説明

差圧・圧力伝送器とその製造方法

【課題】予加重のバラツキが抑えられた保護ダイアフラムを備えた差圧・圧力伝送器を提供する。
【解決手段】複数の接液ダイアフラム(9)と保護ダイアフラム(1)を有し、空間の圧力を当該空間の外部に伝送する伝送経路(13)を有する受圧部材(1,7,9)を複数備えるダイアフラム式の差圧・圧力伝送器(100)において、受圧部本体(19)は、保護ダイアフラム(1)の外周部(51)に接する外周面(25)を有し、受圧部材(7)は、接液ダイアフラム(9)に接する第1の面(71)と、保護ダイアフラム(1)に接する第2の面(5)とを具備し、第2の面(5)は、保護ダイアフラム(1)の内周部(52,53)に接する内周面(5)を有し、内周面(5)は、保護ダイアフラム(1)の内周部(52,53)を押圧するように、外周部(51)よりも高くなった段付の凸状部として形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業計測に用いられる差圧・圧力伝送器に係り、特に過大な圧力が印加された場合であってもセンサに圧力が伝達されず、センサ破損を防止することができる差圧・圧力伝送器に関する。
【背景技術】
【0002】
過大な圧力が印加された場合であってもセンサに圧力が伝達されず、センサ破損を防止することができる差圧・圧力伝送器は、3枚ダイアフラム方式のものが知られている。これは、受圧部のプロセス流体側に接する高圧・低圧側接液ダイアフラムが各1枚、受圧部内部のセンターダイアフラムが1枚、の合計3枚のダイアフラムを有している(例えば、特許文献1)。そして、この方式では、プロセス圧力によってセンターダイアフラムは両側に移動し、印加された側の接液ダイアフラムが受圧部に密着することで、圧力センサを過大圧から保護している。
【0003】
さらに、この3枚ダイアフラム方式の他に、センターダイアフラムをもう1枚追加した4枚ダイアフラム方式がある。この方式では、高圧・低圧側のそれぞれのセンターダイアフラムは、一方向にしか移動しないようにしている(例えば、特許文献2または3)。この4枚ダイアフラム方式では、予め、所定の形状に形成された予加重ダイアフラムが、凹状に形成された予加重ダイアフラム座面へ接触させて配置されている。そして、所定の圧力以下では予加重ダイアフラムは本体ボディーに常に密着しており、所定の圧力以上の圧力が印加されたときに初めて予加重ダイアフラムは本体ボディーの予加重ダイアフラム座面から離れ、過大圧力を吸収する構成となっている。
【特許文献1】特開昭60−185130号公報
【特許文献2】特開2006−126214号公報
【特許文献3】特開2004−117086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来技術における予加重ダイアフラムは、予加重ダイアフラム自体を凹形状に形成された本体ボディーの接液面へ押し当てて溶接などにより固定することで予加重を得ている。このように、本体のボディーへ接地するよう押し当てた状態を維持したまま溶接で固定した場合、溶接時の熱影響などにより、予加重にバラツキが発生するおそれがある。予加重にバラツキが生ずると、安定した過大圧保護機構を得ることが困難となる。
【0005】
本発明は、予加重のバラツキが抑えられた保護ダイアフラムを備えた差圧・圧力伝送器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、受圧部本体内に形成され、差圧を計測する計測対象のプロセス流体から圧力を受ける部位に設けられる接液ダイアフラムと前記プロセス流体からは直接に圧力を受けない部位に設けられる保護ダイアフラムとにより仕切られる空間を有するとともに、前記空間の圧力を当該空間の外部に伝送する伝送経路を有する受圧部材を複数備える差圧・圧力伝送器において、前記受圧部本体は、前記保護ダイアフラムの外周部に接する外周面を有し、前記受圧部材は、前記接液ダイアフラムに接する第1の面と、前記保護ダイアフラムに接する第2の面とを具備し、前記第2の面は、前記保護ダイアフラムの内周部に接する内周面を有し、前記内周面は、前記保護ダイアフラムの内周部を押圧するように、前記外周部よりも高くなった段付の凸状部として形成されていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、保護ダイアフラムは、その外周部の平面と受圧部本体の対応する外周面(外周接座面)とを当接させることによって、周設後に受圧部材(固定金具)によって予加重を与えることができる。従って、予加重を与えた状態での溶接等によって固定する周設を必要とせず、溶接時の熱影響を受けることがない。この結果、バラツキのない安定した予加重を負荷できる。また、保護ダイアフラムが受圧部本体に固定されることは、所定の圧力を超える圧力は受圧部材(固定金具)側から負荷されるため、荷重は受圧部本体の外周接座面が受けることになる。このことは、ダイアフラムに荷重を負荷した状態で、受圧部材(従来技術における固定金具もしくは本体ボディー)側に保護ダイアフラムを溶接していた従来技術のように、溶接などの接合点が荷重の支点とならず、接合が外れる等の故障を生じにくくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保護ダイアフラムの予加重のバラツキが抑えられた差圧・圧力伝送器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施形態に係る差圧・圧力伝送器は、圧力を感知する高圧側および低圧側ダイアフラムを複数具備する。ダイアフラムは、接液ダイアフラムと、この接液ダイアフラムに過大圧が印加されたときにその過大圧を吸収する保護ダイアフラムとを備えている。さらに、プロセスからの高圧および低圧の圧力差から圧力を電気信号に変換する半導体センサ(圧力センサ)を具備している。
以下、本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態に係る差圧・圧力伝送装置の一断面をとった全体構成を示す断面図である。図2は、保護ダイアフラムの取付部周辺の詳細断面図である。図3は、保護ダイアフラムが装着された状態を示す詳細断面図である。
【0010】
[受圧部本体の構成]
本実施形態に係る差圧・圧力伝送器100は、対向する両側面に高圧側凹部30と低圧側凹部31が形成された受圧部本体19を備える。高圧側凹部30は、プロセス流体の高圧(第1の圧力)側に配され、低圧側凹部31は、プロセス流体の低圧(第2の圧力)側に配される。
【0011】
図1に示すように、高圧側凹部30、低圧側凹部31は、本実施形態では同形状としている。以下、図2および図3を参照した説明では、高圧側の構成の参照番号を示し、低圧側についてはカッコ内にその参照番号を示す。高圧側凹部30(31)は、図2に示すように、プロセス流体の配管(図示せず)等と結合する円形の孔である第1凹部32(36)を最も外側とし、第1凹部よりも径が小さい円形の孔である第2凹部33(37)、さらに径が小さい円形の孔である第3凹部34(38)、さらに径が小さい円形の孔である第4凹部35(39)というように、段つき形状の孔として形成されている。
なお、各凹部を円形の孔としているのは、一例であり、限定されないのは言うまでもない。
【0012】
第2凹部33(37)には、高圧側固定金具(第1の受圧部材)7、低圧側固定金具(第2の受圧部材)8が、ネジ等によって装着されている(図1も併せて参照)。この高圧側固定金具7、低圧側固定金具8および後記するダイアフラム等によって、第3凹部34(38)より保護ダイアフラム1(2)を境に内部は液密状態が保持されている。
【0013】
高圧側の第3凹部34と低圧側の第4凹部39とは、図1に示すように、高圧側封入液移動通路11によって連通され、さらに半導体センサ20(圧力センサ)の一方の側まで連通されている。同様に低圧側の第3凹部38と低圧側の第4凹部35とは、低圧側封入液移動通路12によって連通され、さらに半導体センサ20の他方の側まで連通されている。
【0014】
[固定金具の構成]
高圧側固定金具7および低圧側固定金具8は、圧力計測のための圧力室(第1の圧力室、第2の圧力室)を形成し、後記するダイアフラムを規制するものである。高圧側固定金具7および低圧側固定金具8とも形状、機能とも同様であるので、以下の説明では高圧側固定金具7について説明し、低圧側固定金具8についてはカッコ内に参照番号を記載している。
【0015】
図2に示すように、高圧側固定金具7(8)は、受圧部本体19に装着された状態で、プロセス流体側に金具凹部71(81)が形成され、低圧側固定金具8の方向(矢印方向)に向かって階段状に縮径する円板を3つ重ねた段付き形状としている。最大径の第1円板72(82)の外周にはオネジが形成されており、受圧部本体19の第2凹部33(37)の外周内側に形成されたメネジと螺合する。
【0016】
次の第2円板73(83)は、受圧部本体19と接触することなく、第1円板72(82)の低圧側固定金具8側の面とともに高圧側接液ダイアフラム室17(18)の一部を形成し、後記するダイアフラムを装着する前においては、高圧側封入液移動通路11(12)と連通している(図1参照)。
第3円板74(84)も受圧部本体19と接触することなく、その低圧側固定金具8側の高圧側圧接座面5(6)は、凸状に形成されている。
【0017】
円盤状の高圧側固定金具7(8)の略中心には高圧側接液ダイアフラム室連絡通路15(16)が(図1参照)、第3円板74(84)の高圧側圧接座面5(6)から金具凹部71(81)まで貫通しており、高圧側接液ダイアフラム室17(18)の一部を形成している。
また、高圧側接液ダイアフラム室連絡通路15(16)は途中で分岐し、高圧側接液ダイアフラム封入液通路13(14)として、受圧部本体19と高圧側固定金具7(8)との間に形成された間隙に連通し、高圧側接液ダイアフラム室17(18)の一部を形成している。
【0018】
[接液ダイアフラムの構成]
本実施形態において、2種類のダイアフラムを、高圧側および低圧側にそれぞれ備えている。一つは、高圧側接液ダイアフラム9、低圧側接液ダイアフラム10から構成される接液ダイアフラムであり、一方の面はプロセス流体に接し、他方の面は差圧・圧力伝送器内に封入された封入液に接液しており、高圧側接液ダイアフラム室17(18)を画成しつつ、金具凹部71(81)を覆うように前記した高圧側固定金具7および低圧側固定金具8に溶接等で固設されている。
このように接液ダイアフラム9(10)は、プロセス流体が直接半導体センサ20に接触しないように、封入液とプロセス流体とを分離している。
他は、高圧側保護ダイアフラム1、低圧側接液ダイアフラム2から構成される保護ダイアフラムであり、詳細な説明については後記する。
【0019】
接液ダイアフラム9(10)は、波型状に形成された薄い円板であり、金具凹部71(81)は、この波型と同様な波型が形成されている。波型の形状を形成することにより、接液する表面積を大きくすることができ、その分封入液を押す面積が広くなるため、低い圧力で大きな封入液の排除容積をとることができる。なお、接液ダイアフラム9(10)と、これらに対応する金具凹部71(81)を同様な波型としているのは、所定以上の圧力が負荷されたときに、接液ダイアフラム9(10)が金具凹部71(81)に面で当接し、着座させることによって、過大圧に対する保護を確実にしている。
例えば、図3に示すように矢印Pの方向に圧力が負荷されると、接液ダイアフラム9(10)が矢印P側へ可動できる範囲では、封入液が矢印Q方向に押され、圧力を伝達するが、接液ダイアフラム9(10)が、金具凹部71(81)に当接したとき、さらに圧力が負荷されることを規制している。
【0020】
[ダイアフラム室の構成]
以下、前記した構成によって形成されるダイアフラム室(第1の受圧室、第2の受圧室)について説明する。
高圧側保護ダイアフラム室3は、受圧部本体19に形成された低圧側封入液移動通路12を介して、低圧側固定金具8に形成された低圧側接液ダイアフラム封入液通路14に連通されている。そして、低圧側固定金具8に形成された低圧側接液ダイアフラム室連結通路16に連通し、低圧側接液ダイアフラム室18に連結されている。
なお、低圧側封入移動通路12は、低圧側保護ダイアフラム2の外周端の外側位置で、低圧側接液ダイアフラム封入液通路14に連通されている。
また、低圧側接液ダイアフラム室連結通路16の一端は、前記したように低圧側保護ダイアフラム2の中心に対向した位置に設けられ、他端は低圧側接液ダイアフラム10の中心に対向した位置に設けられている。
【0021】
低圧側保護ダイアフラム室4は、受圧部本体19に形成された高圧側封入液移動通路11を介して、高圧側固定金具7に形成された高圧側接液ダイアフラム封入液通路13に連通し、同じく高圧側固定金具7に設けられた高圧側接液ダイアフラム室連結通路15に連通し、高圧側接液ダイアフラム室17と連結されている。
なお、高圧側封入液移動通路11は、前記したように高圧側保護ダイアフラム1の外周端の外側位置で、高圧側接液ダイアフラム封入液通路13に連通されている。
また、高圧側接液ダイアフラム室連結通路15の一端は、高圧側保護ダイアフラム1の中心に対向した位置に設けられ、他端は高圧側接液ダイアフラム9の中心に対向した位置に設けられている。
【0022】
[保護ダイアフラムの構成]
次に、保護ダイアフラムの詳細な形状について図を参照して説明する。なお、以下の説明においても低圧保護ダイアフラムと高圧保護ダイアフラムとは同様な構成であることから、高圧側保護ダイアフラムについてのみ説明し、参考としてカッコ内に低圧側保護ダイアフラムに対応する参照番号を記載している。
【0023】
高圧側保護ダイアフラム1(低圧側保護ダイアフラム2)は、図2に示すように、円盤形状に形成され、中央部分に設けられた中央平坦部52(55)と、中央平坦部52(55)の周囲を囲んで外側に設けられた波部53(56)と、波部の周囲を囲んで外側に設けられた外周部51(54)とを有している。
【0024】
高圧側保護ダイアフラム1(2)の外周部51(54)は、受圧部本体19の外周接座面25に周設される。周設する方法は、単に高圧側保護ダイアフラム1(2)を外周接座面25に載置した後に、後記する高圧側固定金具7(8)で高圧側保護ダイアフラム1(2)に予加重を与えることによって固定する方法や溶接する方法がある。ここで、外周部51と外周接座面25とを溶接等によって接合する場合であっても、溶接時にダイアフラムには荷重が負荷されていないため、従来技術とは異なり、熱的変形の影響は少ない。なお、これらの固定は、液密状態が維持されれば特に限定されない。
【0025】
高圧側固定金具7(8)の高圧側保護ダイアフラム1(2)に対向する高圧側圧接座面5(6)は凸状に形成されている。そして、高圧側固定金具7(8)は、凸状の高圧側圧接座面5(6)が受圧部本体19の外周接座面25に周設された高圧側保護ダイアフラム1(2)に押し当てられ、高圧側保護ダイアフラム1(2)を凸状に変位させた状態で受圧部本体19に装着される。
【0026】
すなわち、凸状に形成された高圧側圧接座面5(6)が高圧側保護ダイアフラム1(2)の波型状の中央部分である中央平坦部52(55)と波部53(56)を押した状態で、高圧側固定金具7(8)が受圧部本体19に螺合される。高圧側固定金具7(8)に装着された高圧側保護ダイアフラム1(2)は、図3に示すように変位した状態で固定される。
【0027】
このように高圧側固定金具7(8)が、負荷がない状態で受圧部本体19の外周接座面25に周設された高圧側保護ダイアフラム1(2)を押圧し、外周部51(54)を支点として付勢されることにより、はじめて高圧側保護ダイアフラム1(2)に予加重が負荷される。
【0028】
従来であれば、保護ダイアフラムは、既に荷重を与えた(ダイアフラムを押圧した)状態で、本実施形態の固定金具の部分に相当する本体ボディーへ溶接等で固定していた。この荷重負荷状態での溶接は、ダイアフラムの予加重に溶接による熱影響が発生するおそれが高く、極めて慎重かつ高度な固定作業を必要としていた。そして、このような熱影響は、保護ダイアフラムの過大圧動作圧力点を変動させ、微妙な差圧測定が求められる差圧・圧力伝送器にとって悪影響を及ぼしていた。一方、本実施形態では、外周部51(54)の面で当接している部分で液密状態を保持するとともに、荷重負荷状態での溶接の熱影響を無くし、高圧側保護ダイアフラム1(2)の予加重のバラツキが抑えることができる。
【0029】
ここで、高圧側保護ダイアフラムの波部53(56)の波形状は1個でもよく、または2個でもよい。
以上の構成において、高圧側保護ダイアフラム1(2)は、所定の過大圧が印加されて初めて動作する保護ダイアフラムとなり、所定の過大圧以下では、常に高圧側固定金具7(8)に密着するよう組み立てられている。
かかる構成によって、高圧側保護ダイアフラム1(2)は、一方向にのみ動作する保護ダイアフラムとなり、固定金具にて圧接された所定の圧力以上の過大圧が印加されたときに初めて変形して、過大圧を吸収する。
【0030】
過大圧に対して保護ダイアフラムを動作させる圧力点は、差圧・圧力測定装置の使用する圧力レンジに対応して、任意に設定できる必要がある。このとき保護ダイアフラムに過大な応力が発生し、破損等が生じないように、通常、保護ダイアフラムの板厚を変化させて、発生応力を緩和する手法が用いられる。
【0031】
固定金具側(本体ボディー)に保護ダイアフラムを溶接していた従来技術では、保護ダイアフラムが作動する過大圧が負荷されたとき、溶接などの接合点が荷重の支点となる。そして、この荷重が繰り返し負荷されることにより、接合部分の強度低下、剥離等が生じ、接合が外れる等の故障が生じるおそれがあった。当該接合部位は、前記したような保護ダイアフラムの板厚を変化させたとしても、発生応力を緩和することは困難であった。
一方、本実施形態は、保護ダイアフラムが受圧部本体に固定されており、所定の圧力を超える圧力は固定金具側から負荷されるため、荷重は受圧部本体の当接面が受けることになり、保護ダイアフラムの繰り返しの作動によって接合が外れる等の不具合を生じるおそれは少ない。
【0032】
そして、本実施形態における保護ダイアフラムの凸形状は、過大圧動作圧力点が変化しても、過大圧動作圧力点では常に固定金具の凸形圧接座面に接しているよう形成されている。かかる構成によって、保護ダイアフラムの受圧部本体に固定する外周部が、受圧部本体の保護ダイアフラムを設置する面に対し、面当たりで当接するため、荷重の分散を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、保護ダイアフラムの過大圧動作圧力点は、固定金具の圧接量により決まるため、容易に、安定した過大圧動作圧力点を変化させることができる。
【0034】
以上、本発明について好適な実施形態を説明した。本発明は、図面に記載したものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態に係る差圧・圧力伝送装置の一断面をとった全体構成を示す断面図である。
【図2】保護ダイアフラムの取付部周辺の詳細断面図である。
【図3】保護ダイアフラムが装着された状態を示す詳細断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 高圧側保護ダイアフラム
2 低圧側保護ダイアフラム
3 高圧側保護ダイアフラム室
4 低圧側保護ダイアフラム室
5 高圧側圧接座面
6 低圧側圧接座面
7 高圧側固定金具
8 低圧側固定金具
9 高圧側接液ダイアフラム
10 低圧側接液ダイアフラム
11 高圧側封入液移動通路
12 低圧側封入液移動通路
13 高圧側接液ダイアフラム封入液通路
14 低圧側接液ダイアフラム封入液通路
15 高圧側接液ダイアフラム室連絡通路
16 低圧側接液ダイアフラム室連絡通路
17 高圧側接液ダイアフラム室
18 低圧側接液ダイアフラム室
19 受圧部本体
20 半導体センサ
25 外周接座面
30 高圧側凹部
31 低圧側凹部
32,36 第1凹部
33,37 第2凹部
34,38 第3凹部
35,39 第4凹部
51,54 外周部
52,55 中央平坦部
53,56 波部
71,81 金具凹部
72,82 第1円板
73,83 第2円板
74,84 第3円板
100 差圧・圧力伝送器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受圧部本体内に形成され、差圧を計測する計測対象のプロセス流体から圧力を受ける部位に設けられる接液ダイアフラムと前記プロセス流体からは直接に圧力を受けない部位に設けられる保護ダイアフラムとにより仕切られる空間を有するとともに、前記空間の圧力を当該空間の外部に伝送する伝送経路を有する受圧部材を複数備える差圧・圧力伝送器において、
前記受圧部本体は、前記保護ダイアフラムの外周部に接する外周面を有し、
前記受圧部材は、前記接液ダイアフラムに接する第1の面と、前記保護ダイアフラムに接する第2の面とを具備し、
前記第2の面は、前記保護ダイアフラムの内周部に接する内周面を有し、
前記内周面は、前記保護ダイアフラムの内周部を押圧するように、前記外周部よりも高くなった段付の凸状部として形成されていることを特徴とする差圧・圧力伝送器。
【請求項2】
前記複数の受圧部材は、第1の受圧部材と第2の受圧部材であり、
前記接液ダイアフラムは、前記プロセス流体に直接接するものであり、
前記保護ダイアフラムは、前記空間に面する側が内側、前記空間に面しない側が外側であり、
前記差圧・圧力伝送器は、
前記第1の受圧部材の空間に繋がる伝送経路と前記第2の受圧部材の第2のダイアフラムの外側に面するダイアフラム室とを連通する連通路と、
前記第2の受圧部材の空間に繋がる伝送経路と、前記第1の受圧部材の第2のダイアフラムの外側に面するダイアフラム室とを連通する連通路と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の差圧・圧力伝送器。
【請求項3】
プロセス流体の第1の圧力を受圧する第1の受圧室と、
プロセス流体の第2の圧力を受圧する第2の受圧室と、
前記第1、第2の圧力を検出する圧力センサと、を有し、
前記第1の受圧室と前記第2の受圧室は、それぞれ受圧部本体とこの受圧部本体に装着された受圧部材との間に形成され、
前記第1の受圧室とプロセス流体との間および前記第2の受圧室とプロセス流体との間には、それぞれ少なくとも一つの接液ダイアフラムを備え、
直接前記圧力センサと前記接液ダイアフラムとの間には、少なくとも一つの保護ダイアフラムを備え、
所定の圧力を超える圧力が、前記第1の受圧室または前記第2の受圧室に印加されたときに、前記保護ダイアフラムが変位する差圧・圧力伝送器であって、
前記保護ダイアフラムは、平面状の外縁である外周部を有し、この外周部が当接することによって、前記第1の受圧室および前記第2の受圧室のプロセス流体側に備えた前記受圧部本体の前記受圧部材を臨む面に周設され、
前記受圧部本体の前記外周部が当接する外周面は、外周部が備えた平面と略一致する面に形成されており、
前記接液ダイアフラムは、前記受圧部材のプロセス流体と接液する面に保持され、
前記受圧部材の前記保護ダイアフラムを臨む内周面は、凸状に形成されていることを特徴とする差圧・圧力伝送器。
【請求項4】
前記受圧部材は、前記受圧部材の凸状に形成された前記内周面を前記保護ダイアフラムに当接させて、前記受圧部本体に装着され、
前記保護ダイアフラムは、前記外周部が前記受圧部本体に形成された前記外周面に載置され、前記受圧部材によって凸状の面の凸方向に所定の押圧を受け、付勢されており、
所定の圧力を超える圧力が、前記第1の受圧室または前記第2の受圧室に印加されたときに、前記保護ダイアフラムが前記受圧部材の凸状の面の凸方向に変位することを特徴とする請求項3に記載の差圧・圧力伝送器。
【請求項5】
前記受圧部材は、前記受圧部材の凸状に形成された前記内周面を前記保護ダイアフラムに当接させて、前記受圧部本体に装着され、
前記保護ダイアフラムは、前記外周部が前記受圧部本体に形成された前記外周面に接合され、前記受圧部材によって凸状の面の凸方向に所定の押圧を受け、付勢されており、
所定の圧力を超える圧力が、前記第1の受圧室または前記第2の受圧室に印加されたときに、前記保護ダイアフラムが前記受圧部材の凸状の面の凸方向に変位することを特徴とする請求項3に記載の差圧・圧力伝送器。
【請求項6】
前記保護ダイアフラムは、波型面を有することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の差圧・圧力伝送器。
【請求項7】
プロセス流体の第1の圧力を受圧する第1の受圧室と、
プロセス流体の第2の圧力を受圧する第2の受圧室と、
前記第1、第2の圧力を検出する圧力センサと、を有し、
前記第1の受圧室と前記第2の受圧室は、それぞれ受圧部本体と受圧部本体に装着された受圧部材との間に形成され、
前記第1の受圧室とプロセス流体との間および前記第2の受圧室とプロセス流体との間には、それぞれ少なくとも一つの接液ダイアフラムを備え、
直接前記圧力センサと前記接液ダイアフラムとの間には、少なくとも一つの保護ダイアフラムを備え、
所定の圧力を超える圧力が、前記第1の受圧室または前記第2の受圧室に印加されたときに、前記保護ダイアフラムが変位する差圧・圧力伝送器の製造方法であって、
前記受圧部材は、前記保護ダイアフラムが受圧部本体に保持された後、前記受圧部本体に装着されることを特徴とする差圧・圧力伝送器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−192288(P2009−192288A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31498(P2008−31498)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】