説明

帯域幅の割り当て

通信リソースに対するアクセスは複数のユーザのそれぞれが使用できるようにされた最大容量を制限することによって、ユーザを、過去の期間での該リソースの彼らの使用量に応じてランク付けすることによって、及び履歴的に一番使用量の少ないユーザに最大の可用性が割り当てられ、それにより節度のあるユーザにほとんど影響を及ぼさない一方で該リソースの連続した頻繁な使用をやめさせることによって、各ユーザに対してそのユーザのランクに従って割り当てられる制限因数で各ユーザに対しリソースの可用性を制限することによって、制御される。各ユーザが使用できるようにされた最大容量は、他のユーザにより使用される使用量を基準にして、過去の期間でのそのユーザにより使用されるリソースの使用量に対して逆相関関係を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に「インターネット」等の分散ネットワークにアクセスを提供するための、電気通信ネットワークのユーザに対する帯域幅の割り当てに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロードバンド接続性がますます多くのエンドユーザに導入されるにあたり、当初、帯域幅は無尽蔵の商品として扱われていた。ユーザは通常、接続性に対し固定価格を支払い、使用量に制限はなかった。その後「広い帯域幅を必要とする(bandwidth−hungry)」用途(及びさらに詳細にはピアツーピアファイル共用)の急速な発達により、速度の低下または結局いくつかの接続の失敗のいずれかとして、リソース管理の問題及びサービスの品質の障害が生じてきた。現在経済的に実現可能な競合率に対して、帯域幅を過度に消費する多すぎる加入者の要求に直面し、サービスの質の維持がますます困難であることが証明されている。競合率とは、Ntot人のユーザ全員が自分達の接続の最大容量bmaxを使用するために必要とされるであろう総帯域幅と、システムが搬送できる総帯域幅Bとの間の率、bmaxtot/Bである。大部分のユーザは、ほとんど常に最大能力よりずっと少なく使用していることに留意されたい。典型的な競合率は20から50という値の間にあり、オンライン中の全容量bmaxの2%から5%の間しか使用していない平均的なユーザと一致している。
【0003】
本明細書中、用語Ntotは、現在オンライン中であるかどうかに関わりなく、潜在的にサービスを使用できるユーザ数について使用され、「N」は現在オンライン中のユーザ数について使用される。競合率は従来、前の数で計算される。
【0004】
インターネットサービスプロバイダ(ISP)が直面する主要な問題は、「一般人の悲劇(Tragedy of the Commons)」という名で数十年に亘って研究されてきた、文書化された問題の一例である(例えば、「サイエンス」162(1968年)、1243−1248のG.Hardinによる最初の1968年の論文を参照されたい)。要するに、それは、共用されるリソースの増え続ける消費の利点がユーザにしか蓄積せず、このような消費の結果としてのその漸次的な枯渇という点でのマイナスの影響は、リソースの全ての共有者の間で均等に分配される、利用モデル(exploitation model)を検討する。このようなモデルは、共用されるリソースが無尽蔵であり、その場合資源が枯渇しない特殊なケースを除き、元来不安定であり、究極的には自滅的であるとして示されている。残念なことに、この特殊なケースが適用すると推測された多くの状況があり、その結果として利用の影響が非常に小さいと考えられるため、それが無視してよいと考えることができるという根拠で、リソースに対する無制限なアクセスが許可されてきた。次に、影響が無視できなくなる点まで活用の規模が拡大する場合に、問題に遭遇する。これは正確にはブロードバンドで発生したことである。使用量に対する制限がない場合、膨大な量のデータのダウンロードを必要とするインターネットの新しいアプリケーションが開発されてきた。このユーザあたりのトラフィックの増加は、競合率を削減できない限りサービスの質の低下を生じさせる。しかしながら、逆に、どの時点においてもオンライン上のユーザ数が増加し、有効競合率bmaxN/Bを増加する(ここでNは、現在オンライン上のユーザの数である)。もちろん目的であった、ホームユーザが「一緒に」サインアップし始める前に、ネットワークの容量は、個人ユーザが帯域幅の消費という点で与えるであろう影響に比較して無限と考えられた。その結果、インターネットサービスプロバイダ(ISP)は販売促進キャンペーンを、全ての自称カスタマに拘束のないアクセスを約束できるというアイデアに基づかせた。ブロードバンドのファンは週に7日間、1日に24時間「オンライン」である快適さを享受し始めたに過ぎない。この要求の増大は、根本的な通信ネットワークの有限な容量に近づき始めているので、ネットワークリソースの使用が無視できなくなっているので、サービスの質の著しい低下につながる点に近づいている。
【0005】
要するに、個人ユーザによる乱使用(overexploitation)はそのユーザに対してのみ利益を生じさせるが、接続の低速度等のこのような乱使用の悪影響はカスタマ全体ベースで経験される。無駄な使い方には報いがあるが、節度は報われず、全ての加入者には、その約束を達成しないサービスを使用すること、または自らが病み付きの帯域幅消費者になることによって急速に縮小しているブロードバンドの資源の自分の持分を増加することをやめる、という選択肢が残される。
【0006】
個々のISPは、いくつかの異なる方法でこの問題に取り組んできた。その制限を超えることを希望するユーザのために種々の使用毎支払方式と組み合わせて、既定の期間の使用量に制限を課すことによって提供されるサービスに制限を導入したプロバイダもいる。これらは事実上(元は、彼らがまず加入者を引き付けた宣伝の基幹であった)無制限のアクセスという自らの当初の約束を破り、それによりカスタマベースの離反の危険を冒している。他のISPは、サービスの質が落ちることを許容し、その結果低速接続または接続の失敗が生じ、やはりカスタマを離反させている。「無制限のアクセス」という自らの公約を尊重することを選んだ他のISPは、サービスの許容できる質を全体的に維持するためにさらに多くのネットワーク容量を設置せざるを得ない。このような手法は商業的に実現可能ではない可能性があり、余分な帯域幅は最初に問題を引き起こした同じヘビーユーザによってすぐに使い果たされてしまうため、いずれにせよ何の明白な利点をも達成しない可能性がある。さらにこれらのサービスは通常、加入料により支払われているため、ネットワーク容量の任意の増加の費用は、既存のカスタマの追加の使用を奨励することによってではなく、さらに多くのユーザを引き付けることによってのみ資金を供給できる。もちろん、これは簡略化された見方であり、大部分のISPは実際には、自分たちが自ら計画した罠を逃れるために悪戦苦闘しながらこれらの戦略を組み合わせている。
【0007】
実際的な解決策は、多数のエンドユーザに、彼らが現在固定の月間使用料で享受している無制限のアクセス及びサービスの優れた質の損失と知覚されないであろうサービスに変化をもたらすことによって、個人加入者によるリソースの消費を制御することを含まなければならない。したがってライトユーザよりヘビーユーザにより多くを課す容量の過負荷の解決策が求められている。このためには、節度のあるユーザにペナルティを課すことなく、問題を引き起こしている高帯域幅のユーザの接続速度を減速する確実な方法が必要になる。
【0008】
いくつかの広い帯域幅を必要とするタイプのアプリケーションの種類にペナルティを課すことによって、トラフィックの優先順位を付けることが提案されている。しかしながら、これには、ネットワークがこのようなアプリケーションを識別できることが必要となり、巧妙なヘビーユーザがこのような制限の裏をかくために新しいアプリケーションを考え出すに従い、必ずや反発を示さなければならないであろう。別の提案は、現在のネットワークの状態(正常/輻輳)を基準にして有効接続速度を抑圧し、それにより高需要のときに帯域幅を割り当て、ユーザにインターネットにアクセスするためのピークをはずれたときを選ぶように促すことである。
【0009】
さらに別の提案は、会員に標準クラスとプレミアクラス等の個々の「特権」を与えることである。しかしながら、加入者がサービスのためにサインアップした時点で「良好」と「不良」を区別することは、たとえそれが所望されていても不可能である。実際には、「節度のある」カスタマがサービスの潜在性を発見して「ヘビーユーザ」になる可能性があり、あるいは関心が変化するのに伴い、あるいはサービスにアクセスできる人が出入りするのに伴い、経時的に使用量パターンを変化する可能性がある。例えば、家庭の状況では、加入(subscription)に、ポピュラー音楽ビデオをダウンロードする趣味のある特定の家族の一員がアクセスしているときにだけ、頻繁な使用が見られる場合がある。同様にシーズンオフの間使用量が減少するため、使用量の季節的な変動が、スポーツイベントの報道をストリーミングするために使用される加入によって経験されることがある。
【0010】
米国特許第6473793号(Dillon)は、大量の使用履歴のあるユーザに使用可能にされた帯域幅を制限するまたは「抑圧する」ことによって、帯域幅の動的な割り当ての使用を提案している。これはヘビーユーザを制約する効果を有する一方で、使用可能なリソースの最適利用を行わない。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、複数のユーザのそれぞれが使用できるようにされた最大容量が、他のユーザにより使用される使用量を基準にして、過去の期間でのそのユーザにより使用されるリソースの使用量に逆相関関係を持つ、通信リソースに対するアクセスを制御する方法を提供することによって、これに対処する。
【0012】
好ましくは、該方法は、
−所定の期間での各ユーザにより使用されるリソースの使用量を測定することと、
−該測定された使用量に従って該ユーザをランク付けすることと、
−そのユーザのランクに従って各ユーザに制限因数を割り当てることによって、各ユーザに対するリソースの可用性を制限することと、
の各ステップを備える。
【0013】
ユーザの最大接続速度は、該制限因数により求められる値まで削減される。好ましい実施形態では、隣接してランク付けられたユーザに割り当てられる制限因数間の割合は全てのユーザで一定である。任意の既定のユーザが使用可能にされた最大が総帯域幅より少ないならば、過去の期間で使用量が最も少ないユーザに割り当てられる制限因数が、好ましくは1となり、その結果ユーザは障害を経験しない。
【0014】
本発明は、前記に規定された動作を実行するための手段を有する、通信リソースへのアクセスを制御するための装置まで拡大する。これは、インターネットサービスプロバイダのサーバと関連付けられたモデム内で、あるいはネットワークの何らかの中間点でのようにアクセスが制御される可能性がある、ネットワークの任意の適切な部分で具現化されてよい。
【0015】
したがって、本発明は、個々の使用量を所定の許可量または転送速度に対する合意された制限と比較する代わりに、現在のユーザ間の優先順位を計算する。それはユーザのさらに長期の履歴を考慮に入れるが、トラフィックの要求の予測できない変動だけではなく、容量が変化するに従った競合率の修正等のネットワーク特性の変化も自発的に調整する。この解決策は従来技術の提案より元来適応的である。
【0016】
したがって、本発明は、帯域幅の消費のその個々の履歴の、及び現在の全体的な要求の関数として、リアルタイムでの加入者への優先順位の割り当てを可能にする。結果として、ISPとブロードバンドユーザの利害は、変化するネットワーク負荷を同時に考慮に入れつつ、望ましい動作を奨励するために、個々の接続速度を調整することによって調整できる。言い換えると、サービスの質は、リワードとして分配できる商品として使用される。ユーザは、サービスの質の低下が一般的な過負荷に帰せられることを受け入れるであろう。本発明での重大な例外は、このような低下が均一的に分配されるのではなく、最も使用量の多いユーザがその頻繁な使用の結果のため、より多く経験することになるという点である。
【0017】
本発明の実施形態は、図面を参照してここで例証として説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、インターネット10にユーザ14、15、16、17、18、19を接続するアクセスネットワークを概略形式で描いている。ユーザは通常、何らかの種類の切り替えシステム12、13によって、ユーザにより送信されるデータとデータ要求を処理し、ユーザ向けのデータをユーザに転送するために受信する、サーバ11に接続されている。ユーザ14、15、16、17、18、19と切り替えシステム12、13の間の接続は、性質によりデータを転送できる速度が制限されることがある専用データリンク、電話回線、パケット交換システム等の、任意の適切な手段によるものであってよい。切り替えシステム自体12、13、サーバ11及びそれらの間のあらゆる通信リンクの容量はユーザのグループの間で共用され、一般的には、任意の1人のユーザが必要とするであろうより大きいが、全てのユーザが最大帯域幅でサーバ11に同時にアクセスしようと試みる場合に必要とされるであろう合計よりは少ない。
【0019】
図2は本発明を実行するために結合する機能上の要素を示す概略図である。これらの要素は、通常、図示されるようなサーバ11内のコンピュータ上で実行するソフトウェアで、あるいはスイッチ12、13で、あるいは容量が制限される何らかの他のポイントで、具現化される。容量の制約がネットワーク内の複数のポイントに示される場合に、ネットワーク内の複数のポイント11、12で協力して、本発明によるプロセスを実行することができるであろう。例えば、スイッチ12、13が使用できるようにされた最大帯域幅の合計値は、サーバ11が使用できる帯域幅より大きい場合がある。このような場合、両方のスイッチとも、それら自体の制約に従って帯域幅を割り当てるにも関わらず、それが処理できるより多くのトラフィックをサーバ11に依然として提供している可能性がある。
【0020】
サーバ11の主要な機能性20は、それぞれが14、16、18(図1)等の個人ユーザ端末と接続している一連のモデム21、22、23を通してアクセスされる。これらのモデムは必ずしも恒久的に個々の端末専用となるわけではないが、このような端末が使用されているので、及びこのような端末が使用されているときには、割り当てられる。各モデム21、22、23の動作の速度は帯域幅制御装置24によって制御される。
【0021】
記憶装置25は、各ユーザが所定の測定期間で消費した帯域幅の量を記録するために提供されている。現在接続されているそれらのユーザのアイデンティティはレジスタ26に記憶され、それらは記憶装置25から取り出される使用量データに従って並べ替えられる。記憶されているデータにアクセスでき、帯域幅制御装置24を動作するためのデータを提供する処理装置27が提供されている。
【0022】
本実施形態の動作は図3を参照してここで説明される。サービスの加入者は、既定量の帯域幅を集合的に割り当てられるグループに割り当てられている。グループは既定のサービスに対する全加入者を含むとして定義できるであろうが、より一般的にはグループは、通常ケーブルまたはサーバ等のネットワークの要素等の彼ら全員が共用するリソースにより定義される部分集合となるであろう。図2と図3は1つのこのようなグループのメンバーの実施形態の動作を示す。
【0023】
サーバ20は、常にオンライン上にいる定義されたグループの全てのユーザを識別し、彼らのアイデンティティをレジスタ26に記憶する(ステップ30)。レジスタは記憶装置25からこれらのユーザのための使用量データを取り出し(ステップ31)、そのデータに基づいて各ユーザに優先順位を付ける(ステップ32)。本実施形態では、この優先順位は彼らが既定の期間で消費した帯域幅の量の単純な逆関数に基づいており、あらゆる個々のダウンロードに反応しなくても動作の変化に迅速に応えられるほど十分に短くなるように選択される。後述されるシミュレーションで使用される期間は24時間であった。
【0024】
ユーザは優先順位でランク付けられており(ステップ32)、それぞれには優先順位指数i、つまりゼロである最低の使用量記録でユーザに割り当てられる最高の優先順位が割り当てられる。
【0025】
次に値αはプロセッサ27によって求められる(ステップ33)。これは0<α≦1の範囲内の値であり、アクティブなユーザの数N、最高の優先順位のユーザが使用できるようにされる帯域幅bmax、及びグループが使用できる総帯域幅Bの関数であり、以下の式となるように選択される。
【数1】

【0026】
この場合b=αmaxである。これは全ての値b=αbi−1上の合計が使用可能な容量Bを超えない、(常にゼロと1の間で構成される)αの値を見つけ出すためにバイナリ検索を使用して実行できる。通常の状況では、値bmaxは固定されている。値Bは、ネットワークインフラストラクチャに対する一時的な変化または恒久的な変化とともに変化してよいが、この目的のために固定されていると解釈されてよい、ネットワークの現在の容量に依存する。
【0027】
各アクティブな接続には、グループが使用可能な総帯域幅Bの既定の持分b=αmaxが割り当てられ(ステップ34)、ユーザが接続されるそれぞれのモデム21、22、23は、割り当てられる帯域幅bにその運転速度を制限するように制御される(ステップ35)。
【0028】
常に母集団(population)全体で、したがって隣接するランクi、i+1を有するユーザの任意の組が使用可能にされた帯域幅b、bi+1の間の率は、オンライン上のグループメンバー数Nだけに依存するbi+1/b=αi+1max/αmax=αであることが分かる。
【0029】
αの任意の値の場合α=1であるので、最高の優先順位(指数i=0)を与えられるユーザは常に考えられる最速の接続速度を経験する、つまりb=Bmax、非常に静かなときには競合率は1未満に低下し(つまりNbmax<B)、値αは1というその最大値をとり、したがってbの全ての値=1max=bmaxであり、現在オンラインの全てのユーザには最大帯域幅bmaxを割り当てることができることにも留意されたい。
【0030】
規則のこの組み合わせは、節度のあるユーザに報いるという意思と、(Nに比例する)全体的な要求の変動を考慮に入れる必要性の間で適切なバランスを見つけ出すために、個々の接続速度を適応させる。実際に、このモデルでは、乱使用の影響は、単にそれらの優先順位の低減を通して、それに責任のあるそれらのグループメンバーにより吸収されている。要するに、全員が依然として固定月額使用料を支払うことができるが、過負荷の影響は不均一に分散され、主要な帯域幅の消費者が「節度のある」ユーザに対し、後者がオンラインになることを選ぶときに強制的に譲らざるを得ない。
【0031】
この解決策は完全に「使用毎支払」の価格設定方式を回避し、同時に要求に遅れずについていくために、ますます増えるさらに多くの帯域幅を購入する必要性を排除することによって、ISPの利害を保護する方法を提供する。それは、ブロードバンドの提供物に対する大きなおそらくPRを損傷する変化なしで、はるかに良いネットワーク容量管理を可能にする。
【0032】
一連のシミュレーションされる実験は、モデルを試験し、それを適用することがネットワーク動作にどのように影響を及ぼすであろうかについての、定量的なデータを得るために実行されてきた。エンドユーザによって経験されるQoSを測定し、それが大局的な「満足度指数」に対するプラス/マイナスの変化にどのようにして変換するのかを評価することが、特に強調された。結果は、動的な優先順位を使用しない場合に、同一の負荷から生じるであろう状況に比較される(つまり、輻輳影響の均一な分散)。
【0033】
たとえシミュレーションが、活動パターンの複雑度を考慮に入れるのにはるかに及ばない簡略化されたシナリオに基づいているとしても、複数の詳細は全体的なリアリズムを増加するように含まれてきた。現在、あらゆる24時間サイクルは「ピーク時間」と「オフピーク時間」に分けられる。目的はホーム使用量をモデル化することなので、0:00から16:00までの期間が「オフピーク」と見なされ、最大負荷は16:00から深夜の間と予想されている。各ユーザは「ピーク」期間と「オフピーク」期間の間で共用帯域幅を利用する(つまりダウンロードしようと試みる)固定された確率を付される。それぞれの確率は、時折のユーザから、接続が恒久的な「ダウンロード状態」である病み付きの帯域幅消費者まで、プロファイルのもっともらしい連続分散を生じさせるように擬似乱数的に生成される。図4は、それぞれ「ピーク」時と「オフピーク」時に、トラフィックの交雑を生じさせる活動に従事する確率の関数としてシミュレーションされる加入者の、周波数分布を示す。モデルは現在、10:1という低い競合率を仮定しており、全ユーザの10%までが輻輳問題が生じる前に同時に最大速度でそれらの接続を使用できることを意味する。この寛大な仮定(本当の競合率は通常20と50:1の間である)は、平均ネットワーク使用量も異常に高いという事実によって平衡する。事実上、パラメータ値は、「ピーク」時と〜22%「オフピーク」で同時にダウンロードを試みる全加入者の平均〜46%という結果となる(図5を参照されたい)。この「二重の誇張」は意図的であり、高速接続が非常にユビキタスになるため、ビデオストリーミング等のアプリケーションが日常的な家庭活動で一般的に使用される将来の状況を予想するように意図されている。しかしながら、競合率の上昇に平均使用量の減少が伴われるならば、それはモデルの他へのより現代的なシナリオへの適用性を減じない。
【0034】
毎日は、各5分の288の期間に分けられ、シミュレーション結果と一致するためには、任意の実際的な実施が優先順位(及び結果として生じる接続速度)を同じ速度で更新することを必要とするであろうことを意味する。ユーザの「満足度指数」は効果的なQoSと予想されるQoSの間の率として定義され、1つの1日サイクルで平均化される。基本的には、そのユーザiがダウンロードを試みるたびに接続速度が最大(b/bmax=1)であるならば、彼/彼女の全体的な満足度指数は1である。この測定が、加入者がアクティブにそれを使用していない期間中の接続の速度が計算に含まれないという事実を考慮に入れることを理解することが重要である。例えば、高い「オフピーク」QoSは、やはり実際に「オフピーク」ダウンロードしているユーザだけによって知覚されるため、それは単に母集団の対応する部分集合の満足度指数を増加するはずである。
【0035】
(エラーの棒が標準偏差を示す)図5に示されている非常に低いばらつきは、シミュレーションされた母集団(1000人のユーザ)の小さなサイズから、及び日々の変動の未処理モデル化(「ピーク」と「オフピーク」の間の鋭い遷移)から生じることを示している。
【0036】
図5から、「オフピーク」期間中でさえ、要求がオファーの約2倍(10:1という競合率の場合、〜22%のユーザがダウンロードしようと試みている)であることは明らかである。したがって、特に何らかの種類の帯域幅消費活動に従事する母集団が(選ばれたパラメータ値について)「ピーク」時には2倍以上になることを考えると、彼らがその接続が最大速度で動作することを予想する場合に、全てのユーザを満足することは明らかに不可能である。結果として、必要とされる/要求される容量と使用可能な/帰属容量の間の合計には、圧縮できない差異があり、同様に、カスタマが必ず、自分たちが要求したより少ない帯域幅を得ることを意味する(図6を参照されたい)。
【0037】
図6と図7は、ユーザの周波数分布を、そのユーザがどのくらい多くの容量を必要とし、24時間の期間でどのくらい効果的に取得するのか(図6)と、要求された容量と全体的な満足度指数(24時間で経験される平均QoS、図7)の間の相関の関数として描いている。シミュレーションは、オンラインの全てのユーザでの満足度効果の等しい分散を同時に仮定する(優先順位なし)。
【0038】
しかしながら、現実の問題は、動的な優先順位が適用されない限り、乱使用は、履歴またはプロファイルとは無関係に、まったく同じように同時リソースに頼っている全ユーザに影響を及ぼすという点である。該ありがたくない結果は、さらに要求の厳しいユーザが、最終的には「節度のある」帯域幅消費者より優れたQoS(さらに高い満足度指数)を経験するという点である。これは単に「広い帯域幅を必要とする(hungry)」加入者が相対的に低い「オフピーク」輻輳レベルから最も恩恵を受けるためである。つまり、事実上、彼らは、1日に24時間データをダウンロードしている加入者である。逆に、手動でウェブをナビゲーションし、数本の電話をかけるためにテレビ電話を使用する不定期なユーザは通常、ネットワークが「常にオンしている」ヘビーユーザだけではなく、他の「節度のある」消費者によって使用される「ピーク」時にサービスを使用している。このため、使用量と満足度指数の間には、ISPの観点からはまったく間違った相関が生じ、最も望ましいカスタマが最悪の経験を有し、逆もまた同様である(図7を参照されたい)。要するに、全ての人が常に苦労しているが、「良好な」ブロードバンド加入者は他よりさらに苦労している。
【0039】
ユーザプロファイルの分散が、(「一般人の悲劇」の無慈悲な論理によりそれが本来不安定に、したがって一時的な状況になるとしても、通常は当てはまる)過半数が「節度のある」種類に属するほどである場合、問題はさらに悪化する。その結果、病み付きの帯域幅消費者が最も満足(し、離れるまたは自分自身を抑制する可能性が最も低い)するだけではなく、彼らは少数派でもある。明らかに、固定価格設定モデルでは、これは、少数の不正なユーザの経験を改善するというただ1つの利益のために、そのカスタマの大多数の利害を不本意ながらも犠牲にするプロバイダにとって、必ず致命的となりえる。
【0040】
(ランクと前述された方程式に基づいて計算される)動的相関優先順位を使用する場合、全ては完全に変化する。もちろん、オファーと要求は同じままであるので、常に全ての人を満足させることは依然として不可能である。しかしながら、優れた行いに対する報いとしてQoSを分配することにより、ISPは、「節度のある」ユーザがその「広い帯域幅を必要とする」関係者よりさらに肯定的な経験を有することを事実上保証できる。つまり、過去24時間に記録されるように、個々の接続速度をユーザの履歴(総合的な有効帯域幅消費)に結びつけるために動的な優先順位が使用されるときに、要求された容量と全体的な満足度指数の間の相関を示す図8に示されるように、使用量と満足度指数の相関は逆転されている。
【0041】
さらに優れたことには、両方のシナリオにとって、加入者の満足度指数の関数として加入者の周波数分布を示す、図9で示される周波数分布を比較することから推論できるように、平均満足度指数も〜0.31から〜0.44に増加される。動的な優先順位モデルを適用するときに「より平坦な」プロファイルは、使用量と平均満足度の間の強力な逆相関から生じる。これは、リソースの量が前のシナリオと同じであり、したがって全体的な要求もそうであることを考えると、矛盾しているように思える。しかしながら、平均的な満足度に関する限り、全てのカスタマが同じ重みを有する(あらゆる加入者は1ポイントの価値がある)という事実を考慮に入れる一方で、帯域幅を大量に使用する消費者が少数派であることを思い出すとそれは容易に理解される。したがって、「節度のある」ユーザの利益になるようにダウンロードマニアを間接的に不利にすることによって、ISPは不満足なカスタマより多くの満足しているカスタマを生じさせるであろう。要するに、シミュレーション結果は、QoSを高めることができ、「ネットワークフレンドリな」ユーザが奨励され、病み付きの帯域幅消費者が使用毎支払の価格設定モデルに切り替える苦痛なしに中和されることを立証する。
【0042】
最後に、「広い帯域幅を必要とする」ユーザが明示的にまたは恒久的に不利に扱われず、ここで説明された動的な優先順位モデルには長期のメモリがないことが強調されなければならない。大量のデータをダウンロードすることを希望する加入者が、「オフピーク」期間にダウンロードすることを何も妨げない。実際、彼/彼女の接続速度が不可逆的に減少されることはなく、優先順位は単に相対的なものである。つまり「節度のある」ユーザがサービスを使用していないときは、最も帯域幅を消費するカスタマでさえ優れたQoSを経験できる。ユーザは単に他の加入者の迷惑になることを妨げられるにすぎず、習慣の変化は、使用量履歴が記録されるタイムスケール、つまり前述される例では24時間以内での改善されたランクによって報いられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ユーザをインターネットに接続するアクセスネットワークを描く概略図である。
【図2】実施形態で協働する機能上の要素を示す概略図である。
【図3】実施形態の動作の主要なステップを示すフローチャートである。
【図4】本発明の使用のシミュレーションの結果、及び従来技術のシステムの比較結果を示す図である。さらに具体的には、シミュレーションで使用されるブロードバンド使用量の分布を示す図である。
【図5】本発明の使用のシミュレーションの結果、及び従来技術のシステムの比較結果を示す図である。さらに具体的には、「ピーク」と「ピークをはずれた」時間の間の使用量の変動を示す図である。
【図6】本発明の使用のシミュレーションの結果、及び従来技術のシステムの比較結果を示す図である。さらに具体的には、従来技術のシステムにおいて、ユーザがどのくらい多くの容量を必要とし、取得するのかの関数としてのユーザの周波数分布を示す図である。
【図7】本発明の使用のシミュレーションの結果、及び従来技術のシステムの比較結果を示す図である。さらに具体的には、従来技術のシステムにおける要求される容量と全体的な満足度指数の間の相関を示す図である。
【図8】本発明の使用のシミュレーションの結果、及び従来技術のシステムの比較結果を示す図である。さらに具体的には、本発明によるシステムにおける要求される容量と全体的な満足度の間の相関を示す図である。
【図9】本発明の使用のシミュレーションの結果、及び従来技術のシステムの比較結果を示す図である。さらに具体的には、従来技術のシステムと本発明によるシステムの両方にとって、その満足度指数の関数として加入者の周波数分布を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれが使用できるようにされた最大容量が、過去の期間にこのユーザによって使用されるリソースの使用量に対して、他のユーザによって使用される使用量を基準にして逆相関を持つ、通信リソースに対するアクセスを制御する方法。
【請求項2】
所定の期間に各ユーザにより使用される前記リソースの使用量を測定するステップと、
前記測定された使用量に従って前記ユーザをランク付けするステップと、
各ユーザにこのユーザのランクに従って制限因数を適用することによって、各ユーザにリソースの可用性を制限するステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
隣接してランク付けされたユーザに割り当てられる制限因数が、全てのユーザで一定である率により異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記過去の期間に最も少ない使用量を使用した、前記ユーザに割り当てられる前記制限因数が1である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
複数のユーザのそれぞれに、過去の期間にこのユーザにより使用される前記リソースの前記使用量に対する逆相関で、前記他のユーザにより使用される前記使用量を基準にして容量を割り当てるための手段を有する、通信リソースに対するアクセスを制御するための装置。
【請求項6】
所定の期間に各ユーザにより使用される前記リソースの使用量の測定手段と、
測定された使用量に従って前記ユーザをランク付けするための並べ替え手段と、
各ユーザの制限因数を、そのユーザのランクに従って計算するための計算手段と、
前記制限因数により決定される範囲まで各ユーザに前記リソースを使用可能にするためのアクセス制御手段と、
を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
インターネットへのアクセスを制御するサーバと関連付けられたモデムと関連付けられる、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
インターネットサービスプロバイダに対するアクセスを制御するための切り替えシステムに関連付けられる、請求項5または6に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−507922(P2007−507922A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527454(P2006−527454)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003825
【国際公開番号】WO2005/032068
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(390028587)ブリティッシュ・テレコミュニケーションズ・パブリック・リミテッド・カンパニー (104)
【氏名又は名称原語表記】BRITISH TELECOMMUNICATIONS PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】