説明

屋根用換気ユニット

【課題】施工作業が容易で、かつ雨水や蜂が小屋裏に浸入するのを防止できる屋根用換気ユニットを提供すること。
【解決手段】屋根の野地板31に形成した通気口33を覆うように野地板に取り付けて小屋裏34の換気を行う屋根用換気ユニット10であって、箱型の本体11を有し、本体前面に第1換気口22を形成し、野地板に取り付けたとき通気口に連通する第2換気口23を本体の底面21に形成し、第1換気口に防虫金網13を被せ、本体上面11aを越える高さを有する第1止水板12を第1換気口の前方に位置するように本体底面に立設する。小屋裏の空気が野地板の通気口に連通する第2換気口を通ってユニット本体の内部空間に流入し、第1換気口から小屋裏外部へと換気される。屋根瓦30の裏側に浸入した雨水は第1止水板に遮られるので、第1換気口から本体内部への浸入が防止でき、第1換気口に被せた防虫金網によって小屋裏に侵入する蜂を阻止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根の野地板に形成した通気口を覆うように野地板に取り付けて小屋裏の換気を行う屋根用換気ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の屋根用換気ユニットの一形式として、特開2009−52231号公報に開示されている換気ユニットは、底面と、底面に立設した立面と、立面から折れ曲がって前方へ延びる上面から成り、上面の前部が前下がりに傾斜して設けられている。そして、前面と左右両側面が換気口として開放されている。
【0003】
この換気ユニットを施工するには野地板に形成した通気口に上面が被さるように、かつ上面の前端部が屋根瓦の尻部に近接するように野地板上に配置し、釘等で底面を野地板に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−52231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この換気ユニットによれば、小屋裏の空気が通気口から換気口を通って換気される。また、屋根瓦と屋根瓦の重合部分の隙間から屋根瓦の裏側へ雨水が浸入しても、上面によって換気口から野地板の通気口を通って小屋裏へ雨水が浸入するのを防止できる。
【0006】
しかしながら、通気口からの雨水の浸入を防止するためには、換気ユニットの上面が野地板の通気口を覆うように、かつ上面前部が屋根瓦の尻部に近接するように野地板上に固定しなければならない。
そのため、野地板の所定位置に通気口を形成する作業が不可欠となり、換気ユニットの施工作業が面倒である。
【0007】
また、この換気ユニットでは通気口から小屋裏に蜂が浸入して巣を作るのを防止するため、通気口に防虫網を取り付ける必要があり、より一層換気ユニットの施工が面倒である。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、施工作業が容易で、かつ雨水や蜂が小屋裏に浸入するのを防止できる屋根用換気ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、屋根の野地板に形成した通気口を覆うように野地板に取り付けて小屋裏の換気を行う屋根用換気ユニットであって、
箱型の本体を有し、本体前面に第1換気口を形成し、野地板に取り付けたとき前記通気口に連通する第2換気口を本体底面に形成し、
第1換気口に防虫用スクリーンを張設し、
前記本体上面を越える高さを有する第1止水板を前記第1換気口の前方に位置するように前記本体底面に立設したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の屋根用換気ユニットにおいて、第2止水板を前記第2換気口の前縁に沿うように前記本体底面に立設したことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は請求項1に記載の屋根用換気ユニットにおいて、前記第1止水板の上部を後上がりに傾斜して設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は請求項3に記載の屋根用換気ユニットにおいて、前記本体上面の少なくとも後半部を後下がりに傾斜して設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は請求項3に記載の屋根用換気ユニットにおいて、前記本体をプラスチックで成型するとともに、前記第1止水板を板金加工により成型して本体底面に固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の屋根用換気ユニットによれば、小屋裏の空気が野地板の通気口に連通する第2換気口を通ってユニット本体の内部空間に流入し、第1換気口から小屋裏外部へと換気される。
一方、屋根瓦の裏側に浸入した雨水は第1止水板に遮られるので、第1換気口から本体内部への浸入が防止できる。また、蜂が小屋裏に浸入するのは第1換気口に被せた防虫用スクリーンによって阻止できる。
【0015】
請求項2に記載の換気ユニットによれば、雨水が本体内部に浸入したとしても底面を伝って雨水が第2換気口から野地板の通気口へ浸入するのが、第2止水板によって阻止できる。
【0016】
請求項3に記載の屋根用換気ユニットによれば、第1止水板を乗り越えた雨水は第1止水板の後上がりの傾斜によって上方へ飛び跳ねるので、第1換気口からの雨水の浸入をより確実に防止できる。
【0017】
請求項4に記載の屋根用換気ユニットによれば、第1止水板の上部で飛び跳ねてた雨水が上面後半部の後傾斜を伝って本体後方へ流下するので、本体前面の第1換気口からの浸入をより確実に防止できる。
【0018】
請求項5に記載の屋根用換気ユニットにおいて、上部を後上がりに傾斜させた第1止水板を本体とは別に板金加工としたので、本体の成型に使用する金型の構造が簡素化され、製造コストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例に係る屋根用換気ユニットを示す斜視図である。
【図2】同屋根用換気ユニットの分解斜視図である。
【図3】同屋根用換気ユニットの断面図である。
【図4】同屋根用換気ユニットの施工状態を示す説明図である。
【実施例】
【0020】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1、図2及び図3には本発明の一実施例に係る屋根用換気ユニット10が示されている。当該屋根用換気ユニット10は本体11、第1止水板12及び防虫用スクリーンとしてステンレス製の防虫金網13を備えている。
【0021】
本体11は横長で扁平な箱形を有し、上面11a、背面11b及び左右両側面11cをプラスチックで一体成型したアッパケーシング20と、アッパケーシング20とは別体のプラスチック成型である底面21から成り、底面21にアッパケーシング20を接着して箱形に形成されている。この本体11の前面は第1換気口22として開放されている。
【0022】
底面21には長手方向に延びる第2換気口23が形成されている。この第2換気口23の前縁に沿って第2止水板24が底面21に立設されている。第2止水板24と底面21は一体成型されている。アッパケーシング20は第2換気口23を覆うように底面21に取り付けて固定されている。
【0023】
上面11aの後半部11dは後下がりの傾斜となるように形成されている。第1換気口22には防虫金網13が嵌着されている。この防虫金網13は蜂の浸入を妨げることのできるメッシュサイズのものが用いられている。
【0024】
第1止水板12はガルバニュム銅板が用いられ、底面21に立設固定され、上面11aを越える高さ寸法を備えている。そして、第1止水板21の上部12aは後上がりの傾斜を有するように板金加工されている。
【0025】
本実施例に係る屋根用換気ユニット10の構造は以上の通りであって、図4にその施工状態を示す。屋根瓦30を掛止するため野地板31に固定した上下の瓦桟32の間の野地板31部分に通気口33が形成されている。この通気口33は屋根の小屋裏34に連通している。屋根用換気ユニット10はこの通気口33に被せるようにして釘(図示略)で野地板31に固定される。
【0026】
屋根用換気ユニット10を施工することにより、小屋裏34の空気が野地板31の通気口33に連通する第2換気口23を通ってユニット本体11の内部空間に流入し、第1換気口22から小屋裏34の外部へと換気される。
一方、屋根瓦30の裏側に浸入した雨水(図3の矢印参照)は第1止水板12に遮られるので、第1換気口22から本体11内部への浸入が防止できる。また、蜂が小屋裏34に浸入するのは第1換気口22に被せた防虫金網13によって阻止できる。
【0027】
また、雨水が本体11内部に浸入したとしても底面21を伝って雨水が第2換気口23から野地板31の通気口33へ浸入するのが、第2止水板24によって阻止できる。
【0028】
さらにまた、雨水が第1止水板12を乗り越えたとしても第1止水板12の後上がりに傾斜した上部12aによって上方へ飛び跳ね、上面11aの後半部11dの後傾斜を伝って本体11後方へ流下するので、本体11前面の第1換気口22からの浸入を確実に防止できる。
【0029】
本実施例では、上部12aを後上がりに傾斜させた第1止水板12を本体11とは別に板金加工としたので、本体11の成型に使用する金型の構造が簡素化され、製造コストの低減が可能となる。
【0030】
なお、本実施例では防虫用スクリーンとして金網を用いたが、これに代えてパンチングメタルを用いたり、あるいはアッパケーシングの成型時に前面をハニカム状の多数の通孔を成型して、これを防虫スクリーンとすることもできる。
【符号の説明】
【0031】
10…屋根用換気ユニット
11…本体
11a…上面
12…第1止水板
13…防虫金網
20…アッパケーシング
21…底面
22…第1換気口
23…第2換気口
24…第2止水板
31…野地板
33…通気口
34…小屋裏

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の野地板に形成した通気口を覆うように野地板に取り付けて小屋裏の換気を行う屋根用換気ユニットであって、
箱型の本体を有し、本体前面に第1換気口を形成し、野地板に取り付けたとき前記通気口に連通する第2換気口を本体底面に形成し、
第1換気口に防虫用スクリーンを張設し、
前記本体上面を越える高さを有する第1止水板を前記第1換気口の前方に位置するように前記本体底面に立設したことを特徴とする屋根用換気ユニット。
【請求項2】
第2止水板を前記第2換気口の前縁に沿うように前記本体底面に立設したことを特徴とする請求項1に記載の屋根用換気ユニット。
【請求項3】
前記第1止水板の上部を後上がりに傾斜して設けたことを特徴とする請求項1に記載の屋根用換気ユニット。
【請求項4】
前記本体上面の少なくとも後半部を後下がりに傾斜して設けたことを特徴とする請求項3に記載の屋根用換気ユニット。
【請求項5】
前記本体をプラスチックで成型するとともに、前記第1止水板を板金加工により成型して本体底面に固定したことを特徴とする請求項3に記載の屋根用換気ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−1759(P2011−1759A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145944(P2009−145944)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(502402179)株式会社サンライズ (5)
【出願人】(000118073)
【Fターム(参考)】