屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータ
【課題】本発明は、ワイヤの伸びやたるみ、機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減すると共に、連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することができ、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができる屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータを提供することである。
【解決手段】駆動ロッド13を軸方向に直動させる場合には、駆動プレート7に駆動ロッド13からの押圧力が作用し、駆動ロッド13は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、駆動プレート7を第1の回転中心O1位置を中心に回転させる。この場合、ダブルジョイント機構では、駆動プレート7が支持部5の回転中心O1を中心に回動し、この駆動プレート7の回動動作に連動して支持部5の先端部の第1ガイドギア部8に対して、作動部6の第2ガイドギア部9が転がり回転しながら動くようにしたものである。
【解決手段】駆動ロッド13を軸方向に直動させる場合には、駆動プレート7に駆動ロッド13からの押圧力が作用し、駆動ロッド13は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、駆動プレート7を第1の回転中心O1位置を中心に回転させる。この場合、ダブルジョイント機構では、駆動プレート7が支持部5の回転中心O1を中心に回動し、この駆動プレート7の回動動作に連動して支持部5の先端部の第1ガイドギア部8に対して、作動部6の第2ガイドギア部9が転がり回転しながら動くようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多自由度術具などの屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から多自由度術具などの処置具の関節を駆動するためにワイヤを用いて駆動するタイプの関節駆動装置が知られている。このようにワイヤを用いて関節を駆動する機構では、ワイヤの伸びや、ゆるみ、疲労による切断等といった、耐久性、メンテナンス性、制御性に問題がある。また、ワイヤを用いて関節を駆動する機構では、屈曲する関節部分を経由してさらに先の関節に動力を伝達することは困難である。
【0003】
これを解決するために、特許文献1には、転がり回転するガイドを二つ用意した二重回転ガイドを備えた関節機構を駆動する駆動機構として、平行リンクを用いて駆動したり、ラックアンドピニオンによって駆動したりする直動カム機構の構成が開示されている。ここでは、転がり接触する二つのガイドとその回転中心間の距離を一定に保ち、他方を転がり回転させる屈曲用プレートを設け、屈曲関節を実現する手段が示されている。
【0004】
さらに、この直動カム機構は、ガイドの回転中心と中心を同じくしたプーリに、ワイヤをかけることにより、屈曲関節後の被駆動部に、屈曲関節の動作と干渉せずに該ワイヤにより動力を伝達できることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−307310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような直動カム機構の場合も、平行リンク部の取り付け誤差などによりガタが発生し、誤差要因となる場合がある。そのため、術具の精密位置決めが難しかった。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、ワイヤの伸びやたるみ、機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減すると共に、連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することができ、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができる屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面の態様の屈曲関節機構は、関節部は、第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、前記軸部に対して前記軸部の中心線方向に直動自在に支持されると共に、先端部が前記連結部材の前記第1の回転中心位置以外の位置に連結され、駆動力により前記軸部の前記中心線方向に直動駆動されるロッドと、を有し、前記ロッドの前記直動方向の動きに連動して前記連結部材を介して前記第2の回転ガイド部を前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記作動部を前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、前記ロッドは、前記軸部の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材であることを特徴とする。
【0008】
そして、上記構成では、関節部の駆動時には、ロッドを駆動力により直動方向に駆動する。このロッドの直動方向の動きに連動して連結部材を介して第2の回転ガイド部を第1の回転ガイド部に沿って第1の回転中心位置を中心に回動させることで関節部を駆動する。このロッドの直動時には、ロッドは弾性変形領域内で梁として軸部の中心線方向以外の方向にたわみながら、連結部材を回転させる。そのため、作動部の目的とする角度移動量に比べて、連結部材の角度移動量を低減することができる。ワイヤを使わないことによりワイヤの伸びやたるみの問題を解決し、部品点数の削減と弾性変形によるバネの押し付け効果により機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減するし、さらに連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することで組立工数を削減でき、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができるようにしたものである。
【0009】
好ましくは、前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に1次元である。
好ましくは、前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に2次元である。
好ましくは、前記弾性部材は、断面積が前記ロッドの中心線方向で異なる。
好ましくは、前記弾性部材は、ヤング率が前記ロッドの中心線方向で異なる。
好ましくは、前記弾性部材は、前記ロッドが複数の構成要素に分割され、前記各構成要素がそれぞれ異なる材料で形成されている。
【0010】
好ましくは、関節部は、第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、を有し、前記関節部は、前記軸部の中心線方向に第1の関節部および第2の関節部が並設され、前記第1の関節部を後側とし、前記第2の関節部を前側として、前記第1の関節部の前記作動部の前記第2の回転中心の中心軸と、前記第1の関節部の前記作動部につながった前記第2の関節部の前記第1の回転中心の中心軸とがねじれの位置、つまり平行だが同一平面上に存在しない関係で、前記第1の関節部の第1の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じくした第1の回転ギアと、前記第1の関節部の第2の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じで前記第1の回転ギアとかみ合う第2の回転ギアと、前記第1の関節部の連結部材に接続され、直動運動する第1駆動ロッドと、前記第2の関節部の連結部材と前記第2の関節部の前記連結部材の回転軸と平行で回転中心が異なる位置で回転自在に連結されると共に、前記第1の関節部の第2の回転ギアの回転中心軸と平行で回転中心以外の位置で前記第1の関節部の前記第2の回転ギアに回転自在に連結され、前記第2の関節部の前記軸部の中心線方向に直動駆動される第2駆動ロッドと、を有し、前記第1駆動ロッドの直動運動により、前記第1の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第1の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第1の関節部の前記作動部を前記第1の関節部の前記軸部に対して屈曲可能で、前記第1駆動ロッドの運動とは独立した別の駆動力により前記第1の関節部の前記第1の回転ギアを回転させることで、前記第1の回転ギアとかみ合った前記第2の回転ギアが回転し、前記第2の回転ギアと前記第2の関節部の前記連結部材に連結された前記第2駆動ロッドが前記第2の回転ギアの動きにより前記第2の関節部の前記連結部材を動かし、これにより前記第2の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第2の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第2の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第2の関節部の前記作動部を前記第2の関節部の前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、前記第2駆動ロッドは、長手断面方向に弾性変形可能な弾性部材である。
【0011】
本発明の他の局面の態様は、屈曲関節機構を有する術具において、前記屈曲関節機構は、上記各態様のうち何れか一の態様の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有する術具である。
本発明の他の局面の態様は、屈曲関節機構を有するマニピュレータにおいて、前記屈曲関節機構は上記各態様のうち何れか一の態様の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有するマニピュレータである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワイヤの伸びやたるみ、機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減すると共に、連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することができ、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができる屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態の全体の概略構成を示す側面図。
【図2】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態を一部断面にして示す側面図。
【図3】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を屈曲させた状態の全体の概略構成を示す側面図。
【図4】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を屈曲させた状態を一部断面にして示す側面図。
【図5】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部の作用を説明するもので、(A)は関節部を直線状態で保持した状態を一部断面にして示す側面図、(B)は関節部を屈曲させた状態を一部断面にして示す側面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態の概略構成を示す斜視図。
【図7】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部の要部構成を示す斜視図。
【図8】第2の実施の形態の屈曲関節機構の概略構成を示すもので、(A)は関節部を直線状態で保持した状態を示す斜視図、(B)は関節部を屈曲させた状態を示す斜視図。
【図9】(A)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第1の変形例を示す斜視図、(B)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第2の変形例を示す斜視図。
【図10】(A)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第3の変形例を示す斜視図、(B)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第4の変形例を示す斜視図。
【図11】(A)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第5の変形例を示す斜視図、(B)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第6の変形例を示す斜視図。
【図12】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第7の変形例を示す斜視図。
【図13】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部の駆動ロッドの変形例を示すもので、(A)は駆動ロッドの第1の変形例を示す平面図、(B)は駆動ロッドの第2の変形例を示す平面図、(C)は駆動ロッドの第3の変形例を示す平面図、(D)は駆動ロッドの第4の変形例を示す平面図。
【図14】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のバネリンクの第8の変形例を示す斜視図。
【図15】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のバネリンクの第9の変形例を示す斜視図。
【図16】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のバネリンクの第10の変形例を示す斜視図。
【図17】本発明の第3の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態の概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至図5(A),(B)は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1は、本発明の第1の実施の形態の多自由度術具などの処置具1の全体の概略構成を示す側面図である。本実施の形態の処置具1は、軸部2の先端部にダブルジョイント(二重関節)機構の関節部3を介して処置部4が連結されている。
【0015】
関節部3は、軸部2の先端部に配設された支持部5と、処置部4に連結された作動部6と、支持部5と作動部6との間を連結する駆動プレート(連結部材)7とを有する。図2に示すように支持部5の基端部は、軸部2の先端部に固定されている。支持部5の先端部には、ほぼ半円形状の第1ガイドギア部(第1の回転ガイド部)8が形成されている。第1ガイドギア部8の中心位置は、支持部5の回転中心(第1の回転中心)O1に設定されている。また、軸部2は、回転中心(第1の回転中心)O1軸に対して直交した軸を有している。
【0016】
作動部6は、作動部本体6aの先端に処置部4が連結されている。作動部本体6aの基端部には、ほぼ半円形状の第2ガイドギア部(第2の回転ガイド部)9が形成されている。第2ガイドギア部9の中心位置は、作動部6の回転中心(第2の回転中心)O2に設定されている。作動部6の第2ガイドギア部9は、第1ガイドギア部8に対して噛み合う状態で摩擦接触されている。ここで、図2に示すように第1ガイドギア部8の半径r1と第2ガイドギア部9の半径r2とは、比率が1:1の関係に設定されている。
【0017】
なお、本実施の形態では、支持部5の先端部の第1ガイドギア部8と、作動部6の第2ガイドギア部9とを歯車の噛み合いで摩擦接触させる構成を示したが、必ずしも歯車の噛み合いで摩擦接触させる構成に限定されるものではない。例えば、歯車の噛み合いによる摩擦接触に代えて摩擦接触される歯車の噛み合いがない2つのゴムローラ(摩擦力が大きい)を摩擦接触させる構成などのように2つの回転体間が互いに滑らずに回転転がりができる機構にしてもよい。
【0018】
駆動プレート7の基端部は、第1の連結ピン10を介して軸部2の第1の回転中心O1位置で回転可能に連結されている。駆動プレート7の先端部は、第2の連結ピン11を介して作動部6の第2の回転中心O2位置に回転可能に連結されている。これにより、駆動プレート7によって互いに転がり接触する第1ガイドギア部8の第1の回転中心O1と第2ガイドギア部9の第2の回転中心O2との間の距離を一定に保ち、作動部6の第1ガイドギア部8を支持部5の第2ガイドギア部9に対して転がり回転させるようになっている。
【0019】
また、前記軸部2は、円筒状のハウジング12を有する。ハウジング12の先端部に支持部5が連結されている。軸部2のハウジング12の内部には、駆動ロッド13が配設されている。ここで、ハウジング12の内部には、駆動ロッド13を軸部2の中心線方向に直動自在に支持するロッド受け14が固定されている。そして、駆動ロッド13は図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受け14にガイドされた状態で直動方向に駆動されるようになっている。
【0020】
駆動ロッド13の先端部は、第3の連結ピン15を介して駆動プレート7の基端部における第1の回転中心O1位置以外の第3の回転中心O3位置に回転可能に連結されている。さらに、本実施の形態の駆動ロッド13は、軸部2の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材である。ここで、駆動ロッド13の先端部には、他の部分よりも外径を小さくして弾性変形しやすくした軸方向の長さがLの弾性変形部(弾性部材)16が形成されている。これにより、駆動ロッド13は、断面積がロッド13の中心線方向で異なる構成になっている。なお、駆動ロッド13は、例えばステンレスバネ鋼(SUS304CPS)などの金属材料で形成されている。また、駆動ロッド13の材料は、ステンレスバネ鋼に限定されるものではなく、たとえば軽量で、絶縁性、耐食性に優れているPEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂)や、POM(ポリアセタール樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)などの樹脂バネや、ばね用りん青銅(延性、耐疲労性、耐食性が良く、特に低温焼なましを施行してあるので高性能ばね材に適している。)や、Ni−Tiなどの形状記憶合金(形状記憶合金バネは、低温では柔らかく、高温では硬い特性が得られる。軽量で、耐食性に優れている。)などでもよい。
【0021】
そして、本実施の形態の処置具1の関節駆動装置は、駆動ロッド13の直動方向の動きに連動して駆動プレート7を第1の回転中心O1位置を中心に回動させるとともに、駆動プレート7の動きに連動して作動部6の第2ガイドギア部9を軸部2の第1ガイドギア部8に沿って第1の回転中心O1位置を中心に回動させることで関節部3を駆動するようになっている(図3および図4参照)。
【0022】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具1の関節駆動装置は、非作動時は、図1、2に示すように軸部2の先端側の作動部6と処置部4とが軸部2の中心線方向に沿って一直線状に真っ直ぐに延びた初期位置の状態で保持されている。
【0023】
初期位置の状態から処置具1の関節駆動装置を動かす場合には駆動ロッド13を軸方向に直動させる。例えば、図1および図2の初期位置の状態から駆動ロッド13を前方向に向けて直動させた場合には、駆動プレート7に駆動ロッド13からの押圧力が作用する。このとき、駆動ロッド13は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、駆動プレート7を第1の回転中心O1位置を中心に回転させる。
【0024】
この場合、ダブルジョイント機構では、駆動プレート7が支持部5の回転中心O1を中心に図1中で、反時計回り方向に回動し、この駆動プレート7の回動動作に連動して支持部5の先端部の第1ガイドギア部8に対して、作動部6の第2ガイドギア部9が転がり回転しながら動く。そのため、支持部5の第1ガイドギア部8の半径(r1)と作動部6の第2ガイドギア部9の半径(r2)の比率に応じた角度で駆動プレート7を動かすことになる。
【0025】
ここで、図4に示すように駆動プレート7の回動角度をθ、作動部6の回動角度をφとすると、
r2(φ−θ)=r1θ ・・・(1)
φ={(r1+r2)/r2}θ ・・・(2)
たとえば、本実施の形態のように、第1ガイドギア部8の半径r1と、第2ガイドギア部9の半径r2との比率が1:1の場合(r1=r2)は、
φ=2θ
となる。図4に示すように回転中心O2を中心に駆動プレート7を45度動かせば、作動部6の第2ガイドギア部9は、支持部5の第1ガイドギア部8に対して90度動くことになる。つまり、増速機構となるため、駆動プレート7の角度移動量を目的とする作動部6の角度移動量に対して少なくできる。
【0026】
また、本実施の形態のダブルジョイント機構で処置具1の関節駆動装置を動かす場合に、図5(A)に示すように初期位置の状態から駆動ロッド13をx方向に直動させて図5(B)に示すように作動部6を目的の角度φまで回動させる際に駆動ロッド13が弾性変形領域内で梁としてたわむ。このときの駆動ロッド13のひずみyは、
y=r(1−cos(φ/2)) ・・・(3)
となる。したがって、本実施の形態のダブルジョイント機構で処置具1の関節駆動装置を動かす場合に作動部6を目的の角度φまで回動させる際に駆動ロッド13がたわむ際の駆動ロッド13のひずみyは、上記式(3)に示す通り、非常に小さくなるので、駆動ロッド13の弾性変形領域内で対応できる。
【0027】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置具の関節駆動装置では、互いに転がり接触する二つのガイド部材(支持部5の第1ガイドギア部8と作動部6の第2ガイドギア部9)と、その第1ガイドギア部8と、第2ガイドギア部9の距離を一定に保ち、第2ガイドギア部9を第1ガイドギア部8に対して転がり回転させるための駆動プレート7からなる二重関節機構において、駆動プレート7を動かす手段として変形を許容する駆動ロッド13の直動により駆動プレート7を動かす構成としたものである。この駆動ロッド13の直動時には、駆動ロッド13は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、駆動プレート7を回転させる。そのため、作動部6の目的とする角度移動量に比べて、駆動プレート7の角度移動量を低減することができるため、従来は平行リンク機構あるいはクランク機構といった機構により屈曲させていた関節部3を駆動ロッド13の直動で制御できるようにすることができる。
【0028】
したがって、本実施の形態の処置具1の関節駆動装置では、ワイヤの伸びやたるみ、機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減すると共に、連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することができ、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができる処置具1の関節駆動装置を提供することができる。
【0029】
また、本実施の形態では、駆動プレート7を駆動するための駆動ロッド13がバネの効果を果たし、関節部3の機構に生じるガタ部に常に力をあたえることになるので、関節部3のガタが低減する。
また、関節部3を平行リンク的に駆動する従来の駆動機構の場合では関節部3の駆動時に直動動作と回転動作とが組み合わされた動きを行うため、駆動機構の動作範囲が広く必要になる。そのため、細径部では設計が困難になる。これに対し、本実施の形態の処置具の関節駆動装置では、駆動プレート7を駆動するための駆動ロッド13が直動となるため、駆動ロッド13の軸断面内では動かず、占有面積が駆動ロッド13自身の面積に限られる。そのため、駆動ロッド13が配設される軸部2のハウジング12の内部スペースに駆動ロッド13の可動領域を広くする必要がなく、設計の自由度がひろがる。これにより、内視鏡下手術での気腹時の空気漏れを防ぐために術具軸内にパッキン部材を設置する場合でも、術具軸断面方向での可動領域が必要ないため、パッキン部材を設置しやすい。さらに、クランク駆動方式の従来の駆動機構の場合に比べ、リンク数が低減でき、コストや、組立工数が低減できる効果がある。
【0030】
[第2の実施の形態]
(構成)
図6乃至図8(A),(B)は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、処置具21の先端に2つのダブルジョイント機構の関節部(第1関節部22と第2関節部23)を並設したものである。
図6に示すように処置具21には、軸部24の先端と処置部25との間に第1関節部22と第2関節部23が配設されている。ここで、第1関節部22は、第1のガイドギア部8と軸および半径を同じくする第1ギア26と、第2のガイドギア部9と軸および半径を同じくする第2ギア27を有する。第1ギア26は、軸部24の先端に配設された支持部28に第1回転軸29を介して中心O1を中心に回転自在に軸支されている。第2ギア27は、第1ギア26に対して噛み合う状態で摩擦接触された状態で第2回転軸30を介して中心O2を中心に回転自在に軸支されている。第1ギア26の半径r1と第2ギア27の半径r2とは、本実施の形態では比率が1:1の関係に設定されている。
【0031】
軸部24のハウジング31の内部には、駆動ロッド32が配設されている。軸部24のハウジング31の内部には、駆動ロッド32を軸部24の中心線方向に直動自在に支持する図2に示すようなロッド受け(不図示)が固定されている。そして、駆動ロッド13は図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受けにガイドされた状態で直動方向に駆動されるようになっている。
【0032】
駆動ロッド32の先端部は、第1ギア26における第1回転軸29の中心O1位置以外の中心O5位置に連結ピン33を介して回転可能に連結されている。さらに、本実施の形態の駆動ロッド32は、軸部24の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材である。
【0033】
また、第2関節部23は、2つのほぼ半円形状のギア(第3ガイドギア部34と第4ガイドギア部35)を有する。第3ガイドギア部34は、第1関節部22と第2関節部23との間に配設された第2関節部23の軸部を成す中間ハウジング36に固定されている。第3ガイドギア部34の中心位置は、中間ハウジング36上の回転中心O6に設定されている。第4ガイドギア部35は、第3ガイドギア部34に対して噛み合う状態で摩擦接触された状態で処置部25に固定されている。第4ガイドギア部35の回転中心は、処置部25の回転中心O7上に設定されている。第3ガイドギア部34の半径r3と第4ガイドギア部35の半径r4とは、本実施の形態では比率が1:1の関係に設定されている。第2駆動プレート42およびプレート37は、第3ガイドギア部34の回転中心O6と第4ガイドギア部35の回転中心O7に対しそれぞれ、第3回転軸38および第4回転軸39により回転自由に軸支されている。
【0034】
ここで、第2関節部23の2つの回転軸である第3回転軸38と第4回転軸39は第1関節部22の2つの回転軸である第1回転軸29と第2回転軸30に対して直交する方向に配置されている。これにより、第1関節部22の屈曲方向と、第2関節部23の屈曲方向とは90°異なる方向に屈曲する状態に設定されている。
【0035】
また、中間ハウジング36の内部には、第2駆動ロッド40が配設されている。この第2駆動ロッド40は、ほぼクランク状に屈曲形成されたばねリンクである。第2駆動ロッド40の基端部は、第1関節部22の第2ギア27に対し、第2ギア27の回転軸と平行に連結ピン41を介して回転可能に連結されている。第2駆動ロッド40の先端部は、第2駆動プレート42に第3ガイドギア部34の中心軸と平行な軸で連結ピン43を介して回転可能に連結されている。ここで、第2駆動ロッド40の基端部の連結ピン41と、第2駆動ロッド40の先端部の連結ピン43とは、第2駆動ロッド40の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
【0036】
第2駆動プレート42と、第2関節部23の第3ガイドギア部34と第4ガイドギア部35との連結状態は、第1の実施の形態の駆動プレート7と、第1ガイドギア部8および第2ガイドギア部9との連結状態と同様に設定されている。つまり、第3ガイドギア部34は、第2の関節部の第1の回転ガイド部であり、第4ガイドギア部35は、第2の関節部の第2の回転ガイド部である。
【0037】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具21の関節駆動装置は、非作動時は、図6および図8(A)に示すように軸部24と処置部25との間の第1関節部22と第2関節部23とが軸部24の中心線方向に沿って一直線状に真っ直ぐに延びた初期位置の状態で保持されている。
【0038】
第1関節部22を駆動するときは、図6上には記載されていない駆動ロッド13を第1の実施の形態と同様に駆動することで、駆動プレート7が動き、第1関節部22は屈曲する。このとき、第1ギア26と第2ギア27は、駆動ロッド32が動かされなければ、第1ガイドギア部8および第2ガイドギア部9と同様に単なる転がり接触をするガイドとして働き、第2関節23に影響を与えることなく、第1関節部22を屈曲させることができる。
【0039】
次に、第2関節部23を屈曲する際には、駆動ロッド32が図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受けにガイドされた状態で直動方向に駆動され、第1ギア26が第1回転軸29を介して中心O1を中心に回転する。このとき、図8(B)に示すように第1ギア26と噛み合った第2ギア27が第2回転軸30を介して中心O2を中心に回転する。第2ギア27が回転することで第2ギアにピン41を介して回転自在に設置された第2駆動ロッド40が、中間ハウジング36の軸断面軸方向に弾性変形しながら、中間ハウジング36に固定された第3ガイドギア部34の中心軸O3回りに、第2駆動プレート42を回転軸43を介して回転させる。
この第2駆動ロッド40の動作に連動して第2関節部23は、第1の実施の形態での関節の動作と同様に駆動される。なお、このとき、図6上では図示されていない駆動ロッド13を固定していれば、第2関節部23が動いても第1関節部22は影響をうけずに動かない。このため、第1関節部22と第2関節部23は独立に駆動できる。
【0040】
(効果)
そこで、本実施の形態では、駆動ロッド32の直動動作によって第1関節部22の第1ギア26が回転し、これと噛み合った第1関節部22の第2ギア27の回転によって第2駆動ロッド40が中間ハウジング36の軸方向に駆動される。このとき、第2駆動ロッド40が、中間ハウジング36の軸断面方向に弾性変形領域内で梁としてたわみながら第2関節部23の第2駆動プレート42を第1の実施の形態と同様に駆動し、第2関節部23を屈曲させることができる。駆動ロッド32は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、第1関節部22の第1ギア26を回転させることができる。
したがって、本実施の形態でも第2関節部23を第1実施形態と同様に第2駆動ロッド40の直動で制御できるようにすることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、第2関節部23の2つの回転軸である第3回転軸38と第4回転軸39は第1関節部22の2つの回転軸である第1回転軸29と第2回転軸30に対して直交する方向に配置されている。これにより、第1関節部22の屈曲方向と、第2関節部23の屈曲方向とは90°異なる方向に屈曲させることができる。そのため、第1実施形態の効果に加え、第1関節部22と第2関節部23とを屈曲方向が90°異なる方向に屈曲させることができる。第1関節部22や第2関節部23のようなダブルジョイント機構を、長手断面方向には弾性変形し、長手方向は断面方向の弾性変形にくらべ変形しにくい駆動ロッドによって駆動することで、組み立てガタをバネ効果により押さえつけて低減しつつ、必要な部品点数を低減することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、第1ギア26への駆動力の伝達として駆動ロッド32にて行っているが、例えば第1ギア26に対してプーリを設けて、そのプーリにベルトやワイヤ等の駆動力伝達部材を接続して、その駆動力伝達部材にて行っても良く、さらにはリンクによって駆動力を伝達しても良く、駆動力伝達手段については駆動ロッド32によるものに限るものではない。
また、本実施の形態では、第1関節部22と第2関節部23とを並設した関節部を処置具21の先端に設けているが、処置具21の中途部に設けても良い。さらには、第1関節部22と第2関節部23とを並設した関節部を複数並設しても良い。
また、本実施の形態において、第1関節部22を屈曲させる第1駆動ロッドとしては、弾性変形可能な駆動ロッド13が好ましいが、第1関節部22を屈曲させるということに対しては、弾性変形しない部材の第1駆動ロッドであっても良い。
【0043】
[第2の実施の形態の第1の変形例]
図9(A)は、本発明の第2の実施の形態の第2駆動ロッド40の第1の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド51は、駆動ロッド51のロッド本体51aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体51aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する第1の貫通孔52と、ロッド本体51aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する第2の貫通孔53とが設けられている。これら第1の貫通孔52と、第2の貫通孔53とは駆動ロッド51の中心線方向に延設された長穴によって形成されている。
【0044】
また、駆動ロッド51の基端部の連結ピン54と、駆動ロッド51の先端部の連結ピン55とは、駆動ロッド51の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド51では、ロッド本体51aの第1の貫通孔52と、第2の貫通孔53の大きさを調整することにより、駆動ロッド51のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0045】
[第2の実施の形態の第2の変形例]
図9(B)は、本発明の第2の実施の形態の第2の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド61は、駆動ロッド61のロッド本体61aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体61aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する第1の貫通孔62と、ロッド本体61aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する第2の貫通孔63とが設けられている。そして、本変形例では、第1の貫通孔62は、駆動ロッド51の中心線方向にほぼ半分の長さに延設された短い長穴によって形成されている。第2の貫通孔63は、駆動ロッド61の中心線方向にほぼ全長に近い長さに延設された長い長穴によって形成されている。
【0046】
また、駆動ロッド61の基端部の連結ピン64と、駆動ロッド61の先端部の連結ピン65とは、駆動ロッド61の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド61では、ロッド本体61aの第1の貫通孔62と、第2の貫通孔63の孔形状(幅、長さ、位置)を調整することにより、駆動ロッド61のばね弾性、屈曲位置、屈曲のバランスをさらに変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0047】
[第2の実施の形態の第3の変形例]
図10(A)は、本発明の第2の実施の形態の第3の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド71は、駆動ロッド71のロッド本体71aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体71aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)には、貫通する2つの第1の貫通孔72a,72bが形成されている。ロッド本体51aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)には、貫通する2つの第2の貫通孔73a,73bが形成されている。これら第1の貫通孔72a,72bと、第2の貫通孔73a,73bとはそれぞれ駆動ロッド71の中心線方向に延設された長穴によって形成されている。
【0048】
また、駆動ロッド71の基端部の連結ピン74と、駆動ロッド71の先端部の連結ピン75とは、駆動ロッド71の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド71では、ロッド本体71aの第1の貫通孔72a,72bと、第2の貫通孔73a,73bの大きさを調整することにより、駆動ロッド71のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0049】
[第2の実施の形態の第4の変形例]
図10(B)は、本発明の第2の実施の形態の第4の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド81は、駆動ロッド81のロッド本体81aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体81aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する第1の貫通溝82と、ロッド本体81aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する第2の貫通溝83とが設けられている。ここで、第1の貫通溝82は、駆動ロッド81の先端部側、第2の貫通溝83は、駆動ロッド81の基端部側に配置されている。
【0050】
また、駆動ロッド81の基端部の連結ピン84と、駆動ロッド81の先端部の連結ピン85とは、駆動ロッド81の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド81では、ロッド本体81aの第1の貫通溝82と、第2の貫通溝83の大きさを調整することにより、駆動ロッド81のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0051】
[第2の実施の形態の第5の変形例]
図11(A)は、本発明の第2の実施の形態の第5の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド91は、駆動ロッド91のロッド本体91aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体91aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する波型の第1の板ばね部92と、ロッド本体91aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する波型の第2の板ばね部93とが設けられている。ここで、第1の板ばね部92は、駆動ロッド91の先端部側、第2の板ばね部93は、駆動ロッド91の基端部側に配置されている。
【0052】
また、駆動ロッド91の基端部の連結ピン94と、駆動ロッド91の先端部の連結ピン95とは、駆動ロッド91の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド91では、ロッド本体91aの第1の板ばね部92と、第2の板ばね部93の大きさを調整することにより、駆動ロッド91のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0053】
[第2の実施の形態の第6の変形例]
図11(B)は、本発明の第2の実施の形態の第6の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド101は、ほぼ円柱状のロッド本体101aを有する。ロッド本体101aは、円形状の断面形状に形成されている。このロッド本体101aの断面積は、ロッドの中心線方向で異なる形状に形成されている。例えば、ロッド本体101aの中央部分の断面積は、小さく両端部側に向かうにしたがって徐々に断面積が大きくなる形状に形成されている。
【0054】
また、駆動ロッド101の基端部の連結ピン104と、駆動ロッド101の先端部の連結ピン105とは、駆動ロッド101の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド101では、ロッド本体101aの断面積は、ロッドの中心線方向で異なる形状に形成され、このロッド本体101aの形状を調整することにより、駆動ロッド101のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0055】
[第2の実施の形態の第7の変形例]
図12は、本発明の第2の実施の形態の第7の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド111は、駆動ロッド111のロッド本体111aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体111aは、中央部分にばね性が高い材料で形成された第1のブロック部材112が配設されている。この第1のブロック部材112の両側には、第1のブロック部材112よりもばね性が低い材料で形成された第2のブロック部材113が配設されている。第1のブロック部材112と第2のブロック部材113との間の接合部116は、溶接などの手段で固定されている。
【0056】
また、駆動ロッド111の基端部の連結ピン114と、駆動ロッド111の先端部の連結ピン115とは、駆動ロッド111の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例では、ロッド本体111aが駆動ロッド101の中心線方向に複数に分割され、中央部分にばね性が高い材料で形成された第1のブロック部材112が配設され、この第1のブロック部材112の両側に第1のブロック部材112よりもばね性が低い材料で形成された第2のブロック部材113が配設される構成になっている。これにより、駆動ロッド101のヤング率が駆動ロッド101の中心線方向で異なる構成に設定することができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0057】
[第1の実施の形態の変形例]
図13(A)は、第1の実施の形態の第1の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド121は、駆動ロッド121のロッド本体121aの中途部に、くさび状の切込み部122が形成されている。
【0058】
そこで、本変形例の駆動ロッド121では、ロッド本体121aの中途部の切込み部122によって駆動ロッド121のばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
図13(B)は、第1の実施の形態の第2の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド131は、ロッド本体131aの中央部に、貫通孔部132が形成されている。
【0059】
そこで、本変形例の駆動ロッド131では、ロッド本体131aの中央部の貫通孔部132によって駆動ロッド131のばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
図13(C)は、第1の実施の形態の第3の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド141は、ロッド本体141aの両端部に比べて両端間の中間部の外径を小さくした形状に形成されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド141でも、ロッド本体141aのばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0060】
図13(D)は、第1の実施の形態の第4の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド151は、ロッド本体151aの中途部に、くさび状の切込み部152を複数形成されている。複数の切込み部152は、図中上側と下側とが互い違いとなるように配置されている。
【0061】
そこで、本変形例の駆動ロッド151では、ロッド本体151aの中途部の複数の切込み部152によって駆動ロッド151のばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
[第2の実施の形態の第8の変形例]
図14は第2の実施の形態の第8の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド161は、板状のリンク基材161aをそのリンク基材161aの長手方向のほぼ中央部分からリンク基材161aの中心線を中心に軸回り方向にねじれたロッド本体162を設けたものである。ここで、ロッド本体162は、リンク基材161aの断面積は、リンク基材161aの長手方向の全長に亙り同じである。
【0062】
また、駆動ロッド161の基端部の連結ピン163と、駆動ロッド161の先端部の連結ピン164とは、駆動ロッド161の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド161は、ロッド本体162の弾性部材は、弾性変形する方向がリンク基材161aの中心線方向以外の方向に2次元となる例である。本変形例の駆動ロッド161を使用することにより、駆動ロッド161のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0063】
[第2の実施の形態の第9の変形例]
図15は第2の実施の形態の第9の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド171は、駆動ロッド171の基端部171aの連結ピン172と、駆動ロッド171の先端部171bの連結ピン173とは、駆動ロッド171の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。さらに、本変形例の駆動ロッド171は、駆動ロッド171の基端部171aと先端部171bとの間の部分がトラス構造を有するリンク174を設けた構成になっている。
【0064】
そこで、本変形例の駆動ロッド171の弾性部材は、弾性変形する方向が駆動ロッド171の中心線方向以外の方向に2次元となる例である。本変形例の駆動ロッド171を使用することにより、駆動ロッド171のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0065】
[第2の実施の形態の第10の変形例]
図16は第2の実施の形態の第10の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド181のロッド本体181aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体181aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する複数の第1の貫通孔182と、ロッド本体181aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する複数の第2の貫通孔183とが設けられている。これら第1の貫通孔182と、第2の貫通孔183とはそれぞれ駆動ロッド181の中心線方向に延設された長穴によって形成されている。
【0066】
また、駆動ロッド181の基端部の連結ピン184と、駆動ロッド181の先端部の連結ピン185とは、駆動ロッド181の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド181は、座屈しにくい構造のリンクを設けた例である。本変形例の駆動ロッド181を使用することにより、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0067】
[第3の実施の形態]
(構成)
図17は、本発明の第3の実施の形態の処置具191を示す。本実施の形態の処置具191では、軸部192の先端と処置部193との間にダブルジョイント機構の関節部194が配設されている。
関節部194は、軸部192の先端部に配設された支持部195と、処置部193に連結された作動部196と、支持部195と作動部196との間を連結するプレート197とを有する。支持部195の基端部は、軸部192の先端部に固定されている。支持部195の先端部には、ほぼ半円形状の第1ガイドギア部(第1の回転ガイド部)198が形成されている。第1ガイドギア部198の中心位置は、支持部195の回転中心(第1の回転中心)O11に設定されている。また、軸部192は、回転中心(第1の回転中心)O11軸に対して直交した軸を有している。
【0068】
作動部196は、作動部本体196aの先端に処置部193が連結されている。作動部本体196aの基端部には、ほぼ半円形状の第2ガイドギア部(第2の回転ガイド部)199が形成されている。第2ガイドギア部199の中心位置は、作動部196の回転中心(第2の回転中心)O12に設定されている。作動部196の第2ガイドギア部199は、第1ガイドギア部198に対して噛み合う状態で摩擦接触されている。ここで、第1ガイドギア部198の半径r1と第2ガイドギア部199の半径r2とは、比率が1:1の関係に設定されている。
【0069】
さらに、関節部194は、第1のガイドギア部198と軸および半径を同じくする第1ギア200と、第2のガイドギア部199と軸および半径を同じくする第2ギア201を有する。第1ギア200は、軸部192の先端に配設された支持部195に第1回転軸202を介して中心O11を中心に回転自在に軸支されている。第2ギア201は、第1ギア200に対して噛み合う状態で摩擦接触された状態で第2回転軸203を介して中心O12を中心に回転自在に軸支されている。第1ギア200の半径r1と第2ギア201の半径r2とは、本実施の形態では比率が1:1の関係に設定されている。
【0070】
軸部192のハウジング204の内部には、駆動ロッド205が配設されている。軸部192のハウジング204の内部には、駆動ロッド205を軸部192の中心線方向に直動自在に支持する図2に示すようなロッド受け(不図示)が固定されている。そして、駆動ロッド205は図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受けにガイドされた状態で直動方向に駆動されるようになっている。本実施の形態の駆動ロッド205は、軸部192の中心線方向以外の方向に2次元に弾性変形可能な弾性部材である。駆動ロッド205の先端部は、第2駆動プレート206に第1ガイドギア部198の第1回転軸202と平行な軸で連結ピン207を介して回転可能に連結されている。
【0071】
軸部192の基端部には、関節部194の支持部195と直交する方向のベースプレート208が設けられている。このベースプレート208には駆動ギア209が関節部194の第1のガイドギア部198の第1回転軸202と直交する方向の第3回転軸210を介して中心O13を中心に回転自在に軸支されている。
【0072】
駆動ロッド205の基端部は、駆動ギア209に対し、第3回転軸210と平行に連結ピン211を介して回転可能に連結されている。ここで、駆動ロッド205の基端部の連結ピン211と、駆動ロッド205の先端部の連結ピン207とは、駆動ロッド205の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
【0073】
第2駆動プレート206と、関節部194の第1ガイドギア部198と第2のガイドギア部199との連結状態は、第1の実施の形態の駆動プレート7と、第1ガイドギア部8および第2ガイドギア部9との連結状態と同様に設定されている。つまり、第1ガイドギア部198は、関節部194の第1の回転ガイド部であり、第2のガイドギア部199は、関節部194の第2の回転ガイド部である。
【0074】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具191の関節駆動装置は、非作動時は、図17に示すように軸部192と処置部193との間の関節部194が軸部192の中心線方向に沿って一直線状に真っ直ぐに延びた初期位置の状態で保持されている。
【0075】
関節部194を屈曲する際には、駆動ギア209が第3回転軸210を中心に回転する。このとき、駆動ギア209が回転することで駆動ギア209にピン211を介して回転自在に設置された駆動ロッド205が、軸部192のハウジング204の軸断面軸方向に弾性変形しながら、ハウジング204に固定された第1ガイドギア部198の第1回転軸202を介して中心O11回りに、回転軸207を介して第2駆動プレート206を回転させる。
この駆動ロッド205の動作に連動して関節部194は、第1の実施の形態での関節の動作と同様に駆動される。
【0076】
(効果)
そこで、本実施の形態では第1実施形態の効果に加え、関節部194の2つの回転軸である第1回転軸202と第2回転軸203は駆動ギア209の第3回転軸210に対して直交する方向に配置されている。これにより、駆動ギア209の回転方向と、関節部194の屈曲方向とは90°異なる方向に屈曲させることができる。そのため、第1実施形態の効果に加え、駆動ギア209と関節部194とを屈曲方向が90°異なる方向に屈曲させることができる。関節部194のようなダブルジョイント機構を、長手断面方向には2次元に弾性変形し、長手方向は断面方向の弾性変形にくらべ変形しにくい駆動ロッドによって駆動することで、組み立てガタをバネ効果により押さえつけて低減しつつ、必要な部品点数を低減することができる。
【0077】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1の実施の形態では、本発明を多自由度術具などの処置具に適用した例を示したが、マニピュレータに適用してもよい。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 軸方向以外の方向に弾性変形可能なロッドを設けた。
【0078】
(付記項2) 弾性変形する方向は1次元である。
(付記項3) 弾性変形する方向は2次元である。
(付記項4) 2重関節機構の先端側にロッドは設けられる。
(付記項5) リンクの断面積が異なるロッドを設ける。
(付記項6) ヤング率が異なるロッドを設ける。
【0079】
(付記項7) ロッドが別部材で分割されている。
(付記項8) リンクの断面積は同じでリンクがねじれたロッドを設ける。
(付記項9) トラス構造を有するリンクを設ける。
(付記項10) 座屈しにくい構造のリンクを設ける。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、多自由度術具などで使用される屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータを使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0081】
2…軸部、3…関節部、O1…第1の回転中心、5…支持部、O2…第2の回転中心、6…作動部、7…駆動プレート(連結部材)、8…第1ガイドギア部(第1の回転ガイド部)、9…第2ガイドギア部(第2の回転ガイド部)、13…駆動ロッド(ロッド)、22…第1関節部、23…第2関節部、26…第1ギア(第1の回転ギア)、27…第2ギア(第2の回転ギア)、34…第3ガイドギア部(第1の回転ガイド部)、35…第4ガイドギア部(第2の回転ガイド部)、36…中間ハウジング(軸部)、40…第2駆動ロッド、42…第2駆動プレート(連結部材)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多自由度術具などの屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から多自由度術具などの処置具の関節を駆動するためにワイヤを用いて駆動するタイプの関節駆動装置が知られている。このようにワイヤを用いて関節を駆動する機構では、ワイヤの伸びや、ゆるみ、疲労による切断等といった、耐久性、メンテナンス性、制御性に問題がある。また、ワイヤを用いて関節を駆動する機構では、屈曲する関節部分を経由してさらに先の関節に動力を伝達することは困難である。
【0003】
これを解決するために、特許文献1には、転がり回転するガイドを二つ用意した二重回転ガイドを備えた関節機構を駆動する駆動機構として、平行リンクを用いて駆動したり、ラックアンドピニオンによって駆動したりする直動カム機構の構成が開示されている。ここでは、転がり接触する二つのガイドとその回転中心間の距離を一定に保ち、他方を転がり回転させる屈曲用プレートを設け、屈曲関節を実現する手段が示されている。
【0004】
さらに、この直動カム機構は、ガイドの回転中心と中心を同じくしたプーリに、ワイヤをかけることにより、屈曲関節後の被駆動部に、屈曲関節の動作と干渉せずに該ワイヤにより動力を伝達できることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−307310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような直動カム機構の場合も、平行リンク部の取り付け誤差などによりガタが発生し、誤差要因となる場合がある。そのため、術具の精密位置決めが難しかった。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、ワイヤの伸びやたるみ、機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減すると共に、連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することができ、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができる屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面の態様の屈曲関節機構は、関節部は、第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、前記軸部に対して前記軸部の中心線方向に直動自在に支持されると共に、先端部が前記連結部材の前記第1の回転中心位置以外の位置に連結され、駆動力により前記軸部の前記中心線方向に直動駆動されるロッドと、を有し、前記ロッドの前記直動方向の動きに連動して前記連結部材を介して前記第2の回転ガイド部を前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記作動部を前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、前記ロッドは、前記軸部の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材であることを特徴とする。
【0008】
そして、上記構成では、関節部の駆動時には、ロッドを駆動力により直動方向に駆動する。このロッドの直動方向の動きに連動して連結部材を介して第2の回転ガイド部を第1の回転ガイド部に沿って第1の回転中心位置を中心に回動させることで関節部を駆動する。このロッドの直動時には、ロッドは弾性変形領域内で梁として軸部の中心線方向以外の方向にたわみながら、連結部材を回転させる。そのため、作動部の目的とする角度移動量に比べて、連結部材の角度移動量を低減することができる。ワイヤを使わないことによりワイヤの伸びやたるみの問題を解決し、部品点数の削減と弾性変形によるバネの押し付け効果により機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減するし、さらに連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することで組立工数を削減でき、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができるようにしたものである。
【0009】
好ましくは、前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に1次元である。
好ましくは、前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に2次元である。
好ましくは、前記弾性部材は、断面積が前記ロッドの中心線方向で異なる。
好ましくは、前記弾性部材は、ヤング率が前記ロッドの中心線方向で異なる。
好ましくは、前記弾性部材は、前記ロッドが複数の構成要素に分割され、前記各構成要素がそれぞれ異なる材料で形成されている。
【0010】
好ましくは、関節部は、第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、を有し、前記関節部は、前記軸部の中心線方向に第1の関節部および第2の関節部が並設され、前記第1の関節部を後側とし、前記第2の関節部を前側として、前記第1の関節部の前記作動部の前記第2の回転中心の中心軸と、前記第1の関節部の前記作動部につながった前記第2の関節部の前記第1の回転中心の中心軸とがねじれの位置、つまり平行だが同一平面上に存在しない関係で、前記第1の関節部の第1の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じくした第1の回転ギアと、前記第1の関節部の第2の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じで前記第1の回転ギアとかみ合う第2の回転ギアと、前記第1の関節部の連結部材に接続され、直動運動する第1駆動ロッドと、前記第2の関節部の連結部材と前記第2の関節部の前記連結部材の回転軸と平行で回転中心が異なる位置で回転自在に連結されると共に、前記第1の関節部の第2の回転ギアの回転中心軸と平行で回転中心以外の位置で前記第1の関節部の前記第2の回転ギアに回転自在に連結され、前記第2の関節部の前記軸部の中心線方向に直動駆動される第2駆動ロッドと、を有し、前記第1駆動ロッドの直動運動により、前記第1の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第1の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第1の関節部の前記作動部を前記第1の関節部の前記軸部に対して屈曲可能で、前記第1駆動ロッドの運動とは独立した別の駆動力により前記第1の関節部の前記第1の回転ギアを回転させることで、前記第1の回転ギアとかみ合った前記第2の回転ギアが回転し、前記第2の回転ギアと前記第2の関節部の前記連結部材に連結された前記第2駆動ロッドが前記第2の回転ギアの動きにより前記第2の関節部の前記連結部材を動かし、これにより前記第2の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第2の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第2の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第2の関節部の前記作動部を前記第2の関節部の前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、前記第2駆動ロッドは、長手断面方向に弾性変形可能な弾性部材である。
【0011】
本発明の他の局面の態様は、屈曲関節機構を有する術具において、前記屈曲関節機構は、上記各態様のうち何れか一の態様の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有する術具である。
本発明の他の局面の態様は、屈曲関節機構を有するマニピュレータにおいて、前記屈曲関節機構は上記各態様のうち何れか一の態様の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有するマニピュレータである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワイヤの伸びやたるみ、機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減すると共に、連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することができ、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができる屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態の全体の概略構成を示す側面図。
【図2】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態を一部断面にして示す側面図。
【図3】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を屈曲させた状態の全体の概略構成を示す側面図。
【図4】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を屈曲させた状態を一部断面にして示す側面図。
【図5】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部の作用を説明するもので、(A)は関節部を直線状態で保持した状態を一部断面にして示す側面図、(B)は関節部を屈曲させた状態を一部断面にして示す側面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態の概略構成を示す斜視図。
【図7】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部の要部構成を示す斜視図。
【図8】第2の実施の形態の屈曲関節機構の概略構成を示すもので、(A)は関節部を直線状態で保持した状態を示す斜視図、(B)は関節部を屈曲させた状態を示す斜視図。
【図9】(A)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第1の変形例を示す斜視図、(B)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第2の変形例を示す斜視図。
【図10】(A)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第3の変形例を示す斜視図、(B)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第4の変形例を示す斜視図。
【図11】(A)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第5の変形例を示す斜視図、(B)は第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第6の変形例を示す斜視図。
【図12】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のばねリンクの第7の変形例を示す斜視図。
【図13】第1の実施の形態の屈曲関節機構の関節部の駆動ロッドの変形例を示すもので、(A)は駆動ロッドの第1の変形例を示す平面図、(B)は駆動ロッドの第2の変形例を示す平面図、(C)は駆動ロッドの第3の変形例を示す平面図、(D)は駆動ロッドの第4の変形例を示す平面図。
【図14】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のバネリンクの第8の変形例を示す斜視図。
【図15】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のバネリンクの第9の変形例を示す斜視図。
【図16】第2の実施の形態の屈曲関節機構の関節部のバネリンクの第10の変形例を示す斜視図。
【図17】本発明の第3の実施の形態の屈曲関節機構の関節部を直線状態で保持した状態の概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至図5(A),(B)は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1は、本発明の第1の実施の形態の多自由度術具などの処置具1の全体の概略構成を示す側面図である。本実施の形態の処置具1は、軸部2の先端部にダブルジョイント(二重関節)機構の関節部3を介して処置部4が連結されている。
【0015】
関節部3は、軸部2の先端部に配設された支持部5と、処置部4に連結された作動部6と、支持部5と作動部6との間を連結する駆動プレート(連結部材)7とを有する。図2に示すように支持部5の基端部は、軸部2の先端部に固定されている。支持部5の先端部には、ほぼ半円形状の第1ガイドギア部(第1の回転ガイド部)8が形成されている。第1ガイドギア部8の中心位置は、支持部5の回転中心(第1の回転中心)O1に設定されている。また、軸部2は、回転中心(第1の回転中心)O1軸に対して直交した軸を有している。
【0016】
作動部6は、作動部本体6aの先端に処置部4が連結されている。作動部本体6aの基端部には、ほぼ半円形状の第2ガイドギア部(第2の回転ガイド部)9が形成されている。第2ガイドギア部9の中心位置は、作動部6の回転中心(第2の回転中心)O2に設定されている。作動部6の第2ガイドギア部9は、第1ガイドギア部8に対して噛み合う状態で摩擦接触されている。ここで、図2に示すように第1ガイドギア部8の半径r1と第2ガイドギア部9の半径r2とは、比率が1:1の関係に設定されている。
【0017】
なお、本実施の形態では、支持部5の先端部の第1ガイドギア部8と、作動部6の第2ガイドギア部9とを歯車の噛み合いで摩擦接触させる構成を示したが、必ずしも歯車の噛み合いで摩擦接触させる構成に限定されるものではない。例えば、歯車の噛み合いによる摩擦接触に代えて摩擦接触される歯車の噛み合いがない2つのゴムローラ(摩擦力が大きい)を摩擦接触させる構成などのように2つの回転体間が互いに滑らずに回転転がりができる機構にしてもよい。
【0018】
駆動プレート7の基端部は、第1の連結ピン10を介して軸部2の第1の回転中心O1位置で回転可能に連結されている。駆動プレート7の先端部は、第2の連結ピン11を介して作動部6の第2の回転中心O2位置に回転可能に連結されている。これにより、駆動プレート7によって互いに転がり接触する第1ガイドギア部8の第1の回転中心O1と第2ガイドギア部9の第2の回転中心O2との間の距離を一定に保ち、作動部6の第1ガイドギア部8を支持部5の第2ガイドギア部9に対して転がり回転させるようになっている。
【0019】
また、前記軸部2は、円筒状のハウジング12を有する。ハウジング12の先端部に支持部5が連結されている。軸部2のハウジング12の内部には、駆動ロッド13が配設されている。ここで、ハウジング12の内部には、駆動ロッド13を軸部2の中心線方向に直動自在に支持するロッド受け14が固定されている。そして、駆動ロッド13は図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受け14にガイドされた状態で直動方向に駆動されるようになっている。
【0020】
駆動ロッド13の先端部は、第3の連結ピン15を介して駆動プレート7の基端部における第1の回転中心O1位置以外の第3の回転中心O3位置に回転可能に連結されている。さらに、本実施の形態の駆動ロッド13は、軸部2の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材である。ここで、駆動ロッド13の先端部には、他の部分よりも外径を小さくして弾性変形しやすくした軸方向の長さがLの弾性変形部(弾性部材)16が形成されている。これにより、駆動ロッド13は、断面積がロッド13の中心線方向で異なる構成になっている。なお、駆動ロッド13は、例えばステンレスバネ鋼(SUS304CPS)などの金属材料で形成されている。また、駆動ロッド13の材料は、ステンレスバネ鋼に限定されるものではなく、たとえば軽量で、絶縁性、耐食性に優れているPEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂)や、POM(ポリアセタール樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)などの樹脂バネや、ばね用りん青銅(延性、耐疲労性、耐食性が良く、特に低温焼なましを施行してあるので高性能ばね材に適している。)や、Ni−Tiなどの形状記憶合金(形状記憶合金バネは、低温では柔らかく、高温では硬い特性が得られる。軽量で、耐食性に優れている。)などでもよい。
【0021】
そして、本実施の形態の処置具1の関節駆動装置は、駆動ロッド13の直動方向の動きに連動して駆動プレート7を第1の回転中心O1位置を中心に回動させるとともに、駆動プレート7の動きに連動して作動部6の第2ガイドギア部9を軸部2の第1ガイドギア部8に沿って第1の回転中心O1位置を中心に回動させることで関節部3を駆動するようになっている(図3および図4参照)。
【0022】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具1の関節駆動装置は、非作動時は、図1、2に示すように軸部2の先端側の作動部6と処置部4とが軸部2の中心線方向に沿って一直線状に真っ直ぐに延びた初期位置の状態で保持されている。
【0023】
初期位置の状態から処置具1の関節駆動装置を動かす場合には駆動ロッド13を軸方向に直動させる。例えば、図1および図2の初期位置の状態から駆動ロッド13を前方向に向けて直動させた場合には、駆動プレート7に駆動ロッド13からの押圧力が作用する。このとき、駆動ロッド13は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、駆動プレート7を第1の回転中心O1位置を中心に回転させる。
【0024】
この場合、ダブルジョイント機構では、駆動プレート7が支持部5の回転中心O1を中心に図1中で、反時計回り方向に回動し、この駆動プレート7の回動動作に連動して支持部5の先端部の第1ガイドギア部8に対して、作動部6の第2ガイドギア部9が転がり回転しながら動く。そのため、支持部5の第1ガイドギア部8の半径(r1)と作動部6の第2ガイドギア部9の半径(r2)の比率に応じた角度で駆動プレート7を動かすことになる。
【0025】
ここで、図4に示すように駆動プレート7の回動角度をθ、作動部6の回動角度をφとすると、
r2(φ−θ)=r1θ ・・・(1)
φ={(r1+r2)/r2}θ ・・・(2)
たとえば、本実施の形態のように、第1ガイドギア部8の半径r1と、第2ガイドギア部9の半径r2との比率が1:1の場合(r1=r2)は、
φ=2θ
となる。図4に示すように回転中心O2を中心に駆動プレート7を45度動かせば、作動部6の第2ガイドギア部9は、支持部5の第1ガイドギア部8に対して90度動くことになる。つまり、増速機構となるため、駆動プレート7の角度移動量を目的とする作動部6の角度移動量に対して少なくできる。
【0026】
また、本実施の形態のダブルジョイント機構で処置具1の関節駆動装置を動かす場合に、図5(A)に示すように初期位置の状態から駆動ロッド13をx方向に直動させて図5(B)に示すように作動部6を目的の角度φまで回動させる際に駆動ロッド13が弾性変形領域内で梁としてたわむ。このときの駆動ロッド13のひずみyは、
y=r(1−cos(φ/2)) ・・・(3)
となる。したがって、本実施の形態のダブルジョイント機構で処置具1の関節駆動装置を動かす場合に作動部6を目的の角度φまで回動させる際に駆動ロッド13がたわむ際の駆動ロッド13のひずみyは、上記式(3)に示す通り、非常に小さくなるので、駆動ロッド13の弾性変形領域内で対応できる。
【0027】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置具の関節駆動装置では、互いに転がり接触する二つのガイド部材(支持部5の第1ガイドギア部8と作動部6の第2ガイドギア部9)と、その第1ガイドギア部8と、第2ガイドギア部9の距離を一定に保ち、第2ガイドギア部9を第1ガイドギア部8に対して転がり回転させるための駆動プレート7からなる二重関節機構において、駆動プレート7を動かす手段として変形を許容する駆動ロッド13の直動により駆動プレート7を動かす構成としたものである。この駆動ロッド13の直動時には、駆動ロッド13は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、駆動プレート7を回転させる。そのため、作動部6の目的とする角度移動量に比べて、駆動プレート7の角度移動量を低減することができるため、従来は平行リンク機構あるいはクランク機構といった機構により屈曲させていた関節部3を駆動ロッド13の直動で制御できるようにすることができる。
【0028】
したがって、本実施の形態の処置具1の関節駆動装置では、ワイヤの伸びやたるみ、機構部材の公差によるガタなどによる関節機構のガタを低減すると共に、連続した屈曲関節においても少ない部品点数で屈曲機構を構成することができ、多自由度術具などの処置具の先端部を精密位置決めすることができる処置具1の関節駆動装置を提供することができる。
【0029】
また、本実施の形態では、駆動プレート7を駆動するための駆動ロッド13がバネの効果を果たし、関節部3の機構に生じるガタ部に常に力をあたえることになるので、関節部3のガタが低減する。
また、関節部3を平行リンク的に駆動する従来の駆動機構の場合では関節部3の駆動時に直動動作と回転動作とが組み合わされた動きを行うため、駆動機構の動作範囲が広く必要になる。そのため、細径部では設計が困難になる。これに対し、本実施の形態の処置具の関節駆動装置では、駆動プレート7を駆動するための駆動ロッド13が直動となるため、駆動ロッド13の軸断面内では動かず、占有面積が駆動ロッド13自身の面積に限られる。そのため、駆動ロッド13が配設される軸部2のハウジング12の内部スペースに駆動ロッド13の可動領域を広くする必要がなく、設計の自由度がひろがる。これにより、内視鏡下手術での気腹時の空気漏れを防ぐために術具軸内にパッキン部材を設置する場合でも、術具軸断面方向での可動領域が必要ないため、パッキン部材を設置しやすい。さらに、クランク駆動方式の従来の駆動機構の場合に比べ、リンク数が低減でき、コストや、組立工数が低減できる効果がある。
【0030】
[第2の実施の形態]
(構成)
図6乃至図8(A),(B)は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、処置具21の先端に2つのダブルジョイント機構の関節部(第1関節部22と第2関節部23)を並設したものである。
図6に示すように処置具21には、軸部24の先端と処置部25との間に第1関節部22と第2関節部23が配設されている。ここで、第1関節部22は、第1のガイドギア部8と軸および半径を同じくする第1ギア26と、第2のガイドギア部9と軸および半径を同じくする第2ギア27を有する。第1ギア26は、軸部24の先端に配設された支持部28に第1回転軸29を介して中心O1を中心に回転自在に軸支されている。第2ギア27は、第1ギア26に対して噛み合う状態で摩擦接触された状態で第2回転軸30を介して中心O2を中心に回転自在に軸支されている。第1ギア26の半径r1と第2ギア27の半径r2とは、本実施の形態では比率が1:1の関係に設定されている。
【0031】
軸部24のハウジング31の内部には、駆動ロッド32が配設されている。軸部24のハウジング31の内部には、駆動ロッド32を軸部24の中心線方向に直動自在に支持する図2に示すようなロッド受け(不図示)が固定されている。そして、駆動ロッド13は図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受けにガイドされた状態で直動方向に駆動されるようになっている。
【0032】
駆動ロッド32の先端部は、第1ギア26における第1回転軸29の中心O1位置以外の中心O5位置に連結ピン33を介して回転可能に連結されている。さらに、本実施の形態の駆動ロッド32は、軸部24の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材である。
【0033】
また、第2関節部23は、2つのほぼ半円形状のギア(第3ガイドギア部34と第4ガイドギア部35)を有する。第3ガイドギア部34は、第1関節部22と第2関節部23との間に配設された第2関節部23の軸部を成す中間ハウジング36に固定されている。第3ガイドギア部34の中心位置は、中間ハウジング36上の回転中心O6に設定されている。第4ガイドギア部35は、第3ガイドギア部34に対して噛み合う状態で摩擦接触された状態で処置部25に固定されている。第4ガイドギア部35の回転中心は、処置部25の回転中心O7上に設定されている。第3ガイドギア部34の半径r3と第4ガイドギア部35の半径r4とは、本実施の形態では比率が1:1の関係に設定されている。第2駆動プレート42およびプレート37は、第3ガイドギア部34の回転中心O6と第4ガイドギア部35の回転中心O7に対しそれぞれ、第3回転軸38および第4回転軸39により回転自由に軸支されている。
【0034】
ここで、第2関節部23の2つの回転軸である第3回転軸38と第4回転軸39は第1関節部22の2つの回転軸である第1回転軸29と第2回転軸30に対して直交する方向に配置されている。これにより、第1関節部22の屈曲方向と、第2関節部23の屈曲方向とは90°異なる方向に屈曲する状態に設定されている。
【0035】
また、中間ハウジング36の内部には、第2駆動ロッド40が配設されている。この第2駆動ロッド40は、ほぼクランク状に屈曲形成されたばねリンクである。第2駆動ロッド40の基端部は、第1関節部22の第2ギア27に対し、第2ギア27の回転軸と平行に連結ピン41を介して回転可能に連結されている。第2駆動ロッド40の先端部は、第2駆動プレート42に第3ガイドギア部34の中心軸と平行な軸で連結ピン43を介して回転可能に連結されている。ここで、第2駆動ロッド40の基端部の連結ピン41と、第2駆動ロッド40の先端部の連結ピン43とは、第2駆動ロッド40の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
【0036】
第2駆動プレート42と、第2関節部23の第3ガイドギア部34と第4ガイドギア部35との連結状態は、第1の実施の形態の駆動プレート7と、第1ガイドギア部8および第2ガイドギア部9との連結状態と同様に設定されている。つまり、第3ガイドギア部34は、第2の関節部の第1の回転ガイド部であり、第4ガイドギア部35は、第2の関節部の第2の回転ガイド部である。
【0037】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具21の関節駆動装置は、非作動時は、図6および図8(A)に示すように軸部24と処置部25との間の第1関節部22と第2関節部23とが軸部24の中心線方向に沿って一直線状に真っ直ぐに延びた初期位置の状態で保持されている。
【0038】
第1関節部22を駆動するときは、図6上には記載されていない駆動ロッド13を第1の実施の形態と同様に駆動することで、駆動プレート7が動き、第1関節部22は屈曲する。このとき、第1ギア26と第2ギア27は、駆動ロッド32が動かされなければ、第1ガイドギア部8および第2ガイドギア部9と同様に単なる転がり接触をするガイドとして働き、第2関節23に影響を与えることなく、第1関節部22を屈曲させることができる。
【0039】
次に、第2関節部23を屈曲する際には、駆動ロッド32が図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受けにガイドされた状態で直動方向に駆動され、第1ギア26が第1回転軸29を介して中心O1を中心に回転する。このとき、図8(B)に示すように第1ギア26と噛み合った第2ギア27が第2回転軸30を介して中心O2を中心に回転する。第2ギア27が回転することで第2ギアにピン41を介して回転自在に設置された第2駆動ロッド40が、中間ハウジング36の軸断面軸方向に弾性変形しながら、中間ハウジング36に固定された第3ガイドギア部34の中心軸O3回りに、第2駆動プレート42を回転軸43を介して回転させる。
この第2駆動ロッド40の動作に連動して第2関節部23は、第1の実施の形態での関節の動作と同様に駆動される。なお、このとき、図6上では図示されていない駆動ロッド13を固定していれば、第2関節部23が動いても第1関節部22は影響をうけずに動かない。このため、第1関節部22と第2関節部23は独立に駆動できる。
【0040】
(効果)
そこで、本実施の形態では、駆動ロッド32の直動動作によって第1関節部22の第1ギア26が回転し、これと噛み合った第1関節部22の第2ギア27の回転によって第2駆動ロッド40が中間ハウジング36の軸方向に駆動される。このとき、第2駆動ロッド40が、中間ハウジング36の軸断面方向に弾性変形領域内で梁としてたわみながら第2関節部23の第2駆動プレート42を第1の実施の形態と同様に駆動し、第2関節部23を屈曲させることができる。駆動ロッド32は弾性変形領域内で梁としてたわみながら、第1関節部22の第1ギア26を回転させることができる。
したがって、本実施の形態でも第2関節部23を第1実施形態と同様に第2駆動ロッド40の直動で制御できるようにすることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、第2関節部23の2つの回転軸である第3回転軸38と第4回転軸39は第1関節部22の2つの回転軸である第1回転軸29と第2回転軸30に対して直交する方向に配置されている。これにより、第1関節部22の屈曲方向と、第2関節部23の屈曲方向とは90°異なる方向に屈曲させることができる。そのため、第1実施形態の効果に加え、第1関節部22と第2関節部23とを屈曲方向が90°異なる方向に屈曲させることができる。第1関節部22や第2関節部23のようなダブルジョイント機構を、長手断面方向には弾性変形し、長手方向は断面方向の弾性変形にくらべ変形しにくい駆動ロッドによって駆動することで、組み立てガタをバネ効果により押さえつけて低減しつつ、必要な部品点数を低減することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、第1ギア26への駆動力の伝達として駆動ロッド32にて行っているが、例えば第1ギア26に対してプーリを設けて、そのプーリにベルトやワイヤ等の駆動力伝達部材を接続して、その駆動力伝達部材にて行っても良く、さらにはリンクによって駆動力を伝達しても良く、駆動力伝達手段については駆動ロッド32によるものに限るものではない。
また、本実施の形態では、第1関節部22と第2関節部23とを並設した関節部を処置具21の先端に設けているが、処置具21の中途部に設けても良い。さらには、第1関節部22と第2関節部23とを並設した関節部を複数並設しても良い。
また、本実施の形態において、第1関節部22を屈曲させる第1駆動ロッドとしては、弾性変形可能な駆動ロッド13が好ましいが、第1関節部22を屈曲させるということに対しては、弾性変形しない部材の第1駆動ロッドであっても良い。
【0043】
[第2の実施の形態の第1の変形例]
図9(A)は、本発明の第2の実施の形態の第2駆動ロッド40の第1の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド51は、駆動ロッド51のロッド本体51aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体51aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する第1の貫通孔52と、ロッド本体51aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する第2の貫通孔53とが設けられている。これら第1の貫通孔52と、第2の貫通孔53とは駆動ロッド51の中心線方向に延設された長穴によって形成されている。
【0044】
また、駆動ロッド51の基端部の連結ピン54と、駆動ロッド51の先端部の連結ピン55とは、駆動ロッド51の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド51では、ロッド本体51aの第1の貫通孔52と、第2の貫通孔53の大きさを調整することにより、駆動ロッド51のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0045】
[第2の実施の形態の第2の変形例]
図9(B)は、本発明の第2の実施の形態の第2の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド61は、駆動ロッド61のロッド本体61aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体61aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する第1の貫通孔62と、ロッド本体61aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する第2の貫通孔63とが設けられている。そして、本変形例では、第1の貫通孔62は、駆動ロッド51の中心線方向にほぼ半分の長さに延設された短い長穴によって形成されている。第2の貫通孔63は、駆動ロッド61の中心線方向にほぼ全長に近い長さに延設された長い長穴によって形成されている。
【0046】
また、駆動ロッド61の基端部の連結ピン64と、駆動ロッド61の先端部の連結ピン65とは、駆動ロッド61の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド61では、ロッド本体61aの第1の貫通孔62と、第2の貫通孔63の孔形状(幅、長さ、位置)を調整することにより、駆動ロッド61のばね弾性、屈曲位置、屈曲のバランスをさらに変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0047】
[第2の実施の形態の第3の変形例]
図10(A)は、本発明の第2の実施の形態の第3の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド71は、駆動ロッド71のロッド本体71aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体71aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)には、貫通する2つの第1の貫通孔72a,72bが形成されている。ロッド本体51aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)には、貫通する2つの第2の貫通孔73a,73bが形成されている。これら第1の貫通孔72a,72bと、第2の貫通孔73a,73bとはそれぞれ駆動ロッド71の中心線方向に延設された長穴によって形成されている。
【0048】
また、駆動ロッド71の基端部の連結ピン74と、駆動ロッド71の先端部の連結ピン75とは、駆動ロッド71の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド71では、ロッド本体71aの第1の貫通孔72a,72bと、第2の貫通孔73a,73bの大きさを調整することにより、駆動ロッド71のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0049】
[第2の実施の形態の第4の変形例]
図10(B)は、本発明の第2の実施の形態の第4の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド81は、駆動ロッド81のロッド本体81aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体81aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する第1の貫通溝82と、ロッド本体81aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する第2の貫通溝83とが設けられている。ここで、第1の貫通溝82は、駆動ロッド81の先端部側、第2の貫通溝83は、駆動ロッド81の基端部側に配置されている。
【0050】
また、駆動ロッド81の基端部の連結ピン84と、駆動ロッド81の先端部の連結ピン85とは、駆動ロッド81の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド81では、ロッド本体81aの第1の貫通溝82と、第2の貫通溝83の大きさを調整することにより、駆動ロッド81のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0051】
[第2の実施の形態の第5の変形例]
図11(A)は、本発明の第2の実施の形態の第5の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド91は、駆動ロッド91のロッド本体91aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体91aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する波型の第1の板ばね部92と、ロッド本体91aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する波型の第2の板ばね部93とが設けられている。ここで、第1の板ばね部92は、駆動ロッド91の先端部側、第2の板ばね部93は、駆動ロッド91の基端部側に配置されている。
【0052】
また、駆動ロッド91の基端部の連結ピン94と、駆動ロッド91の先端部の連結ピン95とは、駆動ロッド91の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド91では、ロッド本体91aの第1の板ばね部92と、第2の板ばね部93の大きさを調整することにより、駆動ロッド91のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0053】
[第2の実施の形態の第6の変形例]
図11(B)は、本発明の第2の実施の形態の第6の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド101は、ほぼ円柱状のロッド本体101aを有する。ロッド本体101aは、円形状の断面形状に形成されている。このロッド本体101aの断面積は、ロッドの中心線方向で異なる形状に形成されている。例えば、ロッド本体101aの中央部分の断面積は、小さく両端部側に向かうにしたがって徐々に断面積が大きくなる形状に形成されている。
【0054】
また、駆動ロッド101の基端部の連結ピン104と、駆動ロッド101の先端部の連結ピン105とは、駆動ロッド101の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド101では、ロッド本体101aの断面積は、ロッドの中心線方向で異なる形状に形成され、このロッド本体101aの形状を調整することにより、駆動ロッド101のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0055】
[第2の実施の形態の第7の変形例]
図12は、本発明の第2の実施の形態の第7の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド111は、駆動ロッド111のロッド本体111aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体111aは、中央部分にばね性が高い材料で形成された第1のブロック部材112が配設されている。この第1のブロック部材112の両側には、第1のブロック部材112よりもばね性が低い材料で形成された第2のブロック部材113が配設されている。第1のブロック部材112と第2のブロック部材113との間の接合部116は、溶接などの手段で固定されている。
【0056】
また、駆動ロッド111の基端部の連結ピン114と、駆動ロッド111の先端部の連結ピン115とは、駆動ロッド111の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例では、ロッド本体111aが駆動ロッド101の中心線方向に複数に分割され、中央部分にばね性が高い材料で形成された第1のブロック部材112が配設され、この第1のブロック部材112の両側に第1のブロック部材112よりもばね性が低い材料で形成された第2のブロック部材113が配設される構成になっている。これにより、駆動ロッド101のヤング率が駆動ロッド101の中心線方向で異なる構成に設定することができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0057】
[第1の実施の形態の変形例]
図13(A)は、第1の実施の形態の第1の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド121は、駆動ロッド121のロッド本体121aの中途部に、くさび状の切込み部122が形成されている。
【0058】
そこで、本変形例の駆動ロッド121では、ロッド本体121aの中途部の切込み部122によって駆動ロッド121のばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
図13(B)は、第1の実施の形態の第2の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド131は、ロッド本体131aの中央部に、貫通孔部132が形成されている。
【0059】
そこで、本変形例の駆動ロッド131では、ロッド本体131aの中央部の貫通孔部132によって駆動ロッド131のばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
図13(C)は、第1の実施の形態の第3の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド141は、ロッド本体141aの両端部に比べて両端間の中間部の外径を小さくした形状に形成されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド141でも、ロッド本体141aのばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0060】
図13(D)は、第1の実施の形態の第4の変形例を示す。本変形例では、第1の実施の形態の駆動ロッド13の形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド151は、ロッド本体151aの中途部に、くさび状の切込み部152を複数形成されている。複数の切込み部152は、図中上側と下側とが互い違いとなるように配置されている。
【0061】
そこで、本変形例の駆動ロッド151では、ロッド本体151aの中途部の複数の切込み部152によって駆動ロッド151のばね弾性の特性を変化させることができ、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
[第2の実施の形態の第8の変形例]
図14は第2の実施の形態の第8の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド161は、板状のリンク基材161aをそのリンク基材161aの長手方向のほぼ中央部分からリンク基材161aの中心線を中心に軸回り方向にねじれたロッド本体162を設けたものである。ここで、ロッド本体162は、リンク基材161aの断面積は、リンク基材161aの長手方向の全長に亙り同じである。
【0062】
また、駆動ロッド161の基端部の連結ピン163と、駆動ロッド161の先端部の連結ピン164とは、駆動ロッド161の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド161は、ロッド本体162の弾性部材は、弾性変形する方向がリンク基材161aの中心線方向以外の方向に2次元となる例である。本変形例の駆動ロッド161を使用することにより、駆動ロッド161のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0063】
[第2の実施の形態の第9の変形例]
図15は第2の実施の形態の第9の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド171は、駆動ロッド171の基端部171aの連結ピン172と、駆動ロッド171の先端部171bの連結ピン173とは、駆動ロッド171の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。さらに、本変形例の駆動ロッド171は、駆動ロッド171の基端部171aと先端部171bとの間の部分がトラス構造を有するリンク174を設けた構成になっている。
【0064】
そこで、本変形例の駆動ロッド171の弾性部材は、弾性変形する方向が駆動ロッド171の中心線方向以外の方向に2次元となる例である。本変形例の駆動ロッド171を使用することにより、駆動ロッド171のばね弾性を変化させることができ、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0065】
[第2の実施の形態の第10の変形例]
図16は第2の実施の形態の第10の変形例を示す。本変形例では、第2の実施の形態の第2駆動ロッド40のばねリンクの形状を次の通り変更したものである。すなわち、本変形例の駆動ロッド181のロッド本体181aが矩形状の断面形状に形成されている。この矩形状のロッド本体181aの対向する1つの側面間(例えば上面と下面との間)に貫通する複数の第1の貫通孔182と、ロッド本体181aの対向する他方の側面間(例えば左面と右面との間)に貫通する複数の第2の貫通孔183とが設けられている。これら第1の貫通孔182と、第2の貫通孔183とはそれぞれ駆動ロッド181の中心線方向に延設された長穴によって形成されている。
【0066】
また、駆動ロッド181の基端部の連結ピン184と、駆動ロッド181の先端部の連結ピン185とは、駆動ロッド181の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
そこで、本変形例の駆動ロッド181は、座屈しにくい構造のリンクを設けた例である。本変形例の駆動ロッド181を使用することにより、第2実施形態の効果に加え、関節駆動装置の設計の自由度を高めることができる。
【0067】
[第3の実施の形態]
(構成)
図17は、本発明の第3の実施の形態の処置具191を示す。本実施の形態の処置具191では、軸部192の先端と処置部193との間にダブルジョイント機構の関節部194が配設されている。
関節部194は、軸部192の先端部に配設された支持部195と、処置部193に連結された作動部196と、支持部195と作動部196との間を連結するプレート197とを有する。支持部195の基端部は、軸部192の先端部に固定されている。支持部195の先端部には、ほぼ半円形状の第1ガイドギア部(第1の回転ガイド部)198が形成されている。第1ガイドギア部198の中心位置は、支持部195の回転中心(第1の回転中心)O11に設定されている。また、軸部192は、回転中心(第1の回転中心)O11軸に対して直交した軸を有している。
【0068】
作動部196は、作動部本体196aの先端に処置部193が連結されている。作動部本体196aの基端部には、ほぼ半円形状の第2ガイドギア部(第2の回転ガイド部)199が形成されている。第2ガイドギア部199の中心位置は、作動部196の回転中心(第2の回転中心)O12に設定されている。作動部196の第2ガイドギア部199は、第1ガイドギア部198に対して噛み合う状態で摩擦接触されている。ここで、第1ガイドギア部198の半径r1と第2ガイドギア部199の半径r2とは、比率が1:1の関係に設定されている。
【0069】
さらに、関節部194は、第1のガイドギア部198と軸および半径を同じくする第1ギア200と、第2のガイドギア部199と軸および半径を同じくする第2ギア201を有する。第1ギア200は、軸部192の先端に配設された支持部195に第1回転軸202を介して中心O11を中心に回転自在に軸支されている。第2ギア201は、第1ギア200に対して噛み合う状態で摩擦接触された状態で第2回転軸203を介して中心O12を中心に回転自在に軸支されている。第1ギア200の半径r1と第2ギア201の半径r2とは、本実施の形態では比率が1:1の関係に設定されている。
【0070】
軸部192のハウジング204の内部には、駆動ロッド205が配設されている。軸部192のハウジング204の内部には、駆動ロッド205を軸部192の中心線方向に直動自在に支持する図2に示すようなロッド受け(不図示)が固定されている。そして、駆動ロッド205は図示しない駆動源からの駆動力によりロッド受けにガイドされた状態で直動方向に駆動されるようになっている。本実施の形態の駆動ロッド205は、軸部192の中心線方向以外の方向に2次元に弾性変形可能な弾性部材である。駆動ロッド205の先端部は、第2駆動プレート206に第1ガイドギア部198の第1回転軸202と平行な軸で連結ピン207を介して回転可能に連結されている。
【0071】
軸部192の基端部には、関節部194の支持部195と直交する方向のベースプレート208が設けられている。このベースプレート208には駆動ギア209が関節部194の第1のガイドギア部198の第1回転軸202と直交する方向の第3回転軸210を介して中心O13を中心に回転自在に軸支されている。
【0072】
駆動ロッド205の基端部は、駆動ギア209に対し、第3回転軸210と平行に連結ピン211を介して回転可能に連結されている。ここで、駆動ロッド205の基端部の連結ピン211と、駆動ロッド205の先端部の連結ピン207とは、駆動ロッド205の中心線の軸回り方向に90°回転した角度で配置されている。
【0073】
第2駆動プレート206と、関節部194の第1ガイドギア部198と第2のガイドギア部199との連結状態は、第1の実施の形態の駆動プレート7と、第1ガイドギア部8および第2ガイドギア部9との連結状態と同様に設定されている。つまり、第1ガイドギア部198は、関節部194の第1の回転ガイド部であり、第2のガイドギア部199は、関節部194の第2の回転ガイド部である。
【0074】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具191の関節駆動装置は、非作動時は、図17に示すように軸部192と処置部193との間の関節部194が軸部192の中心線方向に沿って一直線状に真っ直ぐに延びた初期位置の状態で保持されている。
【0075】
関節部194を屈曲する際には、駆動ギア209が第3回転軸210を中心に回転する。このとき、駆動ギア209が回転することで駆動ギア209にピン211を介して回転自在に設置された駆動ロッド205が、軸部192のハウジング204の軸断面軸方向に弾性変形しながら、ハウジング204に固定された第1ガイドギア部198の第1回転軸202を介して中心O11回りに、回転軸207を介して第2駆動プレート206を回転させる。
この駆動ロッド205の動作に連動して関節部194は、第1の実施の形態での関節の動作と同様に駆動される。
【0076】
(効果)
そこで、本実施の形態では第1実施形態の効果に加え、関節部194の2つの回転軸である第1回転軸202と第2回転軸203は駆動ギア209の第3回転軸210に対して直交する方向に配置されている。これにより、駆動ギア209の回転方向と、関節部194の屈曲方向とは90°異なる方向に屈曲させることができる。そのため、第1実施形態の効果に加え、駆動ギア209と関節部194とを屈曲方向が90°異なる方向に屈曲させることができる。関節部194のようなダブルジョイント機構を、長手断面方向には2次元に弾性変形し、長手方向は断面方向の弾性変形にくらべ変形しにくい駆動ロッドによって駆動することで、組み立てガタをバネ効果により押さえつけて低減しつつ、必要な部品点数を低減することができる。
【0077】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1の実施の形態では、本発明を多自由度術具などの処置具に適用した例を示したが、マニピュレータに適用してもよい。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 軸方向以外の方向に弾性変形可能なロッドを設けた。
【0078】
(付記項2) 弾性変形する方向は1次元である。
(付記項3) 弾性変形する方向は2次元である。
(付記項4) 2重関節機構の先端側にロッドは設けられる。
(付記項5) リンクの断面積が異なるロッドを設ける。
(付記項6) ヤング率が異なるロッドを設ける。
【0079】
(付記項7) ロッドが別部材で分割されている。
(付記項8) リンクの断面積は同じでリンクがねじれたロッドを設ける。
(付記項9) トラス構造を有するリンクを設ける。
(付記項10) 座屈しにくい構造のリンクを設ける。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、多自由度術具などで使用される屈曲関節機構並びにその屈曲関節機構を有する術具及びその屈曲関節機構を有するマニピュレータを使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0081】
2…軸部、3…関節部、O1…第1の回転中心、5…支持部、O2…第2の回転中心、6…作動部、7…駆動プレート(連結部材)、8…第1ガイドギア部(第1の回転ガイド部)、9…第2ガイドギア部(第2の回転ガイド部)、13…駆動ロッド(ロッド)、22…第1関節部、23…第2関節部、26…第1ギア(第1の回転ギア)、27…第2ギア(第2の回転ギア)、34…第3ガイドギア部(第1の回転ガイド部)、35…第4ガイドギア部(第2の回転ガイド部)、36…中間ハウジング(軸部)、40…第2駆動ロッド、42…第2駆動プレート(連結部材)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節部は、
第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、
基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、
先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、
前記軸部に対して前記軸部の中心線方向に直動自在に支持されると共に、先端部が前記連結部材の前記第1の回転中心位置以外の位置に連結され、駆動力により前記軸部の前記中心線方向に直動駆動されるロッドと、
を有し、
前記ロッドの前記直動方向の動きに連動して前記連結部材を介して前記第2の回転ガイド部を前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記作動部を前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、
前記ロッドは、前記軸部の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材であることを特徴とする屈曲関節機構。
【請求項2】
前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に1次元であることを特徴とする請求項1に記載の屈曲関節機構。
【請求項3】
関節部は、
第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、
基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、
先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、を有し、
前記関節部は、前記軸部の中心線方向に第1の関節部および第2の関節部が並設され、前記第1の関節部を後側とし、前記第2の関節部を前側として、
前記第1の関節部の前記作動部の前記第2の回転中心の中心軸と、前記第1の関節部の前記作動部につながった前記第2の関節部の前記第1の回転中心の中心軸とがねじれの位置、つまり平行だが同一平面上に存在しない関係で、
前記第1の関節部の第1の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じくした第1の回転ギアと、前記第1の関節部の第2の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じで前記第1の回転ギアとかみ合う第2の回転ギアと、
前記第1の関節部の連結部材に接続され、直動運動する第1駆動ロッドと、
前記第2の関節部の連結部材と前記第2の関節部の前記連結部材の回転軸と平行で回転中心が異なる位置で回転自在に連結されると共に、前記第1の関節部の第2の回転ギアの回転中心軸と平行で回転中心以外の位置で前記第1の関節部の前記第2の回転ギアに回転自在に連結され、前記第2の関節部の前記軸部の中心線方向に直動駆動される第2駆動ロッドと、を有し、
前記第1駆動ロッドの直動運動により、前記第1の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第1の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第1の関節部の前記作動部を前記第1の関節部の前記軸部に対して屈曲可能で、
前記第1駆動ロッドの運動とは独立した別の駆動力により前記第1の関節部の前記第1の回転ギアを回転させることで、前記第1の回転ギアとかみ合った前記第2の回転ギアが回転し、前記第2の回転ギアと前記第2の関節部の前記連結部材に連結された前記第2駆動ロッドが前記第2の回転ギアの動きにより前記第2の関節部の前記連結部材を動かし、これにより前記第2の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第2の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第2の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第2の関節部の前記作動部を前記第2の関節部の前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、
前記第2駆動ロッドは、長手断面方向に弾性変形可能な弾性部材であることを特徴とする屈曲関節機構。
【請求項4】
前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に2次元であることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項5】
前記弾性部材は、断面積が前記ロッドの中心線方向で異なることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項6】
前記弾性部材は、ヤング率が前記ロッドの中心線方向で異なることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記ロッドが複数の構成要素に分割され、前記各構成要素がそれぞれ異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項8】
屈曲関節機構を有する術具において、
前記屈曲関節機構は、請求項1〜7の何れかに記載の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有する術具。
【請求項9】
屈曲関節機構を有するマニピュレータにおいて、
前記屈曲関節機構は、請求項1〜7の何れかに記載の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有するマニピュレータ。
【請求項1】
関節部は、
第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、
基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、
先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、
前記軸部に対して前記軸部の中心線方向に直動自在に支持されると共に、先端部が前記連結部材の前記第1の回転中心位置以外の位置に連結され、駆動力により前記軸部の前記中心線方向に直動駆動されるロッドと、
を有し、
前記ロッドの前記直動方向の動きに連動して前記連結部材を介して前記第2の回転ガイド部を前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記作動部を前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、
前記ロッドは、前記軸部の中心線方向以外の方向に弾性変形可能な弾性部材であることを特徴とする屈曲関節機構。
【請求項2】
前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に1次元であることを特徴とする請求項1に記載の屈曲関節機構。
【請求項3】
関節部は、
第1の回転中心位置を中心とする円弧形状の第1の回転ガイド部を有し第1の回転中心軸に対して直交した軸を有する軸部と、
基端部に前記軸部の前記第1の回転ガイド部に対して転がり接触し、第2の回転中心位置を中心とする円弧形状の第2の回転ガイド部が形成された作動部と、
先端部が前記作動部の前記第2の回転中心位置に回転可能に連結され、基端部が前記軸部の前記第1の回転中心位置に回転可能に連結された連結部材と、を有し、
前記関節部は、前記軸部の中心線方向に第1の関節部および第2の関節部が並設され、前記第1の関節部を後側とし、前記第2の関節部を前側として、
前記第1の関節部の前記作動部の前記第2の回転中心の中心軸と、前記第1の関節部の前記作動部につながった前記第2の関節部の前記第1の回転中心の中心軸とがねじれの位置、つまり平行だが同一平面上に存在しない関係で、
前記第1の関節部の第1の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じくした第1の回転ギアと、前記第1の関節部の第2の回転ガイド部と回転中心および円弧半径を同じで前記第1の回転ギアとかみ合う第2の回転ギアと、
前記第1の関節部の連結部材に接続され、直動運動する第1駆動ロッドと、
前記第2の関節部の連結部材と前記第2の関節部の前記連結部材の回転軸と平行で回転中心が異なる位置で回転自在に連結されると共に、前記第1の関節部の第2の回転ギアの回転中心軸と平行で回転中心以外の位置で前記第1の関節部の前記第2の回転ギアに回転自在に連結され、前記第2の関節部の前記軸部の中心線方向に直動駆動される第2駆動ロッドと、を有し、
前記第1駆動ロッドの直動運動により、前記第1の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第1の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第1の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第1の関節部の前記作動部を前記第1の関節部の前記軸部に対して屈曲可能で、
前記第1駆動ロッドの運動とは独立した別の駆動力により前記第1の関節部の前記第1の回転ギアを回転させることで、前記第1の回転ギアとかみ合った前記第2の回転ギアが回転し、前記第2の回転ギアと前記第2の関節部の前記連結部材に連結された前記第2駆動ロッドが前記第2の回転ギアの動きにより前記第2の関節部の前記連結部材を動かし、これにより前記第2の関節部の前記第2の回転ガイド部を前記第2の関節部の前記第1の回転ガイド部に沿って前記第2の関節部の前記第1の回転中心位置を中心に回動させることで前記第2の関節部の前記作動部を前記第2の関節部の前記軸部に対して屈曲駆動する屈曲関節機構であって、
前記第2駆動ロッドは、長手断面方向に弾性変形可能な弾性部材であることを特徴とする屈曲関節機構。
【請求項4】
前記弾性部材は、弾性変形する方向が前記軸部の中心線方向以外の方向に2次元であることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項5】
前記弾性部材は、断面積が前記ロッドの中心線方向で異なることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項6】
前記弾性部材は、ヤング率が前記ロッドの中心線方向で異なることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記ロッドが複数の構成要素に分割され、前記各構成要素がそれぞれ異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項1または3に記載の屈曲関節機構。
【請求項8】
屈曲関節機構を有する術具において、
前記屈曲関節機構は、請求項1〜7の何れかに記載の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有する術具。
【請求項9】
屈曲関節機構を有するマニピュレータにおいて、
前記屈曲関節機構は、請求項1〜7の何れかに記載の屈曲関節機構であることを特徴とする屈曲関節機構を有するマニピュレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−91310(P2012−91310A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30103(P2011−30103)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発/超低侵襲治療機器システムの研究開発/内視鏡下手術支援システムの研究開発プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発/超低侵襲治療機器システムの研究開発/内視鏡下手術支援システムの研究開発プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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