説明

帯ベルト並びにそれを製造する方法及びニードル式帯状体製織装置

【課題】 帯ベルトの製織方法を簡単化し、製織効率を改善する。
【解決手段】 少なくとも一の(右側)緯糸(SFR)及び少なくとも一の第2の(左側)緯糸(SFL)を有する帯ベルトの製織方法において、2つの緯糸(SFL,SFR)が帯ベルトの両側から、同一の杼道に打ち込まれ、緯糸反転ループにおいて、緯糸把持器の周りに掛けられ、基本的に杼道の交替まで、該緯糸把持器により保持され、次に、杼道の交替後に、筬によって該緯糸把持器から引き外され、打ち付け端部位置に向かって打ち付けられることを特徴とする製織方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、右緯糸(SFR)及び左緯糸(SFL)から帯ベルト(帯状体)を製織する方法並びにニードル式帯状体製織装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管状の縁部を備えた単層の帯ベルトを、単一の緯糸ニードルを備えたニードル式帯状体製織装置によって製織することは、DE2719382C3(Berger)により公知となっている。2つの単層に製織された縁部のうちの一方は、管状の縁部を形成するために、緯糸を引張ることによって、中間部の縁端に向かって引寄せられる。
【0003】
特に自動車用安全ベルトのための帯ベルトをニードル式製織装置上で製造することは、CH648069A5(Berger)により公知となっている。帯ベルトは、比較的剛性の中間部と、管状の縁端を形成するように巻き込まれる柔軟な縁部とを備えている。2つの緯糸ニードルが、生産速度を高めるために用いられ、互いに平行に、同時に作動する。その際、一方の緯糸ニードルは、中間部及び両側の縁部に、柔軟な緯糸を搬入(担送)し、他方の緯糸ニードルは、中間部へのみ、比較的剛性の緯糸を搬入(担送)し、両方の縁部については、両方の最外方の経糸のみを掴んでいる。2つの緯糸ニードルは、部分的に別個の杼道(複数)に2つの別個の緯糸を同時に打ち込む。中間部を介してのみ搬入(担送)される一方の緯糸ニードルによって、2つの平坦な縁部が管状の縁部を形成するように巻き込まれる。中間部は補剛され、より高い効率が実現される。2つの緯糸ニードルを用いることにより、単一の緯糸ニードルを用いた場合に比して効率を2倍にする努力がなされている。しかし2つの緯糸ニードルを用いたことにより、重量が増し、また補助緯糸打ち込み器の大きくしかも高速の運動が必要となるため、製織効率は2倍よりかなり低い値にしかならない。
【0004】
単層に製織される帯ベルトは、DE3345508C2(Ieperband)により公知となっている。やはり2つの別個の緯撚糸が2つの緯糸ニードルによって搬入(担送)される。モノフィラメント緯糸は中間部を補剛するためにのみ用いられ、平坦な縁部を巻き込むためには用いられるべきものではない。
【特許文献1】DE2719382C3
【特許文献2】CH648069A5
【特許文献3】DE3345508C2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の帯ベルトおよびその製造方法は、今日の基準では高価であり、自動車メーカーの高度な要求に応えうるものではない。特に、内側域には最高の横方向の強度が求められるのに、縁部域は快適にまた柔軟にした帯ベルトに対する要求が高まっている。更に従来の帯ベルトの製造装置は、構造が非常に複雑であり、操作方法の習得(熱)が非常に困難である。
【0006】
本発明の課題は、従来の技術の既知の欠点を解消するか又は軽減する冒頭に述べた形式の帯ベルト並びにその製造方法及びニードル式帯状体製織装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、特許請求の範囲1に記載の方法、即ち、1つの右側緯糸及び1つの左側緯糸を有する帯状体を製織する製織方法によって達成される。この製織方法は2つの緯糸が帯状体の両側から、同一の杼道に打ち込まれ、緯糸反転ループにおいて、緯糸把持器の周りに掛け回され、基本的に筬によって打ち込み端部に打ちつけられるまで、該緯糸把持器により保持され、次に、その後においてのみ杼道の交替がなされることを特徴とする。
【0008】
本発明の製織方法によれば、2つの緯糸(モノフィラメント)は、右側又は左側の緯糸導入(搬入ないし担送)側から到来し、帯状体(条片)を横切るように同時に対称的に導入(担送)され、それぞれの反対側において、そこに配された緯糸把持器によって保持される。次に各緯糸ニードルは再びそれぞれの元の側に引戻され、その際に緯糸を連行してそれを、次に筬が新たに打ち込まれた緯糸を製織済みの帯状体に対して打ち付けるまで緊張保持する。その時点まで緯糸把持器によって保持されていた緯糸は、打ち付けられ、杼道の交替によって固定される。
【0009】
この際に、帯状体は、有利なように、タック針、クロシェット針、ラッチ針又はすべり針を全く用いずに製造される。緯糸のメッシュ形成(Vermaschung)ないしクロシェット形成(Verhaekelung)はなされない。従来の技術による製織装置において不可欠とされていたこれらの高価な装置は、本発明の製造方法を用いることによって不要となる。例えばタック針ホルダーの慣用される制御装置に組付けることの可能な緯糸把持器(Schussrueckhalter, catch needle holder)のみが必要とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の有利な実施態様による、内側域、右側の柔軟な縁部域及び左側の柔軟な縁部域を備えた帯ベルトを製造するための製造方法は、次の各工程即ち
ar) 右側の条片縁側から右側の縁部域に、そして内側域に、右側緯糸ニードルを介して、右側の緯糸を導入する工程、
al) 工程ar)と同時に、左側の条片縁側から左側の縁部域に、そして内側域に、左側緯糸ニードルを介して、左側の緯糸を導入する工程、
br) 内側域から左側の縁部域への遷移域において、左側の緯糸把持器によって右側の緯糸を把持する工程、
bl) 工程 br)と同時に、内側域から右側の縁部域への遷移域において、右側の緯糸把持器によって左側の緯糸を把持する工程、
cr) 左側の緯糸把持器によって右側の緯糸を把持し、筬による打ちつけ端部域のところまで左側の緯糸把持器を引戻す工程、
cl) 工程 cr)と同時に、右側の緯糸把持器によって左側の緯糸を把持し、筬による打ちつけ端部域のところまで右側の緯糸把持器を引戻す工程、
dr) 条片の右側縁まで、右側の緯糸ニードルを引戻す工程、
dl) 工程 cr)と同時に、条片の左側縁まで、左側の緯糸ニードルを引戻す工程、
e) 前工程において形成された緯糸のループを両方の緯糸把持器から打ちつけ端部域に向かって、筬により引き外し、打ちつけ端部域から離れる方向に両方の緯糸把持器を前進させる工程、及び
f) 筬によって2つの緯糸を打ちつける工程、
の繰り返しとして行われる。
【0011】
2つの緯糸をガイドする緯糸ニードルは、右側又は左側の緯糸打ち込み側から到来し、同時に且つほぼ対称に条片を横切るように打ち込まれる。緯糸は、それぞれの反対側において、内側域と縁部域との間の遷移域で、そこに配された緯糸把持器によって保持される。次に各緯糸ニードルは再び元の側に引戻され、その際に緯糸を連行してそれを緊張させる。次に筬が新たに打ち込まれた緯糸を製織済みの条片に対して打ち付ける。その時点まで緯糸把持器によって保持されていた緯糸は、打ち付けられ、次の杼道の交替によって固定される。
【0012】
請求項2に記載の本発明の製造方法によれば、緯糸の配置として、2つの緯糸が内側域内に存在し、各1つの緯糸は、それぞれの緯糸打ち込み側に所属する縁部域のみに存在する。これにより、各縁部域は、各1つの緯糸のみを有し、従って柔軟であるのに対し、内側域には2つの緯糸が存在することにより、縁部域の2倍の素材量となるためより高い横方向の強度が得られるという利点が得られる。
【0013】
本発明の別の有利な実施態様の製織方法による、右側及び左側の緯糸が混成糸である帯ベルトの製造方法においては、製織プロセスの次の工程、即ち帯ベルトの熱固定が行われる。緯糸として用いられる混成糸は、製織プロセスの次に行われる熱固定プロセスにおいて、モノフィラメント状の糸構造に変換され、実際にモノフィラメントを用いなくても、モノフィラメントに匹敵する横方向の強度が、本発明による帯ベルトに付与される。
【0014】
混成糸(Hybrid-Faeden)は、融点の異なる複数の素材から成る、従来から公知の糸である。特許請求の範囲に従って、緯糸としての混成糸を製織後に熱固定すると、固化してモノフィラメント状となる。その場合、低融点の混成糸の成分は融解して流動性となり、高融点の混成糸の成分は同時にモノフィラメント状に、融解した成分中に埋め込まれる。そのため、モノフィラメント構造の利点即ち曲げ弾性、曲げ強度並びに帯ベルト(ないしシートベルト)について言われる反発力が得られる。
【0015】
本発明の別の有利な実施態様の製織方法によれば、左側の緯糸ニードルの他に、左側の縁部域と内側域との間の遷移域に供給されるモノフィラメントの緯糸を担送(連行搬送ないしガイド)するための左側の補助緯糸ニードルが備えられている。モノフィラメントの緯糸は、両側において、前記緯糸の近傍に、同様に緯糸把持器により把持されている。そのため実際には、モノフィラメントの補助緯糸は、内側域のみにおいて製織される。この実施態様の製造方法は、次の追加的工程、即ち
az) 工程ar)と同時に、内側域から左側の縁部域への遷移域に導かれたモノフィラメント緯糸を、左側から右側に、内側域から右側の縁部域への遷移域まで、左側の補助緯糸ニードルを介して担送し、
bz) 工程br)と同時に、内側域から右側の縁部域への遷移域において、モノフィラメント緯糸を右側の緯糸把持器によって把持し、
cz) 工程cr)と同時に、右側の緯糸把持器でモノフィラメント緯糸を把持すると共に、筬による打ちつけ端部域まで、右側の緯糸把持器を後進させ(引戻し)、
dz) 工程dr)と同時に、左側の補助緯糸ニードルを後進させる(引戻す)、
各工程を備えている。
【0016】
モノフィラメント緯糸の把持(キャッチ)、解放及び打ちつけは、上述した緯糸と同様のプロセスによって行われる。それには後述する補助緯糸ニードルが用いられる。
【0017】
本発明に従って内側域において補助(付加)的に用いられるモノフィラメントの補助緯糸により、帯ベルトの内部域には、横方向に高い強度が付与され、一方縁部域は、同時に所望のように柔軟とされるため、有利である。
【0018】
本発明のさらなる有利な実施態様による帯状体(条片)の製造方法は、条片の外側縁にループ状のピコ(飾り)を選択的に形成するための、請求項3に記載の第1の一連の工程と選択的に交互に行われる次の第2の一連の工程を含む。即ち、
apr) 右側の条片側部から、条片の全幅にわたって、左側の条片側部を越えて、右側緯糸ニードルを介して、右側の緯糸を導入(担送)する工程、
apl)工程apr)と同時に、左側の条片側から、条片の全幅にわたって、右側の条片側部を越えて、左側緯糸ニードルを介して、左側の緯糸を(担送)導入する工程、
bpr) 左側の縁部域の近傍の、条片の外側において、第2の左側の緯糸把持器によって右側の緯糸を把持し、緯糸ループを形成する工程、
bpl) 工程 bpr)と同時に、右側の縁部域の近傍の、条片の外側において、右側の第2の緯糸把持器によって左側の緯糸を把持し、緯糸ループを形成する工程、
dr) 条片の右側部まで、右側の緯糸ニードルを引戻す工程、
dl) 工程 dr)と同時に、条片の左側部まで、左側の緯糸ニードルを引戻す工程、
ep) 工程 bpr)およびbpl)において形成された緯糸ループを2つの第2の緯糸把持器から解放する工程、
f) 筬により2つの緯糸を打ちつける工程、
を備えている。
【0019】
これにより、境界縁から突出した所望の形態の緯糸ループないしループ状のピコ(飾り)を形成することが可能となる。これは特に既製服において、リボンやブレードに用いると良い。これに関連した本発明の有利な実施態様による製造方法においては、弾性の経糸が用いられる。
【0020】
本発明の有利な実施態様による製造方法においては、マルチフィラメントの糸が緯糸として用いられ、それによって柔軟な縁部が保証される。一般的に、安全ベルトとしての帯ベルトの経糸にもマルチフィラメントの糸が用いられる。それにより縁部域に所望の柔軟な縁部が得られ、有利となる。
【0021】
本発明のさらなる他の有利な実施態様による製造方法においては、弾性経糸(複数)が用いられる。本発明による製造方法は、既製服用の弾性条片のリボンの作成にも問題なく使用できる。
【0022】
本発明の前記の課題は、請求項8[9]に記載のニードル式の帯状体(条片)の製織装置によっても達成される。この製織装置は、相互に対し同時に制御可能にされた、右側の緯糸ニードル及び左側の緯糸ニードルと、左側ないし右側の緯糸を保持し、また解放するための、右側の緯糸把持器及び左側の緯糸把持器と、筬とを有する。左側の緯糸把持器及び右側の緯糸把持器は、とくに相互に対し協働するように、相互に対し連係されている。
【0023】
本発明の別の有利な実施態様によるニードル式の条片の製織装置によれば、緯糸把持器は製織装置の機枠に固定的に取り付けられ、好ましくは僅かに、筬による打ちつけ端部域の方に指向された引き外し−保持ワイヤが筬に弾性的に配され、該引き外し−保持ワイヤは、緯糸ニードルの円弧状の運動に基いて緯糸把持器のフック上を滑る緯糸ループを、杼道の交替前で且つ筬の打ちつけ前に、緯糸把持器から引き外し、筬自身が緯糸ループを打ち付けるまで筬の打ちつけ端部への押圧によって該緯糸ループを保持する。
【0024】
本発明の有利な実施態様によるニードル式の条片の製織装置によれば、緯糸把持器は、張力を受けた緯糸によって僅かに押し上げられ、その下方を緯糸が滑り易くなるよう、上下方向に弾性的に撓みうるように形成されることができる。
【0025】
本発明のニードル式の条片の製織装置によれば、帯ベルトは、従来の技術によった場合に比して一層簡単(ないし容易)に、磨耗の少ない形で製造される。柔軟な縁部の作成のために、タック(まつり)糸や止め糸(Sperrfaden)もそのために用いる装置も不要となる。それにより帯ベルトの製造は従来の方法或いは装置を用いた場合に比して一層容易となる。緯糸として混成糸を用いた場合は、製織プロセスの後に熱固定プロセスを行う。しかしこれは従来の方法に比して製造コストを引き上げない。それは帯ベルト全体は、混成緯糸からできていなくても、熱固定プロセスにかけられることによって適正な収縮及び適正な伸び率を所望の伸びの余裕と共に受けるからである。
【0026】
その他の利点及び特徴は、各従属項から明らかとなろう。
【実施例】
【0027】
次に、本発明がより良く理解されるように、その2つの実施例について、一層詳細に説明する。
【0028】
図1には帯ベルト(帯状体ないし条片)2が図示されている。尚、帯ベルト2の右側及び左側は、図1において丸印で囲んだ大文字のR及びLに対応して、図において右側及び左側にそれぞれ対応しているものとする。この図示の形式は図1以外の各図においても同様とする。
【0029】
帯ベルト2は、大体において3つの領域、即ち、左側の縁部域RL、内側域M及び右側の縁部域RRに区画されている。左側の縁部域から内側の縁部域及び内側の縁部域から右側の縁部域への各々の遷移域には、緯糸把持器SRHR(右側)、SRHL(左側)がそれぞれ備えられている。これらの緯糸把持器は、図2,3では、それぞれの把持点(黒点で示す)により表されている。これらの把持点は、補助的な把持点であり、その機能に基いて、それぞれの緯糸の打ち込み側と反対側の緯糸の反転点に至っている。これらの反転点は、本発明による帯ベルトの素材部分の内部にあり、従って「消失」している(見えない)。これらの反転点の外側には、夫々、単に1本の緯糸によって図示された柔軟な縁端部のみ(ソフトセルベッジ)がある。
【0030】
図1に示した状態では、緯糸ニードルSNL,SNRは、杼道(Webfach)の内部に約1/3はいりこんでいる。図2では、緯糸ニードルは、最大の打ち込み状態の終位置において図示されている。図3は、それと反対の、緯糸ニードルSNL,SNRの最大の引き込み(後退)位置が、内側域Mの外側縁の、緯糸把持機能に基いて形成された緯糸の反転点と共に図示されている。図3には、打ちつけ端部域に向かって更に走行した筬WBが示され、この筬WBは、次の工程で、隣接して示した矢印に示すように、新たに打ち込まれた緯糸(複数)に向かって走行し、それらの緯糸を、ハッチングで示した製織済み材料(帯状体)に打ちつける。緯糸把持器はここでその把持機能を一時的に失い、それと共に、緯糸の反転点としての役割も失う。各図、特に図1には、鋸歯の形状の緯糸把持器SRHR(右側)が、右[左]側に図示されている。図1には、両方の緯糸SFR,SFL(の断面の位置)が、緯糸ニードルの移動に基いて、緯糸把持器SRHRに向かって移動し、図2(の右側)に示した位置に到達する直前の状態において、横断面における点(複数)として図示されている。図3(の右側)に示した緯糸把持器SRHRの状態では、緯糸は、緯糸把持器SRHRから取り出され、筬の作用によって、製織済みの材料に向かって打ち付けられる。
【0031】
内側域M、右側の柔軟な縁部域RR及び左側の柔軟な縁部域RLを備えた帯ベルトを、右側の緯糸SFR及び左側の緯糸SFLから製造するための、本発明による製造方法は、次の各工程の繰り返しとして行われる。
【0032】
ar) 右側の帯ベルト縁側から右側の縁部域RRに、そして内側域Mに、右側緯糸ニードルSNRを介して、右側の緯糸SFRを打ち込む。
al)工程ar)と同時に、左側の帯ベルト縁側から左側の縁部域RLに、そして内側域Mに、左側緯糸ニードルSNLを介して、左側の緯糸SFLを打ち込む。
br) 内側域Mから左側の縁部域SFLへの遷移(境界)域において、左側の緯糸把持器SRHLによって右側の緯糸SFRを把持(拘束保持)する。
bl) 工程 br)と同時に、内側域Mから右側の縁部域RRへの遷移域において、右側の緯糸把持器SRHRによって左側の緯糸SFLを把持(拘束保持)する。
cr) 左側の緯糸把持器SRHLによって右側の緯糸SFRを把持し(つかみ)、筬による打ちつけ端部域BAのところまで左側の緯糸把持器SRHLを引戻す(後退させる)。
cl) 工程 cr)と同時に、右側の緯糸把持器SRHRによって左側の緯糸SFLを把持し、筬による打ちつけ端部域BAのところまで右側の緯糸把持器SRHRを引戻す。
dr) 帯ベルトの右側縁まで、右側の緯糸ニードルSNRを引戻す。
dl) 工程 cr)と同時に、帯ベルトの左側縁まで、左側の緯糸ニードルSNLを引戻す。
e) 前工程において形成された緯糸ループの、打ちつけ端部域BAへの筬WBによる両方の緯糸把持器SRHR,SRHLからの引き外し(解放)と、打ちつけ端部域BAから離れる方向への両方の緯糸把持器SRHR,SRHLの前方への移動とを行わせる。
f) 筬WBにより緯糸SFR,緯糸SFLを打ちつける。
【0033】
工程 cr) からe)までにおいて緯糸把持器SRHL、SRHRは、僅かに円弧状に前進及び後退移動する。打ちつけ端部域BAから離れる方向の、前方(打ちつけ端部域BAへ向う方向)への移動に際して、緯糸ニードルによって打ち込まれた緯糸は、上方に向けられた斜行するフックの先端の後方から下方に、緯糸把持器のフックの鉤状部に滑り込む。後方への移動に際して、緯糸把持器SRHR,SRHLは後方に移動する。緯糸ニードルSNL,SNRも後方に移動する。緯糸ループSFSはフックに引掛けられたままである。杼道(杼口)が閉じた後は、筬WBは前方に移動し、緯糸ループを引き外(解放)し、それを打ちつけ端部域に対し押圧する(図1ないし6も参照)。
【0034】
内側域Mの幅を思い切り狭め、比較的細いストリップ状とし、同時に縁部域RR、RLを思い切り広くすると、前述した帯状体とは全く外観の異なる帯ベルトが得られる。この帯状体の内側域は、厚くなった帯状ウェブ(突条)状となる。しかしこれらの領域には、起こりうる応力を補償するために、種々の織り方、例えば縁部域ヘの1/1亜麻布(平織り)とか内側域へ2/2パナマ織りとすることができる。このような帯状体は、比較的広い全幅にわたって、経済的に有利に製造できる。
【0035】
ニードル式の帯ベルト製織装置は、当業者には既知であるため、ここでは詳細な説明は行わない。本発明による帯ベルト2、経糸KFおよび緯糸SFR,SFLの主要部は容易に認識されよう。
【0036】
図4−6は、図1−3に示した工程と同様の工程を示しているが、図4−6の工程及び装置においては、モノフィラメント緯糸ニードルSNZが付加されている点が異なっている。モノフィラメント緯糸ニードルSNZは、識別のためにハッチング線で示されている。
【0037】
図6において、両方の緯糸反転点、即ち左側の緯糸反転点SUL及び右側の緯糸反転点SURが特に参照される。これらの緯糸反転点は、緯糸把持器SRHR,SRHLの作動によって生起する。図5には、内側域から左側の縁部域にかけての領域において、すでに製織済みの材料の縁部に、点ZZが示されている。この点は、補助糸SFZを案内することを表している。この案内は、そうこうその他の装置でよい。図4−6において、補助緯糸のための補助緯糸ニードルを用いた本発明の第2実施例による製織方法の各工程を説明すると、図4では、緯糸ニードルは、杼道の約1/3のところまではいりこんでいる。図5では、緯糸ニードルは、杼道を完全に通過し、最大に引き出された終位置にある.図6では、緯糸ニードルの杼道からの反対方向の最大の引き込み(後退)位置が示され、筬WBは、隣接した矢印の方向の運動において、それまでに完成した帯ベルト又は既にその帯ベルトの上部に打ち付けられる緯糸に向かう途上にある。次の工程としては、筬WBは、突き当たった箇所から再び離れる方向に移動し、緯糸の前方からの打ちつけが再び開始され、図4等に示す状態となる。有利な点として、縁部域RL及びRRは、僅か経糸4−8本の幅であり、補助糸は、外部からは認識できず、従って帯ベルトの外側縁からは認識できないことがある。
【0038】
以上に説明した形態において、本発明による、有利な変形方法は、次の付加的な工程と共に実施される。
az) 工程ar)と同時に、有利には,内側域Mから左側の縁部域RLへの遷移(移行)域に導かれたモノフィラメント緯糸SFZを、左側から、内側域Mから右側の縁部域RRへの遷移域まで、左側の補助緯糸ニードルSNZを介して打ち込む。
bz) 工程br)と同時に、内側域Mから右側の縁部域RRへの遷移域において、モノフィラメント緯糸SFZを右側の緯糸把持器SRHRによって把持する。
cz) 工程cr)と同時に、右側の緯糸把持器SRHRでモノフィラメント緯糸を把持すると共に、筬による打ちつけ端部域BAの少し前の位置まで、右側の緯糸把持器SRHRを後退させる。
dz) 工程dr)と同時に、補助緯糸ニードルSNZを後退させる(戻す)。
【0039】
勿論ここで左側の補助緯糸ニードルSNZについて記述した本発明による装置の実施例並びにそれに所属する方法は、右側の補助緯糸ニードルについても同様に実施することができる。2つの方法はそれぞれ単独にも、同時にも実施でき、後者の場合は、鏡像ないし対称の状況となる。
【0040】
杼道(杼口)が十分に大きければ、2つの(即ち左側及び右側の)補助緯糸ニードルも使用でき、有利となる。
【0041】
以上に述べた方法においては、緯糸把持器SRHL、SRHRは、僅かに円弧状に、前進及び後退方向に移動する。緯糸把持器が、筬による打ちつけ端部域から離れる方向に前方に移動すると、緯糸ニードルによって連行される緯糸は、上方に指向する斜行したフックの先端の後部に、下方に向かって鉤状部の内部に滑り込む(図参照)。
【0042】
図7において、帯ベルト2は、略示的にまた高度に定性的に図示され、筬による打ちつけ端部域BAにおいて、経糸KFによる杼道A−Cを形成する。製織装置の機枠に固定的に配されたフック状に曲がったニードル(ここでは緯糸把持器SRH)は、打ちつけ端部域BAの近傍にある。筬BAは、引き外し−保持ワイヤFSDrと共に緯糸SFを打ちつけ端部域BAの直前の、図8に示した位置に持ちきたすために、矢印ZBAの方向に移動しようとしている。そのとき引き外し−保持ワイヤFSDrは、図8に示した筬WBの位置において、緯糸SFに当接し、図8において矢印ZBAの方向に筬が更に移動すると点線で示した位置FSDr‘のように弾性的に湾曲し、緯糸SFを緯糸把持器SRHのフックHから引き外す。これは筬BAが打ちつけ端部位置BAに緯糸を打ちつける時に(従ってその打ち付けとほぼ同時に)生ずる。
【0043】
図9は、直上に述べた状況を拡大して示し、本発明による帯ベルトは、本発明による他の実施例との関連において、単に縁部のみが図示されている。すでに製織済みの帯ベルト2は、図9の下部に図示されている。帯ベルトの1つの縁部は、右側の縁部により表されている。筬WBには、引き外し−保持ワイヤFSDrが取り付けてあり、この引き外し−保持ワイヤFSDrは、部分的に切断して示され、緯糸把持器SRHのフックHの周りに掛けられた緯糸SFの緯糸のループSFSを打ちつけ端部域BAに向かって付勢している。完成した筬WBの運動は、矢印ZBAにより表されている。
【0044】
筬WBは図10では前方からの概略図であり、図を見る方向は、図7に対応しているが、図7は左から右に見ている。引き外し−保持ワイヤFSDrが明示されている。図9,10は、帯ベルトの右側の縁部域の部分図であるが、図9,10に寸法上の相関はない。
【0045】
図11は、帯状体(条片)4の極く概略的な上面図であり、条片4は、その縁部の各側に、ループ状のピコ(飾り)6を備えている。図11において、経糸方向に、矢印Kの方向に延びる領域Pが表されている。図12では、この領域においての右側の緯糸ニードルからの緯糸の案内を示すために、糸の間隔が大きく拡大されている。以上に作用及び構成について詳細に説明した緯糸把持器は、図11,12に示した実施例では、条片の幅と直角に配された位置A,Bに配されている。位置Aにある緯糸把持器は、前述した実施例では、緯糸把持器として作動し、即ち条片の両側の縁部の内側に配され、(図示しない) 右側の緯糸ニードルから左方に担送される緯糸SFRを把持する働きをしている。緯糸SFRは、それによって、条片の内部にある緯糸ループを、位置Aに形成する。図11,12に示した実施例では、以上に説明した実施例と異なり、第2の緯糸把持器SRHL2が補助的に位置Bに配されている。第2の緯糸把持器SRHL2は、図示しない(右側の)緯糸SFR(図示しない右側の緯糸ニードルによって打ち込まれる緯糸)を把持する。この把持は、該緯糸ニードルが杼道から再び右側の出発位置に戻るまで続けられ、ここで図示しない筬WBが、筬による打ちつけ端部域に、杼道の閉じる直前に移動し、それによって、ループ状のピコ(飾り)のための緯糸ループPSを位置Bに、従って条片4の左側の縁部から突出する位置に固定する。
【0046】
帯ベルトの右側の縁部にループ状のピコ(飾り)6を形成するのも、左側の縁部の場合と同様に行えばよい。
【0047】
図12において、同時に左側から打ち込まれる緯糸SFLは、図示を分かりやすくするために図示していない。実際には、単に定性的に示した緯糸SFRの形態は、経糸の方向に緯糸が圧縮されていると理解してよく、それにより緯糸は、図11に示すように経糸の長さ方向の領域Pを占めている。その場合、互いに隣接する緯糸ループを集めることによって、ループ状のピコ(飾り)6ないし飾り縁8が形成される。
【0048】
図13は、図11,12の実施例に用いられている2つの緯糸把持器を略示している。具体的には、緯糸把持器SRHLを位置Aに、また緯糸把持器SRHL2を位置Bに、それぞれ示している。緯糸把持器SRHL2は、製織される条片4の外側にある。これらの緯糸把持器は、筬による打ちつけ端部域BAから離れる方向に、またそれに向かう方向に、矢印VZに従って移動する。また緯糸把持器SRHL2は、2つの位置状態Y、Z(Yはループ状のピコの形成されないときの上行位置、Zはループ状の飾りが形成されるときの下行位置)に駆動される。
【0049】
本発明の有利な実施態様において、一側あたり1以上の複式緯糸を部分的に別々の杼道に同時に打ち込む場合には、好ましくは、緯糸把持器の上下運動を正確に制御する(図13と同様に、位置B:位置状態Y及びZ)。これにより多重に重なり合った緯糸ループを緯糸把持器により容易に把持できる。
【0050】
図14は、2つの緯糸SFL、SFRを1つの緯糸ニードル28によって供給するようにした、本発明の変形実施例による製織方法を示している(詳細については図15参照)。緯糸ニードル28は、そのニードル端34に目孔36を有し、その目孔36を介して、第1の緯糸SFLをガイドして杼道に打ち込む。第2の(右側の)緯糸SFRは、緯糸ニードル28を杼道から、ニードル端34に配されたフック付きのタック装置42により引き出すときに、フック40(種々の回転係止位置に持ちきたすことができる)により把持し、杼道に打ち込む。
【0051】
図14は、図示の都合上特に大きく拡大して、緯糸ニードル28が左側の緯糸SFLを杼道に打ち込んだ状態を示している。フック40は既に右側の緯糸SFRをすでに通過した位置にある。(図16a、16bで)矢印RWによって示した緯糸ニードル28の帰路においてフック40が位置される通路に向かって緯糸SFRを押動するために、押圧子30が設けられている。その場合右側の緯糸SFRは、フック40によって連行され(図16a)、緯糸ニードル28によって、左側の緯糸把持器SRHLを過ぎたところまでガイドされる。これは、フック40が、製織装置の機枠に固定した当接片32(図14,16b、16c)と当接し、さらに通り過ぎることによって、係止ばね38に抗して回動され、それによって右側の緯糸SFRが『離脱する』まで続けられる(図16b)。係止ばね38は、図15に例示され、緯糸ニードル28中に配されている。これで打ち込みサイクルが終了する。次の打ち込みサイクルは、図16cで矢印VWの方向に緯糸ニードル28が前進することによって開始される。ここで、製織装置の機枠に固定した当接片32を−今度は逆方向に−通り過ぎる時(図14,16b、16c)フック40は再び把持位置に持ちきた(回動)される。
【0052】
帯状体(条片)、特に内側域M、右側の縁部域RR及び左側の縁部域RLを備えた条片を製織するための、図14−16cによる装置によって実施可能な、請求項22に記載の方法は、次の一連の工程の反復を特徴とする。
sal)左側の条片縁側から左側の縁部域(RL)に、そして内側域Mに、緯糸ニードル(28)を介して、左側の緯糸(SFL)を打ち込む工程、
sbl)内側域(M)から右側の縁部域(RR)への遷移域において、右側の緯糸把持器(SRHR)によって左側の緯糸(SFL)を把持する工程、
sr)右側の緯糸(SFR)をタック装置(42)によって捕捉する工程、
sar)右側の条片縁側から右側の縁部域(RR)及び内側域(M)に、緯糸ニードル(28)を介して、右側の緯糸(SFR)を導入する工程、
sbr)内側域(M)から左側の縁部域(RL)への遷移域において、左側の緯糸把持器(SRHL)によって右側の緯糸(SFR)を把持する工程、
scr) 右側の緯糸(SFR)を左側の緯糸把持器(SRHL)によって捕捉し、左側の緯糸把持器(SRHL)を筬による打ちつけ端部域(BA)まで引戻す工程、
scl) 特に工程scr)と同時に、左側の緯糸(SFL)を右側の緯糸把持器(SRHR)によって捕捉し、右側の緯糸把持器(SRHR)を筬による打ちつけ端部域(BA)まで引戻す工程、
se)前工程において形成された緯糸のループを、筬(WB)により、両方の緯糸把持器(SRHR,SRHL)から打ちつけ端部域(BA)に向かって引き外し、打ちつけ端部域(BA)から離れる方向に両方の緯糸把持器(SRHR,SRHL)を前方に移動させる工程、及び
f) 筬(WB)により緯糸(SFR,SFL)を打ちつける工程。
【0053】
直上に述べた、本発明による方法は、緯糸ニードルを用いる場合に限られない。更に、例えば2つの等長又は不等長の複式緯糸ニードル、さらなる緯糸把持器並びにそれらの全ての組合せによる変形も可能である。更に、当業者には自明なように、当該技術において知られた織物縁の形成用のすべての技法も使用可能である。
【0054】
本発明によれば、従来必要とされたタック糸(Fangfaeden)又は止め糸(Sperrfaeden)並びにそのために必要とされた装置は不要となる。本発明によれば、従来の技術に比して薄手の帯状体(条片)が得られ、これは縁部が柔軟であり、特に乗り物で使用するのに適合している。また本発明による帯状体(条片)は、製造工程並びに製造装置の構成部材の一部を割愛できることによって、従来の技術によった場合に比して有利に製造できる。
【0055】
更に、緯糸の張力を大きく低減でき、それにより、磨耗、緯糸の切断又は緯糸の反転ないし偏向箇所を著しく低減できるという利点も得られる。また本発明によれば、従来必要とされた編み針(Wirknadel)とか、それに結びついたけば立たせ(ないし糸の端切れ形式、Flusenbildung)も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、各緯糸がほぼ杼道の内部1/3のところに到達している第1の工程において、帯ベルト及びニードル式の帯ベルト製織装置の主要部を拡大して略示する。
【図2】図2は、各緯糸が最大限度まで引出された終位置にある、第2工程において、帯ベルト及びニードル式の帯ベルト製織装置の主要部を拡大して略示する。
【図3】図3は、筬(おさ)がその打付け端部の直前の位置にある第3工程において、帯ベルト及びニードル式の条片製織装置の主要部を拡大して略示する。各緯糸は(再び) 最大限度まで引き込まれている。
【図4】図4は、モノフィラメントの緯糸を導入(担送)するために補助的に使用されるモノフィラメント緯糸ニードルを用いた他は図1と同様の図である。
【図5】図5は、補助(付加)的に使用されるモノフィラメント緯糸ニードルを更に備えた、図2と同様の図である。
【図6】図6は、補助(付加)的に用いるモノフィラメント緯糸ニードルと共に示した、図3と同様の図である。
【図7】図7は、製織装置の機枠に固定した変形例による緯糸把持器とその上を移動する筬とを示す、帯ベルトの縁端の側面側から見た概略図であり、筬と緯糸把持器との間になお緯糸ニードルがある状態を示す図である。
【図8】図8は図7と同様の概略図であるが、それより少し遅れた時点において、引き外し−保持ワイヤが既に緯糸ループと当接しこれを筬による打ちつけ端部域に向かって押動しようとする状態を示す図である。
【図9】図9は図8に示した状態を拡大して、図8の矢印DSの方向に見た図である。
【図10】図10は、図7,8に例示的に示した筬を例示的な構成の引き外し−保持ワイヤと共に示す図である。
【図11】図11は、ループ状のピコ(飾り)を縁部に備えた帯ベルトを示す上面図である。
【図12】図12は、縁部のループ状のピコ(飾り)をよりよく示すため図11の帯ベルトの各部分を相互から大きく引き離して示す上面図である。
【図13】図13は、図11,12による帯ベルトを製造する際に用いる緯糸把持器の位置を示す概略図である。
【図14】図14は、2つの緯糸のための緯糸ニードル、目孔及びタック装置を備えた本発明による帯ベルト製織装置の更に別の実施例を、一部は断面図として示す概略図である。
【図15】図15は、図14の細部Xを示す一部は断面図として示す側面図及び上面図である。
【図16】図16aないし16cは、図14の細部Xを別々の段階X1−X3について拡大尺で示した一部断面側面図である。
【符号の説明】
【0057】
2 帯ベルト(帯状体、Gurtband)
4 条片(帯状体)
6 ループ状のピコ(飾り)
22 帯状体(条片)
28 緯糸ニードル
30 押圧子
32 当接子
34 ニードル端
36 目孔
38 係止ばね
40 フック
42 タック装置
A−C 杼道(杼口、Fach, shed)
BA 筬による打ちつけ端部(域)
DS 矢印
FSDr 引き外し−保持ワイヤ
FSDr‘ 引き外し−保持ワイヤ
H フック
KF 経糸
L 円で囲んだ左側
M 内側域
P ピコ域
PS ピコ−緯糸ループ
R 円で囲んだ右側
RR 右側の縁部域
RL 左側の縁部域
SF 緯糸
SFR 右側の緯糸
SFL 左側の緯糸
SFS 緯糸ループ
SFZ 補助緯糸
SNR 右側の緯糸ニードル
SNL 左側の緯糸ニードル
SNZ 左側の補助緯糸ニードル
SRHL 左側の緯糸把持器ないしフック(Schussrueckhalter, weft holdback)
SRHL2 第2の左側の緯糸把持器
SRHR 右側の緯糸把持器
SRHR2 第2の右側の緯糸把持器
SUL 左側の緯糸反転点
SUR 右側の緯糸反転点
VZ 矢印
WB 筬(おさ)
Y 緯糸把持器位置
Z 緯糸把持器位置
ZBA 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一の(右側)緯糸(SFR)及び少なくとも一の(左側)緯糸(SFL)を有する帯ベルトの製織方法において、2つの緯糸(SFL,SFR)が帯ベルトの両側から、同一の杼道に打ち込まれ、緯糸反転ループにおいて、緯糸把持器の周りに掛け回され、基本的に杼道の交替まで、該緯糸把持器により保持され、次に、杼道の交替後に、筬によって該緯糸把持器から引き外され、打ち付け端部に打ち付けられることを特徴とする製織方法。
【請求項2】
2つの緯糸(SFL,SFR)が帯ベルトの両側から同時に同一の杼道に打ち込まれることを特徴とする請求項1に記載の製織方法。
【請求項3】
帯ベルト、特に内側域(M)、右側の柔軟な縁部域(RR)及び左側の柔軟な縁部域(RL)を備えた帯ベルトを製造するための、次の第1の一連の各工程即ち
ar) 右側の帯ベルト縁側から右側の縁部域(RR)に、そして内側域(M)に、右側緯糸ニードル(SNR)を介して、右側の緯糸(SFR)を導入する工程、
al)工程ar)と同時に、左側の帯ベルト縁側から左側の縁部域(RL)に、そして内側域(M)に、左側緯糸ニードル(SNL)を介して、左側の緯糸(SFL)を導入する工程、
br) 内側域(M)から左側の縁部域(RL)への遷移域において、左側の緯糸把持器(SRHL)によって右側の緯糸(SFR)を把持する工程、
bl) 工程 br)と同時に、内側域(M)から右側の縁部域(RR)への遷移域において、右側の緯糸把持器(SRHR)によって左側の緯糸(SFL)を把持する工程、
cr) 左側の緯糸把持器(SRHL)によって右側の緯糸(SFR)を把持し、筬による打ちつけ端部域(BA)のところまで左側の緯糸把持器(SRHL)を引戻す工程、
cl) 工程 cr)と同時に、右側の緯糸把持器(SRHR)によって左側の緯糸(SFL)を把持し、筬による打ちつけ端部域(BA)のところまで右側の緯糸把持器(SRHR)を引戻す工程、
dr) 帯ベルトの右側縁まで右側の緯糸ニードル(SNR)を引戻す工程、
dl) 工程 cr)と同時に、帯ベルトの左側縁まで左側の緯糸ニードル(SNL)を引戻す工程、
e) 前工程において形成された緯糸のループを両方の緯糸把持器(SRHR,SHRL)から打ちつけ端部域BAに向かって、筬(WB)により引き外し、打ちつけ端部域(BA)から離れる方向に両方の緯糸把持器(SRHR,SHRL)を前進させる工程、及び
f) 筬(WB)によって緯糸(SFR,SFL)を打ちつける工程、
の繰り返しとして行われることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
右側及び左側の緯糸が混成糸である、請求項3に記載の製造方法において、製織プロセスの後に次の工程、即ち
g) 帯ベルトの熱固定
を行うことを特徴とする帯ベルトの製造方法。
【請求項5】
次の付加的工程、即ち
az) 工程ar)と同時に、好ましくは内側域(M)から左側の縁部域(RL)への遷移域に、導かれたモノフィラメント緯糸(SFZ)を、左側から右側に、内側域(M)から右側の縁部域(RR)への遷移域まで、左側の補助緯糸ニードル(SNZ)を介して導入し、
bz) 工程br)と同時に、内側域(M)から右側の縁部域(RR)への遷移域において、モノフィラメント緯糸(SFZ)を右側の緯糸把持器(SRHR)によって把持し、
cz) 工程cr)と同時に、右側の緯糸把持器(SRHR)でモノフィラメント緯糸(SFZ)を把持すると共に、筬による打ちつけ端部域(BA)まで、右側の緯糸把持器(SRHR)を引戻し、
dz) 工程dr)と同時に補助緯糸ニードル(SNZ)を引戻す、
各工程を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
帯ベルトの外側縁にループ状のピコ飾りを選択的に形成するための、前記第1の一連の工程と選択的に交互に反復される次の第2の一連の工程、即ち
apr) 右側の帯ベルト側部から、帯ベルトの全幅にわたって、左側の帯ベルト側部を越えて、右側緯糸ニードル(SNR)を介して、右側の緯糸(SFR)を導入する工程、
apl)工程apr)と同時に、左側の帯ベルト側部から、帯ベルトの全幅にわたって、右側の帯ベルト側部を越えて、左側緯糸ニードル(SNL)を介して、左側の緯糸(SFL)を導入する工程、
bpr) 左側の縁部域(RL)の近傍の帯ベルトの外側において、第2の左側の緯糸把持器(SRHL2)によって右側の緯糸(SFR)を把持し、緯糸ループを形成する工程、
bpl) 工程 bpr)と同時に、右側の縁部域(RR)の近傍の帯ベルトの外側において、右側の第2の緯糸把持器(SRHR2)によって左側の緯糸(SFR)を把持し、緯糸ループを形成する工程、
dr) 帯ベルトの右側部まで右側の緯糸ニードル(SNR)を引戻す工程、
dl) 工程 dr)と同時に帯ベルトの左側部まで左側の緯糸ニードル(SNL)を引戻す工程、
ep) 工程bpr) および bpl) において形成された緯糸ループを2つの第2の緯糸把持器(SRHR2、SRHL2)から解放する工程、
f) 筬(WB)により2つの緯糸(SFR、SFL)を打ちつける工程、
の繰り返しとして行われることを特徴とする請求項6に記載製造方法。
【請求項7】
右側及び左側の緯糸が混成糸である、請求項3に記載の製造方法において、製織プロセスの後に次の工程、即ち
g) シートベルト用の熱固定
を行うことを特徴とする帯ベルトの製造方法。
【請求項8】
弾性経糸を使用することを特徴とする請求項1−7のいずれか一に記載の製造方法。
【請求項9】
帯ベルト、特に内側域(M)、右側の柔軟な縁部域(RR)及び左側の柔軟な縁部域(RL)を備えた帯ベルトを、右側の緯糸(SFR)及び左側の緯糸(SFL)から製織するための、ニードル式の帯ベルトの製織装置であって、
A)右側の緯糸ニードル(SNR)と、該右側の緯糸ニードル(SNR)に対して同時に制御可能にされた、左側の緯糸ニードル(SNL)と、
B)左側ないし右側の緯糸を把持し、また解放するための、左側の緯糸把持器(SRHL)及び右側の緯糸把持器(SRHR)と、
C)筬(WB)と
を有することを特徴とするニードル式の帯ベルトの製織装置。
【請求項10】
B2)左側ないし右側の緯糸を把持し、また解放するための、第2の左側の緯糸把持器(SRHL2)及び第2の右側の緯糸把持器(SRHR2)を有することを特徴とする請求項9に記載のニードル式の帯ベルトの製織装置。
【請求項11】
D)左側又は右側の緯糸ニードル(SNR)に対し同時に制御可能にされた左側の補助緯糸ニードル(SNZ)を有することを特徴とする請求項9又は10に記載のニードル式の帯ベルトの製織装置。
【請求項12】
緯糸把持器(SRH)が製織装置の機枠に固定的に取り付けられ、好ましくは僅かに、筬による打ちつけ端部域の方に指向された引き外し−保持ワイヤ(FSDr)が筬(WB)に弾性的に配され、該引き外し−保持ワイヤ(FSDr)は、杼道の交替前で且つ筬の打ちつけ前に、緯糸ループを緯糸把持器(SRH)から引き外し、筬の打ち付け端部域に押圧することによって、筬(WB)自身が緯糸ループを打ち付けるまで該緯糸ループを保持することを特徴とする請求項9,10又は11に記載のニードル式の帯ベルトの製織装置。
【請求項13】
緯糸把持器(SRH)が上下方向に弾性的に撓みうるように形成されたことにより、張力を受けた緯糸によって僅かに押し上げられ、緯糸が後方へ滑り易くされることを特徴とする請求項12に記載のニードル式の帯ベルトの製織装置。
【請求項14】
内側域(M)、該内側域(M)に比して柔軟な右側の縁部域(RR)及び該内側域(M)に比して柔軟な左側の縁部域(RL)を備え、右側の緯糸(SFR)及び左側の緯糸(SFL)から製織される、安全用ベルトとしての帯ベルトであって、右側の緯糸(SFR)が内側域(M)及び右側の縁部域(RR)にのみ存在し、左側の緯糸(SFL)が内側域(M)及び左側の縁部域(RL)にのみ存在することを特徴とする帯ベルト。
【請求項15】
右側の緯糸(SFR)及び左側の緯糸(SFL)がマルチフィラメント糸(Multifil-Faden)であることを特徴とする請求項14に記載の帯ベルト。
【請求項16】
右側の緯糸(SFR)及び左側の緯糸(SFL)が混成糸(Hybrid-Faden)であることを特徴とする請求項14又は15に記載の帯ベルト。
【請求項17】
モノフィラメントの補助緯糸(SFZ)を付加的に内側域(M)に配したことを特徴とする請求項14−17のいずれか一に記載の帯ベルト。
【請求項18】
左側及び(又は) 右側の縁部域の近傍において帯ベルトの外側に配された緯糸ループ又はピコ飾りを有することを特徴とする請求項6又は7に記載の帯ベルト。
【請求項19】
右側の緯糸(SFR)及び左側の緯糸(SFL)がマルチフィラメント糸であることを特徴とする請求項18に記載の帯ベルト。
【請求項20】
右側の緯糸(SFR)及び左側の緯糸(SFL)が混成糸であることを特徴とする請求項18又は19に記載の帯ベルト。
【請求項21】
弾性の経糸を有することを特徴とする請求項14−20のいずれか一に記載の帯ベルト。
【請求項22】
緯糸(SFR,SFL)が1つの緯糸ニードル(28)のみによって供給され、第1の(左側の)緯糸(SFL)は、緯糸ニードル(28)が杼道に進入する際に、緯糸ニードルのニードル端(34)の領域に配された目孔(36)に通されて案内され、第2の(右側の)緯糸(SFR)は、緯糸ニードル(28)が杼道から退出(ないし引戻)する際に、ニードル端(34)に配されたタック装置(42)によって捕捉され、杼道内に導かれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
帯ベルト、特に内側域(M)、右側の柔軟な縁部域(RR)及び左側の柔軟な縁部域(RL)を備えた帯ベルトを製造するための、次の一連の各工程、即ち
sal)左側の帯ベルト縁側から左側の縁部域(RL)に、そして内側域(M)に、緯糸ニードル(28)を介して、左側の緯糸(SFL)を導入する工程、
sbl)内側域(M)から右側の縁部域(RR)への遷移域において、右側の緯糸把持器(SRHR)によって左側の緯糸(SFL)を把持する工程、
sr)右側の緯糸(SFR)をタック装置(42)によって捕捉する工程、
sar)右側の帯ベルト側部から右側の縁部域(RR)及び内側域(M)に、緯糸ニードル(28)を介して、右側の緯糸(SFR)を導入する工程、
sbr)内側域(M)から左側の縁部域(RL)への遷移域において、左側の緯糸把持器(SRHL)によって右側の緯糸(SFR)を把持する工程、
scr) 右側の緯糸(SFR)を左側の緯糸把持器(SRHL)によって捕捉し、左側の緯糸把持器(SRHL)を筬による打ちつけ端部域(BA)まで引戻す工程、
scl) 特に工程scr)と同時に、左側の緯糸(SFL)を右側の緯糸把持器(SRHR)によって捕捉し、右側の緯糸把持器(SRHR)を筬による打ちつけ端部域(BA)まで引戻す工程、
se)前工程において形成された緯糸のループを、筬(WB)により、両方の緯糸把持器(SRHR,SRHL)から打ちつけ端部域(BA)に向かって引き外し、打ちつけ端部域(BA)から離れる方向に両方の緯糸把持器(SRHR,SRHL)を前方に移動させる工程、及び
f) 筬(WB)により両方の緯糸(SFR、SFL)を打ちつける工程、
の繰り返しとして行われることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
右側及び左側緯糸が混成糸である請求項23に記載の帯ベルトの製造方法において、
g)帯ベルトの熱固定
を製織プロセスの後に行うことを特徴とする帯ベルトの製造方法。
【請求項25】
弾性の経糸を使用することを特徴とする請求項1−24の各項のいずれか一に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【公表番号】特表2009−529104(P2009−529104A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557669(P2008−557669)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002021
【国際公開番号】WO2007/101692
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(500362143)
【Fターム(参考)】