説明

帯締めされたエンジンを包含する改良された制御放出投薬形態物

本発明は活性作用物調合物の制御放出を提供するために形成された投薬形態物を含む。本発明による投薬形態物は、活性作用物調合物を含有するレザーバーおよびレザーバー内に少なくとも部分的に配置されるエンジンを包含する。本発明の投薬形態物に包含されるエンジンが、製作中でも製作後でもレザーバーから分離する可能性を低下させるために、本発明の投薬形態物はレザーバーにエンジンを結合する帯を包含する。帯は、エンジンがレザーバーに備えられた開口部にはいる所に形成される接触面またはその近傍に、両エンジンおよびレザーバーの外面を覆って提供される。また本発明は帯締めされたエンジンを有する制御放出投薬形態物を製造する方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状活性作用物調合物を包含する、種々の活性作用物調合物の制御放出を提供するために適当な投薬形態物に関する。より具体的には、本発明は、レザーバー(reservoir)およびレザーバーに帯締めされた(banded)エンジン(engine)を包含する活性作用物調合物の制御放出のために形成された投薬形態物であって、エンジンが、投薬形態物の投与後にレザーバー内から活性作用物調合物を排出するように調合されているかまたは形成されている投薬形態物に向けられる。
【背景技術】
【0002】
液状活性作用物調合物の制御放出を提供する投薬形態物は当該技術分野において既知である。例えば、各々の内容が引用によって本明細書に完全に組み入れられている特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10、および特許文献11および特許文献12は、所望の期間にわたって制御された速度において液状活性作用物調合物を送達することが可能な投薬形態物を提供するために適当な種々の異なる投薬形態物の設計および活性作用物調合物を開示している。活性作用物の制御送達の恩典は当該技術分野において十分認識されており、そして液状活性作用物調合物の制御送達を達成する投薬形態物は、通常の固形または錠剤調合物からの投与に十分に適していない活性作用物に対して制御送達の利益をもたらす。
【0003】
本明細書に引用される参考文献によって評価できるように、液状活性作用物調合物の制御放出を提供する投薬形態物は、種々の異なる硬質もしくは軟質カプセル材により形成されるレザーバーを使用して、浸透的に作動され得、かつ生成されてもよい。さらに、制御放出液状活性作用物投薬形態物が浸透的に作動される場合、そのような投薬形態物に包含される浸透性エンジンは、レザーバーの外面においてコーティングされていてもよく、あるいは浸透性エンジンがレザーバーによって内包されていてもよい。さらになお、特許文献9および特許文献10(それぞれ、「’002出願」および「’774出願」)において教示されるように、浸透性エンジンはレザーバーによって一部分のみ封入されていてもよい。レザーバー内に配置されているがレザーバー形成材料によって一部分のみ内包されているエンジンを包含する制御放出液状活性作用物投薬形態物は、現時点では有利であると考えられる。特に、レザーバーによって一部分のみ内包されているエンジンを包含する投薬形態物は、特に投薬形態物中に包含されるエンジンが浸透性エンジンである場合は、改善された構造的安定性を示し、そして時間を通じて放出速度機能を比較的有効に保持すると考えられる。
【0004】
レザーバーによって一部分のみ内包されたエンジンを包含する制御放出投薬形態物によって提供される利益にもかかわらず、’002出願および’774出願の教示にしたがって設計された投薬形態物は製造上の挑戦を提示する。例えば、そのような投薬形態物に包含されるエンジンは、投薬形態物を完成させるために求められる1回以上のコーティング段階の前にレザーバー内に配置されている。しかしながら、エンジンは摩擦適合を介してその場所に維持されているので、製造工程の間に圧力がレザーバーに作用するか、またはレザーバーとエンジンが他の機械的応力にかけられるにつれて、エンジンはレザーバーから移動または分離されるかもしれない。生品バッチは典型的には自動生産工程中に種々の機械的応力にかけられ、そしてバッチサイズは比較的大きく、これらは各バッチに包含される投薬形態物の数および集合的な(collective)重量によって各投薬形態物に対して作用する応力を拡大することもあるので、エンジンの分離または移動は商業的生産規模では特に問題になるかもしれない。さらにまた、液状活性作用物調合物はエンジンの設置前にレザーバー内に装填され得るので、その後の製造段階の間にレザーバーからのエンジンの分離は、そのことが欠陥投薬形態物の製造をもたらすだけでなく、活性作用物の損失および全工程バッチの汚染をまたもたらすので特に望ましくない。
【0005】
’002出願および’774出願において教示にしたがって設計される投薬形態物のエンジンおよびレザーバーが、製造中に分離しない場合でさえ、最終投薬形態物の機械的完全さは所望されるよりも低いかもしれない。特に、レザーバーに形成された開口部(opening)とエンジンが接する場所では、投薬形態物の外面に段(step)が生成され、そして1層以上のコーティングが、その場所にエンジンを確保し、最終投薬形態物を提供するようにレザーバーとエンジン上に提供される際に、外面に形成される段がコーティング材料における不連続なまたは弱い覆いの場所を生成するかもしれない。不連続なまたは弱いコーティング覆いの場所は、弱さをもつ領域をもたらすかもしれず、そして弱さをもつ領域が存在する場合、投薬形態物に対する圧力の適用は、コーティングの亀裂、レザーバーからのエンジンの分離、または液状活性作用物調合物の漏洩を惹起するかもしれない。この問題を克服するために、1層以上の外部コーティングが比較的湿潤なコーティング条件下で生成されることがある。しかしながら、所望のコーティングの連続性を達成するために、コーティング条件は典型的には湿潤でなければならないので、コーティングの粘着性は、同じバッチで加工される投薬形態物が互いに接着して、欠陥投薬形態物の「ふたご(twin)」または群を生成する割合における望ましくない増加を惹起する。
【0006】
したがって、液状活性作用物調合物を送達することができ、’002および’774出願において教示されるような投薬形態物によって達成される利益を与え、かつ、より良好に商業規模の製造に適する制御放出投薬形態物を提供することは、当該技術分野における改良になり得る。具体的には、液状活性作用物調合物を送達することができ、活性作用物調合物を含有するレザーバーによってほんの部分的に内包されるエンジンを包含し、そして投薬形態物が製造される際レザーバー内の適当な位置に、より有効にエンジンを保持するよう設計される制御放出投薬形態物を提供することは、当該技術分野における改良になり得る。理想的には、そのような投薬形態物の設計はまた、エンジンとレザーバーの後のコーティングを容易にし、放出速度機能を損なわず、かつ種々の異なる制御速度において広範な液状活性作用物調合物の送達を可能にするであろう。
【特許文献1】米国特許第5,245,357号
【特許文献2】米国特許第6,174,547号
【特許文献3】米国特許第5,830,502号
【特許文献4】米国特許第5,614,578号
【特許文献5】米国特許出願第10/324,154号
【特許文献6】米国特許出願第10/324/239号
【特許文献7】米国特許出願第09/733,847号
【特許文献8】米国特許出願第08/075,084号
【特許文献9】米国特許出願第60/492,002号
【特許文献10】米国特許出願第60/392,774号
【特許文献11】PCT公開WO95/34285
【特許文献12】PCT公開WO01/41742
【発明の開示】
【0007】
1つの態様では、本発明は活性作用物調合物の制御放出を提供するように形成された投薬形態物に関する。本発明による投薬形態物は、活性作用物調合物を含有するレザーバーおよびレザーバー内に少なくとも部分的に配置されるエンジンを包含する。本発明の投薬形態物に包含されるレザーバーの開口部(opening)およびエンジンは、エンジンが開口部内に受け入れられ、そしてエンジンの少なくとも一部分がレザーバー中に伸びるように配置できるようにサイズおよび形が決められている。さらにまた、エンジンおよび
レザーバーは、エンジンがレザーバーの開口部内に配置される時に、浸透性エンジンがレザーバーによって完全には内包されないように形成される。本発明の投薬形態物は、作動環境への投薬形態物の投与後、制御速度において活性作用物調合物をレザーバー内から排出するために駆動する投薬形態物を提供する方式で設計され、かつ形作られる。
【0008】
本発明の投薬形態物に包含されるエンジンが、製作中でも製作後でもレザーバーから分離する可能性を低下させるために、本発明の投薬形態物は、レザーバーにエンジンを結合する帯(band)を包含する。帯は、エンジンがレザーバーに提供される開口部に入る所に形成される接触面またはその近傍におけるエンジンとレザーバーの両外面上に提供される。レザーバーへの本発明の投薬形態物のエンジンの帯締めは、エンジンがレザーバーから分離する頻度を低下させるよう働くことのみならず、また、エンジンの外面がレザーバーに形成される開口部に会合する場所に、より平滑な材料の移行部を提供するために働く。さらに、レザーバーへのエンジンの帯締めは、活性作用物調合物がエンジンの周囲を通過してレザーバーから漏れる可能性が低下されるように、エンジンとレザーバーの接触面に生成されるシールを増強するように作用できる。
【0009】
その他の態様では、本発明は制御放出投薬形態物を製造する方法に関する。各実施態様では、本発明の方法は、エンジンを受け入れるためにサイズおよび形を定められる開口部を有するレザーバーを提供し、エンジンを提供し、レザーバーの開口部内にエンジンを配置し、そしてレザーバーにエンジンを帯締めすることを含む。レザーバーにエンジンを帯締めする段階は、エンジンがレザーバーの開口部内に配置された後に起きる。また本発明の方法は、レザーバー中に活性作用物調合物を装填し、そして出口オリフィスが活性作用物調合物の送達を可能にするためにレザーバーに包含されるかまたは形成されるように、本発明の投薬形態物を形作ることを含む。活性作用物は好ましくは、エンジンがレザーバー内に配置されており、そしてレザーバーに帯締めされる前に装填されるけれども、本発明の投薬形態物における活性作用物調合物の装填は、またエンジンおよびレザーバーが機能し得るように合され、帯締めされた後に行われてもよい。
【0010】
1つの態様では、本発明は投薬形態物に向けられる。本発明の投薬形態物10の種々の異なる態様が図1〜図6において具体的に説明されている。本発明による投薬形態物10は、エンジン20および活性作用物調合物40を含有するために適当なレザーバー30を包含する。レザーバー30およびエンジン20は、投薬形態物10が機能するにつれて、エンジン20が所望の速度においてレザーバー30内から活性作用物調合物40を排出するために作動するように合される。特に、本発明の投薬形態物のレザーバー30は開口部34を包含し、そしてレザーバー30の開口部34およびエンジン20は、開口部34をとおしてレザーバー30内へのエンジン20の少なくとも一部分の挿入を許すようにサイズおよび形が決められている。
【0011】
また本発明の投薬形態物10は、エンジン20がレザーバーに形成された開口部34に入る場所の、レザーバー36の外面とエンジン20の外面22によって形成される段に配置される帯80を包含する。帯80を形成する材料は、帯80がエンジン20とレザーバー30が合わさる領域において投薬形態物10の周囲に連続して形成されるように投薬形態物10の周囲に広がる。帯80は、両エンジン20とレザーバー30を一緒に締め、そしてエンジン20とレザーバー30が合する投薬形態物の外面において生成される段を低下させるように働く。
【0012】
本発明の投薬形態物10は、投薬形態物10から送達することができるすべての所望の活性作用物調合物40により提供されてもよい。本明細書で使用されるところの、表現「活性作用物」は、意図される被験者または環境に利益を与えるために送達できるすべての薬物、治療化合物または組成物を包含する。表現「活性作用物調合物」は、活性作用物を含有し、そして投薬形態物が所望の使用環境において作動する際に本発明の投薬形態物から放出できる調合物を示すために本明細書では使用される。本発明の投薬形態物10での使用に適当な活性作用物調合物40は、好ましくは、液状調合物であり、そして生の液状活性作用物または溶液、懸濁液、スラリー、乳濁液、自己乳化組成物、リポソーム組成物、または活性作用物が存在している他の流動性調合物であってもよい。活性作用物調合物40はまた、所望の作動環境への投薬形態物10の投与前には固形であってもまた流動性でなくてもよい。しかしながら、本発明の投薬形態物10に包含される活性作用物調合物40が投与前に固形調合物である場合は、調合物は投与後に流動性になる。固形活性作用物調合物は、例えば、作動環境の比較的高い温度または活性作用物調合物中への水の取り込みによって、投与後に流動性になってもよい。
【0013】
結合剤、抗酸化剤、製薬学的に許容され得る担体、浸透増進剤または類似のものが、活性作用物調合物40において活性作用物に随伴してもよい。さらに、活性作用物調合物40は、界面活性剤の混合物の界面活性剤を包含してもよい。引用によって完全に本明細書に組み入れられている、米国特許第6,174,547号および同第6,245,357号、および米国特許出願第08/075,084号、同第09/733,847号、同第10/324,154号および同第10/343,001号明細書は、本発明の投薬形態物10における使用に適当な活性作用物調合物40を生成するために使用されてもよい代表的な薬物、担体および他の構成成分を詳述している。
【0014】
本発明の投薬形態物10に包含されるレザーバー30は、所望量の活性作用物調合物40含有するように形成され、そしてエンジン20を収容するために所望のように形成されてもよい。例えば、レザーバー30は、レザーバー30内から活性作用物調合物を排出するために作動するエンジン20を収容するようサイズおよび形を決定される開口部34を含む第1の末端32を有して形成することができる。さらにまた、本発明の投薬形態物10のレザーバー30は一般に楕円形で形成されてもよいが、本発明による投薬形態物10は、そのように限定されないで、特定の投薬形態物または活性作用物の送達適用に適合させるために所望のようにサイズおよび形を決められるレザーバー30を包含するよう製造されてもよい。
【0015】
それは種々の形およびサイズにおいて形成され、そしてエンジン20を受け入れるために設計された開口部34を包含するけれども、本発明の投薬形態物10に包含されるレザーバー30は、エンジン20を完全には封入または内包しない。内容が引用によって完全に本明細書に組み入れられている米国特許出願第60/492,002号および同第60/392,774号明細書に記述されるように、エンジン20を完全には内包していないレザーバー30を包含する制御放出活性作用物投薬形態物の設計は、製造にとってより容易であり、改良された構造的安定性を発揮し、そして、より良好に放出速度機能を保持する投薬形態物をもたらすことができる。さらにまた、エンジン20を完全には内包されていないレザーバー30を包含する制御放出活性作用物投薬形態物の設計は、広範な材料から作成されるレザーバーでの使用を容易にできる。例えば、本発明の投薬形態物10に包含されるエンジン20が浸透性エンジンである場合、エンジン20の適当な機能は作動環境からの水の流入に依存する。レザーバー30が水不透過性材料から作成され、そしてレザーバー30がエンジン20を完全に封入するように形成される場合には、エンジン20は所望のように機能して活性作用物調合物40の制御放出を提供することがでない。
【0016】
本発明の投薬形態物10に包含されるレザーバー30は種々の材料から作成されてもよい。所望の投薬形態物調合物に適合し、所望の形およびサイズのレザーバーに形成されることができ、所望の作動環境への投与のために適当であり、そして予想される貯蔵条件および作動応力に耐えることができる、すべての材料が本発明による投薬形態物10に包含されるレザーバー30を提供するために使用できる。投薬形態物10に包含される活性作
用物調合物40および投薬形態物10の所望の挙動特性に応じて、レザーバー30は水に透過性の材料または水に不透過性である材料から形成されてもよい。本発明による投薬形態物において有用なレザーバー30は、いかなる適当な方法によって製作されてもよい。本発明の投薬形態物10において使用されるレザーバーを形成するために使用されてもよい材料および方法の例は、例えば、米国特許第6,183,466号、同第6,174,547号、同第6,153,678号、同第5,830,502号および同第5,614,578号、米国特許出願第10/324,154号、同第10/324/239号、同第09/733,847号、同第08/075,084号、同第60/492,002号、同第60/392,774号明細書において記述されており、これらの各々の内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0017】
本発明の投薬形態物10に包含されるレザーバー30を形成するために使用されてもよい水透過性材料は、例えば、経口的に送達可能な液体充満カプセル剤を製作するために典型的に使用される材料を含む。本発明の投薬形態物10に包含される水透過性レザーバー30は、親水性ポリマー材料または親水性ゼラチン材料を用いて形成されてもよい。セルロース材料を含む親水性ポリマー材料は、本発明の投薬形態物10において有用なレザーバー30を形成するために使用されてもよい好適な水透過性材料を提供する。投薬形態物製作において典型的に使用されるゼラチン材料に較べて、水溶性ポリマー材料は水分損失に対して比較的抵抗性であり、そして水分含量における変化に比較的鈍感である。結果的に、親水性ポリマー材料を用いて形成されるレザーバー30は、特に、エンジン20が高い浸透圧を及ぼす浸透性エンジン21である場合、本発明の投薬形態物10に包含される活性作用物調合物40およびエンジン20への曝露においてその構造的保全性を、より良好に保持することが可能であろう。さらに、親水性ポリマー材料は一般に水分損失に対して比較的抵抗性であるので、親水性ポリマー材料を用いて製造されるレザーバー30は、レザーバー30それ自体を形成する材料内から活性作用物調合物40中へ、より少ない水しか吸引できないように作製することができる。したがって、本発明の投薬形態物10のレザーバー30が水透過性材料を用いて形成される場合、水透過性材料が親水性ポリマー材料から形成されるのが現在では好適である。
【0018】
多層レザーバー30に包含される水透過性材料として使用されてもよい親水性ポリマー材料は、限定されるものではないが、多糖材料、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(ビニルアルコール−コ−エチレングリコール)および他の水溶性ポリマーを含む。本発明の投薬形態物10のレザーバー30に包含される水透過性材料は単一のポリマー材料を用いて製造されてもよいが、水透過性材料はまた、1種以上のポリマーの混合物を用いて形成されてもよい。現在、活性作用物調合物の経口送達のためのHPMCカプセルは市販されており、そしてHPMCから形成されるカプセル本体は適当な性能特性を示すレザーバー30を提供するために使用できるので、本発明の投薬形態物10のレザーバー30に包含される水透過性材料は、好ましくはHPMC材料を用いて形成される。
【0019】
レザーバー30が水に対して不透過性である材料から形成される場合、レザーバー30は単一の材料または材料の組み合わせ物を用いて作成できる。本発明による投薬形態物10における使用に適当であり、そして本発明により水に不透過性であるレザーバー30を作成するために使用される材料は、水の通過に対して完全に不透過性である必要はない、本明細書でそれが使用されるように、用語「不透過性」は、約10−4(mil・cm/atm・hr)未満の水の流動を示す材料から形成されるレザーバーを指す。本発明の投薬形態物10に包含されるレザーバー30が水不透過性材料を用いて形成される場合、材料の水に不透過な性質は、レザーバー30を通して、そして活性作用物調合物40中への外部環境からの水の移動を低下または防止するために役立つ。
【0020】
一つの態様では、本発明による投薬形態物10で使用するために適当な水不透過性レザーバー30は、水の通過に対して不透過性である材料の単層を用いて形成される。そのようなレザーバー30を形成するために適当な材料は、限定されるものではないが、水不透過性ポリマー材料を含む。水不透過性ポリマー材料の単層がレザーバー30を形成するために使用される場合、ポリマーは好ましくは合成樹脂または合成樹脂の組み合わせ物である。レザーバー30を形成するために使用されてもよい水不透過性合成樹脂の例は、例えば、線状ポリ縮合樹脂、縮合重合化樹脂、付加重合化樹脂、無水フタル酸樹脂、ポリビニル樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらのコポリマー、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのポリマー樹脂、ポリカプロラクトン、およびポリカプロラクトンとジラクチド、ジグリコリド、バレロラクトンまたはデカラクトンとのコポリマーを含む。異なる不透過性ポリマー材料および不透過性ポリマー材料の異なる組み合わせ物が所望の透過性、適合性および安定性の特性を備えるレザーバー30を提供するために選ばれてもよい。水不透過性レザーバーは、例えば、当該技術分野において既知であるコーティングまたは成形技術、例えば、米国特許第6,183,466号、同第6,153,678号、同第5,830,502号および同第5,614,578号、および米国特許出願第60/492,002および60/392,774号明細書に記述された技術を用いて形成されてもよい。
【0021】
その他の態様では、本発明による投薬形態物10に包含される水不透過性レザーバー30は異なる材料の2層以上を包含してもよい。例えば、図3および図4に図示されるように、本発明による投薬形態物10のレザーバー30は、水不透過性サブコート(subcoat)38によりコーティングされた水透過性材料37を包含してもよい。水透過性材料37は、親水性か、またはその他、水の通過に対して透過性である物質、例えば本明細書で既に記述された親水性ポリマーおよびゼラチン材料から形成されてもよい。本発明による投薬形態物10に包含される水不透過性レザーバー30に包含される水透過性材料37はまた、水透過性および水不透過性材料の組み合わせ物から形成されてもよい。そのようなレザーバー30に包含される水透過性材料は、既知の方法、例えば、親水性ポリマーまたはゼラチン材料から形成される水透過性レザーバー30を形成するのに有用な本明細書で記述された技術によって調合および形成されてもよい。本発明による投薬形態物10のレザーバー30に包含される水不透過性サブコート38は、水透過性材料37にコーティングできるか、またはそれを覆って提供できるいかなる適当な水不透過性材料を用いて形成されてもよい。しかしながら、ラテックス材料、例えば、Colorcon,Inc.から市販されるSurelease(R)、BASFから市販されるKollicoat(R)SRラテックス材料、Eudragit(R)SR、および他のポリメチルアクリレート・ラテックス材料が、現在、水不透過性サブコート38を形成するために好適である。水不透過性サブコート38は、すべての適当なコーティングまたはラミネーション技術を用いて本発明による投薬形態物の水不透過性レザーバー30に包含される水透過性材料37を覆って提供されてもよい。水不透過性サブコート38を提供するために適当なコーティング方法は、例えば、米国特許出願第60/492,002号および第60/392,774号明細書に記述されており、これらの内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0022】
本発明の投薬形態物10に包含されるエンジン20は、所望の速度においてレザーバー内から活性作用物調合物を排出するために意図した作動環境において機能するすべての組成物、材料、デバイスまたはシステムであってもよい。例えば、本発明の投薬形態物10に包含されるエンジン20は、浸透性エンジン21または他の膨張性調合物、デバイスまたはシステムであってもよい。作動環境に対する投薬形態物の投与後、本発明の投薬形態物に包含されるエンジン10は、好ましくは、所望の期間にわたってレザーバー30に包含される活性作用物調合物40に対する力を発揮することによって作動するが、この力は
レザーバー30内から活性作用物調合物を排出するのに十分である。
【0023】
投薬形態物10に包含される活性作用物調合物40によるエンジン20の透過に伴うすべての問題を避けるために、本発明の投薬形態物10に包含されるエンジン20は、好ましくは活性作用物調合物40による透過に対して抵抗性である。本明細書で使用されるように、用語「透過に対して抵抗性」または「透過抵抗性」は、本発明の投薬形態物に包含される場合、エンジンが投薬形態物の投与前に5重量%未満である活性作用物調合物の取り込みを示すように、形成されるか、または調合されるエンジンを指す。好適な実施態様では、本発明の投薬形態物10に包含されるエンジン20は、好ましくは投薬形態物の投与前に3重量%またはそれ以下である活性作用物調合物の取り込みを示し、投薬形態物の投与前に1重量%またはそれ以下の活性作用物調合物の取り込みを示すエンジンが特に好適である。
【0024】
本発明の投薬形態物10は、活性作用物調合物40の制御放出を提供することができるすべてのエンジン20を含んでもよいが、本発明の投薬形態物は好ましくは浸透性エンジン21を用いて製作される。本発明の投薬形態物10に使用するために適当な浸透性エンジン21は、膨張性浸透性組成物24を包含し、そして好ましくは、それが投薬形態物に包含される活性作用物調合物40による透過に対して抵抗性であるように製造される。
【0025】
本発明による投薬形態物10の浸透性エンジン21に包含される膨張性浸透性組成物24は、レザーバー30と機能し得るように合され、そして結合でき、投薬形態物10の意図した適用のために許容でき、所望の期間にわたって作動環境からの水を吸引するのに十分な浸透圧を発揮し、そして水が組成物中に取り込まれるにつれて、膨張してレザーバー30内から活性作用物調合物40の追い出しを惹起するのに十分な力を及ぼす組成物をもたらすいかなる材料および手段を用いて調合および形成されてもよい。本発明の投薬形態物10において有用な浸透性エンジン21に包含される膨張性浸透性組成物24は、既知の材料および方法を用いて製造することができ、そして活性作用物調合物40による透過に対してそれ自体抵抗性であるかまたは透過抵抗性を生じることができる膨張性浸透性組成物24を提供するために調合されてもよい。現在、本発明の投薬形態物の浸透性エンジン21に包含される膨張性浸透性組成物24は、好ましくは、水または水性生物学的流体との相互作用に際して膨潤または膨張することが可能な親水性ポリマーを包含する打錠された組成物として形成される。
【0026】
本発明の投薬形態物に使用される浸透性エンジン21に包含される膨張性浸透性組成物24は、さらに、膨張性浸透性組成物24によって及ぼされる浸透圧を増強する浸透剤または「オスマゲント(osmagent)」、膨張性浸透性組成物24に安定性と均質性を付与する懸濁化剤、打錠滑沢剤、抗酸化剤、または無毒の着色剤もしくは染料を包含してもよい。本発明の投薬形態物10において有用な浸透性エンジン21で使用するのに適当な膨張性浸透性組成物24を形成するために使用できる材料および方法は、例えば、米国特許第6,174,547号および同第6,245,357号、および米国特許出願第10/324,154号、同第10/324/239号、同第09/733,847号、同第08/075,084号、同第60/492,002号および同第60/394,774号明細書において教示されており、これらの各々の内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0027】
本発明の投薬形態物に包含される浸透性エンジン21はまたバリヤー層26を包含してもよい。本発明による投薬形態物10に使用される浸透性エンジン21に包含されるバリヤー層26は、活性作用物調合物40に実質的に不透過性である組成物から調合される。バリヤー層26は活性作用物調合物40による膨張性浸透性組成物24の透過を低下させるように働く。さらに、バリヤー層26は膨張性浸透性組成物24の推進力が活性作用物
調合物40に伝えられる均一性を増進するのを助ける。本発明の投薬形態物10に包含される浸透性エンジン21がバリヤー層26を包含する場合、バリヤー層26と膨張性浸透性組成物24は、二層錠剤28として形成されてもよい。そのような二層錠剤28を作成するために適当な材料および方法は、例えば、米国特許出願第08/075,084号、同第60/343,001号および同第60/343,005号明細書において教示されており、これらの内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。本発明による投薬形態物10に使用される浸透性エンジン21において有用なバリヤー層26を形成するために適当な材料は、限定されるものではないが、ポリマー組成物、高密度ポリエチレン、ワックス、ゴム、スチレンブタジエン、リン酸カルシウム、ポリシリコン、ナイロン、Teflon(R),ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、塩素化ポリマー、微結晶、高アセチルセルロースの混合物、または高分子量流体不透過性ポリマーを含む。
【0028】
所望であれば、本発明の投薬形態物10に包含される浸透性エンジン21は、透過抵抗性エンジンであってもよい。本発明の投薬形態物10において有用な透過抵抗性浸透性エンジン21は、本明細書で定義されるような透過抵抗性であるよう調合される膨張性浸透性組成物24を含んでもよい。しかしながら、本発明による浸透性エンジン21に包含される膨張性浸透性組成物24が打錠された親水性ポリマー組成物から形成される場合、膨張性浸透性組成物24を活性作用物調合物40による透過に対して抵抗性にするために、膨張性浸透性組成物24は典型的にはさらなる加工を要する。例えば、図4および図6に示されるように、膨張性浸透性組成物24は、膨張性浸透性組成物24の少なくともある領域の上に透過抵抗性コーティング29を与えられてもよく、この場合、コーティング29は与えられた活性作用物調合物40による透過に抵抗性であるよう調合される。
【0029】
本発明の投薬形態物10において有用な透過抵抗性浸透性エンジン21に包含される透過抵抗性コーティング29を形成するために使用される材料は、膨張性浸透性組成物24が透過抵抗性にされなければならない活性作用物調合物40の性質に応じて変わるであろう。特に、膨張性浸透性組成物24を疎水性活性作用物調合物による透過に対して抵抗性にさせるためには、膨張性浸透性組成物の上に施される透過抵抗性コーティング29は、典型的には、疎水性活性作用物調合物に対して実質的に不透過性である親水性コーティングであろう。あるいはまた、膨張性浸透性組成物24を親水性活性作用物調合物による透過に対して抵抗性にさせるためには、膨張性浸透性組成物の上に施される透過抵抗性コーティング29は、典型的には、親水性活性作用物調合物に対して実質的に不透過性である疎水性コーティングであろう。本明細書で使用されるように、「実質的に不透過性」は、膨張性浸透性組成物を本明細書で定義されるような透過抵抗性にさせるための、活性作用物調合物に対して十分に不透過性であるコーティング組成物を指す。透過抵抗性コーティング29は、種々の異なる天然物由来または合成の材料を用いて、内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている米国特許出願第60/492,002号明細書に詳述されている透過抵抗性浸透性エンジンを与えるために適当な材料および方法によって調合されてもよい。
【0030】
所望であれば、透過抵抗性コーティング29は、所望のコーティング特性を与える材料の混合物を用いて調合されてもよい。例えば、所望のコーティング特性を有する透過抵抗性コーティング29を達成するためには、膜形成材料の混合物を用いるコーティング材料を調合することが必要であろう。さらに、本発明による透過抵抗性コーティング29は、膜形成材料または膜形成材料の混合物によって与えられるコーティング特性を改良する1種の材料、例えば可塑剤を包含してもよい。特に、HPMCが本発明の投薬形態物10において有用な透過抵抗性エンジンに包含される透過抵抗性コーティング29を形成するために使用される場合、HPMCコーティングが可塑剤、例えばPEG8000を用いて調合されるのが現在は好適である。重要なことは、透過抵抗性コーティング29は、好まし
くは、浸透性エンジン21が機能し、そして膨張性浸透性組成物24が膨張するにつれて、透過抵抗性コーティング29の引っ張り強度が、膨張性浸透性組成物24によって及ぼされる力に打ち勝つことができるように調合される。
【0031】
本発明の投薬形態物に包含されるエンジン20が水の通過に対して透過性である透過抵抗性コーティング29、例えば、親水性ポリマーまたは水溶性成分を包含するコーティングを包含する場合、透過抵抗性コーティング29はエンジン24を形成する材料または機構を完全に内包化してもよい。浸透性エンジン21に包含される膨張性浸透性組成物24を内包化する透過抵抗性コーティング29は、活性作用物調合物40の所望の放出速度を与えるのに必要とされるような浸透性エンジン21を膨張させる速度で、膨張性浸透性組成物24に水が入るのを可能にするのに十分である水透過性を発揮するよう調合される。さらに、所望であれば、透過抵抗性コーティング29が浸透性エンジン21を覆って提供される場合、透過抵抗性コーティング29の厚さおよび水透過性は、投薬形態物10の放出特性を制御するさらなる値を与えるように調節されてもよい。例えば、膨張性浸透性組成物24を内包化し、水に透過性である透過抵抗性コーティング29を有する浸透性エンジン21を組み入れている投薬形態物からの活性作用物調合物40の放出を遅らせるためには、透過抵抗性コーティング29の厚さは所望の遅延が達成されるまで増大されてもよい。
【0032】
しかしながら、本発明の投薬形態物に包含されるエンジン20の上に包含される透過抵抗性コーティング29は、エンジン20を完全に内包化する必要はない。事実、透過抵抗性コーティング29が浸透性エンジン21を覆って包含され、そして透過抵抗性コーティング29が水に対して不透過性であるか、または浸透性エンジン21を所望のように機能させるのに十分に水に対して透過性でない場合、透過抵抗性コーティング29は、透過抵抗性コーティング29が浸透性エンジン21中に包含する膨張性浸透性組成物24を完全には内包化しないように形作られる(提示なし)。その方式で、浸透性エンジン21を所望のように機能させる速度で、水は膨張性浸透性組成物21によって取り込まれ得る。
【0033】
本発明の投薬形態物10に包含される浸透性エンジン21は、バリヤー層26および透過抵抗性コーティング29を包含するように形作られてもよい。さらにまた、浸透性エンジン21が両透過抵抗性コーティング29とバリヤー層26を包含する場合は、バリヤー層26は透過抵抗性コーティング29の内側、または透過抵抗性コーティング29の外面に包含されてもよい。両バリヤー層26および透過抵抗性コーティング29を包含する浸透性エンジンを製作する材料および方法は米国特許出願第60/492,002号明細書に記述されており、この内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0034】
本発明の投薬形態物に包含される帯80は、エンジン20がレザーバー30の開口部34内に配置された後に形成され、そして帯締めする段階は、好ましくは、他のさらなる加工、例えば速度制御膜(rate contorolling membrane)による投薬形態物のコーティングが行われる前に行われる。本発明の投薬形態物10に包含される帯80を形成する材料は、レザーバーによって露出されたままにあるエンジン20の一部分27またはレザーバーそれ自体を完全には覆わない。帯80は、エンジン20がレザーバー30に形成された開口部にはいる場所の、レザーバー36の外面とエンジン20の外面22によって形成される段に形成または配置される。帯80を形成する材料は、帯80がエンジンとレザーバーが合わさる領域において投薬形態物10の周囲に連続して形成されるように投薬形態物10の周囲に広がる。帯80は、両エンジン20とレザーバー30を一緒に結合し、そしてエンジン20とレザーバー30が会合する投薬形態物の外面において生成される段を低下させるように働く。
【0035】
本発明の投薬形態物10におけるエンジン20にレザーバー30を帯締めするために使
用されてもよい方法および材料は、例えば、米国特許第6,365,183号、同第6,316,028号、同第6,020,000号、同第5,667,804号および同第5,534,263号明細書において教示されており、これらの各々の内容は完全に本明細書に組み入れられている。特に、本発明による投薬形態物10に包含される帯80は、限定されるものではないが、プリンティング、例えばGravure−typeプリンティング、押し出しコーティング、スクリーンコーティング、ブラシコーティング、噴霧、ペインティング、TAIT Design & Machine Co.,Manheim,PA,によって開発されたCapsealer工程、およびShionogi Qualicaps of Indianapolis,INによって開発されたQuali−Seal(R)工程を含む、種々の技術を用いて適用することができる。そのようなシステムおよび技術は、従来の帯締めされた投薬形態物とは異なり、本体と本体を覆って適合するキャップから形成され、かつ圧縮マトリックス調合物から形成されないカプセルを含まない、本発明の投薬形態物において不溶性材料の帯80を提供するために改変することができる。
【0036】
本発明の投薬形態物に包含される帯80を形成する材料は、好ましくは水に不溶であるが、また帯80は水に可溶である材料を用いて形成されてもよい。本発明の投薬形態物10に包含される帯80を形成するために適当な不溶性材料は、エンジンとレザーバーを結び付けるために適当であり、エンジンがレザーバーに配置される場所のレザーバーとエンジンの間に形成される接触面に適用され、そして少なくとも投薬形態物の所望の分配期間中、投薬形態物の投与後にその物理的および化学的完全性を維持することができるすべての材料を含む。好ましくは、本発明の投薬形態物に包含される帯80を形成するために使用される不溶性材料は、また生物学的に不活性、非アレルギー性、そして体組織に対して非刺激性である。
【0037】
本発明の投薬形態物10のレザーバー30にエンジン20を帯締めするために使用されてもよい特定の不溶性材料は、限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリカプロラクトンおよびポリエステルをベースとするエラストマー、例えばDuPont市販のポリマーのHYTREL(R)シリーズを含む、ポリエステル/ポリエーテルブロック・コポリマーを含む。さらなる不溶性帯締め材料は、限定されるものではないが、多糖、セルロース樹脂、粉状セルロース、微結晶セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート疑似ラテックス(例えば米国特許第5,024,842号に記述されているような)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、エチルセルロース疑似ラテックス(例えばColorcon,West Point,PA供給のSurelease(R)、またはFMC Corporation,Philadelphia,Pa供給のAquacoat(R))、ニトロセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリラクチドグリコリドコポリマー、コラーゲン、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンスチレン、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンイソプレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、アクリル酸とメタアクリル酸エステルのコポリマー、メタアクリル酸メチルとアクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸エステルのラテックス[例えばRohmPharma,Darmstaat,Germany供給のEudragit(R))、ポリプロピレン、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのコポリマー、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのブロックコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリスルホン、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリキシリレン、ポリアミド、天然および合成ロウ、パラフィン、カルナウバロウ、石油ワックス、白色および黄色蜜ロウ、ヒマロウ、カンデリラロウ、米ぬかロウ、微結晶ロウ、ステアリルアルコール、セチルアルコール、漂白シェラック、エステル化シェラック、キチン、キトサン、シリカ、ポリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール−シリコンエラストマー、架橋ゼラチン、ゼイン、電磁照射で架橋されたアクリル樹脂、シリコンまたはポリエステル、熱で架橋されたアクリル樹脂、シリコンまたはポリエステル、ブタジエン−スチレンゴム、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、部分水素化木ロジンのグリセロールエステル、タール油ロジンのグリセロールエステル、木ロジンのグリセロールエステル、部分水素化木ロジンのペンタエリトリトールエステル、天然または合成テルペン樹脂、および前記の混合物を含む。
【0038】
好適な不溶性帯締め材料は、アクリル酸とメタアクリル酸エステルのコポリマー、メタアクリル酸メチルとアクリル酸エチルのコポリマー、およびアクリル酸エステルのラテックスを含む。好適なコポリマーは、商標EUDRAGIT Eの下で販売されているポリ(メタアクリル酸ブチル,メタアクリル酸(2−ジメチルアミノエチル),メタアクリル酸メチル)1:2:1、150,000;商標EUDRAGIT NE 30 Dの下で販売されているポリ(アクリル酸エチル,メタアクリル酸メチル)2:1、800,000;商標EUDRAGIT Lの下で販売されているポリ(メタアクリル酸,メタアクリル酸メチル)1:1、135,000;商標EUDRAGIT Lの下で販売されているポリ(メタアクリル酸,アクリル酸エチル)1:1、250,000;商標EUDRAGIT Sの下で販売されているポリ(メタアクリル酸,メタアクリル酸メチル)1:2、135,000;商標EUDRAGIT RLの下で販売されているポリ(アクリル酸エチル,メタアクリル酸メチル,塩化メタアクリル酸トリメチルアンモニオエチル)1:2:0.2、150,000;EUDRAGIT RSとして販売されているポリ(アクリル酸エチル,メタアクリル酸メチル,塩化メタアクリル酸トリメチルアンモニオエチル)1:2:0.1、150,000を含む。各場合において、比率x:y:zは単量体単位のモル比を示し、最後の数は重合体の数平均分子量である。特に、アクリル酸エチルとメタアクリル酸メチル2:1のコポリマーラテックスが好適である。
【0039】
また、水溶性材料が本発明の投薬形態物10に包含されるエンジン20にレザーバー30を帯締めするために使用されてもよい。エンジン20とレザーバー30を結び付けるために適当であり、エンジン20がレザーバー30内に配置される所のレザーバー30とエンジン20の間に形成される接触面に適用することができ、そして少なくとも投薬形態物10の投与前にその物理的および化学的保全性を維持するすべての水溶性材料が、本発明の投薬形態物10において有用な帯80を形成するために使用されてもよい。エンジン20にレザーバー30を帯締めするための水不溶性材料について適正であるように、本発明の投薬形態物10の帯80を形成するために使用される水溶性材料は、好ましくは、生物学的に不活性、非アレルギー性、そして体組織に対して非刺激性である。
【0040】
本明細書において既に記述されたコーティング技術に加えて、本発明の投薬形態物に包含される帯80は、レザーバー30にエンジン20を結合させる方式で、投薬形態物10の周囲に配置される帯締め材料のテープまたは予め形成した帯を用いて形成されてもよい。帯80がテープまたは予め形成した帯を用いて形成される場合、テープまたは予め形成した帯の厚さは、テープまたは予め形成した帯の端に生成する移行部(transition)に形成されるいかなる段も、レザーバー30とエンジン20が接するレザーバー34の開口部に形成される段よりも小さいかまたはひどくないように選ばれる。特に、本発明の投薬形態物に包含される帯80がテープまたは予め形成した帯を用いて形成される場合、テープまたは予め形成した帯は、レザーバー30とエンジン20が接する所のレザーバー30の厚さよりも小さい厚さを有するであろう。好適な実施態様では、本発明の投薬形態物10の帯80を形成するために使用されるテープまたは予め形成した帯は、レザーバー30とエンジン20が接する所のレザーバー30の厚さの50%未満である厚さを有し、そして特に好適な実施態様では、本発明の投薬形態物10の帯80を形成するために使用されるテープまたは予め形成した帯は、レザーバー30とエンジン20が接する所のレザーバー30の厚さの25%未満である厚さを有するであろう。さらに、本発明の投薬形態物10に包含される帯80を形成するために使用されるテープまたは予め形成した帯の縁は、好ましくは、外縁におけるテープまたは予め形成した帯の厚さが、テープまたは予め形成した帯の中心における厚さよりも小さいように先細りにされる。そのような形作りは、テープまたは予め形成した帯の縁とレザーバー30およびエンジン20の外面との間に生成されるすべての材料の移行部をさらに低下する。
【0041】
テープが使用される場合、テープは接着剤を包含しても、また包含しなくてもよい。テープが接着剤を包含しない場合、テープは適当な溶剤または接着剤を用いてレザーバー30とエンジン20に接着されてもよい。あるいはまた、本発明の投薬形態物10に包含される帯80を形成するために使用されるテープは、形状記憶または熱収縮材料、例えば形状記憶または熱収縮ポリマー材料から形成されてもよく、これは、レザーバー30に対して一定の場所にエンジン20を維持する帯80が形成されるように、適用中または適用後に加工される。
【0042】
本発明の投薬形態物10に包含される帯80が材料の予め形成した帯によって提供される場合、予め形成した帯は、好ましくは、予め形成した帯の内径がレザーバー30とエンジン20が接する所の開口部34におけるレザーバー30の外径よりも少なくともやや大きいように、最初にサイズが決定される。1つの実施態様では、本発明の投薬形態物10の帯80を形成するために使用される予め形成した帯の内径は、それがレザーバー30とエンジン20との間に生成される接触面を覆って配置され、そして少なくとも最初には摩擦または干渉適合によってその場所に維持できるようにサイズが決定される。予め形成した帯は、いずれか適当な接着材料を用いてレザーバー30とエンジン20との間に生成される接触面において投薬形態物10に、より永続的に接着されてもよい。あるいはまた、溶剤が除去または蒸発されるにつれて、帯が投薬形態物10に接着または融合されるように、予め形成した帯は、予め形成した帯を形成する材料あるいはエンジン20またはレザーバー30の外面に包含される材料を部分的に可溶化する溶剤を用いて投薬形態物に接着されてもよい。好適な実施態様では、本発明の投薬形態物に包含される帯80を形成するために使用される予め形成した帯は、形状記憶または熱収縮ポリマーを用いて製作される。そのような材料は当該技術分野において既知であり、市販品を得ることができる。レザーバー30とエンジン20との間に生成した接触面上に形状記憶または熱収縮ポリマー材料から作成された予め形成した帯を配置した後、予め形成した帯は、レザーバー30とエンジン20の周囲で帯を収縮させる条件(例えば、加熱)にかけられ、それによってエンジンがレザーバーに帯締めされる。
【0043】
本発明の投薬形態物10に包含される帯80を生成するために使用される特定の材料または方法とは無関係に、レザーバー30へのエンジン20の帯締めは、投薬形態物が段階毎に製造される際に、エンジン20が所望の位置から移動されるかまたはレザーバー30から分離される可能性を低下する。さらにまた、レザーバー30への本発明の投薬形態物のエンジンの帯締めは、エンジンの外面がレザーバーに形成された開口部に接する場所に形成されるすべての不連続部または段を平滑にするために働き、そしてエンジンとレザーバー間の接触部を平滑にすることによって、本発明の投薬形態物の設計は、工程における投薬形態物の「ふたご形成(twinning)」による生産物の損失をもたらす可能性の低いコーティング条件を用いて、より良好な連続性を示し、かつより頑丈である続いてのコーティングを生成する。またさらに、本発明の投薬形態物10に包含される帯80は、活性作用物調合物40による侵入または通過から、エンジン20とレザーバー30との間の界面をより有効に密封するために作用する。したがって、レザーバー30へのエンジン20の帯締めは、商業生産に一層良好に適合する物理的に一層頑丈な制御放出活性作用物投薬形態物を提供するのみならず、またレザーバー内からの活性作用物調合物の望ましくない損失または漏出に一層抵抗性のある投薬形態物を提供することができる。
【0044】
本発明の投薬形態物10が浸透性エンジン21を包含する場合、投薬形態物10は好ましくは速度制御膜60を包含する。本発明の投薬形態物10に包含される速度制御膜60は、制御速度において水または水性流体を所望の作動環境から浸透性エンジン21に侵入させ、それによって浸透性エンジン21の制御膨張および投薬形態物10からの活性作用物調合物40の制御送達を促進する。本発明の投薬形態物10に包含される速度制御膜60は、意図する作動環境において無毒であり、そして投薬形態物10の作動中にその物理的および化学的完全性を維持する。速度制御膜60の厚さまたは化学的構造を調節することにより、投薬形態物10が投与された後に浸透性エンジン21に包含される膨張性浸透性組成物24が膨張する速度を制御することができる。したがって、浸透性エンジン21を利用する本発明の投薬形態物10に包含される速度制御膜60は、投薬形態物10によって達成される放出速度または放出速度プロフィルを制御するために役立つ。
【0045】
本発明の投薬形態物10において使用する速度制御膜60は、水に透過性であり、活性作用物には実質的に不透過性であり、製薬学的に許容でき、そして本発明の投薬形態物10の他の成分と適合するいかなる材料を用いて形成されてもよい。一般に、速度制御膜60は、半透過性ポリマー、半透過性ホモポリマー、半透過性コポリマーおよび半透過性テルポリマーを含む材料を用いて半透過性膜として形成できる。半透過性ポリマーは当該技術分野において既知であり、本明細書に引用される特許文献および引用によって本明細書に組み入れられている米国特許第4,077,407号によって例示されて明らかである。さらに、半透過性膜は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.3,pages 325 to 354,1964,published by Interscience Publishers,Inc.,New Yorkに記述されている手順のような、当該技術分野において既知の方法によって作成できる。本発明の投薬形態物10に包含される速度制御膜60はまた、速度制御膜60をとおす流体透過性または流動の調節を助けるために、速度制御膜60に柔軟性および伸長特性を添える可塑剤または流動調節剤、例えば流動増進剤または流動低下剤を包含してもよい。
【0046】
本発明による投薬形態物10に包含される速度制御膜60はレザーバー30によって封入または内包化されない浸透性エンジン21の少なくとも1部分27を覆って提供される。所望であれば、また本発明の投薬形態物10に包含される速度制御膜60はレザーバー30および浸透性エンジン21の露出部分27の両方を覆って提供されてもよい。さらにまた、本発明による投薬形態物10が水に透過性であるレザーバー30を包含する場合、投薬形態物10に包含される速度制御膜60は、好ましくはレザーバー60および浸透性エンジン21の露出部分27の両方を覆って広がる。
【0047】
本発明による投薬形態物10に使用するために適当な速度制御膜60を提供する方法は、当該技術分野において既知であり、すべての適当なコーティング技術、例えば適当な浸漬コーティングまたは噴霧コーティング工程を含む。本発明の経口投薬形態物10に使用するために適当な速度制御膜を製作するための材料および方法を記述するさらなる参考文献は、例えば米国特許第6,174,547号および同第6,245,357号;および米国特許出願第10/324,154号、同第10/324/239号、同第09/733,847号、同第08/075,084号、同第60/492,002号および同第60/392,774号明細書を含み、これらの内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0048】
また、本発明による投薬形態物10は出口オリフィス70を包含する。出口オリフィス70は、活性作用物調合物40が投薬形態物のレザーバー30から送達されるのを可能にするすべての構造物、デバイスまたは投薬形態物配置物を含んでもよい。本発明の投薬形態物10に包含される出口オリフィス70は種々の異なる構造物の1つによって具現化さ
れてもよい。例えば、出口オリフィス70は、投薬形態物10に包含されるレザーバー30の壁を一部または完全に貫通して形成される孔(aperture)72を含んでもよい。あるいはまた、図2および図4〜図6に示されるように、本発明の投薬形態物10がレザーバー30を覆う速度制御膜60を包含する場合、出口オリフィス70は速度制御膜60を通して形成される孔72を含んでもよく、または出口オリフィスは速度制御膜60およびレザーバーの一部分、例えば多数の材料の層から形成されるレザーバー30に包含される水不透過性サブコート58を通して形成される孔72を含んでもよい。孔72から形成される出口オリフィス70は、すべての適当な手段、例えば適当な機械的もしくはレーザー穴空け技術によって形成されてもよい。
【0049】
図1〜図6に図示される孔72は投薬形態物10に包含されるレザーバー30を完全には貫通しないけれども、孔72は、投薬形態物が意図した作動環境内に置かれるか、環境内で作動し始める際に出口オリフィスの形成を可能にする。特に、本発明の投薬形態物10が単一層の水不透過性材料から形成されるレザーバー30を包含する場合、投薬形態物10に包含されるエンジン20が機能し、レザーバー30構造物内に圧力をかけ始めるにつれて、速度制御膜60に形成された孔72はレザーバー30を形成する材料が損傷される破壊点を生成する。あるいはまた、本発明の投薬形態物10が水透過性材料を包含し、そして孔72がそのような材料を作動環境に曝露する場合、作動環境に存在する水は、レザーバー30の露出部分を弱めるかまたは溶解するように働き、エンジン20が作動しつつレザーバー30内に含有される活性作用物調合物40を追い出させることができる。
【0050】
それにもかかわらず、本発明の投薬形態物10は、孔72によって形成される出口オリフィス70に限定されない。所望であれば、出口オリフィスはレザーバーを完全に貫通する孔を含んでもよい。再び、機械的またはレーザー穴空け技術が使用されてそのような出口オリフィスを生成することができる。しかしながら、本発明の投薬形態物に与えられる出口オリフィスがレザーバーを貫通して形成される場合、出口オリフィスを密封するクロージャー(closure)が必要とされる。いくつかの手段のいずれか1つがそのようなクロージャーを提供するために使用される。例えば、クロージャーは、出口オリフィスを覆い、投薬形態物の外面上に部分的に配置される材料の層を含んでもよく、あるいはクロージャーは、ストッパー、例えば栓(bung)、コルク、または不透過性プラグ、または出口オリフィス内に形成されるかまたは配置される、被侵食性要素、例えばゼラチンプラグまたは圧縮グルコースプラグを含んでもよい。その特定の形態に関係なく、クロージャーは典型的には、少なくとも投薬形態物の投与後まで活性作用物調合物の通過に不透過の材料を含有する。適当なクロージャー材料は、高密度ポリオレフィン、アルミニウム被覆ポリエチレン、ゴム、シリコン、ナイロン、合成フッ素Teflon(R),塩素置換炭化水素ポリオレフィン、およびフッ素置換ビニルポリマーを含む。
【0051】
また、本発明の投薬形態物に包含される出口オリフィスは、1個以上の孔を含んでもよく、所望であれば、出口オリフィスは、例えば、多孔質要素、多孔質オーバーレイ(overlay)、多孔質挿入断片、中空繊維、毛細管、微孔性挿入断片または微孔性オーバーレイを含んでもよい。さらにまた、出口オリフィスが提供する特定の構造に関係なく、本発明の投薬形態物は、作動中に活性作用物調合物を送達するための2個以上の出口オリフィスを含んで製造されてもよい。制御放出投薬形態物で使用するために適当な出口オリフィスの記述は、例えば、既に引用によって本明細書に組み入れられているそれらの特許および特許出願、ならびに米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号および同第4,200,098号において開示されており、これらの内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0052】
孔72から形成される出口オリフィス70は、本発明の投薬形態物10に提供されてもよい種々の異なる出口オリフィスの1種のみであるが、投薬形態物10の投与される前に
はそれらはレザーバー30の完全な貫通を要求しないので、図示された態様に示されるように形成される出口オリフィスが望ましい。そのような設計は、活性作用物調合物40が、投薬形態物10の投与される前に投薬形態物10から漏出する可能性を低下させるために役立つ。さらにまた、図1〜図6に示される出口オリフィス70に包含される孔72は、既知の機械的またはレーザー穴空け技術を用いて簡単に形成することができる。
【0053】
その他の態様では、本発明は活性作用物調合物の制御放出を提供する投薬形態物を製造する方法に対向する。本発明の方法は、開口部を包含するレザーバーを提供し、エンジンを提供し、レザーバーの開口部内にエンジンを配置し、そしてレザーバーにエンジンを帯締めすることを含む。また本発明の方法は、レザーバー中に活性作用物調合物を装填し、そして出口オリフィスが活性作用物調合物の送達を可能にするようレザーバー中に包含されるかまたは形成されるように、投薬形態物を形成することを含む。活性作用物は好ましくはエンジンがレザーバー内に配置され、そしてレザーバーに帯締めされる前に装填されけれども、本発明の投薬形態物における活性作用物調合物の装填は、またエンジンおよびレザーバーが機能しうるように合された後に行われてもよい。
【0054】
開口部を包含するレザーバーを提供する段階は、本発明の投薬形態物における使用に適当なすべてのレザーバーを提供することを含んでもよい。例えば、本発明の方法において提供されるレザーバーは、水透過性または水不透過性材料、例えば本明細書で開示されるそれらの材料から形成されてもよい。さらにまた、本発明の方法において提供されるレザーバーは、材料の単層または1種以上の異なる材料の多重層から形成されてもよい。本発明による方法において提供されるレザーバーの正確な性質は、他のファクターの中でも、製造される投薬形態物の所望の適用および性能特性、ならびに投薬形態物に包含されるエンジンおよび活性作用物調合物の性質に依存する。
【0055】
本発明の方法における使用のために適当なエンジンは、本発明による投薬形態物を製作するために使用されてもよいすべてのエンジンを含む。例えば、エンジンは浸透性エンジンまたは他の膨張性調合物、デバイスもしくはシステムであってもよい。本発明の方法で提供されるエンジンが浸透性エンジンである場合、エンジンはバリヤー層を包含してもよく、そしてレザーバー中に装填される活性作用物調合物による透過に抵抗性であるよう調合されるか、または形作られてもよい。しかしながら、本発明の方法において提供されるエンジンがバリヤー層を包含する浸透性エンジンである場合は、本発明の方法は、バリヤー層が最終投薬形態物において活性作用物調合物に面するように、エンジンがレザーバー内に配置される前にエンジンの方向を決定することを含む。本発明による方法において提供されるエンジンの正確な性質は、他のファクターの中でも、製造される投薬形態物の所望の適用および性能特性、ならびに投薬形態物に包含されるレザーバーおよび活性作用物調合物の性質に依存する。
【0056】
エンジンをレザーバーに包含される開口部内に配置する段階は、レザーバーの開口部内にエンジンの所望の配置をもたらすすべての技術、デバイスまたは機構を用いて実施できる。例えば、配置する段階は、挿入深度の制御または挿入力の制御を与えるインサーター(inserter)によって実施されてもよい。好ましくは、挿入深度制御を与えるインサーターは、活性作用物調合物をまだ装填されてないレザーバー内にエンジンを配置するために使用され、一方、挿入力制御を与えるインサーターは好ましくは、活性作用物調合物を前以て装填されたレザーバー内にエンジンを配置するために使用される。
【0057】
またレザーバー中への活性作用物調合物の装填は、レザーバー中に活性作用物調合物の所望の量の装填をもたらすすべての技術、デバイスまたは機構を用いて実施できる。活性作用物の装填が、エンジンがレザーバーの開口部内に配置される前に起きる場合は、活性作用物調合物はエンジンの配置のために使用される同じ開口部をとおして装填されてもよ
い。しかしながら、活性作用物調合物が、浸透性エンジンを配置した後にレザーバー中に装填される場合は、活性作用物調合物の装填は、レザーバーに形成される第2の開口部をとおして実施するか、またはエンジンの周囲からレザーバー中に活性作用物調合物を送ることによって実施しなければならない。本発明による方法においてレザーバー中に装填される活性作用物調合物は、本発明による投薬形態物における使用に適当ないかなる活性作用物調合物であってもよい。
【0058】
出口オリフィスがレザーバーに包含されるか、またはレザーバーに形成されるように投薬形態物を形作る段階は、本明細書に既に記述されたような1個以上の出口オリフィスを形成することを含んでもよい。例えば、本発明の方法は、多孔質要素、多孔質オーバーレイ、多孔質挿入断片、中空繊維、毛細管、微孔性挿入断片または微孔性オーバーレイ、孔またはクロージャーを有する孔、例えばクロージャーを覆って配置される材料の層、孔内に形成されるかまたは配置される不透過性の栓、コルクまたはプラグ、被侵食性要素、例えばゼラチンプラグまたは圧縮グルコースプラグを含む、1種以上の出口オリフィスを生成することを含んでもよい。さらにまた、出口オリフィスを提供する特定の構造に関係なく、出口オリフィスがレザーバーに包含されるかまたはレザーバーに形成されるように投薬形態物を形作るには、作動中に活性作用物調合物を送達するための2個以上の出口オリフィスを形成することを含んでよい。
【0059】
本発明の方法の1つの実施態様では、エンジンを提供する段階は浸透性エンジンを提供することを含む。本発明の方法において提供されるエンジンが浸透性エンジンである場合、本発明の方法はまた速度制御膜を提供することを含む。典型的には、速度制御膜を提供する段階は、レザーバーによって内包化されない浸透性エンジンの少なくとも一部分を覆って速度制御膜を提供することを含む。あるいはまた、レザーバーを形成するために使用される材料の種類に応じて、また速度制御膜を提供する段階は、浸透性エンジンとレザーバーの両露出部分を覆って速度制御膜を提供することを含んでもよい。所望であれば、速度制御膜を提供することは、本発明による投薬形態物において有用な速度制御を生成するために適当なすべての材料または方法を用いて実施できる。速度制御膜を提供するための材料および方法の特定の例は、限定されるものではないが、米国特許第6,174,547号、同第6,245,357号および同第4,077,407号;米国特許出願第10/324,154号、同第10/324/239号、同第09/733,847号、同第08/075,084号、同第60/492,002号および同第60/392,774号明細書、ならびにEncyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.3,pages 325 to 354,1964,published by Interscience Publishers,Inc.,New Yorkに記述されているそれらの材料および方法を含み、これらの各内容は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0060】
本発明の方法における投薬形態物のレザーバーへのエンジンの帯締めは、エンジンがレザーバーに包含される開口部内に配置された後に実施されてもよく、そして例えば、本明細書で議論された材料および方法を用いて達成することができる。例えば、1つの実施態様では、本発明の方法は、レザーバーの開口部とエンジンが会合するレザーバーとエンジンの外面に、次に示す方法を用いて水不溶性材料の帯を形成することを含み、その方法は、プリンティング、例えばGravure−typeプリンティング、押し出しコーティング、スクリーンコーティング、ブラシコーティング、噴霧、塗布、TAIT Design & Machine Co.,Manheim,PA,によって開発されたCapsealer工程、およびShionogi Qualicaps of Indianapolis,INによって開発されたQuali−Seal(R)工程と通常呼ばれる方法、などから選ばれる。その他の態様では、本発明の方法は、レザーバーの開口部とエンジンが会合するレザーバーとエンジンの外面に、既に記述した方法から選ばれる方法を用いて水溶性材料の帯を形成することを含む。さらなる態様では、本発明の方法は、材料のテープまたは予め形成した帯を用いて投薬形態物のレザーバーにエンジンを帯締めさせることを含む。材料のテープまたは予め形成した帯を用いてレザーバーにエンジンを帯締めさせるために適当な材料および方法は、本発明の投薬形態物の形成に関して本明細書において前述されている。
【0061】
本発明の投薬形態物および方法は、種々の態様、材料および方法に関して本明細書において記述されている。しかしながら、本明細書で記述される態様、材料および方法は、本発明の投薬形態物および方法に関して、それを限定するよりも、むしろ例を挙げて説明することを意味する。本発明は、本明細書で提供される記述から誘導できる詳細な実行には多くの改変が可能であり、すべてのそのような改変は本発明の範囲および精神の中にあると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1−6】本発明の投薬形態物の異なる実施態様の断面図表示を提供する。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性作用物調合物を含有するレザーバー,
レザーバー内に部分的に配置されており、かつレザーバーによって完全には内包されていないエンジン、および
レザーバーにエンジンを結合するようにレザーバーとエンジンの外面上に提供される帯、を含んでなる、活性作用物調合物の制御放出を提供するように形成された投薬形態物であって、
作動環境への投薬形態物の投与後、制御速度において活性作用物調合物をレザーバー内から排出するように形成されている投薬形態物。
【請求項2】
帯が、プリントされた帯、押し出しコートされた帯、スクリーンコートされた帯、ブラシュコートされた帯、噴霧された帯、またはペイントされた帯である、請求項1の投薬形態物。
【請求項3】
帯が、エンジンとレザーバーが合わさる領域において投薬形態物の周囲に連続して形成される帯を含む、請求項1の投薬形態物。
【請求項4】
帯が、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリカプロラクトンおよびポリエステルをベースとするエラストマー、多糖、セルロース樹脂、粉状セルロース、微結晶セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート疑似ラテックス、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、エチルセルロース疑似ラテックス、ニトロセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリラクチドグリコリドコポリマー、コラーゲン、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンスチレン、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンイソプレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、アクリル酸とメタアクリル酸エステルのコポリマー、メタアクリル酸メチルとアクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸エステルのラテックス、ポリプロピレン、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのコポリマー、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのブロックコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリスルホン、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリキシリレン、ポリアミド、天然および合成ロウ、パラフィン、カルナウバロウ、石油ワックス、白色および黄色蜜ロウ、ヒマロウ、カンデリラロウ、米ぬかロウ、微結晶ロウ、ステアリルアルコール、セチルアルコール、漂白シェラック、エステル化シェラック、キチン、キトサン、シリカ、ポリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール−シリコンエラストマー、架橋ゼラチン、ゼイン、電磁照射で架橋されたアクリル樹脂、シリコンまたはポリエステル、熱で架橋されたアクリル樹脂、シリコンまたはポリエステル、ブタジエン−スチレンゴム、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、部分水素化木ロジンのグリセロールエステル、タール油ロジンのグリセロールエステル、木ロジンのグリセロールエステル、部分水素化木ロジンのペンタエリトリトールエステル、天然または合成テルペン樹脂、および前記の混合物
からなる群から選ばれる材料を含有する、請求項1の投薬形態物。
【請求項5】
帯がテープを含む、請求項1の投薬形態物。
【請求項6】
帯が予め形成された帯を含む、請求項1の投薬形態物。
【請求項7】
エンジンが浸透性エンジンを含む、請求項1の投薬形態物。
【請求項8】
浸透性エンジンが膨張性浸透性組成物を含有する、請求項7の投薬形態物。
【請求項9】
浸透性エンジンが、レザーバーから浸透性エンジン中への活性作用物調合物の移動を制限するバリヤー層または外側コーティングを含有する、請求項7の投薬形態物。
【請求項10】
レザーバーが水透過性材料を含有する、請求項1の投薬形態物。
【請求項11】
レザーバーが、水に実質的に不透過性である材料を含有する、請求項1の投薬形態物。
【請求項12】
活性作用物調合物を含有するレザーバー、
レザーバー内に形成された開口部内に部分的に配置されており、かつレザーバーによって完全には内包されていない浸透性エンジン、
レザーバーにエンジンを結合するようにレザーバーとエンジンの外面上に提供される帯、速度制御膜、および
活性作用物調合物が送達され得る出口オリフィス、
を含んでなる投薬形態物。
【請求項13】
エンジンを受け入れるようにサイズおよび形の定められている開口部を有するレザーバーを提供し、
エンジンを提供し、
エンジンがレザーバー内に部分的に配置されており、かつレザーバーによって完全には内包されないように、レザーバーの開口部内にエンジンを配置し、そして
レザーバーにエンジンを帯締めすること、
を含んでなる、活性作用物調合物の制御放出を提供する投薬形態物の製造方法。
【請求項14】
レザーバーへのエンジンの帯締めが、帯のプリント、帯の押し出しコーティング、帯のスクリーンコーティング、帯のブラシコーティング、帯の噴霧、または帯のペインティングを含む、請求項13の方法。
【請求項15】
レザーバーへのエンジンの帯締めが、エンジンとレザーバーが合わさる領域において投薬形態物の周囲に連続して形成される帯の形成を含む、請求項13の方法。
【請求項16】
帯が、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリカプロラクトンおよびポリエステルをベースとするエラストマー、多糖、セルロース樹脂、粉状セルロース、微結晶セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート疑似ラテックス、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、エチルセルロース疑似ラテックス、ニトロセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリラクチドグリコリドコポリマー、コラーゲン、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンスチレン、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンイソプレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、アクリル酸とメタアクリル酸エステルのコポリマー、メタアクリル酸メチルとアクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸エステルのラテックス、ポリプロピレン、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのコポリマー、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのブロックコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリスルホン、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリキシリレン、ポリアミド、天然および合成ロウ、パラフィン、カルナウバロウ、石油ワックス、白色および黄色蜜ロウ、ヒマロウ、カンデリラロウ、米ぬかロウ、微結晶ロウ、ステアリルアルコール、セチルアルコール、漂白シェラック、エステル化シェラック、キチン、キトサン、シリカ、ポリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール−シリコンエラストマー、架橋ゼラチン、ゼイン、電磁照射で架橋させたアクリル樹脂、シリコンまたはポリエステル、熱で架橋させたアク
リル樹脂、シリコンまたはポリエステル、ブタジエン−スチレンゴム、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、部分水素化木ロジンのグリセロールエステル、タール油ロジンのグリセロールエステル、木ロジンのグリセロールエステル、部分水素化木ロジンのペンタエリトリトールエステル、天然または合成テルペン樹脂、および前記の混合物
からなる群から選ばれる材料を含有する、請求項13の方法。
【請求項17】
帯がテープを含む、請求項13の方法。
【請求項18】
帯が予め形成された帯を含む、請求項13の方法。
【請求項19】
レザーバー中に活性作用物調合物を装填することをさらに含む、請求項13の方法。
【請求項20】
出口オリフィスが活性作用物調合物の送達を可能にするためにレザーバー中に包含されているかまたは形成されるように投薬形態物を形成することをさらに含む、請求項13の方法。
【請求項21】
エンジンの提供が速度制御膜を含有する浸透性エンジンを提供することを含む、請求項13の方法。
【請求項22】
速度制御膜が、レザーバーによって内包されていない浸透性エンジンの少なくとも一部分上にて形成されているかまたは配置されている、請求項21の方法。
【請求項23】
制御膜が浸透性エンジンとレザーバーの両露出部分上に形成されているかまたは配置されている、請求項21の方法。
【請求項24】
浸透性エンジンがバリヤー層をさらに含有する、請求項21の方法。
【請求項25】
エンジンがレザーバーの開口部内に配置された後にバリヤー層が活性作用物調合物に面するように、エンジンがレザーバー内に配置される前に浸透性エンジンの方向を決定すること、
をさらに含んでなる、請求項24の方法。
【請求項26】
バリヤー層が活性作用物調合物による透過に抵抗性であるバリヤー層を含む、請求項24の方法。

【公表番号】特表2007−506753(P2007−506753A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528178(P2006−528178)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031301
【国際公開番号】WO2005/030164
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】