説明

布目付き高分子フィルムを形成するシステム及び方法

布目付き高分子フィルムの形成装置及び方法を開示する。この装置は、第1ローラ及び第2ローラを備える。そして、第1ローラ及び第2ローラは、布目付き高分子フィルムを協働して形成するように構成されている。ある実施態様では、少なくとも第1ローラの限定された部分が、受動的に、能動的に、あるいは、受動的技術及び能動的技術の組合せによって、加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には高分子フィルムの形成に関し、より具体的には、ローラアッセンブリによる布目付き高分子フィルムの形成に関する。
【背景技術】
【0002】
布目付き高分子フィルムは、高分子基材又は高分子溶融体を用いて形成される。高分子基材は、一般には、カレンダ加工により布目付き高分子フィルムを形成するために原料として用いられるマトリックス樹脂を指す。標準的なカレンダ加工又はエンボス加工では、ローラが、高分子溶融体又は高分子フィルムなどの高分子基材を加工するために、すなわち、布目付きフィルムを形成するために使用されている。例えば、高分子基材は、2つの回転しているローラによって形成されたニップ領域に供給される。高分子基材がローラ間を通過するとき、ローラによって施される冷却及び加圧により、所望の厚さのフィルムがローラアッセンブリから現れることとなる。また、片方又は両方のローラが布目付き表面である場合、現れるフィルムも布目付きとなっている。
【0003】
例えば、従来のカレンダ加工では、高分子基材は、従順で、感受性であるように、そのガラス転移温度(Tg)を超える温度でニップ領域に入る。半結晶性高分子の場合、高分子基材はその溶融転移点(Tm)を超えている必要がある。ローラは、基材のガラス転移温度(又は、適切な場合には溶融転移点)以下の温度に維持される。したがって、基材がローラを通って進むときに基材には加圧と冷却の両方が施され、これにより、フィルム上に布目がインプリントされてフィルムが固まる。フィルムにインプリントされる布目は、フィルムの材料特性と、ニップ領域内にある間にフィルムが受ける温度及び圧力に主として依存する。
【0004】
特に、一般的には、ローラ冷却剤の温度、及び、フィルム温度又は融体温度が、排出されるフィルムにインプリントされる布目の正確さを決定する。例えば、ローラによりフィルムがあまりにも急速に冷却されると、フィルムの布目とローラ表面の布目の間で、形状、大きさ、深さなどにおける正確さが不十分になる可能性がある。さらに、ローラによりフィルムがあまりにも急速に冷却されると、排出されるフィルムがあまりにも早く固まってしまい、それによって排出されるフィルムが高い内部応力をもつ可能性がある。一方、ローラ温度を高分子基材のTgより高く設定すると、あるいは、フィルムをあまりにもゆっくりと冷却すると、排出されるフィルムは、布目を固めるのに必要な温度まで冷えず、圧力が減少してフィルムがニップ領域から出てくるときに弾性跳ね返りが起きる。布目の正確さの欠如及び排出されるフィルムの高い内部応力は共に、フィルムをその所期の用途にとって望ましくないもの又は価値に劣るものにする可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、フィルムへのローラの布目の複製をよりよく制御するために、予熱されたフィルムの移動を最適化するように、高分子フィルムの過渡温度勾配を制御する改良された機構を用意する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の典型的な実施態様に従って、布目付き高分子フィルムを形成するための装置が開示される。装置は、協働して布目付き高分子フィルムを形成するように構成された第1ローラ及び第2ローラを備える。装置は、少なくとも第1ローラの限定された部分を加熱するように構成されている加熱器をさらに備える。
【0007】
本技術の他の実施態様に従って、布目付きの高分子フィルムを形成する装置の様々な作動パラメータを監視及び制御するための制御システムが開示される。制御システムは、布目付き高分子フィルムを形成するように構成された第1ローラ及び第2ローラを備える。制御システムはまた、第1ローラ及び第2ローラの一方の少なくとも限定された部分を加熱するように構成された加熱器と、布目付き高分子フィルムの第1ローラの少なくとも一方の、又は、布目付き高分子フィルムへと形成される高分子基材の温度を測定するようにされた温度感知装置を備える。さらに、制御システムは、第1ローラ及び第2ローラの少なくとも一方を冷却するように構成された冷却システムと、第1ローラ及び第2ローラの少なくとも一方を駆動させるように構成されたローラ駆動システムを備える。最後に、制御システムは、温度感知装置の出力に基づいて加熱器、冷却システム又はローラ駆動システムの少なくとも1つを制御するように構成された制御装置を備える。
【0008】
本技術のさらに別の実施態様に従って、布目付き高分子フィルムの形成方法が開示される。該方法は、高分子基材をローラアッセンブリに供給することを含み、ローラアッセンブリは第1ローラ及び第2ローラを備え、高分子基材はローラアッセンブリを通過すると布目付き高分子フィルムにされる。該方法はまた、第1ローラの少なくとも限定された部分を加熱することを含む。
【0009】
本技術の実施態様に従って、カレンダ加工に使用するローラが開示される。ローラは、高分子基材に接触するように構成されている、表面の熱伝導率が15ワット/メートル−ケルビン未満である表面材料を含む。
【0010】
本技術の実施態様に従って、カレンダ加工に使用するローラが開示される。ローラは、異なる熱的特性を与えるように構成されている1層以上の層を有する。具体的な実施態様では、表面層の方が、ローラの内部層より熱拡散率が低くなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のこれらの、並びに他の特徴、態様及び利点は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むとよりよく理解されるであろう。添付図面では、複数の図面を通して同様の符号は同様の部品を表す。
【0012】
先行考察は、概ね、カレンダシステムと、カレンダ加工の間に高分子基材が受ける過渡温度を制御するように構成された制御機構とに関する。
【0013】
本明細書で考察される様々な実施態様は、一般に、カレンダ加工により形成される高分子フィルムの布目複製の正確さを向上させるために採用されている。当業者には理解されるであろうが、カレンダ加工は、カレンダローラを使用して布目付き高分子フィルムを形成するのに用いられる。本技術は、2つのローラにより形成されているニップ領域内で高分子基材が受ける過渡温度の制御を可能にしており、それにより、布目複製の正確さの向上及び/又は得られるフィルムの内部応力の低減を可能にする。例えば、1つ以上のカレンダローラの表面の温度は、それらがニップ領域に近づくにつれて高くなる可能性がある。このことが、冷却処理を制御するか停止させ、インプリント表面に対する布目複製の高い正確さを有して、内部応力が低減された布目付き高分子フィルムを製造する。
【0014】
本技術の様々な態様を理解し、評価するために、以下のセクションでは、布目付きフィルムの形成に影響を及ぼす熱環境及び変動要因を簡単に概説する。具体的には、図1は、カレンダ加工によって形成された布目付き高分子フィルムでのローラ表面の複製に対してピークの過渡温度が及ぼす影響10をグラフに示す。より具体的には、グラフ的表示は、ニップ領域にあるローラ表面の最高温度11と布目付きフィルム内の複製の深さ12との関係を説明している。複製の深さは、高分子基材上でのローラパターンの複製の深さとして定義してもよい。図示するように、ニップ領域の最高温度が上昇すると、複製の深さも単調に増加する。しかし、参照番号13で示したように温度があるところまで上昇した後は、ある温度超では複製の深さが非線形的に増加する可能性がある。したがって、ニップ領域にあるフィルムの過渡温度は、高分子フィルムへのパターン複製の均一性及び正確さに影響を及ぼす変動要因の1つである。したがって、ニップ領域内ではできるだけ長い時間、高分子フィルムの表面をそのTgより高い温度に維持するようにすること、さらに加えて、フィルムがその工程のニップ領域を出る前にフィルムがそのTg以下に確実に冷えるようにして跳ね返り及び複製の低下を防止することが望ましい場合がある。
【0015】
同様に、図2は、高分子フィルム内の複製の深さ16に対してローラ表面の表面熱伝導率15が及ぼす影響14を示す。図示するように、ロール上の被覆層の熱伝導率が減少すると、高分子上の複製の深さが増加する。参照番号17で示されるように特定の値以下では、複製の深さ16の著しい増加が見られる。したがって、ローラ表面の熱伝導率は、高分子フィルムへのパターン複製の均一性及び正確さに影響を及ぼす別の変動要因である。
【0016】
先行した考察を考慮して、図3は、本発明に従う布目付き高分子フィルム19を形成するための典型的な装置18を示す。図示された装置は、高分子基材を収容している押出機20がある。高分子基材は、第1ローラ22と第2ローラ23との間に形成されたニップ領域21に押し出される。第1ローラ22及び第2ローラ23をあわせて、ローラアッセンブリと称する。第1ローラ及び/又は第2ローラ(22及び23)の表面上のパターンが高分子基材に複製されて、布目付き高分子フィルム19が形成される。図示されている実施態様では、別のローラ組24が第1ローラ及び第2ローラ(22及び23)に続いて設けられ、布目付き高分子フィルム19に指定されているような、平坦性、エッジカール及びたるみを与える。
【0017】
図4は、本技術の一実施態様に従って、図3の工程で生成された布目付き高分子フィルムに複製される例示的な布目25を有する、ローラ23などのローラの表面を示す。図示された実施態様では、参照番号25で表される布目が第1ローラ又は第2ローラの一方又は両方に形成されている。
【0018】
図5は、本技術の一実施態様に従って、図3の工程で布目付き高分子フィルムを形成するのに使用される、ローラ23のようなローラの表面上の別の例示的な布目26を示す。図示されるように、追加の布目又は表面型がローラ表面上に形成されていてよく、システムの熱拡散率(又は伝導率)を低減する働きをする。具体的には、高分子基材に接触する領域が熱伝達用の経路27である。高分子基材とローラとの接触領域を最小にするようにローラパターンを設計することにより、ニップ領域21内で高分子基材の熱伝達及び冷却を弱めることができる。例えば、他の加工条件を同一にして図4の矩形型及び図5の型を複製する場合、図5の布目26を使用して複製された姿の方が、図4の布目25を使用して複製された相当する姿より高い正確さで複製されるであろう。これは、図5では熱伝達用の経路27がより狭く、表面の熱容量がより小さい表面布目26を有するローラを実現していることが理由である。一般に、布目26は、各ローラの表面に求められる熱容量を与えるように成形され又は選択され、それにより、基材が固まるときにとる形状をコントロールする。注目すべきは、第2ローラ23に形成されている布目に付いていうと、布目は第1ローラ及び複数のローラに形成されてもよいことである。
【0019】
図6は、本技術の一実施態様に従って、ローラ22又はローラ23のようなローラの表面のコーティング28の使用を示す。図示した実施態様では、コーティング28は基礎材29に被膜を施してローラの表面を形成する。一実施態様では、基礎材29はクロム、ニッケル、鋼、又はこれらの物質の合金/酸化物の1つ又は複数を含むが、他の基礎材を本技術に従って採用してよい。一実施態様では、コーティング28は、高分子フィルムへのローラパターンの複製に著しい改良を与えることができる低伝導性物質である。コーティング用の物質は、酸化鉄、ニッケルクロム合金、クロム及びジルコニウムの酸化物、又はそれらの組合せを含んでよいが、それらに限定されるものではない。
【0020】
コーティング28の熱伝導値は、ローラコーティングの15ワット/メートル−ケルビン(W/m‐K)より小さいことが望ましい。いくつかの実施態様では、以下で考察するように、コーティングに孔を形成することにより、すなわち多孔質コーティングを備えることにより、コーティングの伝導率を低減させることもできる。そのような実施態様では、単にコーティング物質の伝導率ではなく、コーティング28の有効伝導率が主要な対象になる場合がある。本技術の一実施では、コーティングの厚さは、約25μm〜約500μmの範囲でよい。
【0021】
いくつかの実施態様では、コーティング28は熱流に対する熱バリアとして働き、それにより、ニップ領域内での高分子基材の冷却を遅らせる又は弱める。コーティング28の厚さに加えてコーティング28の特性が、ニップ領域内21でフィルムが受ける温度を決める。しかし、上述のように、最高の複製のためには、フィルムがニップ領域を出る前にフィルムをそのTg以下に冷却させることを確実にすることが必要である。
【0022】
本技術のさらに別の実施態様では、第1ローラの表面材料は、熱流を制御するために多孔質物質を含んでいてよい。多孔質物質は、一般には、バルク材より熱伝導値が低く、高分子基材内及びローラ物質内で所望の温度勾配を得るために熱伝達を効果的に弱める。例えば、表面材料は、それらに限定されるものではないが、アルミニウム、チタン、ケイ素、マグネシウム、クロム又はジルコニウムの酸化物、炭化物、窒化物又はホウ化物を含む。前述した物質に言及したが、この技術に適した合金を含む他の任意の物質も本技術のある種の実施で使用することができることに留意されたい。前記考察は、表面の熱容量を低減するための、第1ローラ22の表面の特性又は組成物のみに言及したが、同じ又は類似の技術を第1ローラ22及び第2ローラ23の両方に採用して、カレンダシステム18全体の性能を改良することができることを当業者なら理解するであろう。
【0023】
一実施態様では、第1ローラ22の布目付き表面は熱拡散率が低く、高分子基材と相互作用するときに第1ローラ22の表面がより長い時間にわたって高い温度を維持できるようにしている。熱拡散率は物質の熱を伝導する能力を表しており、ローラ表面の熱拡散率が高くなれば、高分子融体の冷却速度は上がる。一実施態様では、低い熱拡散率を得るために、並びに高分子フィルムの熱流を制御するために、第1ローラは、低い熱拡散率をもたらす1つ以上の材料特性がある表面材料を含む。
【0024】
この場合のローラの表面材料は、前述のコーティングをもたない標準的なローラと比較して、より長い時間にわたって高分子を高い温度に維持するのを助ける熱バリアとしても働く。熱バリアは、また、ローラ内の応力を低減するのを助け、システムの要求に応じて好適な形状を選択することができるような温度プロファイルを得るのを助ける。表面材料は、酸化鉄、ニッケル、クロム又は銅合金、セラミック、あるいはそれらの組合せを含んでいてよいが、それらに限定されるものではない。前述のように、当技術分野で知られているいくつかの合金も本技術の同様の実施態様に使用することができる。
【0025】
図7は、本技術の別の実施態様に従って、ローラ22又はローラ23のようなローラの一部としてのバリア層30の使用を示す。カレンダシステムの重要な課題の1つが、ローラが受ける冷却の速度が迅速であるということである。したがって、経時的な温度の減衰が無視できるようにローラを高温まで加熱すること、あるいは、ローラ又は高分子基材に近傍の加熱器を用意することのいずれかを行う必要がある。しかし、空間の制約により、加熱器の位置取りが困難になることがある。また、過度の加熱が、ローラの冷却能力及びその定常状態の温度に影響を及ぼし始めることがある。この状況に照らして、層状構成又は層状組成の1つのローラ又は複数のローラを備えることが提案される。用途の必要に基づいて、この層の深さ及び物質が最適化される。この層は熱流に対する緩衝部として働いて、ローラの膜をより長時間にわたって高い温度に維持する。このようにしてローラの膜を、普通は不可能なより高い温度に加熱することも可能になる。これにより、加熱器に加えて、これらの加熱器に必要となる出力部の位置取りの柔軟性を高めることができる。
【0026】
図7で示された実施態様では、ローラの表面層31とコア32との間にバリア層30が設けられている。一実施態様では、表面層31及びコア32は同じ基礎材から形成されている。これにより、ローラのコア32及び表面層31として鋼などの物質を使用することができるようになる。例えば、このような鋼(又は他の基礎材)の表面層31に、レーザ彫刻技術、エッチング(ドライ/ウェット)技術、ブラスト技術、マイクロ機械加工技術、電気鋳造/電気めっき技術、及びリソグラフィ技術により布目を付けることができる。別の実施態様では、表面層31及びコア32は異なる物質から形成される。どちらの実施態様でも、バリア層30は熱流に対する熱バリアとして働き、これにより、より熱伝導性のあるコア32によって熱が吸収あるいは分散されるのを防止する。
【0027】
同様に、図8は、本技術の別の実施態様に従って、ローラ22又はローラ23のようなローラの一部としての複数の層又はコーティングを示す。このような実施態様では、表面層31とコア32との間の異なる層33や層34が異なる熱的特性をもつことができ、コア32と表面層31との間で所望の熱伝達を実現する。例えば、介在層33及び介在層34は熱緩衝部などの熱バリア層又は熱遮断層を形成してよく、継続的な形で温度を調整するのに使用することができる。
【0028】
このような実施態様では、2つの隣接する層の材料特性の不整合が層の界面に応力を生じさせることがあり、このことが、これらの層に層間剥離をもたらす可能性がある。この問題を軽減するために、2つの層はそれらの間に配置される中間漸次変化層を有することができ、機械的特性、熱的特性及び電気的特性が個々に段階的な形であるいは連続的に中間漸次変化層で変化し、このような構造内で発生する応力を低減する。例えば、一実施態様では、中間層は、体積分率が変化する2つの隣接する層から構成される。したがって、中間層の特性を不連続的な形、線形的な形又は非線的な形で一方の物質から他方の物質へ変化させるように調整することができる。
【0029】
前記考察は、ニップ領域内で高分子基材の過渡熱温度を調節するという受動的技術を対象としたが、能動的加熱技術も可能である。当業者には理解されるであろうが、実際、上で考察された受動的加熱技術は、能動的加熱技術で補完又はそれと共に使用することができ、本明細書で考察するように、ニップ領域内で見られる過渡熱温度に対しての追加的な調整を実現する。例えば、次に、図9を参照すると、布目付き高分子フィルム46を形成する例示的なカレンダ装置35の一部分と、本技術の側面に従う作動とが示されている。図示されるように、カレンダ装置35は、第1ローラ36の表面の近くに配置される複数の誘導加熱コイル38を備える。図示される実施態様では、複数の誘導加熱コイル38は、高分子基材が挿入される、ローラアッセンブリにより形成されたニップ領域39の近くに位置する。誘導加熱コイルは、ローラの表面部分又は布目付き部分などの、一方又は両方のローラの限定された部分を加熱するように構成されている。加熱の速度及び強さは、誘導加熱コイルに供給される電流及び周波数を調節することによって制御されることが可能である。
【0030】
カレンダ装置35はまた、渦電流加熱に導電性であり、第1ローラ36の表面によって形成されている境界44の近傍で、ただし内側にあるように第1ローラ36内に埋設された構成40を備えている。図示された実施態様では、構成40は、第1ローラ36の内側周囲で一様に間隔があけられており、各構成は、第1ローラ36の軸にほぼ平行な軸を有する。すなわち、構成40の軸方向は第1ローラ36の軸方向と同じである。図示される実施態様では、構成40及び誘導加熱コイル38は第1ローラ36上に示されているが、別の実施態様では、構成40及び誘導加熱コイル38は第2ローラ37上にも同様に配置されていてよい。図示される実施態様では、構成40及び誘導加熱コイル38は一体となって加熱器を形成し、この加熱器は、第1ローラ36及び第2ローラ37によって画定されるニップ領域39の近接で第1ローラ36を加熱するように配置されている。
【0031】
図9に示される実施態様では、構成40及び誘導加熱コイル38は、第1ローラ36を加熱するために互いに協力して働く。具体的には、第1ローラ36に埋設されている構成40は、構成40のニップ領域39に対する近接度に基づいて、通常参照番号48で示されるようにスイッチをオンにすることができ、並びに通常参照番号50で示されるようにスイッチをオフにすることができる。
【0032】
カレンダ装置35は、第1ローラ及び第2ローラを冷却するように構成された冷却システムをさらに備え、回転中、ローラ、又はローラの様々な部分の温度を厳しい温度制約内に維持することができる。本技術の一実施態様では、冷却システムは、第1ローラ及び第2ローラの一方又は両方の中に埋設された冷却導管52を備える。当業者には理解されるであろうが、冷却システム(図示された冷却導管52の形態、又は他の形態)は、高分子基材に対する第1ローラ36及び/又は第2ローラ37の温度プロファイルを制御する本明細書で考察した受動的及び能動的加熱技術と共に使用することができる。具体的には、冷却システムと受動的及び/又は能動的加熱技術との組合せは、ローラが高分子基材に接触している間、1つのローラ又は複数のローラの表面に所望の温度プロファイルをもたらす。一実施態様では、所望の温度プロファイルは、ニップ領域の入口での温度が、普通なら高分子基材のみの温度に基づいて観測される温度より高くなり、それにより、カレンダ時により高い布目の正確さを得ることができる。
【0033】
図9に示される実施態様では、ローラ表面を加熱する手段を用意することにより、ニップ領域でローラに接しているフィルムが熱を失う速度が下がり、従って、ローラの圧力がフィルムに加わる間、フィルムがニップ領域39内でより長い時間にわたってそのTgを超えたままになる。これは、ニップ領域より手前の(複数の)ローラを加熱することにより高分子基材がより長い時間にわたって高い温度に維持されて、高い正確さで布目を複製するための高い温度の時間が長くなることが理由である。フィルムがより長い時間にわたって高い温度に維持されると、高分子鎖がより緩和され、したがって複製の深さが増す。
【0034】
次に、図10を参照すると、布目付き高分子フィルム46を形成する第2の例示的なカレンダ装置56が示されている。カレンダ装置56は、第1ローラ36及び第2ローラ37の両方に埋設されてそれらを通って軸方向に延在している複数の抵抗ヒータ57を備える。第1ローラ36及び第2ローラ37の抵抗ヒータ57は、互いに協力して働いて、第1ローラ36及び第2ローラ37の表面がニップ領域39を通過するときに第1ローラ36及び第2ローラ37のそれぞれの表面を加熱する。加熱速度は、抵抗ヒータ57に入力される電流を調節することによって制御することができる。当業者には理解されるであろうが、第1ローラ36及び第2ローラ37がニップ領域39を通過するときにそれらを加熱することにより、高分子基材42がローラによって冷却される速度が下がり、布目付き高分子フィルム46上でのローラ表面のパターン又は布目の複製の正確さが増す。一実施例では、カレンダ装置56は、抵抗ヒータに替えて誘導コイルを備えてよい。この場合、コイルが互いに近くにあるときにニップ領域の近傍のコイル付近の誘導結合(その結果、誘導加熱も)が強くなるため、加熱により自己スイッチングが起きる。コイルが互いから離れるように移動すると、結合は弱くなり、相応して発生する熱も減少する。
【0035】
さらに、一実施態様では、抵抗ヒータ57は、抵抗ヒータ57のニップ領域39に対する近接度に基づいて、全体として参照番号58で示されるようにスイッチをオンにすることができ、並びに全体として参照番号59で示されるようにスイッチをオフにすることができる。それぞれのローラの温度をよりよく制御するために、それぞれのローラで抵抗ヒータ57を選択的に制御することができる。抵抗ヒータ57は、少なくとも1つの回転部材と少なくとも1つの静止部材との間での電力を伝達する1組の電流転換器及び接触ブラシを備える構成を介して選択的に電力を受けるように設定することができる(この構成は一般的に、直流モータで使用される整流子−ブラシ構成に似ている)。
【0036】
さらに、図9に関連して説明したように、冷却導管52は第1ローラ及び第2ローラを冷却し、それにより、選択的な加熱及び冷却の組合せにより第1ローラ36及び第2ローラ37の様々な部分を所望の温度範囲内に維持することができる。
【0037】
図11は、第1ローラ36の近くに配置される輻射ヒータなどの輻射加熱器62を使用して布目付き高分子フィルム46を形成する別の例示的なカレンダ装置60を示す。輻射ヒータは、それらに限定されるものではないが、赤外線ヒータ、高輝度ランプ、アークランプ又はレーザを含んでよい。熱源(輻射ヒータ)からの輻射エネルギーは、介在する空気を加熱することなく光子相互作用により物体を加熱する約1ナノメートル(nm)〜約1ミリメートル(mm)の範囲の波長を有していてよい。本明細書で使用されているように、「輻射加熱器」という用語は、輻射エネルギー源、並びに反射器などの関連部品を指し、これらは以下でより詳細に考察される。輻射加熱器62を含む実施態様の場合、ローラ表面は輻射加熱器に近接することが望ましい。これにより加熱手段のローラへの効果的なつながりが確実なものになり、それにより小型の加熱ユニットでローラ表面を高い温度にする。ローラ表面は、いずれの場所の線源の輻射線に対しても約0.3〜約1.0の範囲の吸収性をもつように設計することができるが、吸収性がより高い値ことが好ましい。
【0038】
例えば、図示された例示的な輻射加熱器62は、第1ローラ36に隣接して配置され、ニップ領域39に接近すると第1ローラ36の表面を加熱するように構成される、赤外線ヒータ、高輝度ランプ又はレーザなどの輻射熱源64を備える。輻射熱源64は、輻射線68を介して所望の表面温度まで第1ローラ36を加熱して、それにより、高分子基材42が冷却される速度が下がり、布目付き高分子フィルム46上でのローラ表面のパターン又は布目の複製の正確さが増す。図11の実施態様は、第1ローラ36を加熱するように配置された輻射加熱器62を示しているが、別の実施態様では、輻射加熱器62は、第1ローラ36に加えて第2ローラ37を加熱するのに使用してもよい。
【0039】
輻射加熱の利点はローラ表面の迅速な加熱である。さらに、輻射加熱は、金属及び非金属のローラ表面の加熱、並びに所望の場合、高分子基材の加熱に適している。加えて、輻射加熱源64に供給される電力は、加熱速度を調整するために調節されてよい。
【0040】
次に、図12を参照すると、布目付き高分子フィルム46を形成する別の例示的なカレンダ装置70が示されており、これでは輻射加熱器62を使用する。図12に示される実施態様では、輻射加熱器62は、第1ローラ36から離れて位置する。この構成は、空間制約又は他の障害物ために第1ローラ36の近くに輻射加熱器62を配置することができない環境で使用することができる。前述した他の構成部品及び構成部品の機能は変わらない。
【0041】
同様に、図13は、輻射加熱器62及び反射器74を備え、布目付き高分子フィルム46を形成する例示的なカレンダ装置72を示す。図12に関連して考察したように、図13で示される実施態様では、ニップ領域39に接近するときに加熱される、第1ローラ36の表面のような、領域から離れて、輻射線源64を配置することが可能になる。図示される実施態様では、反射器74は第1ローラ36上に輻射エネルギー68を向けるように構成される。このようにして、反射器74は、所望の位置に対して反射するような好適な位置に配置でき、輻射源64は、ローラからより離れて配置できる。このようにして、湾曲反射器(放物線状又は楕円状)などの反射器74の使用により、有効輻射エネルギー68を加熱される領域にかなり集束させることができる。これは、かなり限定された幾何学的領域に熱輻射を集束させることが望ましい状況では、集束光学機器、レンズ、反射器などにより実現することができる。放射線68を方向づけるための1つの反射器を図示しているが、別の実施態様では、第1ローラ36、又は第1ローラ36及び第2ローラ36の両方のそれぞれの所望の領域へ1個以上の輻射加熱器62の放射線68を向けるために複数の反射器を使用してよいことに留意されたい。さらに、上で説明したように、輻射加熱器62の出力を調節して所望の加熱速度を得ることができる。
【0042】
同様に、図14は、ニップ領域39に接近したときに第1ローラ36及び第2ローラ37の両方の限定された部分を加熱するように構成される複数の輻射加熱器62を備え、布目付き高分子フィルム46を形成する例示的なカレンダ装置76を示す。図9〜13を参照しながら説明した装置76の他の構成部品の機能は変わらない。
【0043】
図11〜14の前記考察は、輻射加熱器62を使用した第1ローラ36及び第2ローラ37の加熱に関連したが、図15は、高分子基材42を直接に加熱するように構成された輻射加熱器62を使用して布目付き高分子フィルム46を形成する別の例示的なカレンダ装置78を示す。図15に示すように、高分子基材46は、輻射加熱器62から輻射エネルギー68が注がれる吸収性物質80が被覆されてよい。このようにして、高分子基材42の加熱を強めることができ、またさもなければより効果的にすることができる。吸収性物質80は単一の合成基材でよく、あるいはそのような合成物の混合物から構成されてよいことに留意されたい。
【0044】
一実施態様では、輻射加熱器62及び吸収性物質80によって実現される加熱が、布目がインプリントされる表面などの、高分子基材42の少なくとも一部分を融解するのに十分である場合がある。あるいは、加熱は、例えば、加熱される部分をその物質のガラス転移温度を超える温度に上げることにより、高分子基材42の加熱される部分を軟化させるだけの場合がある。どちらの場合も、加熱により、高分子基材42の加熱される部分では加熱される表面に沿って凹部及び/又は凸部が形成されやすくなり、それにより、布目複製加工の正確さが向上する。
【0045】
次に、図16を参照すると、布目付き高分子フィルム46を形成する別の例示的なカレンダ装置84が示されている。装置84は、図示されるように、ニップ領域39に近傍の第1ローラ36の上側表面を加熱するように構成される輻射加熱器62を備える。複数の感知装置(86〜94)が装置84の周辺に配置されていてよい。感知装置は、装置84の様々な作動パラメータを監視又は計測するように、及び/又は、直接又は制御機構へのフィードバックを介してこれらの作動パラメータを調整するように構成されていてよい。一実施例では、装置84は、少なくとも1つの速度センサ86、少なくとも1つの温度センサ88、及びロールギャップセンサ90を備える。当業者には理解されるであろうが、それぞれのセンサは、装置84に対して図示された位置以外の別の位置に配置されていてよい。さらに、使用することができるセンサの種類は、列挙した種類に限定されず、1つ以上の対象の作動パラメータを監視すること、及び/又は感知されたデータに基づいてカレンダ装置84の作動を調節することができる任意のセンサを含んでいてよい。
【0046】
本技術の一実施態様では、速度センサ86は、第1ローラ36及び第2ローラ37の速度を監視する。同様に、図示される実施態様では、温度センサ88は、第1ローラ36の近くに配置されてローラの温度を監視する。同様に、この実施態様では、第2の温度センサ92が、高分子基材42がニップ領域39に入る場所の近くに配置されて、ニップ領域39に入る高分子基材42の温度を監視する。同様に、この実施態様では、第3の温度センサ94が、布目付き高分子フィルム46が第1ローラ36及び第2ローラ37から出てくる場所の近くに配置されて、排出される布目付き高分子フィルム46の温度を計測する。ニップ領域39の近くに配置されるロールギャップセンサ90は、やはり図示の実施態様に存在しており、第1ローラ36と第2ローラ37との間の距離を計測するように構成される。本明細書で言及したセンサは単に例示的なものであり、別の実施態様は、本明細書で説明した種類のセンサに限定されるものではない、あるいは、図示される例示的な実施態様で説明されたこれらのセンサの配置に限定されるものではないことに留意することができる。
【0047】
当業者には理解されるであろうが、図16で示された実施態様のセンサは、協調して働くように構成されてよい。例えば、図17を参照すると、本明細書で説明したセンサ及び構成部品を含む制御体系の例示的な一実施態様が示されている。具体的には、図17は、本明細書で説明したように例示的なカレンダ装置の様々な作動パラメータを制御するための制御システム98を示す。図17に示されるように、並びに図16を参照しながら上で説明したように、制御システム98は、カレンダ装置の様々な作動パラメータを監視するためのいくつかのセンサを備える。センサは、ローラ表面温度センサ88、ロールギャップセンサ90、ローラ速度センサ86、高分子基材温度センサ92、及び/又は布目付きフィルム温度センサ94を含んでいてよい。
【0048】
上述したセンサのいくつか又はすべては制御装置100に結合されてよく、この制御装置100は、上述したセンサによって提供されるデータに基づいて、カレンダ装置の様々な作動パラメータを監視並びに制御するように採用されていてよい。図示される実施態様では、電源ユニット102は、必要な電力を制御装置100並びに加熱器62に供給する。さらに、電源ユニット102は、カレンダローラ駆動システム104及びカレンダ冷却システム106にも電力を供給する。図示される実施態様では、電源ユニット102の作動が、温度センサ、ロールギャップセンサ又はローラ速度センサの1つ又は複数の入力に基づいて制御装置100によって制御されて、カレンダ装置の作動パラメータを制御することができる。例えば、この実施態様では、制御装置100は電源ユニット102の出力を調整して、加熱器62、駆動システム104又は冷却システム106のうちの1つ以上の作動を調節することができる。
【0049】
本明細書では、本発明のいくつかの特徴のみを例示及び説明してきたが、多くの修正及び変更が当業者には思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨内にあるこれらの修正及び変更のすべてを包含していることを意図するものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本技術の実施態様に従って、ニップ領域にあるローラ表面のピーク温度が高分子フィルムの複製に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】本技術の実施態様に従って、表面の熱伝導率が高分子フィルム内のローラ表面の複製の深さに及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】布目付き高分子フィルムを形成する典型的な装置の図である。
【図4】本技術の一実施態様に従って、図3の工程により布目付き高分子フィルムを形成するローラの例示的な布目付き表面の直径方向の断面図である。
【図5】本技術の一実施態様に従って、図3の工程により布目付き高分子フィルムを形成するローラの別の例示的な布目付き表面の図である。
【図6】本技術の一実施態様に従って、図3に示される工程で使用されるローラ上に含まれるコーティングの使用を示す図である。
【図7】本技術の別の実施態様に従って、図3に示される工程で使用されるローラ上に含まれるコーティングの使用を示す図である。
【図8】、本技術のさらに別の実施態様に従って、図3に示される工程で使用されるローラ上に含まれるコーティングの使用を示す図である。
【図9】本技術の一実施態様に従って、ローラに埋設されて渦電流加熱に導電する構造体と、少なくとも1つの上記ローラの表面の近くに位置する誘導加熱コイルとを使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図10】本技術の一実施態様に従って、1つ以上のローラに埋設された抵抗ヒータを使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図11】本技術の一実施態様に従って、ローラの近くに配置された輻射加熱器を使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図12】本技術の一実施態様に従って、ローラから離れて配置された輻射加熱器を使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図13】本技術の一実施態様に従って、輻射線をローラに向けるように構成された反射器と共に輻射加熱器を使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図14】本技術の一実施態様に従って、ローラの限定された部分を加熱するように構成された複数の輻射加熱器を使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図15】本技術の一実施態様に従って、フィルムを直接加熱するように構成された輻射加熱器を使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図16】本技術の一実施態様に従って、輻射加熱器と、装置の周りに配置されて装置の様々な作動パラメータを感知する感知装置とを使用して布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の図である。
【図17】本技術の一実施態様に従って、布目付き高分子フィルムを形成する例示的な装置の様々な作動パラメータを感知する制御システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布目付き高分子フィルムを協働して形成するように構成された第1ローラ及び第2ローラ、及び、
少なくとも第1ローラの限定された部分を加熱するように構成されている加熱器
を備える、布目付き高分子フィルムを形成する装置。
【請求項2】
前記限定された部分が表面である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加熱器が、第1ローラ及び第2ローラによって画定されるニップ領域に前記限定された部分が接近したときに、該限定された部分を加熱するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記加熱器が、第1ローラ及び第2ローラによって画定されるニップ領域に入る高分子基材を加熱するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項5】
前記加熱器が、誘導加熱コイル、輻射加熱器、抵抗ヒータ、又はそれらの組合せの少なくとも1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記輻射加熱器が、赤外線ヒータ、高輝度ランプ、アークランプ及びレーザの少なくとも1つである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
第1ローラの外側表面が、線源の輻射線に対して高吸収性の表面である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記輻射加熱器が、輻射エネルギーを方向づけるための少なくとも1つの反射器を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
第1ローラの少なくとも1つの作動パラメータに基づいて少なくとも1つの加熱器を選択的に作動させるように構成されている制御装置を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記加熱器が、少なくとも第1ローラに埋設された複数の抵抗ヒータ又は誘導加熱コイルを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
布目付き高分子フィルムを協働して形成するように構成された第1ローラ及び第2ローラを備える、布目付き高分子フィルムを形成する装置であって、
少なくとも前記第1ローラが、布目付き高分子フィルムを協働して形成するときに熱を一時的に保持及び輻射するように構成されている、装置。
【請求項12】
少なくとも第1ローラが、熱伝導率が約15ワット/メートル−ケルビン未満である表面を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも第1ローラが、第1ローラの温度を自動的に制御するように構成された複層コーティングを有する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記複層コーティングの1層以上が熱障壁として働き、2つの隣接する層の接合部が領域にわたり漸次変化している、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複層コーティングの1層以上が、線源の輻射線に対して高吸収性の物質を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記複層コーティングの1層以上が、アルミニウム、チタン、ケイ素、クロム、マグネシウム又はジルコニウムもしくはそれら組合せのいずれかの酸化物、炭化物、窒化物又はホウ化物を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記複層コーティングの1層以上が多孔質物質を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記多孔質物質が、焼結処理、コーティング処理、スパッタリング処理、蒸着処理、溶融処理、鋳造処理又はボンディング処理のいずれかにより形成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記加熱器が、少なくとも第1ローラを加熱するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも第1ローラが、線源の輻射線に対して約0.3超の吸収性を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項21】
布目付き高分子フィルムを形成するように構成された第1ローラ及び第2ローラ、
少なくとも第1ローラの限定された部分を加熱するように構成されている加熱器、
第1ローラ及び布目付き高分子フィルの少なくとも一方の、又は、布目付き高分子フィルムが形成される高分子基材の温度を測定するように構成されている温度感知装置、
少なくとも第1ローラを冷却するように構成されている冷却システム、
第1ローラ及び第2ローラの少なくとも1つを駆動させるように構成されているローラ駆動システム、及び
該温度感知装置の出力に基づいて、加熱器、冷却システム又はローラ駆動システムを制御するように構成されている制御装置
を備える、制御システム。
【請求項22】
第1ローラと第2ローラ間のギャップ距離を測定するように、並びに、該ギャップ距離を制御装置に通知するように構成されているロールギャップセンサを備える、請求項21に記載の制御システム。
【請求項23】
前記加熱器が、誘導加熱コイル、輻射加熱器又はヒータカートリッジの少なくとも1つを備える、請求項21に記載の制御システム。
【請求項24】
前記制御装置が、電源ユニットを介して加熱器、冷却システム又はローラ駆動システムの作動を制御する、請求項21に記載の制御システム。
【請求項25】
第1ローラ又は第2ローラの少なくとも1つの速度を測定するように、並びに、第1ローラ及び第2ローラの熱流を制御するために加熱器へ該速度を通知するように構成されている速度センサを備える、請求項21に記載の制御システム。
【請求項26】
第1ローラ及び第2ローラを備えるローラアッセンブリに高分子基材を供給し、該高分子基材がローラアッセンブリを通過する時に布目付き高分子フィルムにされること、及び
少なくとも第1ローラの表面の温度を制御すること
を含む、布目付き高分子フィルムの形成方法。
【請求項27】
高分子基材、第1ローラ又は布目付き高分子フィルムの温度を計測し、計測された温度に基づいてローラ表面温度を制御することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
温度を制御することが、少なくともローラアッセンブリのニップ領域又はその近傍の表面を加熱することである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
温度を制御することが、少なくとも第1ローラを冷却することである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
カレンダ加工に使用するためのローラであって、2つ以上の層を有し、少なくとも1つの層の熱伝導率が15ワット/メートル−ケルビン未満である、カレンダ加工に使用するためのローラ。
【請求項31】
前記ローラが、ローラ温度を段階的又は連続的な形で制御するように構成されている、請求項30に記載のローラ。
【請求項32】
熱伝導率が15ワット/メートル−ケルビン未満である少なくとも1つの層が、熱障壁の役割を果たす、請求項31に記載のローラ。
【請求項33】
熱伝導率が15ワット/メートル−ケルビン未満である少なくとも1つの層が、高吸収性物質を含む、請求項31に記載のローラ。
【請求項34】
少なくとも1層が、アルミニウム、チタン、ケイ素、マグネシウム、クロム又はジルコニウムもしくはそれらの組合せのいずれかの酸化物、炭化物、窒化物又はホウ化物を含む、請求項31に記載のローラ。
【請求項35】
熱伝導率が15ワット/メートル−ケルビン未満である前記少なくとも1つの層が、多孔質物質を含む、請求項31に記載のローラ。
【請求項36】
前記多孔質物質が、焼結処理、コーティング処理、スパッタリング処理、蒸着処理、溶融処理、鋳造処理又はボンディング処理のいずれかにより形成される、請求項35に記載のローラ。
【請求項37】
2つ以上の層が異なる熱的特性をもつ、カレンダ加工に使用されるローラであって、表面層の熱拡散率が内部層より低い、ローラ。
【請求項38】
2つ以上の層が、ローラ温度を段階的又は連続的な形で制御するように構成されている、請求項37に記載のローラ。
【請求項39】
内部層、又は、表面層と内部層の間に配置される中間層が、熱バリアの役目を果たす、請求項38に記載のローラ。
【請求項40】
表面層が、高吸収性物質を含む、請求項38に記載のローラ。
【請求項41】
ローラの1層以上が、アルミニウム、チタン、ケイ素、マグネシウム、クロム又はジルコニウムもしくはそれらの組合せのいずれかの酸化物、炭化物、窒化物又はホウ化物を含む、請求項38に記載のローラ。
【請求項42】
ローラの1層以上が多孔質物質を含む、請求項38に記載のローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−543617(P2008−543617A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517108(P2008−517108)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/023323
【国際公開番号】WO2007/005226
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【復代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
【復代理人】
【識別番号】100106138
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 政幸
【復代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
【Fターム(参考)】