説明

尿酸オキシダーゼ

【課題】尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)タンパク質およびそれをコード化している核酸分子及び有用なその断片、該核酸分子を含んでいるベクター、該ベクターを含んでいる宿主細胞及びウリカーゼタンパク質及び核酸分子を使用し作製する方法を提供する。
【解決手段】特に減少した免疫原性および増加した生物利用能を持つ改良された修飾ウリカーゼタンパク質を作るための中間体として特に有用であるウリカーゼタンパク質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は1998年8月6日に出願された米国特許仮出願第60/095,489号(全内容が本明細書において援用される)の利益を請求する。本明細書に開示されている本発明は、米国国立保健研究所から与えられた補助金番号DK48529により、米国政府の支援のもとで行われた。政府は本発明にある種の権利を持っている。
【0002】
本発明は、一般に尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)タンパク質およびそれをコード化している核酸分子に関している。特に、本発明は例えば、減少した免疫原性および増加した生物利用能を持つ改良された修飾ウリカーゼタンパク質を作るための中間体として特に有用であるウリカーゼタンパク質に関している。本発明の好適な修飾ウリカーゼタンパク質には、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキサイド)へ共有結合で結合されたウリカーゼタンパク質が含まれる。従って、本発明はウリカーゼタンパク質、該タンパク質へ特異的に結合する抗体、ウリカーゼタンパク質をコード化している核酸分子および有用なその断片、該核酸分子を含んでいるベクター、該ベクターを含んでいる宿主細胞およびウリカーゼタンパク質および核酸分子を使用するおよび作製する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
痛風は40歳以上の男の人における最も普通な炎症性関節疾患である(Roubenoff 1990)。疼痛性痛風性関節炎は、尿酸の血中レベルが上昇し(高尿酸血症)、尿酸一ナトリウム 一水和物の顕微鏡的結晶の挿間的形成が関節で起こった場合に生じる。時間が経過すると、慢性高尿酸血症はまた関節周囲、軟組織中およびいくつかの器官での破壊的結晶性尿酸沈着(痛風結節)を起こす(Hershfield 1996)。尿酸は尿への溶解度が限られており、過剰に分泌されると(高尿酸尿)腎結石(尿酸結石)を起こす。ある種の悪性腫瘍の患者において(特に白血病およびリンパ腫)、著しい高尿酸血症および高尿酸尿症(促進された腫瘍細胞代謝回転および化学療法の間の溶解による)は急性、閉塞性腎疾患に対する容易ならない危険性を生じさせる(Sandberg et al.1956;Gold and Fritz 1957;Cohen et al.1980;Jones et al.1990)。重度の高尿酸血症および痛風は、器官同種移植片拒否反応を防ぐためのシクロスポリン治療を含む種々の原因による腎機能不全に関連している(West et al.1987;Venkataseshan et al.1990;Ahn et al.1992;Delaney et al.1992;George and Mandell 1995)。
【0004】
高尿酸血症は尿酸の過剰産生および排出不足の両方で起こりうる(Hershfield and Seegmiller 1976;Kelley et al.1989;Becker and Roessler 1995)。軽度の場合、高尿酸血症は食餌療法で制御できるが、宣告されおよび重度の臨床的結果が付随する場合は、尿酸排出を促進する尿酸排泄薬(もし腎機能が低下していると有効ではない)または尿酸形成を阻止するキサンチンオキシダーゼ阻害薬アロプリノールの様な薬剤による処置を必要とする。アロプリノールは結節性痛風、腎不全、白血病およびいくつかの遺伝性障害を持つ患者における治療の頼みの綱である。高尿酸血症での処置は一般的に有効であり十分に許容されている。しかしながら、変質した、不適格になった結節性痛風を患っている患者はすべての通常の治療では治りにくい(Becker 1988;Fam 1990;Rosenthal and Ryan 1995)。さらに、アロプリノールで処置された患者の2%にはアレルギー反応が発生し、約0.4%で重度の過敏性症候群が起こる(Singer and Wallace 1986;Arellano and Sacristan 1993)。このしばしば生命を脅かす症候群は急性腎および肝不全および重度の皮膚障害(中毒性表皮壊死、剥脱性皮膚炎、多形性紅斑、スティーヴェンズ−ジョンソン症候群)を起こすことができる。アロプリノールはまた、白血病の処置におよび器官同種移植片拒絶反応の防止に使用される薬剤であるアザチオプリンおよび6−メルカプトプリンの代謝を妨害し、その状態では著しい高尿酸血症が起こり、重度の痛風を起こすか、または腎機能を脅かすであろう。
【0005】
究極的には、高尿酸血症は進化の間における尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)ヒト遺伝子の突然変異的不活性化の結果である(Wu et al.1989;Wu et al.1992)。ほとんどの非ヒト霊長類および他の哺乳類の肝臓ペルオキシソーム中の活性なウリカーゼは尿酸をアラントイン(+CO2およびH2O2)に変換し、それは尿酸よりも80−100倍可溶性であり、腎臓でより効率的に処理される。アスペルギルス フラーブス(Aspergillus flavus)から調製された非経口的ウリカーゼ(UricozymeR,Clin−Midy,Paris)がフランスおよびイタリアで20年以上にわたって白血病化学療法に関連した重度の高尿酸血症を治療するために使用されており(London and Hudson 1957;Kissel et al.1968;Brogard et al.1972;Kissel et al.1972;Potaux et al.1975;Zittoun et al.1976;Brogard et al.1978;Masera et al.1982)、米国において白血病患者の最近の臨床試験でも使用されている(Pui et al.1997)。ウリカーゼはアロプリノールよりも迅速に作用を示す(Masera et al.1982;Pui et al.1997)。痛風患者において、ウリカーゼ注入は急性発作を中断させ、痛風結節の大きさを減少させることができる(Kissel et al.1968;Potaux et al.1975;Brogard et al.1978)。
【0006】
化学療法の短期間の間の急性高尿酸血症を治療するには有効であるが、A.フラーブス ウリカーゼの毎日の注入は再発または結節性痛風を治療するには重大な欠点がある。加えて、A.フラーブス ウリカーゼの効力は抗ウリカーゼ抗体を発生する患者では急速に減弱する(Kissel et al. 1968;Brogard et al.1978;Escudier et al.1984;Mourad et al.1984;Sibony et al.1984)。アナフィラキシーを含む重度のアレルギー反応が起こっている(Donadio et al.1981;Montagnac and Schillinger 1990;Pui et al.1997)。長い時間働き、免疫原性がより少ないウリカーゼ製剤が長期的治療で明らかに必要とされている。
【0007】
プロテアーゼおよび免疫系から外因性酵素を隔離する一つの方法は、不活性で、無毒のポリマー、モノメトキシポリエチレングリコール(PEG)をタンパク質の表面へ共有結合で結合させることである(Hams and Zalipsky 1997)。Mr〜1.000から>10,000のPEGの使用は、動物においていくつかの外来タンパク質の循環寿命を延長させ、免疫原性を減少させることを最初に示している(Abuchowski et al.1977a;Abuchowski et al.1977b;Davis et al.1981a;Abuchowski et al.1984;Davis et al.1991)。1990年、Mr5000のPEGで修飾されたウシアデノシンデアミナーゼ(ADA)(PEG−ADA、ADAGENR、Enzon,Inc.により製造された)がADA欠乏による重度の複合免疫不全症の処置(Hershfield et al.1987)に米国食品薬品局により認証された最初のPEG化タンパク質になった。過去12年以上にわたる経験は、PEG−ADAによる長期的処置の間に、ほとんどの患者で高感度ELISAを用いると抗ADA抗体は検出できるが、アレルギーまたは過敏性反応は起こっておらず;少数の抗ADA抗体産生患者でPEG−ADAの加速されたクリアランスが起こっているが、これは通常一時的な効果であったことを示している(Chaffee et al.1992;Hershfield 1997)。ADA欠損患者の免疫機能は通常、PEG−ADAによる処置の間に正常にはならないことを理解すべきである(Hershfield 1995;Hershfield and Mitchell 1995)。従って、正常な免疫機能を持つ患者の長期的処置のためのPEG化タンパク質の開発において、免疫原性がより重大な問題であろう。
【0008】
免疫原性とは、抗原製剤(PRG修飾タンパク質または非修飾タンパク質のような)の注射による免疫応答誘導に関連しており、一方、抗原性とは抗原と前から存在している抗体との反応を意味していることを当業者は理解するであろう。集合的に、抗原性および免疫原性が免疫反応性と称される。PEG−ウリカーゼの従来の研究において、免疫反応性は:インビトロでのPEG−ウリカーゼと前もって形成された抗体との反応;誘導された抗体合成の測定;および反復注射後の促進されたクリアランス速度を含む種々の方法により評価されてきた。
【0009】
PEG化は免疫原性を減少させ、動物において真菌およびブタウリカーゼの循環寿命を延長することが示されている(Chen et al.1981;Savoca et al.1984;Tsuji et al.1985;Veronese et al.1997)。PEG修飾カンジダ(Candida)ウリカーゼは5人の正常尿酸血を持つボランティアにおいて血清尿酸を検出できないレベルまで急速に低下させた(Davis et al.1981b)。Enzon,Inc.で製造されたPEG化アルスロバクター(Arthrobacter)ウリカーゼが、腎不全および著しい高尿酸血症を示していたリンパ腫を持つアロプリノール過敏性患者を処置するために実験的に使用された(Chua et al.1988;Greenberg and Hershfield l989)。約2週間に4回、筋肉内注射で投与された。この短期間の間に、高尿酸血症が制御され、患者の血清中の抗ウリカーゼ抗体はELISAでは検出できなかった。この製剤のさらなる使用および臨床開発は続行されていない。
【0010】
現在まで、長期的治療において安全におよび信頼できるように、適当に長い循環寿命を持ちおよび十分に免疫原性が低められたウリカーゼまたはPEG−ウリカーゼの形は開発されていない。本発明の目的は、PEG化と組み合わせて、これらの要求を満たすことができるウリカーゼの改良形を提供することである。本発明は、潜在的免疫原性エピトープを覆い隠すため、PEG化の能力を促進することが示されている様式で突然変異により修飾された、哺乳動物由来の独特な組換え体ウリカーゼである。
【発明の概要】
【0011】
発明の要約
新規ウリカーゼタンパク質およびそれをコード化している核酸を提供するのが本発明の一般的目的である。
【0012】
本明細書に記載されているような、組換え的に産生されたウリカーゼタンパク質を精製する方法を提供するのも本発明の別の目的である。
本発明のウリカーゼタンパク質を含んでいる組成物を哺乳動物に投与することにより体液中の尿酸量を減少させる方法を提供するのが本発明のさらなる目的である。
【0013】
本明細書に記載したウリカーゼタンパク質に対する抗体を提供するのも本発明のさらに別の目的である。
本明細書に記載されている核酸配列を含んでいるベクターおよび宿主細胞、およびそれによりコードされているウリカーゼタンパク質を産生するためにそれらを使用する方法を提供するのも本発明の別の目的である。
【0014】
本発明は、非修飾酵素の尿酸分解活性のほとんどすべてを保持し、実質的に非免疫原性であるPEG−ウリカーゼを生成するために使用されるウリカーゼタンパク質を提供する。尿酸分解活性は本明細書ではmgタンパク質当たりの国際単位(IU)で表現されており、ここでウリカーゼ活性のIUは分当たり1マイクロモルの尿酸を消費する酵素量として定義されている。
【0015】
本発明は一つまたはそれ以上のリジン残基を挿入するように修飾されている哺乳動物種の組換え体ウリカーゼタンパク質を提供する。本明細書で使用される場合、組換え体タンパク質とは人工的に生成されたタンパク質であり、天然に生成されるタンパク質(即ち、問題とする特異的タンパク質の天然の遺伝子のみを所有する動物の組織で生成されたもの)とは区別される。タンパク質はペプチドおよびアミノ酸配列を含んでいる。本発明の組換え体ウリカーゼタンパク質は、二つまたはそれ以上の哺乳動物タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸配列のキメラまたはハイブリッドであろう。一つの態様において、本発明は哺乳動物種の組換え体ウリカーゼタンパク質を製造するために使用でき、そのタンパク質は、組換え体ウリカーゼタンパク質のPEG化後のPEG化ウリカーゼ生成物が実質的に非修飾ウリカーゼと同様に酵素的に活性であり、およびPEG化ウリカーゼ生成物が受容可能な免疫原性である点までリジンの数を増加するように修飾されている。本発明の端が切断されたウリカーゼもまた考慮されており、ウリカーゼのアミノおよび/またはカルボキシ末端は存在していないであろう。好適には、該ウリカーゼはリジンが除去されない程度に端が切断されているであろう。
【0016】
対になったウリカーゼ−担体複合体は、ウリカーゼの酵素活性を実質的に減少させるほど多くの結合を、または受容不可能な免疫原性が残存するほど少ない結合を含んでいてはならないことを当業者は理解するであろう。好適には、複合体は非修飾ウリカーゼタンパク質の尿酸分解活性の少なくとも約70%から約90%を保持し、一方、非修飾ウリカーゼタンパク質と比較して貯蔵で、哺乳動物血漿および/または血清中、生理学的温度でその酵素的活性を保持するようにより安定であろう。尿酸分解活性の約80%から約85%の保持が受容可能であろう。さらに、好適な態様において、該複合体は非修飾ウリカーゼタンパク質よりも実質的に減少した免疫原性および/または免疫反応性を提供する。一つの態様において、本発明は、ウリカーゼタンパク質に含まれているリジンの少なくとも一つに共有結合で結合された、PEGのような無毒で、非免疫原性で、医薬として受容可能な担体の結合により修飾できるウリカーゼタンパク質を提供する。もしくは、ウリカーゼタンパク質はそのアミノ酸配列の約10未満のリジンを通した、担体への共有結合での結合により修飾されている。2、3、4、5、6、7、8または9つの任意のリジンへの結合が別の態様で考慮されている。
【0017】
本発明のウリカーゼタンパク質はブタおよびヒヒ肝臓ウリカーゼタンパク質のセグメントを含む組換え分子である。修飾ヒヒ配列もまた提供される。一つの態様において、本発明はブタウリカーゼのアミノ酸(aa)1−225(配列ID番号:7)およびヒヒウリカーゼのaa226−304(配列ID番号:6)を含むキメラのブタ−ヒヒウリカーゼ(PBCウリカーゼ(配列ID番号:2))を提供する(図5の配列も参照されたい)。別の態様において、本発明はブタウリカーゼのアミノ酸(aa)1−228およびヒヒウリカーゼのaa229−304を含むキメラのブタ−ヒヒウリカーゼ(PKSウリカーゼ)を提供する(配列ID番号:4)。PBCおよびPKSの端が切り取られた誘導体もまた考慮される。好適な端切断誘導体形は、6アミノ末端アミノ酸または3カルボキシ末端アミノ酸またはその両方が欠失するように切断されたPBCおよびPKSタンパク質である。代表的配列は配列ID番号:8(PBCアミノ切断)、9(PBCカルボキシ切断)、10(PKSアミノ切断)および11(PKSカルボキシ切断)に示されている。PBCウリカーゼ、PKSウリカーゼおよびそれらの端切断形の各々は、クローン化されている他の哺乳動物ウリカーゼに観察されるよりも1つから4つ以上多いリジン残基を持っている。
【0018】
本発明は本明細書に記載したようなウリカーゼタンパク質および端が切断されたタンパク質をコードしている、単離され、精製されたおよび/またはクローン化された形の核酸分子を含む核酸(DNAおよびRNA)分子(配列)を提供する。好適な具体例は配列ID番号:1(PBCウリカーゼ)および配列ID番号:3(PKSウリカーゼ)に示されている。
【0019】
これらの核酸分子を含んでいるベクター(発現およびクローニング)もまた本発明により提供される。
さらに、本発明はこれらのベクターを含んでいる宿主細胞を提供する。
【0020】
本発明のウリカーゼタンパク質に特異的に結合する抗体も提供される。ブタウリカーゼのアミノ部分に対する抗体およびヒヒウリカーゼのカルボキシ部分に対する抗体は、協同して使用された場合、PBCまたは他の類似のキメラタンパク質の検出に有用であろう。好適には、キメラウリカーゼのアミノ部分に対する抗体はヒヒウリカーゼのアミノ部分を認識できないに違いないし、同様に、キメラウリカーゼのカルボキシ部分に対する抗体はブタウリカーゼのカルボキシ部分を認識できないに違いない。より好適には、抗体はPBCまたはPKSを特異的に結合するが、ブタおよび/またはヒヒウリカーゼのような天然のタンパク質には結合しない。
【0021】
別の態様において、本発明は尿および/または血清または血漿のような体液中の尿酸量を減少させるための医薬組成物の製造に使用でき、それは本明細書に記載した少なくとも一つのウリカーゼタンパク質またはウリカーゼ複合体および医薬として受容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含んでいる。
【0022】
本発明はまた、哺乳動物の体液中の尿酸量を減少させるための方法にも使用できる。該方法は尿酸を減少させるのに有効な量の、本発明のウリカーゼまたはウリカーゼ複合体および希釈剤、担体または賦形剤(好適には医薬として受容可能な担体、希釈剤または賦形剤である)を哺乳動物に投与することを含んでいる。処置されるべき哺乳動物は好適にはヒトである。
【0023】
投与工程は、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内または腹腔内経路による注射であろう。上昇した尿酸レベルは血液または尿中であり、痛風、痛風結節、腎不全、器官移植または悪性腫瘍疾患に関連したものであろう。
【0024】
別の態様において、本発明は、例えば、組換え製造法からの例えば細胞または細胞内破片を含んでいるウリカーゼ溶液から、ウリカーゼを単離および/または精製するための方法を提供する。好適には、精製方法は、約7から約8.5のpHで可溶性である大多数のタンパク質を除くためにこの低いpH範囲で粗組換え体抽出物を洗浄し、その後、活性なウリカーゼを約10から約11のpH(好適には約10.2)で緩衝液(好適には炭酸ナトリウム緩衝液)に可溶化する。可溶化活性ウリカーゼは次にQセファロースカラムのようなアニオン交換カラムにかけ、約pH8.5の緩衝液での低塩濃度から高塩濃度への濃度勾配で洗浄し、その後、約10から約11のpHの炭酸ナトリウム緩衝液での塩化ナトリウム濃度勾配で溶出させることにより精製されたウリカーゼが得られる。酵素は約10から約11のpHでのゲルろ過クロマトグラフィーによりさらに精製される。この段階で、選択的にウリカーゼを沈殿させるために(しかしより可溶性の夾雑物は沈殿しない)約8.5またはそれ未満へpHを低下させることにより本酵素はさらに精製される。低pH(7−8)で洗浄後、ウリカーゼを約10.2のpHで可溶化する。ウリカーゼ調製試料は次に、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、他のクロマトグラフィー法、光散乱、遠心分離および/または電気泳動のような医薬製造の分野で知られている方法により分析できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】SDS−メルカプトエタノールPAGE(12%ゲル)分析。
【図2】天然およびPEG化PBCウリカーゼの循環寿命。
【図3】尿酸の血清および尿濃度と血清ウリカーゼ活性の関係。
【図4】反復注射後におけるウリカーゼ活性の循環寿命(血清で測定された)の維持。
【図5】図5はブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(PBCウリカーゼ)(配列番号:2)および突然変異R291KおよびT301Sを含んでいるブタウリカーゼ(PKSウリカーゼ)(配列番号:4)の演繹されたアミノ酸配列を示しており、ブタ(配列番号:7)およびヒヒ(配列番号:6)配列と比較されている。
【図6】PKS(配列番号:4)およびブタ(配列番号:7)ウリカーゼのアミノ酸配列比較。
【図7】PBC(配列番号:2)およびPKS(配列番号:4)のアミノ酸配列比較。
【図8】PBC(配列番号:2)およびブタ(配列番号:7)ウリカーゼのアミノ酸配列比較。
【図9】ブタウリカーゼ(配列番号:7)およびD3H(配列番号:5)のアミノ酸配列比較。
【図10】PBC(配列番号:2)およびD3H(配列番号:5)のアミノ酸配列比較。
【図11−1】PKS(配列番号:3)およびブタ(配列番号:12)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【図11−2】PKS(配列番号:3)およびブタ(配列番号:12)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【図12−1】PKS(配列番号:3)およびヒヒ(配列番号:13)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【図12−2】PKS(配列番号:3)およびヒヒ(配列番号:13)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【図13−1】PBC(配列番号:1)およびブタ(配列番号:12)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【図13−2】PBC(配列番号:1)およびブタ(配列番号:12)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【図14−1】PBC(配列番号:1)およびヒヒ(配列番号:13)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【図14−2】PBC(配列番号:1)およびヒヒ(配列番号:13)ウリカーゼcDNAのコード配列のベストフィット(GCGソフトウェアー)比較。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、水溶性ポリマー(好適には、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキサイド))とウリカーゼの改良されたウリカーゼ複合体のために有用な中間体であるウリカーゼタンパク質を提供する。本明細書で使用される場合、特に示さない限りウリカーゼとは個々のサブユニットならびに天然のテトラマーを含んでいる。
【0027】
ヒトは活性酵素を作ることはできないが、ウリカーゼmRNA転写体はヒト肝臓RNAから増幅されている(Wu et al.1992)。いくらかのヒトウリカーゼ転写体が翻訳されるのは理論的には可能である;ペプチド生成物が完全長でなく、または不安定であっても、それらは抗原提示細胞により処理され、処置に使用された外因性ウリカーゼに対する免疫応答の決定に役割を果たすことができる。理論的には、二つのナンセンス変異を除去することによりヒトウリカーゼcDNAを再構築および発現することが可能であろう。しかしながら、選択的圧力がない場合、最初のナンセンス変異が導入されてから数百万年の間にヒト遺伝子に有害なミスセンス変異が蓄積されてきたことは非常にありそうである(Wu et al.1989;Wu et al.1992)。最大の触媒活性およびタンパク質安定性を得るためにすべての突然変異を同定および”訂正”することは非常に困難であろう。
【0028】
本発明者は、ヒトウリカーゼの演繹されたアミノ酸配列とブタ(約86%)およびヒヒ(約92%)の配列間には高い度合いの相同性(類似性)が存在するが(類似の尺度の例として図6−14を参照されたい)、一方、ヒトおよびA.フラーブス ウリカーゼ間は<40%であることを認めた(Lee et al.1988;Reddy et al.1988;Wu et al.1989;Legoux et al.1992;Wu et al.1992)。本発明は、より遠い関係の真菌または細菌酵素よりヒトに対して免疫原性が少ないように設計されている二つの異なった哺乳動物から組換え的に生成されたキメラウリカーゼタンパク質を提供する。哺乳動物ウリカーゼ誘導体の使用は患者および医者に対しより受容可能であることが期待される。
【0029】
PEG−ADAの作製および他のタンパク質の修飾に使用されてきた活性化PEGはアミノ末端残基の一級アミノ基(存在し、ブロックされていない場合)およびリジンのイプシロン−アミノ基を攻撃することが経験により示されている。この方法は温和な反応条件が使用できること、および陽性に荷電したリジンはタンパク質の表面に位置する傾向があることなどのため有用である。後の点は、治療的タンパク質にとって、PEG化の望ましい効果はPEGポリマーの特性(例えば、質量、分岐または非分岐構造など)、ならびにエピトープに関連するタンパク質のPEG結合部位の数および分布およびタンパク質の機能およびクリアランスを決定する構造要素に一部依存するであろうから重要である。PEG付加のために半選択的に新規リジン残基を導入することにより、エピトープを覆いおよび免疫原性を減少させるPEG化の能力を促進させる方法が考案されている(Hershfield et al.1991)。この方法は選択されたアルギニンコドンをリジンコドンへ置き換える突然変異発生を用いており、置換は陽性荷電を保ちおよびコンピューター予測の表面確立および抗原性に対して最少の影響しか及ばさない(アミノ酸配列が既知である場合のみ有用である)。
【0030】
この方法の試験的実験として、組換え体大腸菌プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EPNP)(Hershfield et al.1991)が使用された。3つの部位でArgからLysへの置換が導入され、触媒活性を変えることなくサブユニット当たりのリジン数が14から17へ増加された。過剰のジスクシニル−PEG5000による接近可能なNH2基の約70%の修飾後、精製3重突然変異体は完全な活性を保持していた。PEG化前および後の反応性アミノ基の滴定は、3重突然変異体はサブユニット当たり野生型よりも一つ多いPEG鎖に接近できたことを示唆している。PEG化はマウスにおいて野生型および突然変異体EPNP酵素両方の循環寿命を〜4時間から>6日へ増加させた。1週/2週間隔での一連の注射後、両方の非修飾EPNP酵素で処置されたすべてのマウス、およびPEG化野生型EPNPを注射した16匹のうちの10匹(60%)が高レベルの抗EPNP抗体を発生し、循環寿命を著しく減少させた。対照的に、突然変異体PEG−ADAで処置したマウスは12匹の内2匹(17%)が急速なクリアランスを発生した;これらのマウスにおける低レベルの抗体は循環寿命とは相関していない。従って、活性化PEGでの処理後に3つの新しいリジンの内のただ1つが修飾されただけであるが、この方法は実質的に免疫原性を減少させることに成功した。
【0031】
ヒヒおよびブタウリカーゼサブユニットは各々304のアミノ酸から成っており、その29(即ち、約10残基に1つ)はリジンである。最初にヒヒウリカーゼのクローン化cDNA内の2つのArgからLysへの置換、および208位(ヒトウリカーゼ遺伝子でLysであることが知られている)のGluコドンをLysへ置換する試みは、非常に減少したウリカーゼ触媒活性を持つ突然変異体ヒヒタンパク質を発現する結果を与えた。哺乳動物DNAにおけるアルギニンからリジンへの突然変異後、ウリカーゼ酵素活性を維持する能力は予測できないことがこの実験から明らかにされた。
【0032】
その後、ヒヒウリカーゼ中のアミノ酸残基291はリジンであるが、ブタの対応する残基はアルギニンであることが認められた。両方のcDNA中に存在しているApaI制限部位が、最初の225アミノ酸がブタcDNAから誘導され、カルボキシ末端79がヒヒcDNAから誘導されるキメラウリカーゼを構築するために利用された。生じたブタ−ヒヒキメラ(PBC)ウリカーゼ(配列ID番号:2)は30のリジンを持っており、両方の”親”酵素より1つ多い。PBCウリカーゼのさらなる特色は、その”ヒヒ”部分がヒトウリカーゼと79残基の内の4つしか異なっていないことであり、一方、ブタおよびヒトウリカーゼは同じ領域で10残基が異なっている。PBCの修飾体が次に構築され、それは291位の特別なリジンを維持し、ブタウリカーゼとは残基301のスレオニンがセリンに置換されていることが異なっている(”PigKS”ウリカーゼ(配列ID番号:4))。リジンのいくつかの他の挿入は活性に有害であったという前の段落に記載した結果を考慮すると、PBCおよびPKSキメラウリカーゼは突然変異を生じてない天然のブタウリカーゼと比較して同じように十分に活性であることは期待されなかったが、突然変異を生じていない天然のヒヒウリカーゼよりは約4倍以上活性であった。
【0033】
本発明は、ブタおよびヒヒ肝臓ウリカーゼ配列の一部から組み立てられた組換え体ブタ−ヒヒキメラウリカーゼを提供する。そのようなキメラウリカーゼの1つの例はブタウリカーゼ配列(配列ID番号:7)からの最初の225アミノ酸およびヒヒウリカーゼ配列(配列ID番号:6)からの最後の79アミノ酸を含んでいる(ブタ−ヒヒウリカーゼ、またはPBCウリカーゼ;図6および配列ID番号:2)。そのようなキメラウリカーゼの別の例はブタウリカーゼ配列(配列ID番号:7)からの最初の288アミノ酸およびヒヒウリカーゼ配列(配列ID番号:6)からの最後の16アミノ酸を含んでいる。後者の配列はブタ配列と2つの位置でしか異なっておらず(残基291にアルギニンの代わりにリジン(K)および残基301のスレオニンの代わりにセリン(S)を持っている)、この突然変異体はブタ−KSまたはPKSウリカーゼと称される。
【0034】
本発明のタンパク質をコードしている核酸分子を含んでいるベクター(発現およびクローニング)もまた提供される。好適なベクターは本明細書で例示したようなものを含んでいる。当業者はプラスミドのような発現ベクター内へ、発現のために適切な配向でおよび正しい読み枠に核酸が挿入されることを認識するであろう。必要に応じ、核酸(DNA)は所望の宿主により認識される適当な転写および翻訳制御ヌクレオチド配列へ連結されるであろうが、そのような制御要素は一般的に本分野で使用されおよび既知である発現ベクターで入手可能である。ベクターは続いて標準技術により宿主細胞内へ導入される。一般に、宿主細胞のすべてがベクターにより形質転換されるわけではないであろう。従って、形質転換される宿主細胞を選択する必要がある。本分野で知られている一つのそのような選択法は、抗生物質耐性のような形質転換された細胞中での選択可能なマーカー特性をコードしている必須な制御要素とともにDNA配列を発現ベクター内へ取り込ませることを含んでいる。もしくは、そのような選択可能特性のための遺伝子は、所望の宿主細胞の同時形質転換に使用される別のベクターに存在してもよい。ベクターはまた、適当なプロモーターを含むことができる(それらとともに形質転換される大腸菌のような細菌宿主細胞中のDNAの発現(転写および翻訳)が可能な原核生物プロモーター)。細菌(例えば、大腸菌および枯草菌)、酵母(例えば、サッカロミセス セレビジエ)、糸状菌(例えば、アスペルギルス)、植物細胞、動物細胞および昆虫細胞を含む多くの発現系が本分野で知られており、利用可能である。
【0035】
適したベクターには、例えば、原核生物での増殖にはColE1 oriのような原核生物レプリコンが含まれる。典型的な原核生物ベクタープラスミドとしてBiorad Laboratories(Richmond,CA)から入手可能なpUC18、pUC19、pUC322およびpBR329、およびPharmacia(Piscataway,NJ)から入手可能なpTcr99AおよびpKK223−3がある。典型的な哺乳動物細胞ベクタープラスミドはPharmacia(Piscataway,NJ)から入手可能なpSVLである。このベクターはクローン化遺伝子の発現を駆動するのにSV40後期プロモーターを使っており、COS−1のようなT抗原産生細胞で最も高いレベルの発現が観察されている。誘導可能哺乳動物発現ベクターの例はpMSGであり、Pharmaciaから入手可能である。このベクターはクローン化遺伝子の発現を駆動するのにマウス乳腺腫瘍ウイルスロングターミナルレピートのグルココルチコイド−誘導可能プロモーターを使っている。有用な酵母プラスミドベクターはpRS403−406およびpRS413−416であり、一般に、Stratagene Cloning Systems(LaJolla,CA)から入手可能である。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405およびpRS406は酵母組込み型プラスミド(Yip)であり、酵母選択可能マーカーHIS3、TRP1、LEU2およびURA3を取り込む。プラスミドpRS413−416は酵母動原体プラスミド(Ycp)である。
【0036】
さらに、本発明はこれらのベクターを含んでいる宿主細胞を提供する。好適な宿主細胞には本明細書で例示および記載しているものが含まれる。
本発明のウリカーゼタンパク質は、タンパク質の生物学的半減期および溶解性を改良するためおよびその免疫反応性を減少させるために比較的少数のPEG鎖へ、生物学的に安定で、無毒の共有結合を通して複合体形成されているであろう。そのような結合にはウレタン(カーバメート)結合、二級アミン結合およびアミド結合が含まれる。そのような複合体化に適した種々の活性化PEGはShearwater Polymers,Huntsville,AL.から入手可能である。
【0037】
本発明はまた、複合体としてのウリカーゼタンパク質の医薬組成物を製造するために使用される。これらの複合体は実質的に非免疫原性であり、非修飾酵素の尿酸分解活性の少なくとも70%、好適には80%およびより好適には少なくとも約90%またはそれ以上を保持している。本発明での使用に適した水溶性ポリマーには、直線状および分岐ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキサイド)が含まれる(すべて通常PEGとして知られている)。分岐鎖PEGの一つの例は米国特許第5,643,575号の主題である。
【0038】
本発明の一つの態様において、ウリカーゼサブユニット当たりに挿入されているリジンの平均数は1から10の間である。好適な態様において、ウリカーゼサブユニット当たりの追加のリジン数は2から8の間である。追加のリジンの数はウリカーゼの触媒活性に有害であるほど多くあるべきではないことは理解されている。複合体のPEG分子は好適にはウリカーゼタンパク質のリジンを通して、より好適には、天然には存在しないリジンまたは天然にはその位置に含まれていないが設計されたタンパク質の一部へ導入されたリジンを通して結合されている。
【0039】
本発明は利用可能で無害なウリカーゼタンパク質へのPEG結合部位を増加させる方法を提供し、ここで天然のウリカーゼタンパク質は少なくとも一つのリジン残基が導入されるような様式で突然変異される。好適には、本方法はアルギニンをリジンで置き換えることを含んでいる。
【0040】
本発明を利用するPEG−ウリカーゼ複合体は哺乳動物(好適にはヒト)の血液および/または尿中の尿酸濃度を低下させる(即ち、量を減少させる)ために有用であり、従って、痛風、痛風結節、腎不全、器官移植および悪性腫瘍疾患を含む状態に関連して上昇した尿酸レベルの処置に使用できる。
【0041】
PEG−ウリカーゼ複合体は、経口、浣腸剤または座剤により、静脈内、皮下、皮内、筋肉内および腹腔内経路を含む多くの経路により、過剰の尿酸レベルを持っている哺乳動物内へ導入される。Patton,JS,et al.,(1992)Adv Drug Delivery Rev 8:179−228。
【0042】
PEG−ウリカーゼの有効量は、尿酸のレベルおよび個体の大きさに依存するであろう。本発明のこの態様の一つの実施例において、PEG−ウリカーゼは約10μgから約1gの量範囲で、医薬として受容可能な賦形剤または希釈剤とともに投与される。好適な態様において、投与される量は約100μgから500mgの間である。より好適には、複合体化ウリカーゼは1mgから100mgの間の量(例えば、5mg、20mgまたは50mg)で投与される。実施態様の用量で与えられた量は複合体中のタンパク質量を意味している。
【0043】
PEG−ウリカーゼを含んでいる医薬処方は、例えば、Remington’s Phannaceutical Sciences,(1985)Easton,P.A:Mack Publishing,Co.、に記載されているような通常の技術により製造できる。注射可能溶液製造のために適した賦形剤には、例えば、リン酸緩衝液、乳酸リンゲル液、水、ポリオールおよびグリセロールが含まれる。非経口注射のための医薬組成物は、医薬として受容可能な滅菌した水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳液、ならびに使用直前に滅菌注射可能溶液または分散液で再構築するための滅菌粉末から成っている。これらの製剤は例えば、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液、抗酸化剤および希釈剤のような追加の化合物を含むことができる。
【0044】
PEG−ウリカーゼはまた、血液および尿中の上昇した尿酸レベルを連続的に制御するため、個体内への埋め込みのための制御放出組成物としても提供される。例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、再生コラーゲン、ポリL−リジン、アルギン酸ナトリウム、ゲランゴム、キトサン、アガロース、多重膜リポソームおよび生物学的に活性な組成物を処方できる生物腐食性または生分解性物質を含む多くの他の通常のデポー剤処方。これらの物質は移植または注入された場合、徐々に分解し、活性物質を周囲の組織に放出する。例えば、PEG−ウリカーゼをカプセル化する一つの方法は米国特許第5,653,974号(本明細書において援用される)に開示されている方法である。生物腐食性、生分解性物質および他のデポー剤処方は本発明において特別に企図されている。PEG−ウリカーゼ送達のための注入ポンプおよびマトリックスエントラップメント系の使用もまた本発明の範囲内である。PEG−ウリカーゼはまた都合良くミセルまたはリポソーム中に閉じこめるられる。リポソームカプセル化技術は本分野でよく知られている。例えば、Lasic,D,et al.,(Eds.)(1995)Stealth Liposomes,Boca Raton,FL:CRC Press、を参照されたい。
【0045】
ここに記載されたPEG−ウリカーゼ医薬組成物は、尿酸誘発腎不全の危険性が高い患者、例えば、器官移植受容者(Venkataseshan,VS,et al.,(1990)Nephron 56:317−321を参照されたい)、およびいくつかの悪性腫瘍疾患を持つ患者における血液透析の必要性を減少させるであろう。結晶性尿酸の多くの蓄積を持つ患者(痛風結石)において、そのような医薬組成物は、現在利用可能な処置よりも迅速に生活の質を向上させるであろう。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は上に開示した種々の態様を例示しているが、どの点も本発明を制限していると解釈してはならない。
実施例1
A.PBC、PKSおよび関連したウリカーゼcDNAの構築
標準法、および試薬の製造元により供給されている適用可能な使用説明書が尿酸オキシダーゼcDNAのPCR増幅のための(米国特許第4,683,195および4,683,202、4,965,188&5,075,216号)、およびこれらのcDNAのクローニングおよび配列決定のための(Erlich 1989;Sambrook et al.1989;Ausubel 1998)総細胞RNAの調製に使用された。ブタおよびヒヒ尿酸オキシダーゼのPCRプライマー(表1)は報告されているコード配列(Wu et al.1989)およびPRIMEソフトウェアープログラム(Genetics Computer Group,Inc.)に基づいて設計された。
【0047】
【表1】

【0048】
プライマーの末端に導入された制限酵素配列(小文字)はセンス(ブタおよびヒヒ)EcoRIおよびNcoI;アンチセンス(ブタ)NcoI、HindIII、XbaI;アンチセンス(ヒヒ)NcoIである。ヒヒセンスプライマーにおいて、ヒヒ尿酸オキシダーゼ中に存在する第三のコドンGAC(アスパラギン酸)(Wu et al.1992)は、ヒト尿酸オキシダーゼ偽遺伝子コード配列のこの位置に存在しているコドンであるCAC(ヒスチジン)(Wu et al.1992)に置き換えられている。このため、これらのプライマーの使用により発生された組換え体ヒヒ尿酸オキシダーゼはD3Hヒヒ尿酸オキシダーゼと名付けられている。
【0049】
ブタおよびヒヒ肝臓からの総細胞RNAは1st strandキット(Pharmacia Biotech Inc.Piscataway,NJ)を使用して逆転写された。Taq DNAポリメラーゼ(GibcoBRL,Life Technologies,Gaithersburg,MD)を使用するPCR増幅は、熱サイクラー(Ericomp,San Diego,CA)中、[30秒、95℃;30秒、55℃;60秒、70℃]20サイクル続いて[30秒、95℃;60秒、70℃]10サイクルのプログラムで実施された。尿酸オキシダーゼPCR生成物はEcoRIおよびHindIIIで切断してpUC18(ブタ)内へクローン化され、およびまたTAクローニングシステム(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して直接的にクローン化された(ブタおよびD3Hヒヒ)。cDNAクローンで大腸菌株XL1−Blue(Stratagene,La Jolla,CA)を形質転換させた。クローン化ウリカーゼcDNAを含んでいるプラスミドが調製され、cDNA挿入配列は標準ジデオキシ技術により分析された。報告されている尿酸オキシダーゼDNAコード配列(表1で説明したヒヒ尿酸オキシダーゼ中のD3H置換を除いて)を持っていたクローンが構築され、標準組換えDNA方法論による一連の続いての工程により確認された。
【0050】
完全長コード配列を含んでいるブタおよびD3HヒヒcDNAは以下のようにpET発現ベクター(Novagen,Madison,WI)内へ導入された。D3HヒヒウリカーゼcDNAはNcoIおよびBamHI制限酵素でTAプラスミドから切り出され、次に発現プラスミドpET3dおよびpET9dのNcoIおよびBamHIクローニング部位内へサブクローン化された。完全長ブタウリカーゼcDNAはEcoRIおよびHindIII制限酵素でpUCプラスミドクローンから切り出され、pET28dのEcoRIおよびHindIII部位内へサブクローン化された。ブタcDNAコード領域もまたpET28dのNcoIおよびBlpI部位から切り出した後、発現プラスミドpET9dのNcoIおよびBlpI部位内へ導入された。
【0051】
ブタ−ヒヒキメラ(PBC)cDNAはpET3d−D3H−ヒヒクローンからD3HヒヒウリカーゼcDNAの624bp NcoI−ApaI制限断片を切り出し、次にこのD3Hヒヒセグメントを対応するブタcDNAの624bp NcoI−ApaI制限断片で置き換えることにより構築した。得られたPBC尿酸オキシダーゼcDNAは読み枠内でヒヒ尿酸オキシダーゼのコドン226−304へ連結されたブタ尿酸オキシダーゼコドン1−225から成っている。
【0052】
ブタ−KS尿酸オキシダーゼ(PigKS)cDNAはpET3d−D3H−ヒヒクローンからのD3HヒヒウリカーゼcDNAの864bp NcoI−NdeI制限断片を切り出し、次にこのD3Hヒヒセグメントを対応するブタcDNAの864bp NcoI−NdeI制限断片で置き換えることにより構築した。得られたPKS尿酸オキシダーゼcDNAは読み枠内でヒヒ尿酸オキシダーゼのコドン289−304へ連結されたブタ尿酸オキシダーゼコドン1−288から成っている。
【0053】
D3Hヒヒ、ブタ、PBCおよびPKS尿酸オキシダーゼのアミノ酸配列は図5および配列表に示されている。これらの形質転換体の各々の15%グリセロール保存液の調製には標準技術が使用され、これらは−70℃で保存された。これらの化学種が発現されおよび組換え酵素が単離された場合(表2)、ブタ、PBCキメラおよびPigKSウリカーゼは非常に類似した比活性を持っており、それは組み換えヒヒウリカーゼの比活性よりも約4−5倍高かった。この順序はいくつかの他の実験で確認された。いくつかの異なった方法で調製されたPBCウリカーゼの比活性は2−2.5倍の範囲にわたって変動した。
【0054】
【表2】

【0055】
*タンパク質はローリー法により決定された。ウリカーゼ活性は分光学的に決定された(Priest and Pitts 1972)。アッセイは1mlの反応混合物(0.1Mホウ酸ナトリウム、pH8.6、0.1mM尿酸)を含んでいる1cmの石英キュベット中、23−25℃で実施された。尿酸の消失は292nmでの吸光度の減少によりモニターされた。ウリカーゼの1国際単位(IU)は分当たり1マイクロモルの尿酸消失を触媒する。
【0056】
表2に示されている4つのウリカーゼcDNA−pET構築物の大腸菌BL21(DE3)pLysS形質転換体は、pETシステムマニュアル(Novagen,Madison WI)に示されているように選択抗生物質(pET3d(pigKS)に対してカルベニシリンおよびクロラムフェニコール;pET9d(PBC、ブタ、ヒヒ)に対してカナマイシンおよびクロラムフェニコール)を含んでいるLB寒天に播種した。5mlの培養液(LB+抗生物質)を単一形質転換コロニーに加え、37℃で3時間増殖させた。次に、その0.1mlを、選択抗生物質および0.1%ラクトースを含んでいる100mlのLB培地に移した(ウリカーゼ発現を誘導するため)。37°で一夜増殖させ、培養液0.5mlからの細菌細胞をSDS−PAGE添加緩衝液内に抽出し、SDS−メルカプトエタノールPAGEにより分析した;このことにより4つの培養物の各々で同等のレベルのウリカーゼタンパク質が発現されていたことが確立された(データは示されていない)。各々の100ml培養液の残りの細胞は遠心分離により集め、PBSで洗浄した。細胞は次に1mM AEBSFプロテアーゼインヒビター(Calbiochem,San Diego,CA)を含んでいる25mlのリン酸緩衝液、pH7.4(PBS)、に再び懸濁し、Bacterial Cell Disruptor(Microfluidics,Boston MA)中、氷上で溶菌させた。不溶性物質(ウリカーゼを含んでいる)を遠心分離(20,190xg、4°、15分)によりペレット化した。ペレットは10mlのPBSで洗浄し、2mlの1M Na2CO3、pH10.2、により4°で一夜抽出した。抽出物は10mlの水で希釈して遠心分離した(20,190xg、4°、15分)。ウリカーゼ活性およびタンパク質濃度が続いて決定された。
実施例2
組換え体PBCウリカーゼの発現および単離(4リットル発酵器法
Novagen pETシステムマニュアルに示されているように、pET3d−PBCウリカーゼ形質転換体がグリセロール保存液からカルベニシリンおよびクロラムフェニコール含有LB寒天プレートへ播種された。pETプラスミド保持を最大にするためにpETシステムマニュアルで推薦されている方法を用いて、単一コロニーから出発した200ml接種物が37°で回転振盪機(250rpm)上のLB−抗生物質液体培地に調製された。OD525が2.4で、この200ml培養物から細胞を遠心分離により集め、50mlの新鮮培地に再懸濁した。この懸濁液を、4リットルのカルベニシリンおよびクロラムフェニコール含有SLBH培地(SLBH培地の組成、および発酵器の設計および操作はSadler et al.1974、に説明されている)を含んでいる高密度発酵器に移した。O2下、32°で20時間増殖させた後(OD525=19)、ウリカーゼ生成を誘導するためにイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を0.4mMまで加えた。さらに6時間後(OD525=37)、細菌細胞を遠心分離により集め(10,410xg、10分、4℃)、PBSで一度洗浄し、−20℃で凍結保存した。
【0057】
細菌細胞(189g)を200mlのPBSに再懸濁し、氷/塩浴で冷却しながら超音波処理(Heat Systems Sonicator XL、プローブモデルCL,Farmingdale,NY)により(100%強度で4x40秒バースト、バースト間に1分の休止)溶菌した。PBS不溶性物質(ウリカーゼを含む)を遠心分離(10,410xg、10分、4℃)によりペレット化し、200mlのPBSで5回洗浄した。PBS不溶性ペレット中のウリカーゼは1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)および130μg/mlアプロチニンを含んでいる80mlの1M Na2CO3、pH10.2、に抽出した。不溶性細胞破片は遠心分離(20,190xg、2時間、4℃)により除去した。以下のすべての精製工程は4℃で実施された(結果は表3に要約されている)。
【0058】
pH10.2抽出物は1mM PMSFで1800mlまで希釈した(Na2CO3を0.075Mに減少させる)。これは、0.075M Na2CO3、pH10.2、で平衡化されている新しいQ−Sepharose(Pharmacia Biotech,Inc.,Piscataway,NJ)のカラム(2.6x9cm)に加えた。負荷した後、カラムを1)溶出液のA280での吸光度がバックグラウンドに到達するまで0.075M Na2CO3、pH10.2、;2)溶出液のpHが8.5へ落ちるまで10mM NaHCO3、pH8.5;3)50mlの10mM NaHCO3、pH8.5、0.15M NaCl;4)10mM NaHCO3、pH8.5中、0.15Mから1.5M NaClの濃度勾配で100ml;5)150mlの10mM NaHCO3、pH8.5、1.5M NaCl;6)10mM NaHCO3、pH8.5;7)溶出液のpHが11に上昇するまで0.1M Na2CO3、pH11で連続的に洗浄した。最後に、ウリカーゼを0.1M Na2CO3、pH11中、0から0.6MのNaClの500ml濃度勾配液で溶出させた。活性は二つのA280吸収ピークに溶出し、それらは別々にプールされた(分画Aおよび分画B、表3)。これらのプール各々のウリカーゼは、1M酢酸を徐々に加えてpHを7.1に低下させ、続いての遠心分離(7000xg、10分)により沈殿させた。得られたペレットは50mlの1M Na2CO3、pH10.2、に溶解し、4℃で保存した。
【0059】
【表3】

【0060】
実施例3
組換え体PBCウリカーゼの小規模製造およびPEG化
この実施例は精製組換え体PBCウリカーゼがPEG化ウリカーゼを製造するために使用できることを示している。この反応において、すべてのウリカーゼサブユニットは修飾されており(図1、レーン7)、触媒活性の約60%を保持していた(表4)。
A.PBCウリカーゼの小規模発現および単離(表4、図1)
【0061】
pET3d−PBC cDNAで形質転換された大腸菌BL2l(DE3)pLysSの4リットル培養液を回転振盪機(250rpm)上、37°でインキュベートした。0.7OD525の時点で、培養物はIPTGにより誘導された(0.4mM、6時間)。細胞を集め、−20℃で凍結させた。細胞(15.3g)は凍結および融解により破壊し、1M Na2CO3、pH10.2、1M PMSFで抽出した。遠心分離後(12,000xg、10分、4℃)、上清(85ml)を水で1:10に希釈し、実施例1で説明した方法と同じ様式でQ−Sepharoseでクロマトグラフィーを行った。この工程でプールされたウリカーゼ活性はPM30膜(Amicon,Beverly,MA)を使用した加圧限外濾過により濃縮した。濃縮液は0.1M Na2CO3、pH10.2で平衡化および溶出するSephacryl S−200(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)のカラム(2.5x100cm)でクロマトグラフィーを行った。ウリカーゼ活性を含んでいる分画をプールし、上記のような加圧限外濾過により濃縮した。
B.PEG化
100mgの濃縮Sephacryl S−200 PBCウリカーゼ(5mg/ml、2.9マイクロモル酵素;84.1マイクロモルリジン)の0.1M Na2CO3、pH10.2、溶液を2倍過剰(PEGのモル:ウリカーゼリジンのモル)のPEGの活性化形と、4°で60分間反応させた。PEG化ウリカーゼは接線方向流ディアフィルトレーションにより未反応または加水分解PEGを除いた。この工程において、反応液は0.1M Na2CO3、pH10.2、溶液に1:10で希釈され、3.5容量の0.1M Na2CO3、pH10.2、に対して、続いて3.5容量の0.05Mリン酸ナトリウム、0.15M NaCl、pH7.2、に対してディアフィルトレーションされた濾過滅菌酵素は、4°で少なくとも1ヶ月は安定であった。
【0062】
【表4】

【0063】
図1は組換え体ブタ−ヒヒキメラ(PBC)ウリカーゼの精製およびPEG化の間に得られた分画のSDS−メルカプトエタノールPAGE(12%ゲル)分析を示している。レーン1=MWマーカー;2=非誘導pET3d−PBC cDNA−形質転換細胞のSDS抽出物;3=IPTG誘導pET3d−PBC cDNA−形質転換細胞のSDS抽出物;4=粗抽出物(表5参照);5=濃縮Q−sepharoseウリカーゼプール;6=濃縮Sephacryl S−200ウリカーゼプール;7=PEG化Sephacryl S−200組換え体PBCウリカーゼ。
【0064】
表4に示した結果は精製PBCウリカーゼが触媒活性の約60%を保持して修飾できたことを示している。このPEG化反応において、すべてのウリカーゼサブユニットが修飾されていた(図1、レーン7)。ここには示されていない研究において、PEG化酵素は非修飾PBCウリカーゼと類似の動力学的特性を持っていた(KM10−20μM)。重要なことには、修飾酵素は生理学的pHにおいて非修飾酵素よりもさらに可溶性であった(PBS中、>5mg/mlに対して<1mg/ml)。PEG化酵素はまた、ほとんど活性を損失することなく凍結乾燥でき、PBS(pH7.2)で再構築できた。別の実験において、PEG−PBCウリカーゼのこの調製試料とA.フラーブス ウリカーゼ臨床製剤の活性を比較した。ホウ酸緩衝液中、pH8.6で、A.フラーブス酵素は10−14倍高いVmaxおよび2倍高いKMを持っていた。しかしながら、PBS、pH7.2、において、PEG−PBCおよび非修飾真菌酵素はウリカーゼ活性において<2倍の相違であった。
実施例4
非修飾およびPEG化PBCウリカーゼのマウスにおける循環寿命
図2は天然およびPEG化PBCウリカーゼの循環寿命を示している。一群のマウス(時点当たり3匹)に1単位の天然(丸)またはPEG修飾(四角)組換え体PBCウリカーゼ(実施例3に説明したように調製)がIPで注射された。示されている時間に、血清ウリカーゼ活性を測定するために3匹のマウスの組から血液を得た。PEG化ウリカーゼ(実施例3に説明したような)は約48時間の循環寿命を持っていたのに対し、非修飾酵素は<2時間であった(図2)。
実施例5
本発明のPEG化ウリカーゼの有効性
図3は尿酸の血清および尿濃度に対する血清ウリカーゼ活性の関係を示している。この実験において、ホモ接合性ウリカーゼ欠損ノックアウトマウス(Wu et al.1994)に、すでにPEG化されている0.4IUの組換え体PBCウリカーゼが0および72時間目に2回注射された。ウリカーゼ欠損ノックアウトマウスがこの実験で使用された。なぜならウリカーゼを持っている正常マウスと異なり、これらのノックアウトマウスは(ヒトのように)その血液および体液に高レベルの尿酸を持っており、尿に高レベルの尿酸を排泄するからである。これらの高レベルの尿酸はこれらのマウスに重度の障害を起こし、それはしばしば致死的である(Wu et al.1994)。
【0065】
図3に示された実験は、組換え体PBCウリカーゼのPEG化製剤の腹腔内注射が血清ウリカーゼ活性を増加させたことを示しており、それはウリカーゼ欠損マウスにおいて、尿酸の血清および尿濃度の著しい減少を伴った。
実施例6
構築物−担体複合体の非免疫原性
PEG化組換え体PBCウリカーゼがホモ接合性ウリカーゼ欠損マウスに反復して注射されたが、促進されたクリアランスを誘導することはなく、有意な免疫原性が存在しないことと矛盾しない。このことはELISAにより確認された。図4は反復注射後のウリカーゼ活性(血清で測定された)の循環寿命の維持を示している。PEG化PBCウリカーゼは6−10日間隔で腹腔内注射により投与された。血清ウリカーゼ活性は注射24時間後に決定された。
実施例7
突然変異的に導入されたリジンへの共有結合
精製組換え体PBCウリカーゼのPEG化は新規リジン(残基291)へのPEGの結合を生じなければならない。この実験において、PBCウリカーゼ調製試料はPEG化により修飾できた。新規リジン(残基291)を含んでいるペプチドがPEG化により修飾されたかどうかは本分野では既知の手段により決定できた。
参考文献
【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
【表7】

【0069】
【表8】

【0070】
【表9】

【0071】
【表10】

【0072】
【表11】

【0073】
【表12】

【0074】
上に引用したすべての論文は、全体が本明細書において援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたはそれ以上のリジン残基を挿入するように修飾されている哺乳動物種の組換え体ウリカーゼタンパク質を含むタンパク質。
【請求項2】
該組換え体タンパク質が二つまたはそれ以上の哺乳動物アミノ酸配列のキメラタンパク質である請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
該組換え体ウリカーゼキメラタンパク質が304のアミノ酸を含み、該304のアミノ酸の最初の225のN末端部分がブタウリカーゼのアミノ酸1−225であり、該304のアミノ酸の残りの79のアミノ酸がヒヒウリカーゼのアミノ酸226−304である請求項2に記載のタンパク質。
【請求項4】
該組換え体ウリカーゼキメラタンパク質が304のアミノ酸を含み、該304のアミノ酸の最初の288のN末端部分がブタウリカーゼのアミノ酸1−288であり、該304のアミノ酸の残りの16のアミノ酸がヒヒウリカーゼのアミノ酸289−304である請求項2に記載のタンパク質。
【請求項5】
配列ID番号:2、4、8、9、10および11から成る群より選択される組換え体ウリカーゼタンパク質。
【請求項6】
請求項1の組換え体ウリカーゼをコードしている、単離され、精製された核酸分子。
【請求項7】
請求項3の組換え体ウリカーゼをコードしている、単離され、精製された核酸分子。
【請求項8】
請求項4の組換え体ウリカーゼをコードしている、単離され、精製された核酸分子。
【請求項9】
請求項5の組換え体ウリカーゼをコードしている、単離され、精製された核酸分子。
【請求項10】
配列ID番号:1の塩基配列を持っている請求項9の単離され、精製された核酸分子。
【請求項11】
配列ID番号:3の塩基配列を持っている請求項9の単離され、精製された核酸分子。
【請求項12】
請求項1の核酸分子を含んでいるベクター。
【請求項13】
請求項9の核酸分子を含んでいるベクター。
【請求項14】
請求項12に記載のベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項15】
請求項13に記載のベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項16】
ウリカーゼタンパク質を突然変異させることを含む、利用可能な無毒性PEG結合部位を増加させる方法であって、それにより少なくとも一つのリジン残基が導入される。
【請求項17】
ウリカーゼタンパク質を突然変異させることを含む、利用可能な無毒性PEG結合部位を増加させる方法であって、それによりアルギニンの場所に少なくとも一つのリジン残基が導入される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【公開番号】特開2010−158244(P2010−158244A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21520(P2010−21520)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【分割の表示】特願2000−563819(P2000−563819)の分割
【原出願日】平成11年8月5日(1999.8.5)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【Fターム(参考)】