説明

居眠り感知器

【課題】 使用者の耳の形状や大きさによらず、確実に耳に装着でき、また、使用者に応じて居眠りの検知の感度等を調整可能な居眠り感知器を提供する。
【解決手段】 居眠り感知器1は、主に、本体部3、耳掛け部5、角度調整ダイヤル7、動作切り替えスイッチ9等により構成される。居眠り感知器1の本体部上方には、耳掛け部5が設けられる。耳掛け部5は、使用時に使用者の耳の後に本体部3が来るように耳に掛けられ、居眠り感知器1を頭部に装着するための部位である。本体部3には、動作切り替えスイッチ9が設けられる。動作切り替えスイッチ9は、居眠り感知器1の動作を切り替えるためのものである。本体部3の表面には、角度調整ダイヤル7が設けられる。角度調整部である角度調整ダイヤル7は、後述する傾き検知器の本体部3に対する角度を調整するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居眠り状態または居眠りの前兆を検知可能な居眠り感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転時などにおいて、居眠りは大きな事故につながる場合がある。このため、居眠りを検知して、運転者に注意を喚起するなどの方策が望まれており、これまでにも多くの居眠りを検知するための装置等が開発されてきた。
【0003】
たとえば、運転者の顔(特に目)を画像により管理し、所定の状態を画像信号として検知すると、運転者に注意を喚起する居眠り防止装置等がある(例えば特許文献1)。
【0004】
また、運転者の頭部の前傾を検知して振動を発生させる居眠り防止具がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−146437号公報
【特許文献2】実用新案登録3128428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に代表されるような、運転者の顔面等を監視して、画像解析等により居眠りを防止する装置は、装置が大掛かりとなり、また、高価な装置となる。また、このような装置では、誤作動等の問題があり、十分な信頼性を得ることは困難である。
【0007】
また、特許文献2の運転防止具は、耳等に装着する際に、本体部を完全に頭部とフィットするように装着することは困難であり、本体部が頭部との間に隙間が形成されると、振動等が頭部に伝わる効果が小さくなる。特に、装着部の装着角度を適切にする必要があるため、使用者によっては、頭部へフィットするように装着することは極めて困難である。また、仮に耳に確実に装着ができても、使用者によって、耳の形状や大きさ等が異なり、使用者の通常時の姿勢も異なるため、耳等に装着した際の本体部の傾きは一定ではない。しかし、本体部の傾きによって居眠りを検知するため、使用者によっては、装着時の本体の角度によって、精度が悪くなる場合や、誤作動の要因となる場合がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、使用者の耳の形状や大きさによらず、確実に耳に装着でき、また、使用者に応じて居眠りの検知の感度等を調整可能な居眠り感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、居眠り状態または居眠りの前兆を感知する居眠り感知器であって、本体部と、前記本体部に設けられる耳掛け部と、前記本体部に設けられ、前記本体部の傾きを検知する傾き検知部と、前記本体部に設けられ、警報を発する警報発振部と、前記傾き検知部と接続され、前記傾き検知部の前記本体部に対する設置角度を調整可能な角度調整部と、を具備し、前記傾き検知部は、導電性の錘部と前記錘部と導通可能な電極部とを有し、前記傾き検知部が所定量以上傾くと、前記錘部が前記電極部の方へ移動して、前記錘部と前記電極部とが接触することで導通し、前記警報発振部が動作することを特徴とする居眠り感知器である。
【0010】
前記耳掛け部は、屈曲可能な部材であり、耳に装着する際に、任意の形状に塑性変形可能であることが望ましい。
【0011】
前記錘部は、第1の電極部に接合された振り子状の部材であり、前記錘部の少なくとも一方の側方には、板状の第2の電極部が配置され、前記傾き検知部が傾くと、前記錘部が前記第2の電極部側に振れて、前記錘部が前記第2の電極部と接触することで前記第1、第2の電極部が導通し、前記警報発振部が動作してもよく、または、前記錘部は、円筒状の筒状部材の内部に配置される球体であり、前記筒状部材の少なくとも一方の端部には、前記筒状部材の内面に露出する第1の電極部が設けられ、前記筒状部材の内側面には、第2の電極部が配置され、前記傾き検知部が傾くと、前記球体が前記筒状部材の内部で前記第1の電極部の方に転がり、前記球体が前記第1の電極と接触することで前記球体を介して前記第1、第2の電極部が導通し、前記警報発振部が動作してもよい。
【0012】
本発明によれば、傾き検知部の本体部に対する角度を調整可能であるため、耳に本体部を装着した状態で、使用者の耳への装着状態や、通常時における使用者の頭部の角度等に応じて、適切な角度に傾き検知部を調整することができる。このため、検知感度を適切に設定でき、傾き検知部の誤作動や検知感度の低下などを防止することができる。
【0013】
また、耳掛け部は屈曲可能な部材であるため、確実に耳に装着でき、この際、本体部が頭部にフィットするように装着することができる。このため、本体部において、例えば警報発振部が振動を発振するような場合においても、振動が確実に頭部に伝わり(骨伝導)、注意喚起効果が大きい。なお、耳に完全にフィットさせた状態で、傾き検知部の本体部(頭部)に対する角度を調整可能であるため、取付状態による検知感度への悪影響がない。
【0014】
また、傾き検知部は、電極と錘部とで構成され、通常時は錘部と電極とが離れているが、錘部が傾きによって移動し、電極(電極と電気的に接続された部位)と接触することで通電し、警報発振部を動作させるため、構造が簡易であり、コンパクトである。なお、錘部を振り子状とすれば、錘部の振れによって、錘部と電極との接触を図ることができ、また、錘部を球体として筒状部材の中を転がるようにすれば、筒状部材内部での球体の移動によって電極との接触を図ることができ、極めて簡単な構造で傾きを検知できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用者の耳の形状や大きさによらず、確実に耳に装着でき、また、使用者に応じて居眠りの検知の感度等を調整可能な居眠り感知器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】居眠り感知器1を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA―A線断面図、(c)は本体部3の内部構成を示す概略図。
【図2】居眠り感知器1の使用状態に対する、傾き検知器15の角度調整を行った状態を示す図。
【図3】(a)、(c)は、居眠り感知器1の使用状態を示す図で、(b)、(d)はそれぞれの状態における、傾き検知器15の動作状態を示す概略図。
【図4】居眠り感知器1の動作回路を示す概略図。
【図5】傾き検知器40の動作状態を示す概略図。
【図6】傾き検知器40による動作回路を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態にかかる居眠り感知器1について説明する。図1は、居眠り感知器1を示す図であり、図1(a)は居眠り感知器1の外観概略図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図、図1(c)は、本体部3内の構成を示す概略図である。なお、図1(c)においては、回路を構成する導線等は図示を省略する。
【0018】
居眠り感知器1は、主に、本体部3、耳掛け部5、角度調整ダイヤル7、動作切り替えスイッチ9等により構成される。居眠り感知器1の本体部3上方には、耳掛け部5が設けられる。耳掛け部5は、使用時に使用者の耳の後に本体部3が位置するように耳に掛けられ、居眠り感知器1を頭部に装着するための部位である。
【0019】
図1(b)に示すように、耳掛け部5は、外周がゴム部材11で構成され、内部が金属部材13で構成される。金属部材13は、塑性変形可能な部材であり、自由に屈曲させることができる。ゴム部材11は、弾性を有する部材であり、耳等に掛けられた際に、耳をしっかりと保持する。
【0020】
本体部3には、動作切り替えスイッチ9が設けられる。動作切り替えスイッチ9は、居眠り感知器1の動作を切り替えるためのものである。動作切り替えスイッチ9を操作することで、居眠り感知器1の電源のオンオフ操作や、後述する警報の種類の選択を行うことができる。
【0021】
本体部3の側面(居眠り感知器1を使用者が装着した際に、表側に露出する側)には、角度調整ダイヤル7が設けられる。角度調整部である角度調整ダイヤル7は、後述する傾き検知器の本体部3に対する角度を調整するためのものである。
【0022】
図1(c)に示すように、動作切り替えスイッチ9は、制御部17に接続されている。制御部17は、居眠り感知器1の動作を制御する部位であり、動作切り替えスイッチ9の操作位置に応じて、居眠り感知器1の電源のオンオフを切り替え、また、居眠り感知器1の動作回路として、警告音発生部21または振動発振部19の選択切り替えを行う。
【0023】
角度調整ダイヤル7は、本体部3の内部で傾き検知器15と接合されている。傾き検知部15は、本体部3の傾き(図中では左右方向の傾き)を検知する部位である。角度調整ダイヤル7を回すと、内部の傾き検知部15が回転する。すなわち、角度調整ダイヤル7によって、本体部3に対する本体部3内部での傾き検知部15の配置角度を調整することができる。なお、傾き検知部15については詳細を後述する。
【0024】
本体部3内部には、警報発振部20として、振動発振部19および警告音発生部21が設けられる。振動発振部19は、傾き検知部15が本体部3の所定量以上の傾きを検知すると、制御部17により動作し、本体部3を振動させる。振動発振部19は例えばモータが使用される。同様に、警告音発生部21は、傾き検知部15が本体部3の所定量以上の傾きを検知すると、制御部17により動作し、警告音を発する。
【0025】
さらに、本体部3内には、電源23が設けられる。電源23はボタン電池などの電池が使用できる。電源23、制御部17、傾き検知器15および警報発振部20は、それぞれ導線で接続されており、例えば、電源がオンの状態で、傾き検知部15が傾きを検知すると警報発振部20に通電し、警報発振部20が動作して、使用者に注意を喚起することができる。
【0026】
図2は、角度調整ダイヤル7の使用方法について示す図である。前述のように、耳掛け部5は屈曲自在であり、外周が弾性部材で覆われているため、使用者の耳25の形状や使用者の姿勢によらず、確実に居眠り感知器1を耳25に装着することができる。この際、本体部3が使用者の頭部に接触するように確実に居眠り感知器1を耳25に装着する。振動等の警告を確実に使用者の頭部(頭蓋骨)に伝え、より確実に警報を使用者に伝えるためである。
【0027】
図2(a)は、居眠り感知器1の基準状態(本体部3がまっすぐな状態)X(図中点線部)に対し、使用者の耳や頭部に完全にフィットするように装着し、使用者の頭部が通常の角度(姿勢)で保持された状態における居眠り感知器1の使用状態がYである場合を示す図である。この場合、基準状態Xに対して、使用状態Yでは、居眠り感知器1がやや前方に傾いている(図中矢印E方向)。
【0028】
したがって、基準状態Xにおいて、内部の傾き検知器15が水平に保たれているとすると、使用状態Yでは、傾き検知器15が前方(図中矢印E方向)に傾いた状態となる。しかし、傾きを検知する傾き検知器15が通常の使用状態において傾いていると、誤作動等の恐れがある。この場合には、角度調整ダイヤル7を回転させて、傾き検知部15の本体部3に対する角度を調整することができる。なお、傾き検知器15の動作原理については後述する。
【0029】
図2(a)の例では、角度調整ダイヤル7を反時計回り(図中矢印D方向)に回転させることで、傾き検知部15を使用状態Yにおいても水平に調整することができる。なお、調整の方法は、通常時の姿勢で居眠り感知器1の警報が発振されず、わざとやや前方に頭部を傾けて居眠り感知器1の動作を起こさせたい状態で警報がちょうど発するように、角度調整ダイヤル7を微調整すれば良い。
【0030】
同様に、図2(b)は、使用状態Zが基準状態Xよりも後傾した状態(図中矢印G方向)を示す図である。使用者によっては、耳の形状や姿勢などによって、完全に居眠り感知器1を装着した際の居眠り感知器1の状態(通常状態)が基準状態Xに対して後ろ側に傾く場合もある。この場合にも、角度調整ダイヤル7を回転させて、傾き検知部15の本体部3に対する角度を調整することができる。図の例では、角度調整ダイヤル7を時計回り(図中矢印F方向)に回転させることで、傾き検知部15を使用状態Zにおいても水平に調整することができる。
【0031】
次に、居眠り感知器1の使用状態と、傾き検知器15の動作原理について説明する。図3(a)は、居眠り感知器1を使用者が耳25に装着した状態を示す図であり、図3(b)は、この状態における傾き検知部15の状態を示す概略図である。
【0032】
図3(a)の状態は、使用者が運転等を行う際の通常の姿勢(頭部の角度)において、居眠り感知器1を耳25に装着した状態(通常状態)である。なお、図3(a)に示す状態において、あらかじめ、傾き検知部15が水平になるように、前述に示した角度調整ダイヤル7で調整を行っておく。
【0033】
図3(b)に示すように、傾き検知部15は、主にフレーム27、電極29a、29b、金属錘31、ケーブル33等から構成される。金属錘31は、金属製(導電性)の錘である。金属錘31の上端は導電性のケーブル33と接続されており、ケーブル33の上端は第1の電極である電極29aと接続される。金属錘31の両側方には導電性の金属板35が設けられる。金属板35はそれぞれ第2の電極である電極29bと接続されている。金属錘31は、ケーブル33と電極29aとの接合部を基点として、振り子動作することができる。なお、本発明においては、電極29bと電気的に接続されている金属板35までを含めて電極と称する。
【0034】
フレーム27は、箱状、筒状などいずれの形態でも良く、上部に設けられる電極29aと、両側方に設けられる電極29bとを保持し、さらに電極29aと接続されるケーブル33および金属錘31とを保持できればいずれの形態でも良い。電極29a、29bは、外部で図示を省略した回路と接続される。なお、金属板35はフレーム27(金属錘31)の両側方に設けられるのではなく、一方の側のみに設けられてもよい。また、電極29a、29b等は、絶縁性のフレーム27によって絶縁されている。フレーム27は角度調整ダイヤル7と接合されており、角度調整ダイヤル7の回転に応じてフレーム27も回転(金属錘31を中心に金属板35が上下方向に移動する方向への回転)する。すなわち、フレーム27の角度を調整することができる。
【0035】
図3(b)に示す状態では、金属錘31はケーブル33によって電極29aから鉛直方向に保持されており、電極29bは金属錘31の水平方向の側方に位置する。すなわち、この状態を、傾き検知が水平な状態と称する。この状態では、電極29aに対する金属錘31の位置と金属錘31に対する金属板35の位置が略垂直な状態である。金属錘31と金属板35とは接触していないため、電極29a、29bは導通しない。
【0036】
一方、使用者が居眠り状態または居眠り状態の前兆を示した場合には、図3(c)に示すように、使用者の頭部が通常に対して前傾する(図中矢印B方向)。この状態においては、傾き検知部15は、本体部3とともに前方に傾く。
【0037】
図3(d)に示すように、傾き検知部15が前方(金属板35側)に傾くと、フレーム27およびこれに固定されている金属板35等が前方に傾く。一方、金属錘31は、電極29aとの接続部を基点として、重力により鉛直方向の位置を維持する。このため、所定量以上居眠り感知器1が傾くと、金属錘31が金属板35の方へ近づき(移動し)、金属板35と金属錘31とが接触する(図中矢印C方向)。すなわち、金属錘31は電極と接触する。
【0038】
金属板35、金属錘31およびケーブル33は、いずれも導電性を有するため、電極29a、29bは、金属板35、金属錘31およびケーブル33を介して導通する。以上により傾きを検知することができる。
【0039】
次に、居眠り感知器1の動作回路について説明する。図4は居眠り感知器1の動作回路を示す概略図である。なお、以下の図面においては、制御部17等は図示を省略する。
【0040】
図4(a)に示すように、傾き検知部15が水平状態(通常使用時、図3(a)の状態)では、電極29a、29bが導通しておらず、回路は遮断される。したがって、警報発振部20は動作しない。
【0041】
一方、図4(b)に示すように、傾き検知部15が前傾した状態(居眠り感知時、図3(c)の状態)では、電極29a、29bが導通し、回路に電流がながれ、警報発振部20が動作する。すなわち、設定された振動や音を警報発振部20が発振する。このため、本体部3を頭部に密着させておけば、振動が確実に頭蓋骨に伝わり、使用者は警報の発生を確認することができる。また、発振された音は、耳の近くで発せられるため、使用者は容易に警報の発生を確認することができる。
【0042】
以上説明したように、本発明に係る居眠り感知器1によれば、使用者は居眠り状態または居眠りの前兆時の頭部の前傾を感知して、使用者に注意喚起を行うため、使用者が自己の居眠り状態等を知覚することができる。
【0043】
特に、居眠り感知器1は、耳掛け部5が屈曲自在であるため、使用者の耳の形状等によらず、確実に使用者の耳に装着することができる。なお、通常、使用者の姿勢や耳の形状等によって、居眠り感知器1の装着状態は使用者によって様々であるが、本発明の居眠り感知器1は、装着角度を気にすることなく、最も耳や頭部フィットするように装着すれば良い。このため、装着性に優れる。また、装着された際に居眠り感知器1を頭部に密着させることができるため、居眠り感知器1の発する振動を確実に頭蓋骨に伝達することができる。
【0044】
また、傾き検知部15は、振り子状の金属錘31の動作によって導通するため、簡易な構造で、確実に所定量以上の傾きを検知することができる。特に、振り子状であるため、金属錘31は他の部材と通常接触しておらず、金属錘31の摩耗等や他の部材との付着による動作不良等の恐れが少ない。
【0045】
また、角度調整ダイヤル7によって、傾き検知部15の本体部に対する角度を任意に調整可能であるため、居眠り感知器1の装着状態や使用者の姿勢によらず、常に適切な状態で傾きを検知することができる。なお、傾き検知部15の金属板35を一方のみに設け、傾き検知部15の前傾のみを検出するようにすれば、角度調整ダイヤル7によって、居眠り感知器1の感度を任意に調整することもできる。たとえば、通常時に、傾き検知器15を最初から多少前方(金属板35側)に傾けておけば、使用者のわずかな前傾によっても傾き検知部15が動作するように感度を上げることができ、また、通常時に、傾き検知器15を多少後方(金属板35とは逆側)に傾けておけば、使用者の多少の前傾では傾き検知部15が動作せず、感度を落とし、誤作動を防止することもできる。
【0046】
また、警報発振部20として、音および振動の発生を切り替えることができるため、確実に使用者に居眠り状態等の注意喚起を行い、使用者に当該状態を知覚させることができる。
【0047】
次に、傾き検知部の他の実施例について説明する。図5は、傾き検知部40を示す図である。傾き検知部40は、主に、筒部材41、電極43a、43b、金属板45、金属板47、金属錘49等から構成される。
【0048】
筒部材41は、中空の筒状部材であり、両端は閉じられている。筒部材41内部には球体である金属錘49が封入されている。導体である金属錘49は筒部材41の内径に対してやや小さく、筒部材41内を転がり、移動することが可能である。筒部材41の一方の端部には、導体である金属板45が設けられる。金属板45は、筒部材41の外方端部に設けられる第1の電極である電極43aと接続される。なお、本発明においては、電極43aと電気的に接続されている金属板45までを含めて電極と称する。
【0049】
筒部材41の金属板45が設けられる側の端部近傍の内周面には、筒状の金属板47が円周方向に設けられる。導体である金属板47の内径は、金属錘49の外径よりもやや大きく、金属錘49は金属板47内を転がり、移動することができる。なお、金属板47は、筒部材41の全周にわたって設けられている必要はなく、筒部材41の一部のみに内周面に沿って設けられてもよく、また、筒部材41の上下2か所など、複数に分割して設けられてもよい。また、金属板47の内周面と筒部材41の内周面との間には段差が設けられないように、厚さの薄い金属板47を用いることが望ましい。金属板47は、筒部材41の外方側面に設けられる第2の電極である電極43bと接続される。なお、本発明においては、電極43bと電気的に接続されている金属板47までを含めて電極と称する。
【0050】
金属板47が設けられる範囲は、金属板45が設けられる端部近傍から、筒部材41の長手方向に金属錘49の外径の半分程度位置に設けられれば良い。すなわち、金属錘49が金属板45に接触した際に、同時に金属板47と接触できれば良い。また、筒部材41は、角度調整ダイヤル7と接合されており、筒部材41の本体部3に対する角度を、外部から調整することができる。この場合、通常時において、傾き検知部40の後方への傾き角度を大きくすれば、感度を低くすることができ、水平に近づければ、感度を高くすることができる。
【0051】
図5(a)に示すように、通常時においては、傾き検知器40は、筒部材41の後端(金属板45が設けられる方とは逆側)がやや下方に傾くように(後方に傾くように)角度調整ダイヤル7によって調整される。したがって、金属錘49は筒部材41の後方側に移動する。この状態では、電極43a、43b、金属錘49は、絶縁性の筒部材41によって絶縁されている。したがって、電極43aと電極43bとは電気的に接続されておらず導通しない。
【0052】
傾き検知部40が前方側(金属板45側)に傾くと、筒部材41内の金属錘49が筒部材41の前方に転がり、移動する(図中矢印H方向)。したがって、金属錘49は筒部材41内面端部の金属板45(電極)と接触する。この際、金属錘49は、筒部材41内周面に設けられた金属板47とも接触する。すなわち、金属錘49は電極と接触して電極43a、43bは金属錘49を介して接続され、導通する。以上により傾きを検知することができる。
【0053】
図6は、傾き検知器40を用いた場合の、居眠り感知器の動作回路を示す概略図である。図6(a)に示すように、傾き検知部49が水平よりもやや後方に傾いた状態では、電極43a、43bが導通しておらず、回路は遮断される。したがって、警報発振部20は動作しない。
【0054】
一方、図6(b)に示すように、傾き検知部40が前傾した状態(居眠り感知時、図3(c)の状態)では、電極43a、43bが導通し、回路に電流がながれ、警報発振部20が動作する。すなわち、設定された振動や音を警報発振部20が発振する。このため、本体部3を頭部に密着させておけば、振動が確実に頭蓋骨に伝わり、使用者は警報の発生を確認することができる。また、発振された音は、耳の近くで発せられるため、使用者は容易に警報の発生を確認することができる。
【0055】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る傾き検知器40を用いても、居眠り感知器1と同様の効果を奏することができる。また、金属錘49は多少の揺れによっても振れることがなく、動作しないため、誤作動が少ない。また、金属錘49の大きさや重さに対する筒部材41の長さによって、傾き状態になってから導通するまでの時間を変えることもできる。
【0056】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
1………居眠り感知器1
3………本体部
5………耳掛け部
7………角度調整ダイヤル
9………動作切り替えスイッチ
11………ゴム部材
13………金属部材
15、40………傾き検知部
17………制御部
19………振動発振部
20………警報発振部
21………警告音発生部
23………電源
25………耳
27………フレーム
29a、29b、43a、43b………電極
31、49………金属錘
33………ケーブル
35………金属板
40………傾き検知部
41………筒部材
45、47………金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居眠り状態または居眠りの前兆を感知する居眠り感知器であって、
本体部と、
前記本体部に設けられる耳掛け部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部の傾きを検知する傾き検知部と、
前記本体部に設けられ、警報を発する警報発振部と、
前記傾き検知部と接続され、前記傾き検知部の前記本体部に対する設置角度を調整可能な角度調整部と、
を具備し、
前記傾き検知部は、導電性の錘部と前記錘部と導通可能な電極部とを有し、前記傾き検知部が所定量以上傾くと、前記錘部が前記電極部の方へ移動して、前記錘部と前記電極部とが接触することで導通し、前記警報発振部が動作することを特徴とする居眠り感知器。
【請求項2】
前記耳掛け部は、屈曲可能な部材であり、耳に装着する際に、任意の形状に塑性変形可能であることを特徴とする請求項1記載の居眠り感知器。
【請求項3】
前記錘部は、第1の電極部に接合された振り子状の部材であり、前記錘部の少なくとも一方の側方には、板状の第2の電極部が配置され、
前記傾き検知部が傾くと、前記錘部が前記第2の電極部側に振れて、前記錘部が前記第2の電極部と接触することで前記第1、第2の電極部が導通し、前記警報発振部が動作することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の居眠り感知器。
【請求項4】
前記錘部は、円筒状の筒状部材の内部に配置される球体であり、前記筒状部材の少なくとも一方の端部には、前記筒状部材の内面に露出する第1の電極部が設けられ、前記筒状部材の内側面には、第2の電極部が配置され、
前記傾き検知部が傾くと、前記球体が前記筒状部材の内部で前記第1の電極部の方に転がり、前記球体が前記第1の電極と接触することで前記球体を介して前記第1、第2の電極部が導通し、前記警報発振部が動作することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の居眠り感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−65333(P2011−65333A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214298(P2009−214298)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(509259839)
【出願人】(505059374)
【Fターム(参考)】