説明

工作機械

【課題】 シャッタの開閉時間の短縮化を図ることができる工作機械を提供する。
【解決手段】 切換弁22は、第1の作用位置、中立位置及び第2の作用位置に位置付けられるように構成されている。シャッタ12が開位置(又は閉位置)に向けて移動されるときには、切換弁22は中立位置から第1の作用位置(又は第2の作用位置)に移動され、これにより第1シリンダ室34(又は第2シリンダ室36)は圧力流体供給手段16に接続され、第2シリンダ室36(又は第1シリンダ室34)は圧力流体排出手段20(又は18)に接続される。シャッタ12が開位置(又は閉位置)に位置付けられたときには、切換弁22は第1の作用位置(又は第2の作用位置)から中立位置に移動され、これにより第1及び第2シリンダ室34,36はそれぞれ圧力流体排出手段18,20に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工室を開閉するためのシャッタを備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば旋盤などの工作機械には、ワークを加工するための加工室が設けられ、この加工室は、切削液などが外部に飛散しないようにスプラッシュガードによって覆われている。スプラッシュガードには、加工室を開閉するためのシャッタが設けられている。シャッタは開閉駆動機構によって駆動され、シャッタが開位置と閉位置との間を往復移動することによって、ワークを加工室内に出し入れすることができる。
【0003】
図7及び図8は、従来のシャッタの開閉駆動機構を示す回路図であり、図示の開閉駆動機構100は、シリンダ102と、シリンダ102に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給源104と、シリンダ102からの圧縮空気を外部に排出するための第1及び第2消音器106,108と、シリンダ102と圧縮空気供給源104並びに第1及び第2消音器106,108との接続を切り換えるための切換弁110と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。切換弁110は、2位置5ポートタイプの電磁弁から構成され、第1の切換位置と第2の切換位置との間を移動自在に構成されている。シリンダ102は、シリンダ本体112と、シリンダ本体112内に往復移動自在に配設されたピストン114と、を有し、ピストン114はピストンロッド115を介してシャッタ116に駆動連結されている。シリンダ本体112内は、ピストン114によって第1及び第2シリンダ室118,120に仕切られている。また、第1及び第2シリンダ室118,120と切換弁110との間にはそれぞれ、第1及び第2絞り弁122,124が配設されている。
【0004】
シャッタ116が開位置に向けて移動されるときには、図7に示すように、切換弁110が第1の切換位置に移動されることにより、第1シリンダ室118は圧縮空気供給源104と接続され、また第2シリンダ室120は第2消音器108と接続される。これにより、第1シリンダ室118には圧縮空気供給源104からの圧縮空気が供給され、また第2シリンダ室120内の圧縮空気は、第2絞り弁124及び第2消音器108を通して外部に排出される。
【0005】
また、シャッタ116が閉位置に向けて移動されるときには、図8に示すように、切換弁110が第2の切換位置に移動されることにより、第1シリンダ室118は第1消音器106と接続され、また第2シリンダ室120は圧縮空気供給源104と接続される。これにより、第2シリンダ室120には圧縮空気供給源104からの圧縮空気が供給され、また第1シリンダ室118内の圧縮空気は、第1絞り弁122及び第1消音器106を通して外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−35107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような従来のシャッタの開閉駆動機構100では、次のような問題がある。シャッタ116が開位置(又は閉位置)に位置付けられた状態では、第1シリンダ室118内(又は第2シリンダ室120内)には圧縮空気が供給され続けるようになる。このため、シャッタ116が開位置から閉位置に向けて(又は閉位置から開位置に向けて)移動される際に、第1シリンダ室118内(又は第2シリンダ室120内)には圧縮空気が残存するようになるが、その排圧を第1絞り弁122(又は第2絞り弁124)によって調節することにより、シャッタ116の加速度が低下してシャッタ116の飛び出しが防止される。しかしながら、このようにシャッタ116の加速度が低下すると、シャッタ116の開閉時間が増大してしまい、ワークの加工効率が低下するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、シャッタの開閉時間の短縮化を図ることができる工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の工作機械では、加工室を開閉するためのシャッタを備えた工作機械であって、
前記シャッタを開閉駆動するためのシリンダ手段と、前記シリンダ手段に圧力流体を供給するための圧力流体供給手段と、前記シリンダ手段からの圧力流体を排出するための圧力流体排出手段と、前記シリンダ手段と前記圧力流体供給手段及び前記圧力流体排出手段との接続を切り換えるための切換弁と、を備え、
前記シリンダ手段は、シリンダ本体と、前記シリンダ本体内に往復移動自在に配設され且つ前記シャッタに駆動連結されたピストンと、を有し、前記シリンダ本体内は、前記ピストンによって第1及び第2シリンダ室に仕切られ、また、前記切換弁は、中立位置、第1の作用位置及び第2の作用位置に位置付けられるように構成されており、
前記シャッタが開位置に向けて移動されるときには、前記切換弁は前記中立位置から前記第1の作用位置に移動され、これにより前記第1シリンダ室は前記圧力流体供給手段に接続され、前記第2シリンダ室は前記圧力流体排出手段に接続され、
前記シャッタが閉位置に向けて移動されるときには、前記切換弁は前記中立位置から前記第2の作用位置に移動され、これにより前記第1シリンダ室は前記圧力流体排出手段に接続され、前記第2シリンダ室は前記圧力流体供給手段に接続され、
前記シャッタが前記開位置又は前記閉位置に位置付けられたときには、前記切換弁は前記第1又は第2の作用位置から前記中立位置に移動され、これにより前記第1及び第2シリンダ室はそれぞれ前記圧力流体排出手段に接続されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の工作機械では、前記シャッタが前記開位置に位置付けられたことを検知するための第1シャッタ検知手段と、前記シャッタが前記閉位置に位置付けられたことを検知するための第2シャッタ検知手段とが設けられ、
前記第1及び第2シャッタ検知手段が検知状態になると、前記切換弁は前記中立位置に保持され、また、前記シャッタが外力によって前記開位置から前記閉位置に向けて移動されることにより、前記第1シャッタ検知手段が非検知状態になると、前記切換弁は、前記中立位置から前記第1の作用位置に移動され、前記シャッタが外力によって前記閉位置から前記開位置に向けて移動されることにより、前記第2シャッタ検知手段が非検知状態になると、前記切換弁は、前記中立位置から前記第2の作用位置に移動されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の工作機械では、前記第1シリンダ室と前記切換弁とを接続する第1主流路と、前記第2シリンダ室と前記切換弁とを接続する第2主流路とが設けられ、前記第1及び第2主流路にはそれぞれ、前記第1及び第2シリンダ室より前記圧力流体排出手段に排出される圧力流体の流量を制御するための第1及び第2絞り弁が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の工作機械によれば、シャッタが開位置(又は閉位置)に位置付けられたときには、切換弁は第1の作用位置(又は第2の作用位置)から中立位置に移動され、これにより第1及び第2シリンダ室はそれぞれ圧力流体排出手段に接続される。このように構成されているので、シャッタが開位置から閉位置に向けて(又は閉位置から開位置に向けて)移動されるときには、第1シリンダ室(又は第2シリンダ室)の圧力流体の大部分は外部に排出されており、ピストンに作用する流体の抵抗が小さくなり、ピストンの移動の立ち上がり速度が大きくなる。これによりシャッタの移動が速くなり、シャッタの開閉時間の短縮化を図ることができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の工作機械によれば、シャッタが開位置及び閉位置に位置付けられたことをそれぞれ検知するための第1及び第2シャッタ検知手段が設けられている。シャッタが例えば振動などの外力によって開位置から閉位置に向けて(又は閉位置から開位置に向けて)移動すると、第1シャッタ検知手段(又は第2シャッタ検知手段)が非検知状態になる。このように非検知状態になると、切換弁は、中立位置から第1の作用位置(又は第2の作用位置)に移動され、これにより第1シリンダ室(又は第2シリンダ室)に供給された圧力流体の圧力によって、ピストンには開位置(又は閉位置)の方向への力が作用するようになり、シャッタが外力によって閉位置(又は開位置)に向けて移動されるのが阻止される。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の工作機械によれば、第1及び第2主流路にはそれぞれ、第1及び第2シリンダ室より圧力流体排出手段に排出される圧力流体の流量を制御するための第1及び第2絞り弁が配設されている。第1絞り弁(又は第2絞り弁)により排出される圧力流体の流量を制限することにより、シャッタが閉位置(又は開位置)の近傍まで移動された際に、ピストンによって第1シリンダ室(又は第2シリンダ室)内の流体が圧縮され、その排圧が上昇される。このように排圧が上昇することにより、ピストンに作用する圧力流体の抵抗が大きくなり、ピストンは減速されるようになる。これにより、閉位置(又は開位置)の近傍においてシャッタは減速され、シャッタが閉位置(又は開位置)に位置付けられた際にシリンダ手段に作用する吸収運動エネルギーを小さくすることができ、シリンダ手段の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による工作機械に設けられたシャッタの開閉駆動機構を簡略的に示す斜視図である。
【図2】シャッタが閉位置に位置付けられた状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図である。
【図3】シャッタが開位置に向けて移動される状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図である。
【図4】シャッタが開位置に位置付けられた状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図である。
【図5】シャッタが閉位置に向けて移動される状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図である。
【図6】シャッタの開閉駆動制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】従来の工作機械に設けられたシャッタの開閉駆動機構において、シャッタが開位置に位置付けられた状態を示す回路図である。
【図8】従来の工作機械に設けられたシャッタの開閉駆動機構において、シャッタが閉位置に位置付けられた状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う工作機械の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による工作機械に設けられたシャッタの開閉駆動機構を簡略的に示す斜視図であり、図2は、シャッタが閉位置に位置付けられた状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図であり、図3は、シャッタが開位置に向けて移動される状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図であり、図4は、シャッタが開位置に位置付けられた状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図であり、図5は、シャッタが閉位置に向けて移動される状態におけるシャッタの開閉駆動機構を示す回路図であり、図6は、シャッタの開閉駆動制御の流れを示すフローチャートである。
【0017】
図1〜図5を参照して、図示のシャッタの開閉駆動機構2は、例えば旋盤などの工作機械(図示せず)に搭載されている。このような工作機械には、ワーク(図示せず)を加工するための加工室4が設けられ、この加工室4はスプラッシュガード6によって覆われている。スプラッシュガード6には、ワークを加工室4内に出し入れするための開口部8が設けられている。この開口部8には一対のガイドレール10が設けられ、これら一対のガイドレール10には、プレート状のシャッタ12がスライド移動自在に装着されている(図1参照)。
【0018】
このシャッタ12は、後述する開閉駆動機構2によって、閉位置と開位置との間を往復移動自在に構成されている。シャッタ12が閉位置に位置付けられると、図1中の二点鎖線及び図2に示すように、スプラッシュガード6の開口部8がシャッタ12によって閉塞され、加工室4が密閉状態となる。また、シャッタ12が開位置に位置付けられると、図1中の実線及び図4に示すように、シャッタ12がスプラッシュガード6の開口部8より後退され、加工室4が開放状態となる。
【0019】
なお、工作機械に設けられた操作パネル(図示せず)を用いてシャッタ12を開操作(又は閉操作)することにより、操作パネルからの開指令信号(又は閉指令信号)に基づいて、シャッタ12が閉位置から開位置に向けて(又は開位置から閉位置に向けて)移動される。
【0020】
次に、上述したシャッタ12を駆動するための開閉駆動機構2の構成について説明する。開閉駆動機構2は、シャッタ12に駆動連結されたシリンダ14(シリンダ手段を構成する)と、シリンダ14に圧縮空気(圧力流体を構成する)を供給するための圧縮空気供給源16(圧力流体供給手段を構成する)と、シリンダ14からの圧縮空気を外部に排出するための第1及び第2消音器18,20(圧力流体排出手段を構成する)と、シリンダ14と圧縮空気供給源16並びに第1及び第2消音器18,20との接続を切り換えるための切換弁22と、を備えている。
【0021】
シリンダ14は、シリンダ本体24と、シリンダ本体24内に往復移動自在に配設されたピストン26と、を有している。ピストン26にはピストンロッド28が設けられ、このピストンロッド28はシリンダ本体24の一端部を貫通して外部に突出されている。シリンダ本体24の他端部はブラケット30を介してスプラッシュガード6に支持され、またピストンロッド28の先端部はブラケット32を介してシャッタ12に支持されている。また、シリンダ本体24内は、ピストン26によって第1及び第2シリンダ室34,36に仕切られている。本実施形態では、第1シリンダ室34はピストンロッド28側に配設され、第2シリンダ室36はピストンロッド28とは反対側に配設されている。
【0022】
切換弁22は、3位置5ポートタイプの電磁弁から構成されている。切換弁22の両端部にはそれぞれ、一組のソレノイド38及び復帰ばね42並びに一組のソレノイド40及び復帰ばね44が設けられている。この切換弁22には、5つのポート、即ち、A1ポート46、B1ポート48、Pポート50、R1ポート52及びR2ポート54が設けられている。Pポート50は供給流路55を介して圧縮空気供給源16に接続され、A1ポート46は第1主流路56を介して第1シリンダ室34に接続され、B1ポート48は第2主流路58を介して第2シリンダ室36に接続されている。また、R1ポート52は、第1排出流路60を介して第1消音器18に接続され、R2ポート54は、第2排出流路62を介して第2消音器20に接続されている。なお、これら第1及び第2消音器18,20はそれぞれ大気圧領域に連通されている。
【0023】
この切換弁22は、中立位置、第1の作用位置及び第2の作用位置に位置付けられるように構成されている。一対のソレノイド38,40がともに消磁されているときには、一対の復帰ばね42,44の付勢力がバランスすることによって、切換弁22は中立位置に位置付けられる(図2及び図4参照)。この中立位置においては、A1ポート46はR1ポート52と連通され、B1ポート48はR2ポート54と連通されるが、Pポート50はいずれのポートにも連通されない。この状態では、第1シリンダ室34は、第1主流路56及び第1排出流路60を介して第1消音器18に接続され、また第2シリンダ室36は、第2主流路58及び第2排出流路62を介して第2消音器20に接続される。これにより、第1シリンダ室34からの圧縮空気が第1主流路56、第1排出流路60及び第1消音器18を通して外部に排出されるとともに、第2シリンダ室36からの圧縮空気が第2主流路58、第2排出流路62及び第2消音器20を通して外部に排出される。
【0024】
図3における上側のソレノイド38のみが励磁されているときには、切換弁22は図3における下方向に押圧されて第1の作用位置に移動される(図3参照)。この第1の作用位置においては、A1ポート46はPポート50と連通され、B1ポート48はR2ポート54と連通されるが、R1ポート52はいずれのポートにも連通されない。この状態では、第1シリンダ室34が第1主流路56及び供給流路55を介して圧縮空気供給源16に接続されるとともに、第2シリンダ室36が第2主流路58及び第2排出流路62を介して第2消音器20に接続される。これにより、圧縮空気供給源16からの圧縮空気が供給流路55及び第1主流路56を通して第1シリンダ室34に供給されるとともに、第2シリンダ室36からの圧縮空気が第2主流路58、第2排出流路62及び第2消音器20を通して外部に排出される。なお、図3における上側のソレノイド38が消磁されると、切換弁22は、復帰ばね42の付勢力によって中立位置に移動される。
【0025】
図5における下側のソレノイド40のみが励磁されているときには、切換弁22は図5における上方向に押圧されて第2の作用位置に移動される(図5参照)。この第2の作用位置においては、A1ポート46はR1ポート52と連通され、B1ポート48はPポート50と連通されるが、R2ポート54はいずれのポートにも連通されない。この状態では、第1シリンダ室34が第1主流路56及び第1排出流路60を介して第1消音器18に接続されるとともに、第2シリンダ室36が第2主流路58及び供給流路55を介して圧縮空気供給源16に接続される。これにより、第1シリンダ室34からの圧縮空気が第1主流路56、第1排出流路60及び第1消音器18を通して外部に排出されるとともに、圧縮空気供給源16からの圧縮空気が供給流路55及び第2主流路58を通して第2シリンダ室36に供給される。なお、図5における下側のソレノイド40が消磁されると、切換弁22は、復帰ばね44の付勢力によって中立位置に移動される。
【0026】
また、第1及び第2主流路56,58にはそれぞれ、第1及び第2流量制御弁64,66が配設されている。第1流量制御弁64は、並列接続された第1絞り弁68及び第1逆止弁70を有し、また第2流量制御弁66は、並列接続された第2絞り弁72及び第2逆止弁74を有している。第1及び第2逆止弁70,74はそれぞれ、第1及び第2シリンダ室34,36に流入する方向にのみ圧縮空気を通過させる。そのため、第1及び第2シリンダ室34,36から排出された圧縮空気はそれぞれ、第1及び第2逆止弁70,74を通過することができずに、第1及び第2絞り弁68,72を通過するようになる。その際に、第1及び第2絞り弁68,72の開度を調節することにより、第1及び第2主流路56,58を通して排出される圧縮空気の流量が制御される。なお、第1及び第2シリンダ室34,36に供給される圧縮空気はそれぞれ、第1及び第2逆止弁70,74を通過するようになるので、第1及び第2絞り弁68,72による流量の制限を受けることはない。
【0027】
また、スプラッシュガード6には、シャッタ12が開位置に位置付けられたことを検知するための第1シャッタ検知センサ76(第1シャッタ検知手段を構成する)と、シャッタ12が閉位置に位置付けられたことを検知するための第2シャッタ検知センサ78(第2シャッタ検知手段を構成する)とが設けられている。更に、切換弁22を制御するための制御手段(図示せず)が設けられ、この制御手段は、操作パネルからの開指令信号及び閉指令信号並びに第1及び第2シャッタ検知センサ76,78からの検知信号に基づいて、次のようにして切換弁22を中立位置、第1の作用位置又は第2の作用位置に移動させる。
【0028】
シャッタ12が開位置(又は閉位置)に位置付けられることにより、第1シャッタ検知センサ76(又は第2シャッタ検知センサ78)が検知状態になると、制御手段は、一対のソレノイド38,40をともに消磁させることにより、切換弁22を中立位置に移動させる。
【0029】
操作パネルを用いてシャッタ12を開操作すると、制御手段は、操作パネルからの開指令信号に基づいて、図3における上側のソレノイド38を励磁させることにより、切換弁22を中立位置から第1の作用位置に移動させる。これにより、第1シリンダ室34に圧縮空気が供給され、その圧力によってピストン26が図3における右方向に移動することにより、シャッタ12が閉位置から開位置に向けて移動される。
【0030】
また、操作パネルを用いてシャッタ12を閉操作すると、制御手段は、操作パネルからの閉指令信号に基づいて、図5における下側のソレノイド40を励磁させることにより、切換弁22を中立位置から第2の作用位置に移動させる。これにより、第2シリンダ室36に圧縮空気が供給され、その圧力によってピストン26が図5における左方向に移動することにより、シャッタ12が開位置から閉位置に向けて移動される。
【0031】
このようにシャッタ12が開位置から閉位置に向けて(又は閉位置から開位置に向けて)移動される際に、第1シリンダ室34(又は第2シリンダ室36)の圧縮空気の大部分は外部に排出されているので、ピストン26に作用する空気の抵抗が小さくなり、ピストン26の移動の立ち上がり速度が大きくなる。これによりシャッタ12の移動が速くなり、シャッタ12の開閉時間の短縮化を図ることができる。
【0032】
なお、第1絞り弁68(又は第2絞り弁72)により排出される圧縮空気の流量が制限されているので、シャッタ12が閉位置(又は開位置)の近傍まで移動されると、ピストン26によって第1シリンダ室34(又は第2シリンダ室36)内の空気が圧縮され、その排圧が上昇される。このように排圧が上昇することにより、ピストン26に作用する空気の抵抗が大きくなり、ピストン26は減速されるようになる。これにより、閉位置(又は開位置)の近傍においてシャッタ12は減速され、シャッタ12が閉位置(又は開位置)に位置付けられた際にシリンダ14に作用する吸収運動エネルギーを小さくすることができ、シリンダ14の破損を防止することができる。
【0033】
また、シャッタ12が例えば振動などの外力によって閉位置から開位置に向けて移動されると、第2シャッタ検知センサ78が非検知状態となる。このように、操作パネルから開指令信号が出力されていない状態で、第2シャッタ検知センサ78が非検知状態になると、制御手段は、図5における下側のソレノイド40を励磁させることにより、切換弁22を中立位置から第2の作用位置に移動させる。これにより、第2シリンダ室36に供給された圧縮空気の圧力によって、ピストン26には図5における左方向への力が作用するようになり、シャッタ12が外力によって開位置に向けて移動されるのが阻止される。
【0034】
また、シャッタ12が外力によって開位置から閉位置に向けて移動されると、第1シャッタ検知センサ76が非検知状態となる。このように、操作パネルから閉指令信号が出力されていない状態で、第1シャッタ検知センサ76が非検知状態になると、制御手段は、図3における上側のソレノイド38を励磁させることにより、切換弁22を中立位置から第1の作用位置に移動させる。これにより、第1シリンダ室34に供給された圧縮空気の圧力によって、ピストン26には図3における右方向への力が作用するようになり、シャッタ12が外力によって閉位置に向けて移動されるのが阻止される。
【0035】
次に、図6をも参照して、本実施形態の開閉駆動機構2によるシャッタ12の開閉駆動制御の流れについて説明する。工作機械によるワークの加工前の状態では、シャッタ12は閉位置に位置付けられている(ステップS1)。この状態では、第2シャッタ検知センサ78は検知状態となっており(ステップS2)、切換弁22は中立位置に位置付けられている(ステップS3)。
【0036】
操作パネルを用いてシャッタ12を開操作すると、ステップS4からステップS5に進み、切換弁22は、操作パネルからの開指令信号に基づいて中立位置から第1の作用位置に移動され、シャッタ12は閉位置から開位置に向けて移動される(ステップS6)。シャッタ12が開位置に位置付けられると(ステップS7)、第1シャッタ検知センサ76は検知状態となり(ステップS8)、切換弁22は第1の作用位置から中立位置に移動される(ステップS9)。
【0037】
例えばワークを加工室4に配設した後に、操作パネルを用いてシャッタ12を閉操作すると、ステップS10からステップS11に進み、切換弁22は、操作パネルからの閉指令信号に基づいて中立位置から第2の作用位置に移動され、シャッタ12は開位置から閉位置に向けて移動される(ステップS12)。その後、ステップS1に戻ってシャッタ12が閉位置に位置付けられると、第2シャッタ検知センサ78は検知状態となり(ステップS2)、切換弁22は第2の作用位置から中立位置に移動される(ステップS3)。加工室4においてワークに加工が施された後に、ワークを加工室4から取り出す際には、ステップS4からステップS5に進み、上述したステップS5〜ステップS9が行われる。
【0038】
ステップS4において、外力によりシャッタ12が閉位置から開位置に向けて移動されたときには、ステップS4からステップS13を経てステップS14に進み、第2シャッタ検知センサ78は非検知状態となり、切換弁22は、中立位置から第2の作用位置に移動される(ステップS15)。これにより、シャッタ12は閉位置に向けて移動され(ステップS16)、ステップS1に戻ってシャッタ12が閉位置に位置付けられる。そして、第2シャッタ検知センサ78は検知状態となり(ステップS2)、切換弁22は第2の作用位置から中立位置に移動される(ステップS3)。
【0039】
また、ステップS10において、外力によりシャッタ12が開位置から閉位置に移動されたときには、ステップS10からステップS17を経てステップS18に進み、第1シャッタ検知センサ76は非検知状態となり、切換弁22は、中立位置から第1の作用位置に移動される(ステップS19)。これにより、シャッタ12は開位置に向けて移動され(ステップS20)、ステップS7に戻ってシャッタ12が開位置に位置付けられる。そして、第1シャッタ検知センサ76は検知状態となり(ステップS8)、切換弁22は第1の作用位置から中立位置に移動される(ステップS9)。
【0040】
以上、本発明に従う工作機械の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、操作パネルを用いて手動でシャッタ12を開操作又は閉操作するように構成したが、NCプログラムなどにより自動で開指令信号又は閉指令信号が制御手段に出力されるように構成することもできる。
【0042】
また例えば、上記実施形態では、切換弁22のR1ポート52及びR2ポート54はそれぞれ、第1及び第2排出流路60,62を介して第1及び第2消音器18,20に接続されるように構成したが、第1及び第2排出流路60,62を合流させて一つの消音器に接続されるように構成してもよい。
【0043】
また例えば、シャッタ12を開位置及び閉位置にそれぞれ位置決め保持するためのストッパを設けるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
2,100 開閉駆動機構
4 加工室
12,116 シャッタ
14,102 シリンダ
16,104 圧縮空気供給源
18,106 第1消音器
20,108 第2消音器
22,110 切換弁
24,112 シリンダ本体
26,114 ピストン
34,118 第1シリンダ室
36,120 第2シリンダ室
56 第1主流路
58 第2主流路
68,122 第1絞り弁
72,124 第2絞り弁
76 第1シャッタ検知センサ
78 第2シャッタ検知センサ















【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工室を開閉するためのシャッタを備えた工作機械であって、
前記シャッタを開閉駆動するためのシリンダ手段と、前記シリンダ手段に圧力流体を供給するための圧力流体供給手段と、前記シリンダ手段からの圧力流体を排出するための圧力流体排出手段と、前記シリンダ手段と前記圧力流体供給手段及び前記圧力流体排出手段との接続を切り換えるための切換弁と、を備え、
前記シリンダ手段は、シリンダ本体と、前記シリンダ本体内に往復移動自在に配設され且つ前記シャッタに駆動連結されたピストンと、を有し、前記シリンダ本体内は、前記ピストンによって第1及び第2シリンダ室に仕切られ、また、前記切換弁は、中立位置、第1の作用位置及び第2の作用位置に位置付けられるように構成されており、
前記シャッタが開位置に向けて移動されるときには、前記切換弁は前記中立位置から前記第1の作用位置に移動され、これにより前記第1シリンダ室は前記圧力流体供給手段に接続され、前記第2シリンダ室は前記圧力流体排出手段に接続され、
前記シャッタが閉位置に向けて移動されるときには、前記切換弁は前記中立位置から前記第2の作用位置に移動され、これにより前記第1シリンダ室は前記圧力流体排出手段に接続され、前記第2シリンダ室は前記圧力流体供給手段に接続され、
前記シャッタが前記開位置又は前記閉位置に位置付けられたときには、前記切換弁は前記第1又は第2の作用位置から前記中立位置に移動され、これにより前記第1及び第2シリンダ室はそれぞれ前記圧力流体排出手段に接続されることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記シャッタが前記開位置に位置付けられたことを検知するための第1シャッタ検知手段と、前記シャッタが前記閉位置に位置付けられたことを検知するための第2シャッタ検知手段とが設けられ、
前記第1及び第2シャッタ検知手段が検知状態になると、前記切換弁は前記中立位置に保持され、また、前記シャッタが外力によって前記開位置から前記閉位置に向けて移動されることにより、前記第1シャッタ検知手段が非検知状態になると、前記切換弁は、前記中立位置から前記第1の作用位置に移動され、前記シャッタが外力によって前記閉位置から前記開位置に向けて移動されることにより、前記第2シャッタ検知手段が非検知状態になると、前記切換弁は、前記中立位置から前記第2の作用位置に移動されることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記第1シリンダ室と前記切換弁とを接続する第1主流路と、前記第2シリンダ室と前記切換弁とを接続する第2主流路とが設けられ、前記第1及び第2主流路にはそれぞれ、前記第1及び第2シリンダ室より前記圧力流体排出手段に排出される圧力流体の流量を制御するための第1及び第2絞り弁が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−212812(P2011−212812A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84758(P2010−84758)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(591014835)高松機械工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】