説明

工具自動交換装置

【課題】ロボット等による自動加工システムにおいて各加工工程における工具の選択を自動的に行なえるようにする。
【解決手段】 工具を駆動するエアモータ15及び当該エアモータ15に直列に設けられるものであって上記工具の着脱作動を担うチャック機構11の一体化された工具アセンブリ1と、当該工具アセンブリ1をその先端部に保持するアーム61及びリンク機構66からなるものであって上記工具アセンブリ1を三次元方向へ移動可能なように保持するロボット6と、当該ロボット6のアーム61の先端部のところに取付けられる上記工具アセンブリ1の作動及び当該工具アセンブリ1を形成する工具5の交換作動を行なう切換手段2と、からなる。上記工具アセンブリ1の駆動及び切換手段2の作動を高圧エアにて行なわせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット等による自動加工システム(装置)において、予め設定された複数種類の工具群のうちから、そのときの加工工程における最適の工具を自動的に選択して着脱することのできるようにした工具自動交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の工具自動交換装置としては、例えば特開2001−293628号公報記載のものの如く、複雑な構造の工具締め付け/弛め装置を基礎に形成されるもの等が挙げられる。
【特許文献1】特開2001−293628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来のものは、回転道具を初めとした所定の工具の装着されたロボットが、新しい工具等の置いてある工具ステーション、工具締め付け/弛め装置を有する工具交換ステーション、使用済み工具を廃棄する廃棄ステーション等の複数のステーションへと移動しなければならず、工具の交換に多くの工程を要するものである。すなわち、一つの工具の交換に対して多くの時間を要するものであり、工具交換作業が非効率的である。このような問題点を解決し、短時間のうちに効率良く工具の交換を行なうことのできるようにした工具自動交換装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、工具自動交換装置に関して、工具を駆動するエアモータ及び当該エアモータに直列に設けられるものであって上記工具の着脱作動を担うチャック機構の一体化された工具アセンブリと、当該工具アセンブリをその先端部に保持するアーム及びリンク機構からなるものであって上記工具アセンブリを三次元方向へ移動可能なように保持するロボットと、当該ロボットのアーム先端部に取付けられる上記工具アセンブリの作動及び当該工具アセンブリを形成する工具の交換作動を制御する切換手段と、からなるとともに、これらロボットアームの先端部に取付けられる工具アセンブリの作動及び工具の交換作動を高圧エアにて行なわせるようにした構成を採ることとした。
【0005】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の工具自動交換装置に関して、アーム先端部に工具アセンブリを有する上記ロボットの作動制御を、別途設けられた電子制御手段からの電子信号に基づいて行なわせるようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明である第一の発明について説明する。本発明によれば、上記構成を採ることにより、工具刃物によるワークの加工を初めとした工具アセンブリの作動、及び当該工具アセンブリを形成する工具刃物の交換作業等を高圧エアにて行なわせるようにしたので、本工具自動交換装置を、すでに工場内等に張りめぐらされている高圧エアシステムを利用することによって作動させることができるようになる。その結果、本装置の作動を効率良く行なわせることができるようになる。また、本装置においては、主要な部分の作動を高圧エアにて行なわせるようにしたので、電動モータ等の電気動力装置の作動に基づく発熱量を極力少なくすることができるようになる。その結果、工場内における温度管理を容易にし、延いては工場内における安全性の向上を図ることができるようになる。
【0007】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明について説明する。このものも、基本的には上記第一の発明のものと同じである。これらに加えて、本発明のものにおいては、アーム先端部に工具アセンブリを保持するロボットの作動制御を、別途設けられた電子制御方式のコントローラ、すなわち、電子制御手段にて行なわせるようにしたので、工具アセンブリの移動及び位置決め作動等を、正確に、かつ、迅速に行なわせることができるようになる。その結果、本装置全体の作動を少ないエネルギーにて効率良く行なわせることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図4を基に説明する。本実施の形態にかかるものの、その基本構成は、図1に示す如く、工具自動交換装置に関して、工具を駆動するエアモータ15及び当該エアモータ15に直列に設けられるものであって上記工具の着脱作動を担うチャック機構11の一体化された工具アセンブリ1と、当該工具アセンブリ1をその先端部に保持するアーム61及びリンク機構66からなるものであって上記工具アセンブリ1を三次元方向へ移動可能なように保持するロボット6と、当該ロボット6のアーム61の先端部のところに取付けられる上記工具アセンブリ1の作動及び当該工具アセンブリ1を形成する工具5の交換作動を制御する切換手段2と、からなるものである。
【0009】
このような基本構成からなるものにおいて、上記アーム(ロボットアーム)61の先端部に取付けられる工具アセンブリ1の作動及び工具5の交換作動を別途設けられたエアタンク4からの高圧エアにて行なわせるようにした構成を採ることとした。また、上記ロボットアーム61の先端部に工具アセンブリ1を有する上記ロボット6の作動制御を、別途設けられた制御手段(電子制御手段)3からの電子信号に基づいて行なわせるようにした構成を採ることとした。
【0010】
このような基本構成からなるものにおいて、上記ロボットアーム61の先端部のところに取付けられる工具アセンブリ1は、例えば図3に示す如く、工場内等に配設されている高圧エアにて駆動されるエアモータ15と、先端部に工具5を保持するとともに、当該工具5の回転軸中心線と上記エアモータ15の回転軸中心線とが同一軸線上に来るように設けられるチャック機構11と、からなるものである。そして、これらエアモータ15とチャック機構11とが同一軸線上に連結された状態のもの、すなわち、工具アセンブリ1が、ロボット6のアーム61の、その先端部のところに、取付手段611を介して取付けられるようになっているものである。このような構成からなるものにおいて、上記エアモータ15は、図3に示す如く、筒型の形態からなるものであり、その中心線の下方端部のところにはモータ回転軸155が下方へ突出するように設けられるようになっている。そして、このようなモータ回転軸155のところには、スプライン結合手段等を有するカップリング手段12が設けられ、このカップリング手段12を介して同一軸線上にテーパコレクト111が連結されるようになっている。そして、このテーパコレクト111は、チャック機構11を形成するものであって本テーパコレクト111の保持あるいは開放等を行なうチャッキング部材115にて、その全体が保持されるようになっている。
【0011】
このような構成からなるテーパコレクト111は、その内径側には工具5の軸部51が収容されるようになっており、この軸部51を適宜保持するようになっているものである。また、このような構成からなるテーパコレクト111の下端部のところには、図3に示す如く、テーパ部が形成されるようになっている。そして、このテーパ部は、本テーパコレクト111の外側に設けられて本テーパコレクト111の保持を担うチャッキング部材115のテーパ部と係合するようになっているものである。そして更に、このようなチャッキング部材115の上記テーパ部が軸線方向に上下動をすることによって、上記テーパコレクト111のテーパ部による工具5の軸部51の保持あるいは開放が適宜行なわれるようになっているものである。
【0012】
具体的には、上記チャッキング部材115が、図3に示す如く、下方に在るときには当該チャッキング部材115のテーパ部が上記テーパコレクト111のテーパ部を絞め込むように作用して上記テーパコレクト111が工具5の軸部51を保持することとなる。これとは逆に、例えば図4に示す如く、上記チャッキング部材115が上方にあるときには、当該チャッキング部材115のテーパ部によるテーパコレクト111のテーパ部への締め付けが緩み、テーパコレクト111による工具5の保持が開放されることとなる。
【0013】
このような構成からなるチャッキング部材115の外側にはベアリング128を介して円筒状のケース13が設けられ、このケース13内に上記チャッキング部材115、テーパコレクト111、工具5等が一体的に収容されるようになっている。そして、このようなケース13は全体が円筒状のカバー14にて覆われるようになっている。また、このようなカバー14とケース13とは気密状に保持されるとともに、その間には空気導入室134が設けられるようになっている。そして、この空気導入室134内に高圧エアが適宜導入されることによって、例えば図4に示す如く、上記チャッキング部材115等を内包するケース13が軸線方向に上下動をすることができるようになる。この高圧エアの導入による上記ケース13の上下動によって上記チャッキング部材115によるテーパコレクト111の開放あるいは保持が適宜行なわれるようになっているものである。
【0014】
このような構成からなる本実施の形態のものについての、その作動態様等について、図2のフローチャート図を主に説明する。まず、本工具自動交換装置全体に対する電源スイッチのON作動等によって、図1に示す本工具自動交換装置(システム)が作動を開始する。すなわち、図2に示すフローチャートのスタート位置状態となる。次に、例えば工具5が図1に示すように3種類(5a,5b,5c)あり、これらが所定の工具台55上に設置されているとすると、まず、図2における行程(A)へと移行する。すなわち、第一の工具5aの取付け行程へと移行する。そして、このような状態において、行程(B)における第一の工具5aによるワーク9の加工が行なわれる。そして、次に、ワーク9の加工の済んだ状態において、第一の工具5aの取外し作業が行なわれる。すなわち、工具5aの取外し行程である行程(C)へと移行する。
【0015】
次に、第二の工具5bの取付け行程(D)へと移行し、この第二の工具5bによる加工が行なわれる。すなわち、第二の工具5bによる加工行程(E)へと移行する。そして、この第二の工具5bによる加工が済むと、この第二の工具5bの取外し行程(F)へと移行する。そして、この第二の工具5bの取り外されたところへ、換わって第三の工具5cが取付けられることとなる。すなわち、第三の工具5cの取付け行程(G)へと移行する。そして、この第三の工具5cによる加工が行なわれる。すなわち、第三の工具5cによる加工行程(H)へと移行する。そして、この第三の工具5cによる加工が終了すると、当該第三の工具5cの取外し作業が行なわれることとなる。すなわち、第三の工具5cの取外し行程(I)へと移行する。このようなA〜Iまでの各行程が、別途設けられた電子制御手段3からの指令に基づく切換手段2の作動に基づいて自動的に行なわれることとなる。
【0016】
このように、本実施の形態のものにおいては、工具の回転駆動、すなわち工具を駆動するモータの回転運動等を、工場内にすでに張りめぐらされている高圧エアシステムにて行なわせるようにし、これによって作業環境の向上、更には作業効率の向上等を図るようにしているものである。また、本実施の形態のものにおいては、工具アセンブリ1を形成する工具5の交換作業等を高圧エアにて行なわせるようにしたので、本工具自動交換装置を、すでに工場内等に張りめぐらされている高圧エアシステムを利用することによって作動させることができるようになる。その結果、本装置の作動を効率良く行なわせることができるようになる。
【0017】
また、本装置においては、主要な部分の作動を高圧エアにて行なわせるようにしたので、電動モータ等の電気動力装置の作動に基づく発熱量を極力少なくすることができるようになる。その結果、工場内における温度管理を容易にし、延いては工場内における安全性の向上を図ることができるようになる。また、本実施の形態のものにおいては、ロボットアーム61の先端部のところに工具アセンブリ1を保持する本ロボット6の作動制御を、別途設けられた電子制御手段3からの信号にて行なわせるようにしたので、工具5の移動及び位置決め作動等を、正確に、かつ、迅速に行なわせることができるようになる。その結果、本装置全体の作動を少ないエネルギーにて効率良く行なわせることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の全体構成を示すシステム図である。
【図2】本発明の作動態様を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の主要部を成す工具アセンブリの全体構成を示す一部断面図である。
【図4】本発明の主要部を成す工具アセンブリの構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 工具アセンブリ
11 チャック機構
111 テーパコレクト
115 チャッキング部材
12 カップリング手段
128 ベアリング
13 ケース
134 空気導入室
14 カバー
15 エアモータ
155 モータ回転軸
2 切換手段
3 電子制御手段
4 エアタンク
5 工具
5a 第一の工具
5b 第二の工具
5c 第三の工具
51 軸部
55 工具台
6 ロボット
61 ロボットアーム
611 取付手段
66 リンク機構
9 ワーク























【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を駆動するエアモータ及び当該エアモータに直列に設けられるものであって上記工具の着脱作動を担うチャック機構の一体化された工具アセンブリと、当該工具アセンブリをその先端部に保持するアーム及びリンク機構からなるものであって上記工具アセンブリを三次元方向へ移動可能なように保持するロボットと、当該ロボットのアーム先端部に取付けられる上記工具アセンブリの作動及び当該工具アセンブリを形成する工具の交換作動を制御する切換手段と、からなるとともに、これらロボットアームの先端部に取付けられる工具アセンブリの作動及び工具の交換作動を高圧エアにて行なわせるようにしたことを特徴とする工具自動交換装置。
【請求項2】
請求項1記載の工具自動交換装置において、アーム先端部に工具アセンブリを有する上記ロボットの作動制御を、別途設けられた電子制御手段からの電子信号に基づいて行なわせるようにしたことを特徴とする工具自動交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−95965(P2009−95965A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272467(P2007−272467)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(507298175)豊岡エンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】