などの、異なる細胞を区別できる。
【0004】
特許文献1は、血液や尿などのサンプルを分析することによって得られた一連のデータから、所望のデータを選ぶためのデータ管理システムを開示する。所望のデータの基準化された値は、数値および/またはグラフとして表示され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,675,760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、独立請求項に記載の尿の作業領域マネージャーおよび尿の作業領域を備える。本発明の実施形態は、従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施態様は、中心となる作業領域マネージャーを用いて尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器を制御することによって、上記の問題に取り組む。尿の作業領域マネージャーは、尿検査ストリップ読み取り器の分析結果を受信し、その検査結果を用いて、尿沈殿物分析器を制御するために制御命令を発生させる。しかしながら、通常は尿沈殿物分析器も、演算を制御し、サンプルを分析し、また分析結果を発生させるために、自身のオペレーションシステムを有する。いくつかの実施形態において、尿の作業領域マネージャーは、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の結果を比較することができる。この比較の間、尿の作業領域マネージャーは、2つの分析結果が一致するかどうか、または検査の再実行やオペレーターからの入力の要求などのさらなる処置が必要かどうかを決定できる。この決定プロセスはルールに基づいて、またはコンピューター・プログラム製品の一部であるエキスパートシステムを用いて行われ得る。
【0008】
以下の略語が本発明で用いられ、それらの意味は以下のように規定される。RBCは赤血球の略語である。ERYも赤血球の略語である。WBCは白血球の略語である。LEUも白血球の略語である。BACは細菌の略語である。NECは扁平でない上皮細胞の略語である。PATは病理円柱の略語である。PROは蛋白の略語である。GLUはグルコースの略語である。KETはケトンの略語である。UBGはウロビリノゲンの略語である。BILはビリルビンの略語である。SGは比重の略語である。MUCは粘液の略語である。YEAは酵母菌の略語である。UNCは未分類の略語である。CRYは結晶の略語である。
【0009】
本発明で用いられる場合、尿の作業領域マネージャーは、中央管理および分析、または尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器を備えるコンピューター、コンピューターシステム、または内蔵システムなどの計算システムである。本発明で用いられる場合、再分析という用語は、サンプルを再試験すること、サンプルに関して新しい検査または一連の検査を行うこと、または顕微鏡を用いて試験することを意味する。本発明で用いられる場合、命令という用語は、機械、器具、または計算装置に特定のタスクを実行するように命令する、一連の機械が実行可能な命令および信号を提供することを意味する。
【0010】
本発明は、尿検査ストリップ読み取り器および尿の沈殿物分析器を制御するために、尿の作業領域マネージャーを備える。尿検査ストリップ読み取り器は本発明においては、検査エレメントを用いて尿に関する化学分析を行い、尿中の1つ以上の化学的性質を測定する器具として定義される。化学分析はしばしば、化学的に試験紙に染み込まされたストリップを用いて行われる。検査ストリップ読み取り器という用語は、化学分析が紙の検査ストリップを用いない場合にも使用される。本発明で用いられるストリップの分析結果とは、全ての分析結果または尿検査ストリップ読み取り器からの分析結果である。
【0011】
本発明における尿沈殿物分析器は、光学手段を用いて尿中の粒子の存在を検出する器具を表すものとして定義される。尿沈殿物分析器という用語は、尿の分析中に粒子が沈殿物を形成しない場合にも用いられる。尿沈殿物分析器のいくつかの例は、上述の背景技術に記載されている。尿沈殿物分析器は、尿サンプル中の異なる細胞または沈殿物の数および種類を特定することができる。本発明で用いられる沈殿物の分析結果は、尿中の粒子を光学的に検出する分析器からの検査結果または分析全てである。
【0012】
尿の作動領域マネージャーは、機械が実行可能な命令を実行するように適合される演算器を含むコンピューターシステムによって導入される。演算器は、コンピューター、マイクロプロセッサ、内蔵システム、マイクロコントローラ、またはプログラミングされ、機械が読み取り可能な命令を実行することが可能な他の集積回路であってもよい。尿の作業領域マネージャーはこれらに限定されるわけではないが、尿沈殿物分析器および/または尿の検査ストリップ読み取り機と接続する独立型のコンピューター、尿検査ストリップ読み取り器に組み込まれるコンピューターまたはコントローラー、尿沈殿物分析器に組み込まれるコンピューターまたはコントローラー、または結合された尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器に組み込まれるコンピューターまたはコントローラーである。
【0013】
尿の作業領域マネージャーは、尿検査ストリップ読み取り器と尿沈殿物分析器の間で命令およびデータを伝達するように適合される第1インタフェースをさらに含む。第1インタフェースは、尿検査ストリップ読み取り器と尿沈殿物分析器との間で情報コマンドを伝達することができる、あらゆる種類のインタフェースとして導入され得る。このようなインタフェースの例は、イーサネット(登録商標)システム、USB接続、シリアルポート接続、パラレルポート接続、ファイヤ・ライン接続、光ファイバ光学接続、ワイヤレスネットワーク接続、およびブルートゥース接続である。このインタフェースは、ソフトウェアとしても導入できる。尿の作業領域マネージャーは、尿沈殿物分析器と尿の作業領域マネージャーとの間で命令およびデータを伝達するように適合される第2インタフェースを含む。この第2インタフェースは、第1インタフェースと同じ方法で導入され得る。第2インタフェースは第1インタフェースと同一でもよく、または別々のインタフェースでもよい。
【0014】
尿の作業領域マネージャーは、以下の工程を行うために、一連の機械が実行可能な命令をさらに含む。機械が実行可能な命令とは、実質的には、記録され、後に演算器によって実行され得る機械が実行可能なプログラムである。機械が実行可能な命令は、演算器の外側に記録され後にロードされるか、もしくはハードディスク・ドライブシステムに記録され得る。機械が実行可能な命令は、第1インタフェースを介して尿検査ストリップ読み取り器に、複数の尿サンプルを分析するように命令する工程を含む。機械が実行可能な命令は、第1インタフェースを介してストリップの分析結果を尿検査ストリップ読み取り器から受信することも含む。機械が実行可能な命令はさらに、ストリップの分析結果を用いて第1の命令セットを発生させることも含む。ストリップの分析結果を用いることにより、ストリップの分析結果を含むデータが、何が命令であるかを決定するために用いられることが意図される。命令は、ストリップの分析結果を含むデータに基づくことも可能であり、またデータを入力として用いる計算またはアルゴリズムの結果に基づくことも可能である。機械が実行可能な命令はさらに、第1の命令セットを用いる尿沈殿物分析器に、第2インタフェースを用いて複数の尿サンプルを分析するように命令することをさらに含む。尿検査ストリップ読み取り器の結果は、尿沈殿物分析器に対する命令を作り出すために用いられることから、この実施形態は有利である。機械が実行可能な命令はさらに、第2インタフェースを用いて尿沈殿物分析器から沈殿物の分析結果を受信することを含む。尿の検査ストリップ分析器の結果は実質的に、尿沈殿物分析器がどのように複数の尿サンプルを分析しているかを制御するために用いられ得る。これは、尿が尿沈殿物分析器によって分析される前に希釈される必要がある場合に、とりわけ有利である。
【0015】
尿沈殿物分析器は一般的に、画像を調べるためにパターン認識ソフトウェアを使用し、画像中に含まれる異なる種類の細胞を特定する。画像が、細胞が多すぎることにより密集する場合、パターン認識ソフトウェアは尿サンプル中の細胞または沈殿物の種類および数を認識および特定することができないだろう。この特定の実施例において、尿沈殿物分析器が作動前に尿サンプルを希釈するべきである場合、尿検査ストリップ読み取り器が、投影するために用いられ得る。これは、尿沈殿物分析器からのより高品質およびより確実な結果を招く。
【0016】
別の実施形態において、一連の機械が実行可能な命令はさらに、ストリップの分析結果および沈殿物の分析結果が、所定の閾値に関して一致しない複数の尿サンプルのサブグループを特定することを含む。ゆえに、サブグループの中の尿サンプルは、疑わしい検査結果を有したものまたはおそらく誤った検査結果を有するものである。一連の機械が実行可能な命令はさらに、尿沈殿物分析器および/または尿検査ストリップ分析器に、サブグループの中の尿サンプルを再分析するように命令する工程を含む。尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器は異なる原理を用いて働くことから、この実施形態は好都合である。2つの検査が一致しない状況が生じる場合もある。いくつかの場合において、検査の1つを実行することにおいて誤りがあったため、または尿サンプルの古さによる違いがあるために、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器が一致しないおそれがある。例えば、尿検査ストリップ読み取り器が尿サンプル中の古い赤血球を検出する一方で、尿沈殿物分析器の使用により赤血球が切り離され破壊されると、パターン認識ソフトウェアによって特定することは不可能である。
【0017】
別の実施形態において、尿の作業領域マネージャーはエキスパートシステムをさらに含む。サブグループは、エキスパートシステムを用いて特定され得る。いつ尿サンプルの再分析を開始するかを決定することは、単純な式では特定できない複雑な関係を伴うことから、この実施形態は好都合である。エキスパートシステムはルールベース・システムを用いて、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の結果を比較するように適合される。
【0018】
別の実施形態において、ストリップの分析結果を用いて第1の命令セットを作り出す工程は、複数の尿サンプルのそれぞれが第1の所定条件に合致しているかを確かめるために、ストリップの分析結果を確かめることを含む。ストリップの分析結果を用いて第1の命令セットを作り出す工程はさらに、尿沈殿物分析器に対して、各尿サンプルが第1の所定条件に合致するように、尿サンプルを希釈するよう命令することを含む。尿検査ストリップ読み取り器による化学分析は、尿が尿沈殿物分析器によって分析される前に希釈されるべきかどうかを決定するために用いられ得るので、この実施形態は好都合である。これは、画像が密集しすぎて、尿沈殿物分析器のパターン認識ソフトウェアが、画像が密集しすぎていることにより適切に機能しなという状況を避けるために用いることができる。
【0019】
別の実施形態において、尿の作業領域マネージャーは、画像を表示するように適合されるディスプレイをさらに含む。機械が実行可能な命令はさらに、サブグループ中のそれぞれの尿サンプルのための沈殿物分析器によって得られる、少なくとも1つの画像を表示する工程を含む。機械が実行可能な命令はさらに、サブグループにおけるそれぞれの尿サンプルに対する、オペレーターからの入力を受信する工程を含む。この入力は、尿サンプルがサブグループ中に留まるべきか、またはサブグループから除かれるべきかを示す。機械が実行可能な命令はさらに、尿沈殿物分析器にサブグループ中の尿サンプルを再分析するよう命令する前に、入力によって示されたそれぞれの尿サンプルをサブグループから取り除く工程を含む。オペレーターは尿サンプルが再分析されるべきか否かを選択するように命令されることから、この実施形態は好都合である。オペレーターによって見直されるべきサンプルは、オペレーターが見直すように自動的に表示されるので、これは結果として時間の節約になる。
【0020】
他の実施形態において、機械が実行可能な命令はさらに、それぞれの画像の分析結果が複数の尿サンプルのそれぞれから得られるにつれて、尿沈殿物分析器から一連の画像の分析結果を受信することを含む。本発明において画像の分析結果は、尿沈殿物分析器が尿サンプルにおいて特定する、尿沈殿物を特徴づける情報として規定される。尿沈殿物分析器の特定の実施形態においては、遠心分離機を用いて沈殿物を基板上に置き、その後連続して、画像化システムを用いて画像化する。尿沈殿物分析器は、基板上の異なる様々な場所で画像を作り出す。画像の分析結果は、尿沈殿物分析器によって撮られたそれぞれの画像に対して発生させられる。機械が実行可能な命令はさらに、すべての画像解析結果が統計的閾値の範囲内である場合に、さらなる画像解析結果の獲得を停止させることを含む。この実施形態は、尿沈殿物分析器が画像を手に入れ、それらを分析するには時間がかかることから、好都合である。一連の画像すべての画像解析結果が非常に似通っている場合、さらに画像を解析する必要はない。これは、分析時間を減少させるという利点を有する。一連の画像は、所定の数の画像を有していてもよい。1つの可能な実施において、尿の作業領域マネージャーは定められた数の画像解析結果を受信し、その後、尿沈殿物分析器によってさらなる画像解析結果が得られるべきかを決定する。
【0021】
他の実施形態において、ストリップの分析結果は統計的閾値を決定するために用いられる。この実施形態は、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器は、しばしば尿中で同様の種類の細胞または沈殿物を特定できることから、とりわけ有利である。一連の画像解析結果が統計的閾値内に存在し、それら結果が尿の検査ストリップの結果と一致する場合、分析結果が正しいという信頼度は非常に高くなる。この実施形態は、正しい読み取りをするという高い信頼度を有する、より迅速な分析へと導く。
【0022】
他の実施形態において、機械が実行可能な工程はさらに、調査モードで尿サンプルを分析するという命令を受信することを含む。機械が実行可能な工程はさらに、尿沈殿物分析器に、第1の所定数の画像を用いて尿サンプルに対する一連の画像解析結果を手に入れるように命令することを含む。調査モードは本発明において、尿の詳細な分析が行われるモードとして定義される。このようなモードが選択される場合、尿沈殿物に関する統計を得るために、通常の作動の間に用いられる通常の数よりも多数の画像が撮影され、解析される。
【0023】
他の実施形態において、尿の作業領域マネージャーはさらに、ディスプレイを含む。尿の作業領域マネージャーはさらに、ユーザーの入力を受信するように適合されるユーザー・インタフェースを含む。機械が実行可能な工程はさらに、ディスプレイ上にストリップの分析結果および沈殿物の分析結果の概要を表示することを含む。機械が実行可能な工程はさらに、各尿サンプルに対するストリップの分析結果および沈殿物の分析結果の是認または否認を示し、代替的には結果に対するコメントを編集および/または添付するオペレーターから、入力を受信することを含む。この結果とは、ストリップの分析結果および/または沈殿物の分析結果であると理解される。この実施形態は、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の結果が、ディスプレイ上のフォームにおいて要約され、要約された結果に対してオペレーターが是認または否認できることから、好都合である。ディスプレイは、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の結果を要約することができる。とりわけ、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器が矛盾した結果を生じる場合、尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の比較が表示され得る。いくつかの実施形態において、尿の分析結果が是認されない場合には、それら結果は不確かであることからサンプルのサブグループに置かれる。サブグループ中のサンプルはその後、尿検査ストリップ読み取り器および/または尿沈殿物分析器によって再検査および再分析される。部分郡中のサンプルはまた、ユーザーによる結果の見直しを条件とするために、印を付されてもよい。
【0024】
他の実施形態において、尿検査ストリップ読み取り器は、作動中に尿を分注するために針を含む。機械が実行可能な命令はさらに、尿検査ストリップ読み取り器に、サブグループ中のサンプルを再分析し、第1インタフェースを用いて針を洗浄するように命令するステップを含む。この実施形態は、尿検査ストリップ読み取り器の結果は疑わしい場合もあり、また検査結果が当初に得られたものである場合よりも、より完全に針を清浄する必要があることから、好都合である。
【0025】
他の実施形態において、尿の作業領域マネージャーはさらに、ディスプレイを含む。機械が実行可能な命令はさらに、尿沈殿物分析器にサブグループの一部である尿サンプルを再分析するよう命令する前に、複数の尿サンプルの内のどれがサブグループの一部であるかを図式的に表示する工程を含む。この実施形態は、再分析される必要のある尿サンプルがディスプレイ上に明白に表示されることから、好都合である。これはオペレーターが、どのサンプルが再検査されどのサンプルが再検査されないかを、見ることを可能にする。いくつかの実施形態において、オペレーターは、サブグループの一部になるように選択された尿サンプルを選択すること、またはサブグループから取り除くために尿サンプルを除外することが可能である。いくつかの実施形態におけるディスプレイは、オペレーターが、どの尿サンプルがサブグループの一部であってどの尿サンプルが一部ではないかを簡単に判断できるように、サンプルを図式的に表示する。これは、オペレーターが、サブグループの一部であるサンプルまたは一部でないサンプルを、手動で除外またはソートすることを可能にする。いくつかの実施形態において、オペレーターはその後ディスプレイを見て、サンプルまたは現時点ではサブグループの一部ではないサンプルを、サブグループから容易に除外することができる。
【0026】
他の実施形態において、尿の作業領域マネージャーはさらに、ネットワーク・インタフェースを含む。機械が実行可能な工程はさらに、複数の尿サンプルを分析するために、ネットワーク・インタフェースを介して命令を受信することを含む。これは、尿の作業領域マネージャーを制御するために遠隔コンピューターシステムを使用できることから、好都合である。
【0027】
他の実施形態において、尿の作業領域マネージャーはさらに、ディスプレイを含む。尿の作業領域マネージャーは、同一サンプルの少なくとも2つの異なる部分の画像からなる沈殿物の分析結果を受信するように適合される。機械が実行可能な命令はさらに、少なくとも2つの画像のそれぞれにおいて、異なる種類の沈殿物の相対数を図式的に表示することを含む。この実施形態は、オペレーターが異なる画像解析結果を見られることから、好都合である。これはオペレーターが、尿中の異なる種類の粒子の相対数が、画像を通して一定であるかどうか観察することを可能にする。結果が画像を通して一定である場合、オペレーターは結果に対してより高い信頼をもつだろう。いくつかの実施形態は、異なる種類の粒子の相対数に基づいて、オペレーターが画像を選択することを可能にするセレクタを有する。セレクタは、ハードウェアまたはソフトウェアのどちらかに導入され得る。1つまたはいくつかの画像が他の画像と異なる結果を有する場合、オペレーターは、異なる結果を発生させるために用いられた画像を容易に特定し、見直すことができる。
【0028】
他の実施形態において、尿の作業領域マネージャーはさらに、ディスプレイを含む。機械が実行可能な命令はさらに、ストリップの分析結果および沈殿物の分析結果の概要を図式的に表示する工程を含む。ストリップの分析結果は少なくとも1つの化学分析を含み、沈殿物の分析は少なくとも1種類の粒子の量を特定する。この概要は基準化されたグラフを用いて、少なくとも1つの化学分析および少なくとも1種類の粒子の量を示す。ストリップの分析結果および沈殿物の分析結果の表示は、オペレーターが、検査結果が通常の結果からどれほど異なっているかを図式的に見られるような方法で、基準化が通常および異常な検査結果を容易に特定できるように、基準化される。このグラフは、全てが同一の目盛の長さである欄を伴って表示され得る。グラフは、測定値に関連する目盛を示すように目盛を付けられてもよい。例えば、pHの目盛は5で開始して9で終了してもよい。この実施形態および他の実施形態における尿の作業領域マネージャーのディスプレイは、これに限定するわけではないが、コンピューターモニターまたはディスプレイスクリーンでもよい。
【0029】
他の実施形態において、尿の作業領域マネージャーはさらに、ディスプレイを含む。尿の作業領域マネージャーはさらに、顕微鏡セレクタも含む。顕微鏡セレクタは、これに限定するわけではないがグラフィカル・ユーザー・インタフェース上の選択であり、またコントロールパネル上のボタンであってもよい。機械が実行可能な命令は、顕微鏡セレクタが選択された場合に顕微鏡コントロール・インタフェースを作動させる命令を含む。コントロール・インタフェースは、これらに限定するわけではないが、グラフィカル・ユーザー・インタフェースに導入されるコントロールパネルか、またはプッシュボタンおよびジョイスティックなどのコントロールパネル上の一連の制御機器である。顕微鏡コントロール・インタフェースは、ユーザーの入力を受信し、第2インタフェースを介して尿沈殿物分析器に送信される顕微鏡の制御命令を作り出すように適合される。これらコントロールの命令はとりわけ、視野の選択および焦点設定を含む。ディスプレイは、沈殿物分析器から第2インタフェースを介して受信される顕微鏡の画像を表示するように適合される。この実施形態は、オペレーターが、付加的な顕微鏡なしに尿サンプルを手動で調べられることから、好都合である。
【0030】
他の実施形態において、機械が実行可能な命令はさらに、以下の状況のいずれかが生じた場合にはいつでも信号を出力するという命令を含む。その状況とは、尿の作業領域マネージャーが調査モードで作動されている際に、尿沈殿物の分析結果が、第2の所定数の未分類の粒子よりも多くの粒子を含有する場合、および尿沈殿物の分析結果が、第3の所定数の粒子よりも多くの粒子を含有する場合である。尿沈殿物の分析結果が、第2の所定数の未分類の粒子よりも多くの粒子を含有する場合、未分類の粒子が多すぎて正確な結果を生じさせられないということを意味する。尿沈殿物の分析結果が、第3の所定数の粒子よりも多くの粒子を含有する場合、粒子の数が多すぎてパターン認識ソフトウェアが適切に機能できないということを意味する。パターン認識ソフトウェアが適切に機能するには多くの粒子がありすぎるという状況は、密集状態として既知である。この実施形態は、オペレーターが、沈殿物分析器から手動で画像を調べることが有益である状況を警告されることから、好都合である。信号は、グラフィカル・ユーザー・インタフェース上の点灯された指示器、音声、またはメッセージボックスやダイアログボックスであってもよい。しかしながら多くの実施形態において、警告は、色分けまたはフラグ付けによる通常のディスプレイで表示される。
【0031】
他の実施形態において、尿の作業領域マネージャーは、尿沈殿物分析器と同一のハウジング内に位置づけられる。尿の作業領域マネージャーおよび尿沈殿物分析器は、同一の演算器を用いて作動される。第2インタフェースは、ソフトウェアに導入される。この実施形態は、必要となる演算器の数が減少されるという利点を有する。
【0032】
他の態様において、本発明は尿の作業領域システムを備える。尿の作業領域システムは尿検査ストリップ読み取り器を含み、尿沈殿物分析器をさらに含み、本発明の実施形態による尿の作業領域マネージャーをさらに含む。この尿の作業領域の利点は、本発明の実施形態による尿の作業領域マネージャーに関する利点の背景において、すでに記述されている。
【0033】
他の態様において、本発明はコンピューター・プログラム製品を備える。コンピューター・プログラム製品は、尿検査ストリップ読み取り器に、第1インタフェースを用いて複数の尿サンプルを分析するように命令する工程を実施するための、機械が実行可能な命令を含む尿の作業領域マネージャーによって実行するためのものである。機械が実行可能な命令はさらに、第1インタフェースを用いて尿検査ストリップ読み取り器から、ストリップの分析結果を受信することを含む。機械が実行可能な命令はさらに、ストリップの分析結果を用いて一連の命令を作り出すことを含む。機械が実行可能な命令はさらに、第1の命令セットを用いる尿沈殿物分析器に、第2インタフェースを用いて複数の尿サンプルを分析するように命令することを含む。機械が実行可能な命令はさらに、第2インタフェースを用いて沈殿物分析器から沈殿物の分析結果を受信することを含む。このコンピューター・プログラム製品の利点は、尿の作業領域マネージャーの背景においてすでに記述されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】尿の作業領域の1つの実施形態を示す。
【図2】本発明の実施形態による機械が実行可能なコードを用いて実施され得る、本発明の実施形態による方法のブロック図である。
【図3】尿の作業領域の他の実施形態を示す。
【図4】尿分析の結果を示す図式的なディスプレイの一例を示す。
【図5】尿分析の結果を示す図式的なディスプレイの他の例を示す。
【図6】尿の作業領域の、コンピューター・ネットワークへの集積化を描く。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面中で同一の番号を付されたエレメントは、同一のエレメントか、同様の機能を果たすエレメントである。既に説明されたエレメントは、機能が同じである場合には、後の図面で説明される必要はない。
【0036】
図1は、尿の作業領域100を示す。尿の作業領域100は、尿の作業領域マネージャー102、尿検査ストリップ読み取り器104、および尿沈殿物分析器106を含む。尿の作業領域マネージャーと尿検査ストリップ読み取り器との間には、インタフェース108が存在する。また、尿の作業領域マネージャー102と尿沈殿物分析器106との間にも、インタフェース110が存在する。この2つのインタフェース108および110は、尿の作業領域マネージャー102と、尿検査ストリップ読み取り器104および尿沈殿物分析器106のどちらかの間で、コマンドおよびデータを転送するように適合される。尿の作業領域マネージャーは、ユーザー・インタフェース116およびディスプレイ118を含む。ユーザー・インタフェース116は、ユーザーまたはオペレーターからの入力を受信するように適合される。ディスプレイ118は、尿検査ストリップ読み取り器の分析結果および尿沈殿物の分析結果についての情報を表示するように、またオペレーターが選ぶための選択肢を提示するように適合される。尿の作業領域マネージャー102には、尿検査ストリップ読み取り器104および尿沈殿物分析器106へのデータを、転送および受信するように適合されるハードウェア・インタフェース112が存在する。尿の作業領域マネージャー102はまた、マイクロプロセッサ114を含む。マイクロプロセッサ114による実行のために、コンピューター・プログラム製品120が存在する。また、コンピューター・プログラム製品は、本発明の1つの実施例による機械が実行可能な工程を実行するために、機械が実行可能な命令122を含み、エキスパートシステム124も含む。このエキスパートシステム124は、尿検査ストリップ読み取り器104および/または尿沈殿物分析器106の分析結果を、受信するように適合される。エキスパートシステム124は、サンプルが戻されるべきかどうか、尿検査ストリップ読み取り器104の針が清浄されるべきかどうか、個々の尿サンプルが再分析される尿サンプルのサブグループへ入れられるべきかどうかを判断するようなタスク、また特定の尿サンプルに対してどのような分析が繰り返されるべきかを判断するためのタスクを実行するために用いることができる。
【0037】
図2は、本発明の1つの実施形態による、機械が実行できる命令を用いて実行され得る方法の1つの実施形態を示す。工程200において、尿検査ストリップ読み取り器は、複数の尿サンプルを分析するように命令される。工程202において、ストリップの分析結果が、尿検査ストリップ読み取り器から受信される。工程204において、ストリップの分析結果を用いて命令の第1セットが作成される。その後工程206において、尿沈殿物分析器は、命令の第1セットを用いて複数の尿サンプルを分析するように命令される。ここで命令の第1セットはストリップの分析結果を用いて作成されている。これは、尿検査ストリップ読み取り器の結果が、尿沈殿物分析器がどのようにして複数の尿サンプルを分析するのかを制御するために用いられるということを意味する。その後最終的に工程208において、沈殿物の分析結果が、沈殿物分析器208から受信される。
【0038】
図3は、ネットワーク・インタフェース302を介して尿の作業領域100に対して命令を送信し、尿の作業領域を制御するように適合されるホスト300または他のコンピューターを示す。尿の作業領域100に命令を送信した後、ホスト300はネットワーク・インタフェースを介して命令の結果304を受信する。図1に示されるように、尿の作業領域100は、尿の作業領域マネージャー102、尿検査ストリップ読み取り器104および尿沈殿物の分析器106を含む。尿の作業領域マネージャーが、尿検査ストリップ読み取り器104および尿沈殿物分析器106を制御するために、インタフェース312が存在する。尿検査ストリップ読み取り器104は、同一または異なるインタフェースを通して、結果314を尿の作業領域マネージャー102に伝達する。同様に、尿沈殿物分析器106は、同一または異なるインタフェース316を通して、分析結果を尿の作業領域マネージャー102に伝達する。図3はまた、尿サンプルが尿の作業領域を通るフローも示す。位置306では、尿検査ストリップ読み取り器104によって分析される前の尿サンプルが示される。位置308では、尿サンプルは尿検査ストリップ読み取り器104によって分析されている。尿の検査ストリップによる分析の結果は、314を通して尿の作業領域マネージャー102に伝達される。尿の作業領域マネージャー102は、尿サンプルをどのように処理するかについて、尿沈殿物分析器106に命令を送信することができる。位置310にある尿サンプルは、尿検査ストリップ読み取り器104および尿沈殿物の分析器106の両方によって分析されている。
【0039】
図3に示される実施形態において、尿の作業領域マネージャー(UWAM)は、以下のタスクの1つ以上の実行を担うことができ、そのタスクとは、
・尿サンプルを分析するために、ホストから命令をダウンロードすること
・尿サンプルを分析するために、尿検査ストリップ読み取り器(u611)または尿沈殿物分析器(u711)へ命令を転送すること
・尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の個々の結果を、各サンプルに対する1つの集約結果へと結合すること
・尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器の集約結果の妥当性確認
・結果として生じる検査ストリップの分析および/または尿沈殿物の分析の再実行。いくつかの場合、サンプルをシステム中に手動で取り付けなければならない
・結合された結果を記録すること。結果はホストにアップロードされ得る
である。
【0040】
尿の作業領域マネージャーは、結果の解釈においてオペレーターを手助けする。これは、
・臨界値または検査結果を示す結果にフラグをつけること
・知的なフラグづけ(intelligent flagging)(これはエキスパートシステムに基づく技術的な確認または自動のフラグづけを含む)
により達成され得る。
【0041】
フラグづけは、オペレーターによって構成可能な、あらかじめ定められたルールを用いて実施できる。
【0042】
例えば、オペレーターは、尿の検査ストリップおよび尿の化学分析の間の以下の不一致に対してフラグを設定できる。
【0043】
【表1】

・異なる病理をより正確に描写および特定するために、パラメータとなるサンプルを視覚化する(異なるグラフ表示(例えば棒グラフ)で)。
・システムは、エキスパートシステムを訓練するために、尿分析の結果との診断結果を訂正することによって訓練され得る。
・オペレーターによる手動の妥当性確認(例えば、「未分類の」粒子を有するサンプルの後処理)
【0044】
この工程は、尿分析結果の非常に分かりやすい妥当性確認という利点を提供する。
【0045】
尿沈殿物中の粒子をより正確に特定するために、尿を希釈することも可能である。尿を前もって薄めることは、尿ストリップの分析結果または他の検査結果に基づく。以下の基準は、尿の希釈を命令するために用いられ得る。
【0046】
a)尿ストリップの分析に基づく場合
尿の希釈は、以下の結果が測定される際はいつでも命令される。
・白血球:3+(範囲500/μl)
・赤血球/Hb:4+(範囲150/μl)
・亜硝酸塩陽性(緩解値による高陽性)
・前述した3つの水準の組み合わせ、例えば赤血球が3+(範囲50/μl)かつ白血球が2+(範囲100/μl)の場合など。希釈が必要なサンプルは、基準の組み合わせを検討するエキスパートシステムを用いて判断することもできる。
【0047】
理学的な細胞測定(PMC)の結果
・尿が濁っている
・尿の色
b)尿沈殿物分析器の結果に基づく場合
・濁ったサンプル(例えば多量の上皮細胞)
・特別な場合、オペレーターにより特定される
【0048】
現在の尿沈殿物分析器は、尿サンプルの成分を測定するために、所定の数の画像を解析する。例えば、尿沈殿物分析器は、分析のために5、10、15または20の画像を作り出すよう命令される。多くの場合、正確な結果が得られたことを確かめるためには、15の異なる画像のサンプルが必要である。高速スクリーニングモードを用いることにより、尿沈殿物分析器は必要な画像の数を減少させることができる。画像の獲得および解析は、尿サンプルの分析においてネックであるので、画像の数の減少は好都合である。例えば、最初の5つの画像において、画像が密集していて良い結果が得られない場合には、この検査は終了され得る。所定の数の結果が互いに一致すれば、検査結果はより少数のフレームを与えられる。この結果が尿検査ストリップ読み取り器と一致する場合、結果はとりわけ正確である。
【0049】
図4は、尿分析の結果を示す図式的なディスプレイ400の一例を示す。領域402は、尿の検査ストリップまたは化学分析の概要を示す。領域404は、一連の画像に対する尿沈殿物分析器の結果の概要を示す。406は、尿沈殿物分析器によって得られた画像を表示する領域を示す。領域408は、領域406に表示される画像に対する、尿沈殿物分析の概要を示す。領域410は、一連の15の画像それぞれに対する尿沈殿物分析の、図式的な概要を示す。一連のクリック可能なボタンが存在し、これらは尿沈殿物分析結果の表示を操作するためのユーザー・インタフェース412である。異なる画像を選択でき、これら画像はさらに詳細に検査され得る。ボタン414は、尿分析の図式的なディスプレイを閉じるための、クリック可能なユーザー・インタフェースである。領域410は図式的な概要を示し、これによりオペレーターは、全てが一緒に表示されている画像それぞれの内容物の概要を見ることができる。
【0050】
領域410には横軸416が存在し、それぞれの番号は、尿沈殿物分析器によって分析された画像を表す。縦軸418は、それぞれの画像中にある様々な粒子の相対量を示す。この特定の実施例においては、画像のうち2つ、すなわち画像5および画像12が多量の赤血球を有することが分かる。横軸416の下には、セレクタ422が存在する。オペレーターは、どの画像406を表示するかを選択するために、画像の番号の下をクリックできる。セレクタ422中のボタン424は、現在の画像が画像番号12であることを示す。領域410では、未分類の粒子(UNC)426、酵母菌428、および白血球430も示されている。
【0051】
領域410によりオペレーターは、尿沈殿物分析の間に用いられた様々な画像が一貫性のある結果を示しているか、またはいくつかの画像はより詳細に検査されるべきかを、迅速に見ることができる。様々な沈殿物の全てが最初のいくつかの画像に対して非常に一定である場合、分析を短くできると共に、高速スクリーニングモードにふさわしいとみなすことができる。ここで示された実施例においては、いくつかの画像は比較的高濃度の赤血球を示し、これは深刻な健康問題を示唆する。
【0052】
自動の尿沈殿物分析器は、尿沈殿物の濃度が非常に高い場合に画像が「密集する」という欠点を有する。つまり、非常に多くの沈殿物が重なるので、パターン認識ソフトウェアが適切に機能できない。この場合、尿サンプルを希釈し、もう一度尿沈殿物分析器を用いて分析しなければならない。本発明を用いれば、このような状況の発生はストリップの分析結果によって検出され、希釈は、尿沈殿物分析よりも前に自動的に行われ得る。ディスプレイ406は、尿沈殿物分析器を用いて得られた画像を示す。
【0053】
画像406得るために用いられるものと同一の光学系を用いて、ユーザーが顕微鏡を手動で操作する尿沈殿物分析器に、顕微鏡の機能性が導入され得る。ユーザーが手動で操作するとは、ユーザーが沈殿物分析器の入力キーを介して顕微鏡を操作できるということである。いくつかの実施形態においては、顕微鏡は専用のハードウェア・コントロールを介して操作することもできる。ユーザーは、これに限定するわけではないが、視野および焦点などの顕微鏡のパラメータを、操作できる。この完全に自動化された顕微鏡インタフェースを用いることは、示唆された問題がより詳細に調べられ得るという結果を招く。例えば、結果に信憑性がなかった場合、未分類の粒子が存在するか、結果が密集する。この光学系を用いることにより、オペレーターは画像を検査し、尿沈殿物分析器から、異常または疑わしい結果の理由を決定できる。
【0054】
これは、尿沈殿物分析が終了した後に尿サンプルが後で分析される場合よりも、より効率的なワークフローを可能にする。尿沈殿物分析器の顕微鏡の機能性を用いて、尿サンプルからの顕微鏡画像の解析は、通常のワークフローへと統合され得る。原則的に、尿沈殿物分析器は、顕微鏡モードで作動される。本明細書で定められる顕微鏡モードとは、尿沈殿物分析器の光学系が手動で操作される顕微鏡として用いられる、尿沈殿物分析器の操作モードである。
【0055】
実際には、画像を調べるオペレーターは、実験室内にいる必要はない。例えば、医者または専門家のオペレーターは、尿サンプルの結果を遠隔的に検査することができる。オペレーターは検査後、サンプルが再び検査されるべきか、または結果を説明する検査結果に記録を加えられるかを決定できる。
【0056】
顕微鏡モードを用いるワークフローは、調査後に、尿沈殿物分析器を用いて手動で測定を繰り返すことを判断すること以外は、通常の測定と同様である。これは、すでに自動の沈殿物分析に使用されたものと同じキュベット、または同一サンプルのために準備され得る新しいキュベットを用いて実行できる。
【0057】
この顕微鏡を用いて実行できるワークフローの一例は、
・手動の調査を伴った、尿沈殿物分析器の再実行が決定される。もう一度測定されるべきサンプルの数および検査パラメータ(沈殿物パラメータ)が決定される。
・もう一度測定されるべき尿サンプルが、尿沈殿物分析器の入力緩衝域内に置かれる。
・サンプルIDおよびラックIDが確かめられる。
・サンプルがピペットでキュベット内へと置かれ、遠心分離機にかけられ、ゆえに手動分析への準備が整うとすぐに、尿作業分析器は自動的に、顕微鏡モードに変わる。
・手動モードにおいて、オペレーターは画像の位置、画像の焦点および撮られるサンプルの画像の数を自由に選択できる。画像の数は、原則的には自由裁量でよい。
・手動で撮られた画像はオペレーターにより評価されるか、および/または画像処理が、画像を解析して粒子の種類および数の一覧を戻すこともできる。
・手動または自動で得られた結果はすべて、サンプルの記録および検査結果に添付される。医者は、システムにより測定された検査結果をすべて利用でき、医者は、オペレーターが顕微鏡モードを実行したという認識をもつだろう。
【0058】
顕微鏡モードが用いられ得る理由として考えられるものは、病理が疑わしい場合、非常に稀な種類の粒子である場合、粒子の濃度が高すぎて画像が密集し、細胞の濃度が決定できない場合、および画像処理から結果が得られない場合を含む。非常に稀な種類の粒子の一例として、病理円柱が挙げられ、これは腎臓の病気を示す細胞の円柱状の塊である。
【0059】
本実施形態の利点は、付加的な顕微鏡が実験室に必要ないという点である。
【0060】
図5は、図式的に示される、尿ストリップ分析および尿沈殿物分析に対する結果の概観の一例である。図5は、化学分析または尿検査ストリップ分析の概要500、および尿沈殿物分析の概要502を示す。この結果の概観にあるデータは、オペレーターが、結果が危険な結果または肯定的な結果を示す結果であることを気づくように、色分けまたは色づけされる。この図において504で示される結果は、危険ではないと考えられる。506で示される結果は、健康問題を示さないかもしれないが、示すおそれもあるので注意が必要である。508で示される結果は、陽性の結果であると考えられる。この場合、化学分析および沈殿物分析の結果は明白である。
【0061】
尿検査ストリップ分析または尿沈殿分析の結果は、図5において図式的に示される。棒グラフにおいて、情報を表示することには多くの可能性がある。
【0062】
例えば色は、結果をコード化するために用いられ得る。例えば、緑色が結果が危険でないことを示し、黄色が結果がオペレーターまたは医者により調べられる必要があることを示し、赤色が結果が陽性であることを示してもよい。例えば、多数の赤血球が尿中に存在する場合などである。結果の色分けおよび閾値は、本システムのオペレーターまたはユーザーによって特定され得る。
【0063】
棒グラフの目盛は、重要な情報を示すためにも用いられ得る。例えば目盛付けは、オペレーターが、尿検査ストリップの分析器による分析または尿沈殿物分析器による分析が、閾値とどのように比較されるかを見ることができるように、標準化され得る。閾値はオペレーターによって選択されるか、または医学的関連性によるシステムにおける規定値として設定される。色もまた、オペレーターによって選択されるかシステムにおける規定値として設定され、測定結果によって表示される。
【0064】
図6は、尿の作業領域100の、コンピューター・ネットワークへの統合を描く。ここでは、尿の作業領域100が示されている。尿の作業領域100は、互いに接続して示される尿検査ストリップ読み取り器104および尿沈殿物分析器106を有する。尿の作業領域は、データおよび図式的な情報を表示するためのディスプレイ118も有する。尿の作業領域マネージャーは示されていないが、独立したコンピューターであるか、または尿検査ストリップ読み取り器104または尿沈殿物分析器106に組み込まれるものでもよい。現地ユーザー600は、ディスプレイ118およびユーザー・インタフェース116を用いて尿の作業領域100を操作できるオペレーターである。検査結果はUSBドライブのような外部記憶装置に記録され得る。
【0065】
尿の作業領域マネージャーは、尿の作業領域マネージャーを保護するためにファイアウォール604に接続される。このファイアウォールは、ソフトウェアとして導入されるか、または分離したハードウェアのファイアウォールでもよい。コンピューター・ネットワークを通して、種々のシステムおよび人々が、尿の作業領域100から情報を検索し、また命令を送ることができる。
【0066】
アイテム606は、尿の作業領域100の遠隔ユーザーである。遠隔ユーザー606は、尿の作業領域マネージャーに指令または命令を送る医者であってもよい。例えば、遠隔ユーザー606は尿サンプルの一団を分析するように命令を送信し、調査モードで分析されるべき特定の尿サンプルを選択し、または顕微鏡モードにおいて尿沈殿物分析器の光学カメラを遠隔に使用することも可能である。これは、多忙な医者が、実験室まで行く必要なしに、自身のオフィスという便利な場所から尿サンプルを調べることを可能にする。
【0067】
アイテム608は、健康管理の情報の技術環境への接続である。アイテム608は例えば、医学実験のプロセスによって生み出された情報を受信、処理、および記録する情報システムである。アイテム608はまた、病院の経営上、財政上、および臨床上の側面を管理する病院情報システムまたは臨床情報システムを含むこともできる。健康管理の情報の技術環境と接続することは、実験室におけるよりよいワークフローを可能にし、また検査結果が、患者の医療記録により改善されて統合されることを可能にする。
【0068】
アイテム610は工場への接続である。これは、尿の作業領域100の製造者が、尿の作業領域100を観察、さらには性能向上することを可能にする。アイテム612は、サービスの代表者への接続を表す。これは、サービスの代表者が、問題が生じた際に病院まで赴くことなくシステムの解析を迅速に行えることから、有利である。これは、サービスコストを減少させ、また尿の作業領域100の中断時間も減少させる。最後に、分析結果を印刷するための印刷機614もまた、ファイアウォールに接続され得る。
【符号の説明】
【0069】
100 尿の作業領域
102 尿の作業領域マネージャー
104 尿検査ストリップ読み取り器
106 尿沈殿物分析器
108 尿の作業領域マネージャーと尿検査ストリップ読み取り器との間のインタフェース
110 尿の作業領域マネージャーと尿沈殿物分析器との間のインタフェース
112 ハードウェア・インタフェース
114 マイクロプロセッサ
116 ユーザー・インタフェース
118 ディスプレイ
120 コンピューター・プログラム製品
122 機械が実行可能な命令
124 エキスパートシステム
300 ホスト
302 尿の作業領域を制御するネットワーク・インタフェース
304 コマンド302の結果
306 尿検査ストリップの分析前の尿サンプル
308 尿沈殿物分析器の分析前の尿サンプル
310 尿検査ストリップの分析および尿沈殿物の分析の両方が終了した後の尿サンプル
312 尿検査ストリップ読み取り器および尿沈殿物分析器を制御するインタフェース
314 尿検査ストリップの分析結果
316 尿沈殿物の分析結果
400 尿分析の図式的なディスプレイ
402 検査ストリップの分析結果を示す領域
404 尿沈殿物の分析結果を示す領域
406 尿沈殿物分析器によって得られた画像
408 画像406に関する尿沈殿物分析の概要
410 一連の15の画像に関する尿沈殿物分析の図式的な概要
412 尿沈殿物分析結果のディスプレイを制御するユーザー・インタフェース
414 尿分析の図式的なディスプレイを閉じるためのユーザー・インタフェース
416 横軸
418 縦軸
420 白血球の数
422 セレクタ
424 ボタン
426 未分類の粒子の量
428 酵母菌の量
430 白血球の量
500 化学分析または尿ストリップの分析の結果
502 尿沈殿物の分析結果
504 危険でない結果
506 調べられるべき結果
600 現地ユーザー
602 記憶装置
604 ファイアウォール
606 遠隔ユーザー
608 健康管理のIT環境(実験室情報システム)
610 工場へのリモート接続
612 サービスの代表者へのリモート接続
614 印刷機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿検査ストリップ読み取り器(104)および尿沈殿物分析器(106)を制御するための尿の作業領域マネージャー(102)であって、
a)機械が実行可能な命令(120、122、124)を実行するように適合される演算器(114)と
b)前記尿検査ストリップ読み取り器および前記尿の作業領域マネージャーの間で、コマンドおよびデータを伝達するように適合される第1インタフェース(108、312)と、
c)前記尿沈殿物分析器および前記尿の作業領域マネージャーの間で、コマンドおよびデータを伝達するように適合される第2インタフェース(110、312)と、
d)以下の工程、すなわち
−前記尿検査ストリップ読み取り器に、前記第1インタフェースを用いて複数の尿サンプルを分析するよう命令する工程(200)と、
−前記第1インタフェースを介して前記尿検査ストリップ読み取り器からストリップの分析結果を読み取る工程(202)であって、前記尿の作業領域マネージャーが、前記尿沈殿物分析器を制御するための制御命令を発生させるために、前記結果を用いるために操作可能であり、
−前記ストリップの分析結果を用いて第1の命令セットを発生させる工程(204)と、
−前記尿沈殿物分析器に、前記第1の命令セットを備える前記第2インタフェースを介して、前記複数の尿サンプルを分析するように命令する工程(206)と、
前記第2インタフェースを用いて、前記尿沈殿物分析器から沈殿物の分析結果を受信する工程(208)と
を実行するための、機械が実行可能な一連の命令(122)と
を含む尿の作業領域マネージャー。
【請求項2】
前記機械が実行可能な一連の命令がさらに、
前記ストリップの分析結果および前記沈殿物の分析結果が、所定の閾値に関して一致しない複数の尿サンプルのサブグループサブグループを特定する工程と、
前記尿沈殿物分析器および/または前記尿検査ストリップ読み取り器に、前記サブグループサブグループ中の尿サンプルを再分析するように命令する工程と
を含む請求項1記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項3】
前記ストリップの検査結果を用いる前記第1の命令セットを発生させる工程が、
前記複数のサンプルのそれぞれが、第1の所定条件と合致しているかを決定するために、前記ストリップの分析結果を確かめる工程と、
前記尿沈殿物分析器または前記尿検査ストリップ読み取り器に、それぞれの尿サンプルを、前記第1の所定条件と合致するように希釈させる命令を発生させる工程と
を含む請求項1または2記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項4】
前記尿の作業領域マネージャーが、画像を表示するように適合されたディスプレイ(118)をさらに含み、前記機械が実行可能な命令がさらに、
前記沈殿物分析器によって、前記サブグループサブグループ中の各尿サンプルに対して得られた少なくとも1つの画像を表示する工程と、
前記尿サンプルが前記サブグループサブグループの中に留まるべきか、前記サブグループサブグループから除外されるべきかを示す、前記サブグループサブグループ中のそれぞれの尿サンプルに対するオペレーターからの入力を受信する工程と
前記尿沈殿物分析器に、前記サブグループサブグループ中の尿サンプルを再分析するよう命令する前に、前記入力によって示された各尿サンプルを前記サブグループサブグループから除外する工程と
を含む請求項2または3記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項5】
前記機械が実行可能な命令がさらに、
それぞれの画像解析結果が得られるにつれて、前記尿沈殿物分析器から一連の画像解析結果を受信する工程と、
全ての画像解析結果が統計学的閾値内である場合に、さらなる画像解析結果の獲得を停止する工程と
を含む請求項1〜4のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項6】
前記機械が実行可能な命令がさらに、
調査モードで前記尿サンプルを分析するという命令を受信する工程と、
前記尿沈殿物分析器に、第1の所定数の画像を用いて前記尿サンプルに対する一連の画像解析結果を手に入れるように命令する工程と
を含む請求項1〜5のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項7】
前記尿の作業領域マネージャーがディスプレイ(118)をさらに含み、前記尿の作業領域マネージャーがユーザーの入力を受信するように適合されたグラフィカル・ユーザー・インタフェース(116)をさらに含み、前記機械が実行可能な命令がさらに、
前記ストリップの分析結果および前記沈殿物の分析結果の概要を、前記ディスプレイ上に表示する工程と
各尿サンプルに対する前記ストリップの分析結果および前記沈殿物の分析結果の是認または否認を示し、代替的には前記結果に対するコメントを編集および/または添付するオペレーターからの入力を受信する工程と
を含む請求項1〜6のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項8】
前記尿検査ストリップ読み取り器が作動中に尿を分注するための針を含み、前記機械が実行可能な命令がさらに、前記第1インタフェースを介して前記尿検査ストリップ読み取り器に、前記針を洗浄し、前記サブグループサブグループ中の尿サンプルを再分析するように命令する工程を含む請求項2〜7のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項9】
前記尿の作業領域マネージャーがディスプレイ(118)をさらに含み、前記機械が実行可能な命令がさらに、前記尿沈殿物分析器に前記サブグループサブグループの一部である前記尿サンプルを再分析するよう命令する前に、前記複数の尿サンプルの内のどれが前記サブグループサブグループの一部であるかを図式的に表示する工程を含む請求項2〜8のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項10】
前記尿の作業領域マネージャーがディスプレイ(118)をさらに含み、前記尿の作業領域マネージャーが、少なくとも2つの画像を含む沈殿物の分析結果を受信するように適合され、前記機械が実行可能な命令がさらに、前記少なくとも2つの画像のそれぞれにおいて、異なる種類の沈殿物の相対数を図式的に表示する工程を含む請求項2〜9のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項11】
前記尿の作業領域マネージャーがディスプレイ(118)をさらに含み、前記機械が実行可能な命令が、前記ストリップの分析結果および前記沈殿物の分析結果の概要を図式的に表示する工程をさらに含み、前記ストリップの分析結果が少なくとも1つの化学分析を含み、前記沈殿物の分析が少なくとも1種類の粒子の量を特定し、前記概要が基準化されたグラフを用いて、前記少なくとも1つの化学分析および前記少なくとも1種類の粒子の量を示す請求項1〜10のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項12】
前記尿の作業領域マネージャーがディスプレイ(118)をさらに含み、前記尿の作業領域マネージャーが顕微鏡セレクタをさらに含み、前記機械が実行可能な命令が、前記顕微鏡セレクタが選択された場合に顕微鏡コントロール・インタフェースを作動させる命令を含み、前記顕微鏡コントロール・インタフェースが、ユーザーの入力を受信し、前記第2インタフェースを介して前記尿沈殿物分析器に送信される顕微鏡の制御命令を作り出すように適合され、前記ディスプレイが、前記沈殿物分析器から前記第2インタフェースを介して受信された顕微鏡の画像を表示するように適合される請求項1〜11のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項13】
前記機械が実行可能な命令がさらに、以下の状況、すなわち、前記尿の作業領域マネージャーが調査モードで作動されている際に、前記尿沈殿物の分析結果が、第2の所定数の未分類の粒子よりも多くの粒子を含有する場合、および前記尿沈殿物の分析結果が、第3の所定数の粒子よりも多くの粒子を含有する場合のいずれかが生じる場合にはいつでも信号を出力させる命令を含む請求項12記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項14】
前記尿の作業領域マネージャーが前記尿沈殿物分析器と同一のハウジング内に位置付けられ、前記尿の作業領域マネージャーおよび前記尿沈殿物分析器が、同一の演算器を用いて作動され、前記第2インタフェースがソフトウェアに導入される請求項1〜13のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー。
【請求項15】
尿検査ストリップ読み取り器(104)と、
尿沈殿物分析器(106)と、
請求項1〜14のいずれかに記載の尿の作業領域マネージャー(102)と
を含む尿の作業領域。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−39046(P2011−39046A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−165091(P2010−165091)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】