説明

巻取り機

連続して給糸される複数の糸をそれぞれ1つのボビンに巻き上げるための巻取り機が記載されている。当該巻取り機はボビンを収容するための巻取りスピンドルを有しており、該巻取りスピンドルはスピンドルキャリヤに突設されて回転可能に支承されている。巻取りの完了したボビンを巻取りスピンドルから押し出すために押出し装置が設けられており、この場合、巻取りの完了したボビンは巻取りスピンドルの自由端部でボビン搬送台車に設けられた収容心棒によって収容可能である。巻取りの完了したボビンを取り出すためにボビン搬送台車および巻取り機のマニュアル式の操作を簡単に実現するために、本発明によれば、押出し装置を制御するための遠隔操作可能な切換手段が設けられている。本発明の択一的な別の構成では、ボビンの取出しのためにボビン搬送台車を、ロック解除可能な保持装置にロックすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、連続して給糸される複数の糸をそれぞれ1つのボビンに巻き上げるための巻取り機、つまりボビンを収容するための巻取りスピンドルが設けられており、該巻取りスピンドルが、スピンドルキャリヤに突設されていわば片持ち式に回転可能に支承されており、さらに、巻取りの完了したボビンを巻取りスピンドルから押し出すための押出し装置が設けられていて、巻取りの完了したボビンが、巻取りスピンドルの自由端部でボビン搬送台車に設けられた収容心棒によって収容可能である形式のものに関する。
【0002】
紡出されたばかりの糸を製造するためには、精紡設備において、複数の巻取り部を用いて相並んでそれぞれ糸をボビンに巻き上げるような巻取り機が使用される。ボビンは複数の巻き管に巻成される。これらの巻き管は、突設された状態で回転可能に支承された1つの巻取りスピンドルに相前後して位置するように被せ嵌められている。巻取り機は最大10箇所またはそれ以上の巻取り部を相並んで有していてよいので、最大10個またはそれ以上のボビンが1つの巻取りスピンドルに相前後して位置して被せ嵌められて保持されている。ボビンが所定の最大直径に達した後に、ボビン交換が行われる。このためには、ボビンが押出し装置によって巻取りスピンドルから押し出されて、ボビン搬送装置によって引き取られる。このような巻取り機は、たとえば欧州特許出願公開第0888243号明細書に基づき公知である。
【0003】
巻取りの完了したボビンの取出しおよび搬出は、手で操作可能なボビン搬送台車または自動化されたボビン搬送台車によって行われる。すなわち、たとえば欧州特許出願公開第0757658号明細書には、巻取りの完了したボビンの自動化された取出しおよび搬出が記載されている。この場合、上位の中央制御部が設けられており、この中央制御部によってボビン搬送台車および巻取り機における作業過程が制御可能となる。しかし、このようなコンセプトは自動化された大型設備のためにしか適していない。
【0004】
それに比べて、巻取りの完了したボビンの、手で操作可能なボビン搬送台車による取出しおよび搬出は広く普及している。このようなボビン搬送台車は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第10008036号明細書に基づき公知である。ボビンの取出しおよび搬出のためには、手で案内されたボビン搬送台車に設けられた収容心棒が、巻取り機の巻取りスピンドルに対して整合する位置へもたらされる。引き続き、巻取り機で押出し装置が作動させられるので、巻取りの完了したボビンは巻取りスピンドルからボビン搬送台車の収容心棒へ押しずらされる。このときに、ボビン搬送台車はオペレータによって保持される。巻取りの完了したボビンがボビン搬送台車の収容心棒へ押しずらされた後に、ボビン搬送台車はアンローディングステーションへ案内される。
【0005】
したがって、巻取りの完了したボビンの収容のためにボビン搬送台車に取り付けられた収容心棒は、巻取りスピンドルに相当する長さを有していなければならない。10個またはそれ以上のボビンが相並んで1つの巻取りスピンドルに巻き取られる場合には、巻取りスピンドルが1.200mm、1500mmまたは>1.500mmの長さを有している。巻取りの完了したボビンを収容するためには、ボビン搬送台車の収容心棒が、相応する長さを有していなければならない。これにより、オペレータにとっては、一方ではボビン搬送台車を案内し、他方ではそれと同時に押出し装置を作動させるために巻取り機を操作するという問題が生じる。
【0006】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の巻取り機を改良して、巻取りの完了したボビンの手動式の取出しおよび搬出のための改善された操作可能性を具備した巻取り機を提供することである。
【0007】
この課題は本発明によれば、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する巻取り機、つまり押出し装置を制御するための遠隔操作可能な切換手段が設けられていることを特徴とする巻取り機ならびに請求項9の特徴部に記載の特徴を有する巻取り機、つまりロック解除可能な保持装置が設けられており、該保持装置によってボビン搬送台車が収容位置にロック可能であることを特徴とする巻取り機により解決される。
【0008】
請求項2〜請求項8、請求項10および請求項11にそれぞれ記載の特徴およびこれらの特徴の組合せにより、本発明の有利な改良形が規定されている。
【0009】
本発明は、巻取りの完了したボビンを収容するための収容位置へボビン搬送台車を案内するオペレータが直接にかつ遅延なしに押出し過程を実行し得るようになる点ですぐれている。このためにオペレータは巻取り機から遠ざけられた各保持位置に留まることができる。本発明によれば、押出し装置の作動を遠隔操作可能な切換手段によってレリーズすることができる。巻取り機の操作パネルに設けられたタッチボタンの操作が不要となる。さらに本発明の特別な利点は、巻取りの完了したボビンの手動式の取出しおよび搬出の場合にも迅速なボビン交換が実現されることにある。
【0010】
自在性を高めるために、押出し装置を、選択的に切換手段を介して作動させるか、または当該巻取り機を操作するための操作パネルを介して作動させることができる。これによって、部分自動化された過程をも実施することができるので有利である。このような部分自動化された過程では、ボビン搬送台車の位置決めは、自動化されたガイドシステムにより行われ、そして機械の操作はオペレータにより実行される。
【0011】
ボビン搬送台車の純然たる手動式の案内の際に満管ボビンの迅速でかつ遅延なしの押出しおよび収容を可能にするためには、切換手段を種々異なる構成で形成することができる。請求項3に記載の本発明の第1の特に有利な構成では、切換手段が、ワイヤレスに互いに接続されている切換送信器と切換受信器とにより形成される。切換送信器はボビン搬送台車に取り付けられて、オペレータによって操作され得ると有利である。巻取り機に取り付けられている切換受信器は切換送信器の、赤外線、電波または超音波につき送出された信号を受信する。切換受信器によって受信された切換信号は次いで直接に、押出し装置を作動させるために制御装置へ伝送され得る。
【0012】
しかし、切換送信器を、直接にオペレータによって携帯されるモバイルユニットとして形成することも可能である。
【0013】
本発明のさらに別の特に有利な改良形では、複数の別個の押出し装置を作動させるために切換送信器を複数の切換受信器と交互に組み合わせることができる。通常、複数の巻取り機が一列になって並設されている。したがって、巻取りの完了したボビンの取出しおよび搬出のためには、ボビン搬送台車がオペレータによって交互に個々の巻取り機にまで案内されなければならない。コード化された切換信号または近隣巻取り機に対してシールドされた切換信号によって、1つの切換送信器を用いて、隣接した切換受信器が誤作動することなしに、各巻取り機に対応した切換受信器に固有の切換信号を供給することができる。
【0014】
しかし、切換手段を、巻取りスピンドルの自由端部の範囲に配置されている切換ボタンにより形成することも可能である。この切換ボタンはオペレータによって簡単に操作され得る。
【0015】
本発明の特に有利な改良形は、切換手段が、ボビン搬送台車と協働する近接センサにより形成されていることによって与えられている。これにより、押出し装置をオペレータによってマニュアル式に操作する必要はなくなる。オペレータがボビン搬送台車を収容位置へもたらすやいなや、近接センサはボビン搬送台車によって作動させられる。巻取り機での押出し過程がレリーズされる。この場合、近接センサを無接触式に形成することができる。
【0016】
しかし、近接センサが、収容位置でボビン搬送台車によって操作可能であるコンタクトスイッチとして形成されていると特に有利である。これによって、押出し過程はボビン搬送台車と巻取り機との間での機械的なドッキングの後でしか実施されなくなる。
【0017】
請求項9に記載の本発明の第2の構成は、ボビン搬送台車がボビンの収容のために自動的に保持されているので、オペレータはボビン搬送台車の位置決めを行うだけで済むという点ですぐれている。押出し装置の作動はこの場合には、巻取り機の操作フィールドにおいてオペレータによって実施され得る。
【0018】
この場合、たとえば巻取り機の機械フレームに設けられたセルフレリーズ式のキャッチ(Raste)により形成されているようなロック解除可能な保持装置によってボビン搬送台車が収容位置にロック可能であると特に有利である。
【0019】
ボビンの取出し中に巻取り過程を中断しなくても済むようにするためには、スピンドルキャリヤが巻取りタレットにより形成されていて、該巻取りタレットに、突設されて、いわば片持ち式に支承された第2の巻取りスピンドルが保持されていると有利である。巻取りタレットの回転によって両巻取りスピンドルを、巻取りの完了したボビンの取出しのために交互に取出し位置へ案内することができる。巻取りの完了したボビンの取出しの間、巻取り過程は運転領域に位置する第2の巻取りスピンドルにおいて継続される。
【0020】
以下に、本発明を図面につき詳しく説明する。
【0021】
図1は、本発明による巻取り機の第1実施例を示す概略図であり、
図2は、図1に示した第1実施例による巻取り機を、巻取り完了したボビンの取出し時の状態で示す概略図であり、
図3は、本発明による巻取り機の第2実施例を示す概略図であり、
図4は、本発明による巻取り機の第3実施例を示す概略図であり、
図5は、本発明による巻取り機の第4実施例を示す概略図である。
【0022】
図1には、本発明による巻取り機の第1実施例が概略的に図示されている。
【0023】
巻取り機1は機械フレーム3を有している。この機械フレーム3には、スピンドルキャリヤ4が巻取りタレットの形で回転可能に支承されている。スピンドルキャリヤ4はタレット駆動装置15と連結されている。スピンドルキャリヤ4には、2つの巻取りスピンドル5,6が互いに180゜だけずらされて突設されて回転可能に支承されている。第1の巻取りスピンドル5はスピンドル駆動装置14により、第2の巻取りスピンドル6はスピンドル駆動装置16により、それぞれ駆動される。第1の巻取りスピンドル5では、複数のボビン7.1がそれぞれ、第1の巻取りスピンドル5に被せ嵌められてかつクランプされている巻き管8に巻き上げられる。このためには、各巻取り部において糸11が、トップ糸ガイド12を介して綾振り装置10へ走入する。この綾振り装置10は機械フレーム3の、巻取りスピンドル5,6に対して平行に突設されたフレーム部分に配置されている。糸走行方向で見て綾振り装置10の背後では、糸11が、回転可能に支承された押圧ローラ9に乗り上げて、この押圧ローラ9によってそれぞれボビン7.1のボビン表面に給糸される。このためには、押圧ローラ9が糸11によって部分的に巻き掛けられる。押圧ローラ9は規定の押付け圧を持ってボビン7.1のボビン表面に接触している。巻取りの間、第1の巻取りスピンドル5のスピンドル駆動装置14は、ボビン7.1の周速が一定に保たれるように制御される。
【0024】
第2の巻取りスピンドル6はスピンドルキャリヤ4に下側の取出し位置で保持される。第2の巻取りスピンドル6には、巻取りの済んだボビン7.2が保持されていて、ボビン搬送台車2によっていつでも取り出される状態に準備されている。
【0025】
本実施例では、合計5箇所の巻取り部が並設されているので、第2の巻取りスピンドル6には、巻取りの完了したボビン7.2が合計5個保持されるか、もしくは平行して5つの新しいボビン7.1が第1の巻取りスピンドル5に同時に巻き取られる。巻取り部の数は例示的に挙げたものである。このような巻取り機は8箇所、10箇所、12箇所またはそれ以上の巻取り部を有していてよい。その場合には、8個、10個、12個またはそれ以上の数のボビンが同時に1つの巻取りスピンドルに保持されている。
【0026】
機械フレーム3の下側の範囲には、押出し装置17が配置されている。この押出し装置17によって、第2の巻取りスピンドル6に保持された満管のボビン7.2を押し出すことができる。このような押出し装置は、欧州特許出願公開第0888243号明細書に基づき公知であるので、本明細書中では押出し装置の構成に関する詳しい説明は省略する。
【0027】
押出し装置17は、ほぼ管状のシリンダ20を有している。このシリンダ20は機械フレーム3の下側の範囲で第2の巻取りスピンドル6に対してほぼ平行に延びている。シリンダ20は圧力媒体で負荷可能である。すなわち、シリンダ20には圧力媒体が供給可能である。このためにはシリンダ20が制御弁21に接続されている。この制御弁21は圧縮空気管路22を介して圧縮空気源(図示しない)と連結されている。制御弁21は複数の管路を介してシリンダ20の両端部に接続されているので、選択的に圧力媒体がシリンダ20内へ導入可能となる。シリンダ20の周面には、キャリヤ19が配置されている。このキャリヤ19は磁力を介して、シリンダ20の内部に案内された磁石ピストン(図示しない)に結合されている。キャリヤ19には、シフタ18が配置されている。このシフタ18の自由端部はフォーク形の開口(図示しない)を有しており、この開口は支承端部で第2の巻取りスピンドル6を取り囲んで係合している。
【0028】
制御弁21は制御装置23を介して制御される。この制御装置23は第1の信号線路25.1で操作パネル13に接続されている。この操作パネル13は巻取り機の操作側に配置されており、満巻きが行われた後にボビン7.2はこの操作側から空管によって交換される。このためには、操作パネル13が、機械フレーム3の突設されたフレーム部分の自由端部に設けられている。
【0029】
制御装置23は第2の信号線路25.2を介して、遠隔操作可能な切換手段に接続されている。この切換手段は本実施例では、機械フレーム3に保持された切換受信器24と、切換送信器26とにより形成される。切換送信器26はボビン搬送台車2に配置されている。
【0030】
ボビン搬送台車2は収容心棒32を有している。この収容心棒32はフレーム27に突設されて固定されている。このフレーム27は下側に複数のホイール28を備えている。収容心棒32の固定された方の端部では、フレーム27に押しロッド29が取り付けられている。押しロッド29はボビン搬送台車2を手で運動させるために働く。収容心棒32の固定された方の端部では、収容心棒32の周面にプッシャ30が可動に取り付けられている。このプッシャ30はハンドグリップ31を有している。このハンドグリップ31を介して、プッシャ30を手で収容心棒32に沿って往復スライドさせ、これにより収容心棒32に保持されている満管ボビンを押し出すことができる。
【0031】
押しロッド29の自由端部には、切換送信器26が保持されており、この切換送信器26はボビン搬送台車2を案内するオペレータにより操作され得る。
【0032】
第2の巻取りスピンドル6に保持された満管ボビン7.2を取り除くためには、まずボビン搬送台車2が、巻取り機1のすぐ手前の収容位置へ手動式に案内される。この収容位置でボビン搬送台車2の収容心棒32は巻取り機1の第2の巻取りボビン6に対して小さな間隔を置いて整合した状態に保持される。ボビン搬送台車2が収容位置を占めた後に、切換送信器26を介してオペレータによって切換パルスがレリーズされる。この切換パルスは切換受信器24を介して制御装置23へ伝送される。その後に、制御装置23を介して押出し装置17の制御弁21が作動させられ、この場合、シフタ18はキャリヤ19と共に休止位置から第2の巻取りスピンドル6の自由端部の方向へ運動させられる。このときに、巻き管8を介して第2の巻取りスピンドル6に保持されている満管ボビン7.2が押しずらされるので、これらの満管ボビン7.2はボビン搬送台車2の収容心棒32へ引き渡される。この状況は図2に図示されている。ボビン搬送台車2はオペレータにより収容位置に保持される。押出し装置17のシフタ18は既に第2の巻取りスピンドル6の自由端部にまで到達しているので、全ての満管ボビン7.2が収容心棒32に押し被されている。次いで、これらの満管ボビン7.2はボビン搬送台車2によって搬出され得る。押出し装置17のシフタ18は所定の休止位置へ戻され、そして空になった第2の巻取りスピンドル6には新しい巻き管が装備される。
【0033】
図3には、本発明による巻取り機の第2実施例が概略的に図示されている。この第2実施例は大体において図1の第1実施例と同一であるので、同一の構成については詳しい説明を省略し、以下においては第1実施例との相違点についてのみ説明する。
【0034】
図3に示した第2実施例では、巻取り機1に設けられた押出し装置17を作動させるための遠隔操作可能な切換手段が切換ボタン33により形成されている。この切換ボタン33は、巻取り機1の上方に形成されたリンク装置34の自由端部に配置されている。リンク装置34は、このリンク装置34の自由端部が、ボビン搬送台車2を収容位置に保持しているオペレータのハンドリング範囲に位置するように設計されている。切換ボタン33は信号線路25.2を介して制御装置23に接続されている。
【0035】
ボビン搬送台車2の位置決め後に、第2の巻取りスピンドル6に存在する満管ボビン7.2を押し出すために押出し装置17を作動させるためには、オペレータによって切換ボタン33が操作される。信号線路25.2を介して制御装置23は制御弁21を起動制御するための制御パルスを受け取るので、シフタ18は休止位置から満管ボビン7.2を押し出すために案内される。
【0036】
図4には、本発明による巻取り機の第3実施例が示されている。巻取り機および満管ボビンを収容するために設けられたボビン搬送台車2の構造および機能は図1に示した第1実施例のものと同一であるので、これらの同一な構造および機能に関しては詳しい説明を省略し、相違点についてのみ以下に説明する。
【0037】
巻取り機1の機械フレーム3には、ストッパ40が形成されている。このストッパ40には、収容位置でボビン搬送台車2の前側の突当て縁部42が当接する。ストッパ40には、機械フレーム3においてランプウェイもしくは斜路43が前置されており、この斜路43には保持装置38が形成されている。保持装置38はキャッチ39を有しており、このキャッチ39は突当て縁部42の下面に設けられた凹部41と協働する。これによって、ボビン搬送台車2は収容位置に位置固定されている。ボビン搬送台車2をオペレータによってしっかりと固持する必要はない。
【0038】
ストッパ40の範囲には、近接センサ36が配置されている。この近接センサ36は信号線路25.2を介して制御装置23に接続されている。
【0039】
この第3実施例では、遠隔操作可能な切換手段がこれまでの実施例の場合のようにオペレータにより操作されるのではなく、直接にボビン搬送台車2によってレリーズされる。オペレータがボビン搬送台車2を巻取り機1手前の収容位置にまで案内し、この収容位置でボビン搬送台車2の前側の範囲に位置する突当て縁部42が巻取り機1のストッパ40に接触するやいなや、近接センサ36がボビン搬送台車2の前側の突当て縁部42によって作動させられる。その後に、信号線路25.2を介して制御装置23に切換信号が伝送され、このことは押出し装置17を作動させ、ひいては満管ボビン7.2の押出しを生ぜしめる。
【0040】
図5には、巻取り機の第4実施例が部分図の形で示されている。この部分図は巻取り機1とボビン搬送台車2との間の結合部の横断面図である。その他の構造は第3実施例と同一であるので、これらの同一の構造については詳しい説明を省略する。
【0041】
前で説明した第3実施例とは異なり、遠隔操作可能な切換手段はコンタクトスイッチ37により形成されている。このコンタクトスイッチ37は直接にストッパ40のストッパ面に組み込まれている。これにより、ボビン搬送台車2の突当て縁部42によって直接にコンタクトスイッチ37を操作することができる。このコンタクトスイッチ37は信号線路25.2を介して制御装置23(図5には図示されていない)に接続されている。
【0042】
ボビン搬送台車2を収容位置に位置固定するためには、キャッチ39の形の保持装置38が機械フレーム3に形成されている。この保持装置の構造および機能も前記第3実施例と同一である。
【0043】
図1〜図4に示した実施例の構造および構成は例示的に挙げられたものである。巻取り機もボビン搬送台車も、類似の構成変化形により代えることができる。この場合、巻取り機が糸を巻き取るための1つの巻取りスピンドルしか有していないのか、あるいは糸を巻き取るための複数の巻取りスピンドルを有しているのかは重要ではない。したがって、本発明は、満管ボビンを送出するための押出し装置の作動が、手動遠隔操作可能な切換手段によりレリーズされるような類似のコンセプトにまで及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による巻取り機の第1実施例を示す概略図である。
【図2】図1に示した第1実施例による巻取り機を、巻取り完了したボビンの取出し時の状態で示す概略図である。
【図3】本発明による巻取り機の第2実施例を示す概略図である。
【図4】本発明による巻取り機の第3実施例を示す概略図である。
【図5】本発明による巻取り機の第4実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1 巻取り機
2 ボビン搬送台車
3 機械フレーム
4 スピンドルキャリヤ
5 巻取りスピンドル
6 巻取りスピンドル
7.1 ボビン
7.2 満管ボビン
8 巻き管
9 押圧ローラ
10 綾振り装置
11 糸
12 トップ糸ガイド
13 操作パネル
14 スピンドル駆動装置
15 タレット駆動装置
16 スピンドル駆動装置
17 押出し装置
18 シフタ
19 キャリヤ
20 シリンダ
21 制御弁
22 圧縮空気管路
23 制御装置
24 切換受信器
25 信号線路
26 切換送信器
27 フレーム
28 ホイール
29 押しロッド
30 プッシャ
31 ハンドグリップ
32 収容心棒
33 切換ボタン
34 リンク装置
35 制御線路
36 近接センサ
37 コンタクトスイッチ
38 保持装置
39 キャッチ
40 ストッパ
41 凹部
42 突当て縁部
43 斜路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して給糸される複数の糸(11)をそれぞれ1つのボビン(7.2)に巻き上げるための巻取り機であって、ボビン(7.2)を収容するための巻取りスピンドル(6)が設けられており、該巻取りスピンドル(6)が、スピンドルキャリヤ(4)に突設されて回転可能に支承されており、さらに、巻取りの完了したボビン(7.2)を巻取りスピンドル(6)から押し出すための押出し装置(17)が設けられていて、巻取りの完了したボビン(7.2)が、巻取りスピンドル(6)の自由端部でボビン搬送台車(2)に設けられた収容心棒(32)によって収容可能である形式のものにおいて、押出し装置(17)を制御するための遠隔操作可能な切換手段(24,26,33,36)が設けられていることを特徴とする巻取り機。
【請求項2】
押出し装置(17)が、選択的に切換手段(24,26,33,36)を介してまたは当該巻取り機(1)を操作するための操作パネル(13)を介して作動可能である、請求項1記載の巻取り機。
【請求項3】
切換手段が、ワイヤレスに互いに接続されている切換送信器(26)と切換受信器(24)とにより形成されている、請求項1または2記載の巻取り機。
【請求項4】
切換送信器(26)が手で操作可能であり、さらに切換送信器(26)がボビン搬送台車(2)に取り付けられている、請求項3記載の巻取り機。
【請求項5】
切換送信器(26)が、複数の別個の押出し装置(17)を作動させるために複数の切換受信器(24)と交互に組合せ可能である、請求項3または4記載の巻取り機。
【請求項6】
切換手段が切換ボタン(33)により形成されており、該切換ボタン(33)が、巻取りスピンドル(6)の自由端部の範囲に配置されている、請求項1または2記載の巻取り機。
【請求項7】
切換手段が、ボビン搬送台車(2)と協働する近接センサ(36)により形成されている、請求項1または2記載の巻取り機。
【請求項8】
近接センサがコンタクトスイッチ(37)として形成されており、該コンタクトスイッチ(37)が収容位置でボビン搬送台車(2)によって操作可能である、請求項7記載の巻取り機。
【請求項9】
連続して給糸される複数の糸(11)をそれぞれ1つのボビン(7.2)に巻き上げるための巻取り機であって、ボビン(7.2)を収容するための巻取りスピンドル(6)が設けられており、該巻取りスピンドル(6)が、スピンドルキャリヤ(4)に突設されて回転可能に支承されており、さらに、巻取りの完了したボビン(7.2)を巻取りスピンドル(6)から押し出すための押出し装置(17)が設けられていて、巻取りの完了したボビン(7.2)が、巻取りスピンドル(6)の自由端部でボビン搬送台車(2)に設けられた収容心棒(32)によって収容可能である形式のものにおいて、ロック解除可能な保持装置(38)が設けられており、該保持装置(38)によってボビン搬送台車(2)が収容位置にロック可能であることを特徴とする巻取り機。
【請求項10】
保持装置(38)がキャッチ(39)により形成されており、該キャッチ(39)が、当該巻取り機(1)の機械フレーム(3)に取り付けられていて、所定の固定位置でボビン搬送台車(2)に結合されている、請求項9記載の巻取り機。
【請求項11】
スピンドルキャリヤ(4)が巻取りタレットにより形成されており、該巻取りタレット(4)に、突設されて支承された第2の巻取りスピンドル(5)が保持されており、巻取りタレット(4)の回転によって両巻取りスピンドル(5,6)が、巻取りの完了したボビン(7.2)を取り出すために交互に取出し位置へ案内可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載の巻取り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−505801(P2007−505801A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526565(P2006−526565)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010115
【国際公開番号】WO2005/035415
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(503420235)ザウラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Saurer GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Landgrafen Str. 45, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】