屈曲変形性を持つステントの製造方法及びそのステント
【課題】ステントが臓器の病変部位に施術された後にその病変部位から位置離脱するおそれをなくしたステントを提供する。
【解決手段】超弾性形状記憶合金やステンレスなどのステント素材になるワイヤを互いに
異なる位置で交差して編むことで多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体を
形成してステントを製造する方法であって、前記ワイヤを編んで構成した中空型本体の菱
形空間部を一定区間では小さく構成して稠密性を提供し、他の一定区間では菱形空間部を
大きく構成して相対的に広く形成することによって、区間によって異なる大きさの弾性力
を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成することでス
テントを製造する。
【解決手段】超弾性形状記憶合金やステンレスなどのステント素材になるワイヤを互いに
異なる位置で交差して編むことで多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体を
形成してステントを製造する方法であって、前記ワイヤを編んで構成した中空型本体の菱
形空間部を一定区間では小さく構成して稠密性を提供し、他の一定区間では菱形空間部を
大きく構成して相対的に広く形成することによって、区間によって異なる大きさの弾性力
を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成することでス
テントを製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胆管、各種の臓器、またはその周辺の癌細胞のような腫瘍によって胆管または臓器が狭窄中にあるか狭窄された部位を拡張させるのに使用するステントに係り、より詳しくは、中空円筒状本体の長手方向に沿ってワイヤを区間によって狭い間隔で、あるいは広い間隔で編むことによって、部分的に弾性力が異なる強・弱弾性部位を交互に繰り返し形成するので、病変部位への設置の際、強・弱弾性部位の弾性力の差によって病変部位を屈曲変形させながら決着するようにすることで位置離脱のおそれを防止する屈曲変形性を持つステントの製造方法及びそのステントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、胆管や各種の臓器の内部またはその周辺の癌細胞のような腫瘍によって胆管または臓器で発生する狭窄進行部位または狭窄部位を拡張させるために医療用ステントによる施術を行っている。
【0003】
このような医療用ステントは、図1a及び図1bに示すように、超弾性形状記憶合金ワイヤ、またはステンレスワイヤ2を互いに異なる位置で交差するように編むことにより、多数の菱形空間部3を持つ一定長さの中空円筒状本体5を含む構造のステント8に製作される。
【0004】
そして、前記円筒状本体の内外部には、必要によって、PTFEまたはシリコンなどで製作された被膜が被覆された形態のステントも提供されている。
【0005】
このような医療用ステントは、施術しようとする胆管または臓器の直径よりやや大きな直径、及び狭窄進行部位または狭窄部位(以下、病変部位という)の長さよりやや長い長さのものを選択して施術する。
【0006】
このように施術されたステントの円筒状本体5は、図2に示すように、病変部位200をステントの弾性力によって外側に押し出して臓器の管路を広げるとともに密着させる決着力を持つので、施術された状態を維持することになる。
【0007】
しかし、このような従来のステントは、前記円筒状本体5が長手方向に作用する一定の弾性力によって病変部位と一定の密着力を形成するため、時間が経つかあるいは管路に作用する各種の外部影響によって病変部位から滑って所望の位置を離脱する問題点があった。すなわち、ステントが病変部位の位置から離脱する問題点があった。
【0008】
一方、前記問題点の改善方案として、図3に示すように、多数のステント8を準備し、前記それぞれのステント8をPTFEまたはシリコンで製造された単一被膜7で被覆して、これらを互いに連結する方法で製造された連結型ステント9が提供されたことがある。
【0009】
このような連結型ステント9は、そのそれぞれのステント8が有する弾性力によって病変部位を互いに異なる位置でそれぞれ病変部位を弾性力で押し出して臓器の管路を広げるが、ステント9がない部位、つまり被膜7の部分では病変部位を押し出すことができないため、病変部位を屈曲形態に変形させながら決着するので、前記従来のステント8より決着力を増大させることにより、病変部位から勝手に離脱する問題を防止した。
【0010】
しかし、このような従来の連結型ステント9は、胆管または臓器で各種の分泌液や体液によって経時的に被膜7が徐々に溶けることにより、前記それぞれのステント8が互いに分離されて病変部位を離脱することになる。このような理由で、臓器に沿って流れる体液の流れを邪魔するか、体液とともに移動して他の臓器に付いて副作用を引き起こすため、むしろこれを除去するための付加の施術が必要になるなど、深刻な副作用を引き起こすことになる問題点などがあった。
【0011】
その外に、ステントに付加のワイヤを編んで直径方向の外側に突出するように係止突起を形成することで、係止突起が臓器の内壁または病変部位にかかって支持されるように構成したものも開示されたことがあるが、これは臓器または病変部位を損傷させるおそれがある問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は前記従来技術の諸般の問題点を解決するためになされたもので、ステントが臓器の病変部位に施術された後にその病変部位から位置離脱するおそれをなくしたステントを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明は、超弾性形状記憶合金やステンレスなどのステント素材になるワイヤを互いに異なる位置で交差して編むことで、多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体を形成してステントを製造する方法であって、前記ワイヤを編んで構成した中空型本体の菱形空間部を一定区間では小さく構成して稠密性を提供し、他の一定区間では菱形空間部を大きく構成して相対的に広く形成することによって、区間によって異なる大きさの弾性力を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成することでステントを製造する、屈曲変形性を持つステントの製造方法を提供する。
【0014】
このような本発明のステントを病変部位に施術すれば、相異なる弾性力によって病変部位を多く押し出す部分と小さく押し出す部分が強制的に形成されることにより、病変部位がまるで波形に屈曲変形されてステントと決着するので、決着力を向上させて、位置離脱のおそれを防止することになる。
【0015】
このような本発明のステントの内外面にはPTFEまたはシリコンの被膜を被覆して被膜層を提供することができ、本発明のステントの両端には、円筒状本体の直径より大きな直径を持つ拡管部を提供して拡管型ステントを製作することもできる。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明は、区間によって異なる弾性力を持つステントを提供することにより、これを病変部位に施術すれば、強・弱弾性部が持つ弾性力の差によって病変部位を多く押し出す部分と少なく押し出す部分を形成することになるので、病変部位をまるで波形に屈曲変形させながらステントが決着されるので、ステントが病変部位で滑る現象を効果的に防止する効果を提供することになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】従来ステントの一実施例を示す正面図である。
【図1b】図1aの側断面図である。
【図2】図1の設置状態を示す正面図である。
【図3】従来のステントの他の実施例を示す正面図である。
【図4】本発明のステントを示す正面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図11】本発明のステントを編むときに使用されるジグを示す斜視図である。
【図12】本発明の施術後の状態を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、前記本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0019】
本発明は、超弾性形状記憶合金ワイヤまたはステンレスワイヤなどのように、ステントの素材になるワイヤを互いに異なる位置で交差して編んで多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体に形成するとき、前記菱形空間部を一定区間では小さく構成することによって稠密性を付与し、他の区間では菱形空間部の大きさを大きく構成して相対的に広く形成することにより、それぞれの区間で異なる弾性力を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成される本発明のステントを提供する。
【0020】
このような本発明のステントを病変部位に施術すれば、互いに異なる弾性力によって、病変部位を多く押し出す部分と小さく押し出す部分を強制的に発生させるから、病変部位をまるで波形に屈曲変形させながらステントが決着されるので、決着力を向上させることにより、位置離脱のおそれを防止することになる。
【0021】
すなわち、本発明は、図4に示すように、超弾性形状記憶合金またはステンレスなどのステント素材のワイヤ12を互いに異なる位置で交差して編んで多数の菱形空間部13を持つ一定長さの中空円筒状本体15を形成することによって製造されるステントであって、前記ワイヤ12を編んで中空円筒状本体15を作ることにより形成される前記多数の菱形空間部13を一定区間では小さな菱形空間部13aに形成することによって相対的に強い弾性力を持つ強弾性部21と、他の一定区間では前記小さな菱形空間部13aより相対的に大きな菱形空間部13bに形成することによって前記強弾性部21より相対的に弱い弱弾性部22とを提供することで、区間によって異なる弾性力を持つ強・弱弾性部位21、22を少なくとも1回以上交互に繰り返すことにより一体的に形成される本発明の屈曲変形性を持つステント20を提供する。
【0022】
この際、強弾性部21に形成される小さな菱形空間部13aと弱弾性部22に形成される大きな菱形空間部13bの数を比較すると、同じ単位長さにおいて、前記強弾性部21の小さな菱形空間部13aが弱弾性部22の大きな菱形空間部13bより遥かに多くて相対的に高稠密性を持っている。
【0023】
このような本発明の実施例では、強弾性部21と弱弾性部22の長さが同等なものについて説明しているが、これは必要によって互いに異なる長さを有することができる。
【0024】
これは病変部位の大きさ、臓器の内部に突出した程度、病変部位の形態などの施術しようとする病変部位の特徴によって互いに異なる長さを有するように構成することができる。言い換えれば、病変部位が持つ特徴によって、強・弱弾性部21、22の長さはもちろんのこと、弾性力の程度にも大きな違いがあるようにすることができ、反対に比較的小さな違いがあるように設計することもできる。
【0025】
結局、これは施術しようとする病変部位の特徴によってその実施形態を変更することができるものである。
【0026】
このような本発明のステント20は、本出願人が先出願した図11に示すようなジグ100を用いて製造することができる。
【0027】
すなわち、前記ジグ100は、円筒体110の円周と長さを等間隔で分割し設定した円周分割線と長さ分割線が交差する地点にそれぞれ突出ピン120が着脱可能に固定されている。
【0028】
このようなジグ100を用いて、前記ワイヤ12を、互いに異なる位置で、ある突出ピン120では通過させ、他の突出ピン120ではワイヤ12を折曲して互いに交差して編むことによって、多数の菱形空間部13を持つように製造する。この際、一定区間、つまり強弾性部21では、ワイヤ12を隣接した突出ピン120を用いて稠密に編むことで小さな菱形空間部13aを持つ強弾性部21を提供し、他の一定区間、つまり弱弾性部22では、前記ワイヤ12を隣接した突出ピン120からその隣接位置の突出ピン120を通過させて他の位置の突出ピン120で折曲及び交差させる過程によって、前記強弾性部21より遠く位置する突出ピン120を用いて、強弾性部位21より相対的に広い間隔で連続して編むことで大きな菱形空間部13bを形成して弱弾性部22を構成することになり、このような方法で強・弱弾性部21、22を交番に繰り返して一体的に形成することにより製造することができる。
【0029】
このような本発明は、前記中空円筒状本体15の両端に、円筒状本体15の直径より大きな直径を持つ拡管部30を持つ拡管型ステント31にもそのまま適用することができる。その例としては、添付図面の図6に示すように、斜めに拡開するテーパー拡管部33、あるいは図7に示すように、段差状に拡開する段差拡管部32を持つものなどがある。
【0030】
そして、添付図面の図5及び図8に示すような場合、すなわち本発明のステント20または拡管型ステント31の内外面にPTFEまたはシリコンのような被膜層40を形成することもできる。このような被膜型ステント50及び拡管型皮膜ステント60は、病変部位が成長しながらステントの内部に侵透することを防止するために使用される。
【0031】
この場合にも、必要によって、本発明のステントを施術した後、病変部位での状態を長時間にわたって維持するために、添付図面の図9及び図10に示すように、前記本発明のステント20または拡管型ステント31の内面にはPTFEまたはシリコンのいずれか1種を選択して被覆し、外面には、前記内面に被覆されたものとは異種の材質の被膜層、例えば、内面にPTFEを被覆した場合には外面にシリコン被膜層をそれぞれ選択して構成することができる。
【0032】
したがって、本発明のステント20または拡管型ステント31のいずれか一表面に被膜層を形成することに比べ、異種の材質でその内外面にそれぞれ異なる被膜層を形成することにより体液によって溶ける時間も長くなるので、長期間体内に残して病変部位を押し出すなどの役割によって管路を確保することができる本発明の施術目的状態を長期間維持することができるようになる。
【0033】
未説明符号130はジグ100に形成されたワイヤ挿入溝を示す。
【0034】
以下、前記のように構成される本発明の作動及び作用について添付図面の図12を参照
して詳細に説明する。
【0035】
このような本発明のステント20は、胆管、またはその他の管路を持つ臓器の内部に施術され、狭窄進行部位または狭窄部位を外側に押し出して管路を確保するのに使用される。
【0036】
この際、前記ステントとしては、病変部位の長さと同一であるかあるいはそれよりやや長いステントを選択して施術する。
【0037】
このように挿入施術されたステントは、円筒状本体15が弾性力によって狭い病変部位を押し出して管路を拡張させることになる。
【0038】
この際、本発明の前記円筒状本体15は、長手方向に沿って部分的に弾性力が異なる強・弱弾性部21、22を交互に繰り返し形成しているので、強弾性部21に位置する病変部位は多く押し出され、弱弾性部22に位置する病変部位は少なく押し出されることにより、病変部位がまるで内側で屈曲された形態になる。
【0039】
このような作用、つまり本発明のステントが病変部位を屈曲させながら位置するので、その屈曲された部位にステントが位置することになり、さらにステントも波形に変形された状態で位置するので、ステントが滑る現象が相対的に減少して所定位置から離脱する問題点を解決することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、胆管、各種の臓器、またはその周辺の癌細胞のような腫瘍によって胆管または臓器が狭窄中にあるか狭窄された部位を拡張させるに使用するステントに適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
12 ワイヤ
15 円筒状本体
13a 小さな菱形空間部
13b 大きな菱形空間部
21 強弾性部
22 弱弾性部位
31 テーパー拡管部
32 段差拡管部
40 被膜層
【技術分野】
【0001】
本発明は胆管、各種の臓器、またはその周辺の癌細胞のような腫瘍によって胆管または臓器が狭窄中にあるか狭窄された部位を拡張させるのに使用するステントに係り、より詳しくは、中空円筒状本体の長手方向に沿ってワイヤを区間によって狭い間隔で、あるいは広い間隔で編むことによって、部分的に弾性力が異なる強・弱弾性部位を交互に繰り返し形成するので、病変部位への設置の際、強・弱弾性部位の弾性力の差によって病変部位を屈曲変形させながら決着するようにすることで位置離脱のおそれを防止する屈曲変形性を持つステントの製造方法及びそのステントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、胆管や各種の臓器の内部またはその周辺の癌細胞のような腫瘍によって胆管または臓器で発生する狭窄進行部位または狭窄部位を拡張させるために医療用ステントによる施術を行っている。
【0003】
このような医療用ステントは、図1a及び図1bに示すように、超弾性形状記憶合金ワイヤ、またはステンレスワイヤ2を互いに異なる位置で交差するように編むことにより、多数の菱形空間部3を持つ一定長さの中空円筒状本体5を含む構造のステント8に製作される。
【0004】
そして、前記円筒状本体の内外部には、必要によって、PTFEまたはシリコンなどで製作された被膜が被覆された形態のステントも提供されている。
【0005】
このような医療用ステントは、施術しようとする胆管または臓器の直径よりやや大きな直径、及び狭窄進行部位または狭窄部位(以下、病変部位という)の長さよりやや長い長さのものを選択して施術する。
【0006】
このように施術されたステントの円筒状本体5は、図2に示すように、病変部位200をステントの弾性力によって外側に押し出して臓器の管路を広げるとともに密着させる決着力を持つので、施術された状態を維持することになる。
【0007】
しかし、このような従来のステントは、前記円筒状本体5が長手方向に作用する一定の弾性力によって病変部位と一定の密着力を形成するため、時間が経つかあるいは管路に作用する各種の外部影響によって病変部位から滑って所望の位置を離脱する問題点があった。すなわち、ステントが病変部位の位置から離脱する問題点があった。
【0008】
一方、前記問題点の改善方案として、図3に示すように、多数のステント8を準備し、前記それぞれのステント8をPTFEまたはシリコンで製造された単一被膜7で被覆して、これらを互いに連結する方法で製造された連結型ステント9が提供されたことがある。
【0009】
このような連結型ステント9は、そのそれぞれのステント8が有する弾性力によって病変部位を互いに異なる位置でそれぞれ病変部位を弾性力で押し出して臓器の管路を広げるが、ステント9がない部位、つまり被膜7の部分では病変部位を押し出すことができないため、病変部位を屈曲形態に変形させながら決着するので、前記従来のステント8より決着力を増大させることにより、病変部位から勝手に離脱する問題を防止した。
【0010】
しかし、このような従来の連結型ステント9は、胆管または臓器で各種の分泌液や体液によって経時的に被膜7が徐々に溶けることにより、前記それぞれのステント8が互いに分離されて病変部位を離脱することになる。このような理由で、臓器に沿って流れる体液の流れを邪魔するか、体液とともに移動して他の臓器に付いて副作用を引き起こすため、むしろこれを除去するための付加の施術が必要になるなど、深刻な副作用を引き起こすことになる問題点などがあった。
【0011】
その外に、ステントに付加のワイヤを編んで直径方向の外側に突出するように係止突起を形成することで、係止突起が臓器の内壁または病変部位にかかって支持されるように構成したものも開示されたことがあるが、これは臓器または病変部位を損傷させるおそれがある問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は前記従来技術の諸般の問題点を解決するためになされたもので、ステントが臓器の病変部位に施術された後にその病変部位から位置離脱するおそれをなくしたステントを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明は、超弾性形状記憶合金やステンレスなどのステント素材になるワイヤを互いに異なる位置で交差して編むことで、多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体を形成してステントを製造する方法であって、前記ワイヤを編んで構成した中空型本体の菱形空間部を一定区間では小さく構成して稠密性を提供し、他の一定区間では菱形空間部を大きく構成して相対的に広く形成することによって、区間によって異なる大きさの弾性力を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成することでステントを製造する、屈曲変形性を持つステントの製造方法を提供する。
【0014】
このような本発明のステントを病変部位に施術すれば、相異なる弾性力によって病変部位を多く押し出す部分と小さく押し出す部分が強制的に形成されることにより、病変部位がまるで波形に屈曲変形されてステントと決着するので、決着力を向上させて、位置離脱のおそれを防止することになる。
【0015】
このような本発明のステントの内外面にはPTFEまたはシリコンの被膜を被覆して被膜層を提供することができ、本発明のステントの両端には、円筒状本体の直径より大きな直径を持つ拡管部を提供して拡管型ステントを製作することもできる。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明は、区間によって異なる弾性力を持つステントを提供することにより、これを病変部位に施術すれば、強・弱弾性部が持つ弾性力の差によって病変部位を多く押し出す部分と少なく押し出す部分を形成することになるので、病変部位をまるで波形に屈曲変形させながらステントが決着されるので、ステントが病変部位で滑る現象を効果的に防止する効果を提供することになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】従来ステントの一実施例を示す正面図である。
【図1b】図1aの側断面図である。
【図2】図1の設置状態を示す正面図である。
【図3】従来のステントの他の実施例を示す正面図である。
【図4】本発明のステントを示す正面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図11】本発明のステントを編むときに使用されるジグを示す斜視図である。
【図12】本発明の施術後の状態を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、前記本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0019】
本発明は、超弾性形状記憶合金ワイヤまたはステンレスワイヤなどのように、ステントの素材になるワイヤを互いに異なる位置で交差して編んで多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体に形成するとき、前記菱形空間部を一定区間では小さく構成することによって稠密性を付与し、他の区間では菱形空間部の大きさを大きく構成して相対的に広く形成することにより、それぞれの区間で異なる弾性力を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成される本発明のステントを提供する。
【0020】
このような本発明のステントを病変部位に施術すれば、互いに異なる弾性力によって、病変部位を多く押し出す部分と小さく押し出す部分を強制的に発生させるから、病変部位をまるで波形に屈曲変形させながらステントが決着されるので、決着力を向上させることにより、位置離脱のおそれを防止することになる。
【0021】
すなわち、本発明は、図4に示すように、超弾性形状記憶合金またはステンレスなどのステント素材のワイヤ12を互いに異なる位置で交差して編んで多数の菱形空間部13を持つ一定長さの中空円筒状本体15を形成することによって製造されるステントであって、前記ワイヤ12を編んで中空円筒状本体15を作ることにより形成される前記多数の菱形空間部13を一定区間では小さな菱形空間部13aに形成することによって相対的に強い弾性力を持つ強弾性部21と、他の一定区間では前記小さな菱形空間部13aより相対的に大きな菱形空間部13bに形成することによって前記強弾性部21より相対的に弱い弱弾性部22とを提供することで、区間によって異なる弾性力を持つ強・弱弾性部位21、22を少なくとも1回以上交互に繰り返すことにより一体的に形成される本発明の屈曲変形性を持つステント20を提供する。
【0022】
この際、強弾性部21に形成される小さな菱形空間部13aと弱弾性部22に形成される大きな菱形空間部13bの数を比較すると、同じ単位長さにおいて、前記強弾性部21の小さな菱形空間部13aが弱弾性部22の大きな菱形空間部13bより遥かに多くて相対的に高稠密性を持っている。
【0023】
このような本発明の実施例では、強弾性部21と弱弾性部22の長さが同等なものについて説明しているが、これは必要によって互いに異なる長さを有することができる。
【0024】
これは病変部位の大きさ、臓器の内部に突出した程度、病変部位の形態などの施術しようとする病変部位の特徴によって互いに異なる長さを有するように構成することができる。言い換えれば、病変部位が持つ特徴によって、強・弱弾性部21、22の長さはもちろんのこと、弾性力の程度にも大きな違いがあるようにすることができ、反対に比較的小さな違いがあるように設計することもできる。
【0025】
結局、これは施術しようとする病変部位の特徴によってその実施形態を変更することができるものである。
【0026】
このような本発明のステント20は、本出願人が先出願した図11に示すようなジグ100を用いて製造することができる。
【0027】
すなわち、前記ジグ100は、円筒体110の円周と長さを等間隔で分割し設定した円周分割線と長さ分割線が交差する地点にそれぞれ突出ピン120が着脱可能に固定されている。
【0028】
このようなジグ100を用いて、前記ワイヤ12を、互いに異なる位置で、ある突出ピン120では通過させ、他の突出ピン120ではワイヤ12を折曲して互いに交差して編むことによって、多数の菱形空間部13を持つように製造する。この際、一定区間、つまり強弾性部21では、ワイヤ12を隣接した突出ピン120を用いて稠密に編むことで小さな菱形空間部13aを持つ強弾性部21を提供し、他の一定区間、つまり弱弾性部22では、前記ワイヤ12を隣接した突出ピン120からその隣接位置の突出ピン120を通過させて他の位置の突出ピン120で折曲及び交差させる過程によって、前記強弾性部21より遠く位置する突出ピン120を用いて、強弾性部位21より相対的に広い間隔で連続して編むことで大きな菱形空間部13bを形成して弱弾性部22を構成することになり、このような方法で強・弱弾性部21、22を交番に繰り返して一体的に形成することにより製造することができる。
【0029】
このような本発明は、前記中空円筒状本体15の両端に、円筒状本体15の直径より大きな直径を持つ拡管部30を持つ拡管型ステント31にもそのまま適用することができる。その例としては、添付図面の図6に示すように、斜めに拡開するテーパー拡管部33、あるいは図7に示すように、段差状に拡開する段差拡管部32を持つものなどがある。
【0030】
そして、添付図面の図5及び図8に示すような場合、すなわち本発明のステント20または拡管型ステント31の内外面にPTFEまたはシリコンのような被膜層40を形成することもできる。このような被膜型ステント50及び拡管型皮膜ステント60は、病変部位が成長しながらステントの内部に侵透することを防止するために使用される。
【0031】
この場合にも、必要によって、本発明のステントを施術した後、病変部位での状態を長時間にわたって維持するために、添付図面の図9及び図10に示すように、前記本発明のステント20または拡管型ステント31の内面にはPTFEまたはシリコンのいずれか1種を選択して被覆し、外面には、前記内面に被覆されたものとは異種の材質の被膜層、例えば、内面にPTFEを被覆した場合には外面にシリコン被膜層をそれぞれ選択して構成することができる。
【0032】
したがって、本発明のステント20または拡管型ステント31のいずれか一表面に被膜層を形成することに比べ、異種の材質でその内外面にそれぞれ異なる被膜層を形成することにより体液によって溶ける時間も長くなるので、長期間体内に残して病変部位を押し出すなどの役割によって管路を確保することができる本発明の施術目的状態を長期間維持することができるようになる。
【0033】
未説明符号130はジグ100に形成されたワイヤ挿入溝を示す。
【0034】
以下、前記のように構成される本発明の作動及び作用について添付図面の図12を参照
して詳細に説明する。
【0035】
このような本発明のステント20は、胆管、またはその他の管路を持つ臓器の内部に施術され、狭窄進行部位または狭窄部位を外側に押し出して管路を確保するのに使用される。
【0036】
この際、前記ステントとしては、病変部位の長さと同一であるかあるいはそれよりやや長いステントを選択して施術する。
【0037】
このように挿入施術されたステントは、円筒状本体15が弾性力によって狭い病変部位を押し出して管路を拡張させることになる。
【0038】
この際、本発明の前記円筒状本体15は、長手方向に沿って部分的に弾性力が異なる強・弱弾性部21、22を交互に繰り返し形成しているので、強弾性部21に位置する病変部位は多く押し出され、弱弾性部22に位置する病変部位は少なく押し出されることにより、病変部位がまるで内側で屈曲された形態になる。
【0039】
このような作用、つまり本発明のステントが病変部位を屈曲させながら位置するので、その屈曲された部位にステントが位置することになり、さらにステントも波形に変形された状態で位置するので、ステントが滑る現象が相対的に減少して所定位置から離脱する問題点を解決することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、胆管、各種の臓器、またはその周辺の癌細胞のような腫瘍によって胆管または臓器が狭窄中にあるか狭窄された部位を拡張させるに使用するステントに適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
12 ワイヤ
15 円筒状本体
13a 小さな菱形空間部
13b 大きな菱形空間部
21 強弾性部
22 弱弾性部位
31 テーパー拡管部
32 段差拡管部
40 被膜層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超弾性形状記憶合金やステンレスなどのワイヤを互いに異なる位置で交差して編むことで多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体を形成してステントを製造する方法において、
前記ワイヤを編んで構成した中空型本体の菱形空間部を一定区間では小さく構成して稠密性を提供し、他の一定区間では菱形空間部を大きく構成して相対的に広く形成することによって、区間によって異なる大きさの弾性力を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成することでステントを製造することを特徴とする、屈曲変形性を持つステントの製造方法。
【請求項2】
超弾性形状記憶合金やステンレスなどのステント素材のワイヤ12を互いに異なる位置で交差して編むことで多数の菱形空間部13を持つ一定長さの中空円筒状本体15を形成してなるステントにおいて、
前記多数の菱形空間部13が一定区間では小さな菱形空間部13aに形成されることによって相対的に強い弾性力を持つ強弾性部21と、
他の一定区間では前記小さな菱形空間部13aより相対的に大きな菱形空間部13bに形成されることによって前記強弾性部21より相対的に弱い弱弾性部22とを含み、
区間によって異なる弾性力を持つ強・弱弾性部位21、22を少なくとも1回以上交互に繰り返されるように一体的に形成されることを特徴とする、屈曲変形性を持つステント。
【請求項3】
前記強弾性部21に形成される小さな菱形空間部13aの数は、前記弱弾性部22に形成される大きな菱形空間部13bの数に比べ、同じ単位長さにおいて数が多くて相対的に稠密性を持っていることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項4】
前記強弾性部21と弱弾性部22が互いに異なる長さを持つように形成されたことを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項5】
前記ステント20の両端に、前記円筒状本体15の直径より大きな直径を持つ拡管部30を含むことを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項6】
前記ステント20の内外面のいずれか一面にPTFEまたはシリコン被膜層40が被覆されていることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項7】
前記拡管型ステント31の内外面のいずれか一面にPTFEまたはシリコン被膜層40が被覆されていることを特徴とする、請求項5に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項8】
前記ステント20の内外面にそれぞれPTFEまたはシリコン被膜層40のいずれか1種が被覆され、互いに異種の被膜層が被覆されることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項9】
前記拡管型ステント31の内外面にそれぞれPTFEまたはシリコン被膜層40のいずれか1種が被覆され、互いに異種の被膜層が被覆されることを特徴とする、請求項5に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項1】
超弾性形状記憶合金やステンレスなどのワイヤを互いに異なる位置で交差して編むことで多数の菱形空間部を有する一定長さの中空円筒状本体を形成してステントを製造する方法において、
前記ワイヤを編んで構成した中空型本体の菱形空間部を一定区間では小さく構成して稠密性を提供し、他の一定区間では菱形空間部を大きく構成して相対的に広く形成することによって、区間によって異なる大きさの弾性力を持つ強・弱弾性部位を少なくとも1回以上交互に繰り返して一体的に形成することでステントを製造することを特徴とする、屈曲変形性を持つステントの製造方法。
【請求項2】
超弾性形状記憶合金やステンレスなどのステント素材のワイヤ12を互いに異なる位置で交差して編むことで多数の菱形空間部13を持つ一定長さの中空円筒状本体15を形成してなるステントにおいて、
前記多数の菱形空間部13が一定区間では小さな菱形空間部13aに形成されることによって相対的に強い弾性力を持つ強弾性部21と、
他の一定区間では前記小さな菱形空間部13aより相対的に大きな菱形空間部13bに形成されることによって前記強弾性部21より相対的に弱い弱弾性部22とを含み、
区間によって異なる弾性力を持つ強・弱弾性部位21、22を少なくとも1回以上交互に繰り返されるように一体的に形成されることを特徴とする、屈曲変形性を持つステント。
【請求項3】
前記強弾性部21に形成される小さな菱形空間部13aの数は、前記弱弾性部22に形成される大きな菱形空間部13bの数に比べ、同じ単位長さにおいて数が多くて相対的に稠密性を持っていることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項4】
前記強弾性部21と弱弾性部22が互いに異なる長さを持つように形成されたことを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項5】
前記ステント20の両端に、前記円筒状本体15の直径より大きな直径を持つ拡管部30を含むことを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項6】
前記ステント20の内外面のいずれか一面にPTFEまたはシリコン被膜層40が被覆されていることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項7】
前記拡管型ステント31の内外面のいずれか一面にPTFEまたはシリコン被膜層40が被覆されていることを特徴とする、請求項5に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項8】
前記ステント20の内外面にそれぞれPTFEまたはシリコン被膜層40のいずれか1種が被覆され、互いに異種の被膜層が被覆されることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲変形性を持つステント。
【請求項9】
前記拡管型ステント31の内外面にそれぞれPTFEまたはシリコン被膜層40のいずれか1種が被覆され、互いに異種の被膜層が被覆されることを特徴とする、請求項5に記載の屈曲変形性を持つステント。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−94510(P2010−94510A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234596(P2009−234596)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(509280589)タエウォン メディカル カンパニー リミテッド (3)
【出願人】(502434435)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(509280589)タエウォン メディカル カンパニー リミテッド (3)
【出願人】(502434435)
【Fターム(参考)】
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