説明

工作機械の有効電磁互換性フィルタ

【課題】
低漏れ電流を展示し、さらに、公知装置の生産費より安い生産費をもち公知装置よりコンパクトである工作機械のEMCフィルタを提供する。
【解決手段】
工作機械の有効電磁互換性フィルタは大きな相対アースコンデンサにより通常には誘導された漏れ電流を減少できる。このフィルタは有効分岐モジュール或いはインピーダンスコンバータ或いは修正信号発生器から成り、三相と単相応用の両方に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、工作機械や工業的動力工具装置において不望の騒音成分を抑圧する有効電気フィルタに関する。更に特に、専ら電気フィルタではなく、この出願は電気工作機械の主ライン或いは電気供給ラインの電磁互換性フィルタを扱う。
【背景技術】
【0002】
電磁互換性(EMC)は今日の電気と電子工業における増加した臨界因子である。多数の電気回路や器具が存在し、無線周波数電磁干渉(RF EMI)或いは他の回路や器具により発生された干渉を受けがちである。
【0003】
電気装置における伝導騒音と外乱は一般に騒音発生装置或いは騒音検知装置の主供給ラインにローパスLCフィルタを挿入することによって取り扱われる。そのようなフィルタは不望の周波数成分を無害レベルに減じる。クラスL、Tとpiフィルタトポロジーを包含する多くのフィルタトポロジーが使用され得る。
【0004】
欧州特許出願公開第1069673号明細書(特許文献1)は受動要素から成る三相騒音抑圧フィルタの例を示す。
【0005】
受動EMCフィルタは多数の出願において有効に証明されていた。しかしながら、この技術の欠点は、必要な減衰レベルを得るために高値コンデンサとインダクタンスはこの出願には必要とされている。生じるフィルタの寸法と価格は、特に同相モード騒音の高減衰が必要とされるときに、主としてこれら大きな成分によって決定される。さらに、漏れ電流がフィルタコンデンサの容量に直接に比例している。
【0006】
電気工作機械は漏れ電流の問題に関する特殊な場合を示す。特に工作機械が残留電流装置(RCD)、例えば電力出口に於ける安全装置と関連して使用されるときに、その安全装置は定義された閾値を越える漏れ電流の検出により電力供給を自動的に遮断する。
【0007】
この場合にEMCにより誘導された無害漏れ電流は工作機械のアースに対して可能な障害電流に加えて、RCDの閾値を効果的に減らす。このとき、RCDの尚早干渉が追従する。
【0008】
工作機械とのそれ以上の関係は、しばしば火災保護規制が低レベルの許容漏れ電流を負わせる。
【0009】
EMCフィルタによりアースに対する漏れ電流はY濾過コンデンサの値を減少させることにより減らされ得る。しかしながら、これはフィルタの効率性に厳しく影響を与える。
【0010】
フィルタチョークのインダクタンス値を増加することはYコンデンサの低い値を補償できるが、しかしある範囲にまで補償できる。より大きいインダクタンスは減衰を制限するより大きい漂遊コンデンサを有し、従来のものよりさらに高価で嵩張っている。さらに、大きなインダクタンスと小容量の組合せはフィルタの安定性を減衰させ、不望の共振振動源である。
【0011】
上記問題は、三相の一つがアース電位である例えば日本の分配送電網により採用されたシステムような非対称三相システムの場合において敏感である。大きな漏れ電流は、スターセンター点とアースの間に接続された濾過コンデンサにおける漏れからこの構成において誘導できる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1069673号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、低漏れ電流を展示する工作機械のEMCフィルタを提供することである。
【0013】
本発明の目的は、さらに、公知装置の生産費より安い生産費をもつ工作機械のEMCフィルタを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、公知装置よりコンパクトである工作機械のEMCフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的は、添付独立した請求項の主題である装置によって達成され、任意且つ追加的有用な特徴が従属請求項に導入されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、電流補償コイル15と、相関コンデンサ11と、二つのY相対アースコンデンサ12とから成る公知タイプのEMC受動フィルタを表す。Yコンデンサ12は主ラインに伝送される同相モード干渉の抑圧において有効であり、まだ、コンデンサは漏れ電流の重要な原因源である。
【0017】
発明の一態様によると、EMCフィルタは従来の受動EMCフィルタにおけるように漏れ電流を増加することなしに、主ラインにより伝導された不望のRF EMIを抑圧する有効要素を包含する。図2を参照すると、この発明によるEMCフィルタは電流補償コイル15とアースに分岐され且つ工作機械31に到達することから防止されるRF EMI成分の低インピーダンスを表す有効分岐モジュール32とから成る。有効分岐モジュールの有効性は電子部の最終応答時間により周波数スペクトルの上部分に限定され得る。この場合に、無視し得る漏れを導入する二つの小さいYコンデンサは高周波数減衰を改良するように加えられ得る。
【0018】
図1と2に表現されたEMCフィルタと工作機械は単相装置として示されている。しかしながら、三相或いは多相装置とフィルタが可能であり、本発明の範囲内に構成されていることが理解されている。
【0019】
有効分岐モジュール32の例は図3を参照して議論されている。この例は三相回路を紹介される。発明の範囲内では、単相回路のために、この三相回路を修正することが可能である。有効分岐32は、電力ライン33a,33bと33cに現れる高周波数電圧成分、顕著な騒音を減衰させるコンデンサバイパスとして働く。それはインピーダンス37によってRF EMIを分岐する二つの補充追従トランジスタ34から成る。
【0020】
有効分岐モジュール32の他の例は図7に表現されている。有効モジュール32は、不望の騒音が期待される周波数においてアース電位に接近する電位で入力点72を保持するように配列されている。コンデンサ76a,76b、76cと77a,77b、77cは有効分岐の供給コイルの電圧デイバイダーを形成する。この方法では、有効分岐モジュールは主電圧より低い電圧、例えば主電圧の半分を供給される。これは、幾つかの成分の破壊の場合にさえ、障害電流を無害レベルに減少させ、大きな漂遊インダクタンスを有するヒューズの使用を回避する。さらに、有効分岐における装置電圧はコンデンサデイバイダーにより管理可能なレベルに保持される。
【0021】
前記例は、三相主供給の場合を参照する。しかしながら、本発明はこの配置に限定されていなく、本例は単相供給ラインで作用するように容易に修正され得る。
【0022】
図4は本発明によるEMCフィルタの他の態様を概略的に表す。フィルタは負インピーダンスコンバータ(NIC)42から成り、それにより変圧器の捲線41と44は電力ライン45、45’に現れる騒音に大きな直列インピーダンスとして現れる。図4の回路は、漏れ電流に無視し得る如く貢献する小さいYコンデンサによって工作機械装置31にEMIの有効な濾過を可能とする。
【0023】
有益には、この場合には、Yコンデンサは全体に全く省略される。NIC回路はライン40と45における騒音を打ち消す電圧源として働く。
【0024】
図5は電流センサー47と47’と電力ライン45と45’において騒音修正電流を出す能動回路48とから成り、工作機械31に働いたEMIを打ち消す本発明によるフィルタの他の態様を表す。回路48と供給ライン45と45’の間の絶縁は絶縁コンデンサ49と49’により設けられている。電流センサー47は例えば供給ライン45に沿って循環するRF EMIを読み取る検出コイルから成る。
【0025】
さらに、例え表現されないとしても、電流センサーの一つが省略され得て、態様では、ラインの一つのみが検知され得ることが理解されるべきである。他の態様では、電磁コイルは両電力ライン45と45’と接続されて、例えば同相モード騒音成分を検知する。
【0026】
図6は、有効モジュール49により発生された修正信号が供給ライン45と45’を修正信号に電磁的に接続する変圧器50によって供給ライン45と45’に送られるこの発明のフィルタの他の態様を表す。幾つかの形態のコイルと捲線ベイがこの目的に使用されることが理解されるべきである。この一つの有益な態様では、変圧器50が電力ライン45、45’に関して電流補償インピーダンスを構成する。
【0027】
図5と6の実施例の表現されなかった態様には、電流センサー47と47’が変圧器と或いは電圧センサーとしての検出コンデンサと交換され得る。同様に本発明のこれらの実施例は三相構造のために適用され得た。
【0028】
回路48がアースに直列に接続されていなく、必要に応じて完全に浮動され得たことが前記実施例の利点である。この方法では、漂遊漏れ電流の不望の可能性がさらに減少される。
【0029】
発明のEMCフィルタは、好ましくは、同様に主供給ラインに接続された工作機械から成るシステムに包含され、EMCフィルタが前記供給ラインに沿って伝送されたEMIの減衰を備える。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】公知タイプのEMC受動フィルタを表す。
【図2】本発明の一態様による工作機械に接続されたEMCフィルタを表す。
【図3】図2のフィルタの有効部品を表す。
【図4】本発明の一態様による負インピーダンスコンバータから成るフィルタの簡略化線図を示す。
【図5】本発明の一態様による電流検出検出器から成るフィルタの簡略化線図を示す。
【図6】図5のフィルタの別態様を示す。
【図7】図2のフィルタの分岐モジュールの他の態様を示す。
【符号の説明】
【0031】
11....相関コンデンサ
12....Y相対アースコンデンサ
15....電流補償コイル
31....工作機械
32....有効分岐モジュール
33a,33b,33c...電力ライン
34....トランジスタ
37....インピーダンス37
40....電力ライン
42....負インピーダンスコンバータ(NIC)
41,44...捲線
45,45’...電力ライン
47,47’...電流センサー
48....能動回路
49,49’...コンデンサ
50....変圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気工作機械(31)と前記電気工作機械の供給ラインに挿入された電磁互換性フィルタとから成り、前記電磁互換性フィルタが前記供給ラインから不望の干渉を抑圧する能動回路から成ることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電磁互換性フィルタは少なくとも一つのインダクタンスと前記干渉の低インピーダンスを備える有効分岐モジュール(32)とを包含することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電磁互換性フィルタは前記供給ラインに伝送された同相モード干渉を抑圧するように配列されていることを特徴とする請求項1或いは2に記載のシステム。
【請求項4】
前記供給ラインは単相或いは三相主ラインであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記電磁互換性フィルタはさらに相対アースコンデンサ(12)から成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記電磁互換性フィルタはインピーダンスコンバータ(42)から成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記電磁互換性フィルタは変圧器から成り、その変圧器の一方の捲線が前記供給ラインに直列に接続され、その変圧器の他方の捲線が負インピーダンスコンバータに接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記電磁互換性フィルタは前記供給ラインに外乱信号を検出する電圧或いは電流検出手段(47)と、前記外乱信号に基づいた修正信号を発生させる能動回路(49、50)と、前記供給ラインに前記修正信号を投入する信号投入手段(49、50)とから成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記電磁互換性フィルタは前記供給ラインの電圧より低い電圧を前記能動回路に供給する電圧減少手段(76a,76b,76c)から成ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−530964(P2008−530964A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553478(P2007−553478)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050575
【国際公開番号】WO2006/084504
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(504103641)シャフナー・エーエムファウ・アクチェンゲゼルシャフト (7)
【Fターム(参考)】