工業用織物の織り継ぎ方法及びそれにより織り継がれた無端状工業用織物
【目的】 織り継ぎ部の異常摩耗や継ぎ手抜けを防ぐ織り継ぎ方法と、織り継いだ織物を提供する。
【構成】 有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことによって無端状にする無端状工業用織物において、該工業用織物が少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織の経糸からなり、下面側織物を形成する下面側緯糸はポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交互に配置された偶数シャフトの多層織物であって、織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ1本の経糸が(a)1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式と、他の経糸が(b)1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に繰り返した工業用織物の織り継ぎ方法である。
【構成】 有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことによって無端状にする無端状工業用織物において、該工業用織物が少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織の経糸からなり、下面側織物を形成する下面側緯糸はポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交互に配置された偶数シャフトの多層織物であって、織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ1本の経糸が(a)1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式と、他の経糸が(b)1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に繰り返した工業用織物の織り継ぎ方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有端状織物の両端部を織り継ぎにて無端状にする織り継ぎ組織に関するものであり、特には平滑性を必要とされる工業用多層織物の織り継ぎ組織に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より工業用織物は無端状に接合して使用することが多く、工業用織物としてはコンベアベルトや製紙用織物等がある。無端状に接合する方法には、特開平11−244615号公報のようにミシン継ぎによるものや、特表2002−511534号公報のように織物端部経糸を延長して折り返してループを作りそのループを重ね合わせて芯線を挿通して連結するものや、特開2004−115936号公報のように織物端部にスパイラルコイルを取付け両端のコイルのループを重ね合わせて芯線を挿通して連結するもの等、多種の方法がそれぞれの用途に応じて採用されている。しかし、接合部に他の部分と同等の構造、平滑性を要求される場合は、織り継ぎによる接合方法が採用されることが多い。
抄紙用織物は、接合部といえども紙にマークを発生させることは許されないため織り継ぎによる接合が不可欠であり、織り継ぎ部の良否は紙の品質に重大な影響を及ぼす。このように工業用織物の中でも最も要求が厳しい抄紙用織物について説明すればほとんどの工業用織物の要求とその解決について理解できるので、以下抄紙用織物を代表して本発明を説明する。
まず織り継ぎの方法を簡単に説明する。製織した有端状織物の両端部の緯糸を取り除いて経糸のみからなる部分を形成し、この両端の経糸のみからなる部分を対向させ、その間に予め作成しておいた経糸を取り除いて作成した緯糸のみからなる織り継ぎ片を設置し、この織り継ぎ片の緯糸を織り組織に合わせて開口させ、開口部に両端部の経糸のみからなる部分の経糸を両側から交互に挿入し、両端の経糸を突き合わせる。この織り継ぎの作業は現在では、ほとんどの場合自動織継機によって行われ、緯糸の開口はジャガードシステムで行われている。
織物組織に応じて端末方式は多様であるが、一般的には経糸の収まりがよいことから、織物組織を崩すことなく経糸が織物組織上通るべき1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を他の末端とで挟んで、この緯糸の両側に織物裏面つまりマシン接触面側に向けて端末を出す織り継ぎ方式とすることが多い。一般的には経糸の突き合わせ部は、平滑性、接合強度向上のために分散させ、端末は織物裏面側に出す方式とする。例えば特開平5−86594号公報の図4に示されているように、織物組織を崩すことなく経糸端末を多層織物の走行面側に向けて織り込む方法がある。織物組織、マーク性、織り継ぎ強度の関係から、経糸端末は同じ下面側緯糸を挟んで一列に配置されるのではなく、一般的にはこの図のように分散させて配置されるものである。
このようにして無端状にした工業用織物の織り継ぎ部は他の部分と組織がかわらないため紙にマークを与えることがなく表面性、平滑性に優れたものとなる。しかし、工業用織物は過酷な状況で使用されることが多く、特に織物の走行面側はロールやマシンとの接触により摩耗し、織り継ぎ部もダメージを受け、端末抜けが生じたり場合によっては織り継ぎ部から織物が破断してしまうことがあった。
【特許文献1】特開平11−244615号公報
【特許文献2】特表2002−511534号公報
【特許文献3】特開2004−115936号公報
【特許文献4】特開平5−86594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の問題に鑑みて、織り継ぎ部の異常摩耗や継ぎ手抜け等を防ぐための織り継ぎ方式及びその織り継ぎを用いて無端状とした工業用織物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
「1. 有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことによって無端状にする無端状工業用織物において、該工業用織物が少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織の経糸からなり、下面側織物を形成する下面側緯糸はポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交互に配置された偶数シャフトの多層織物であって、織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ1本の経糸が(a)1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式と、他の経糸が(b)1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に繰り返した工業用織物の織り継ぎ方法。
2. 1項に記載された工業用織物の下面側織物が、下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側表面に下面側緯糸のロングクリンプを形成する組織から構成され、且つ経糸が常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸と、常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸が交互に繰り返して配置されていることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
3. 1項または2項に記載された工業用織物を構成する経糸が、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織であることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
4. 1項ないし3項のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ部の端末方式が、第1経糸の端末方式を第1経糸が織物組織上1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とし、第2経糸の端末方式を第2経糸が織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした工業用織物の織り継ぎ方法。
5. ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末が、該ポリアミドフィラメントの上側で交差することなくポリアミドフィラメントの両側に配置された組織であって、経糸端末がポリアミドフィラメントの両側に配置されているポリエステルフィラメントによって押さえ込まれていることを特徴とする、1項ないし4項のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法。
6. 1項ないし5項のいずれか1項に記載された工業用織物が、経糸一重緯糸二重構造、または経糸一重緯糸三重構造である工業用織物の織り継ぎ方法。
7. 1項ないし6項のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法を用いて無端状とした無端状工業用織物。」
に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことで無端状にする工業用織物の織り継ぎ方法に特徴を有するものであり、織物組織及び摩耗を受け持つ下面側緯糸の各線材に適した織り継ぎ組織とすることで、織り継ぎ部で過剰な長さのポリアミドフィラメントの下面側緯糸ロングクリンプを形成させることなく異常摩耗やそれにより発生する継ぎ手抜け、織り継ぎ部からの破断、表面性への悪影響を防止するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は従来の問題に鑑みて、ポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントからなる無端状工業用織物の、織り継ぎ部の異常摩耗や継ぎ手抜け等を防ぐ織り継ぎ方法及びそれにより有端状に織り合わされた工業用織物を提供しようとするものである。
ポリエステルフィラメントは剛性に優れ、伸びが少なく、交差する糸を強力に織り合わせることができ、織り合わされて形成されるロングクリンプ形状が維持される。そのため、工業用織物の経糸や下面側緯糸に使用されることが多い。それに対してポリアミドフィラメントは耐摩耗性に優れるため、工業用織物の走行面側に使用されることが多い。これらの理由から特に多層織物の下面側織物では剛性と耐摩耗性を向上させるためにポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントを交互に配置(交織)したものが非常に多く使用されている。本発明は工業用無端状織物で多く使用されている交織織物の織り継ぎ方法に関するものである。
【0007】
本明細書内において、経糸とは織り継ぎ部で無端状に織り合わせる糸を意味し、緯糸とはその経糸と交差する糸を意味するものであって、製織時や使用時の経糸、緯糸に限定するものではない。また織り継ぎ方式とは、経糸の端部を緯糸に織り込んで無端状にする織り継ぎ部の経糸端末組織を意味するものである。つまりこの方式は組織という物を意味する。また、織物の使用用途において、上面側を搬送面、下面側をロール接触面としても、逆に上面側をロール接触面、下面側を搬送面として使用してもよい。
本発明の織物は1本の経糸により上面側緯糸、下面側緯糸を織り合わせる多層織物の織り継ぎ方法を対象としたものであり、少なくとも緯糸が2層に配置されているものであればよく、例えば上面側緯糸、下面側緯糸が上下に配置されているもの、上面側緯糸、中緯糸、下面側緯糸が積層されたものであってもよく、経糸一重緯糸二重織物、経糸一重緯糸三重織物等がある。緯糸の配置割合は、上面側緯糸と下面側緯糸を同数の割合で配置したものであっても、上面側緯糸を下面側緯糸より多く配置したものであってもよい。そして、経糸組織は少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織であり、下面側織物を構成する下面側緯糸は、ポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントを1本交互に配置(交織)した偶数シャフトの織物の織り継ぎ方法に限定する。
【0008】
本発明において、下面側織物を構成する下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側表面に下面側緯糸ロングクリンプを構成するものである。このようにして構成された織物は同じ組織の経糸で構成された偶数シャフトの織物であるため、経糸は常に1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸と、常に1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸が交互に繰り返して配置される。
一般的に織り継ぎ部の織り継ぎ組織をその織物の織物組織と変えない方が糸の収まりがよく、表面性、織り継ぎ強度等の問題から基本的には織物組織を崩すことなく織物組織上通るべき1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟むように経糸端部を下面側に向けて出す織り継ぎ方式とした。そして織物組織の関係上そのような織り継ぎ方法が好ましくない場合には、上面側表面組織は崩すことなく織物層内、及び下面側層での組織を織物組織とは異なるものとした。
【0009】
従来の織り継ぎ方法では織物組織に応じ経糸が走行面側側ナックルを形成する部分で、常にその下面側緯糸を挟んで経糸端末を出す方式としてきた。例えば経糸が完全組織で一度だけ下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する偶数シャフトの交織織物では、組織上、常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸ではポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に端末を出す織り継ぎ方式とし、また常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸ではポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に端末を出す織り継ぎ方式としてきた。第1経糸、第2経糸で同じ織り継ぎ方式とした場合、下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側にロングクリンプを形成する組織では、織り継ぎ部以外のところでは常に同じ長さの下面側緯糸ロングクリンプが形成されるが、織り継ぎ部では経糸端末が1本の下面側緯糸を挟んでその両側に配置されるため、実質的に経糸が下面側緯糸を下側から織り込まない部分ができるので、織り継ぎ部の経糸端末に挟まれているポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメント下面側緯糸は、実質的に緯糸完全組織2つ分のロングクリンプが形成されることになる。具体的には、1本の経糸の上を通った後、連続する7本の経糸の下側を通る組織の下面側緯糸の場合、織り継ぎ部では、1本の経糸の上側を通った後、連続する15本の経糸の下側を通る組織となってしまう。
ポリエステルフィラメント下面側緯糸であれば剛性がありクリンプ形状が保持されるため、織物使用時にだれてしまうことはないが、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の場合、剛性が乏しいことからポリアミドフィラメント下面側緯糸を支える経糸がないとクリンプ形状はだれてしまい、マシンやロールと過剰に接触し織物の走行によって急激に摩耗してしまう。特に水分が介在する状況で使用する場合にはポリアミドの剛性の低下は著しい。このような過剰な摩耗によって経糸端部の抜けが発生したり、織り継ぎ部のろ水性が変化して端末の影響により紙にマークを与えたりして、品質のよい紙を抄造することができなくなる。場合によっては織り継ぎ部から破断し使用することができなくなってしまうこともある。
【0010】
このような問題を解決するため、本発明は織り継ぎ部において過剰な長さのポリアミドフィラメント下面側緯糸ロングクリンプを形成しない織り継ぎ組織とすることで、織り継ぎ部の異常摩耗や継ぎ手抜け等の短命を防止することができる。また、そのような織り継ぎ方式においてはポリアミドフィラメントの両側に存在するポリエステルフィラメントで経糸端末を押さえることで、織り継ぎ部の織り合わせ強度向上も図れる。
本発明の織り継ぎ方式は、織物組織上、常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸では経糸端末を織物組織上通るべき1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に織物下面側に向けて出す織り継ぎ方式とし、そして織物組織上、常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸では、織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とし、これら経糸方式を1本交互に用いた織り継ぎ方式とした。また、この織り継ぎ組織とすることで上面側表面組織は崩されないものとする。そのためには、織物組織も経糸が1本のポリアミドフィラメント下緯糸の下側を通り、次いで2本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織とするとよい。このような部分がないと、第2経糸は上記に述べたような「織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織」を形成することができなくなり、本発明を達成することができない。また好ましくは、経糸が1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通り、次いで3本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織とするとよい。2本の間を通る組織では、経糸の引き込みが強く表面性に影響を与えてしまうことがあるため、3本以上の間を通る組織とするとよい。そして、ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末は、該ポリアミドフィラメントの上側で交差することなくポリアミドフィラメントの両側に配置され組織とするのが好ましい。密な織物で経糸が交差した織り継ぎ組織とするとその部分で経糸密度が高くなりろ水性等が他と変わってしまい表面性に悪影響を与えることがある。
【0011】
以上のような組織とすると、第2経糸は織り継ぎ部であっても織物組織上通るべきポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通る組織となるため、完全組織2つ分の過剰に長いロングクリンプは形成されることはなく、またポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末が、該ポリアミドフィラメントの両側に配置されているポリエステルフィラメントによって押さえ込まれるため、織り継ぎ強度の向上にもなる。
本発明の目的は、織り継ぎ部のポリアミドフィラメント下面側緯糸クリンプ長さを長くすることなく織物端部を強力に織り合わせるための織り継ぎ方式を提案するものであり、本発明の織り継ぎ方式を採用することで表面性、ろ水性を崩すことなく織り継ぎ強度にも優れた無端状織物とすることができる。
本発明に使用される糸は用途によって選択すればよいが、例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、あるいはこれらを撚り合わせるなどして組み合わせた糸が使用でき、糸の断面形状も円形だけでなく四角形状や星型等の短形状の糸や楕円形状、中空等の糸が使用できる。また、経糸、上面側緯糸、中緯糸の材質としても、自由に選択でき、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、綿、ウール、金属等が使用できる。もちろん、共重合体やこれらの材質に目的に応じてさまざまな物質をブレンドしたり含有させた糸を使用しても良い。また、下面側緯糸として使用するポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメントにおいても同様に、共重合体やこれらの材質に目的に応じてさまざまな物質をブレンドしたり含有させた糸を用いてもよい。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例を図を用いて説明する。また本発明をわかりやすく説明するために比較例、従来例も同様に図示して説明する。実施例、比較例、従来例では織物の完全組織を示す意匠図と、経糸、緯糸の断面図を用いた。完全組織とは、織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物全体の組織が形成される。意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3で示し、緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1´、2´、3´で示す。そして説明の中で上面側緯糸を表す時は1´、2´、3´で示し、下面側緯糸を示す時にはポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメントの区別ができるように、ポリエステルフィラメント下面側緯糸は末尾にe、またはEを付け、ポリアミドフィラメント下面側緯糸はa、またはAを付け、1´e、2´a、3´E、4´A等と表現した。そして意匠図上において、×印は経糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、○印は経糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示す。意匠図において便宜上、上面側緯糸、下面側緯糸は上下にきちんと重なって配置されているが、場合によってはずれて配置されることもある。また、意匠図は織物組織を示すものであり、織り継ぎ組織はこの意匠図には反映されていない。
【0013】
(比較例1)
図1は他の発明の織物の完全組織を表す意匠図を縦方向に2つ繋ぎ合わせたもので、図1の織物は経糸一重緯糸二重の7シャフトの織物である。この織物は奇数シャフトであるため本発明には該当しないが、本発明を詳しく説明するために比較用としてあげた。図2は図1の意匠図の経糸1、経糸2に沿った断面図であり、下面側緯糸にポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交織されている。経糸組織は1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本の上面側緯糸と3本の下面側緯糸の間を通り、次いで2本の上面側緯糸の上側を通り、次いで1本の上面側緯糸と下面側緯糸の間を通る組織である。このような奇数シャフトの交織織物では、1本の経糸がポリエステルフィラメント下面側緯糸とポリアミドフィラメント下面側緯糸の両方を交互に通る組織となる。つまり、図2を見てわかるように、経糸1ではポリエステルフィラメント下面側緯糸1´eの下側を通り、次の完全組織ではポリアミドフィラメント下面側緯糸1´Aの下側を通る。また、経糸2においてもポリアミドフィラメント下面側緯糸4´aの下側を通り、次の完全組織でポリエステルフィラメント下面側緯糸4´Eの下側を通る。このような奇数シャフトの織物の場合、組織上1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端部を出す織り継ぎ方式とすると、織り継ぎ部の経糸端部をポリエステルフィラメント、あるいはポリアミドフィラメントのどちらか一方の両側に出すよう選択することができる。例えば、経糸1ではポリエステルフィラメント下面側緯糸1´eを挟んでその両側に経糸端部を出す織り継ぎ組織とし、その隣の経糸2ではポリエステルフィラメント下面側緯糸4´Eを挟んでその両側に経糸端部を出す織り継ぎ組織とすればよい。そのような構成とすることで常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の両側に経糸端末が出る織り継ぎ組織となり、下面側緯糸のロングクリンプ形状が維持され、織り継ぎ部で生じる過剰に長いポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプが形成されないため過剰な摩耗が発生することもない。
【0014】
(従来例1)
それに対して図3は偶数シャフトの織物の意匠図を縦方向に2つ繋ぎ合わせたものであり、この織物は経糸一重緯糸二重の8シャフトの織物である。図4は図3の意匠図の経糸1、経糸2の経糸に沿った断面図であり、下面側緯糸にポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交織されている。経糸組織は1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本の上面側緯糸と下面側緯糸の間を通り、次いで2本の上面側緯糸の上側を通り、次いで2本の上面側緯糸と下面側緯糸の間を通る組織である。このような偶数シャフトの交織織物では、ポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側を通る第1経糸と、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通る第2経糸が存在し、それらが順次交互に配置される組織となる。つまり、図4を見てわかるように、経糸1(第1経糸)はポリエステルフィラメント下面側緯糸1´eの下側を通り、次の完全組織でもポリエステルフィラメント下面側緯糸1´Eの下側を通る。また、経糸2(第2経糸)はポリアミドフィラメント下面側緯糸4´aの下側を通り、次の完全組織でもポリアミドフィラメント下面側緯糸4´Aの下側を通る。このように偶数シャフトの織物の場合、組織上1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端部を出す織り継ぎ方式を用いると、第1経糸ではポリエステルフィラメントを挟んでその両側に経糸端末を出すことになり、第2経糸ではポリアミドフィラメントを挟んでその両側に経糸端末を出すことになる。それにより織物通常部では図5のように下面側緯糸は1本の経糸の上側を通り、次いで連続する7本の経糸の下側を通って下面側表面に経糸7本分のロングクリンプを形成する組織となるが、織り継ぎ部では第1経糸の端末に挟まれたポリエステルフィラメント下面側緯糸ロングクリンプは図6のようになり、第2経糸の端末に挟まれたポリアミドフィラメント下面側緯糸ロングクリンプは図7のようになる。ポリエステルは剛性に優れるため、図6のようにロングクリンプ形状はしっかりと維持され織物使用時であってもクリンプ形状がだれてしまうことはないが、一方のポリアミドフィラメント下面側緯糸ロングクリンプはポリアミドフィラメント下面側緯糸を支える経糸がないと、実質的に経糸15本分のポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプとなり、その長すぎるクリンプ形状はだれてしまい、特に水が介在する状況においては、クリンプ形状がだれた非常に長いロングクリンプは織物走行の際、マシンやロールと過剰に接触することで急激に摩耗してしまう。それにより経糸端部の抜けが発生したり、織り継ぎ部のろ水性が変化して端末の影響により紙にマークを与えたりして、品質のよい紙を抄造することができなくなる。場合によっては織り継ぎ部から破断して使用することができなくなってしまうこともある。
【0015】
(実施例1)
上記の問題を解決するために偶数シャフトの交織織物で、図8に示すような本発明の織り継ぎ方式を採用した。具体的には第1経糸では経糸端末を織物組織上通るべき1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に出す織り継ぎ方式とし、第2経糸では織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に用いた織り継ぎ方式とした。
織物組織上常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸では織物組織上、下面側緯糸の下側を通る部分で経糸が交差することなく該ポリエステルフィラメントを挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした。経糸端末に挟まれたポリエステルフィラメント下面側緯糸は剛性に優れるため図6のようにクリンプ形状が維持されて異常摩耗が生じることはない。また、織り継ぎ部の織り継ぎ組織をその織物の織物組織と同じとしたため糸の収まりがよく、表面性や織り継ぎ強度等に影響を与えることがない。
そして、織物組織上常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸では、第1経糸と同じように織物組織上経糸がポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通る部分で、該ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に端末を出す織物組織とすると、経糸端末に挟まれたポリアミドフィラメント下面側緯糸は図7のように経糸15本分もある過剰な長さのロングクリンプとなりこのポリアミドフィラメントに異常摩耗が発生してしまうことがあるため、第1経糸と異なる織り継ぎ組織とした。第2経糸では、織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした。つまり、図8の経糸2に示すように織物組織上通るべきポリアミドフィラメント下面側緯糸4´aの下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸5´eの上側を通り、次いでその隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸6´aの両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした。この織り継ぎ組織は、第1経糸と違って織物組織とは異なる織り継ぎ組織であるため、糸の収まりが第1経糸に比べて良いとはいえない。そのため、経糸端末をポリアミドフィラメントの両側に出し、経糸端部をその両側にあるポリエステルフィラメントで押さえ込むことで経糸端末の安定性を向上させた。図8の経糸2の図では、一方の経糸端部は織物組織上本来通るべき下面側緯糸4´aの下側を通った後、下面側緯糸5´eの上を通り、下面側緯糸6´aの横に経糸端末を配置し、もう一方の経糸端末は下面側緯糸6´aを挟むように配置した。もし、経糸を織物組織上通るべき下面側緯糸4´aの下側を通った後、下面側緯糸5´eと6´aの上を通り、下面側緯糸7´eの横に経糸端末を配置し、下面側緯糸7´eを挟むようにもう一方の経糸端末も配置する織り継ぎ組織とすると、経糸端末は両側のポリアミドフィラメント下面側緯糸6´aと8´aで押さえられることになり、織物組織と異なる織り継ぎ組織であるため経糸端末の収まりが悪いうえに、剛性のないポリアミドフィラメントで押さえられるため、経糸端部は次第に緩んで継ぎ手抜けを起こしてしまうことがあるため、第2経糸においてはポリアミドフィラメントの両側に経糸端末を出す構造とするのが重要である。
その他の経糸3〜8についても同様であり、第1経糸である経糸3、5、7は経糸1と同じ織り継ぎ方式とし、第2経糸である経糸4、6、8は経糸2と同じ織り継ぎ方式とした。
本実施例の第1経糸、第2経糸は完全組織で1度だけ下面側緯糸の下側を通って下面側ナックルを形成する組織であるが、場合によっては完全組織で2つ以上の経糸下面側ナックルを形成する組織であっても構わない。しかし、複数の経糸下面側ナックルを形成する組織の場合には、下面側表面に形成される下面側緯糸のクリンプの長さが短くなるため本発明のような特別な織り継ぎ方法を利用する必要のない場合があり、本実施例のように下面側表面にロングクリンプを形成する織物組織の場合に好適である。
このような織り継ぎ組織とすることで過剰に長いポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプが形成されることがないため、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の異常摩耗や継ぎ手抜け、織物の破断の発生、湿紙に対するマークの付与が生じることもない。
【0016】
(実施例2)
図9〜図11は本発明の他の実施例2を説明する図であり、図9は8シャフトの経糸一重緯糸二重織物の意匠図である。実施例1と異なる点は上面側緯糸と下面側緯糸の配置割合を1:1から2:1にしたところである。このような織物においても本発明の織り継ぎ方式を採用することができる。経糸組織は1本の下経糸の下側を通った後、3本の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通り、3本の上面側緯糸の上側を通り、2本の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る組織である。織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ経糸端末を織物組織上通るべき1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に出す織り継ぎ方式と、織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に用いた織り継ぎ方式とした。具体的には、織り継ぎ部では第1経糸である経糸1は組織上通るべきポリエステルフィラメント下面側緯糸5´eを挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とし、第2経糸である経糸2では織物組織上通るべきポリアミドフィラメント下面側緯糸11´aの下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸13´eの上側を通り、隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸15´aを挟んでその両側に端末を出す織り継ぎ組織とした。第2経糸の経糸端末は織物組織とは異なる織り継ぎ組織であるため経糸端末の収まりが第1経糸よりよいといえないが、経糸端末は両側のポリエステルフィラメント下面側緯糸13´eと1´eで押さえられるため、次第に緩んで継ぎ手抜けを起こしたり、破断してしまうことがない。
その他の経糸3〜8についても同様であり、第1経糸である経糸3、5、7は経糸1と同じ織り継ぎ方式とし、第2経糸である経糸4、6、8は経糸2と同じ織り継ぎ方式とした。
このような織り継ぎ組織とすることで過剰に長いポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプが形成されることがないため、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の異常摩耗や継ぎ手抜け、織物の破断の発生、湿紙に対するマークの付与が生じることもない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
過酷な使用条件においても織物の織り継ぎ部で異常摩耗やそれによって発生する継ぎ手抜けが生じることがないため、織物の表面性を低下させることなく使用末期まで長期間使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】比較例1の織物の意匠図である。
【図2】図1の意匠図の織物の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図3】8シャフトの経糸一重緯糸二重織物の意匠図である。
【図4】図3の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図5】図3の緯糸1´に沿った断面図である。
【図6】図3の織物の織り継ぎ部の緯糸1´eに沿った断面図である。
【図7】図3の織物の織り継ぎ部の緯糸4´aに沿った断面図である。
【図8】実施例1の図3の織物の織り継ぎ部の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図9】実施例2の織物の意匠図である。
【図10】図9の織物の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図11】図9の織物の織り継ぎ部の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1、2、3・・・経糸
1´、2´、3´・・・緯糸
1´e、3´e・・・ポリエステルフィラメント下面側緯糸
2´a、4´a・・・ポリアミドフィラメント下面側緯糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、有端状織物の両端部を織り継ぎにて無端状にする織り継ぎ組織に関するものであり、特には平滑性を必要とされる工業用多層織物の織り継ぎ組織に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より工業用織物は無端状に接合して使用することが多く、工業用織物としてはコンベアベルトや製紙用織物等がある。無端状に接合する方法には、特開平11−244615号公報のようにミシン継ぎによるものや、特表2002−511534号公報のように織物端部経糸を延長して折り返してループを作りそのループを重ね合わせて芯線を挿通して連結するものや、特開2004−115936号公報のように織物端部にスパイラルコイルを取付け両端のコイルのループを重ね合わせて芯線を挿通して連結するもの等、多種の方法がそれぞれの用途に応じて採用されている。しかし、接合部に他の部分と同等の構造、平滑性を要求される場合は、織り継ぎによる接合方法が採用されることが多い。
抄紙用織物は、接合部といえども紙にマークを発生させることは許されないため織り継ぎによる接合が不可欠であり、織り継ぎ部の良否は紙の品質に重大な影響を及ぼす。このように工業用織物の中でも最も要求が厳しい抄紙用織物について説明すればほとんどの工業用織物の要求とその解決について理解できるので、以下抄紙用織物を代表して本発明を説明する。
まず織り継ぎの方法を簡単に説明する。製織した有端状織物の両端部の緯糸を取り除いて経糸のみからなる部分を形成し、この両端の経糸のみからなる部分を対向させ、その間に予め作成しておいた経糸を取り除いて作成した緯糸のみからなる織り継ぎ片を設置し、この織り継ぎ片の緯糸を織り組織に合わせて開口させ、開口部に両端部の経糸のみからなる部分の経糸を両側から交互に挿入し、両端の経糸を突き合わせる。この織り継ぎの作業は現在では、ほとんどの場合自動織継機によって行われ、緯糸の開口はジャガードシステムで行われている。
織物組織に応じて端末方式は多様であるが、一般的には経糸の収まりがよいことから、織物組織を崩すことなく経糸が織物組織上通るべき1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を他の末端とで挟んで、この緯糸の両側に織物裏面つまりマシン接触面側に向けて端末を出す織り継ぎ方式とすることが多い。一般的には経糸の突き合わせ部は、平滑性、接合強度向上のために分散させ、端末は織物裏面側に出す方式とする。例えば特開平5−86594号公報の図4に示されているように、織物組織を崩すことなく経糸端末を多層織物の走行面側に向けて織り込む方法がある。織物組織、マーク性、織り継ぎ強度の関係から、経糸端末は同じ下面側緯糸を挟んで一列に配置されるのではなく、一般的にはこの図のように分散させて配置されるものである。
このようにして無端状にした工業用織物の織り継ぎ部は他の部分と組織がかわらないため紙にマークを与えることがなく表面性、平滑性に優れたものとなる。しかし、工業用織物は過酷な状況で使用されることが多く、特に織物の走行面側はロールやマシンとの接触により摩耗し、織り継ぎ部もダメージを受け、端末抜けが生じたり場合によっては織り継ぎ部から織物が破断してしまうことがあった。
【特許文献1】特開平11−244615号公報
【特許文献2】特表2002−511534号公報
【特許文献3】特開2004−115936号公報
【特許文献4】特開平5−86594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の問題に鑑みて、織り継ぎ部の異常摩耗や継ぎ手抜け等を防ぐための織り継ぎ方式及びその織り継ぎを用いて無端状とした工業用織物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
「1. 有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことによって無端状にする無端状工業用織物において、該工業用織物が少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織の経糸からなり、下面側織物を形成する下面側緯糸はポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交互に配置された偶数シャフトの多層織物であって、織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ1本の経糸が(a)1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式と、他の経糸が(b)1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に繰り返した工業用織物の織り継ぎ方法。
2. 1項に記載された工業用織物の下面側織物が、下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側表面に下面側緯糸のロングクリンプを形成する組織から構成され、且つ経糸が常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸と、常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸が交互に繰り返して配置されていることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
3. 1項または2項に記載された工業用織物を構成する経糸が、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織であることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
4. 1項ないし3項のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ部の端末方式が、第1経糸の端末方式を第1経糸が織物組織上1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とし、第2経糸の端末方式を第2経糸が織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした工業用織物の織り継ぎ方法。
5. ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末が、該ポリアミドフィラメントの上側で交差することなくポリアミドフィラメントの両側に配置された組織であって、経糸端末がポリアミドフィラメントの両側に配置されているポリエステルフィラメントによって押さえ込まれていることを特徴とする、1項ないし4項のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法。
6. 1項ないし5項のいずれか1項に記載された工業用織物が、経糸一重緯糸二重構造、または経糸一重緯糸三重構造である工業用織物の織り継ぎ方法。
7. 1項ないし6項のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法を用いて無端状とした無端状工業用織物。」
に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことで無端状にする工業用織物の織り継ぎ方法に特徴を有するものであり、織物組織及び摩耗を受け持つ下面側緯糸の各線材に適した織り継ぎ組織とすることで、織り継ぎ部で過剰な長さのポリアミドフィラメントの下面側緯糸ロングクリンプを形成させることなく異常摩耗やそれにより発生する継ぎ手抜け、織り継ぎ部からの破断、表面性への悪影響を防止するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は従来の問題に鑑みて、ポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントからなる無端状工業用織物の、織り継ぎ部の異常摩耗や継ぎ手抜け等を防ぐ織り継ぎ方法及びそれにより有端状に織り合わされた工業用織物を提供しようとするものである。
ポリエステルフィラメントは剛性に優れ、伸びが少なく、交差する糸を強力に織り合わせることができ、織り合わされて形成されるロングクリンプ形状が維持される。そのため、工業用織物の経糸や下面側緯糸に使用されることが多い。それに対してポリアミドフィラメントは耐摩耗性に優れるため、工業用織物の走行面側に使用されることが多い。これらの理由から特に多層織物の下面側織物では剛性と耐摩耗性を向上させるためにポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントを交互に配置(交織)したものが非常に多く使用されている。本発明は工業用無端状織物で多く使用されている交織織物の織り継ぎ方法に関するものである。
【0007】
本明細書内において、経糸とは織り継ぎ部で無端状に織り合わせる糸を意味し、緯糸とはその経糸と交差する糸を意味するものであって、製織時や使用時の経糸、緯糸に限定するものではない。また織り継ぎ方式とは、経糸の端部を緯糸に織り込んで無端状にする織り継ぎ部の経糸端末組織を意味するものである。つまりこの方式は組織という物を意味する。また、織物の使用用途において、上面側を搬送面、下面側をロール接触面としても、逆に上面側をロール接触面、下面側を搬送面として使用してもよい。
本発明の織物は1本の経糸により上面側緯糸、下面側緯糸を織り合わせる多層織物の織り継ぎ方法を対象としたものであり、少なくとも緯糸が2層に配置されているものであればよく、例えば上面側緯糸、下面側緯糸が上下に配置されているもの、上面側緯糸、中緯糸、下面側緯糸が積層されたものであってもよく、経糸一重緯糸二重織物、経糸一重緯糸三重織物等がある。緯糸の配置割合は、上面側緯糸と下面側緯糸を同数の割合で配置したものであっても、上面側緯糸を下面側緯糸より多く配置したものであってもよい。そして、経糸組織は少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織であり、下面側織物を構成する下面側緯糸は、ポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントを1本交互に配置(交織)した偶数シャフトの織物の織り継ぎ方法に限定する。
【0008】
本発明において、下面側織物を構成する下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側表面に下面側緯糸ロングクリンプを構成するものである。このようにして構成された織物は同じ組織の経糸で構成された偶数シャフトの織物であるため、経糸は常に1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸と、常に1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸が交互に繰り返して配置される。
一般的に織り継ぎ部の織り継ぎ組織をその織物の織物組織と変えない方が糸の収まりがよく、表面性、織り継ぎ強度等の問題から基本的には織物組織を崩すことなく織物組織上通るべき1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟むように経糸端部を下面側に向けて出す織り継ぎ方式とした。そして織物組織の関係上そのような織り継ぎ方法が好ましくない場合には、上面側表面組織は崩すことなく織物層内、及び下面側層での組織を織物組織とは異なるものとした。
【0009】
従来の織り継ぎ方法では織物組織に応じ経糸が走行面側側ナックルを形成する部分で、常にその下面側緯糸を挟んで経糸端末を出す方式としてきた。例えば経糸が完全組織で一度だけ下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する偶数シャフトの交織織物では、組織上、常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸ではポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に端末を出す織り継ぎ方式とし、また常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸ではポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に端末を出す織り継ぎ方式としてきた。第1経糸、第2経糸で同じ織り継ぎ方式とした場合、下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側にロングクリンプを形成する組織では、織り継ぎ部以外のところでは常に同じ長さの下面側緯糸ロングクリンプが形成されるが、織り継ぎ部では経糸端末が1本の下面側緯糸を挟んでその両側に配置されるため、実質的に経糸が下面側緯糸を下側から織り込まない部分ができるので、織り継ぎ部の経糸端末に挟まれているポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメント下面側緯糸は、実質的に緯糸完全組織2つ分のロングクリンプが形成されることになる。具体的には、1本の経糸の上を通った後、連続する7本の経糸の下側を通る組織の下面側緯糸の場合、織り継ぎ部では、1本の経糸の上側を通った後、連続する15本の経糸の下側を通る組織となってしまう。
ポリエステルフィラメント下面側緯糸であれば剛性がありクリンプ形状が保持されるため、織物使用時にだれてしまうことはないが、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の場合、剛性が乏しいことからポリアミドフィラメント下面側緯糸を支える経糸がないとクリンプ形状はだれてしまい、マシンやロールと過剰に接触し織物の走行によって急激に摩耗してしまう。特に水分が介在する状況で使用する場合にはポリアミドの剛性の低下は著しい。このような過剰な摩耗によって経糸端部の抜けが発生したり、織り継ぎ部のろ水性が変化して端末の影響により紙にマークを与えたりして、品質のよい紙を抄造することができなくなる。場合によっては織り継ぎ部から破断し使用することができなくなってしまうこともある。
【0010】
このような問題を解決するため、本発明は織り継ぎ部において過剰な長さのポリアミドフィラメント下面側緯糸ロングクリンプを形成しない織り継ぎ組織とすることで、織り継ぎ部の異常摩耗や継ぎ手抜け等の短命を防止することができる。また、そのような織り継ぎ方式においてはポリアミドフィラメントの両側に存在するポリエステルフィラメントで経糸端末を押さえることで、織り継ぎ部の織り合わせ強度向上も図れる。
本発明の織り継ぎ方式は、織物組織上、常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸では経糸端末を織物組織上通るべき1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に織物下面側に向けて出す織り継ぎ方式とし、そして織物組織上、常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸では、織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とし、これら経糸方式を1本交互に用いた織り継ぎ方式とした。また、この織り継ぎ組織とすることで上面側表面組織は崩されないものとする。そのためには、織物組織も経糸が1本のポリアミドフィラメント下緯糸の下側を通り、次いで2本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織とするとよい。このような部分がないと、第2経糸は上記に述べたような「織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織」を形成することができなくなり、本発明を達成することができない。また好ましくは、経糸が1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通り、次いで3本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織とするとよい。2本の間を通る組織では、経糸の引き込みが強く表面性に影響を与えてしまうことがあるため、3本以上の間を通る組織とするとよい。そして、ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末は、該ポリアミドフィラメントの上側で交差することなくポリアミドフィラメントの両側に配置され組織とするのが好ましい。密な織物で経糸が交差した織り継ぎ組織とするとその部分で経糸密度が高くなりろ水性等が他と変わってしまい表面性に悪影響を与えることがある。
【0011】
以上のような組織とすると、第2経糸は織り継ぎ部であっても織物組織上通るべきポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通る組織となるため、完全組織2つ分の過剰に長いロングクリンプは形成されることはなく、またポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末が、該ポリアミドフィラメントの両側に配置されているポリエステルフィラメントによって押さえ込まれるため、織り継ぎ強度の向上にもなる。
本発明の目的は、織り継ぎ部のポリアミドフィラメント下面側緯糸クリンプ長さを長くすることなく織物端部を強力に織り合わせるための織り継ぎ方式を提案するものであり、本発明の織り継ぎ方式を採用することで表面性、ろ水性を崩すことなく織り継ぎ強度にも優れた無端状織物とすることができる。
本発明に使用される糸は用途によって選択すればよいが、例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、あるいはこれらを撚り合わせるなどして組み合わせた糸が使用でき、糸の断面形状も円形だけでなく四角形状や星型等の短形状の糸や楕円形状、中空等の糸が使用できる。また、経糸、上面側緯糸、中緯糸の材質としても、自由に選択でき、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、綿、ウール、金属等が使用できる。もちろん、共重合体やこれらの材質に目的に応じてさまざまな物質をブレンドしたり含有させた糸を使用しても良い。また、下面側緯糸として使用するポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメントにおいても同様に、共重合体やこれらの材質に目的に応じてさまざまな物質をブレンドしたり含有させた糸を用いてもよい。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例を図を用いて説明する。また本発明をわかりやすく説明するために比較例、従来例も同様に図示して説明する。実施例、比較例、従来例では織物の完全組織を示す意匠図と、経糸、緯糸の断面図を用いた。完全組織とは、織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物全体の組織が形成される。意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3で示し、緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1´、2´、3´で示す。そして説明の中で上面側緯糸を表す時は1´、2´、3´で示し、下面側緯糸を示す時にはポリエステルフィラメント、ポリアミドフィラメントの区別ができるように、ポリエステルフィラメント下面側緯糸は末尾にe、またはEを付け、ポリアミドフィラメント下面側緯糸はa、またはAを付け、1´e、2´a、3´E、4´A等と表現した。そして意匠図上において、×印は経糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、○印は経糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示す。意匠図において便宜上、上面側緯糸、下面側緯糸は上下にきちんと重なって配置されているが、場合によってはずれて配置されることもある。また、意匠図は織物組織を示すものであり、織り継ぎ組織はこの意匠図には反映されていない。
【0013】
(比較例1)
図1は他の発明の織物の完全組織を表す意匠図を縦方向に2つ繋ぎ合わせたもので、図1の織物は経糸一重緯糸二重の7シャフトの織物である。この織物は奇数シャフトであるため本発明には該当しないが、本発明を詳しく説明するために比較用としてあげた。図2は図1の意匠図の経糸1、経糸2に沿った断面図であり、下面側緯糸にポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交織されている。経糸組織は1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本の上面側緯糸と3本の下面側緯糸の間を通り、次いで2本の上面側緯糸の上側を通り、次いで1本の上面側緯糸と下面側緯糸の間を通る組織である。このような奇数シャフトの交織織物では、1本の経糸がポリエステルフィラメント下面側緯糸とポリアミドフィラメント下面側緯糸の両方を交互に通る組織となる。つまり、図2を見てわかるように、経糸1ではポリエステルフィラメント下面側緯糸1´eの下側を通り、次の完全組織ではポリアミドフィラメント下面側緯糸1´Aの下側を通る。また、経糸2においてもポリアミドフィラメント下面側緯糸4´aの下側を通り、次の完全組織でポリエステルフィラメント下面側緯糸4´Eの下側を通る。このような奇数シャフトの織物の場合、組織上1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端部を出す織り継ぎ方式とすると、織り継ぎ部の経糸端部をポリエステルフィラメント、あるいはポリアミドフィラメントのどちらか一方の両側に出すよう選択することができる。例えば、経糸1ではポリエステルフィラメント下面側緯糸1´eを挟んでその両側に経糸端部を出す織り継ぎ組織とし、その隣の経糸2ではポリエステルフィラメント下面側緯糸4´Eを挟んでその両側に経糸端部を出す織り継ぎ組織とすればよい。そのような構成とすることで常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の両側に経糸端末が出る織り継ぎ組織となり、下面側緯糸のロングクリンプ形状が維持され、織り継ぎ部で生じる過剰に長いポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプが形成されないため過剰な摩耗が発生することもない。
【0014】
(従来例1)
それに対して図3は偶数シャフトの織物の意匠図を縦方向に2つ繋ぎ合わせたものであり、この織物は経糸一重緯糸二重の8シャフトの織物である。図4は図3の意匠図の経糸1、経糸2の経糸に沿った断面図であり、下面側緯糸にポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交織されている。経糸組織は1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本の上面側緯糸と下面側緯糸の間を通り、次いで2本の上面側緯糸の上側を通り、次いで2本の上面側緯糸と下面側緯糸の間を通る組織である。このような偶数シャフトの交織織物では、ポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側を通る第1経糸と、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通る第2経糸が存在し、それらが順次交互に配置される組織となる。つまり、図4を見てわかるように、経糸1(第1経糸)はポリエステルフィラメント下面側緯糸1´eの下側を通り、次の完全組織でもポリエステルフィラメント下面側緯糸1´Eの下側を通る。また、経糸2(第2経糸)はポリアミドフィラメント下面側緯糸4´aの下側を通り、次の完全組織でもポリアミドフィラメント下面側緯糸4´Aの下側を通る。このように偶数シャフトの織物の場合、組織上1本の下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端部を出す織り継ぎ方式を用いると、第1経糸ではポリエステルフィラメントを挟んでその両側に経糸端末を出すことになり、第2経糸ではポリアミドフィラメントを挟んでその両側に経糸端末を出すことになる。それにより織物通常部では図5のように下面側緯糸は1本の経糸の上側を通り、次いで連続する7本の経糸の下側を通って下面側表面に経糸7本分のロングクリンプを形成する組織となるが、織り継ぎ部では第1経糸の端末に挟まれたポリエステルフィラメント下面側緯糸ロングクリンプは図6のようになり、第2経糸の端末に挟まれたポリアミドフィラメント下面側緯糸ロングクリンプは図7のようになる。ポリエステルは剛性に優れるため、図6のようにロングクリンプ形状はしっかりと維持され織物使用時であってもクリンプ形状がだれてしまうことはないが、一方のポリアミドフィラメント下面側緯糸ロングクリンプはポリアミドフィラメント下面側緯糸を支える経糸がないと、実質的に経糸15本分のポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプとなり、その長すぎるクリンプ形状はだれてしまい、特に水が介在する状況においては、クリンプ形状がだれた非常に長いロングクリンプは織物走行の際、マシンやロールと過剰に接触することで急激に摩耗してしまう。それにより経糸端部の抜けが発生したり、織り継ぎ部のろ水性が変化して端末の影響により紙にマークを与えたりして、品質のよい紙を抄造することができなくなる。場合によっては織り継ぎ部から破断して使用することができなくなってしまうこともある。
【0015】
(実施例1)
上記の問題を解決するために偶数シャフトの交織織物で、図8に示すような本発明の織り継ぎ方式を採用した。具体的には第1経糸では経糸端末を織物組織上通るべき1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に出す織り継ぎ方式とし、第2経糸では織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に用いた織り継ぎ方式とした。
織物組織上常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸では織物組織上、下面側緯糸の下側を通る部分で経糸が交差することなく該ポリエステルフィラメントを挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした。経糸端末に挟まれたポリエステルフィラメント下面側緯糸は剛性に優れるため図6のようにクリンプ形状が維持されて異常摩耗が生じることはない。また、織り継ぎ部の織り継ぎ組織をその織物の織物組織と同じとしたため糸の収まりがよく、表面性や織り継ぎ強度等に影響を与えることがない。
そして、織物組織上常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸では、第1経糸と同じように織物組織上経糸がポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通る部分で、該ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に端末を出す織物組織とすると、経糸端末に挟まれたポリアミドフィラメント下面側緯糸は図7のように経糸15本分もある過剰な長さのロングクリンプとなりこのポリアミドフィラメントに異常摩耗が発生してしまうことがあるため、第1経糸と異なる織り継ぎ組織とした。第2経糸では、織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした。つまり、図8の経糸2に示すように織物組織上通るべきポリアミドフィラメント下面側緯糸4´aの下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸5´eの上側を通り、次いでその隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸6´aの両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした。この織り継ぎ組織は、第1経糸と違って織物組織とは異なる織り継ぎ組織であるため、糸の収まりが第1経糸に比べて良いとはいえない。そのため、経糸端末をポリアミドフィラメントの両側に出し、経糸端部をその両側にあるポリエステルフィラメントで押さえ込むことで経糸端末の安定性を向上させた。図8の経糸2の図では、一方の経糸端部は織物組織上本来通るべき下面側緯糸4´aの下側を通った後、下面側緯糸5´eの上を通り、下面側緯糸6´aの横に経糸端末を配置し、もう一方の経糸端末は下面側緯糸6´aを挟むように配置した。もし、経糸を織物組織上通るべき下面側緯糸4´aの下側を通った後、下面側緯糸5´eと6´aの上を通り、下面側緯糸7´eの横に経糸端末を配置し、下面側緯糸7´eを挟むようにもう一方の経糸端末も配置する織り継ぎ組織とすると、経糸端末は両側のポリアミドフィラメント下面側緯糸6´aと8´aで押さえられることになり、織物組織と異なる織り継ぎ組織であるため経糸端末の収まりが悪いうえに、剛性のないポリアミドフィラメントで押さえられるため、経糸端部は次第に緩んで継ぎ手抜けを起こしてしまうことがあるため、第2経糸においてはポリアミドフィラメントの両側に経糸端末を出す構造とするのが重要である。
その他の経糸3〜8についても同様であり、第1経糸である経糸3、5、7は経糸1と同じ織り継ぎ方式とし、第2経糸である経糸4、6、8は経糸2と同じ織り継ぎ方式とした。
本実施例の第1経糸、第2経糸は完全組織で1度だけ下面側緯糸の下側を通って下面側ナックルを形成する組織であるが、場合によっては完全組織で2つ以上の経糸下面側ナックルを形成する組織であっても構わない。しかし、複数の経糸下面側ナックルを形成する組織の場合には、下面側表面に形成される下面側緯糸のクリンプの長さが短くなるため本発明のような特別な織り継ぎ方法を利用する必要のない場合があり、本実施例のように下面側表面にロングクリンプを形成する織物組織の場合に好適である。
このような織り継ぎ組織とすることで過剰に長いポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプが形成されることがないため、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の異常摩耗や継ぎ手抜け、織物の破断の発生、湿紙に対するマークの付与が生じることもない。
【0016】
(実施例2)
図9〜図11は本発明の他の実施例2を説明する図であり、図9は8シャフトの経糸一重緯糸二重織物の意匠図である。実施例1と異なる点は上面側緯糸と下面側緯糸の配置割合を1:1から2:1にしたところである。このような織物においても本発明の織り継ぎ方式を採用することができる。経糸組織は1本の下経糸の下側を通った後、3本の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通り、3本の上面側緯糸の上側を通り、2本の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る組織である。織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ経糸端末を織物組織上通るべき1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に出す織り継ぎ方式と、織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に用いた織り継ぎ方式とした。具体的には、織り継ぎ部では第1経糸である経糸1は組織上通るべきポリエステルフィラメント下面側緯糸5´eを挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とし、第2経糸である経糸2では織物組織上通るべきポリアミドフィラメント下面側緯糸11´aの下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸13´eの上側を通り、隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸15´aを挟んでその両側に端末を出す織り継ぎ組織とした。第2経糸の経糸端末は織物組織とは異なる織り継ぎ組織であるため経糸端末の収まりが第1経糸よりよいといえないが、経糸端末は両側のポリエステルフィラメント下面側緯糸13´eと1´eで押さえられるため、次第に緩んで継ぎ手抜けを起こしたり、破断してしまうことがない。
その他の経糸3〜8についても同様であり、第1経糸である経糸3、5、7は経糸1と同じ織り継ぎ方式とし、第2経糸である経糸4、6、8は経糸2と同じ織り継ぎ方式とした。
このような織り継ぎ組織とすることで過剰に長いポリアミドフィラメント下面側緯糸のロングクリンプが形成されることがないため、ポリアミドフィラメント下面側緯糸の異常摩耗や継ぎ手抜け、織物の破断の発生、湿紙に対するマークの付与が生じることもない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
過酷な使用条件においても織物の織り継ぎ部で異常摩耗やそれによって発生する継ぎ手抜けが生じることがないため、織物の表面性を低下させることなく使用末期まで長期間使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】比較例1の織物の意匠図である。
【図2】図1の意匠図の織物の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図3】8シャフトの経糸一重緯糸二重織物の意匠図である。
【図4】図3の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図5】図3の緯糸1´に沿った断面図である。
【図6】図3の織物の織り継ぎ部の緯糸1´eに沿った断面図である。
【図7】図3の織物の織り継ぎ部の緯糸4´aに沿った断面図である。
【図8】実施例1の図3の織物の織り継ぎ部の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図9】実施例2の織物の意匠図である。
【図10】図9の織物の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【図11】図9の織物の織り継ぎ部の経糸1、経糸2に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1、2、3・・・経糸
1´、2´、3´・・・緯糸
1´e、3´e・・・ポリエステルフィラメント下面側緯糸
2´a、4´a・・・ポリアミドフィラメント下面側緯糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことによって無端状にする無端状工業用織物において、該工業用織物が少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織の経糸からなり、下面側織物を形成する下面側緯糸はポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交互に配置された偶数シャフトの多層織物であって、織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ1本の経糸が(a)1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式と、他の経糸が(b)1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に繰り返した工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項2】
請求項1に記載された工業用織物の下面側織物が、下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側表面に下面側緯糸のロングクリンプを形成する組織から構成され、且つ経糸が常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸と、常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸が交互に繰り返して配置されていることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された工業用織物を構成する経糸が、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織であることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ部の端末方式が、第1経糸の端末方式を第1経糸が織物組織上1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とし、第2経糸の端末方式を第2経糸が織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項5】
ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末が、該ポリアミドフィラメントの上側で交差することなくポリアミドフィラメントの両側に配置された組織であって、経糸端末がポリアミドフィラメントの両側に配置されているポリエステルフィラメントによって押さえ込まれていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載された工業用織物が、経糸一重緯糸二重構造、または経糸一重緯糸三重構造である工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法を用いて無端状とした無端状工業用織物。
【請求項1】
有端状織物の経糸端部を緯糸に織り込むことによって無端状にする無端状工業用織物において、該工業用織物が少なくとも1本の上面側緯糸の上側を通り、1本の下面側緯糸の下側を通る組織の経糸からなり、下面側織物を形成する下面側緯糸はポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントが交互に配置された偶数シャフトの多層織物であって、織り継ぎ部では経糸端末を織物下面側に向けた織り継ぎ方式で、且つ1本の経糸が(a)1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式と、他の経糸が(b)1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んでその両側に経糸端末を出す織り継ぎ方式とを経糸1本交互に繰り返した工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項2】
請求項1に記載された工業用織物の下面側織物が、下面側緯糸が1本の経糸の上側を通り、次いで複数本の経糸の下側を通って下面側表面に下面側緯糸のロングクリンプを形成する組織から構成され、且つ経糸が常にポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第1経糸と、常にポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側に経糸ナックルを形成する第2経糸が交互に繰り返して配置されていることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された工業用織物を構成する経糸が、1本の下面側緯糸の下側を通り、次いで3本以上の下面側緯糸と複数本の上面側緯糸の間を通る部分を有する組織であることを特徴とする工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ部の端末方式が、第1経糸の端末方式を第1経糸が織物組織上1本のポリエステルフィラメント下面側緯糸の下側を通る部分でその下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とし、第2経糸の端末方式を第2経糸が織物組織上通るべき1本のポリアミドフィラメント下面側緯糸の下側を通った後、隣のポリエステルフィラメント下面側緯糸の上側を通り、その隣のポリアミドフィラメント下面側緯糸を挟んで両側に経糸端末を出す織り継ぎ組織とした工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項5】
ポリアミドフィラメントを挟んでその両側に配置された経糸端末が、該ポリアミドフィラメントの上側で交差することなくポリアミドフィラメントの両側に配置された組織であって、経糸端末がポリアミドフィラメントの両側に配置されているポリエステルフィラメントによって押さえ込まれていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載された工業用織物が、経糸一重緯糸二重構造、または経糸一重緯糸三重構造である工業用織物の織り継ぎ方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載された工業用織物の織り継ぎ方法を用いて無端状とした無端状工業用織物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−152492(P2006−152492A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345527(P2004−345527)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000229818)日本フイルコン株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000229818)日本フイルコン株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
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