説明

屋上緑化構造、蒸発散促進システム、並びに工法

【課題】より効率的に環境負荷を低減できる屋上緑化手段の提供。
【解決手段】屋上緑化構造Aにおいて、水貯留部1と透水性防根シート2と植栽部3とを備え、水貯留部1は、屋上の設置面上に排水勾配に対して略垂直方向に設置された一又は複数の貯水用縁材11と、貯水用縁材11の設置領域以外の領域R1では屋上の設置面B上に、貯水用縁材の設置領域R2では縁材11を被装する状態になるように敷設された遮水シート12と、貯水用縁材11の設置領域以外の領域R1の遮水シート12上に設置する底上げ部材13とを備え、水貯留部1内に貯留する水を透水性防根シート2に揚水する導水帯材4が設置されている屋上緑化構造を提供する。この構造を用いて、夏期などに積極的に潅水して土壌中の含水量を保持することにより、植物による蒸発散量を高く維持でき、ヒートアイランド現象抑制に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上緑化構造、蒸発散促進システム、屋上緑化工法などに関する。より詳細には、屋上の設置面上に形成された水貯留部と、水貯留部上に積層された透水性防根シートと、透水性防根シート上に積層された植栽部とを備え、水貯留部に潅水することにより、植栽された植物による蒸発散を促進する構成を含む屋上緑化構造、蒸発散促進システム、屋上緑化工法などに関する。
【背景技術】
【0002】
大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会・生活様式などにより、環境負荷が増大している。これにより、地球温暖化など地球規模の環境変化が懸念され、また、オゾンホール、酸性雨、異常気象、ヒートアイランド現象など地球規模又は局所的な環境変化が顕在化している。
【0003】
これらの環境変化の多くは人為的にもたらされたものであり、かつ、人類の生存自体をも脅かす可能性がある。従って、各分野において、環境負荷を低減する様々な仕組みを構築することが求められている。
【0004】
地球温暖化は、地球表面の大気や海洋の平均温度が長期的に見て上昇する現象である。人類の産業活動などに伴って排出された温室効果ガス(CO、メタンなど)が主因となって引き起こされていると考えられている。
【0005】
気温・水温の上昇などにより、海水面上昇、地球規模又は局所的な異常気象、気候のパターン変化などが引き起こされている可能性が指摘されている。そのため、温室効果ガス排出量削減など、地球温暖化を緩和・低減する取り組みが世界的規模で進められている。
【0006】
ヒートアイランド現象は、局所的な環境変化の一つで、ある地域がその周辺地域よりも高温になる現象である。近年、特に都市部における夏期のヒートアイランド現象が問題となっている。
【0007】
都市部では多くの場所がコンクリートやアスファルトで覆われているため、夏期の強烈な日光が照射されると、その場所の表面が高温となり、その場所の直上の空気も暖められて気温が上昇する。
【0008】
これにより、夏期の屋外温熱環境が悪化する。また、室内などにおける冷房負荷が高まり、エネルギー消費量が増加し、温室効果ガスの排出量が増大する。その他、局所的な異常気象(集中豪雨など)も、ヒートアイランド現象が大きな原因の一つであると考えられている。
【0009】
都市部における夏期のヒートアイランド現象などを抑制する手段の一つとして、屋上緑化が試みられ、既存の建物を含め、多くの建物で普及しつつある。屋上緑化は、建物の屋根・屋上に植物を植栽し、緑化することである。屋上緑化により、ヒートアイランド軽減効果、大気浄化効果、景観向上効果、建物に対する防火・耐熱効果などがあるとされる。
【0010】
屋上緑化に関する関連文献として、例えば、特許文献1には、建造物の屋上などで植物を生育させるための植栽設備用貯水装置が、特許文献2には、潅水構造を改良した屋上緑化システムが、特許文献3には、ユニットタイプの植物育成構造体及びそれを隣接させた緑化システムが、それぞれ記載されている。
【特許文献1】特開2005−198517号公報
【特許文献2】特開2003−143940号公報
【特許文献3】特開2006−101812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、より効率的に環境負荷を低減できる屋上緑化手段を提供することなどを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、屋上緑化システムにおいて、夏期などに積極的に潅水して土壌水分量を保持することにより、植物による蒸発散量を高く維持でき、蒸発散を促進できることを新規に見出した。
【0013】
この新しい知見に基づき、その蒸発散促進効果を最大限引き出す構成として、本発明では、排水勾配のある屋上に設置される屋上緑化構造であって、屋上の設置面上に形成された水貯留部と、その水貯留部上に積層された透水性防根シートと、その透水性防根シート上に積層された植栽部とを備え、水貯留部は、屋上の設置面上に排水勾配に対して略垂直方向に設置された一又は複数の貯水用縁材と、貯水用縁材の設置領域以外の領域では屋上の設置面上に、貯水用縁材の設置領域では該縁材を被装する状態になるように敷設された遮水シートと、貯水用縁材の設置領域以外の領域の遮水シート上に設置する底上げ部材と、水貯留部に水を供給する潅水手段と、を備え、水貯留部内に貯留する水を透水性防根シートに揚水する導水帯材が設置されている屋上緑化構造を提供する。
【0014】
都市部のヒートアイランド現象は、主に夏期に発生する。例えば、この屋上緑化構造を採用し、夏期に水貯留部に積極的に潅水することにより、植栽植物による蒸発散を促進できる。従って、蒸発散による気化熱などにより、都市部における夏期のヒートアイランド現象を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0015】
また、夏期以外の季節では、植栽植物の生育・維持に必要な水のほとんどは、水貯留部に貯留する雨水などでまかなうことができる。従って、雨水を有効利用できるとともに上水の使用量を削減できるため、温室効果ガス排出量の削減につながり、環境負荷を低減できる。
【0016】
植物による蒸発散を促進するために、植栽部中の土壌水分量を的確に把握できることが重要となる。本発明では、透水性防根シートを用いて植栽部と水貯留部を分離し、植栽部の下側に水貯留部を設けるとともに、導水帯材を用いて水貯留部内に貯留する水を透水性防根シートに揚水し、植栽部に水を供給する構成を備える。従って、例えば、水位計測手段などで水貯留部に貯留する水量を計測することにより比較的容易に土壌水分量を類推できるため、夏期の潅水を行うかどうかの判断が容易である。即ち、本発明に係る構造は、潅水による蒸発散の促進に適する。
【0017】
本発明では、透水性防根シートを用いて植栽部と水貯留部を分離し、かつ貯水用縁材と遮水シートを用いて水を貯留する。透水性防根シートは、植物の根などが水貯留部に侵入して水貯留部を占有することを防ぐ。これにより、貯水量を確保・維持でき、かつ、水の循環スペースを確保できるため水の循環性も保持できる。加えて、貯水用縁材を用いて水を貯留する構成は、貯水効率を高める。従って、本発明に係る構造は、水の循環性及び貯水効率を高める構成であり、潅水による蒸発散の促進に適する。
【0018】
本発明では、水貯留部に水を供給する潅水手段を備える。従って、本発明に係る構造は、土壌水分量が減少した場合に水貯留部に直接水を供給できる構成であり、潅水による蒸発散の促進に適する。
【0019】
本発明では、水貯留部に直接潅水するため、夏期などに積極的に潅水する際、植栽部の上から潅水する場合よりも、潅水ロス・潅水ムラを抑制できる。従って、本発明に係る構造は、上水の使用量削減に伴う温室効果ガス排出量の削減にも適した構成であり、かつ潅水による蒸発散の促進に適する。
【0020】
その他、底上げ部材により透水性防根シートを底上げして水貯留部を確保しているため、水貯留部には、水貯留層に加え、その上層側に空気層が形成される。従って、空気層が形成されることにより、植物の根腐れを防止でき、また、植物の生育を促進できる。
【0021】
加えて、水貯留部内に貯留する水を前記透水性防根シートに揚水する導水帯材を設置しており、植栽部の上からではなく水貯留部に直接潅水できる。これにより、土壌が乾いた分だけ底面側から水が供給されるため、植物の根腐れや病害の発生を抑制できる。
【0022】
本発明に係る構造では、水貯留部に貯留する水を排水する排水手段を別途設けてもよい。例えば、集中豪雨などが予想される場合に、その前に、水貯留部に貯留する水を予め排水しておく。そして、集中豪雨などの際に、その雨水を許容量まで水貯留部に貯水する。これにより、その雨水が植栽部の土壌を通過する時間に加えて、水貯留部が満水になるまでの時間の分だけ、雨水の排出時間を遅延できる。従って、集中豪雨などの際における都市下水道の負荷を軽減できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、より効率的に環境負荷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<本発明に係る屋上緑化構造について>
本発明に係る屋上緑化構造は、排水勾配のある屋上に設置される屋上緑化構造であり、夏期などに積極的に潅水して土壌中の含水量を保持することにより、植物による蒸発散量を高く維持でき、蒸発散を促進できる構成の屋上緑化構造である。なお、本発明は、以下の記載のみに狭く限定されない。
【0025】
図1は、本発明に係る屋上緑化構造の例を示す断面模式図である。
【0026】
図1の屋上緑化構造Aは、建物屋上の設置面B(設置面B上に防根シートB1などが敷設された場合を含む、以下同じ)上に形成された水貯留部1と、水貯留部1上に積層された透水性防根シート2と、透水性防根シート2上に積層された植栽部3と、を有する。その他、符号4は、この屋上緑化構造を囲繞する縁石である。
【0027】
水貯留部1は、屋上の設置面B上に排水勾配に対して略垂直方向に設置された一又は複数の貯水用縁材11と、貯水用縁材11の設置領域以外の領域(符号R1)では屋上の設置面B上に、貯水用縁材11の設置領域(符号R2)では該縁材11を被装する状態になるように敷設された遮水シート12と、貯水用縁材11の設置領域以外の領域(符号R1)の遮水シート12上に設置する底上げ部材13と、水貯留部に水を供給する潅水手段(後述する)と、を備える。
【0028】
貯水用縁材11は、遮水シート12の下に、排水勾配に対して略垂直方向に設置することにより、水を貯留させる領域を形成する。設置箇所としては、少なくとも、排水勾配の下流側に一つ設置する必要があり、その他は必要に応じて一本目の縁材と略並行に設置していく。縁材11の大きさは特に限定されないが、例えば、縦横とも50mm前後(20mm〜150mm)が好適である。長さは、排水勾配に対して垂直方向の屋上緑化構造の長さに合わせればよい。
【0029】
貯水用縁材11を設置する間隔は、目的・用途により適宜設定できる。一般的には、貯水用縁材11を多くすると貯水量が多くなり、少なくすると貯水量が減って空気層が大きくなる。コストパフォーマンス及び施工の容易さを勘案すると、例えば、1〜3m間隔に貯水用縁材を設置するのが好適であり、1.5〜2m間隔がより好適である。
【0030】
貯水用縁材11の材質は特に限定されないが、常時湿潤な環境に耐えうる材料が好ましい。また、重量圧、水圧などに耐えうる程度の強度を有し、経年劣化の少ない材質がより好適である。例えば、熱可塑性樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂など)製のものを利用できる。
【0031】
遮水シート12は、屋上の設置面Bの全体に敷設することによって水を貯留させる領域を形成する。貯水用縁材11の設置領域以外の領域(符号R1)では屋上の設置面B上に積層され、貯水用縁材11の設置領域(符号R2)では該縁材11を被装する状態になるように敷設する。貯水用縁材11の設置領域(符号R2)の近傍に水を貯留できるようにするために、特に、貯水用縁材11の設置領域以外の領域(符号R1)では、撓みがないように密着して遮水シート12を設置面B上に敷設・貼着などすることが好ましい。
【0032】
遮水シート12の材質は特に限定されないが、連続した雨水を透過しない材質である必要があり、かつ常時湿潤な環境に耐えうる材料が好ましい。また、重量圧、水圧などに耐えうる程度の強度を有し、経年劣化の少ない材質がより好適である。例えば、熱可塑性樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタラート、エチレン酢酸ビニル樹脂など)系のシートを利用できる。
【0033】
底上げ部材13は、貯水用縁材11の設置領域以外の領域(符号R1)の遮水シート12上に設置し、透水性防根シート2及びその上の植栽部3を支持することにより、水貯留部1を形成する。
【0034】
底上げ部材13で透水性防根シート2などを底上げすることにより、水貯留部1には、水貯留層14とその上側の空気層15が形成される。この構成により、植物の根腐れを防止でき、また、植物の生育を促進できる。
【0035】
底上げ部材13は、透水性防根シート2及びその上の植栽部3の重量圧に耐えることができ、かつ水が循環できる空間を形成できるものであればよく、その形状などは特に限定されない。
【0036】
底上げ部材13の材質も特に限定されないが、重量圧などに耐えうる程度の強度を有し、かつ常時湿潤な環境に耐えうる材料が好ましい。また、経年劣化の少ない材質がより好適である。例えば、熱可塑性樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂など)製のものを利用できる。
【0037】
透水性防根シート2は、水貯留部1と植栽部3を分離し、植栽植物31の根が水貯留部1へ侵入することを防止する。また、雨水は植栽部3から透水性防根シート2を介して水貯留部1へ注ぐ。
【0038】
透水性防根シート2の材質は特に限定されないが、透水性を有し、かつ根の侵入を防ぐ強度を有するものがよい。また、常時湿潤な環境に耐えることができ、経年劣化の少ない材質がより好適である。例えば、透水性のある合成樹脂シート(例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリ塩化ビニルシートなど)、不織布(例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、エチレン酢酸ビニル樹脂、合成ゴム、ナイロン樹脂など、又はその組み合わせにより加工されたもの)などを利用できる。
【0039】
導水帯材21は、水貯留部1内に貯留する水を透水性防根シート2に揚水する。導水帯材の一端を水貯留部1内に貯留する水に浸す状態にすることにより、毛細管現象により水が吸い上げられ、透水性防根シート2を介して、土壌に水分が供給される。この構成により、下側から土壌へ水を供給することが可能になる。
【0040】
導水帯材21の形状などは特に限定されないが、設置のしやすさなどの観点から、短冊状又はシート状のものが好適で得ある。材質としては、毛細管現象により揚水できる機能を有するものであればよく、特に限定されないが、常時湿潤な環境に耐えることができ、経年劣化の少ない材質がより好適である。例えば、合成繊維(ナイロン系、ビニロン系、ポリエステル系、アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などの合成繊維)の不織布・織布、特殊処理紙などを利用できる。
【0041】
植栽部3は、透水性防根シート2の上に積層される部位で、土壌層31、マルチング材32、植栽植物33などから構成される。
【0042】
土壌層31を構成する土壌は、目的・用途に応じて適したものを使用できる。一般的に、建物屋上を緑化する場合、荷重制限があるため、屋上緑化構造全体で軽量であることが必要となる。従って、土壌は、自然土壌よりも保水性・通気性などに優れる人工軽量土壌などを選択することが好ましい。人工軽量土壌としては、例えば、パーライト系、火山砂利系、有機質系、新素材系などのものを利用できる。
【0043】
マルチング材32は、土壌表面からの水分蒸発の抑制、雑草侵入の抑制、土壌飛散防止などを目的として植物の根元を覆う材料である。マルチング材32は、目的・用途に応じて適したものを使用できる。例えば、有機質系のマルチング材として、バーク堆肥、バークチップ、ウッドチップ、樹皮繊維などを、無機質系のマルチング材として、火山砂利、レンガ砕石、豆砂利、人工軽量骨材、特殊な紙、雑草防止シートなどを利用できる。
【0044】
植栽植物33は、目的・用途に応じて適したものを土壌層31に植栽する。植栽する植物33は、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
【0045】
1・2年草の双子葉植物として、例えば、アリッサム(アブラナ科)、インパチェンス(ツリフネソウ科)、キンレンカ(ノウゼンハレン科)、クリサンセマム(キク科)、ケイトウ(ヒユ科)、コリウス(シソ科)、ニチニチソウ(キョウチクトウ科)、パンジー(スミレ科)、ベゴニア(シュウカイドウ科)、マリーゴールド(キク科)、ペチュニア(ナス科)、マリーゴールド(キク科)、トレニア(ゴマノハグサ科)、ベゴニア・センパフローレンス(シュウカイドウ科)など。
【0046】
多年草・宿根草の双子葉植物として、例えば、アークトセカ・カレンデュラ(キク科)、アガパンサス・アフリカヌス(ネギ科)、アキレア(キク科)、アジュガ・レプタンス(シソ科)、アスチルベ(ユキノシタ科)、イソギク(キク科)、イワダレソウ(クマツヅラ科)、エリゲロン(キク科)、オオキンケイギク(キク科)、オレガノ(シソ科)、ガウラ(アカバナ科)、ガザニア(キク科)、キク類(キク科)、クジャクアスター(キク科)、クリスマスローズ(キンポウゲ科)、クローバー(マメ科)、サルビア類(シソ科)、シバザクラ(ハナシノブ科)、シャスターデージー(キク科)、シュウメイギク(キンポウゲ科)、シロタエギク(キク科)、セキショウ(サトイモ科)、ダイアンサス(ナデシコ科)、ツワブキ(キク科)、トウテイラン(ゴマノハグサ科)、バーベナ(クマツヅラ科)、ハナトラノオ(シソ科)、ポテンティラ(バラ科)、ミヤコワスレ(キク科)、ミント類(シソ科)、ノドハギ(マメ科)、ユリオプスデージー(キク科)、ヨモギ(キク科)、ラベンダー(シソ科)、リシマキア(サクラソウ科)、ルドベキア(キク科)など。
【0047】
多年草・宿根草の単子葉植物として、例えば、アズマネザサ(イネ科)、オカメザサ(イネ科)、オロシマチク(イネ科)、カンスゲ(カヤツリグサ科)、キチジョウソウ(ユリ科)、キボウシ(ユリ科)、高麗芝(イネ科)、コクマザサ(イネ科)、ジャーマンアイリス(アヤメ科)、シラン(ラン科)、ススキ類(イネ科)、チガヤ(イネ科)、ニューサイラン(ユリ科)、ノシバ(イネ科)、ノシラン(ユリ科)、ヤブラン(ユリ科)、リボングラス(イネ科)、リュウノギゲ(ユリ科)、レモングラス(イネ科)など。
【0048】
その他の多年草・宿根草として、例えば、クラマゴケ(イワヒバ科)、トクサ(トクサ科)など。
【0049】
球根植物の単子葉植物として、例えば、スイセン(ヒガンバナ科)、タマスダレ(ヒガンバナ科)、ハナニラ(ユリ科)、ヒガンバナ(ヒガンバナ科)、ムスカリ(ユリ科)、モントブレチア(アヤメ科)など。
【0050】
多肉植物の双子葉植物として、例えば、セダム類(マンネングサなど、ベンケイソウ科)、ポーチュラカ(スベリヒユ科)、マツバギク(ツルナ科)、ミセバヤ(クマツヅラ科)など。
【0051】
落葉樹の双子葉植物として、例えば、エニシダ(マメ科)、シモツケ(バラ科)、ハギ(マメ科)、ウツギ(ユキノシタ科)、オオデマリ(スイカズラ科)、ガマズミ(スイカズラ科)、コデマリ(バラ科)、タニウツギ(スイカズラ科)、バイカウツギ(ユキノシタ科)、ムラサキシキブ(クマツヅラ科)、メギ(メギ科)、ヤマブキ(バラ科)、ユキヤナギ(バラ科)、レンギョウ(モクセイ科)など。
【0052】
落葉中高木の双子葉植物として、例えば、アメリカヤマボウシ(ミズキ科)、サクラ(バラ科)、サルスベリ(ミソハギ科)、モミジ(カエデ科)など。
【0053】
常緑地被性樹木の双子葉植物として、例えば、タイム類(シソ科)、ツルニチニチソウ(キョウチクトウ科)、フッキソウ(ツゲ科)など。
【0054】
常緑地被性樹木の裸子植物として、例えば、アメリカハイビャクシン(ヒノキ科)、ハイネズ(ヒノキ科)、ハイビャクシン(ヒノキ科)など。
【0055】
低木類の双子葉植物として、例えば、アオキ(アオキ科)、アベリア(スイカズラ科)、オオムラサキツツジ(ツツジ科)、オタフクナンテン(メギ科)、キョウチクトウ(キョウチクトウ科)、キンシバイ(オトギリソウ科)、クチナシ(アカネ科)、コトネアスター(バラ科)、サツキ(ツツジ科)、シャリンバイ(バラ科)、ジンチョウゲ(ジンチョウゲ科)、セイヨウイワナンテン(ツツジ科)ハクチョウゲ(アカネ科)、ヒイラギナンテン(メギ科)、ヒサカキ(ツバキ科)、ピラカンサ(バラ科)、ボックスウッド(ツゲ科)、マンリョウ(ヤブコウジ科)、ランタナ(クマツヅラ科)、ローズマリー(シソ科)、ロニセラ・ニチダ(スイカズラ科)など。
【0056】
低木類の裸子植物として、例えば、ニイタカビャクシン(ヒノキ科)、フィツェリアナビャクシン(ヒノキ科)など。
【0057】
常緑中高木の双子葉植物として、例えば、イヌツゲ(モチノキ科)、ツバキ(ツバキ科)、マサキ(ニシキギ科)など。
【0058】
常緑中高木の裸子植物として、例えば、アリゾナイトスギ(ヒノキ科)、イタリアイトスギ(ヒノキ科)、イチイ(イチイ科)、コノテガシワ(ヒノキ科)、コロラドビャクシン(ヒノキ科)、サワラ(ヒノキ科)、スギ(スギ科)、セイヨウネズ(ヒノキ科)、ツガ類(マツ科)、トウヒ類(マツ科)、ニオイヒバ類(ヒノキ科)、ナンヨウスギ(ナンヨウスギ科)、ヒノキ類(ヒノキ科)、ヒマラヤスギ類(マツ科)、ビャクシン(ヒノキ科)、マキ類(マキ科)、メタセコイア(スギ科)、モミ類(マツ科)、モントレーイトスギ(ヒノキ科)、ラクウショウ(スギ科)、レイランドヒノキ(ヒノキ科)など。
【0059】
これらの植物の中では、植栽植物33としては、夏期などに蒸発散量が多いという観点から、草本植物(1・2年草、多年草、宿根草)又は落葉樹が好適である。葉の表面積が大きい方がより蒸発散量が多いので、その中では、葉の量が多いという観点から、双子葉植物がより好適である。
【0060】
この屋上緑化構造の全体の厚さは、目的・用途などにより異なるため、狭く限定されない。例えば、荷重重量、コストパフォーマンス、施工容易性などを勘案すると、水貯留部の厚さが5cm近傍(2cm〜10cm)、植栽部3の暑さが10cm近傍(5cm〜15cm)、全体の厚さが15cm近傍(7cm〜25cm)、が好適である。
【0061】
<本発明に係る屋上緑化構造の潅水経路について>
本発明に係る屋上緑化構造の潅水経路及びそれに付随する構成について、図2及び図3を用いて、以下説明する。
【0062】
図2は、本発明に係る屋上緑化構造の潅水経路を示す断面模式図である。
【0063】
一般的に、建物の屋上は、雨水が一定方向に流れるようにするため、特定の方向に幅100cmに対して1〜3cm程度の高低差を設けている(排水勾配X)。
【0064】
そのため、図2に示す通り、屋上の設置面B上に排水勾配Xに対して略垂直方向に貯水用縁材11を設置した場合、水が縁材11の排水勾配X上流側に水が貯留する(符号14)。貯留水14は、上述の通り、導水帯材を介して植物の生育に利用される。
【0065】
雨などで水が過剰になった場合は、各縁材11、11をオーバーフローして(符号Y)排水勾配X下流側へ流れ、耐圧排水板41から屋上緑化構造Aの外へ排出される(符号Z)。
【0066】
水供給手段16を、例えば、排水勾配X最上流側に設置する。例えば、夏期などにおいて水の貯留量が減少した場合に水供給手段16を用いて水貯留部1に水を直接供給する。
【0067】
水位計測手段17を、例えば、排水勾配X下流側に設置してもよい。これにより、水貯水部内の貯水量を管理できる。
【0068】
水位計測手段17としては、公知の技術を適用でき、特に限定されない。簡易かつ低コストな手段として、例えば、電極型の水位センサーを用いることができる。
【0069】
水供給手段16と水位計測手段17を用いて、土壌水分量を管理するとともに、夏期に水貯留部に積極的に潅水することにより、植栽植物による蒸発散を促進できる。従って、蒸発散による気化熱などにより、都市部における夏期のヒートアイランド現象を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0070】
図3は、本発明に係る屋上緑化構造の潅水経路を示す平面模式図である。
【0071】
図3では、屋上緑化構造の設置箇所を縁石4で囲繞し、屋上の設置面B上に、排水勾配Xに対して略垂直方向に貯水用縁材11を設置する。図3では、貯水用縁材11、11を、それぞれ、排水勾配Xの最下流側と、中流付近に、略並行に設置してある。
【0072】
水供給手段16は排水勾配X最上流側に、水位計測手段17は排水勾配X最下流側に、それぞれ設置されている。雨水又は水供給手段16による潅水により水貯留部1の許容量を超えた場合、水は縁材11の領域をオーバーフローして(符号Y)排水勾配X下流側へ流れ、屋上緑化構造Aの外へ排出される。
【0073】
排水手段18を、貯水用縁材11の設置箇所近傍の排水勾配X上流側で、排水勾配Xと垂直方向に位置する側壁部分に設けてもよい。この箇所に排水手段18を設けることにより、水貯留部1に貯留する水を排出し(符号D)、貯留水をほとんど空にすることができる。
【0074】
排水手段18の設置方法などについては公知の方法を利用でき、特に限定されない。例えば、遮水シートの排水手段18の設置部位に貫通孔を設け、そこに排水パイプを設置し、電磁弁又はコックなどで開閉できるようにする。
【0075】
例えば、集中豪雨などが予想される場合に、その前に、電磁弁などを開いて水貯留部1に貯留する水を予め排水しておき、集中豪雨などの際に、電磁弁などを閉じ、その雨水を許容量まで水貯留部に貯水する。これにより、その雨水が植栽部の土壌を通過する時間に加えて、水貯留部が満水になるまでの時間の分だけ、雨水の排出時間を遅延できる。従って、集中豪雨などの際における都市下水道の負荷を軽減できる。
【0076】
<本発明に係る蒸発散促進システムについて>
夏期などに、上述の屋上緑化構造を用いて、水貯留部1に積極的に潅水することにより、植栽された植物による蒸発散を促進することができる。
【0077】
都市部のヒートアイランド現象は、主に夏期に発生する。例えば、この屋上緑化構造を採用し、夏期に水貯留部に積極的に潅水することにより、植栽植物による蒸発散を促進できる。従って、蒸発散による気化熱などにより、都市部における夏期のヒートアイランド現象を抑制でき、環境負荷を低減できる。
【0078】
<本発明に係る屋上緑化工法について>
本発明に係る屋上緑化工法は、少なくとも、以下の5つの工程を含む。
【0079】
(1)屋上の設置面B上に排水勾配に対して略垂直方向に一又は複数の貯水用縁材11を設置し、貯水用縁材11の設置領域以外の領域(符号R1)では屋上の設置面B上に、貯水用縁材11の設置領域(符号R2)ではその縁材11を被装する状態になるように遮水シート12を敷設し、貯水用縁材11の設置領域以外の領域(符号R1)の遮水シート12上に底上げ部材13を設置し、以上、少なくとも3つの段階により水貯留部1を形成する工程、
(2)水貯留部1に水を供給する潅水手段16を設置する工程、
(3)水貯留部1上に透水性防根シート2を積層する工程、
(4)水貯留部1内に貯留する水を透水性防根シート2に揚水する導水帯材21を設置する工程、
(5)透水性防根シート2上に植栽部3を積層する工程。
【0080】
また、これらに加えて、水位計測手段17又は排水手段18を設置してもよい。これらの設置は、潅水手段16と同じ工程で行う。
【0081】
潅水手段16及び水位計測手段17は、例えば、遮水シート12を敷設した後、遮水シート12の上の設置箇所に塩化ビニルパイプなどを置いて水貯留部1への連絡を確保し、そのパイプ内に設置する。そして、そのパイプ部分を開けた状態で透水性防根シート2及び植栽部3を積層し、屋上緑化完成後も潅水手段16及び水位計測手段17を操作できるようにしておく。
【0082】
排水手段18は、例えば、遮水シート12を敷設した後、遮水シート12の上の設置箇所(貯水用縁材11の設置箇所近傍の排水勾配X上流側で、排水勾配Xと垂直方向に位置する側壁部分)に貫通孔を設け、そこに排水パイプを設置し、電磁弁又はコックなどで開閉できるようにする。同時に、設置箇所に塩化ビニルパイプなどを置いて水貯留部1への連絡を確保しておき、屋上緑化完成後も電磁弁などを開閉できるようにしておく。
【実施例1】
【0083】
実施例1では、各植物の蒸発散量を測定した。
【0084】
人工気象室(日本医科器械製作所製)内で、マンネングサ、高麗芝、ガザニア、ペチュニア、バーベナをそれぞれ栽培し、1日1回電子天秤でプランター重量を測定し、差分を取得することにより、1日当たりの蒸発散量を算出した。
【0085】
人工気象室内の気象環境は、典型的な夏期晴天日を想定し、以下の条件に設定した。照度:30,000ルクス、人工光の点灯時間:1日14時間(消灯時間:10時間)、明期の気温・湿度:30℃・65%(夏期日中を想定)、暗期の気温・湿度:25℃・70%(夏期夜間を想定)。
【0086】
縦15cm、横15cm、高さ20cm(マンネングサ及び高麗芝のものでは10cm)のプランターにパーライト系人工軽量培養度を入れ、各植物をそのプランターに植栽した。測定初日に、プランター下部から余剰水が出るまで充分に潅水し、翌日から毎日、1日当たりの蒸発散量を算出し、蒸発散量が0になるまで、又は、植物が萎れるまで測定を継続した。
【0087】
結果を図4に示す。図4は、各植物の蒸発散量の経過日数ごとの変化を示すグラフである。図中、横軸は経過日数を、縦軸は1日当たりの蒸発散量(L/m)を表す。各折線は、それぞれ、マンネングサ、高麗芝、ガザニア、ペチュニア、バーベナを栽培した場合の蒸発散量の変化を表す。「土壌のみ」は植物を栽培せずに同条件で測定した蒸発散量の変化を表す(対照)。
【0088】
図4に示す通り、各植物とも、日数が経過し、土壌の含水量が減少するとともに、1日当たりの蒸発散量が減少した。この結果は、土壌の含水量を夏期に一定量保持させることにより、各植物の蒸発散量を維持できることを示唆する。
【0089】
また、図4に示す通り、多肉植物(マンネングサ)の蒸発散量は土壌のみの場合とほとんど変わらなかったのに対し、イネ科植物(高麗芝)は土壌の含水量が減少しても蒸発散量を比較的維持でき、多肉植物以外の双子葉植物(ガザニア、ペチュニア、バーベナ)は蒸発散量が高く、土壌の含水量の減少に伴い蒸発散量が急激に減少した。この結果は、蒸発散量の多い植物を植栽するとともに、土壌の含水量を夏期に一定量保持させることにより、植物の蒸発散量を高いレベルで維持できることを示唆する。
【実施例2】
【0090】
実施例2では、2007年及び2008年の夏期に、潅水しながら各植物を栽培し、それらの植物の1日当たりの蒸発散量を測定した。
【0091】
コンクリート造3階建ての建物の屋上(屋上面高さは地上より約16m)に、断熱材を敷き、その上に電子天秤を設置し、その上に断熱材を介して縦40cm、横40cm、高さ20cm(マンネングサ及び高麗芝のものでは高さ10cm、水のみのものでは高さ30cm)の測定用プランターを載せ、縦70cm、横30cm、高さ50cmの緩衝用プランター4つを測定用プランターの周りに周方向に並べ、縦1m、横1mの実験的屋上緑化装置を作製した。
【0092】
測定用プランターにパーライト系人工軽量培養土を入れ、マンネングサ、高麗芝、ガザニア、ペチュニアを栽培した。対照区として、土壌のみを入れたもの及び水のみを入れたものをそれぞれ準備した。
【0093】
電子天秤で屋上緑化重量を測定し、データロガーにより10分間隔で測定データを記録し、屋上緑化重量の差分を取得することにより蒸発散量を算出した。データは7月の梅雨明け日から9月23日まで取得した。なお、降雨日及び潅水日は、水の流入・流出の影響があるため、データから除外した。また、炭素固定及び土壌の飛散などによる重量変化は、蒸発散量と比較して著しく小さいため無視した。
【0094】
結果を図5に示す。図5は、各植物の1日当たりの蒸発散量を示すグラフである。図中、縦軸は1日当たりの蒸発散量(L/m)を表す。各バーは、左からそれぞれ、マンネングサ、高麗芝、ガザニア、ペチュニア、を栽培した場合の1日当たりの蒸発散量を表す。「対照区(土壌のみ)」は植物を栽培せずに同条件で測定した場合(対照)の結果を、「水面」は土壌を入れずに水のみを入れて同条件で測定した場合の結果を、それぞれ表す。「中位点」及びその数値は平均値を、その上下のエラーバー及びその数値は平均値から標準偏差を加減した値を、それぞれ表す。
【0095】
図5に示す通り、どの植物でも、土壌のみの場合よりも1日当たりの蒸発散量を高かった。この結果は、夏期に積極的に潅水して土壌中の含水量を保持することにより、蒸発散量を高く維持でき、蒸発散を促進できることを示す。即ち、都市部における夏期のヒートアイランド現象の抑制に有効であることを示す。
【0096】
また、図5に示す通り、草本植物(ガザニア、ペチュニア)では、1日当たりの蒸発散量が、水のみを入れて測定した場合よりも高かった。この結果は、蒸発散量の多い植物を植栽し、かつ夏期に積極的に潅水して土壌中の含水量を保持させた場合、打ち水などを行う場合よりも、1日当たりの蒸発散量をさらに高くでき、蒸発散を促進できることを示す。即ち、都市部における夏期のヒートアイランド現象の抑制に特に有効であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る屋上緑化構造の例を示す断面模式図。
【図2】本発明に係る屋上緑化構造の潅水経路を示す断面模式図。
【図3】本発明に係る屋上緑化構造の潅水経路を示す平面模式図。
【図4】実施例1において、各植物の蒸発散量の経過日数ごとの変化を示すグラフ。
【図5】実施例2において、各植物の1日当たりの蒸発散量を示すグラフ。
【符号の説明】
【0098】
1 水貯留部
11 貯水用縁材
12 遮水シート
13 底上げ部材
16 潅水手段
17 水位計測手段
18 排水手段
2 透水性防根シート
21 導水帯材
3 植栽部
31 土壌
32 マルチング材
33 植物
4 縁石
A 屋上緑化構造
B 屋上の設置面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水勾配のある屋上に設置される屋上緑化構造であって、
屋上の設置面上に形成された水貯留部と、該水貯留部上に積層された透水性防根シートと、該透水性防根シート上に積層された植栽部とを備え、
前記水貯留部は、
前記屋上の設置面上に排水勾配に対して略垂直方向に設置された一又は複数の貯水用縁材と、
前記貯水用縁材の設置領域以外の領域では前記屋上の設置面上に、前記貯水用縁材の設置領域では該縁材を被装する状態になるように敷設された遮水シートと、
前記貯水用縁材の設置領域以外の領域の前記遮水シート上に設置する底上げ部材と、
前記水貯留部に水を供給する潅水手段と、を備え、
前記水貯留部内に貯留する水を前記透水性防根シートに揚水する導水帯材が設置されている屋上緑化構造。
【請求項2】
前記水貯留部には、水位計測手段が設置されている請求項1記載の屋上緑化構造。
【請求項3】
前記水貯留部の上層側に空気層が形成されている請求項1記載の屋上緑化構造。
【請求項4】
前記水貯留部に貯留する水を排水する排水手段が設けられている請求項1記載の屋上緑化構造。
【請求項5】
請求項1記載の屋上緑化構造を備え、前記水貯留部に潅水することにより、植栽された植物による蒸発散を促進する蒸発散促進システム。
【請求項6】
排水勾配のある屋上における屋上緑化工法であって、
(1)屋上の設置面上に排水勾配に対して略垂直方向に一又は複数の貯水用縁材を設置し、
前記貯水用縁材の設置領域以外の領域では前記屋上の設置面上に、前記貯水用縁材の設置領域では該縁材を被装する状態になるように遮水シートを敷設し、
前記貯水用縁材の設置領域以外の領域の前記遮水シート上に底上げ部材を設置し、
以上、少なくとも3つの段階により水貯留部を形成する工程と、
(2)前記水貯留部に水を供給する潅水手段を設置する工程と、
(3)前記水貯留部上に透水性防根シートを積層する工程と、
(4)前記水貯留部内に貯留する水を前記透水性防根シートに揚水する導水帯材を設置する工程と、
(5)前記透水性防根シート上に植栽部を積層する工程と、
を少なくとも含む屋上緑化工法。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−213599(P2010−213599A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62185(P2009−62185)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】