説明

局部洗浄用浄水装置

【課題】
洗浄水中の残留塩素又は/或いは塩素化合物、鉛イオンを除去し、洗浄水中の雑菌を殺菌し、且つその残留水に雑菌が繁殖しないよう抑制することを可能とする。
【解決手段】
局部洗浄水を常に人体に無害であり衛生であるものとするために、亜硫酸カルシウムにより洗浄水中残留塩素又は/或いは塩素化合物を除去し、リン酸カルシウム化合物により鉛イオンを除去、金属銅、酸化銅、銅イオン又は/或いは銅イオン含有組成物を使用して雑菌を殺菌し、雑菌の繁殖を抑制することで簡便、容易で廉価な局部洗浄用浄水装置を開発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部洗浄式便座に用いる局部洗浄水を高能率、簡便、容易に浄化する安価な浄水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
局部洗浄式便座は用便後に肛門周辺又は/或いは女性においては外陰部等の洗浄を実施するという利点があるもので、日常生活において人体局部の衛生維持のために広く供されている。
局部洗浄装置は冷水による刺激を避けるために洗浄水を加温し温水化して噴水することが一般的である。
その際、加温され温水化された洗浄水中に含まれる残留塩素又は/或いは塩素化合物や鉛イオンが人体に及ぼす影響を考慮しなければ、人体局部の汚れを洗浄するという目的においては十分に実用的である。
【0003】
しかし、水道水は衛生維持のために塩素殺菌が施されていることは周知のことである。
水道水中の残留塩素又は/或いは塩素化合物は、水道水が加温され10度上昇することにより有害な残留塩素又は/或いは塩素化合物の活性能や含有率は2倍以上となることは公知の事実であり、従前の鉛水道管利用による鉛イオン流出が出現していることも事実である。
【0004】
周知のように人体の粘膜部分は様々な化学物質等の吸収効率がとても高い部位である。
従来の局部洗浄式便座は、加温によって活性され増加されたトリハロメタンなどの有害塩素化合物を含有した洗浄水を人体でも最も吸収効率の敏感な局部部分に対し高い圧力をかけ噴水している。
水道水中に含まれる殺菌目的の塩素が次亜鉛素に変化した場合は、ビタミンCの破壊、局部粘膜部位の細胞を構成するタンパク質や粘膜構成の破壊、血流障害を引き起こす可能性を持っている。
トリハロメタンは、発ガン性の他にも、催奇形性、虫垂機能低下、肝臓毒性、腎臓毒性などが認められており、疲労感、イライラ、無気力、ボケ等の症状をもたらすことは公知されている。また、流産発生率が高くなるという報告の他、米国国立がん研究所は『わずかな量でも発ガン性物質を体内に取り込むと、何らかの危険が生じ、その積み重ねは危険の増大を招く。』と忠告している。
従って有機塩素系の化合物質が体内に吸収されないようにすることは、癌の発病、粘膜質破壊等による痔疾を含む様々な皮膚疾患の予防等に大きな貢献を果たすものである。
【0005】
洗浄水中の残留塩素を除去することは可能であるが、逆に、洗浄水中の雑菌を殺菌又は/或いはその繁殖を抑制することが困難となる。
人体局部を清潔にし衛生を維持する用途において、この欠点は大きな障害である。
【0006】
この改善策として、洗浄水中の残留塩素又は/或いは塩素化合物、鉛イオンを除去する際に、金属銅、酸化銅、銅イオン又は/或いは銅イオン含有組成物を利用して洗浄水中の雑菌を殺菌し、且つその残留水に雑菌が繁殖しないよう抑制する方法がある。
【特許文献1】 特開2000−073431
【特許文献2】 特開2000−73430
【特許文献3】 特開2000−291104
【特許文献4】 実新登録第2557082号
【特許文献5】 特開平10−218637
【特許文献6】 特開平10−218641
【特許文献7】 特開平09−075924
【特許文献8】 特開平09−117760
【特許文献9】 特開平10−311078
【特許文献10】 特開2001−279776
【特許文献11】 特開2001−279780
【非特許文献1】 株式会社学習研究社 2004年9月1日発行 「驚異の科学シリーズ 地球環境白書 最新・今「水」が危ない」
【非特許文献2】 株式会社現代書館 2003年1月20日発行 上野英雄著者「最新 危ない水」
【非特許文献3】 株式会社角川書店 平成4年3月10日発行 NHK取材班著者「飲み水が危ない ノンポイント汚染にどう対処するか」
【非特許文献4】 株式会社河出書房新社 1999年10月1日発行 小山寿著者「水道水の危ない話」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、局部洗浄式便座において人体に対し有害な残留塩素又は/或いは塩素化合物、鉛イオンを簡便、容易で廉価な方法で除去できない点であり、同時に洗浄水中の雑菌を殺菌又は/或いは雑菌の繁殖を簡便、容易で廉価な方法で抑制することができない点である。
しかも、これらの問題を解決するために複数の発明がなされているが、例えば実新登録第2557082号は家庭用装置としては構造が複雑でコスト高となり実用的ではない。特開2000−291104号は洗浄ノズル部分に浄化装置を据え付ける構造であることは便利であるが、浄化装置が極小規模であるが故に浄化機能材料の容量が絶対的に少量となり浄化機能維持のためには浄化装置の交換のための管理が頻繁となり、コスト高となる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、局部洗浄水を常に人体に無害であり衛生であるものとするために、亜硫酸カルシウムにより洗浄水中の残留塩素又は/或いは塩素化合物を除去し、リン酸カルシウム化合物により鉛イオンを除去し、金属銅、酸化銅、銅イオン又は/或いは銅イオン含有組成物を使用して雑菌を殺菌、雑菌の繁殖を抑制する高能率で簡便、容易、安価な局部洗浄用浄水装置を開発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
洗浄水として使用される水道水中の残留塩素又は/或いは塩素化合物のトリハロメタンは亜硫酸カルシウムによりその殆どを除去することができることは公知されている。
洗浄水中に溶け出した鉛イオンはリン酸カルシウムによりその殆どを除去することができることは公知されている。
水道水中の塩素は雑菌の殺菌又は/或いは雑菌の繁殖を抑制するために付加されていることから、塩素除去後の洗浄水が雑菌に冒されないよう、又は、雑菌が繁殖しないようにする工夫が必要であることから、銅または酸化銅、銅イオンが接触した菌を破壊殺菌する性質に着目し洗浄水の殺菌の他に、ノズル洗浄用吐水口から吐水した銅イオン溶出水によって洗浄することにより洗浄ノズルへの雑菌の繁殖やカビの発生等を防止し洗浄ノズルの清潔性を向上する。
人体に流れている血液には無数の赤血球が含まれていて酸素の運搬をしている。この赤血球の赤い色素はヘモグロビンと呼ばれる鉄をもったタンパク質である。銅はこのヘモグロビンが身体のなかで作られるとき、鉄の利用を助ける役割をしている。正常な血液は銅なくしてつくれないのである。
人間は日常の食生活で毎日2〜5mgの銅を各種の食品から摂取し、同じ量を排泄し、正常な血液をつくり健康を維持していることを考えると、本発明で銅を使用することには何ら問題を抱くものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
高能率な残留塩素又は/或いは塩素化合物除去、脱鉛イオン、殺菌・防菌の効果を得るために、前記機能を備えた洗浄用浄水装置を前記便座内の洗浄ノズル部分に至までの配管途中に設置することにより本研究開発の目的を達成する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明装置の実施例の全体図であって、水道管から導かれる洗浄水を加熱温水ユニット・加熱温水制御ユニットの手前の洗浄水配管途中に浄水ユニットを取り付けするものである。これにより洗浄水中の残留塩素又は/或いは塩素化合物を高能率で除去可能とし金属銅、酸化銅、銅イオン又は/或いは銅イオン含有組成物によって殺菌された後の洗浄水を加温、噴射ノズルから人体局部に噴射するものである。
【0012】
図2は、本発明装置の実施例の浄水装置の内部構造の概要であって、水道管から導かれる洗浄水を第1順位に酸化銅と銅イオン含有組成物の層を通過させることで殺菌と同時に塩素を低減させ、第2順位に亜硫酸カルシウムやリン酸カルシウムの層を通過させることで残留塩素を除去し、フィルターを通じて第3順位の酸化銅と銅イオン含有組成物の層を通過させる構造をもつ、洗浄水配管から脱着可能なユニットの形体をもつものである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
局部洗浄式便座における洗浄水の浄化と浄化水の衛生、便座ノズルの清潔性維持を全て解決できることによって、拡大すれば家屋単位又は/或いは病院等の施設内において業務に使用する水道水の浄化とその衛生維持、使用する器具、設備等の殺菌、清潔性等の維持を高能率、簡便、安価に実現可能とする用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 局部洗浄用浄水装置のダイヤグラムを示した説明図である。(実施例)
【図2】 局部洗浄用浄水装置の内部構造を示した説明図である。(実施例)
【記号の説明】
【0017】
1 水道配管
2 浄水ユニット
3 加熱温水ユニット・制御ユニット
4 噴射ノズル制御ユニット
5 噴射のずる
6 酸化銅、銅イオン含有組成物
7 亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウムの層
8 フィルター
9 酸化銅、銅イオン含有組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部洗浄式便座において、屋内水道栓から前記便座の局部洗浄装置に送水するための前記便座内配管途中に据え付けられる局部洗浄用浄水装置であり、当該の局部洗浄装置は接続する配管結合部に対して脱着可能であることを特徴とする局部洗浄用浄水装置。
【請求項2】
水道水中の残留塩素ならびにその化合物等を除去する機能を持つことを特徴とする請求項1記載の局部洗浄用浄水装置。
【請求項3】
水道栓から局部洗浄装置に送水される水道水ならびに残留塩素を除去した後の水道水中の雑菌を殺菌すると共に、局部洗浄装置に残留した水道水の雑菌の繁殖を抑制し、この浄水処理水がシャワーヘッド部分を洗浄することでシャワーヘッド部分を除菌することができる請求項1記載の局部洗浄用浄水装置。
【請求項4】
水道水中の鉛イオンを除去する機能を持つことを特徴とする請求項1記載の局部洗浄用浄水装置。
【請求項5】
請求項2に記載の局部洗浄用浄水装置において、前記残留塩素を除去する物質は亜硫酸カルシウム、金属銅又は酸化銅、銅イオン又は/或いは銅イオン含有組成物から選ばれる一種或いは複数種であることを特徴とする局部洗浄用浄水装置。
【請求項6】
請求項3に記載の局部洗浄用浄水装置において、前記洗浄水の殺菌、抗菌ならびに除菌をする物質は金属銅又は/金属銅含有組成物、酸化銅又は/酸化銅含有組成物、銅イオン又は/銅イオン含有組成物から選ばれる一種或いは複数種であることを特徴とする局部洗浄用浄水装置。
【請求項7】
請求項4に記載の局部洗浄用浄水装置において、前記鉛イオンを除去する物質はリン酸カルシウム化合物であることを特徴とする局部洗浄用浄水装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7記載の局部洗浄用浄化装置において、フィルター又は/或いは膜を装着することを特徴とする局部洗浄用浄化装置。
【請求項9】
配管途中に据え付けられた局部洗浄用浄化装置が脱着可能であることを特徴とする請求項1から請求項8記載の局部洗浄用浄化装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9記載の特徴のうち少なくても2つ以上の特徴を組み合わせた局部洗浄用浄水装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−167701(P2006−167701A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382503(P2004−382503)
【出願日】平成16年12月12日(2004.12.12)
【出願人】(598079905)
【Fターム(参考)】