説明

帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】コンパクトに安価に形成でき、被帯電体と制御電極との距離が短く設定される場合でも、該距離を変更することなく安全に効率よく制御電極を清掃できる帯電装置を提供する。全体をコンパクトで安価に形成できるとともに、求められるプロセスを安定的に実施できるプロセスカートリッジ、良好な画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】シールドケース22、ケース22内の放電電極21、ケース22の放電用開口部220の制御電極23及び制御電極23の清掃装置200を有する帯電装置。掃装置200は、ケース22内に配置され、退避位置P1と清掃域Psとの間を移動可能の清掃部材201と、部材201を間にして電極23とは反対側に位置して部材201とともに移動可能であるとともに、清掃域Psにおいて、制御電極23を清掃部材201へ磁力を利用して引き寄せ接触させるための磁性部材mgを含んでいる。帯電装置2を備えたプロセスカートリッジYC等。帯電装置2を備えた画像形成装置PR1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式の画像形成装置において感光体のような静電潜像担持体などを帯電させるために用いることができる帯電装置に関する。本発明は、また、静電潜像担持体とそれを帯電させる帯電装置を備え、画像形成装置本体に対し着脱できる、画像形成のためのプロセスカートリッジにも関係しており、画像形成装置にも関係している。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真方式の画像形成装置において感光体のような静電潜像担持体などを帯電させるために用いることができる帯電装置の代表的なものとして、コロナ帯電方式の帯電装置を挙げることができる。
【0003】
コロナ帯電方式の帯電装置は、例えば多数の開口を設けたグリッド電極板のごとき制御電極を備えているか否かで、コロトロン方式(制御電極を有しない方式)のものと、スコロトロン方式(制御電極を用いる方式)のものに大別される。
【0004】
スコロトロン方式の帯電装置は、概ね、放電用開口部を有するシールド電極ケース、該シールド電極ケース内に配置された放電電極(ワイヤ電極や、鋸歯状に放電端を連ねた鋸歯状電極など)及び該放電電極に臨み、該シールド電極ケースの放電用開口部に張設された制御電極を有している。コロトロン方式の帯電装置は、概ね、該スコロトロン方式の帯電装置から制御電極を除いたものである。
【0005】
スコロトロン方式の帯電装置では、定電位に設定される制御電極により放電電極からの放電で生じたコロナイオンの被帯電体(例えば感光体)への流入量をほぼ一定に制御できるので、何らかの原因により放電電極への印加電圧の変動が生じても、被帯電体への帯電電位の変動を抑えることができ、制御電極を備えないコロトロン方式の帯電装置と比べると、被帯電体の帯電むらを抑えることができるという利点がある。
従って、電子写真方式の画像形成装置において感光体のような静電潜像担持体などを帯電させるにあたっては、スコロトロン方式の帯電装置が広く採用されている。
【0006】
コロトロン方式、スコロトロン方式のいずれの方式の帯電装置においても、放電電極からの放電に伴って、オゾン、窒素酸化物等が発生するが、特にスコロトロン方式の帯電装置では、それらにより制御電極が次第に汚染される。特にオゾンは制御電極材料の酸化物を発生させる。
【0007】
また、電子写真方式の画像形成装置では、記録媒体粉等の埃や、静電潜像現像工程、トナー像を中間転写体や記録媒体へ転写する転写工程等において飛散したトナーなどが僅かではあるが浮遊していることが多く、それらが、画像形成装置に搭載されている帯電装置の放電電極や、制御電極に付着し、画像形成装置の使用において徐々に堆積していく。
【0008】
スコロトロン方式の帯電装置においては、放電電極に対向する制御電極に酸化物等の放電生成物や埃、飛散トナー等の異物が付着堆積して汚染されると、例えば、該帯電装置が感光体の帯電装置である場合、制御電極によるコロナイオンの感光体への流入量の制御が不安定となり、感光体表面に帯電むらが発生してしまう。
【0009】
例えば、放電電極からの放電により発生するオゾンは制御電極に該電極材料の酸化物を発生させ、かかる酸化物は微少ながら放電電極からの電荷を保持し続けることで、制御電極において規制している以上の電荷を感光体へ与えてしまう。そのため、感光体表面の帯電むらが発生し、ひいては、該帯電むらのために、最終画像に画像濃度むらや、現像剤の部分的過剰供給などによる黒筋ノイズが現れる。
【0010】
また、前記埃や飛散トナー等の粉塵で制御電極が汚染されると、その汚染部分からは電荷を十分に感光体へ与えることができなくなり、その部分に対応する感光体表面電位が上がらなくなって帯電むらが発生し、ひいては、該帯電むらのために、最終画像に所謂地肌かぶり等の画像ノイズが現れる。
【0011】
そこで、これら放電の障害を抑制するためには、放電障害の原因となる前記酸化物等の放電生成物や埃、飛散トナー等の異物による汚れを清掃装置で除去することが行われている。
【0012】
かかる清掃装置としては、清掃部材を制御電極に押圧し、長手方向に移動させることで、制御電極に付着した放電生成物や汚れを摺擦除去するものが一般的である。かかる清掃部材としては、例えば、モケット材など植毛部材が用いられる。
【0013】
ところが、制御電極を備えた帯電装置で被帯電体を帯電させる場合、制御電極と被帯電体との距離は非常に短く設定されることが多い。例えば被帯電体が感光体であると、一般的には、該感光体と制御電極との距離は1mm程度に設定され、非常に短い。それ故、清掃部材や制御電極を被帯電体に接触させることなく制御電極を摺擦清掃することは難しい。
【0014】
この点、特開平4−42248号公報には、感光体帯電用の帯電装置の制御電極の清掃にあたり、帯電装置を一旦感光体から遠ざけ、制御電極と感光体との間隔が広がった状態で、該制御電極を清掃する清掃装置が記載されている。
【0015】
特開平8−62950号公報には、制御電極の清掃にあたり、制御電極の張力を緩め、清掃部材を感光体から遠ざかる方向に該制御電極へ押圧しながら該制御電極を摺擦する清掃装置が記載されている。
【0016】
【特許文献1】特開平4−42248号公報
【特許文献2】特開平8−62950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特開平4−42248号公報に記載された清掃装置によると、制御電極の清掃にあたって清掃部材を配置するスペースを得るために帯電装置を被帯電体から遠ざけなければならず、そのための機構が必要となり、帯電装置を被帯電体から遠ざけるためのスペースや、非清掃時における清掃部材のための退避スペースも必要となる。
【0018】
特開平8−62950号公報に記載の清掃装置によると、制御電極の清掃にあたって制御電極の張力を一旦緩めるとともに、張力が減じられた該制御電極に、清掃部材を被帯電体から遠ざかるように押圧する機構が必要となり、非清掃時における清掃部材のための退避スペースも必要となる。
【0019】
従って、特開平4−42248号公報や特開平8−62950号公報に記載された清掃装置は、前記機構を設けるために構成部品が多くなったり、機構構成が大がかりとなったりして、それだけ高価につき、また、前記スペースを確保しなければならないので、帯電装置設置スペースが大きくなってしまう。
【0020】
特開平8−62950号公報に記載された清掃装置は、清掃部材を制御電極の被帯電体に向けられる面に押圧するものであるところ、被帯電体の帯電むらを発生させやすい酸化物等の放電生成物は、制御電極の放電電極に向けられた面に堆積しやすく、この面の放電生成物を十分摺擦除去し難い。
【0021】
そこで本発明は、放電用開口部を有するシールド電極ケース、該シールド電極ケース内に配置された放電電極、該放電電極に臨み、該シールド電極ケースの放電用開口部に設けられた制御電極及び該制御電極の清掃装置を有する帯電装置であって、該清掃装置を備えている割りにはコンパクトに安価に形成でき、しかも、被帯電体と制御電極との距離が短く設定される場合でも、該距離を変更することなく安全に効率よく制御電極を清掃できる帯電装置を提供することを第1の課題とする。
【0022】
また、本発明は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置のための、該画像形成装置本体に対し着脱可能のプロセスカートリッジにして、該静電潜像担持体及び該静電潜像担持体表面を前記静電潜像形成に先立って帯電させる帯電装置を備えたプロセスカートリッジであって、帯電装置部分をコンパクトで安価なものとして、それだけ全体をコンパクトで安価に形成できるとともに、プロセスカートリッジに求められる画像形成のためのプロセスを長期にわたり安定的に実施できるプロセスカートリッジを提供することを第2の課題とする。
【0023】
本発明は、さらに、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置であって、長期にわたり、良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は第1の課題を解決するため、
放電用開口部を有するシールド電極ケースと、該シールド電極ケース内に配置された放電電極と、該放電電極に臨み、該シールド電極ケースの開口部に張設された制御電極と、該制御電極の清掃装置とを備えた帯電装置であり、該清掃装置は、該シールド電極ケース内に配置され、該制御電極の清掃を行わない退避位置と該制御電極を摺擦清掃するための清掃域との間を該制御電極に沿って移動可能の清掃部材と、該清掃域において該清掃部材と該制御電極とを接触させるための接触駆動装置とを備えており、該接触駆動装置は、該清掃部材を間にして前記制御電極とは反対側に位置して該清掃部材とともに移動可能であるとともに該制御電極を該清掃部材へ磁力を利用して引き寄せ接触させるための磁性部材を含んでいる帯電装置を提供する。
【0025】
本発明に係る帯電装置によると、清掃部材を清掃域において制御電極に沿って移動させるとともに接触駆動装置により磁力を利用して制御電極を清掃部材へ引き寄せ接触させることで、制御電極(主として、その放電電極に向けられた面)を摺擦して制御電極を清掃できる。
【0026】
制御電極の清掃にあたっては、シールド電極ケース内に配置された清掃部材へ制御電極が磁力を利用して引き寄せ接触せしめられるので、制御電極と被帯電体との距離が短く設定される場合でも、清掃部材や制御電極が被帯電体に接触することなく、それだけ安全に制御電極を清掃できる。
【0027】
制御電極の清掃にあたっては、制御電極が磁力を利用して清掃部材へ引き寄せ接触せしめられた状態で該制御電極を清掃部材で摺擦できるので、また、帯電むら発生の原因となりやすい放電生成物が堆積しやすい制御電極面(放電電極に向けられた面)を清掃部材で摺擦するので、それだけ効率よく制御電極を清掃できる。
【0028】
清掃装置は、シールド電極ケース内に配置され、退避位置と制御電極を摺擦清掃するための清掃域との間を移動可能の清掃部材と、該清掃部材を間にして前記制御電極とは反対側に位置して該清掃部材とともに移動可能の磁性部材を含む接触駆動装置とを備えた構造のものであるから、それだけコンパクトに安価に形成でき、帯電装置全体としても、制御電極の清掃装置を有している割りには、コンパクトに安価に形成できる。
【0029】
本発明に係る帯電装置において、前記放電電極としては、タングステン等からなる放電用ワイヤからなるもの、鋸歯状放電針や放電ピンを所定間隔で連ねて形成したもの等を例示できる。
制御電極としては、導電性板に多数のスリットを形成したもの、導電性ワイヤを網目状等に組み合わせたもの等、種々のタイプのものを採用できるが、いずれにしても多数の開口を有するものであり、清掃部材を接触させて摺擦清掃するうえで、全体として板状のものが望ましい。
【0030】
前記清掃部材は少なくとも一部に磁性材(例えば磁性粒子)を含んでいてもよい。この場合、該清掃部材の該磁性材を含んだ部分により前記接触駆動装置の磁性部材を提供することができる。
【0031】
前記接触駆動装置の磁性部材としては、磁石である場合を代表例として挙げることができる。この場合、制御電極は磁石に吸着され得る磁性材料から形成することができる。また、この場合、接触駆動装置は、前記清掃域では該磁石の磁力により制御電極を清掃部材に引き寄せ接触させる。
【0032】
なお、支障がなければ、制御電極を磁石体とし、前記磁性部材を磁石に吸着され得る部材として、磁石体である制御電極を、清掃域において清掃部材と共にある該磁性部材の方へ近づけさせることで、該制御電極を清掃部材へ引き寄せ接触させてもよい。
【0033】
前記制御電極は制御電極張設装置により前記シールド電極ケース開口部に張設することができる。その場合、該制御電極張設装置は、前記清掃部材による前記制御電極の摺擦清掃において、該制御電極の張力を低減できるものとしてもよい。
このように清掃部材による制御電極の摺擦清掃におい制御電極の張力を低減することで、制御電極は清掃部材へより円滑、確実に引き寄せ接触されやすくなる。
【0034】
本発明に係る帯電装置は、前記清掃部材が前記清掃域から前記退避位置へ戻されるとき、該清掃部材を該退避位置へ案内するガイド装置を有していてもよい。
清掃部材の退避位置は、帯電装置による被帯電体の帯電に支障のない位置、換言すれば、帯電装置による被帯電体の帯電を妨げない位置である。また、磁力により制御電極を清掃部材の方へ引き寄せないための位置、すなわち、制御電極の正規の張設状態を保てる位置でもある。従って、前記接触駆動装置の磁性部材が永久磁石であるとき、かかるガイド装置を備えていることが望ましい。
【0035】
本発明に係る帯電装置は、前記清掃部材による前記制御電極の摺擦清掃において、該清掃部材により前記制御電極から除去される異物(放電生成物、埃、飛散トナー等)を捕集するための捕集機構を有していてもよい。該捕集機構は、除去された異物を帯電装置外へ排出或いは回収する手段を含んでいてもよい。
本発明に係る帯電装置における前記清掃装置は放電電極を摺擦清掃する清掃部材を有していてもよい。
【0036】
また、本発明は前記第2の課題を解決するため、
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置のための、該画像形成装置本体に着脱可能のプロセスカートリッジであって、該静電潜像担持体及び該静電潜像担持体表面を前記静電潜像形成に先立って帯電させる帯電装置を備え、該帯電装置として本発明に係る帯電装置を備えたプロセスカートリッジを提供する。
【0037】
本発明に係るプロセスカートリッジは、それに搭載された、静電潜像担持体表面を静電潜像形成に先立って帯電させる帯電装置が本発明に係る帯電装置であるから、該帯電装置部分をコンパクトで安価なものとして、それだけプロセスカートリッジ全体をコンパクトで安価に形成できるとともに、該静電潜像担持体と該帯電装置の制御電極との距離が短く設定される場合でも、該帯電装置における清掃装置は制御電極を安全に効率よく清掃でき、それだけプロセスカートリッジに求められる画像形成のためのプロセスを長期にわたり安定的に実施できる。
【0038】
本発明に係るプロセスカートリッジは、静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像とする現像装置やトナー像転写後静電潜像担持体上に残留するトナー等を除去清掃するクリーニング装置なども備えていてもよい。
【0039】
本発明に係るプロセスカートリッジはモノクロ画像形成装置のためのものでもよく、カラー画像形成装置のためのものでもよい。
【0040】
本発明は、前記第3の課題を解決するため、
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置であって、該静電潜像担持体表面を前記静電潜像形成に先立って帯電させる帯電装置を含む1又は2以上の帯電装置を備えており、該帯電装置のうち少なくとも一つは、本発明に係る帯電装置である画像形成装置を提供する。
【0041】
本発明に係る画像形成装置によると、帯電装置のうち少なくとも一つは本発明に係る帯電装置であり、被帯電体と該帯電装置の制御電極との距離が短く設定される場合でも、該距離を変更することなく安全に効率よく制御電極を清掃できるから、画像形成装置全体としてみた場合、それだけ長期にわたり良好な画像を形成できる。
【0042】
本発明に係る画像形成装置はモノクロ画像形成装置でも、カラー画像形成装置でもよい。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係るプロセスカートリッジを採用するものでもよい。
【0043】
本発明に係るプロセスカートリッジを着脱可能の画像形成装置及び本発明に係る画像形成装置は、「静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置」である。
ここで「被転写体」とは、モノクロ画像形成装置では、通常記録紙等の記録媒体であり、記録媒体に転写されたトナー像は記録媒体に定着される。
【0044】
カラー画像形成装置では、該「被転写体」は、一般的には、中間転写ベルト等の中間転写体であり、中間転写体に1次転写されたトナー像は、さらに記録媒体に2次転写され、定着される。
カラー画像形成装置の中には、感光体等の静電潜像担持体上に形成されるトナー像が、荷電された記録媒体支持体上に静電吸着支持された記録媒体に転写される画像形成装置もある。この場合は、「被転写体」は該記録媒体である。
【0045】
本発明に関係する画像形成装置は、複写機、プリンタ、フアクシミリ機、これらの2以上を組み合わせた複合機などの記録機器のほか、画像を形成して表示する表示装置であってもよい。
【発明の効果】
【0046】
以上説明したように本発明によると、放電用開口部を有するシールド電極ケース、該シールド電極ケース内に配置された放電電極、該放電電極に臨み、該シールド電極ケースの放電用開口部に設けられた制御電極及び該制御電極の清掃装置を有する帯電装置であって、該清掃装置を備えている割りにはコンパクトに安価に形成でき、しかも、被帯電体と制御電極との距離が短く設定される場合でも、該距離を変更することなく安全に効率よく制御電極を清掃できる帯電装置を提供することができる。
【0047】
また、本発明によると、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置のための、該画像形成装置本体に対し着脱可能のプロセスカートリッジにして、該静電潜像担持体及び該静電潜像担持体表面を前記静電潜像形成に先立って帯電させる帯電装置を備えたプロセスカートリッジであって、帯電装置部分をコンパクトで安価なものとして、それだけ全体をコンパクトで安価に形成できるとともに、プロセスカートリッジに求められる画像形成のためのプロセスを長期にわたり安定的に実施できるプロセスカートリッジを提供することができる。
【0048】
また、本発明によると、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置であって、長期にわたり、良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る帯電装置を有するプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の1例(タンデム型カラープリンタ)の構成の概略を示す図である。
【0050】
図1に示すカラープリンタPR1は、駆動ローラ31とこれに対向するローラ32に巻き掛けられた無端中間転写ベルト4を有している。転写ベルト4は、図示省略のベルト駆動部で駆動される駆動ローラ31により図中反時計方向(図中矢印方向)に回転させることができる。
【0051】
対向ローラ32上の転写ベルト部分には転写ベルト4上の2次転写残トナー等を清掃するクリーナ9が臨んでいる。駆動ローラ31上の転写ベルト部分には、2次転写ローラ5が臨んでいる。
【0052】
2次転写ローラ5の表層部は弾性材料で形成されており、図示省略の押圧手段にて中間転写ベルト4に押圧され、中間転写ベルト4との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト4の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録媒体Sの移動に従動して回転する。2次転写ローラ5には、図示省略の2次転写バイアス電源装置から2次転写バイアスを印加することができる。
【0053】
2次転写ローラ5の下方には、タイミングローラ対7が配置されており、さらにその下方に、図示省略の、記録紙等の記録媒体を収容した記録媒体収容カセットが配置されている。転写ローラ5の上方には定着装置8が配置されている。
【0054】
定着装置8は本例では図示省略のハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。
図示省略の記録媒体収容カセットに収容された記録媒体Sは、図示省略の媒体供給ローラにて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対7へ供給することができる。
【0055】
中間転写ベルト4を巻き掛けたローラ31、32の間には、転写ベルト4に沿って、ローラ32から31に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0056】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体11を備えており、該感光体の周囲に帯電装置2、画像露光装置13、現像装置14、1次転写ローラ15、感光体上の1次転写残トナーを除去清掃するクリーニング装置16、光除電装置17等がこの順序で配置されている。
【0057】
各画像形成部における感光体11、帯電装置2、現像装置14、クリーニング装置16及び光除電装置17はカートリッジケースに設けられており、該カートリッジケースとともにプロセスカートリッジを形成している。すなわち、イエロー画像形成部Yを形成するためのイエロープロセスカートリッジYC、マゼンタ画像形成部Mを形成するためのマゼンタプロセスカートリッジMC、シアン画像形成部Cを形成するためのシアンプロセスカートリッジCC、ブラック画像形成部Kを形成するためのブラックプロセスカートリッジKCである。
各プロセスカートリッジはプリンタ本体に対し着脱可能である。
【0058】
各画像形成部における帯電装置2は、本発明に係るスコロトロン方式の帯電装置の1例である。帯電装置2については後ほど詳述する。
1又は2以上の画像形成部において、帯電装置2をプロセスカートリッジに対し着脱可能としてもよい。
【0059】
1次転写ローラ15は転写ベルト4を間にして感光体11に対向しており、ベルトの走行に従動回転する。1次転写ローラ15には、感光体11上に形成されるトナー像をベルト4へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の1次転写バイアス電源装置から印加できる。
露光装置13は、図示省略のパーソナルコンピュータ等から提供される画像情報に応じて、レーザービームを用いて感光体11に画像露光を施せるものである。
【0060】
各画像形成部における感光体11は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
各画像形成部における帯電装置2には、図2に示す電源PW1、PW2から所定のタイミングで電圧を印加できる。
【0061】
各画像形成部における現像装置14は、本例では、負帯電性トナーを採用するもので、感光体11上に形成される静電潜像を、図示省略の現像バイアス印加電源装置から現像バイアス電圧が印加される現像ローラ141で反転現像することができる。
【0062】
このプリンタPR1によると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト4に1次転写する。
【0063】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体11が図中時計方向に回転駆動され、帯電装置2にて表面が一様に所定電位に帯電せしめられた感光体11の該帯電域に画像露光装置13からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体11上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置14の現像バイアスが印加された現像ローラ141にて現像されて可視イエロートナー像となり、該トナー像が1次転写ローラ15にて転写ベルト4上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ15には図示省略の電源装置から1次転写バイアス電圧が印加される。
【0064】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト4に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト4に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト4に転写される。
【0065】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト4上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト4上に形成された多重トナー像は転写ベルト4の回動により2次転写ローラ5へ向け移動する。
【0066】
一方、記録媒体Sが図示省略の記録媒体収容カセットから媒体供給ローラにて引き出され、タイミングローラ対7へ供給され、待機している。
【0067】
このようにタイミングローラ対7のところで待機する記録媒体Sは、中間転写ベルト4にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト4と2次転写ローラ5とのニップ部に供給され、図示省略の電源装置から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ5にて該多重トナー像が記録媒体S上に2次転写される。
【0068】
その後記録媒体Sは定着装置8に通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録媒体Sに定着される。記録媒体Sはひき続き、図示省略の排出ローラ対等にて排出トレイに排出される。
各画像形成部において、トナー像の1次転写後感光体11上に残留するトナー等はクリーニング装置16により除去清掃され、残留電荷は光除電装置により消去される。
【0069】
Y、M、C、Kの各画像形成部における帯電装置2は、図2に示すように、感光体11の回転軸線と同方向に延びる、帯状の放電電極21及び該放電電極を3方から囲んで保持し内蔵したシールド電極として機能するケース(シールド電極ケース)22を含んでいる。ケース22は、感光体11に向け、放電用に開口した開口部220を有しており、該開口部に制御電極23が張設されている。
【0070】
放電電極21は、図2に示すように、鋸歯状に放電端を連ねた、全体として帯状のものである。放電電極21は、ホルダ22に設けられた放電電極支持部210に支持されるとともに、一端部211がホルダ22に設けられた引っ掛け部に引っ掛け保持され、他端部212がバネ25を介してレバー26に連結されている。バネ25のレバー26への連結位置はレバー26の回動支点27より下方にある。レバー26は回動支点27を中心に揺動可能にホルダ22に支持されている。
【0071】
制御電極23は、図3に示すように、全体として、放電電極21と同方向に長く延びる長方形状の板状のもので、多数本のスリット開口230が、電極板の短手方向、長手方向のそれぞれにおいて略等間隔で形成されている。
制御電極23は、導電性を有するとともに磁石に吸着されうる磁性材料から形成されている。一般的には、制御電極は磁性を有するステンレススチール等から形成される。本例では、制御電極23は磁性を有するSUS304製のもので、厚さは、それには限定されないが本例では0.1mm程度である。
【0072】
制御電極23の開口230が形成された領域の外側の一端部231には引っ掛け孔231hが形成されており、他端部232にも引っ掛け孔232hが形成されている。
【0073】
制御電極23は、その一端部231及び他端部232のそれぞれがシールドケース22に設けられた一対の高さ位置決め部221、222に当接配置された状態で、一端部231の孔231hが位置決め部221外側に位置する定位置の引っ掛け部241に引っ掛けられるとともに、他端部232の孔232hが位置決め部222の外側に位置する引っ掛け部242に引っ掛けられている。引っ掛け部242は前記レバー26の頂部に形成されている。
【0074】
引っ掛け部241、242は、高さ位置決め部221、222より低い位置にある。より正確に言えば、高さ位置決め部221、222の頂面より低い位置にあり、これにより制御電極板23が感光体11に接触しないようにしてある。
【0075】
制御電極23は、以上の構成により、レバー26とこれを引っ張るバネ25とにより高さ位置決め部221、222間に張設されている。同時に、放電電極21もバネ25により張設されている。
【0076】
また、レバー26に連結されたソレノイド駆動部SOLの通電オンによりレバー26が図2中、右方向に押されることで、放電電極21の張設を維持しつつ、制御電極23の張力を低減することができるようになっている。駆動部SOLをオフすると、制御電極23はもとの張力で張設される。
バネ25、レバー26、ソレノイド駆動部SOL等は制御電極23の張設装置を構成している。
【0077】
図2に示すように、放電電極21には電源装置PW1から放電電圧Vcを、制御電極23には電源装置PW2から制御電圧Vgを、それぞれ感光体11を帯電させるタイミングで印加できるようにしてある。
【0078】
放電電極21に高電圧の放電電圧Vcを印加すると放電現象が発生し、放電電極21の放電エネルギーは、制御電極23によって感光体11との電位差を埋めて制御電極23への印加電圧Vgに感光体11の表面電位が近くなるまで感光体11に流れる。電位Vgまで帯電した感光体11にはそれ以上電流が流れなくなり、他の放電エネルギーは制御電極23やシールド電極22へ流れる。シールド電極22は接地するか、或いは制御電極と同電位とすればよい。
【0079】
帯電装置2は、制御電極23の清掃装置200を備えている。
清掃装置200は、図2及び図4に示すように、シールドケース22内において放電電極21と制御電極23との間に配置された清掃部材201、清掃部材201の放電電極側の面に両面接着テープ等の接着材で接着された永久磁石mgを含んでいる。
図2及び図4(A)は清掃部材201が退避位置P1にある状態を示しており、図4(B)は清掃部材201が制御電極23を摺擦清掃する清掃域Psにある状態を示している。
【0080】
図2及び図4では、清掃装置200を簡略化して示してあるが、詳しくは、図5、図6に示す構造のものである。図5(A)は、清掃部材201が退避位置(ホームポジション)P1にあるときの、帯電装置2の長手方向に延びる中央部の断面で示す清掃装置断面図であり、図5(B)は図5(A)のX−X線に沿う断面図である。図6(A)は、清掃部材201が清掃域Psにあるときの、帯電装置2の長手方向に延びる中央部の断面で示す清掃装置断面図であり、図6(B)は図6(A)のY−Y線に沿う断面図である。
【0081】
清掃部材201は本例ではモケット材からなるものである。
磁石は、一般的には、酸化鉄からなるフエライト磁石が採用され、本例でも永久磁石mgはフエライト磁石であるが、ネオジウム磁石やサマコバ磁石等であってもよい。
なお、例えば、清掃部材201の制御電極23とは反対側の部分に例えば磁石粒子を保持させる等して、清掃部材の該粒子を含んだ部分を磁石mg’として採用してもよい。
図5、図6に示すように、清掃部材201に接着された磁石mgは、さらに、両面接着テープ等の接着材で第1ホルダ202に接着されている。ホルダ202は磁石mgとは反対側に第2ホルダ203を抱え込むスペースを有しており、該スペースに第2ホルダ203の頂部203aが嵌め込まれている。ホルダ頂部203aと該スペースの天井内面との間には復元可能に圧縮できる、クッション材でもある弾性部材204が介在しており、弾性部材204はスペース天井内面と第2ホルダ203の頂部203aとに接着材で接着されている。
【0082】
第2ホルダ203は、その内部スペースに一対の放電電極清掃部材205を保持しており、該清掃部材が放電電極21にその両面から接触している。第2ホルダ203の下面からシールドケース22外へ雌ネジ部材206が突出している。雌ネジ部材206は、ケース22の底壁に形成された、ケース長手方向に延びる長孔223に摺動可能に嵌合され、ケース長手方向に往復動できる。
【0083】
雌ネジ部材206にはケース22外に配置したネジ棒207が螺合しており、ネジ棒207は図示省略の軸受け装置により両端部が回転可能に支持され、正逆運転可能のモータMにて正逆回転駆動できる。
【0084】
かくして、第2ホルダ203、ホルダ203に保持された放電電極清掃部材205、ホルダ203に弾性部材204を介して接着された第1ホルダ202、ホルダ202に支持された磁石mg及び清掃部材201は、モータMの駆動によるネジ棒207の回転により移動することで、放電電極21及び制御電極23の長手方向に沿って往復動できる。このとき放電電極清掃部材205は放電電極21を摺擦清掃できる。
【0085】
シールドケース22の片方の端部(図2、図4、図5(A)において左側の端部)の内側にはガイド装置Gを設けてある。本例ではガイド装置Gはガイド板からなっている。このガイド板Gは、制御電極清掃部材201の退避位置P1、すなわち、放電電極21及び制御電極23を清掃しないときに退避する、感光体11の帯電に支障のない位置P1に臨み、制御電極23の内側の部位に設けられている。
【0086】
以上説明した清掃装置200によると、清掃部材201は、制御電極23を清掃しないときは、図2、図4(A)、図5(A)に示すように、退避位置P1に置かれる。このとき、清掃部材201はガイド板Gが制御電極23と自身との間に介在することで、制御電極23には接触せず、該制御電極から離間している。この状態では、制御電極23は磁石mgの磁力によって清掃部材21の方へ引き寄せられることはなく、制御電極23は正規の張設状態におかれる。
このように清掃部材201がガイド板Gに遮られた退避位置、さらに言えば、ガイド板Gに押されて放電電極21寄りの退避位置P1に位置するとき、前記の第1ホルダ202と第2ホルダ203との間に介在する弾性部材204が圧縮される。
【0087】
電極清掃のタイミングでは、モータMにてネジ棒207を回転させ、雌ネジ部材206を駆動することで、第2ホルダ203、ホルダ203に保持された放電電極清掃部材205、ホルダ203に弾性部材204を介して接着された第1ホルダ202、ホルダ202に支持された磁石mg及び清掃部材201を清掃域Psへ送りだす。
また、電極清掃のタイミングでは、ソレノイド駆動部SOLに通電し、制御電極23に加わる張力を緩める。
【0088】
清掃部材201がガイド板Gから清掃域Psへ出ると、換言すれば、清掃部材201が退避位置P1から清掃域Psの始端部の位置P2(図4参照)に位置すると、第1ホルダ202と第2ホルダ203との間に介在する弾性部材204が第1ホルダ202を、従って該ホルダに支持された清掃部材201を制御電極23の方へ付勢する一方、張力が減じられた制御電極23が磁石mgの磁力で撓んで清掃部材201の方へ引き寄せられ、かくして、制御電極23の放電電極21に向けられた面に清掃部材201が接触するようになる。
【0089】
その状態でさらにネジ棒206を回転させることで、図4(B)及び図6に示すように、制御電極23を磁石mgで清掃部材201へ引き寄せ接触させた状態を維持しつつ、清掃部材201を制御電極23の長手方向に沿って移動させて該清掃部材201で制御電極23を摺擦清掃できる。また、同時に,清掃部材205で放電電極21も摺擦清掃できる。
【0090】
清掃部材201を、例えば、ガイド板Gとは反対側の清掃域Psの終端位置P3(図2参照)まで、制御電極23を摺擦させつつ移動させた後、ネジ棒207を逆転させることで、清掃部材201をガイド板Gの位置まで、制御電極23を摺擦清掃させつつ戻し移動させることができる。これに伴って清掃部材205も放電電極21を摺擦清掃させつつ戻すことができる。
【0091】
このようにして清掃部材201を清掃域Psで、制御電極23の異物汚れに応じて1又は複数回往復動させて該制御電極23を摺擦清掃した後は、清掃部材201を退避位置P1に配置し、次の清掃に備える。清掃部材201を退避位置P1に戻すとき、清掃部材201は、前記弾性部材204の圧縮を伴いつつ、ガイド板Gの傾斜先端部Ge8 図4(A)、図5参照)に乗り上がるようにして退避位置P1に円滑に戻る。
放電電極21や制御電極23から、それらの摺擦により除去された異物は、図示省略の、シールバケース22内から排気する排気装置により帯電装置2外へ排出できる。さらに、適当な回収手段に回収させてもよい。
なお、ソレノイド駆動部SOLをオンして制御電極張力を緩めなくても、制御電極23が清掃部材201へ引き寄せ接触せしめられるのであれば、制御電極張力を緩めなくても構わない。
【0092】
以上説明した清掃装置200は、制御電極23の清掃にあたり、シールド電極ケース22内に配置された清掃部材201へ制御電極23が磁力を利用して引き寄せ接触せしめられるので、制御電極23と感光体11との距離が短く設定される場合でも(一般的には1mm程度)、清掃部材201や制御電極23が感光体11に接触することなく、それだけ安全に制御電極23を清掃できる。
【0093】
制御電極23の清掃にあたっては、制御電極23が磁力を利用して清掃部材201へ引き寄せ接触せしめられた状態で該制御電極が清掃部材201で摺擦されるので、また、帯電むら発生の原因となりやすい放電生成物が堆積しやすい制御電極23の放電電極21に向けられた面が清掃部材201で摺擦されるので、それだけ効率よく制御電極23を清掃できる。
【0094】
清掃装置204は、以上説明したとおりの構造のものであるから、コンパクトに安価に形成でき、帯電装置2全体としても、制御電極23の清掃装置200を有している割りには、コンパクトに安価に形成できる。
【0095】
また、プロセスカートリッジYC、MC、CC、KCのそれぞれは、それに搭載された、感光体11の帯電装置が前記帯電装置2であるから、帯電装置部分をコンパクトで安価なものとして、それだけプロセスカートリッジ全体をコンパクトで安価に形成できるとともに、感光体11と帯電装置2の制御電極23との距離が短く設定される場合でも、帯電装置2における清掃装置200は制御電極23を安全に効率よく清掃できるから、それだけプロセスカートリッジに求められる画像形成のためのプロセスを長期にわたり安定的に実施できる。
【0096】
また、プリンタPR1の各画像形成部の感光体11を帯電させる帯電装置は前記帯電装置2であり、感光体11と該帯電装置の制御電極23との距離が短く設定される場合でも、該距離を変更することなく安全に該帯電装置の制御電極23を清掃できるから、プリンタ全体としてみた場合、それだけ良好な画像を形成できる。
【0097】
以上説明した帯電装置2における清掃装置200はに代えて、図7や図8に示す清掃装置を採用してもよい。
図7の清掃装置200Aは、前記清掃装置200において、永久磁石mgに代えて電磁石mg’を採用したものである。それ以外の点は清掃装置200と同構造である。装置200における部品、部分と同じ部品、部分には装置200と同じ参照符号を付してある。
【0098】
電磁石mg’は、例えば、心金にエナメル線等のコイル線を巻回して形成できる。電磁石mg’を採用すると、それへの通電のオン、オフで磁力の発生、消滅を制御できるので、制御電極23の任意の部分、例えば汚れの大きい部分に対応させて電磁石mg’に通電して、その部分を清掃することも可能となる。また、退避位置P1では電磁石mg’への通電をオフすれば、制御電極23の張力を正規のものとできるので、カイド板Gは必ずしも要しない。
【0099】
図8に示す清掃装置200Bは、清掃装置200において、制御電極23の摺擦清掃において電極から除去される異物(酸化物等の放電生成物等)、或いはさらに放電電極21から除去される異物を、飛散を抑制するために捕集する機構208を設けたものである。装置200における部品、部分と同じ部品、部分には装置200と同じ参照符号を付してある。
【0100】
捕集機構208は、第2ホルダ203の片方の側面から突設され、ケース22の側壁にケース長手方向に沿って形成された長孔224を貫通してケース外に出たアーム208aに皿状の捕集部材208aを保持させたものであり、捕集部材208bは、制御電極23を間にして清掃部材201に対向配置されている。
【0101】
摺擦清掃により電極21や23から除去された異物は、感光体11へ移行させて、前記のクリーニング装置16で除去清掃しても構わない。
【0102】
以上説明したプリンタはカラープリンタであったが、本発明は、モノクロ画像を形成する画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、制御電極を有するスコロトロン方式の帯電装置であって該制御電極の清掃装置を備えた帯電装置、該帯電装置を備えたプロセスカートリッジ及び該帯電装置を備えた画像形成装置を提供することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る帯電装置及びプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置で採用されている帯電装置の概略断面図である。
【図3】図2の帯電装置における制御電極の平面図である。
【図4】制御電極清掃部材の動作を示す説明図であり、図4(A)は、該清掃部材が退避位置にある状態を示しており、図4(B)は該清掃部材が制御電極を摺擦清掃する清掃域にある状態を示している。
【図5】制御電極の清掃装置を示すもので、図5(A)は、清掃部材が退避位置にあるときの、帯電装置の長手方向に延びる中央部の断面で示す清掃装置断面図であり、図5(B)は図5(A)のX−X線に沿う断面図である。
【図6】制御電極の清掃装置を示すもので、図6(A)は、清掃部材が清掃域にあるときの、帯電装置2の長手方向に延びる中央部の断面で示す清掃装置断面図であり、図6(B)は図6(A)のY−Y線に沿う断面図である。
【図7】清掃装置の他の例を示す図である。
【図8】清掃装置のさらに他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
PR1 カラープリンタ
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
YC、MC、CC、KC プロセスカートリッジ
11 感光体
13 画像露光装置
14 現像装置
141 現像ローラ
15 1次転写ローラ
16 クリーニング装置
17 光除電装置
31 駆動ローラ
32 対向ローラ
4 中間転写ベルト
5 2次転写ローラ
7 タイミングローラ対
8 定着装置
9 クリーナ

2 帯電装置
21 放電電極 22 シールド電極ケース 220 ケース22の開口部 23 制御電極
230 制御電極開口
200 清掃装置 201 制御電極の清掃部材 mg 永久磁石
202 第1ホルダ
203 第2ホルダ
203a 第2ホルダ頂部
204 弾性部材
205 放電電極の清掃部材
206 雌ネジ部材
207 ネジ棒
M モータ
223 ケース底壁の長孔
mg’ 電磁石
208 捕集機構
208a アーム
208b 捕集部材
224 ケース側壁の長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電用開口部を有するシールド電極ケースと、該シールド電極ケース内に配置された放電電極と、該放電電極に臨み、該シールド電極ケースの開口部に張設された制御電極と、該制御電極の清掃装置とを備えた帯電装置であり、該清掃装置は、該シールド電極ケース内に配置され、該制御電極の清掃を行わない退避位置と該制御電極を摺擦清掃するための清掃域との間を該制御電極に沿って移動可能の清掃部材と、該清掃域において該清掃部材と該制御電極とを接触させるための接触駆動装置とを備えており、該接触駆動装置は、該清掃部材を間にして前記制御電極とは反対側に位置して該清掃部材とともに移動可能であるとともに該制御電極を該清掃部材へ磁力を利用して引き寄せ接触させるための磁性部材を含んでいることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記清掃部材は少なくとも一部に磁性材を含んでおり、該清掃部材の該磁性材を含んだ部分により前記接触駆動装置の磁性部材が形成されている請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記制御電極は磁石に吸着され得る磁性材料から形成されており、前記接触駆動装置における前記磁性部材は磁石であり、該接触駆動装置は、前記清掃域では該磁石の磁力により該制御電極を該清掃部材に引き寄せ接触させる請求項1又は2記載の帯電装置。
【請求項4】
前記制御電極は制御電極張設装置により前記シールド電極ケース開口部に張設されており、該制御電極張設装置は、前記清掃部材による前記制御電極の摺擦清掃にあたり、該制御電極の張力を低減可能である請求項1、2又は3記載の帯電装置。
【請求項5】
前記清掃部材が前記清掃域から前記退避位置へ戻されるとき、該清掃部材を該退避位置へ案内するガイド装置を有している請求項1から4のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項6】
前記清掃部材による前記制御電極の摺擦清掃において、該清掃部材により前記制御電極から除去される異物を捕集するための捕集機構を有している請求項1から5のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項7】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置のための、該画像形成装置本体に着脱可能のプロセスカートリッジであり、該静電潜像担持体及び該静電潜像担持体表面を前記静電潜像形成に先立って帯電させる帯電装置を備え、該帯電装置として請求項1から6のいずれかに記載の帯電装置を備えたプロセスカートリッジ。
【請求項8】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、該トナー像を被転写体に転写する画像形成装置であり、該静電潜像担持体表面を前記静電潜像形成に先立って帯電させる帯電装置を含む1又は2以上の帯電装置を備えており、該帯電装置のうち少なくとも一つは、請求項1から6のいずれかに記載の帯電装置である画像形成装置。
【請求項9】
請求項7記載のプロセスカートリッジを備えた請求項8記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−206485(P2007−206485A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26666(P2006−26666)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】