説明

帯電器および画像形成装置

【課題】 被帯電部材の電位を調整する、張架された金属線の清掃能力を高めることができる帯電器、およびその帯電器を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 放電ワイヤ120に押し当てられその放電ワイヤ120が張られた方向に移動してその放電ワイヤ120を清掃する第1の清掃部材151が、放電ワイヤ120が張られた方向に対し斜めに延びる溝であって、放電ワイヤ120を受け入れて、その放電ワイヤ120の一部120aを、放電ワイヤ120が張られた方向と第1の清掃部材151の押当て方向との双方に対し交わる方向に交差する溝151aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真プロセスを使って記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、感光体表面を帯電させる放電ワイヤを清掃部材で清掃するということが行なわれている。
【0003】
例えば、放電ワイヤに接触する部分が溝形状に形成されたクリーニングパッドで、その放電ワイヤに付着した異物を清掃する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、放電ワイヤの表面に圧接するクリーニング部材の接触位置を、クリーニング操作時に変化させる技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、放電ワイヤに付着した異物をスポンジ部材に減り込ませることにより、清掃した異物を落下させることなく溜め込む技術が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
また、放電ワイヤを挟んで保持する溝を有する清掃部材で、その放電ワイヤの表面に付着した異物を清掃する技術が提案されている(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2004−109721号公報
【特許文献2】特開平10−78692号公報
【特許文献3】特開2006−106131号公報
【特許文献4】特開2007−248756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、被帯電部材を帯電する、張架された帯電ワイヤの清掃能力が高められた帯電器、およびその帯電器を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の帯電器は、
被帯電部材を帯電する帯電ワイヤと、
上記帯電ワイヤに押し当てられた状態で移動し、その帯電ワイヤを清掃する清掃部材と、
上記清掃部材に設けられ、上記清掃部材が上記帯電ワイヤを清掃する時に上記帯電ワイヤに接触し、且つ、上記帯電ワイヤが張られた方向とその清掃部材を押し当てた方向との双方に対して交差する溝を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の帯電器は、
表面が移動する被帯電部材を帯電する帯電ワイヤと、
上記帯電ワイヤに押し当てられた状態で移動し、その帯電ワイヤを清掃する清掃部材と、
上記清掃部材に設けられ、上記清掃部材が上記帯電ワイヤを清掃する時に上記帯電ワイヤに接触し、且つ、上記帯電ワイヤをその帯電ワイヤが張られた方向と上記清掃部材を押し当てた方向との双方に対して傾斜させる溝を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の帯電器は、請求項1又は2の帯電器において、上記溝が、その帯電ワイヤが張られた方向と上記清掃部材の押当て方向との双方に対し交わる方向であって互いに逆向きに交差する溝であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の帯電器は、請求項1又は2の帯電器において、上記帯電ワイヤが張られた方向について互いに異なる位置において互いに逆向きの方向からその帯電ワイヤに押し当てられる複数の清掃部材を有し、
それら複数の清掃部材それぞれが上記帯電ワイヤを受け入れる溝を有し、その溝が、それら複数の清掃部材を通じて、その帯電ワイヤが張られた方向とその清掃部材の押当て方向との双方に対し交わる方向であって、かつ互いに逆向きに交差する溝であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の帯電器は、請求項1から4のうちいずれか1つの帯電器において、上記溝が、その帯電ワイヤが張られた方向とその清掃部材の押当て方向との双方に対し交わる方向に、その帯電ワイヤの外径以上交差する溝であることを特徴とする。
【0013】
請求項6の帯電器は、請求項1から5のうちいずれか1つの帯電器において、上記溝が、その帯電ワイヤをその溝内に受け入れる開口であって、その溝による作用を受けない状態の上記帯電ワイヤを上記押当て方向に上記清掃部材上に投影したときにその溝による作用を受けない状態の上記帯電ワイヤをその溝の全長に亘ってその開口の内側に包含する開口を有することを特徴とする。
【0014】
請求項7の画像形成装置は、請求項1から6のうちのいずれか1つの帯電器を備え、その帯電器を用いた帯電プロセスを含んで用紙上に画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の帯電器では、帯電ワイヤの清掃能力が高められている。
【0016】
請求項2の帯電器では、帯電ワイヤの清掃能力が高められている。
【0017】
請求項3の帯電器では、請求項3の構成を有さない場合に較べて、帯電ワイヤの清掃能力がさらに高められている。
【0018】
請求項4の帯電器では、請求項4の構成を有さない場合に較べて、帯電ワイヤの清掃能力がさらに高められている。
【0019】
請求項5の帯電器では、請求項5の構成を有さない場合に較べて、帯電ワイヤの清掃能力がさらに高められている。
【0020】
請求項6の帯電器では、請求項6の構成を有さない場合に較べて、帯電ワイヤを溝内に簡単に受け入れることができる。
【0021】
請求項7の画像形成装置では、この画像形成装置内の帯電器に備えられた帯電ワイヤの清掃能力が高められている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
図1は、画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【0024】
図1に示すプリンタ1には、それぞれY(イエロ),M(マゼンタ),C(サイアン),K(ブラック)色のトナー像が形成される感光体11Y,11M,11C,11Kと、感光体11Y,11M,11C,11Kの表面を所定の電位に帯電する帯電ロール12Y,12M,12Cおよびスコロトロン帯電器12Kと、Y,M,C,K色のトナーを収容した現像器13Y,13M,13C,13Kと、感光体11Y,11M,11C,11Kの表面に残留した残留トナーを除去するクリーニング装置14Y,14M,14C,14Kとが備えられている。
【0025】
また、このプリンタ1には、感光体11Y,11M,11C,11Kに接触しながら矢印A方向に移動する無端状の中間転写ベルト20と、感光体11Y,11M,11C,11Kそれぞれに対向して中間転写ベルト20の内側に配備されて、対応する感光体11Y,11M,11C,11K上のトナー像を中間転写ベルト20上に一次転写する一次転写ロール21Y,21M,21C,21Kと、駆動ロール22と、テンションロール23と、従動ロール24,25,26と、バックアップロール27とが備えられている。
【0026】
さらに、このプリンタ1には、中間転写ベルト20を挟んでバックアップロール27に対向し、中間転写ベルト20上のトナー像を用紙に二次転写する二次転写ロール28と、中間転写ベルト20上に残留したトナー像を除去するクリーニング装置29が備えられている。
【0027】
また、このプリンタ1には、用紙上に二次転写されたトナー像を加熱および加圧して用紙上に定着させる定着器50が備えられている。定着器50は、加熱機構を有する定着ロール51と、定着ロール51に対向するように設けられた圧力ロール52を有する。
【0028】
さらに、このプリンタ1には、用紙が収容される用紙収容部53と、その用紙収容部53から用紙を引き出して予め定められた搬送路に搬送する用紙搬送部54が備えられている。
【0029】
このプリンタ1は、4つの感光体11Y,11M,11C,11Kを用いてカラー画像を形成するカラーモードと、黒色トナーに対応した感光体11Kのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを有する。ここで、モノクロモードにおいてモノクロ画像を形成する場合、画像形成に関与していない、黒色トナーに対応した感光体11Kを除く残りの感光体11Y,11M,11Cが、一次転写ロール21Y,21M,21Cからの押圧を受けて中間転写ベルト20に接触した状態のままであると、それら感光体11Y,11M,11Cの磨耗が大きいため、モノクロモードにおいては、黒色トナーに対応する一次転写ロール21Kを除く残りの一次転写ロール21Y,21M,21Cを、中間転写ベルト20に対して離間させるということが行なわれる。
【0030】
また、このプリンタ1では、黒色トナーに対応した感光体11Kの外形寸法は大きく(例えばφ=60mm)、またモノクロモードにおける画像形成速度は速い(例えば32cm/sec)。一方、黒色トナーに対応した感光体11Kを除く残りの感光体11Y,11M,11Cの外形寸法は小さく(例えばφ=40mm)、またカラーモードにおける画像形成速度は遅い(例えば22cm/sec)。
【0031】
このため、感光体11Kには、感光体11Kを十分に大きな電荷量で均一に帯電することのできる本発明の帯電器の一例であるスコロトロン帯電器12Kが用いられる。一方、感光体11Y,11M,11Cを帯電する帯電器12Y,12M,12Cには、比較的小さな電荷量で均一に帯電する帯電ロール12Y、12M,12Cが用いられる。
【0032】
また、外形寸法の大きな感光体11Kの、中間転写ベルト20上にトナー像が転写された後の表面には、未転写のトナーや外添剤などの異物がより多く残留するため、この異物を次の画像形成サイクルに先立って除去するために、この感光体11Kには、後述するブラシ部材およびブレードを備えたクリーニング装置14Kが用いられる。一方、外形寸法の小さな感光体11Y,11M,11Cの、中間転写ベルト20上にトナー像が転写された後の表面に残留する異物の量は比較的少ないため、クリーニングブレードのみを備えたクリーニング装置14Y,14M,14Cが用いられる。
【0033】
このプリンタ1で、用紙上に定着トナー像からなるカラー画像を形成するには、感光体11Y,11M,11C,11Kが帯電ロール12Y,12M,12Cおよびスコロトロン帯電器12Kにより一様に帯電され、画像情報を担持したレーザ光ROS-Y,ROS-M,ROS-C,ROS-Kの照射によりそれら感光体11Y,11M,11C,11K上に静電潜像が形成される。これらの静電潜像は現像器13Y,13M,13C,13Kによって現像されて、感光体11Y,11M,11C,11Kの表面にはトナー像からなる可視像が形成される。こうして形成された各トナー像は、所定の転写バイアス電圧が印加された一次転写ロール21Y,21M,21C,21Kにより中間転写ベルト20の表面に一次転写される。
【0034】
中間転写ベルト20の表面に一次転写された転写トナー像は、バックアップロール27および二次転写ロール28により二次転写される。この二次転写では、用紙収容部53から用紙搬送部54により引き出され矢印B方向に搬送されてきた用紙がバックアップロール27,二次転写ロール28からなる二次転写領域に送り込まれることにより、その用紙上に二次転写される。用紙上に二次転写されたトナー像は、定着器50により加熱および加圧されて用紙上に定着される。このようにして、一連の画像形成サイクルが終了する。
【0035】
図2は、図1に示す黒色トナーに対応した感光体とその周辺の装置を拡大して示す図である。
【0036】
図2には、黒色トナーに対応した感光体11Kが示されている。この感光体11Kの周辺には、次の画像形成サイクルに進む前に感光体11Kの表面の残存電位を除去する除電器10Kと、スコロトロン帯電器12Kが備えられている。スコロトロン帯電器12Kには、放電ワイヤ120とグリッド電極122が備えられている。
【0037】
放電ワイヤ120は、張架された金属線で構成された帯電ワイヤの一例であり、この放電ワイヤ20は、電圧の印加を受けて離間した位置から感光体11K表面を帯電する。
【0038】
グリッド電極122は、放電ワイヤ120によって感光体に流れ込む電流を制御することで感光体11Kの表面の帯電電位を制御する。
【0039】
また、スコロトロン帯電器12Kには、これら放電ワイヤ120,グリッド電極122を清掃する清掃装置も備えられているが、ここでは図面の煩雑化を避けるために図示省略している。尚、この清掃装置については、図3で説明する。
【0040】
感光体11Kの周辺には、現像器13Kと、クリーニング装置14Kとが備えられている。現像器13Kには、トナーを担持して静電潜像が形成される感光体11Kと対向する現像領域まで搬送する現像ロール31と、トナーを搬送する搬送部材33_1と、現像ロール31上に担持されたトナーの層厚を所定の厚さに規制する規制部材34と、トナーを搬送する搬送部材33_2とが備えられている。
【0041】
また、クリーニング装置14Kには、感光体11Kの表面に残留した残留トナー等の残留物を掻き落とすブラシ部材41と、感光体11Yの表面に残留する残留物をその表面に先端を圧接させて掻き取るクリーニング装置42と、残留物を外部に搬送する搬送部材43とが備えられている。
【0042】
図3は、図2に示すスコロトロン帯電器を側面から見た断面図、図4は、図2に示すスコロトロン帯電器を正面から見た断面図である。
【0043】
図3、図4に示すスコロトロン帯電器12Kには、前述した放電ワイヤ120およびグリッド電極122と、清掃装置130が備えられている。清掃装置130には、グリッド電極122を清掃するグリッド清掃部140と、放電ワイヤ120を清掃するワイヤ清掃部150が備えられている。これらグリッド清掃部140およびワイヤ清掃部150は、図4に示すコ字状のシールド部材160内に配備されており、図3に示す矢印Z1方向および矢印Z2方向の双方の方向に往復移動する。尚、ワイヤ清掃部150には、後述する第1,第2の清掃部材が備えられている。
【0044】
グリッド清掃部140には、クリーニングブラシ141と、帯電器クリーナーハウジング142が備えられている。クリーニングブラシ141は、基台141aと、基台141aに植設されたブラシ毛141bを有する。
【0045】
図5は、図3に示すワイヤ清掃部を構成する第1の清掃部材を拡大して示す斜視図、図6は、図5に示す第1の清掃部材の断面図である。
【0046】
尚、ここでは、ワイヤ清掃部150を構成する第1の清掃部材151の構造について説明するが、第2の清掃部材152の構造についても、この第1の清掃部材151の構造と同じである。
【0047】
図5,図6に示す第1の清掃部材151は、放電ワイヤ120に押し当てられその放電ワイヤ120が張られた方向に移動してその放電ワイヤ120を清掃する清掃部材である。
【0048】
この第1の清掃部材151は、放電ワイヤ120を受け入れて、その放電ワイヤ120の一部が、その放電ワイヤ120が張られた方向と第1の清掃部材151の押当て方向との双方に対し交わる方向に交差する溝151aを有する。詳細には、この溝151aは、放電ワイヤ120が張られた方向に対し斜めに延びる溝である。さらに、詳細には、この溝151aは、図5に示すように、放電ワイヤ120の一部分120aが、放電ワイヤ120が張られた方向と第1の清掃部材151の押当て方向との双方に対し交わる方向に交差する溝である。この溝151aは、この溝151aの元となる溝が設けられた基台にウレタン樹脂を含む不織布を貼り付け、さらにその不織布に研磨剤を接着剤で接着して形成された溝である。接着剤としては、例えばエポキシ樹脂が用いられる。また、研磨剤としては、例えばホワイトアルミナが用いられる。尚、上記基台に紙ヤスリを貼り付けて、このような溝151aを形成してもよい。
【0049】
この溝151aで、放電ワイヤ120が、放電ワイヤ120が張られた方向と第1の清掃部材151の押当て方向との双方に対し交わる方向に交差して、放電ワイヤ120に付着した放電生成物等を清掃する。
【0050】
図7は、第1,第2の清掃部材の溝に放電ワイヤを受け入れて放電ワイヤが張られた方向に移動する様子を示す側面図、図8は、第1,第2の清掃部材の溝に放電ワイヤを受け入れて放電ワイヤが張られた方向に移動する様子を示す上面図である。
【0051】
第1,第2の清掃部材151,152は、放電ワイヤ120が張られた方向について互いに異なる位置(図7では左右の位置、図8では上下の位置)において互いに逆向きの方向(図7では上下方向、図8では紙面の垂直な軸に対する上下方向)から放電ワイヤ120に押し当てられている。これら第1,第2の清掃部材151,152は、放電ワイヤ120を受け入れる溝151a,152aを有する。これらの溝151a,152aは、第1,第2の清掃部材151,152を通じて、放電ワイヤ120の各一部を、放電ワイヤ120が張られた方向と第1,第2の清掃部材151,152の押当て方向との双方に対し交わる方向であって、かつ互いに逆向きに交差させる溝である。本実施形態では、このような溝151a,152aで、放電ワイヤ120に付着した放電生成物等を清掃する。
【0052】
図9は、第1の清掃部材の溝に放電ワイヤが受け入れられる前の状態を示す図である。
【0053】
第1の清掃部材151の溝151aは、放電ワイヤ120を溝151a内に受け入れる開口である。また、この開口は、図9に示すように、溝151aによる作用を受けない状態の放電ワイヤ120を押当て方向(図9の垂直方向)に第1の清掃部材151上に投影したときに、溝151aによる作用を受けない状態の放電ワイヤ120を溝151aの全長に亘って開口の内側に包含する開口である。また、この溝151aは、放電ワイヤ120が張られた方向と第1の清掃部材151の押当て方向との双方に対し交わる方向に、放電ワイヤ120の外径以上交差する溝である。換言すれば、この溝151aによって放電ワイヤ120を、第1の清掃部材151が放電ワイヤ120から離れているときに比べて、放電ワイヤ120の外径以上偏倚させるということを意味する。また、第2の清掃部材152の溝152aも、この溝151aと同様に、放電ワイヤ120を溝152aの全長に亘って開口の内側に包含する開口であって、且つ放電ワイヤ120の外径以上交差する溝となっている。
【0054】
図10は、図3に示すスコロトロン帯電器を構成する清掃装置が放電ワイヤの一端から他端までを往復移動する様子を示す図、図11は、スコロトロン帯電器全体の斜視図である。
【0055】
図10および図11には、グリッド電極122が示されている。このグリッド電極122は、両端に設けられた金属プレート部分122_1と、多数の貫通孔が形成された開口部分122_2を有する。開口部分122_2は、寸法Aを有する。また、グリッド電極122の、図10に示す上部には、放電ワイヤ120と、クリーナシャフト161が示されている。尚、感光体Kは、グリッド電極122の開口部分122_2の下部に配備される。さらに、図10には清掃装置130が示されており、この図10には清掃装置130を構成するワイヤ清掃部150が示されている。また、図11には清掃装置130を構成するグリッド清掃部140の一部が示されている。清掃装置130は、クリーナシャフト161に取り付けられており、シールド部材160で覆われている。
【0056】
クリーナシャフト161は、正逆方向に自在に回転するモータ170からの駆動力を受けて回転する。すると、清掃装置130が、放電ワイヤ120の一端から他端までの間を規定されたタイミングで往復移動することにより、清掃装置130を構成するワイヤ清掃部150で放電ワイヤ120に付着した放電生成物等を清掃する。
【0057】
図12は、スコロトロン帯電器を構成する清掃装置がホームポジションにある状態を示す図である。
【0058】
図12(a)には、ホームポジションにある状態の清掃装置130を正面から見た図が示されている。図12(a)に示す清掃装置130には、グリッド電極122を清掃する、クリーニングブラシ141および帯電器クリーナーハウジング142を備えたグリッド清掃部140と、放電ワイヤを清掃するワイヤ清掃部150が備えられている。グリッド清掃部140およびワイヤ清掃部150は、クリーナシャフト161からの駆動力を受けて往復移動する移動部材162で連結されている。
【0059】
先ず、グリッド清掃部140について説明する。図12(b)には、ホームポジションにある状態の清掃装置130の斜視図が示されている。この図12(b)に示すように、ホームポジションにある状態では、クリーニングブラシ141は、グリッド電極122の端部に設けられた金属プレート部分122_1上に位置している。図12(c)には、ホームポジションの状態にあるクリーニングブラシ141がグリッド電極122に接触されていない状態が示されている。図12(c)に示すように、ホームポジションにある状態では、クリーニングブラシ141をグリッド電極122側に押圧する押圧部材163は、この図の上方に押し上げられており、このためクリーニングブラシ141はグリッド電極122に接触しない状態にある。さらに、グリッド清掃部140について説明を続ける。
【0060】
図13は、クリーニング状態にある清掃装置を示す図である。
【0061】
クリーニング状態では、図13(a)に示すように、グリッド電極122がグリッド清掃部140で抱え込まれて、図13(b)に示すように、グリッド電極122の開口部分122_2を移動する。ここで、図13(c)に示すように、クリーニングブラシ141は押圧部材163でグリッド電極122側に押圧された状態にある。従って、クリーニングブラシ141はグリッド電極122に接触した状態にあり、このような状態でクリーニングブラシ141がグリッド電極122の開口部分122_2を移動して、グリッド電極122に付着した放電生成物等を清掃する。次に、ワイヤ清掃部150について説明する。
【0062】
図14は、清掃装置を構成するワイヤ清掃部がホームポジションにある状態を示す斜視図である。また、図15は、図14に示すワイヤ清掃部を正面から見た図である。さらに、図16は、図14に示すワイヤ清掃部を上から見た図である。
【0063】
図14,図15には、ワイヤ清掃部150を構成する第1の清掃部材151と第2の清掃部材152が示されている。第1の清掃部材151は、前述したように、放電ワイヤ120を受け入れて、その放電ワイヤ120の一部を、その放電ワイヤ120が張られた方向と第1の清掃部材151の押当て方向との双方に対し交わる方向に交差させる溝151aを有する。また、第2の清掃部材152も、第1の清掃部材151の溝151aと同様の溝152aを有する。
【0064】
ワイヤ清掃部150がホームポジションにある状態では、第1,第2の清掃部材151,152の溝151a,152aには放電ワイヤ120は受け入れられておらず、図16に示すように、溝151aは、放電ワイヤ120を溝151aの全長に亘って開口の内側に包含する開口となっている。尚、溝152aも、この溝151aと同様の開口となっている。
【0065】
図17は、清掃状態にあるワイヤ清掃部の斜視図である。
【0066】
清掃状態では、第1,第2の清掃部材151,152の溝151a,152aに放電ワイヤ120が受け入れられており、第1,第2の清掃部材151,152は放電ワイヤ120が張られた方向に移動する。ここで、放電ワイヤ120は、放電ワイヤ120が張られた方向と第1,第2の清掃部材151,152の押当て方向との双方に対し交わる方向であって、かつ互いに逆向きに交差する溝151a,152aに接触した状態にある。このような状態で放電ワイヤ120が溝151a,152aを移動して、放電ワイヤ120に付着した放電生成物等を清掃する。
【0067】
図18は、第1の清掃部材が有する溝の、放電ワイヤの出口位置と入口位置の差の寸法と、その溝の長手方向の寸法とを示す図である。
【0068】
図18には、第1の清掃部材151が有する溝151aに放電ワイヤ120が受け入れられた状態が示されている。また、第1の清掃部材151は、図18の矢印A方向に移動するものとする。
【0069】
ここで、第1の清掃部材151が有する溝151aの、入口151a1の中心位置から出口151a2の中心位置までの寸法をXμmとする。また、溝151aの長手方向の寸法をYmmとする。これらX,Yの比率は、X/Y=0.005以上であることが好ましい。
【0070】
図19は、第1の清掃部材が有する溝の、放電ワイヤの出口位置と入口位置の寸法差と、クリーニング性能との関係を示すグラフである。
【0071】
図19の横軸は、溝151aの、放電ワイヤ120の出口位置と入口位置との寸法の差を示す。また、縦軸は、放電ワイヤ120のクリーニング性能を示す。図19から明らかなように、溝151aの、放電ワイヤ120の出口位置と入口位置との寸法差が大きくなるに従って、放電ワイヤ120のクリーニング性能が高いことがわかる。尚、図18,図19では、第1の清掃部材151の例で説明したが、第2の清掃部材152も、第1の清掃部材151と同様である。
【0072】
図20は、第1,第2の清掃部材とは異なる第3の清掃部材を示す図である。
【0073】
図20(a)には、第3の清掃部材251の上面図が示されている。また、図20(b)には、第3の清掃部材152の断面図が示されている。
【0074】
図20(a)に示すように、第3の清掃部材251の溝251aは、第1の部分251a1と、第2の部分251a2と、第3の部分251a3とを有する。第1の部分251a1は、放電ワイヤ120の第1の部分120a1を、放電ワイヤ120が張られた方向と同じ方向に受け入れる部分である。また、第2の部分251a2は、放電ワイヤ120の第2の部分120a2を、放電ワイヤ120が張られた方向に対し斜め方向(図20の左側から右側にかけて斜めに延びる方向)に受け入れる部分である。さらに、第3の部分251a3は、放電ワイヤ120の第3の部分120a3を、放電ワイヤ120が張られた方向と同じ方向に受け入れる部分である。このような溝251aを有する第3の清掃部材251で放電ワイヤ120に付着した放電生成物等を清掃してもよい。
【0075】
図21は、第1,第2,第3の清掃部材とは異なる第4の清掃部材を示す図である。
【0076】
図21に示すように、第4の清掃部材351の溝351aは、第1の部分351a1と、第2の部分351a2と、第3の部分351a3とを有する。第1の部分351a1は、放電ワイヤ120の第1の部分120a1を、放電ワイヤ120が張られた方向に対し第1の斜め方向(図21の右側から左側にかけて斜めに延びる方向)に受け入れる部分である。また、第2の部分351a2は、放電ワイヤ120の第2の部分120a2を、放電ワイヤ120が張られた方向に対し第2の斜め方向(図21の左側から右側にかけて斜めに延びる方向)に受け入れる部分である。さらに、第3の部分351a3は、放電ワイヤ120の第3の部分120a3を、放電ワイヤ120が張られた方向に対し上記第1の斜め方向に受け入れる部分である。
【0077】
このように溝351aは、放電ワイヤ120の各一部を、放電ワイヤ120が張られた方向と第4の清掃部材351の押当て方向との双方に対し交わる方向であって互いに逆向きに交差する溝である。このような溝351aを有する第4の清掃部材351で放電ワイヤ120に付着した放電生成物等を清掃してもよい。
【0078】
尚、本実施形態では、本発明にいう帯電器として、スコロトロン帯電器の例を挙げて説明したが、本発明にいう帯電器は、コロトロン帯電器や転写器、あるいは除電器であってもよい。
【0079】
また、本実施形態では、本発明にいう画像形成装置としてプリンタを例に挙げて説明したが、複写機はもとより、電子写真方式の機器などに用いられる画像形成装置であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示す黒色トナーに対応した感光体とその周辺の装置を拡大して示す図である。
【図3】図2に示すスコロトロン帯電器を側面から見た断面図である。
【図4】図2に示すスコロトロン帯電器を正面から見た断面図である。
【図5】図3に示すワイヤ清掃部を構成する第1の清掃部材を拡大して示す斜視図である。
【図6】図5に示す第1の清掃部材の断面図である。
【図7】第1,第2の清掃部材の溝に放電ワイヤを受け入れて放電ワイヤが張られた方向に移動する様子を示す側面図である。
【図8】第1,第2の清掃部材の溝に放電ワイヤを受け入れて放電ワイヤが張られた方向に移動する様子を示す上面図である。
【図9】第1の清掃部材の溝に放電ワイヤが受け入れられる前の状態を示す図である。
【図10】図3に示すスコロトロン帯電器を構成する清掃装置が放電ワイヤの一端から他端までを往復移動する様子を示す図である。
【図11】スコロトロン帯電器全体の斜視図である。
【図12】スコロトロン帯電器を構成する清掃装置がホームポジションにある状態を示す図である。
【図13】クリーニング状態にある清掃装置を示す図である。
【図14】清掃装置を構成するワイヤ清掃部がホームポジションにある状態を示す斜視図である。
【図15】図14に示すワイヤ清掃部を正面から見た図である。
【図16】図14に示すワイヤ清掃部を上から見た図である。
【図17】清掃状態にあるワイヤ清掃部の斜視図である。
【図18】第1の清掃部材が有する溝の、放電ワイヤの出口位置と入口位置の差の寸法と、その溝の長手方向の寸法とを示す図である。
【図19】第1の清掃部材が有する溝の、放電ワイヤの出口位置と入口位置の寸法差と、クリーニング性能との関係を示すグラフである。
【図20】第1,第2の清掃部材とは異なる第3の清掃部材を示す図である。
【図21】第1,第2,第3の清掃部材とは異なる第4の清掃部材を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
10K 除電器
11Y,11M,11C,11K 感光体
12Y,12M,12C 帯電ロール
12K スコロトロン帯電器
13Y,13M,13C,13K 現像器
14Y,14M,14C,14K クリーニング装置
20 中間転写ベルト
21Y,21M,21C,21K 一次転写ロール
22 駆動ロール
23 テンションロール
24,25,26 従動ロール
27 バックアップロール
28 二次転写ロール
29 クリーニング装置
31 現像ロール
33_1,33_2,43 搬送部材
34 規制部材
41 ブラシ部材
42 クリーニング装置
50 定着器
51 定着ロール
52 圧力ロール
53 用紙収容部
54 用紙搬送部
120 放電ワイヤ
120a,120a1,120a2,120a3 放電ワイヤの部分
122 グリッド電極
122_1 金属プレート部分
122_2 開口部分
130 清掃装置
140 グリッド清掃部
141a 基台
141b ブラシ毛
141 クリーニングブラシ
142 帯電器クリーナーハウジング
150 ワイヤ清掃部
151 第1の清掃部材
151a,152a,251a,351a 溝
151a1 入口
151a2 出口
152 第2の清掃部材
160 シールド部材
161 クリーナシャフト
162 移動部材
163 押圧部材
170 モータ
251 第3の清掃部材
251a1,251a2,251a3,351a1,351a2,351a3 溝の部分
351 第4の清掃部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被帯電部材を帯電する帯電ワイヤと、
前記帯電ワイヤに押し当てられた状態で移動し、該帯電ワイヤを清掃する清掃部材と、
前記清掃部材に設けられ、前記清掃部材が前記帯電ワイヤを清掃する時に前記帯電ワイヤに接触し、且つ、前記帯電ワイヤが張られた方向と該清掃部材を押し当てた方向との双方に対して交差する溝を有することを特徴とする帯電器。
【請求項2】
表面が移動する被帯電部材を帯電する帯電ワイヤと、
前記帯電ワイヤに押し当てられた状態で移動し、該帯電ワイヤを清掃する清掃部材と、
前記清掃部材に設けられ、前記清掃部材が前記帯電ワイヤを清掃する時に前記帯電ワイヤに接触し、且つ、前記帯電ワイヤを該帯電ワイヤが張られた方向と前記清掃部材を押し当てた方向との双方に対して傾斜させる溝を有することを特徴とする帯電器。
【請求項3】
前記溝は、該帯電ワイヤが張られた方向と前記清掃部材の押当て方向との双方に対し交わる方向であって互いに逆向きに交差する溝であることを特徴とする請求項1又は2記載の帯電器。
【請求項4】
前記帯電ワイヤが張られた方向について互いに異なる位置において互いに逆向きの方向から該帯電ワイヤに押し当てられる複数の清掃部材を有し、
該複数の清掃部材それぞれが前記帯電ワイヤを受け入れる溝を有し、該溝が、該複数の清掃部材を通じて、該帯電ワイヤが張られた方向と該清掃部材の押当て方向との双方に対し交わる方向であって、かつ互いに逆向きに交差する溝であることを特徴とする請求項1又は2記載の帯電器。
【請求項5】
前記溝が、該帯電ワイヤが張られた方向と該清掃部材の押当て方向との双方に対し交わる方向に、該帯電ワイヤの外径以上交差する溝であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の帯電器。
【請求項6】
前記溝が、該帯電ワイヤを該溝内に受け入れる開口であって、該溝による作用を受けない状態の前記帯電ワイヤを前記押当て方向に前記清掃部材上に投影したときに該溝による作用を受けない状態の前記帯電ワイヤを該溝の全長に亘って該開口の内側に包含する開口を有することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載の帯電器。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか1項記載の帯電器を備え、該帯電器を用いた帯電プロセスを含んで用紙上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−175726(P2010−175726A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16898(P2009−16898)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】