説明

工芸ガラス用アクリル系接着剤

【課題】微少水分存在下でも高接着強度を有する感光性組成物を提供する。
【解決手段】ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上と、分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルと、光増感剤と、シランカツプリング剤を含有し、好ましくは多官能重合性ビニルモノマーを含有することを特徴とする硬化性組成物であり、好ましくは、ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上が、水素添加1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレート、又は1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレートのいずれか一方を有することを特徴とする前記の硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線等のエネルギー線で硬化するアクリル系接着剤に関する。さらに詳しくは、工芸ガラスの台座、皿の固定用途に最適な紫外線で硬化するアクリル系接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いろいろな感光性材料が、エネルギー線による化学反応の利用に裏づけられ、複写用感光材、デイスプレ−用素材、インキ、塗料、IC分野などでのパターン形成、透明体の接着などにおいて、盛んに用いられている。
【0003】
一般に感光性組成物の硬化には、紫外線、可視光、赤外光、電子線、X線などのエネルギー線が用いられているが、最も一般的に利用されているものは紫外線である。
【0004】
紫外線の波長としては200〜400nmのものが使用され、光源としては、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、メタルハライドランプなどが使用されている。
【0005】
感光性組成物の構成としては、一般に重合性のビニルモノマーと光増感剤よりなり、この光増感剤が光エネルギーを吸収することにより重合が開始し、硬化反応が進行するものであるが、ビニルモノマーの種類や光増感剤の種類により、作業性に係る感光性組成物の臭気、毒性があったり、硬化時間が悪影響を受けたり、また、硬化物の特性すなわち被着物への密着性、透明性、使用環境下での耐久性などにも大きく影響される。
【0006】
例えば、特許文献1には、1,2―ポリブタジエンオリゴマー、光反応性の不飽和結合を有するカルボン酸エステル及び光重合開始剤よりなる感光性組成物が記載されているが、そこに示される組成では、硬化時間は速いが、開示されているビニルモノマー系では臭気あるいは被着物への密着性が十分でなくさらに硬化後の樹脂が不飽和結合を有するために耐光性に問題がある。
【0007】
また、特許文献2には、分子内にブタジエン結合をもつ液状高分子物質と光エネルギーによって活性化しやすい分子内にエステル基を有するメタアクリル酸エステルモノマー又はアクリル酸エステルモノマーとを主成分とする感光性接着剤が記載されているが、そこに示される感光性接着剤では、被着物に対する密着性は良好であるが、その硬化時間は高圧水銀灯の照射で5分という長時間を要し耐候性も十分ではない。
【0008】
また、特許文献3には、1,2−ポリブタジエンオリゴマー、分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル及び光重合開始剤よりなる感光性組成物が記載されているが、開示されているビニルモノマー系では耐湿性、耐水強度は高いが、微少水分存在下での接着強度に問題がある。
【特許文献1】特公昭52−049033号公報
【特許文献2】特公昭52−008856号公報
【特許文献3】特公昭61−236809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、極く短時間に硬化し、被着物への接着強度及び耐候性を改良し前記公知技術をことごとく解決、かつ、微少水分存在下でも高接着強度を有する感光性組成物を提供することを目的に検討し、本発明に至ったものである。
【0010】
即ち、本発明の目的は、従来技術の前記課題を解決し、微少水分存在下でも高接着強度を有する感光性組成物を提供すること、より具体的には、工芸ガラス製品を台座や皿に固定したり、工芸ガラス製品同士を接着し、固定するのに好適な程に作業時間を十分に取ることができ、被着体に対して高い接着力を有し、紫外線の照射により数秒から数分の短時間で硬化し、水分の影響を受けにくいという特徴を有する接着剤とそれに好適な感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(3)光増感剤、(4)シランカツプリング剤を含有することを特徴とする硬化性組成物である。
【0012】
本発明は、更に(5)多官能重合性ビニルモノマーを含有することを特徴とする前記の硬化性組成物である。
【0013】
本発明は、(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上が、水素添加1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレート、又は1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレートのいずれか一方を有することを特徴とする前記の硬化性組成物である。
【0014】
本発明は、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである前記の硬化性組成物である。
【0015】
本発明は、(3)光増感剤が、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン(「ベンジルメチルケタール」とも呼ばれる)である前記の硬化性組成物である。
【0016】
本発明は、(5)多官能重合性ビニルモノマーが、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、5−エチル−2−(2ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンのモノ又はジアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアルコキシジアクリレート、ピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノ−ルAアルコキシジアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリアクリレート、及びイソホロンジイソシアネート2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる群から選ばれる1種以上である前記の硬化性組成物である。
【0017】
本発明は、(4)シランカツプリング剤が、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ガンマメタクロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及び3−グリドキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる1種以上である前記の硬化性組成物である。
【0018】
また、本発明は、前記の硬化性組成物からなる接着剤であり、好ましくは、工芸ガラスに用いられることを特徴とする前記の接着剤である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の硬化性組成物は、結露(水分)の影響を受けること無く硬化し、また、被着物とりわけガラス等の無機質材料への密着性、長期耐湿性が高い特徴がある。そして、その性質故に、例えば工芸ガラス製品の製品同士、製品と台座や皿等との接着に好適に使用することができる。本発明の硬化性組成物は、硬化の際に、水分の影響を受けることなく、接着強度の低下が少ない特徴をも有しているので、硬化工程に於いて乾燥炉を省略でき、光熱費の削減、作業性を高めることができる特徴もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に於いて、ブチレン重合体としてはポリイソブチレンが代表的であり、ブタジエン重合体としてはポリブタジエンが代表的であり、またこの重合体の変性物として、末端がOH基、COOH基または末端ビニル変性物なども使用できる。
【0021】
本発明に於いて、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体としては、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、イソブチレン−p−クロロスチレン共重合体等があり、またこれらの重合体の変性物として、末端がOH基、COOH基または末端ビニル変性物などがあげられる。尚、ここで用いるブテン重合体は構造中にブテンの繰返し単位が存在すれば、その製法は限定されない。また、ブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体としては、ブタジエン−アクリルニトリル共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体等があり、またこれらの重合体変性物として、末端がOH基、COOH基または末端ビニル変性物などがあげられる。 また、これらの重合体は、感光性組成物としての他の共存するものとの相溶性、粘度調節などの観点から分子量1000ないし20万のものが適している。
【0022】
更に、本発明に於いては、ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上、水素添加1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレート(以下「TEAI−1000」と略す)、1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレート(以下「TE−2000」と略す)が好ましく用いられる。
【0023】
(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上の配合量については、(1)ブチレン重合体、及びブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(5)多官能重合性ビニルモノマーとの合計100質量部に対して、5〜70重量部が好ましく、40〜60質量部がより好ましい。
【0024】
本発明に於いて、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ビスフエノールAモノ(メタ)アクリレートなどがあげられる。このうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましく選択される。
【0025】
(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルの配合量については、(1)ブチレン重合体、及びブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(5)多官能重合性ビニルモノマーとの合計100質量部に対して、2〜50重量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
【0026】
本発明に於いて、(3)光増感剤としては、アセトフエノン類、ベンゾフエノンミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、チオキサンソン類、アゾ化合物等種々のものが使用できるが、特に2,2−ジメトキシアセトフエノン、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン(「ベンジルジメチルケタール」とも言う)、2,2−ジエトキシアセトフエノン、2,2−ジプロオキシアセトフエノン、2,2−ジメトキシ−2−クロルフエニルアセトフエノン、2,2−ジメトキシ−2−アミノフエニルアセトフエノン等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、ベンゾフェノン系紫外線開始剤が好ましく、ベンジルジメチルケタールがより好ましい。
【0027】
(3)光増感剤の配合量については、(1)ブチレン重合体、及びブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(5)多官能重合性ビニルモノマーとの合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
【0028】
本発明に於いて、(5)多官能重合性ビニルモノマーとしては、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、5−エチル−2−(2ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンのモノ又はジアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアルコキシジアクリレート、ピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノ−ルAアルコキシジアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリアクリレート、イソホロンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0029】
(5)多官能重合性ビニルモノマーの配合量については、(1)ブチレン重合体、及びブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(5)多官能重合性ビニルモノマーとの合計100質量部に対して、5〜50重量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。
【0030】
(1)と(2)の配合比率(質量比)については、99:1から55:45がその相溶性から特に好ましい。
【0031】
これらの組成物には他の相溶する有機化合物を添加することもできる。例えば、メチルメタクリレート等の水酸基を含有しないビニルモノマー、可塑剤、界面活性剤、シランカツプリング剤、酸性リン酸化合物などである。
【0032】
ここで、(4)シランカツプリング剤は、(1)と(2)の共存下での添加は、被着物とりわけガラス等の無機質材料の表面への密着性を向上させ、長期の耐湿耐水性を向上させる効果が得られることから、本発明に於いて、好ましい実施態様を提供する。
【0033】
本組成物に於いて、種々のシランカツプリング剤が使用できるが、その中でも特に、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ガンマメタクロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン等が有効であり、その添加量は、(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(5)多官能重合性ビニルモノマーとの合計100質量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
【0034】
また、本発明の組成物は、酸性リン酸化合物の添加により、金属との密着生を向上させることができる。本組成物に於いて、種々の酸性リン酸化合物が使用できるが、その中でも特に、(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)アシッドホスフエート、2−ヒドロキシエチルアクリレート・アシッドホスフエート、ジ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)アシッドホスフエート等が有効であり、その添加量は、(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(5)多官能重合性ビニルモノマーとの合計100質量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
【0035】
この他、必要に応じて、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−タシャリーブチルフェノル)等の老化防止剤、チクソ付与剤、非反応性ポリマ−、増粘剤、酸化防止剤、消泡剤、その他諸々の紫外線の透過性の良い無機系、有機系の充填材を組み合わせて用いることができる。また、その添加量は、(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(5)多官能重合性ビニルモノマーとの合計100質量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
末端ビニル型ポリブチレンオリゴマ−〔平均分子量1300(日本曹達社「TEAI−1000」)〕63g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート37g、メチルメタクリレート25gおよび2,2−メチレンビス(4−メチル−6−タシャリーブチルフェノール)0.13gを300mlの三つ口フラスコに入れ、フラスコを70℃に加温しながら2時間撹拌した。ガンマメタクロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカ−社「A−174」)1.30gと2,2−ジメトキシ−2フエニルアセトフエノン1.30g、及び(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフエート(城北化学工業社「JPA−514」)1.30gを加え、室温にもどし、冷暗所で1時間撹拌し試料(1)を調整した。
【0037】
(実施例2)
末端ビニル型ポリブチレンオリゴマ−〔平均分子量1300(日本曹達社「TEAI−1000」)〕63g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート37g、メチルメタクリレート25gおよび2,2−メチレンビス(4−メチル−6−タシャリーブチルフェノール)0.13を300mlの三つ口フラスコに入れ、フラスコを70℃に加温しながら2時間撹拌した。3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン1.30gと2,2−ジメトキシ−2フエニルアセトフエノン1.30g、及び(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフエート(城北化学工業社「JPA−514」)1.30gを加え、室温にもどし、冷暗所で1時間撹拌し試料(2)を調整した。
【0038】
(実施例3)
ビニル型ポリブタジエンオリゴマ−(日本曹達社「TE−2000」)50g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30g、ポリプロピレングリコールジアクリレート20gおよび2,2−メチレンビス(4−メチル−6−タシャリーブチルフェノール)0.1gを300mlの三つ口フラスコに入れ、フラスコを70℃に加温しながら2時間撹拌した。ガンマメタクロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカ−社「A−174」)1.0gと2,2−ジメトキシ−2フエニルアセトフエノン1.0g、及び(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフエート(城北化学工業社「JPA−514」)1.0gを加え、室温にもどし、冷暗所で1時間撹拌し試料(3)を調整した。
【0039】
(実施例4)
ビニル型ポリブタジエンオリゴマ−(日本曹達社「TE−2000」)42g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23g、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート30g、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート5gおよび2,2−メチレンビス(4−メチル−6−タシャリーブチルフェノール)0.1gを300mlの三つ口フラスコに入れ、フラスコを70℃に加温しながら2時間撹拌した。ガンマメタクロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカ−社「A−174」)1.0gと2,2−ジメトキシ−2フエニルアセトフエノン2.0g、及び(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフエート(城北化学工業社「JPA−514」)1.0gを加え、室温にもどし、冷暗所で1時間撹拌し試料(4)を調整した。
【0040】
(実施例5)
末端ビニル型ポリブチレンオリゴマ−〔平均分子量1300(日本曹達社「TEAI−1000」)〕63g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート37g、メチルメタクリレート25g、二酸化ケイ素(日本アエロジル社「R−974」)1.30gおよび2,2−メチレンビス(4−メチル−6−タシャリーブチルフェノール)0.13を300mlの三つ口フラスコに入れ、フラスコを70℃に加温しながら2時間撹拌した。ビニール−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン(日本ユニカー社「A−172」)1.30gと2,2−ジメトキシ−2フエニルアセトフエノン1.30g、及び(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフエート(城北化学工業社「JPA−514」)1.30gを加え、室温にもどし、冷暗所で1時間撹拌し試料(5)を調整した。
【0041】
(比較例1〜5)
実施例1〜5において、(4)シランカップリング剤を用いない硬化性組成物を作成し、比較の例とした。
【0042】
<常態接着強度>
23℃×50%RH雰囲気中に於いて、ガラス試験片(2枚)を各試料にて貼り合わせ、紫外線を照射させて硬化し、鉄試験片を補強材としてガラス面に接着して、引っ張り試験機を使用して、引っ張り剪断接着強さを測定した。硬化は酸素雰囲気中で行った。
引っ張り速度 :10 mm/min
・接着面積 :6.25mm×5mm=0.3125cm2
・接着剤膜厚さ :50 μm
・紫外線照射量 :3000mJ/cm
・紫外線照射装置:BL−100(スタンレー社製)
評価結果は次のように範囲分けした。
◎;20 MPa以上
○;15 MPa以上
△;10 MPa以上
×;10 MPa未満
【0043】
<耐湿性>
前記常態接着強度と同じ条件で試料を作製し、60℃×90%RH雰囲気中に500時間放置後、前記常態接着強度と同じ方法で、引っ張り剪断接着強さを測定した。
【0044】
<水分下接着強度>
−20℃(冷凍庫)雰囲気中にガラス試験片(2枚)を10分間放置後、23℃×50%RH雰囲気中に取り出し、各試料にて貼り合わせ、紫外線を照射させて硬化し、引っ張り剪断接着強さを測定した。貼り合わせ、硬化、測定条件は常態接着強度法と同じ。
【0045】
実施例1〜5並びに比較例1〜5について、組成配合と各種物性測定結果を表1及び表2に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の硬化性組成物は、結露(水分)の影響を受けること無く、紫外線等のエネルギー線により硬化し、また、被着物とりわけガラス等の無機質材料への密着性、長期耐湿性が高い特徴があるので、例えば工芸ガラス製品の製品同士、製品と台座や皿等との接着に好適に使用することができるので、産業上極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上、(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、(3)光増感剤、(4)シランカツプリング剤を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
更に(5)多官能重合性ビニルモノマーを含有することを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
(1)ブチレン重合体、ブチレンと他の重合性モノマーとの共重合体、ブタジエン重合体、及びブタジエンと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる一種以上が、水素添加1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレート、又は1,2−ポリブタジエン末端ウレタンアクリレートのいずれか一方を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
(2)分子内に水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
(3)光増感剤が、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノンである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
(5)多官能重合性ビニルモノマーが、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、5−エチル−2−(2ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンのモノ又はジアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアルコキシジアクリレート、ピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノ−ルAアルコキシジアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリアクリレート、及びイソホロンジイソシアネート2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
(4)シランカツプリング剤が、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ガンマメタクロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及び3−グリドキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる1種以上である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる接着剤。
【請求項9】
工芸ガラスに用いられることを特徴とする請求項8記載の接着剤。

【公開番号】特開2008−69239(P2008−69239A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248370(P2006−248370)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】