説明

属性情報表示装置および属性情報表示プログラム

【課題】オブジェクトが有する多くの属性情報を動的に表現可能な属性情報表示装置および属性情報表示プログラムを提供する。
【解決手段】各々が属性情報を有するオブジェクトを表示する属性情報表示装置10において、その表示画面3には、各オブジェクトが属性情報のうちの位置情報a,bに応じた位置に表示される。なお且つ、各オブジェクトは、属性情報のうちのグループ情報cごとに異なる角度の楕円軌道で振動するアニメーションとして表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトが有する属性(プロパティ)情報をイメージ化して表示する属性情報表示装置およびそれを制御するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報データの可視化(イメージ化)技術として、属性情報を有するオブジェクトを、その属性情報ごとに異なる図形を用いて表示する技術が広く知られている。例えば地図記号は、地物オブジェクトをその属性の違いに応じて異なる形状に図形化したものである。
【0003】
また一般的なコンピュータの基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)で用いられているGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)では、ファイルオブジェクトがその属性ごとに異なるアイコンで表示される。この技術では一般に、オブジェクトの属性情報を基づくグループを定義し、各グループごとにオブジェクトの表示方法(図形やその修飾)が定められる。
【0004】
ここで、人が持つ視覚情報処理機能には、色の認識、形の認識、動きの認識など、複数の知覚モードが含まれる。各オブジェクトが複数の属性情報を有する場合には、属性情報の種類ごとに別の知覚モードを用いることにより、複数の属性情報の組み合わせをイメージ化することができる。
【0005】
例えば、ファイルオブジェクトが、それに関連付けされているソフトウェアを示す属性情報と、暗号化されているか否かを示す属性情報とを有している場合であれば、ファイルオブジェクトは、関連付けされているソフトウェアに応じた図形で、且つ暗号化の有無に応じた色のアイコンで表示される、といった例が挙げられる。オブジェクトの属性表示に複数種類の知覚モードを用いることは、複数の情報の組み合わせが容易に認識可能になるという効果がある。
【0006】
もちろん属性情報の数よりも少ない知覚モードのみを用いて複数の属性表示の組み合わせを表現することも可能であるが、人の視覚情報処理の特性上、その認識は容易でなく効率が悪い。例えば、性別、年齢、居住地という3つの属性情報を有する人オブジェクトのアイコンを地図の画面上に表示する場合を考える。このとき形、明るさ、位置という3つの知覚モードを用いて、性別をアイコンの形(例えば男性を四角形、女性を丸形)で表し、年齢をアイコンの明度(0〜1)で表し、居住地を画面上の位置(XY座標)で表すと、画面上の各アイコンを見てそれが示す人オブジェクトの性別、年齢、居住地は容易に認識できるであろう。
【0007】
しかしこれを、明るさ、位置という2つの知覚モードだけを用い、例えばアイコンの形状を全て同一にし、男性の年齢をアイコンの明度0〜0.5の範囲で表現し、女性の年齢をアイコンの0.5〜1の範囲で表現し、居住地を画面上の位置(XY座標)で表現すると、性別と年齢の認識が困難になることは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−172248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、人の視覚情報処理の特性上、複数の属性情報を有するオブジェクトをイメージ化する場合、属性情報の数と同程度の数の知覚モードを用いた表現を用いると効率がよい。そのためオブジェクトが持つ属性情報の数が多くなると、それだけ多くの知覚モードを利用した表示方法をとることが望ましい。しかし、表示画面に表示されたオブジェクトの認識は、専ら視覚に頼らざるを得ないため、オブジェクトのイメージ化に有効な知覚モードは限られる。
【0010】
視覚情報処理機能には、動きを認識する知覚モードも含まれる。オブジェクトの表示として、例えばアニメーションを用いたアイコンなど、動きの知覚モードを利用したものも存在するが、従来それらは属性情報を示す目的ではなく、表示を目立たせて存在を強調するために用いられていた。また例えば特許文献1にはオブジェクトの動的な表示方法が示されているが、ユーザの操作と協調してオブジェクトの表示を動かすことにより、操作の快適化を図るためのものである。
【0011】
このように従来の動的なオブジェクト表示の動きは、属性情報に応じて規定されるものではなかったので、仮に属性表示に用いようとしても動的か非動的(静的)かという2つの区別しかできず、3つ以上の値をとる属性情報の表示には適用困難であった。
【0012】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、オブジェクトが有する多くの属性情報を動的に表現可能な属性情報表示装置および属性情報表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の局面に係る属性情報表示装置は、各々が属性情報を有する複数のオブジェクトを、前記属性情報を示すイメージとして表示する属性情報表示装置であって、オブジェクトを表示するための表示画面と、前記表示画面における各オブジェクトの表示位置を、当該オブジェクトの属性情報および時刻情報に基づき算出する表示位置計算部とを備え、前記表示位置計算部が算出する表示位置は、前記時刻情報に依存して変化し、且つその変化態様が前記属性情報に応じて異なっているものである。
【0014】
本発明の第2の局面に係る属性情報表示装置は、各々が属性情報を有する複数のオブジェクトを、前記属性情報を示すイメージとして表示する属性情報表示装置であって、オブジェクトを表示するための表示画面と、前記表示画面における各オブジェクトの表示位置を、当該オブジェクトの属性情報および時刻情報に基づき算出する表示位置計算部とを備え、前記表示位置計算部は、仮想的な三次元空間の属性情報に応じた座標に配置した各オブジェクトを所定位置の視点から見た二次元映像が得られるように、各オブジェクトの表示位置を算出し、且つ、前記視点の位置を前記時刻情報に応じて変化させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の局面に係る属性情報表示装置によれば、各オブジェクトが、属性情報に応じて異なる動きのアニメーションで表示されるので、人の視覚情報処理機能が本来有しているグルーピング機能あるいはセグメンテーション機能(つまり共通の視覚的特徴を持つ物体をひとまとまりのものとして認識する機能)に働きかけ、見る者に各オブジェクトの属性情報の違いを動きにより認識させることができる。例えば、異なる属性情報を有すオブジェクトの表示領域が重畳しても、見る者は各オブジェクトの属性情報の違いを視覚的に認識することができる。また属性情報の内容ごとにその表示領域を区別する必要が無いため、表示画面の利用効率は高い。
【0016】
本発明の第2の局面に係る属性情報表示装置によれば、表示画面上のオブジェクトは、あたかも三次元空間に配置されたオブジェクトを人が目の位置を振動させながら見たのと幾何学的に等価な映像で動的に表示される。そのため、表示画面上に属性情報の違いが立体的に知覚される。よって表示画面を見る者は、属性情報の違いを直感的に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る属性情報表示装置の構成図である。
【図2】従来手法によるオブジェクト表示の例を示す図である。
【図3】従来手法によるオブジェクト表示の課題を示す説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る属性情報表示装置によるオブジェクト表示例を示す図である。
【図5】本発明に係る属性表示装置によるオブジェクト表示動作のフローチャートである。
【図6】従来手法によるオブジェクト表示の例を示す図である。
【図7】従来手法によるオブジェクト表示の課題を示す説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る属性情報表示装置のオブジェクト表示方法を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る属性情報表示装置のオブジェクト表示方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態1>
図1は、本発明に係る属性情報表示装置10の構成を示すブロック図である。属性情報表示装置10は、オブジェクト情報記憶部1、表示位置計算部2および表示画面3を備えている。属性情報表示装置10は、プログラムにより制御された汎用のコンピュータでもよく、その場合、オブジェクト情報記憶部1はハードディスクドライブ、表示位置計算部2はCPU(中央処理装置)、表示画面3は液晶ディスプレイ等により構成可能である。
【0019】
オブジェクト情報記憶部1には、1以上の属性情報を有するオブジェクトが記憶されている。表示位置計算部2は、オブジェクト情報記憶部1に記憶されているオブジェクトを表示画面3の画面上に表示する際、各オブジェクトの表示位置をその属性情報および時間(時刻情報)に基づいて算出するものである。表示画面3は、オブジェクトの属性に応じたイメージ(アイコン等)を、表示位置計算部2が算出した表示位置に表示するものである。
【0020】
本実施の形態では、オブジェクト情報記憶部1に記憶されている各オブジェクトが、それぞれ次の3つの属性情報a,b,cを有するものと仮定する。そのうち属性情報a,bはオブジェクトの位置を表す座標(a,b)の情報であり、a,bはそれぞれ連続的な値をとるものとする。一方、属性情報cは離散的な数値(レベル)で表され、オブジェクトのグループ分けの情報である(同じ値の属性情報cを有するオブジェクトは同一のグループに属することとなる)。ここでは、cは1〜4の整数値をとるものとする。
【0021】
すなわち本実施の形態の各オブジェクトは、属性情報cに基づきグループ分けされた二次元の属性情報(a,c)によって区別される。以下、属性情報a,bを「位置情報」、属性情報cを「グループ情報」と称する。
【0022】
ここで、上記のオブジェクトの例を用いて、従来手法によるオブジェクト表示における課題を説明する。図2は従来手法によるオブジェクトの表示例である。この例において、表示画面3は、それぞれグループ情報c=1,c=2,c=3,c=4のオブジェクトを表示するための第1〜第4表示領域201〜204に分割されている。以下、表示画面3上の座標は、その左下隅の原点Oを基準として表現することとする。
【0023】
第1〜第4表示領域201〜204内の黒丸印(●)が各オブジェクトのイメージ(例えばアイコン)を表している。ここでは簡単のため、全てのオブジェクトは、全く同じ図形(形状、大きさ、色、明度等が全て同じ)で表示されるものとする。つまり、各オブジェクトの属性情報は、形状、大きさ、色、明度等の知覚モードを用いずに表示される。
【0024】
第1〜第4表示領域201〜204は、それぞれ幅W1、高さH1の大きさを有している。第1〜第4表示領域201〜204各々において、左下の隅が原点(Xo[c],Yo[c])であり、その原点を基準にして横方向(X方向)に各オブジェクトの位置情報a、縦方向(Y方向)にオブジェクトの各位置情報bが表現される。すなわち、第1〜第4表示領域201〜204は、それぞれ座標(Xo[c],Yo[c])〜(Xo[c]+W1,Yo[c]+H1)の範囲の領域であり、各オブジェクトは、グループ情報cに応じた領域内の座標(Xo[c]+a,Yo[c]+b)の位置に表示される。
【0025】
図2の如く、第1〜第4表示領域201〜204それぞれの幅W1、高さH1は、第1〜第4表示領域201〜204が互いに重ならないように設定される。表示画面3の大きさは不変であるので、グループ情報cがさらに多くの値をとるような場合には、各グループの表示領域を狭くする(幅W1および高さH2を小さくする)必要が生じる。表示領域が狭くなると、オブジェクトの視認性が低下するため属性情報の識別が困難になるという問題が生じると共に、表示画面3の利用効率が悪くなる。
【0026】
一方、第1〜第4表示領域201〜204を互いに重ねると、各グループの表示領域を広くすることができる。例えば図3のように第1〜第4表示領域201〜204を完全に重ねると、全てのグループの表示領域を、表示画面3の幅と略同じ幅W2,表示画面3の高さと略同じ高さH2にすることができ、表示画面3の利用効率は高くなる。しかし、全てのオブジェクトは同じ図形で表示されているため、第1〜第4表示領域201〜204が重畳すると、各オブジェクトがどのグループの表示領域に属するものか判別できなくなる。つまり、表示画面3上にグループ情報cの情報が表示されなくなり、属性情報表示装置としての役割を果たすことができない。
【0027】
本発明では、オブジェクトの属性情報の表示に、動きの知覚モードを取り入れる。図4は、本発明の実施の形態1に係る属性情報表示装置の表示画面3におけるオブジェクト表示例を示す図である。この例では図3と同様に、表示画面3におけるグループ情報c=1,c=2,c=3,c=4の各オブジェクトを表示するための第1〜第4表示領域201〜204を完全に重畳させている。ただし各オブジェクトは、そのグループ情報cごとに異なる動きをするアニメーションを用いて表示される(図4に示されている矢印を伴う楕円は、各オブジェクトの動きの軌道を示しており、実際に表示画面3上に表示されるものではない)。
【0028】
図4では、各オブジェクトの表示を楕円軌道で振動させ、その楕円軌道の長軸の角度(振動の方向)をグループ情報cの値に応じて異ならしめている。即ち、図4の下部分に示すように、グループ情報c=1のオブジェクトは長軸が水平方向の楕円軌道、c=2のオブジェクトは長軸が左上がりの楕円軌道、c=3のオブジェクトは長軸が右上がりの楕円軌道、c=2のオブジェクトは長軸が垂直方向の楕円軌道でそれぞれ振動させている。
【0029】
このように各オブジェクトを、グループ情報cに応じて異なる動きのアニメーションで表示することで、人の視覚情報処理機能が本来有しているグルーピング機能あるいはセグメンテーション機能(つまり共通の視覚的特徴を持つ物体をひとまとまりのものとして認識する機能)に働きかけ、見る者に各オブジェクトのグループ情報cの違いを動きにより認識させることができる。よって、第1〜第4表示領域201〜204が重畳しても、見る者は各オブジェクトのグループ情報cの違いを視覚的に認識することができる。また、グループ情報cごとにその表示領域を区別する必要が無いため、表示画面3の利用効率は高い。
【0030】
図5は、属性情報表示装置10におけるオブジェクト表示動作を示すフローチャートである。以下、同図に基づき、本発明に係るオブジェクト表示方法について具体的に説明する。またここでも、上の例と同様に各オブジェクトは、属性情報として位置情報a,bおよびグループ情報cを有しているものとする。
【0031】
属性情報表示装置10がオブジェクトの表示を行う際、まず表示位置計算部2は、オブジェクト情報記憶部1から表示する各オブジェクトの属性情報(位置情報a,bおよびグループ情報c)を取得する(ステップS1)。
【0032】
そして表示位置計算部2は、オブジェクトの描画処理を行うサブルーチン(ステップS11〜S13)を呼び出す(ステップS2)。描画処理サブルーチンには時間の情報である内部時刻情報が引数として受け渡される。また描画処理サブルーチンの呼び出しは内部時刻情報がインクリメントされる(ステップS3)毎に繰り返し実行される。なお、内部時刻情報のインクリメント速度はオブジェクト表示のアニメーション速度に対応するので、内部時刻情報がインクリメントされる毎に、アニメーション速度に応じた一定の待機時間(ステップS4)が設けられる。
【0033】
描画処理サブルーチンにおいて表示位置計算部2は、各オブジェクトの表示位置を、その属性情報(位置情報a,bおよびグループ情報c)および内部時刻情報に基づき計算する(ステップS11)。そして算出した各オブジェクトの表示位置の情報を含む表示信号を表示画面3に送信する。表示画面3は、表示位置計算部2からの表示信号に基づいてオブジェクトを描画する(ステップS12)。それにより各オブジェクトは、表示位置計算部2が算出した表示位置に表示される。
【0034】
その後、描画処理サブルーチンは終了する(ステップS13)が、上記のとおり、描画処理サブルーチンは、内部時刻情報がインクリメントされる毎に繰り返し実行される。
【0035】
表示位置計算部2は、各オブジェクトの表示位置の計算に、属性情報(位置情報a,bおよびグループ情報c)だけでなく内部時刻情報も用いる。そのため、オブジェクトの表示位置を時間と共に変化させることが可能、つまりオブジェクトをアニメーション表示させることが可能になっている。
【0036】
ここで、本発明に係るアニメーションのオブジェクト(動的オブジェクト)の表示方法の具体例として、図4の如く楕円軌道で振動するオブジェクトの表示方法を説明する。図4の例では、第1〜第4表示領域201〜204は完全に重畳しているため、以下、第1〜第4表示領域201〜204を「オブジェクト表示領域」と総称する。
【0037】
オブジェクト表示領域の原点を(Xo,Yo)と定義する。オブジェクトの位置情報a,bは、その原点(Xo,Yo)を基準としたオブジェクトの楕円軌道の中心位置の座標として表示画面3上に表される。つまり、各オブジェクトの楕円軌道の中心位置は、座標(Xo+a,Y+b)に定められる。
【0038】
動的オブジェクトの振動軌道である楕円の長軸の長さを2×L1、短軸の長さを2×L2、長軸が水平方向となす角度をθ、振動周期をωとすると、時間(内部時刻情報)tにおけるオブジェクトの位置(X(t),Y(t))は次の式で得られる。
【0039】
X(t)=(Xo+a)+L1・cosθ・cosωt−L2・sinθ・sinωt …(1)
Y(t)=(Yo+b)+L1・sinθ・cosωt−L2・cosθ・sinωt …(2)
表示位置計算部2は、上記の式(1),(2)を用いて、各オブジェクトの表示位置(座標)を算出する。このとき表示位置計算部2は、オブジェクトのグループ情報cの値に応じてパラメータθの値を変更する(cが同一のオブジェクトには、同じ値のθが設定される)。その結果、内部時刻情報がインクリメントされるごとに描画される各オブジェクトは、グループ情報cの値に応じた傾きの楕円軌道で振動するアニメーションとして表示画面3に表示される。つまり各オブジェクトの表示位置の変化(動き)の態様が、そのグループ情報cごとに異なるように表示される。
【0040】
このように各オブジェクトの表示位置が、時間(内部時刻情報)tを変数とする関数を用いて算出されることで、各オブジェクトは時間と共に位置が変わるアニメーションとして表示される。なお且つ、その関数のパラメータが、各オブジェクトのグループ情報cに応じて変更されることにより、各オブジェクトの位置変化(動き)の態様が、グループ情報cごとに異なるものになる。
【0041】
なお、ここではグループ情報cの値に応じてパラメータθの値を変化させたが、振動周期のパラメータωも変化させてもよい。パラメータωの値を変化させると、振動の速度が変化して見える。例えば、ωの値を大きくすると振動周期が短くなるので、オブジェクトの動きは高速に見える。θとωの両方を変化させると、グループ情報cの値に応じて、オブジェクト表示の楕円軌道の傾きだけでなく振動の速度も異なるようになるため、グループ情報cの違いの認識がより容易になる。同様に、振動の振幅のパラメータL1あるいはL2も、グループ情報cの値に応じて変化させてもよい。
【0042】
<実施の形態2>
実施の形態2では、本発明に係る動的オブジェクトの表示方法の他の具体例を示す。実施の形態1では、各オブジェクトの属性情報a,b,cを、グループ情報cに基づき区分けされた二次元の位置情報(a,b)として取り扱ったが、実施の形態2では、それを三次元の位置情報(a,b,c)として取り扱う。
【0043】
図6は、従来手法によるオブジェクト表示の例を示す図であり、仮想的な三次元空間において各オブジェクトがその属性情報に対応した座標(a,b,c)に配置されることが分かるように、オブジェクトの表示領域を立体的に表現したものである。この例では、属性情報aを横方向の座標、属性情報bを奥行き方向の座標、属性情報(グループ情報)cを高さ方向の座標としている。
【0044】
グループ情報cは離散的な値(1〜4の整数)をとるので、同じグループに属するオブジェクトは、三次元空間の同じ高さに配置される。つまりグループ情報c=1,c=2,c=3,c=4のオブジェクトがそれぞれ表示される第1〜第4表示領域201〜204は、表示画面3上にそれぞれ三次元空間の異なる高さに配置される平面として表現される。
【0045】
この場合も、図7に示すように第1〜第4表示領域201〜204を互いに重ねる(三次元空間における第1〜第4表示領域201〜204の平面の間隔を狭くする)ことで、表示画面3の利用効率が上がるが、各オブジェクトがどのグループに属するものか判別できなくなる。つまり、表示画面3上にグループ情報cの情報が表示されなくなり、属性情報表示装置としての役割を果たすことができない。そこで本実施の形態では、図7のようにオブジェクトの属性位置が三次元的な位置として表示画面3上に表現されるものに対し、オブジェクトの属性情報の表示に動きの知覚モードを取り入れる。
【0046】
図8および図9は、本発明の実施の形態2に係る属性情報表示装置のオブジェクト表示方法を説明するための図である。まず図8を参照し、オブジェクトの属性位置を表示画面3上に三次元的な位置として表現する方法を説明する。
【0047】
図8のように、X,Y,Z座標で表される三次元空間を考える。Z=0の平面(XY平面)を表示画面3として想定する。そして、Z<0の空間(即ち表示画面3の奥)にオブジェクトが配置される第1〜第4表示領域201〜204の平面を配置し、Z>0の空間(即ち表示画面3の手前)内の所定位置に視点21を定める。
【0048】
各オブジェクトと視点21とを直線で結び、その直線がZ=0の平面と交わる点のX,Y座標を算出し、それを表示画面3上のX,Y座標とすることで、各オブジェクトの三次元座標を、表示画面3上の二次元座標に変換する。それにより、三次元空間内に配置された各オブジェクトを、視点21から見た二次元映像として表示画面3上に表現することができる。
【0049】
このようにして三次元座標を画面上の二次元座標に変換する手法を、投影変換と呼ぶ。図8においては、第1および第4表示領域201,204の隅を、表示画面3上に投影変換して得られる表示画面3上の点22が示されている。投影変換は、三次元の物体を、片目あるいはカメラを介して見たときに得られる二次元的な映像に変換することと幾何学的に等価である。
【0050】
視点21の位置を座標(Fx,Fy,Fz)としたとき、Z<0の空間に配置されたオブジェクトの座標(Xv,Yv,Zv)と、Z=0の平面(即ち表示画面3)に投影変換した座標(X,Y)は次の式で表される。
【0051】
X=(Xv+R・Fx・Zv)/(R・Zv+1) …(3)
Y=(Yv+R・Fy・Zv)/(R・Zv+1) …(4)
なお、式(3),(4)において、R=−1/Fzである。
【0052】
本実施の形態では、各オブジェクトを動的に表示させるために、視点21の位置を変化させる。ここでは図9の如く、視点21をZ=0の平面に平行な円軌道で振動させる。この場合、視点21の円軌道の半径をA、振動周期をωとすると、Z=0の平面(表示画面3)に投影変換したオブジェクトの時間(内部時刻情報)tにおける位置(X(t),Y(t))は次の式で得られる。
【0053】
X(t)=(Xv+R・Gx(t)・Zv)/(R・Zv+1) …(5)
Y(t)=(Yv+R・Gy(t)・Zv)/(R・Zv+1) …(6)
なお、式(5),(6)において、R=−1/Fz、Gx(t)=Fx+A・sinωt、Gy(t)=Fy+A・cosωtである。
【0054】
本実施の形態に係る属性情報表示装置10では、表示位置計算部2は上記の式(5),(6)を用いて、各オブジェクトの表示画面3上における表示位置(X(t),Y(t))を算出する。その結果、図5のフローにおいて内部時刻情報がインクリメントされるごとに描画される表示画面3上のオブジェクトは、あたかも三次元空間に配置された第1〜第4表示領域201〜204上のオブジェクトを、人が目の位置を振動させながら見たのと幾何学的に等価な映像で動的に表示される。そのため、表示画面3上に第1〜第4表示領域201〜204の違いが立体的に知覚される。よって表示画面3を見る者は、グループ情報cの違いを直感的に認識することができる。
【0055】
<実施の形態3>
実施の形態1,2では、説明の簡単のため、各オブジェクトが全く同じ図形で表示される例(形状、大きさ、色、明度等の知覚モードを用いずに表示される例)を示したが、もちろん各オブジェクトを、属性情報に応じて異なる図形で表示してもよい。それにより、形状、大きさ、色、明度等の知覚モード等を利用した属性情報の表示手法との組み合わせを実現でき、より多くの属性情報を表示画面3上で表示できるようになる。
【0056】
また動的オブジェクトのアニメーションは、その表示位置が変化するのみならず、表示位置の変化と共に、例えば色、明るさ、大きさ、形状、テクスチャ等が変化するものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 オブジェクト情報記憶部、2 表示位置計算部、3 表示画面、10 属性情報表示装置、201〜204 第1〜第4表示領域、21 視点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が属性情報を有する複数のオブジェクトを、前記属性情報を示すイメージとして表示する属性情報表示装置であって、
オブジェクトを表示するための表示画面と、
前記表示画面における各オブジェクトの表示位置を、当該オブジェクトの属性情報および時刻情報に基づき算出する表示位置計算部とを備え、
前記表示位置計算部が算出する表示位置は、前記時刻情報に依存して変化し、且つその変化態様が前記属性情報に応じて異なっている
ことを特徴とする属性情報表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の属性情報表示装置であって、
前記表示位置計算部は、
各オブジェクトの表示位置を、前記時刻情報を変数とする計算式を用いて算出し、
各オブジェクトの表示位置の算出の際、前記計算式のパラメータを、当該オブジェクトの属性情報に応じて変更する
ことを特徴とする属性情報表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の属性情報表示装置であって、
各オブジェクトの表示位置の変化態様は、振動運動であり、
表示位置計算部が変更する前記計算式のパラメータは、前記振動運動の方向、周期および振幅を定めるパラメータのいずれかである
ことを特徴とする属性情報表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか記載の属性情報表示装置であって、
各オブジェクトは、複数の属性情報を有し、
前記複数の属性情報のうちの一部のみが、各オブジェクトの表示位置の変化態様の違いに影響する
ことを特徴とする属性情報表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか記載の属性情報表示装置であって、
各オブジェクトの表示は、その表示位置の変化と共に、色、明るさ、大きさ、形状、テクスチャのいずれかも変化する
ことを特徴とする属性情報表示装置。
【請求項6】
各々が属性情報を有する複数のオブジェクトを、前記属性情報を示すイメージとして表示する属性情報表示装置であって、
オブジェクトを表示するための表示画面と、
前記表示画面における各オブジェクトの表示位置を、当該オブジェクトの属性情報および時刻情報に基づき算出する表示位置計算部とを備え、
前記表示位置計算部は、
仮想的な三次元空間の属性情報に応じた座標に配置した各オブジェクトを所定位置の視点から見た二次元映像が得られるように、各オブジェクトの表示位置を算出し、且つ、前記視点の位置を前記時刻情報に応じて変化させる
ことを特徴とする属性情報表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の属性情報表示装置であって、
各オブジェクトの表示は、前記視点の位置の変化と共に、色、明るさ、大きさ、形状、テクスチャのいずれかも変化する
ことを特徴とする属性情報表示装置。
【請求項8】
コンピュータを用いて、各々が属性情報を有する複数のオブジェクトを、前記属性情報を示すイメージとして表示画面に表示させる属性情報表示プログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記表示画面における各オブジェクトの表示位置を、当該オブジェクトの属性情報および時刻情報に基づき算出させる手順と、
(b)算出された各オブジェクトの表示位置に、当該オブジェクトを描画させる手順と、
(c)前記手順(a)および(b)を一定周期で繰り返し行わせる手順とを実行させ、
前記手順(a)においてオブジェクトの表示位置の算出に用いられる計算式は、前記時刻情報を変数とする関数であり、
前記手順(a)は、
(a−1)前記コンピュータに、前記計算式のパラメータを、各オブジェクトの属性情報に応じて変更させる手順を含む
ことを特徴とする属性情報表示プログラム。
【請求項9】
請求項8記載の属性情報表示プログラムであって、
前記計算式は、算出された各オブジェクトの表示位置が、前記時刻情報に依存して振動運動するように設定されており、
前記手順(a−1)で変更される前記パラメータは、前記振動運動の方向、周期および振幅を定めるパラメータのいずれかである
ことを特徴とする属性情報表示プログラム。
【請求項10】
請求項8または請求項9記載の属性情報表示プログラムであって、
前記手順(a−1)において前記パラメータの変更に影響を与える属性情報は、前記オブジェクトが有する複数の属性情報のうちの一部のみである
ことを特徴とする属性情報表示プログラム。
【請求項11】
コンピュータを用いて、各々が属性情報を有する複数のオブジェクトを、前記属性情報を示すイメージとして表示画面に表示させる属性情報表示プログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記表示画面におけるオブジェクトの表示位置を、当該オブジェクトの属性情報および時刻情報に基づき算出させる手順と、
(b)算出した前記オブジェクトの表示位置に、当該オブジェクトのイメージを描画させる手順と、
(c)前記手順(a)および(b)を一定周期で繰り返させる手順とを実行させ、
前記手順(a)は、
(a−1)前記コンピュータに、仮想的な三次元空間の属性情報に応じた座標に配置した各オブジェクトを所定位置の視点から見た二次元映像が得られるように、各オブジェクトの表示位置を算出させる手順と、
(a−2)前記コンピュータに、前記視点の位置を前記時刻情報に応じて変化させる手順とを含む
ことを特徴とする属性情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−231677(P2010−231677A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80767(P2009−80767)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】