説明

展開構造体及び衝撃吸収装置

【課題】狭小部にも設置することができ、展開に大きな力を必要とせず、展開範囲を小さくすることができる展開構造体及び衝撃吸収装置を得る。
【解決手段】展開構造体10は、固定板22と、展開板24と、固定板22上の第1連結部28と、展開板24上の第2連結部30と、第1連結部28に回転自在に嵌められた第1球体32と、第2連結部30に回転自在に嵌められた第2球体36と、第1球体32及び第2球体36に両端部が連結されたアーム部材34と、エアバック装置16とを有している。ここで、展開時には、エアバック装置16により展開板24が固定板22から離間され、アーム部材34が回転し、展開板24が回転しながら立上げられる。そして、展開板24に衝撃力が作用したとき、アーム部材34に衝撃力が伝わり、アーム部材34の軸力、曲げ抵抗、塑性変形により衝撃エネルギーが吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開構造体及び衝撃吸収装置に係り、特に、平面から立体に展開可能な展開構造体と、衝突位置にある展開構造体を展開させて衝突による衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の衝突安全構造では、車両の構成部材の変形により衝突エネルギーが吸収され、車両などへの衝撃力が緩和されている。例えば、前面衝突であれば、衝突時にフロントボディが変形して衝突エネルギーを吸収し、後ろ側の車両への衝撃力が緩和される。このため、車両の構成部材については、衝突エネルギーを効率よく吸収するための構造が種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1では、運動変換装置を含む衝撃吸収緩衝装置が提案されている。運動変換装置は、枝状配置要素からなる梁構造を有しており、この梁構造で直線運動(衝撃)を回転運動に変換して、衝撃を吸収・緩衝して衝撃吸収力を向上させている。
【0004】
特許文献2では、ショックアブソーバでバンパを支持し、ショックアブソーバの弾性力と減衰力とによりバンパに対する衝撃を緩和する車両の衝撃緩和装置が提案されている。特許文献2の衝撃緩和装置は、ショックアブソーバを自動車用のサスペンションとして実用化されている可変ダンパで構成し、路上障害物との衝突時に、可変ダンパの減衰力を弱めてバンパを柔らかくしている。
【0005】
一方、衝撃吸収構造の初期形状をコンパクト化する試みとして、展開型の衝撃吸収装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の衝撃吸収装置では、機械的なアクチュエータ手段により圧縮されたビームが展開して、エネルギー吸収構造体を形成する。このため、初期形状が小さい寸法であるにもかかわらず、展開後は比較的長い「つぶれ長さ」が提供される。
【特許文献1】特開2000−257688号公報
【特許文献2】特開平10−109605号公報
【特許文献3】特開2002−528682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、構成部材の変形により衝突エネルギーを吸収する衝撃吸収構造では、衝突エネルギーを有効に吸収するために、構成部材を変形させるための領域を予め確保しておかなければならない。このため、衝撃吸収構造を適用できる用途や範囲が制限され、衝突エネルギーを有効に吸収する衝撃吸収構造を狭小部に設置することが困難となっている。
【0007】
また、特許文献2のように、ショックアブソーバ(油圧シリンダ等)の粘性抵抗を利用して衝突エネルギーを吸収する衝突吸収構造は、ショックアブソーバを配置するための領域を予め確保しておかなければならない。しかし、ショックアブソーバの小型化は困難であり、構成部材の変形より衝突エネルギーを吸収する衝撃吸収構造と同様に、狭小部に設置することが困難となっている。
【0008】
さらに、特許文献3の展開型の衝撃吸収装置は、複雑で小型化や軽量化が困難であり、アクチュエータ手段や圧縮されたビームを収納するための領域を予め確保しておかなければならず、狭小部に設置することが困難となっている。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、展開前は平面的で狭小部にも設置することができ、展開に大きな力を必要とせず、展開範囲を小さくすることができる展開構造体及び衝撃吸収装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る展開構造体は、衝撃が作用する物に固定される固定部材と、前記固定部材と対向配置された展開部材と、前記固定部材に少なくとも3つ設けられ、球面状に形成された第1凹部と、前記第1凹部の底面から半径方向に凹んだ第2凹部と、を有する第1連結部と、前記展開部材に少なくとも3つ設けられ、球面状に形成された第3凹部と、前記第3凹部の底面から半径方向に凹んだ第4凹部と、を有する第2連結部と、前記第1凹部に回転自在に嵌め込まれ、中心部を通って貫通する第1貫通穴を備えた第1球体と、前記第3凹部に回転自在に嵌め込まれ、中心部を通って貫通する第2貫通穴を備えた第2球体と、両端部が前記第1貫通穴及び前記第2貫通穴に保持され、前記第1貫通穴と前記第2貫通穴を貫通して前記第2凹部と前記第4凹部に係合可能とされた第1アーム部材と、前記第1アーム部材を倒して前記固定部材と前記展開部材を接近させた状態から、前記展開部材を面内で回転させながら前記固定部材から離間し、前記展開部材に前記固定部材方向への力が作用したとき、前記第1アーム部材の両端部を前記第2凹部と前記第4凹部へ保持させる展開手段と、を有する。
【0011】
上記構成によれば、展開構造体の非展開時には、展開構造体は、第1アーム部材を倒して固定部材と展開部材が接近した収納状態となっている。
【0012】
一方、展開構造体の展開時には、展開手段が、展開部材を面内で回転させながら固定部材から離間させる。これにより、第1アーム部材の一端が第2凹部側へ移動し、第1アーム部材の他端が第4凹部側へ移動する。そして、展開部材に固定部材方向への力(初期衝撃力)が作用したとき、第1アーム部材の両端部が、第2凹部と第4凹部に保持される。このようにして、第1アーム部材により展開部材が支持される。
【0013】
ここで、第1アーム部材の両端部は、第1球体と第1凹部、及び第2球体と第3凹部を介して、ほとんど摩擦の無い状態で固定部材、展開部材と球面結合している。このため、展開部材の質量を軽量とすれば、回転・移動して展開する際に、大きな摩擦力や慣性力、重力などの影響を受けないため、大きな力を加えること無く展開可能である。
【0014】
続いて、第1アーム部材に衝撃力が作用することにより、第1アーム部材の軸力や曲げ抵抗で衝撃エネルギーが吸収される。次に、第1アーム部材が座屈(塑性変形)して衝撃エネルギーを吸収する。このとき、展開部材は、第1アーム部材の長さとほぼ等しい長さのエネルギー吸収ストロークが確保されているので、衝撃エネルギーを十分吸収することができる。
【0015】
このように、本発明では、展開部材が収納可能となっているため、展開構造体を狭小部に設置することができる。また、展開に大きな力を必要としない。さらに、展開部材が回転して展開することにより、展開範囲を小さくすることができる。
【0016】
本発明の請求項2に係る展開構造体は、前記第1アーム部材の両端部が前記第2凹部及び前記第4凹部に係合したとき、前記第1アーム部材は、前記固定部材の面に対し傾斜している。
【0017】
上記構成によれば、第1アーム部材の両端部が第2凹部及び第4凹部に係合したとき、第1アーム部材が固定部材の面に対して傾斜している。このため、第1アーム部材は、軸力ではなく曲げ抵抗によって、衝撃エネルギーを吸収しようとする。これにより、第1アーム部材に作用する衝撃力(荷重)が、瞬間的に大きくなるのを抑えることができる。また、第1アーム部材の傾斜角度を予め設定しておくことにより、展開部材に作用する衝撃力に合わせた衝撃エネルギー吸収量を設定することができる。
【0018】
本発明の請求項3に係る展開構造体は、前記展開部材が面内で回転して前記固定部材から離れたとき、前記第2凹部及び前記第4凹部と前記第1アーム部材の軸線とが、同一直線上に配置される。
【0019】
上記構成によれば、展開部材に衝撃力が作用したとき、第1アーム部材の両端部が、それぞれ第2凹部、第4凹部に真っ直ぐ係合する。これにより、第1アーム部材と、第2凹部及び第4凹部との係合が容易となる。
【0020】
本発明の請求項4に係る展開構造体は、前記第1凹部と前記第2凹部の境界部、及び前記第3凹部と前記第4凹部の境界部に、それぞれ前記第1アーム部材の端部を前記第2凹部及び前記第4凹部に誘う誘い面が形成されている。
【0021】
上記構成によれば、展開部材の展開位置が所定の展開位置より僅かにずれた場合でも、第1アーム部材の両端部が、誘い面に沿って第2凹部及び第2凹部に案内され係合する。これにより、第1アーム部材の係合が容易となる。
【0022】
本発明の請求項5に係る展開構造体は、前記展開部材が面内で回転して前記固定部材から離れたとき、前記第2凹部及び前記第4凹部と前記第1アーム部材の軸線とが同一直線上に配置されるように、前記固定部材と前記展開部材の間隔を保持する保持部材が設けられている。
【0023】
上記構成によれば、展開部材が展開したとき、保持部材によって固定部材と展開部材の間隔が保持され、第2凹部及び第4凹部と第1アーム部材の軸線とが同一直線上に配置される。そして、展開部材に衝撃力が作用したとき、第1アーム部材の両端部が、それぞれ第2凹部、第4凹部に真っ直ぐ係合する。これにより、第1アーム部材と、第2凹部及び第4凹部との係合が容易となる。
【0024】
本発明の請求項6に係る展開構造体は、前記第1連結部同士を結んで囲まれた領域の外側に少なくとも3つの第3連結部を設け、前記第2連結部同士を結んで囲まれた領域の外側に少なくとも3つの第4連結部を設け、前記第3連結部に第3球体、前記第4連結部に第4球体を回転自在に嵌め込んで、第2アーム部材の両端部を、前記第3球体に形成された第3貫通穴及び前記第4球体に形成された第4貫通穴に連結している。
【0025】
上記構成によれば、第1アーム部材が配置された外側に第2アーム部材が配置され、展開部材が2重のアーム部材で支持される。これにより、展開部材に作用する衝撃エネルギーの吸収量を増やすことができる。
【0026】
本発明の請求項7に係る衝撃吸収装置は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の展開構造体が少なくとも1つ配置された衝撃吸収部と、衝突物を特定するための情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段で取得された情報に基づいて、衝突が不可避であると予測された場合に、前記展開手段を駆動制御して前記展開部材を展開させる制御部と、を含んでいる。
【0027】
上記構成によれば、情報取得手段により、衝突物を特定するための情報が取得される。
【0028】
続いて、制御部が、情報取得手段で取得された情報に基づいて、衝突が不可避であると予測した場合に、展開手段を駆動制御して展開部材を展開させる。展開部材の展開によって、衝撃吸収のためのエネルギー吸収ストロークが十分に得られる。
【0029】
続いて、衝撃吸収部に衝突物が衝突すると、第1アーム部材の両端部が第2凹部及び第4凹部と係合して固定されると共に、第1アーム部材の軸力、曲げ抵抗、及び塑性変形により衝撃エネルギーを吸収する。これにより、衝撃吸収部として利用する空間が狭小部の場合でも、十分なエネルギー吸収ストロークが得られ、衝突のエネルギーを低下させることができる。
【0030】
本発明の請求項8に係る衝撃吸収装置は、前記展開手段が、前記固定部材と前記展開部材の間に配置された袋体と、前記袋体の内部に気体又は液体を送出して拡張させる送出手段と、を有する。
【0031】
上記構成によれば、制御部が、情報取得手段で取得された情報に基づいて、衝突が不可避であると予測した場合に、送出手段を駆動して袋体の内部に気体又は液体を送り込み、展開部材を展開させる。このように、気体又は液体を送り込むだけで展開部材を展開させることができるので、展開手段を簡易な構成とすることができる。
【0032】
本発明の請求項9に係る衝撃吸収装置は、前記展開手段が、エアバック装置である。
【0033】
上記構成によれば、エアバックに気体が送り込まれることにより展開部材が展開するので、液体を送り込むものと比較して、展開部材の展開時間を短くすることができる。
【0034】
本発明の請求項10に係る衝撃吸収装置は、前記展開手段が、前記固定部材と前記展開部材に圧縮して挟まれたバネ部材と、前記バネ部材を圧縮した状態で前記展開部材を保持し、展開時に前記制御部で駆動制御され前記展開部材の保持を解除するロック機構と、を有する。
【0035】
上記構成によれば、展開時に制御部がロック機構を解除すると、バネ部材が圧縮状態から解放されて膨張し、展開部材が展開する。このように、展開部材の保持を解除するだけで展開が行えるので、展開手段を簡易な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、上記構成としたので、展開構造体を狭小部に設置することができる。また、展開に大きな力を必要とせず、展開範囲を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の展開構造体及び衝撃吸収装置の第1実施形態を図面に基づき説明する。
【0038】
図1には、衝突物との衝突による衝撃を吸収するための衝撃吸収装置100を有する車両200が示されている。車両200は、フードパネル202、フロントバンパ204、フロントサイドドア206、フロントフェンダーパネル208、フロントピラー210を有している。ここで、本実施形態では、衝撃吸収装置100は、フロントバンパ204のバンパカバーとバンパフレームとの間に設けている。
【0039】
次に、衝撃吸収装置100について説明する。
【0040】
図2には、衝撃吸収装置100の構成がブロック図で示されている。衝撃吸収装置100は、衝撃吸収部110と、衝突物の衝突位置を特定するための情報を取得する情報取得手段として設置されたセンサ部102と、センサ部102から取得した情報に基づいて展開構造体10の展開駆動を制御する制御部104と、が設けられている。
【0041】
衝撃吸収部110は、前述のフロントバンパ204(図1参照)と展開構造体10を備えている。展開構造体10は、制御部104により展開駆動を行う展開駆動部14と、展開駆動部14の展開駆動により展開される展開構造部12とで構成されている。
【0042】
センサ部102は、車両200の前方、側方及び後方を撮影するビデオカメラ102Aと、車両200の前方、側方及び後方の熱画像を撮影する赤外線カメラ102Bと、自車両の前方、側方及び後方の障害物(衝突物)を検出するレーダ102Cと、車両200への前方、側方及び後方からの衝突を検知する感圧センサ102Dと、が設けられている。レーダ102Cは、レーザレーダでもよく、ミリ波レーダでもよい。また、ビデオカメラ102A、赤外線カメラ102B、レーダ102C、及び感圧センサ102Dの各々で得られたデータは、制御部104に逐次入力される。
【0043】
制御部104は、衝突物が衝突する衝突部位を推定する衝突部位推定手段106と、推定された衝突部位において衝突物が衝突する衝突範囲を推定する衝突範囲推定手段108と、が設けられている。ここで、制御部104は、センサ部102から入力されたデータに基づいて衝突が不可避であると予測された場合に、衝突部位における衝突範囲に設けられた衝撃吸収部110の展開駆動部14を作動して、衝突位置にある展開構造部12を展開させるように、予めプログラム設定されている。
【0044】
図3は、制御部104で行われる作動ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、ステップS10では、センサ部102から入力されたデータに基づいて、衝突の危険性が検知される。例えば、レーダ102Cで得られたデータ等から、衝突物の接近の有無や衝突物の接近方向を検知することができる。衝突物の接近方向が分かれば、前面衝突か側面衝突かも判断することができ、衝突物が衝突する部位を推定することができる。
【0046】
続いて、ステップS12では、センサ部102から入力されたデータに基づいて、衝突物の形状・重量・速度を予測する。衝突物の形状・重量・速度が分かれば、衝突物が衝突する部位だけでなく、衝突部位における具体的な衝突の範囲を推定することができる。
【0047】
次に、ステップS14では、予測された衝突物の形状・重量・速度から、衝突を回避できるか否かが判断される。衝突は回避できると判断(肯定判断)された場合は、そこでルーチンを終了する。一方、衝突は回避できないと判断(否定判断)した場合は、衝撃吸収部110(図2参照)の展開構造部12を展開させるために、展開駆動部14に駆動信号を出力して、ルーチンを終了する。展開により、複数の梁を有する展開構造体10が形成され、衝突エネルギーが吸収される。このように、必要な部位の展開構造体10を展開させるなど、衝突物の特性に応じて制御動作が行われる。
【0048】
次に、展開駆動部14について説明する。
【0049】
図4には、展開駆動部14としてのエアバック装置16が示されている。図4(a)は、エアバック装置16の構造を示す断面図であり、図4(b)は、エアバック装置16が作動した状態を示す概略図である。エアバック装置16は、ガスを瞬時に発生させるインフレータ18と、インフレータ18から送り込まれたガスにより瞬時に膨らむバック(袋体)20と、を備えている。エアバック装置16が動作する前は、バック20は折り畳まれて収納されている。衝突が検知されると、インフレータ18に駆動信号が入力され(点火電流がONになり)、バック20にガスが送り込まれて、バック20が瞬時に膨張するようになっている。
【0050】
次に、展開構造体10について説明する。
【0051】
図5には、展開構造体10の斜視図が示されている。なお、図5において、上下方向(矢印A、B方向)が水平方向を表しており、展開構造体10は、水平方向に展開するようになっている。また、図5は、矢印A方向への展開前の状態を示している。
【0052】
展開構造体10は、フロントバンパ204(図1参照)のバンパフレーム205(本体側)に図示しないボルト及びナットで固定される固定板22と、固定板22と対向して平行に配置された展開板24とを有している。固定板22及び展開板24の互いに対向する平面22A、24Aには、矢印R方向(又は逆方向)へ回転移動して展開板24を固定板22に近接又は離間させる3つの可動部26(26A、26B、26C)が、平面視にて略三角形を形成するように取付けられている。
【0053】
3つの可動部26A〜26Cは、いずれも同じ部材で構成されているため、以後は可動部26Aについて説明し、可動部26B、26Cの説明は省略する。なお、固定板22の平面24Aには、エアバック装置16のバック20(図4参照)が設けられている。
【0054】
図6(a)、(b)には、可動部26Aの概略図及び断面図が示されている。可動部26Aは、固定板22の平面22Aに設けられた第1連結部28と、第1連結部28に回転自在に嵌め込まれた第1球体32と、展開板24の平面24Aに設けられた第2連結部30と、第2連結部30に回転自在に嵌め込まれた第2球体36と、第1球体32及び第2球体36に両端が連結された円柱棒状のアーム部材34とで構成されている。なお、第1連結部28と第2連結部30、第1球体32と第2球体36は、同じ部材で構成されており、アーム部材34の中央を中心として、各部材が互いに点対称の配置となっている。
【0055】
アーム部材34を構成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)などの汎用樹脂や、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。また、繊維強化された複合材料や、金属と繊維材料と樹脂との結合構造体なども、材料として好適である。
【0056】
第1連結部28は、球面状に形成された第1凹部28Aと、第1凹部28Aの底面から半径方向に凹んだ第2凹部28Bとで杯状に構成されている。第1凹部28Aの内径は、第1球体32の半径よりも僅かに大きくなっており、第1球体32が回転自在に嵌め込まれている。また、第2凹部28Bの内径は、アーム部材34の端部34Aと係合可能な大きさとなっている。
【0057】
第1球体32には、中心部を通って貫通した第1貫通穴38が形成されており、第1貫通穴38にアーム部材34の端部34Aが挿通されている。また、第1貫通穴38の一端には、第1貫通穴38の内径よりも僅かに小さい内径とされて、第1係合部40が形成されている。ここで、アーム部材34の端部34Aが、第1係合部40と係合することにより、アーム部材34が第1球体32から抜けないようになっている。
【0058】
第2連結部30は、球面状に形成された第3凹部30Aと、第3凹部30Aの底面から半径方向に凹んだ第4凹部30Bとで杯状に構成されている。第3凹部30Aの内径は、第2球体36の半径よりも僅かに大きくなっており、第2球体36が回転自在に嵌め込まれている。また、第4凹部30Bの内径は、アーム部材34の端部34Bと係合可能な大きさとなっている。
【0059】
第2球体36には、中心部を通って貫通した第2貫通穴42が形成されており、第2貫通穴42にアーム部材34の端部34Bが挿通されている。また、第2貫通穴42の一端には、第2貫通穴42の内径よりも僅かに小さい内径とされて、第2係合部44が形成されている。ここで、アーム部材34の端部34Bが、第2係合部44と係合することにより、アーム部材34が第2球体36から抜けないようになっている。
【0060】
第1連結部28は、第1凹部28Aの一部が露出するように、固定板22に所定の角度で斜め方向に埋め込まれ固定されている。同様にして、第2連結部30は、第3凹部30Aの一部が露出するように、展開板24に所定の角度で斜め方向に埋め込まれ固定されている。ここで、固定板22は固定されているため、展開板24が移動すると、アーム部材34は、第1球体32の中心を回転中心として回転移動する。
【0061】
なお、第1連結部28及び第2連結部30の傾斜角度は、エアバック装置16(図4参照)によって展開板24が固定板22から所定の移動距離だけ離れて展開されたときに、第2凹部28B及び第4凹部30Bとアーム部材34の軸線とが、同一直線上に配置されるように予め設定されている。
【0062】
次に、本発明の第1実施形態の作用について説明する。
【0063】
図7(a)は、衝突物との衝突が検知される前(展開前)の展開構造体10の状態を示している。展開前は、固定板22と展開板24が近接配置されており、エアバック装置16のバック20が、固定板22と展開板24の間に折り畳まれて収納されている。なお、このとき、図8(a)に示すように、アーム部材34の端部34A、34Bは、第1貫通穴38、第2貫通穴42にそれぞれ収納されており、第1球体32及び第2球体36は回転自在となっている。
【0064】
図7(b)に示すように、センサ部102(図2参照)で衝突が検知されたとき、インフレータ18(図4参照)に駆動信号が入力されて、バック20にガスが送り込まれ、バック20が瞬時に膨張する。膨張したバック20により、展開板24が矢印A方向に押圧されると共に、可動部26A〜26Cのアーム部材34が、第1球体32を回転中心として回転する。これにより、展開板24は、矢印R方向に回転しながら展開される。
【0065】
続いて、図7(c)及び図8(b)に示すように、バック20が最大膨張状態となるまで展開板24が展開され、展開板24の展開が完了したとき、アーム部材34の端部34A、34Bは、それぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bと対向配置される。ここで、3つの第2連結部30をつないで形成される三角形Aと、3つの第1連結部28をつないで形成される三角形Bは、アーム部材34が固定板22に垂直に立ち上げられると平面視にて重なることになるが、本実施形態では、展開完了時にアーム部材34が傾斜配置されるようになっているため、三角形Aと三角形Bの中心位置は、少しだけずれることになる。
【0066】
ここで、アーム部材34の両端部は、第1球体32と第1凹部28A、及び第2球体36と第3凹部30Aを介して、ほとんど摩擦の無い状態で固定板22、展開板24と球面結合している。このため、展開板24の質量を軽量とすれば、回転・移動して展開する際に、大きな摩擦力や慣性力、重力などの影響を受けないため、大きな力を加えること無く展開可能である。
【0067】
続いて、図9(a)及び図8(c)に示すように、衝突物がフロントバンパ204(図1参照)に衝突すると、衝撃力Fが展開板24に作用し、展開板24は固定板22へ向けて押圧される。ここで、展開板24が固定板22に近づくことにより、アーム部材34の端部34A、34Bが、それぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bと係合する。これにより、アーム部材34が、固定板22及び展開板24に固定され、各アーム部材34に衝撃力Fが作用する。
【0068】
続いて、図9(b)及び図9(c)に示すように、展開板24及びアーム部材34に継続して衝撃力Fが作用すると、初めに、アーム部材34の軸力や曲げ抵抗により衝突エネルギーが吸収される。続いて、アーム部材34が、略くの字状に塑性変形しながら衝突エネルギーを吸収し、やがて折り畳まれる。なお、バック20は、展開板24の展開が完了したときに内部のガスが抜かれているため、展開板24を押し返すことはない。
【0069】
ここで、展開構造体10では、アーム部材34の長さに近い長さのエネルギー吸収ストロークが確保されているため、衝突エネルギーを十分吸収することができる。そして、アーム部材34が完全に折り畳まれることにより、展開板24は、固定板22及び第1連結部28によって移動を規制される。
【0070】
このように、展開構造体10では、展開板24が収納可能となっているため、展開構造体10を狭小部に設置することができる。また、展開板24が立上って展開することにより、展開後のエネルギー吸収ストロークが十分に得られる。さらに、展開板24の展開中の回転中心が、展開開始直後と大きくずれることがないため、展開方向と交差する方向の展開板24の移動領域を必要最小限に抑えることができる。
【0071】
また、展開構造体10では、展開板24に衝撃力Fが作用したとき、アーム部材34の端部34A、34Bがそれぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bに真っ直ぐ係合する。これにより、アーム部材34と第2凹部28B及び第4凹部30Bとの係合が容易となる。
【0072】
さらに、展開構造体10では、アーム部材34の端部34A、34Bが第2凹部28B及び第4凹部30Bに係合して固定されたとき、アーム部材34が固定板22の平面22Aに対して傾斜している。このため、衝撃力Fが展開板24に作用したとき、アーム部材34の軸線方向には、衝撃力Fの分力が作用することになる。これにより、アーム部材34に作用する衝撃力Fが、瞬間的に大きくなるのを抑えることができる。また、アーム部材34の傾斜角度を予め設定しておくことにより、展開板24に作用する衝撃力Fに合わせた衝撃エネルギー吸収量を設定することができる。
【0073】
なお、本実施形態の変形例として、図10(a)、(b)に示すように、第1連結部28及び第2連結部30に換えて、連結部50を用いてもよい。連結部50は、前述の第1凹部28A及び第2凹部28B(図6(b)参照)とほぼ同様の第1凹部50A及び第2凹部50Cが形成されている。さらに、連結部50は、第1凹部50Aと第2凹部50Cの境界部に、アーム部材34の端部34Aを第2凹部50Cに誘う(案内する)テーパ面50Bが形成されている。
【0074】
このような連結部50を用いることにより、展開板24の展開位置が所定の展開位置より僅かにずれた場合でも、アーム部材34の端部34A、34Bが、テーパ面50Bに沿って第2凹部50Cに案内され係合する。これにより、アーム部材34の固定が容易となる。
【0075】
次に、本発明の展開構造体及び衝撃吸収装置の第2実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部品には、前記実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0076】
図11には、第2実施形態としての展開構造体60の斜視図が示されている。なお、図11において、上下方向(矢印A、B方向)が水平方向を表しており、展開構造体60は、水平方向に展開するようになっている。また、図11は、矢印A方向への展開前の状態を示している。
【0077】
展開構造体60は、フロントバンパ204(図1参照)のバンパフレーム205(本体側)に図示しないボルト及びナットで固定される固定板62と、固定板62と対向して平行に配置された展開板64とを有している。固定板62の上面62Aには、固定板62よりも面積の小さい固定板66が設けられており、2段構造となっている。同様にして、展開板64の下面64Aには、展開板64よりも面積の小さい展開板68が設けられており、2段構造となっている。固定板62と固定板66、展開板64と展開板68は、それぞれ接着等により一体化されている。
【0078】
固定板62及び展開板64の互いに対向する面62A、64Aには、矢印−R方向(又は逆方向)へ回転移動して展開板64を固定板62に近接又は離間させる第1可動部70(70A、70B、70C)が取付けられている。また、固定板66及び展開板68の互いに対向する面66A、68Aには、矢印−R方向(又は逆方向)へ回転移動して展開板68を固定板66に近接又は離間させる第2可動部72(72A、72B、72C)が取付けられている。なお、展開板64側からの平面視にて、第1可動部70A〜70C及び第2可動部72A〜72Cは、略三角形状に配置されており、第1可動部70A〜70Cは、第2可動部72A〜72Cの配置領域の外側に配置されている。
【0079】
第1可動部70A〜70Cは、いずれも同じ部材で構成されているため、以後は第1可動部70Aについて説明し、第1可動部70B、70Cの説明は省略する。また、第2可動部72A〜72Cは、いずれも同じ部材で構成されているため、以後は第2可動部72Aについて説明し、第2可動部72B、72Cの説明は省略する。なお、固定板66の上面66Aには、エアバック装置16のバック20(図4参照)が設けられている。
【0080】
図12(a)に示すように、第1可動部70Aは、固定板62の上面62Aに設けられた第1連結部28と、第1球体32と、展開板64の下面64Aに設けられた第2連結部30と、第2球体36と、第1球体32及び第2球体36に両端が連結された円柱棒状の第1アーム部材74とで構成されている。第1連結部28と第2連結部30、第1球体32と第2球体36は、同じ部材で構成されており、第1アーム部材74の中央を中心として、各部材が互いに点対称の配置となっている。なお、第1アーム部材74は、前述のアーム部材34(図6(b)参照)と同じ大きさとなっている。
【0081】
図12(b)に示すように、第2可動部72Aは、固定板66の平面66Aに設けられた第3連結部82と、第3連結部82に回転自在に嵌め込まれた第3球体84と、展開板68の平面68Aに設けられた第4連結部86と、第4連結部86に回転自在に嵌め込まれた第4球体88と、第3球体84及び第4球体88に両端が連結された円柱棒状の第2アーム部材76とで構成されている。
【0082】
なお、第2アーム部材76の長さは、第1アーム部材74よりも短く設定されているが、材質及び太さは同一となっている。また、第3連結部82と第4連結部86、第3球体84と第4球体88は、同じ部材で構成されており、第2アーム部材76の中央を中心として、各部材が互いに点対称の配置となっている。第3連結部82は、第1連結部28同士を結んで囲まれた領域(図示省略)の外側に設けられており、第4連結部86は、第2連結部30同士を結んで囲まれた領域(図示省略)の外側に設けられている。
【0083】
第1アーム部材74及び第2アーム部材76を構成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)などの汎用樹脂や、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。また、繊維強化された複合材料や、金属と繊維材料と樹脂との結合構造体なども、材料として好適である。
【0084】
第3連結部82は、球面状に形成された第1凹部82Aと、第1凹部82Aの底面から半径方向に凹んだ第2凹部82Bとで杯状に構成されている。第1凹部82Aの内径は、第3球体84の半径よりも僅かに大きくなっており、第3球体84が回転自在に嵌め込まれている。また、第2凹部82Bの内径は、第2アーム部材76の端部76Aと係合可能な大きさとなっている。
【0085】
第3球体84には、中心部を通って貫通した第1貫通穴90が形成されており、第1貫通穴90に第2アーム部材76の端部76Aが挿通されている。また、第1貫通穴90の一端には、第1貫通穴90の内径よりも僅かに小さい内径とされて、第1係合部92が形成されている。ここで、第2アーム部材76の端部76Aが、第1係合部92と係合することにより、第2アーム部材76が第3球体84から抜けないようになっている。
【0086】
第4連結部86は、球面状に形成された第3凹部86Aと、第3凹部86Aの底面から半径方向に凹んだ第4凹部86Bとで杯状に構成されている。第3凹部86Aの内径は、第4球体88の半径よりも僅かに大きくなっており、第4球体88が回転自在に嵌め込まれている。また、第4凹部86Bの内径は、第2アーム部材76の端部76Bと係合可能な大きさとなっている。
【0087】
第4球体88には、中心部を通って貫通した第2貫通穴94が形成されており、第2貫通穴94に第2アーム部材76の端部76Bが挿通されている。また、第2貫通穴94の一端には、第2貫通穴94の内径よりも僅かに小さい内径とされて、第2係合部96が形成されている。ここで、第2アーム部材76の端部76Bが、第2係合部96と係合することにより、第2アーム部材76が第4球体88から抜けないようになっている。
【0088】
第1連結部28、第2連結部30、第3連結部82、及び第4連結部86は、各凹部の一部が露出するように、固定板62、66又は展開板64、68に所定の角度で斜め方向に埋め込まれ固定されている。ここで、固定板62及び固定板66は固定されているため、展開板64及び展開板68が移動すると、第1アーム部材74及び第2アーム部材76は回転移動する。
【0089】
なお、 第1連結部28、第2連結部30、第3連結部82、及び第4連結部86の傾斜角度は、エアバック装置16(図4参照)によって展開板64及び展開板68が固定板62及び固定板66から所定の移動距離だけ離れて展開されたときに、第2凹部28B及び第4凹部30Bと第1アーム部材74の軸線とが同一直線上に配置され、第2凹部82B及び第4凹部86Bと第2アーム部材76の軸線とが同一直線上に配置されるように予め設定されている。
【0090】
次に、本発明の第2実施形態の作用について説明する。
【0091】
図13(a)は、衝突物との衝突が検知される前(展開前)の展開構造体60の状態を示している。展開前は、固定板62、66と展開板64、68が近接配置されており、エアバック装置16のバック20が、固定板66と展開板68の間に折り畳まれて収納されている。
【0092】
続いて、センサ部102(図2参照)で衝突が検知されたとき、インフレータ18(図4参照)に駆動信号が入力されて、バック20にガスが送り込まれ、バック20が瞬時に膨張する。膨張したバック20により、展開板64、68が矢印A方向に押圧されると共に、第1可動部70A〜70Cの第1アーム部材74、及び第2可動部72A〜72Cの第2アーム部材76が回転する。これにより、展開板64、68は、矢印−R方向へ回転しながら展開される。
【0093】
ここで、第1アーム部材74の両端部は、第1球体32と第1凹部28A、及び第2球体36と第3凹部30Aを介して、ほとんど摩擦の無い状態で固定板62、展開板64と球面結合している。このため、展開板64(及び展開板68)の質量を軽量とすれば、回転・移動して展開する際に、大きな摩擦力や慣性力、重力などの影響を受けないため、大きな力を加えること無く展開可能である。
【0094】
同様に、第2アーム部材76の両端部は、第3球体84と第1凹部82A、及び第4球体88と第3凹部86Aを介して、ほとんど摩擦の無い状態で固定板66、展開板68と球面結合している。このため、展開板68(及び展開板64)の質量を軽量とすれば、回転・移動して展開する際に、大きな摩擦力や慣性力、重力などの影響を受けないため、大きな力を加えること無く展開可能である。
【0095】
続いて、図13(b)に示すように、バック20が最大膨張状態となるまで展開板64、68が展開される。この展開が完了したとき、図12(a)、(b)において、第1アーム部材74の端部74A、74Bは、それぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bと対向配置される。また、第2アーム部材76の端部76A、76Bは、それぞれ第2凹部82B、第4凹部86Bと対向配置される。
【0096】
続いて、図14(a)に示すように、衝突物がフロントバンパ204(図1参照)に衝突すると、衝撃力Fが展開板64、68に作用し、展開板64、68は固定板62、66へ向けて押圧される。ここで、図12(a)、(b)において、展開板64、68が固定板62、66に近づくことにより、第1アーム部材74の端部74A、74Bが、それぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bと係合する。また、第2アーム部材76の端部76A、76Bが、それぞれ第2凹部82B、第4凹部86Bと係合する。これにより、第1アーム部材74及び第2アーム部材76が、固定板62、66及び展開板64、68に固定され、各アーム部材に衝撃力Fが作用する。
【0097】
続いて、図14(b)、(c)に示すように、展開板64、68及び第1アーム部材74及び第2アーム部材76に継続して衝撃力Fが作用すると、初めに、第1アーム部材74及び第2アーム部材76の軸力や曲げ抵抗により衝突エネルギーが吸収される。続いて、第1アーム部材74及び第2アーム部材76が、略くの字状に塑性変形しながら衝突エネルギーを吸収し、やがて折り畳まれる。なお、バック20は、展開板64、68の展開が完了したときに内部のガスが抜かれているため、展開板64、68を押し返すことはない。
【0098】
ここで、展開構造体60では、第1アーム部材74及び第2アーム部材76によって、エネルギー吸収ストロークが確保されているため、衝突エネルギーを十分吸収することができる。そして、第1アーム部材74及び第2アーム部材76が完全に折り畳まれることにより、展開板64、68は、固定板62、66によって移動を規制される。
【0099】
なお、展開板64、68の展開中の回転中心が、展開開始直後の回転中心と大きくずれることがないため、展開方向と交差する方向の展開板64、68の移動領域を必要最小限に抑えることができる。また、展開構造体60では、第1アーム部材74及び第2アーム部材76が固定されたとき、固定板62、66に対して傾斜している。このため、衝撃力Fが展開板64、68に作用したとき、第1アーム部材74及び第2アーム部材76の軸線方向には、衝撃力Fの分力が作用することになる。これにより、第1アーム部材74及び第2アーム部材76に作用する衝撃力Fが、瞬間的に大きくなるのを抑えることができる。
【0100】
また、第1アーム部材74及び第2アーム部材76の傾斜角度を予め設定しておくことにより、展開板64、68に作用する衝撃力Fに合わせた衝撃エネルギー吸収量を設定することができる。さらに、外側に配置された第1可動部70A〜70Cと、内側に配置された第2可動部72A〜72Cとが設けられているため、より大きな衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0101】
次に、展開構造体60を用いた衝突実験について説明する。
【0102】
図15には、展開構造体60の衝突実験の方法を示す概略図が示されている。台車120は、L字型の荷台124が設けられており、荷台124の側面126(衝突側)に展開構造体60の固定板62が取付けられている。なお、展開構造体60は、第1可動部70及び第2可動部72の第1アーム部材74及び第2アーム部材76に、長さ100mm、直径10mmの超高分子量ポリエチレンからなる樹脂製のパイプを使用している。
【0103】
ここで、重量15kgの台車120を矢印C方向に速度5m/s(メートル/秒)で走行させて剛壁面122に衝突させたときの時間と台車120に作用する荷重との関係を図16に示す。図16において、時間0秒が衝突時となる。なお、測定開始から衝突時までの時間Δtは、前述の第2凹部28B、82B、及び第4凹部30B、86Bの深さにより変化する。
【0104】
図16に示すように、台車120は、衝突時に4.2kN程度の荷重が作用するが、衝突エネルギーは徐々に吸収され、台車120が受ける衝撃力が大幅に緩和されることが確認された。
【0105】
次に、本発明の展開構造体及び衝撃吸収装置の第3実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態及び第2実施携帯と基本的に同一の部品には、前記第1実施形態及び第2実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0106】
図17には、第3実施形態としての展開構造体130の斜視図が示されている。なお、図17において、上下方向(矢印A、B方向)が水平方向を表しており、展開構造体130は、水平方向に展開するようになっている。また、図17は、矢印A方向への展開前の状態を示している。
【0107】
展開構造体130は、第2実施形態の展開構造体60(図11参照)において、固定板62の中心に対して対称配置となるように、固定板62の上面62Aに第1取付部132A及び第2取付部132Bが設けられ、展開板64の中心に対して対称配置となるように、展開板64の上面64Aに第3取付部134A及び第4取付部134Bが設けられた構成となっている。
【0108】
第1取付部132A、第2取付部132B、第3取付部134A、及び第4取付部134Bには、それぞれ図示しない係合穴が形成されている。また、第1取付部132A及び第3取付部134Aに鎖状の第1保持部材136の両端が連結され、第2取付部132B及び第4取付部134Bに鎖状の第2保持部材138の両端が連結されている。
【0109】
なお、展開構造体130が展開したとき、第1取付部132Aと第3取付部134A、第2取付部132Bと第4取付部134Bがそれぞれ対向配置され、さらに、第1アーム部材74の端部74A、74Bが、それぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bと対向配置され、第2アーム部材76の端部76A、76Bが、それぞれ第2凹部82B、第4凹部86Bと対向配置されるように、予め第1保持部材136及び第2保持部材138の長さが設定されている。第1保持部材136及び第2保持部材138の長さは同一である。
【0110】
次に、本発明の第3実施形態の作用について説明する。
【0111】
図18(a)は、衝突物との衝突が検知される前(展開前)の展開構造体130の状態を示している。展開前は、固定板62、66と展開板64、68が近接配置されており、エアバック装置16のバック20が、固定板66と展開板68の間に折り畳まれて収納されている。
【0112】
続いて、センサ部102(図2参照)で衝突が検知されたとき、インフレータ18(図4参照)に駆動信号が入力されて、バック20にガスが送り込まれ、バック20が瞬時に膨張する。膨張したバック20により、展開板64、68が矢印A方向に押圧されると共に、第1可動部70A〜70Cの第1アーム部材74、及び第2可動部72A〜72Cの第2アーム部材76が回転する。これにより、展開板64、68は、矢印R方向へ回転しながら展開される。
【0113】
続いて、図18(b)に示すように、展開板64、68は、バック20が膨張して展開されるが、第1保持部材136及び第2保持部材138の張力により、第1保持部材136及び第2保持部材138が略直線状となる位置で保持される。このとき、第1アーム部材74の端部74A、74Bは、それぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bと対向配置される。また、第2アーム部材76の端部76A、76Bは、それぞれ第2凹部82B、第4凹部86Bと対向配置される。
【0114】
ここで、衝突物がフロントバンパ204(図1参照)に衝突すると、衝撃力Fが展開板64、68に作用し、展開板64、68は固定板62、66へ向けて押圧される。展開板64、68が固定板62、66に近づくことにより、第1アーム部材74の端部74A、74Bが、それぞれ第2凹部28B、第4凹部30Bと係合する。また、第2アーム部材76の端部76A、76Bが、それぞれ第2凹部82B、第4凹部86Bと係合する。これにより、第1アーム部材74及び第2アーム部材76が、固定板62、66及び展開板64、68に固定され、各アーム部材に衝撃力Fが作用する。
【0115】
このように、展開板64、68が展開したとき、第1保持部材136及び第2保持部材138によって、固定板62、66と展開板64、68の間隔が保持され、各第2凹部及び各第4凹部と各アーム部材の軸線とが同一直線上に配置されるので、各アーム部材と、各第2凹部及び各第4凹部との係合が容易となる。なお、展開構造体130の各連結部に、前述のテーパ面50B(図10参照)を設けてもよい。
【0116】
次に、本発明の展開構造体の変形例について説明する。
【0117】
図19(a)には、他の実施形態の第1例としての展開構造体140が示されている。展開構造体140は、前述の展開構造体60において、第2可動部72A〜72Cが、第1可動部70A〜70Cと逆回転方向に傾斜配置されたものである。また、展開構造体140は、展開板64及び展開板68の中心位置に1本の円柱状の軸部142が挿通され両端が固定されている。軸部142は、展開板64側にベアリング144が外挿され、展開板68側にベアリング146が外挿されており、これにより、展開板64と展開板68が互いに逆方向に回転可能となっている。
【0118】
ここで、展開構造体140は、バック20の膨張により展開板64及び展開板68が展開方向に押圧されると、第1可動部70A〜70Cが矢印R方向に回転しながら立ち上げられ、第2可動部72A〜72Cが矢印−R方向に回転しながら立ち上げられる。なお、展開構造体140は、第1可動部70A〜70Cと、第2可動部72A〜72Cとが互いに逆方向に傾いているため、展開板64及び展開板68の支持という観点では、バランスが良い。
【0119】
図19(b)には、他の実施形態の第2例としての展開構造体150が示されている。展開構造体150は、前述の展開構造体140において、エアバック装置16に換えてコイルバネ152と保持板154、156が設けられたものである。
【0120】
コイルバネ152は、端部がそれぞれ固定板66と展開板68に連結されており、非展開時には圧縮状態(縮まった状態)とされている。一方、保持板154、156は、制御部104(図2参照)により駆動制御されるモータ及びギア(図示省略)によって、それぞれ矢印D、矢印E方向に移動可能となっている。また、保持板154、156は、非展開時において、コイルバネ152を圧縮させた状態で展開板64の上面に接触しており、展開板64及び展開板68の展開方向の移動を規制している(ロック状態)。
【0121】
ここで、展開構造体150は、展開時に、制御部104により保持板154、156がそれぞれ矢印D、矢印E方向に移動され、展開板64及び展開板68の展開方向の移動規制が解除される。そして、展開板64及び展開板68は、コイルバネ152の復元力によって押圧され、回転しながら展開する。このように、展開板64、68の保持を解除するだけで展開が行えるので、展開構造が簡易な構成となる。
【0122】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0123】
衝撃吸収装置100は、フロントバンパ204のバンパカバーとバンパフレームとの間の他に、例えば、フードパネル202を構成するアウタパネルとインナパネルとの隙間や、フードパネル202とフロントフェンダーパネル208との隙間など、通常はクラッシュボックスを設置できない狭く小さい部位に設置してもよい。また、バック時の衝突に備えて、ラッゲージドアやリアバンパに設置してもよく、フロントサイドドア206、フロントピラー210などに設置してもよい。
【0124】
展開構造体10、60、130は、いずれも複数並べて配置してもよい。また、各連結部は、連結部材として固定板又は展開板に固定されるものだけでなく、固定板、展開板に直接凹部を形成して、球体を回転自在に嵌めてもよい。
【0125】
また、展開構造体10を展開させる展開駆動部14として、エアバック装置16を用いる例について説明したが、展開構造体10を押圧することができればよく、エアバック装置16には限定されない。例えば、エアキャップのように気体や液体が封入された袋体を、展開構造体10の展開板24に押し付けるようにしてもよい。
【0126】
また、上記の実施形態では、押圧により展開構造体10を展開させる例について説明したが、加熱や電圧印加により自己変形する材料で展開構造体10を形成し、自己変形により展開構造体10を展開させることも可能である。自己変形する材料としては、熱膨張率の異なる2種類の金属板を合板したバイメタル、電界の作用により高分子ゲル中の可動イオンの濃度分布が変化して膨潤/収縮する高分子アクチュエータなどを用いることができる。
【0127】
また、各可動部は、2つ以上の複数で配置されればよい。可動部の数が増加すると、軸力、曲げ抵抗、及び塑性変形による衝突エネルギー吸収量が増加する。さらに、各アーム部材を長くし、幅を広くすると、衝突エネルギー吸収量がさらに増加する。
【0128】
また、アーム部材34は、軸線が直線状のものに限らず、軸線が湾曲したアーチ状の部材であってもよい。さらに、アーム部材34はパイプ状でもロッド状でもよく、パイプの中に発泡材(発砲アルミ、発泡ウレタン等)を入れてもよい。アーム部材34の断面形状は、円形に限らず、四角形、六角形等の多角形状であってもよい。また、アーム部材34は、固定板22、展開板24の中心から円周上に配置されていれば、3本以上でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収装置を車両に設置する場合の設置部位を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る制御部が行う作動ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係るエアバック装置の断面図及び作動時の外観図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る展開構造体の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る可動部の正面図及び断面図である。
【図7】(a)〜(c)本発明の第1実施形態に係る展開構造体の展開状態を示す模式図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るアーム部材の固定状態を示す模式図である。
【図9】(a)〜(c)本発明の第1実施形態に係る展開構造体の衝突エネルギーの吸収状態を示す模式図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る連結部の変形例を示す模式図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る展開構造体の斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る可動部の断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る展開構造体の展開状態を示す模式図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る展開構造体の衝突エネルギーの吸収状態を示す模式図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る展開構造体の衝突実験の方法を示す概略図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る展開構造体の衝突実験で得られた時間と荷重の関係を示すグラフである。
【図17】本発明の第3実施形態に係る展開構造体の斜視図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係る展開構造体の展開状態を示す模式図である。
【図19】(a)本発明の展開構造体の他の実施形態の第1例を示す斜視図である。(b)本発明の展開構造体の他の実施形態の第2例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0130】
10 展開構造体(展開構造体)
16 エアバック装置(展開手段、エアバック装置)
18 インフレータ(送出手段)
20 バック(袋体)
22 固定板(固定部材)
24 展開板(展開部材)
28 第1連結部(第1連結部)
28A 第1凹部(第1凹部)
28B 第2凹部(第2凹部)
30 第2連結部(第2連結部)
30A 第3凹部(第3凹部)
30B 第4凹部(第4凹部)
32 第1球体(第1球体)
34 アーム部材(第1アーム部材)
36 第2球体(第2球体)
38 第1貫通穴(第1貫通穴)
42 第2貫通穴(第2貫通穴)
50B テーパ面(誘い面)
62 固定板(固定部材)
64 展開板(展開部材)
66 固定板(固定部材)
68 展開板(展開部材)
74 第1アーム部材(第1アーム部材)
76 第2アーム部材(第2アーム部材)
82 第3連結部(第3連結部)
86 第4連結部(第4連結部)
100 衝撃吸収装置(衝撃吸収装置)
102 センサ部(情報取得手段)
104 制御部(制御部)
110 衝撃吸収部(衝撃吸収部)
136 保持部材(保持部材)
138 保持部材(保持部材)
152 コイルバネ(バネ部材)
154 保持板(ロック機構)
156 保持板(ロック機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃が作用する物に固定される固定部材と、
前記固定部材と対向配置された展開部材と、
前記固定部材に少なくとも3つ設けられ、球面状に形成された第1凹部と、前記第1凹部の底面から半径方向に凹んだ第2凹部と、を有する第1連結部と、
前記展開部材に少なくとも3つ設けられ、球面状に形成された第3凹部と、前記第3凹部の底面から半径方向に凹んだ第4凹部と、を有する第2連結部と、
前記第1凹部に回転自在に嵌め込まれ、中心部を通って貫通する第1貫通穴を備えた第1球体と、
前記第3凹部に回転自在に嵌め込まれ、中心部を通って貫通する第2貫通穴を備えた第2球体と、
両端部が前記第1貫通穴及び前記第2貫通穴に保持され、前記第1貫通穴と前記第2貫通穴を貫通して前記第2凹部と前記第4凹部に係合可能とされた第1アーム部材と、
前記第1アーム部材を倒して前記固定部材と前記展開部材を接近させた状態から、前記展開部材を面内で回転させながら前記固定部材から離間し、前記展開部材に前記固定部材方向への力が作用したとき、前記第1アーム部材の両端部を前記第2凹部と前記第4凹部へ保持させる展開手段と、
を有する展開構造体。
【請求項2】
前記第1アーム部材の両端部が前記第2凹部及び前記第4凹部に係合したとき、前記第1アーム部材は、前記固定部材の面に対し傾斜している請求項1に記載の展開構造体。
【請求項3】
前記展開部材が面内で回転して前記固定部材から離れたとき、前記第2凹部及び前記第4凹部と前記第1アーム部材の軸線とが、同一直線上に配置される請求項1又は請求項2に記載の展開構造体。
【請求項4】
前記第1凹部と前記第2凹部の境界部、及び前記第3凹部と前記第4凹部の境界部に、それぞれ前記第1アーム部材の端部を前記第2凹部及び前記第4凹部に誘う誘い面が形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項5】
前記展開部材が面内で回転して前記固定部材から離れたとき、前記第2凹部及び前記第4凹部と前記第1アーム部材の軸線とが同一直線上に配置されるように、前記固定部材と前記展開部材の間隔を保持する保持部材が設けられた請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項6】
前記第1連結部同士を結んで囲まれた領域の外側に少なくとも3つの第3連結部を設け、
前記第2連結部同士を結んで囲まれた領域の外側に少なくとも3つの第4連結部を設け、
前記第3連結部に第3球体、前記第4連結部に第4球体を回転自在に嵌め込んで、
第2アーム部材の両端部を、前記第3球体に形成された第3貫通穴及び前記第4球体に形成された第4貫通穴に連結した請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の展開構造体。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の展開構造体が少なくとも1つ配置された衝撃吸収部と、
衝突物を特定するための情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得された情報に基づいて、衝突が不可避であると予測された場合に、前記展開手段を駆動制御して前記展開部材を展開させる制御部と、
を含む衝撃吸収装置。
【請求項8】
前記展開手段が、前記固定部材と前記展開部材の間に配置された袋体と、前記袋体の内部に気体又は液体を送出して拡張させる送出手段と、を有する請求項7に記載の衝撃吸収装置。
【請求項9】
前記展開手段が、エアバック装置である請求項8に記載の衝撃吸収装置。
【請求項10】
前記展開手段が、前記固定部材と前記展開部材に圧縮して挟まれたバネ部材と、前記バネ部材を圧縮した状態で前記展開部材を保持し、展開時に前記制御部で駆動制御され前記展開部材の保持を解除するロック機構と、を有する請求項7に記載の衝撃吸収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−257524(P2009−257524A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109307(P2008−109307)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】