帯電装置及び画像形成装置
【課題】リーク電流による帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えつつ、感光体の帯電電位を安定且つ均一に制御する。
【解決手段】帯電ブラシ14から発生させた放電を、グリッド電極12のスリット12aに通して、図示しない感光体に到達させて、感光体を一様帯電せしめる帯電装置において、グリッド電極12における、帯電ブラシ14との対向面である第1面と、図示しない感光体との対向面である第2面とのうち、第1面にを絶縁性材料からなる絶縁層12cで被覆し、第2面を、絶縁層12cの被覆のない、電極層12bの金属材料からなる表面にした。
【解決手段】帯電ブラシ14から発生させた放電を、グリッド電極12のスリット12aに通して、図示しない感光体に到達させて、感光体を一様帯電せしめる帯電装置において、グリッド電極12における、帯電ブラシ14との対向面である第1面と、図示しない感光体との対向面である第2面とのうち、第1面にを絶縁性材料からなる絶縁層12cで被覆し、第2面を、絶縁層12cの被覆のない、電極層12bの金属材料からなる表面にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体等の潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電装置、及びこれを用いる複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の帯電装置として、スコロトロン帯電器が知られている。スコロトロン帯電器は、潜像担持体としてのドラム状の感光体に所定の間隙を介して対向する網目状のグリッド電極と、感光体軸線方向に延在する姿勢でグリッド電極を介して感光体に対向するように張架される放電ワイヤーとを有している。放電ワイヤーには所定のバイアスが印加され、且つ、グリッド電極にはそのバイアスよりも感光体の一様帯電電位に近い値のバイアスが印加される。すると、放電ワイヤーからコロナ放電が発生して、グリッド電極のスリットを経由して感光体表面に至る。このコロナ放電により、回転する感光体の表面が一様に帯電せしめられる。かかる構成のスコロトロン帯電器では、グリッド電極に印加するバイアスを調整することで、感光体の一様帯電電位を精度良く調整することができる。
【0003】
しかしながら、リーク電流の発生により、帯電効率を低下させたり、オゾン発生量を増加させたりし易いという不具合がある。具体的には、放電ワイヤーから放たれた電子は、その全てがグリッド電極のスリットを通過して感光体に到達するわけではない。一部の電子は、スリットを通過することなく、グリッド電極の非スリット部(以下、骨格部という)に流れてアースへとリークする。放電ワイヤーから感光体へのコロナ放電は、感光体がグリッド電極の電位に対応する値になるまで続くので、前述したリーク電流の分だけ余計なコロナ放電が発生することになる。このような余計なコロナ放電の発生が、帯電効率を低下させたり、オゾン発生量を増加させたりするのである。
【0004】
一方、従来、特許文献1に記載されているような、グリッド電極における無垢の電極表面を誘電体からなる絶縁層で被覆した帯電装置が知られている。この帯電装置においては、放電ワイヤーから放たれた電子の一部が、グリッド電極のスリットを通過せずに、グリッド電極の絶縁層に付着するものの、その後すぐに電極層やアースに流れ込まずに、絶縁層に留まっている。このように電子が留まることで、絶縁層は徐々にチャージアップしていく。すると、放電ワイヤーから放たれた殆どの電子が、グリッド電極の絶縁層を避けながらスリットを通過するようになる。このため、リーク電流の発生を効果的に抑えることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−14518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この帯電装置においては、感光体の帯電電位を安定して制御することが困難になったり、感光体に帯電ムラを引き起こし易くなったりするという問題があった。具体的には、スコロトロン帯電器によって一様帯電処理が施される感光体の帯電電位は、グリッド電極における感光体との対向面の電位によって左右される。絶縁層を被覆していないグリッド電極を用いていた従前の帯電装置では、グリッド電極における無垢の電極表面を感光体に対向させており、この無垢の電極表面の電位はグリッド電極に印加されるグリッド電圧とほぼ同じ値で一様に安定している。このため、感光体の帯電電位を安定して制御することができる。また、感光体の表面に対して一様な放電を発生させて感光体を一様に帯電させることができる。これに対し、絶縁層を被覆したグリッド電極を用いる場合には、グリッド電極の無垢の電極表面ではなく、絶縁層を感光体に対向させている。絶縁層の電位は、環境変動に伴う保持電荷量の変化などにより、経時的に変化する。更には、絶縁層の厚みムラに追従する電荷保持量のムラにより、絶縁層の電位には表面方向のバラツキが発生する。これらの結果、感光体の帯電電位を安定して制御することが困難になったり、感光体に帯電ムラを引き起こし易くなったりするのである。
【0007】
なお、本発明者らは、従来のスコロトロン帯電器のようにグリッド電極を設けた構成において、放電電極として、放電ワイヤーの代わりに、複数の導電性繊維の集合からなる帯電ブラシを設けた新規な帯電装置を開発中である。この帯電装置では、複数の導電性繊維のそれぞれ先端から放電を発生させることで、感光体の表面方向における放電量を均一にする。そして、この均一化により、放電ワイヤーを用いていた従来のスコロトロン帯電器よりも低い印加電圧で感光体を所望の値まで帯電させることができる。この開発中の帯電装置においても、グリッド電極を絶縁層で被覆すれば、同様の問題が発生する。
【0008】
本発明は以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リーク電流による帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えつつ、潜像担持体の帯電電位を安定且つ均一に制御することができる帯電装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、放電電極と、該放電電極に対向する複数の貫通口を具備するグリッド電極とを有し、画像形成装置の潜像担持体に対して、該グリッド電極を介して該放電電極を対向させた状態で、該放電電極と該グリッド電極とに互いに異なる値の電圧を印加しながら、該放電電極から該グリッド電極の貫通口を経由して該潜像担持体に至る放電を生じせしめて該潜像担持体の移動する表面を一様に帯電させる帯電装置において、
上記グリッド電極における、上記放電電極との対向面である第1面と、上記潜像担持体との対向面である第2面とのうち、該第1面における少なくとも一部の領域を絶縁性材料からなる絶縁層で被覆し、且つ、該第2面を、絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の帯電装置において、上記潜像担持体に対向する開口と、上記放電電極を収容する空間とを具備する箱状のケーシングを設け、上記グリッド電極として、該開口よりも大きなものを用い、該グリッド電極を該ケーシングにおける開口周囲の箇所に固定し、且つ、上記第1面の全領域のうち、該開口に対向する領域だけに上記絶縁層を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の帯電装置において、上記第1面の少なくとも一部の領域に加えて、複数の上記貫通口のうち、該領域内に存在する貫通口の内壁にも、上記絶縁層を被覆したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、上記第1面の全領域のうち、該放電電極に真正面で対向する領域である放電電極対向領域よりも該移動方向の上流側の領域と下流側の領域とをそれぞれ上記絶縁層で被覆し、且つ、該放電電極対向領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、上記第1面の全領域のうち、該移動方向における上流側の領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にし、且つ、該領域よりも下流側の領域に上記絶縁層を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向である直交方向に延在させる姿勢で設け、上記第1面における該直交方向については、該直交方向の両端部の領域だけにそれぞれ上記絶縁層を設け、且つ、該直交方向における該絶縁層と、該絶縁層の被覆のない導電性材料からなる表面との境を、該潜像担持体における該直交方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域に対向させたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電手段と、一様帯電後の表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、該潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、上記帯電手段として、請求項1乃至6の何れかのものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、放電電極から放たれた電子の一部が、グリッド電極の貫通口を通過せずに、グリッド電極における放電電極との対向面である第1面に被覆された絶縁層に付着するものの、すぐにアースに流れ込まずに、絶縁層に留まる。このように電子が留まることで、絶縁層が徐々にチャージアップしていく。そして、やがて放電電極から放たれた殆どの電子が、グリッド電極の絶縁層を避けながら貫通口を通過するようになる。これにより、リーク電流の発生を抑えることで、リーク電流による帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。
また、これらの発明においては、グリッド電極における潜像担持体との対向面である第2面が、絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面になっているため、第2面の表面電位がグリッド電圧とほぼ同じ値で一様に安定している。よって、潜像担持体の帯電電位を安定且つ均一に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、ドラム状の感光体3の周りに、光書込装置2、現像装置4、転写チャージャー5、除電ランプ6、クリーニング装置7、帯電装置10などを備えている。
【0012】
図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される感光体3の表面には、周知の有機感光層が被覆されている。そして、帯電装置10により、トナーの帯電極性と同極性であるマイナス極性に一様帯電せしめられる。一様帯電後の感光体3の表面は、画像情報に基づいて変調したレーザー光Lを発する光書込装置2によって光走査される。これにより、感光体3の表面における露光箇所が電位を減衰させて静電潜像となる。そして、この静電潜像は、周知の一成分現像方式又は二成分現像方式を採用した現像装置4によって現像されてトナー像となる。
【0013】
転写チャージャー5は、感光体3の表面に対して所定の間隙を介して対向している。この転写チャージャー5の図中右側方には、レジストローラ対8が配設されており、図示しない給紙装置から送られてきた記録紙Pの先端部をローラ間に挟み込んだ状態で、両ローラの回転を停止させている。そして、記録紙Pを感光体3の表面上のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで両ローラの回転駆動を開始して、記録紙Pを感光体3と転写チャージャー5との間の転写位置に送り込む。転写位置では、転写チャージャー5によって記録紙Pの裏面に電荷が付与されて、感光体3の表面上のトナー像が記録紙Pのおもて面に静電転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、転写位置から排出された後、図示しない定着装置でトナー像の定着処理が施されてから、機外へと排出される。
【0014】
回転駆動に伴って上記転写位置を通過した後の感光体3の表面は、除電ランプ6による光照射を受けて残留電荷が除去された後、クリーニング装置7によって転写残トナーが除去される。その後、帯電装置10によって再び一様帯電せしめられる。
【0015】
なお、実施形態においては、転写手段として、転写チャージャー5を採用したが、周知の転写ブラシや転写ローラを採用してもよい。また、クリーニング装置7として、回転するクリーニングブラシローラによって転写残トナーを掻き取る方式ものを採用したが、クリーニングブレードによって転写残トナーを掻き取る方式のものや、クリーニングローラによって転写残トナーを静電転移させる様式のものなどを用いてもよい。
【0016】
図2は、帯電装置10を感光体3とともに示す斜視図である。また、図3は、帯電装置10を示す分解斜視図である。また、図4は、帯電装置10を感光体3とともに示す拡大構成図である。
【0017】
図2に示すように、感光体3の真上に配設された帯電装置10は、筺体としてのケーシング11と、グリッド電極12とを有している。グリッド電極12は、電極としての機能を発揮するために、ステンレス、銅、鉄などの金属材料から構成されている。電極としての役割の他、図3に示すように、11に設けられた開口を覆う蓋としての役割も担っている。但し、自らに設けられた貫通口としての複数のスリット12aを通じてケーシング11の内部を露出させている。
【0018】
ケーシング11は、図4に示すように、自らの開口を真下に向けて感光体3に対向させる姿勢でプリンタ本体内に固定されている。そして、鉛直方向上方を向く天板には、通気用開口11aが設けられている。
【0019】
ケーシング11内には、放電電極としての帯電ブラシ14が固定されている。この帯電ブラシ14は、ステンレスなどからなる導電性保持体としての金属ホルダー14aと、これに固定された複数の導電性繊維からなるブラシ部14bとを有している。そして、金属ホルダー14aがブラケット15を介してケーシング11にネジ止めされることで、ケーシング11に固定されている。導電性繊維としては、炭素繊維(カーボン)、導電性アクリル繊維(SA−7)、硫化銅混合繊維(サンダーロン)などを例示することができる。なお、炭素繊維は、金属繊維に比べて安価で且つ入手し易いので、製造コストを低減する上で有利である。
【0020】
グリッド電極12は、例えばステンレス、銅、鉄などの金属材料からなる薄い板材に、エッチング処理等によるスリット12aを複数形成したものである。それぞれのスリット12aは、ケーシング501Y内に固定された帯電ブラシ14におけるブラシ部14bの繊維先端に対向している。このような状態で、帯電ブラシ14の金属ホルダー14aには、感光体3の一様帯電電位と同極性(本例では負極性)の帯電バイアスが印加される。また、グリッド電極12には、感光体3の一様帯電電位と同極性で、且つ帯電バイアスよりも絶対値が小さなグリッドバイアスが印加される。例えば、帯電ブラシ14には−4〜−6[kV]の帯電バイアスが印加されるのに対し、グリッド電極12には−0.8[kV]のグリッドバイアスが印加される。すると、グリッド電極12のスリット12aを介して、帯電ブラシ14の導電性繊維の先端と、潜像担持体たる感光体3との間で放電が発生し、感光体3が負極性に一様帯電せしめられる。
【0021】
帯電ブラシ14のブラシ部14bを構成する複数の導電性繊維としては、先端からの放電の反動に伴って容易に撓むことができる程度の可撓性を発揮するものが用いられている。かかる構成の複数の導電性繊維は、図5に示されるように、金属ホルダー14aの第1金属板の面に対して、自らの先端側を板エッジから突出させる姿勢で植毛されている。そして、図6に示されるように、自らの根元側が図示しない前述の第1金属板と、金属ホルダー14aの第2金属板との間に挟まれることで、金属ホルダー14aに固定されている。
【0022】
ブラシ部14bを構成する複数の導電性繊維は、図7に示すように、互いに接触し合うほど高密度で並んでいるが、帯電バイアスの印加によって電荷が集中する毛先端では、図8に示すように、電荷の反発力によって可撓性の導電性繊維が撓んで互いに間隙をとる姿勢になる。そして、各繊維の先端でそれぞれ独立した電荷の集中が起こることで、高密度に並んでいる複数の導電性繊維のそれぞれで低電位での放電を確実に発生させる。これにより、従来の放電ワイヤー方式よりも低い値の帯電バイアスで、感光体3を十分に一様帯電せしめることができる。
【0023】
なお、グリッド電極12として、貫通口たる複数のスリット12aを設けたものを用いた例について説明したが、開口を格子状や編み目状に設けてもよい。また、図9に示すように、斜め方向に延在するスリット12aを設けたものを用いてもよい。帯電ブラシ14に帯電バイアスを印加する電源は、出力電流を一定に制御する定電流電源である。また、グリッド電極12にグリッドバイアスを印加する電源は、出力電圧を一定に制御する定電圧電源である。
【0024】
図10は、従来の帯電装置110を示す拡大模式図である。この帯電装置110は、グリッド電極112の構成が、実施形態に係る帯電装置(10)のグリッド電極(12)の構成と異なっているが、その他の点は実施形態に係る帯電装置と同様である。同図において、帯電ブラシ114に帯電バイアスを印加するとともに、グリッド電極112にグリッドバイアスを印加すると、ブラシ部114bの導電性繊維の先端から放電が発生する。導電性繊維の先端から放たれた電子の一部は、グリッド電極112のスリット112aを通過して、図示しない感光体の表面に至る。しかしながら、全ての電子がこのようにして感光体の表面に到達するわけではない。一部の電子は、グリッド電極112の骨格部から、図示しない電源などを介してアースにリークしてしまう。また、ケーシング111を導電性材料で構成している場合には、ケーシング111からアースにリークする電子も出現する。このようなリーク電流の発生により、帯電効率が低下するとともに、余計なコロナ放電の発生に伴ってオゾン発生量が増加してしまう。
【0025】
図11は、実施形態に係る帯電装置10を示す拡大模式図である。実施形態に係る帯電装置10においては、グリッド電極12を次のように構成している。即ち、グリッド電極12の電極層12bにおける、帯電ブラシ14との対向面である第1面と、図示しない感光体との対向面である第2面とのうち、第1面における一部の領域を絶縁性材料からなる絶縁層12cで被覆し、且つ、第2面を金属材料からなる無垢の電極層12b表面にしている。このような構成のグリッド電極12を設けた帯電装置10において、帯電ブラシ14に帯電バイアスを印加するとともに、グリッド電極12の電極層12bにグリッドバイアスを印加して、ブラシ部14bの導電性繊維の先端から放電を発生させたとする。すると、導電性繊維の先端から放たれた電子の一部は、従来の帯電装置と同様に、グリッド電極12のスリット12aを通過して、図示しない感光体の表面に至る。一方、導電性繊維の先端から放たれた電子の他の一部は、グリッド電極12の絶縁層12cに付着するものの、すぐに電極層12bやアースに流れ込まずに、絶縁層12cに留まる。このようにして電子が留まることで、図12に示すように、絶縁層12cが徐々にチャージアップしていく。すると、やがて帯電ブラシ14の導電性繊維から放たれた殆どの電子が、グリッド電極12の絶縁層12cを避けながら、スリット12aを通過するようになる。これにより、リーク電流の発生を抑えることで、リーク電流による帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。
【0026】
グリッド電極12における感光体との対向面である第2面は、電極層12bの無垢の電極表面になっているため、その表面電位がグリッド電圧とほぼ同じ値で一様に安定している。よって、感光体の帯電電位を安定且つ均一に制御することができる。
【0027】
なお、帯電ブラシ14の導電性繊維からの放電がある程度継続すると、絶縁層12cは、飽和までチャージアップする。このとき、絶縁層12cの電位は、帯電バイアスとほぼ同程度の値になるため、絶縁層12cと帯電ブラシ14との電位差が無くなって、ブラシから放たれた電子の殆どがスリット12aを通過するようになる。例えば、帯電ブラシ14に−4〜−6[kV]の帯電バイアスを印加するとともに、グリッド電極12に−0.8[kV]のグリッドバイアスを印加した場合、ブラシ〜グリッド間の電位差は、絶対値で3〜5[kV]になる。そして、飽和までチャージアップした絶縁層12cの電位は、−4〜−6[kV]程度になる。
【0028】
また、絶縁層12c構成する絶縁性材料としては、通常の絶縁性材料の他、誘電体を用いてもよい。
【0029】
図示の帯電装置10においては、ケーシング11として、感光体に対向する開口と、帯電ブラシ14を収容する空間とを具備する箱状のものを用いている。そして、グリッド電極12として、前記開口よりも大きなものを用い、そのグリッド電極12をケーシング11における開口周囲の箇所に固定している。かかる構成では、グリッド電極12として、ケーシング11の開口よりも小さなものを用いる場合に比べて、ケーシング11とグリッド電極12との間に発生する隙間を低減することができる。
【0030】
絶縁層12cについては、図示のように、グリッド電極12における帯電ブラシ14との対向面である第1面の全領域のうち、ケーシング11の開口に対向する領域だけに設けている。ケーシング11の開口に対向しない領域に絶縁層12cを設けても、その絶縁層12cに対して帯電ブラシ14の導電性繊維から放たれた電子を受け止めさせることができないので、無駄になってしまうからである。よって、絶縁層12cを開口に対向する領域だけに設けることで、低コスト化を図ることができる。
【0031】
次に、実施形態に係るプリンタの各変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[第1変形例]
実施形態に係るプリンタの帯電装置10では、図13に示すように、グリッド電極12のスリット12a内に進入した電子の一部が、電極層12bにおけるスリット内壁箇所から電極層12bに流れ込んでアースにリークしてしまうことがある。実施形態では、グリッド電極12として、骨格部を角張った形状にしたものを用いているが、図14に示すように、丸みを帯びた骨格部の形状を採用して場合にも、同様にして、スリット12a内に進入した電子の一部をアースにリークさせることがある。
【0032】
そこで、第1変形例に係るプリンタの帯電装置10では、図15に示すように、貫通口としてのスリット12aの内壁にも、絶縁層12cを被覆している。これにより、スリット12aに進入した電子の一部をスリット内壁に付着させたとしても、その付着箇所は絶縁層12cであるため、その電子をスリット内壁に留めることができる。図16に示すように、グリッド電極12の骨格部として丸みを帯びた形状のものを採用しても、骨格部におけるスリット内壁に相当する箇所を絶縁層12cで被覆すれば、同様にして、電子をスリット12a内壁に留めることができる。
【0033】
このように、スリット12a内壁に付着した電子をそこに留めることで、実施形態よりも帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。なお、スリット12aの内壁の全領域を導電層12cで被覆した例について説明したが、図17や図18に示すように、スリット12aの内壁の一部だけを導電層12cで被覆してもよい。
【0034】
[第2変形例]
図19は、第2変形例に係るプリンタの帯電装置10におけるグリッド電極12を示す斜視図である。同図においては、便宜上、グリッド電極12における導電層12cを黒塗りで示している。図20は、第2変形例に係るプリンタの帯電装置10を感光体3とともに示す拡大模式図である。これらの図に示すように、第2変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12における帯電ブラシ14との対向面である第1面に対して、絶縁層12cを次のように被覆している。即ち、第1面の全領域のうち、帯電ブラシ14に対向するブラシ対向領域A1(ブラシ直下領域)よりも感光体3の表面移動方向上流側のA2領域と、表面移動方向下流側のA3領域とをそれぞれ絶縁層12cで被覆している。これに対し、ブラシ対向領域A1については、絶縁層12cを設けない電極層12bの無垢の電極表面にしている。
【0035】
このような被覆構成にしたのは、次の理由による。即ち、先に図12に示した実施形態に係る帯電装置10では、ブラシ部14Bの導電性繊維の先端から放たれた電子の一部は、図示しない感光体に向けて真っ直ぐに進むものの他、図中矢印B方向に示すように、図中左右方向に放射状に広がりながら進むものも発生する。図中左右方向は、図示しない感光体の表面移動方向と同じ方向である。図20に示した第2変形例に係る帯電装置10において、実施形態と同様に、電子が広がって進んだと仮定した場合における電子の進行軌跡を示すのが、同図中の点線矢印である。ドラム状の感光体3の湾曲している表面は、その移動方向の中心箇所を帯電装置10に対して近接させているが、移動方向の中心よりも上流側や下流側の箇所については、帯電装置10から比較的離れたところに位置させている。図中の点線矢印からわかるように、帯電ブラシ14の直下で感光体3に向けて真っ直ぐに進まずに、感光体3の回転方向上流側や下流側に広がりながら進む電子は、帯電装置10と感光体3表面とが比較的離れている位置に出る。そして、感光体3の表面に到達しないで、周囲の導電性部材に向けて進む可能性が高くなる。このような電子は、感光体3の帯電に寄与しないので、帯電効率を低下させてり、オゾン発生量を増加させたりする。
【0036】
しかしながら、第2変形例に係るプリンタの帯電装置10では、図示のように、第1面の全領域のうち、感光体表面移動方向における中心側の領域に相当するブラシ対向領域A1には絶縁層12cを被覆していない。このため、感光体表面移動方向の上流側の領域A2や下流側の領域A3に向けて電子が広がり難くなり、電子の放出経路分布が、ブラシ先端からブラシ対向領域A1に向けて真っ直ぐに進む経路に集中する。これにより、上流側の領域A2や下流側の領域A3に広がって進む電子の量を低減することで、帯電効率をより向上させるとともに、オゾン発生量をより低下させることができる。
【0037】
なお、第2変形例や後述する第3変形例に係るプリンタでは、放電開始直後と、その後の安定期(絶縁層12cが十分にチャージアップした状態)とにおける帯電バイアスの差を小さくすることができるという効果も得られる。具体的には、上述したように、帯電ブラシ14に帯電バイアスを印加する電源は、出力電流を定電流制御している。第1実施形態のように、第1面のほぼ全領域を絶縁層12cで被覆した場合、放電開始直後において、絶縁層12cが殆ど帯電していなければ、ブラシ先端から放たれた電子が絶縁層12cに蓄えられていく。これにより、帯電ブラシ14からは比較的良好な電流が発生するので、帯電バイアスが比較的低く抑えられる。その後、絶縁層12cが十分にチャージアップすると、ブラシ先端から放たれた電子は絶縁層12cに付着し難くなる。その分だけ、電子がスリット12aをすり抜け易くなればよいのだが、ブラシ先端におけるスリット12aから比較的離れた箇所では、放たれた電子をスリット12aに良好に通すためには、より高い電圧が必要になる。このため、絶縁層12cが十分にチャージアップすると、まず、ブラシ先端における前記箇所からの放電量が低下して、帯電ブラシ14からの出力電流値が目標値よりも低下する。そして、これに追従して電源が帯電バイアスの電圧をより高くする。こうすることで、ブラシ先端における前記箇所からの放電量が増加して、帯電ブラシ14からの出力電流値が目標値まで戻る。以上のような現象により、放電開始直後と、その後の安定期(絶縁層12cが十分にチャージアップした期間)とで、帯電バイアスに大きな差が発生してしまう。これに対し、第2変形例や後述する第3変形例では、グリッド電極12の第1面におけるケーシング内の領域に、絶縁層12cが存在する領域と、存在しない領域とを設けている。かかる構成では、絶縁層12cが十分にチャージアップしても、第1面における無垢の電極表面に対してブラシ先端からの電子が流れ込むので、定電流制御される帯電バイアスの電位上昇が抑えられるのである。
【0038】
[第3変形例]
図21は、第3変形例に係るプリンタの帯電装置10におけるグリッド電極12を示す斜視図である。また、図22は、第3変形例に係るプリンタの帯電装置10を感光体3とともに示す拡大模式図である。これらの図に示すように、第3変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12における帯電ブラシ14との対向面である第1面に対して、絶縁層12cを次のように被覆している。即ち、第1面の全領域のうち、感光体移動方向における上流側の領域については、絶縁層12cを設けずに、電極層12bの無垢の電極表面にし、且つ、それよりも下流側の領域に絶縁層12cを設けている。このような構成では、帯電装置10における感光体表面移動方向の全領域のうち、上流側の領域でコロナ放電による帯電処理が集中的に行われる。そして、下流側の領域では、上流側の領域で十分に帯電させることができなかった感光体表面箇所に対してだけ放電を発生させて、帯電量の均一化を図る帯電均一化処理が行われる。これにより、帯電ムラの発生をより抑えることができる。
【0039】
なお、グリッド電極12のスリット12aにおける内壁の一部を、導電層12cで覆ってもよいが、図23や図24に示すように、各スリット12aにおける内壁の導電層被覆率を、感光体表面移動方向の上流側から下流側に向けて徐々に高めていくと、上述した帯電均一化処理をよりスムーズに実現させることができる。
【0040】
[第4変形例]
図25は、第4変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図である。このグリッド電極12は、感光体の表面移動方向に直交する方向である感光体軸線方向(図中点線で示す方向)において、第1面における絶縁層12cが次のように被覆されている。即ち、感光体軸線方向の両端部の領域だけに、それぞれ絶縁層12cを設けている。このようにすることで、帯電装置における感光体軸線方向の両端部において、周囲の金属部材へのコロナ放電のリークを抑えることができる。但し、感光体軸線方向における絶縁層12cと無垢の電極層12cとを境にして、感光体表面の電位を急激に変化させてしまう。この急激に変化させる領域を、感光体表面における画像形成領域(図中のA4)で発生させてしまうと、画質を劣化させてしまう。そこで、絶縁層12cと無垢の電極層12bとを境を、感光体における軸線方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域(A4から外れた領域)に対向させている。よって、絶縁層12cと無垢の電極層12bとの境で感光体電位を急激に変化させることによる画質劣化を抑えることができる。
【0041】
これまで、モノクロプリントを行う画像形成装置の例について説明してきたが、1つの感光体の周囲に、互いに異なる色の現像を行う複数の現像装置を配設したり、感光体と現像装置と帯電装置との組合せを複数設けたりして、カラー画像の出力を可能にした画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0042】
以上、実施形態に係るプリンタの帯電装置10においては、潜像担持体たる感光体3に対向する開口と、放電電極たる帯電ブラシ14を収容する空間とを具備する箱状のケーシング11を設け、グリッド電極12として、同開口よりも大きなものを用い、グリッド電極12をケーシング11における開口周囲の箇所に固定し、且つ、グリッド電極12の第1面の全領域のうち、同開口に対向する領域だけに絶縁層12cを設けている。かかる構成では、既に説明したように、絶縁層12cを開口に対向する領域だけに設けることで、低コスト化を図ることができる。
【0043】
また、第1変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12の第1面における少なくとも一部の領域に加えて、複数のスリット12aのうち、同領域内に存在するスリット12aの内壁にも、絶縁層12cを被覆している。かかる構成では、既に説明したように、スリット12a内壁に付着した電子をそこに留めて、実施形態よりも帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。
【0044】
また、第2変形例に係るプリンタにおいては、帯電ブラシ14を感光体3の表面に対向させつつ、同表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設けている。そして、グリッド電極12の第1面の全領域のうち、帯電ブラシ14に真正面で対向する領域であるブラシ対向領域A1よりも感光体表面移動方向の上流側の領域A2と下流側の領域A3とをそれぞれ絶縁層12cで被覆し、ブラシ対向領域A1については、絶縁層12cを設けない電極層12cの無垢の電極表面にしている。かかる構成では、既に説明したように、上流側の領域A2や下流側の領域A3に広がって進む電子の量を低減することで、帯電効率をより向上させるとともに、オゾン発生量をより低下させることができる。
【0045】
また、第3変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12の第1面の全領域のうち、感光体表面移動方向における上流側の領域については、絶縁層12cを設けない電極層12cの無垢の電極表面にし、且つ、同領域よりも下流側の領域に絶縁層12cを設けている。かかる構成では、既に説明したように、下流側の領域では、上流側の領域で十分に帯電させることができなかった感光体表面箇所に対してだけ放電を発生させて、帯電量の均一化を図る帯電均一化処理が行われる。これにより、帯電ムラの発生をより抑えることができる。
【0046】
また、第4変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12の第1面における感光体軸線方向については、感光体軸線の両端部の領域だけにそれぞれ絶縁層12cを設け、感光体軸線における絶縁層12cと無垢の電極層12bとの境を、感光体の軸線方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域に対向させている。かかる構成では、帯電装置における感光体軸線方向の両端部において、周囲の金属部材へのコロナ放電のリークを抑えつつ、絶縁層12cと無垢の電極層12bとの境で感光体電位を急激に変化させることによる画質劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタの帯電装置を感光体とともに示す斜視図。
【図3】同帯電装置を示す分解斜視図。
【図4】同帯電装置及び同感光体を示す拡大構成図。
【図5】同帯電装置の帯電ブラシを示す分解平面図。
【図6】同帯電ブラシを示す平面図。
【図7】帯電バイアスが印加されていない状態の同帯電ブラシの先端側を示す拡大模式図。
【図8】帯電バイアスが印加された状態の同帯電ブラシの先端側を示す拡大模式図。
【図9】グリッド電極の他の例を示す斜視図。
【図10】従来の帯電装置を示す拡大模式図。
【図11】実施形態に係るプリンタの帯電装置を示す拡大模式図。
【図12】図11よりも帯電バイアス印加後の時間が経過した状態の同帯電装置を示す拡大模式図。
【図13】同帯電装置のグリッド電極のスリット周囲を示す拡大模式図。
【図14】同帯電装置の他の例におけるグリッド電極のスリット周囲を示す拡大模式図。
【図15】第1変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極のスリット周囲の第1例を示す拡大模式図。
【図16】同スリット周囲の第2例を示す拡大模式図。
【図17】同スリット周囲の第3例を示す拡大模式図。
【図18】同スリット周囲の第4例を示す拡大模式図。
【図19】第2変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図。
【図20】同帯電装置を感光体とともに示す拡大模式図。
【図21】第3変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図。
【図22】同帯電装置を感光体とともに示す拡大模式図。
【図23】同帯電装置のグリッド電極の第2例を示す拡大構成図。
【図24】同帯電装置のグリッド電極の第3例を示す拡大構成図。
【図25】第4変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図。
【符号の説明】
【0048】
2:光書込装置(潜像書込手段)
3:感光体(潜像担持体)
4:現像装置(現像手段)
10:帯電装置
11:ケーシング
12:グリッド電極
12a:スリット(貫通口)
12b:電極層
12c:絶縁層
14:帯電ブラシ(放電電極)
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体等の潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電装置、及びこれを用いる複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の帯電装置として、スコロトロン帯電器が知られている。スコロトロン帯電器は、潜像担持体としてのドラム状の感光体に所定の間隙を介して対向する網目状のグリッド電極と、感光体軸線方向に延在する姿勢でグリッド電極を介して感光体に対向するように張架される放電ワイヤーとを有している。放電ワイヤーには所定のバイアスが印加され、且つ、グリッド電極にはそのバイアスよりも感光体の一様帯電電位に近い値のバイアスが印加される。すると、放電ワイヤーからコロナ放電が発生して、グリッド電極のスリットを経由して感光体表面に至る。このコロナ放電により、回転する感光体の表面が一様に帯電せしめられる。かかる構成のスコロトロン帯電器では、グリッド電極に印加するバイアスを調整することで、感光体の一様帯電電位を精度良く調整することができる。
【0003】
しかしながら、リーク電流の発生により、帯電効率を低下させたり、オゾン発生量を増加させたりし易いという不具合がある。具体的には、放電ワイヤーから放たれた電子は、その全てがグリッド電極のスリットを通過して感光体に到達するわけではない。一部の電子は、スリットを通過することなく、グリッド電極の非スリット部(以下、骨格部という)に流れてアースへとリークする。放電ワイヤーから感光体へのコロナ放電は、感光体がグリッド電極の電位に対応する値になるまで続くので、前述したリーク電流の分だけ余計なコロナ放電が発生することになる。このような余計なコロナ放電の発生が、帯電効率を低下させたり、オゾン発生量を増加させたりするのである。
【0004】
一方、従来、特許文献1に記載されているような、グリッド電極における無垢の電極表面を誘電体からなる絶縁層で被覆した帯電装置が知られている。この帯電装置においては、放電ワイヤーから放たれた電子の一部が、グリッド電極のスリットを通過せずに、グリッド電極の絶縁層に付着するものの、その後すぐに電極層やアースに流れ込まずに、絶縁層に留まっている。このように電子が留まることで、絶縁層は徐々にチャージアップしていく。すると、放電ワイヤーから放たれた殆どの電子が、グリッド電極の絶縁層を避けながらスリットを通過するようになる。このため、リーク電流の発生を効果的に抑えることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−14518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この帯電装置においては、感光体の帯電電位を安定して制御することが困難になったり、感光体に帯電ムラを引き起こし易くなったりするという問題があった。具体的には、スコロトロン帯電器によって一様帯電処理が施される感光体の帯電電位は、グリッド電極における感光体との対向面の電位によって左右される。絶縁層を被覆していないグリッド電極を用いていた従前の帯電装置では、グリッド電極における無垢の電極表面を感光体に対向させており、この無垢の電極表面の電位はグリッド電極に印加されるグリッド電圧とほぼ同じ値で一様に安定している。このため、感光体の帯電電位を安定して制御することができる。また、感光体の表面に対して一様な放電を発生させて感光体を一様に帯電させることができる。これに対し、絶縁層を被覆したグリッド電極を用いる場合には、グリッド電極の無垢の電極表面ではなく、絶縁層を感光体に対向させている。絶縁層の電位は、環境変動に伴う保持電荷量の変化などにより、経時的に変化する。更には、絶縁層の厚みムラに追従する電荷保持量のムラにより、絶縁層の電位には表面方向のバラツキが発生する。これらの結果、感光体の帯電電位を安定して制御することが困難になったり、感光体に帯電ムラを引き起こし易くなったりするのである。
【0007】
なお、本発明者らは、従来のスコロトロン帯電器のようにグリッド電極を設けた構成において、放電電極として、放電ワイヤーの代わりに、複数の導電性繊維の集合からなる帯電ブラシを設けた新規な帯電装置を開発中である。この帯電装置では、複数の導電性繊維のそれぞれ先端から放電を発生させることで、感光体の表面方向における放電量を均一にする。そして、この均一化により、放電ワイヤーを用いていた従来のスコロトロン帯電器よりも低い印加電圧で感光体を所望の値まで帯電させることができる。この開発中の帯電装置においても、グリッド電極を絶縁層で被覆すれば、同様の問題が発生する。
【0008】
本発明は以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リーク電流による帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えつつ、潜像担持体の帯電電位を安定且つ均一に制御することができる帯電装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、放電電極と、該放電電極に対向する複数の貫通口を具備するグリッド電極とを有し、画像形成装置の潜像担持体に対して、該グリッド電極を介して該放電電極を対向させた状態で、該放電電極と該グリッド電極とに互いに異なる値の電圧を印加しながら、該放電電極から該グリッド電極の貫通口を経由して該潜像担持体に至る放電を生じせしめて該潜像担持体の移動する表面を一様に帯電させる帯電装置において、
上記グリッド電極における、上記放電電極との対向面である第1面と、上記潜像担持体との対向面である第2面とのうち、該第1面における少なくとも一部の領域を絶縁性材料からなる絶縁層で被覆し、且つ、該第2面を、絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の帯電装置において、上記潜像担持体に対向する開口と、上記放電電極を収容する空間とを具備する箱状のケーシングを設け、上記グリッド電極として、該開口よりも大きなものを用い、該グリッド電極を該ケーシングにおける開口周囲の箇所に固定し、且つ、上記第1面の全領域のうち、該開口に対向する領域だけに上記絶縁層を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の帯電装置において、上記第1面の少なくとも一部の領域に加えて、複数の上記貫通口のうち、該領域内に存在する貫通口の内壁にも、上記絶縁層を被覆したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、上記第1面の全領域のうち、該放電電極に真正面で対向する領域である放電電極対向領域よりも該移動方向の上流側の領域と下流側の領域とをそれぞれ上記絶縁層で被覆し、且つ、該放電電極対向領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、上記第1面の全領域のうち、該移動方向における上流側の領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にし、且つ、該領域よりも下流側の領域に上記絶縁層を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向である直交方向に延在させる姿勢で設け、上記第1面における該直交方向については、該直交方向の両端部の領域だけにそれぞれ上記絶縁層を設け、且つ、該直交方向における該絶縁層と、該絶縁層の被覆のない導電性材料からなる表面との境を、該潜像担持体における該直交方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域に対向させたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電手段と、一様帯電後の表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、該潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、上記帯電手段として、請求項1乃至6の何れかのものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、放電電極から放たれた電子の一部が、グリッド電極の貫通口を通過せずに、グリッド電極における放電電極との対向面である第1面に被覆された絶縁層に付着するものの、すぐにアースに流れ込まずに、絶縁層に留まる。このように電子が留まることで、絶縁層が徐々にチャージアップしていく。そして、やがて放電電極から放たれた殆どの電子が、グリッド電極の絶縁層を避けながら貫通口を通過するようになる。これにより、リーク電流の発生を抑えることで、リーク電流による帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。
また、これらの発明においては、グリッド電極における潜像担持体との対向面である第2面が、絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面になっているため、第2面の表面電位がグリッド電圧とほぼ同じ値で一様に安定している。よって、潜像担持体の帯電電位を安定且つ均一に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、ドラム状の感光体3の周りに、光書込装置2、現像装置4、転写チャージャー5、除電ランプ6、クリーニング装置7、帯電装置10などを備えている。
【0012】
図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される感光体3の表面には、周知の有機感光層が被覆されている。そして、帯電装置10により、トナーの帯電極性と同極性であるマイナス極性に一様帯電せしめられる。一様帯電後の感光体3の表面は、画像情報に基づいて変調したレーザー光Lを発する光書込装置2によって光走査される。これにより、感光体3の表面における露光箇所が電位を減衰させて静電潜像となる。そして、この静電潜像は、周知の一成分現像方式又は二成分現像方式を採用した現像装置4によって現像されてトナー像となる。
【0013】
転写チャージャー5は、感光体3の表面に対して所定の間隙を介して対向している。この転写チャージャー5の図中右側方には、レジストローラ対8が配設されており、図示しない給紙装置から送られてきた記録紙Pの先端部をローラ間に挟み込んだ状態で、両ローラの回転を停止させている。そして、記録紙Pを感光体3の表面上のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで両ローラの回転駆動を開始して、記録紙Pを感光体3と転写チャージャー5との間の転写位置に送り込む。転写位置では、転写チャージャー5によって記録紙Pの裏面に電荷が付与されて、感光体3の表面上のトナー像が記録紙Pのおもて面に静電転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、転写位置から排出された後、図示しない定着装置でトナー像の定着処理が施されてから、機外へと排出される。
【0014】
回転駆動に伴って上記転写位置を通過した後の感光体3の表面は、除電ランプ6による光照射を受けて残留電荷が除去された後、クリーニング装置7によって転写残トナーが除去される。その後、帯電装置10によって再び一様帯電せしめられる。
【0015】
なお、実施形態においては、転写手段として、転写チャージャー5を採用したが、周知の転写ブラシや転写ローラを採用してもよい。また、クリーニング装置7として、回転するクリーニングブラシローラによって転写残トナーを掻き取る方式ものを採用したが、クリーニングブレードによって転写残トナーを掻き取る方式のものや、クリーニングローラによって転写残トナーを静電転移させる様式のものなどを用いてもよい。
【0016】
図2は、帯電装置10を感光体3とともに示す斜視図である。また、図3は、帯電装置10を示す分解斜視図である。また、図4は、帯電装置10を感光体3とともに示す拡大構成図である。
【0017】
図2に示すように、感光体3の真上に配設された帯電装置10は、筺体としてのケーシング11と、グリッド電極12とを有している。グリッド電極12は、電極としての機能を発揮するために、ステンレス、銅、鉄などの金属材料から構成されている。電極としての役割の他、図3に示すように、11に設けられた開口を覆う蓋としての役割も担っている。但し、自らに設けられた貫通口としての複数のスリット12aを通じてケーシング11の内部を露出させている。
【0018】
ケーシング11は、図4に示すように、自らの開口を真下に向けて感光体3に対向させる姿勢でプリンタ本体内に固定されている。そして、鉛直方向上方を向く天板には、通気用開口11aが設けられている。
【0019】
ケーシング11内には、放電電極としての帯電ブラシ14が固定されている。この帯電ブラシ14は、ステンレスなどからなる導電性保持体としての金属ホルダー14aと、これに固定された複数の導電性繊維からなるブラシ部14bとを有している。そして、金属ホルダー14aがブラケット15を介してケーシング11にネジ止めされることで、ケーシング11に固定されている。導電性繊維としては、炭素繊維(カーボン)、導電性アクリル繊維(SA−7)、硫化銅混合繊維(サンダーロン)などを例示することができる。なお、炭素繊維は、金属繊維に比べて安価で且つ入手し易いので、製造コストを低減する上で有利である。
【0020】
グリッド電極12は、例えばステンレス、銅、鉄などの金属材料からなる薄い板材に、エッチング処理等によるスリット12aを複数形成したものである。それぞれのスリット12aは、ケーシング501Y内に固定された帯電ブラシ14におけるブラシ部14bの繊維先端に対向している。このような状態で、帯電ブラシ14の金属ホルダー14aには、感光体3の一様帯電電位と同極性(本例では負極性)の帯電バイアスが印加される。また、グリッド電極12には、感光体3の一様帯電電位と同極性で、且つ帯電バイアスよりも絶対値が小さなグリッドバイアスが印加される。例えば、帯電ブラシ14には−4〜−6[kV]の帯電バイアスが印加されるのに対し、グリッド電極12には−0.8[kV]のグリッドバイアスが印加される。すると、グリッド電極12のスリット12aを介して、帯電ブラシ14の導電性繊維の先端と、潜像担持体たる感光体3との間で放電が発生し、感光体3が負極性に一様帯電せしめられる。
【0021】
帯電ブラシ14のブラシ部14bを構成する複数の導電性繊維としては、先端からの放電の反動に伴って容易に撓むことができる程度の可撓性を発揮するものが用いられている。かかる構成の複数の導電性繊維は、図5に示されるように、金属ホルダー14aの第1金属板の面に対して、自らの先端側を板エッジから突出させる姿勢で植毛されている。そして、図6に示されるように、自らの根元側が図示しない前述の第1金属板と、金属ホルダー14aの第2金属板との間に挟まれることで、金属ホルダー14aに固定されている。
【0022】
ブラシ部14bを構成する複数の導電性繊維は、図7に示すように、互いに接触し合うほど高密度で並んでいるが、帯電バイアスの印加によって電荷が集中する毛先端では、図8に示すように、電荷の反発力によって可撓性の導電性繊維が撓んで互いに間隙をとる姿勢になる。そして、各繊維の先端でそれぞれ独立した電荷の集中が起こることで、高密度に並んでいる複数の導電性繊維のそれぞれで低電位での放電を確実に発生させる。これにより、従来の放電ワイヤー方式よりも低い値の帯電バイアスで、感光体3を十分に一様帯電せしめることができる。
【0023】
なお、グリッド電極12として、貫通口たる複数のスリット12aを設けたものを用いた例について説明したが、開口を格子状や編み目状に設けてもよい。また、図9に示すように、斜め方向に延在するスリット12aを設けたものを用いてもよい。帯電ブラシ14に帯電バイアスを印加する電源は、出力電流を一定に制御する定電流電源である。また、グリッド電極12にグリッドバイアスを印加する電源は、出力電圧を一定に制御する定電圧電源である。
【0024】
図10は、従来の帯電装置110を示す拡大模式図である。この帯電装置110は、グリッド電極112の構成が、実施形態に係る帯電装置(10)のグリッド電極(12)の構成と異なっているが、その他の点は実施形態に係る帯電装置と同様である。同図において、帯電ブラシ114に帯電バイアスを印加するとともに、グリッド電極112にグリッドバイアスを印加すると、ブラシ部114bの導電性繊維の先端から放電が発生する。導電性繊維の先端から放たれた電子の一部は、グリッド電極112のスリット112aを通過して、図示しない感光体の表面に至る。しかしながら、全ての電子がこのようにして感光体の表面に到達するわけではない。一部の電子は、グリッド電極112の骨格部から、図示しない電源などを介してアースにリークしてしまう。また、ケーシング111を導電性材料で構成している場合には、ケーシング111からアースにリークする電子も出現する。このようなリーク電流の発生により、帯電効率が低下するとともに、余計なコロナ放電の発生に伴ってオゾン発生量が増加してしまう。
【0025】
図11は、実施形態に係る帯電装置10を示す拡大模式図である。実施形態に係る帯電装置10においては、グリッド電極12を次のように構成している。即ち、グリッド電極12の電極層12bにおける、帯電ブラシ14との対向面である第1面と、図示しない感光体との対向面である第2面とのうち、第1面における一部の領域を絶縁性材料からなる絶縁層12cで被覆し、且つ、第2面を金属材料からなる無垢の電極層12b表面にしている。このような構成のグリッド電極12を設けた帯電装置10において、帯電ブラシ14に帯電バイアスを印加するとともに、グリッド電極12の電極層12bにグリッドバイアスを印加して、ブラシ部14bの導電性繊維の先端から放電を発生させたとする。すると、導電性繊維の先端から放たれた電子の一部は、従来の帯電装置と同様に、グリッド電極12のスリット12aを通過して、図示しない感光体の表面に至る。一方、導電性繊維の先端から放たれた電子の他の一部は、グリッド電極12の絶縁層12cに付着するものの、すぐに電極層12bやアースに流れ込まずに、絶縁層12cに留まる。このようにして電子が留まることで、図12に示すように、絶縁層12cが徐々にチャージアップしていく。すると、やがて帯電ブラシ14の導電性繊維から放たれた殆どの電子が、グリッド電極12の絶縁層12cを避けながら、スリット12aを通過するようになる。これにより、リーク電流の発生を抑えることで、リーク電流による帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。
【0026】
グリッド電極12における感光体との対向面である第2面は、電極層12bの無垢の電極表面になっているため、その表面電位がグリッド電圧とほぼ同じ値で一様に安定している。よって、感光体の帯電電位を安定且つ均一に制御することができる。
【0027】
なお、帯電ブラシ14の導電性繊維からの放電がある程度継続すると、絶縁層12cは、飽和までチャージアップする。このとき、絶縁層12cの電位は、帯電バイアスとほぼ同程度の値になるため、絶縁層12cと帯電ブラシ14との電位差が無くなって、ブラシから放たれた電子の殆どがスリット12aを通過するようになる。例えば、帯電ブラシ14に−4〜−6[kV]の帯電バイアスを印加するとともに、グリッド電極12に−0.8[kV]のグリッドバイアスを印加した場合、ブラシ〜グリッド間の電位差は、絶対値で3〜5[kV]になる。そして、飽和までチャージアップした絶縁層12cの電位は、−4〜−6[kV]程度になる。
【0028】
また、絶縁層12c構成する絶縁性材料としては、通常の絶縁性材料の他、誘電体を用いてもよい。
【0029】
図示の帯電装置10においては、ケーシング11として、感光体に対向する開口と、帯電ブラシ14を収容する空間とを具備する箱状のものを用いている。そして、グリッド電極12として、前記開口よりも大きなものを用い、そのグリッド電極12をケーシング11における開口周囲の箇所に固定している。かかる構成では、グリッド電極12として、ケーシング11の開口よりも小さなものを用いる場合に比べて、ケーシング11とグリッド電極12との間に発生する隙間を低減することができる。
【0030】
絶縁層12cについては、図示のように、グリッド電極12における帯電ブラシ14との対向面である第1面の全領域のうち、ケーシング11の開口に対向する領域だけに設けている。ケーシング11の開口に対向しない領域に絶縁層12cを設けても、その絶縁層12cに対して帯電ブラシ14の導電性繊維から放たれた電子を受け止めさせることができないので、無駄になってしまうからである。よって、絶縁層12cを開口に対向する領域だけに設けることで、低コスト化を図ることができる。
【0031】
次に、実施形態に係るプリンタの各変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[第1変形例]
実施形態に係るプリンタの帯電装置10では、図13に示すように、グリッド電極12のスリット12a内に進入した電子の一部が、電極層12bにおけるスリット内壁箇所から電極層12bに流れ込んでアースにリークしてしまうことがある。実施形態では、グリッド電極12として、骨格部を角張った形状にしたものを用いているが、図14に示すように、丸みを帯びた骨格部の形状を採用して場合にも、同様にして、スリット12a内に進入した電子の一部をアースにリークさせることがある。
【0032】
そこで、第1変形例に係るプリンタの帯電装置10では、図15に示すように、貫通口としてのスリット12aの内壁にも、絶縁層12cを被覆している。これにより、スリット12aに進入した電子の一部をスリット内壁に付着させたとしても、その付着箇所は絶縁層12cであるため、その電子をスリット内壁に留めることができる。図16に示すように、グリッド電極12の骨格部として丸みを帯びた形状のものを採用しても、骨格部におけるスリット内壁に相当する箇所を絶縁層12cで被覆すれば、同様にして、電子をスリット12a内壁に留めることができる。
【0033】
このように、スリット12a内壁に付着した電子をそこに留めることで、実施形態よりも帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。なお、スリット12aの内壁の全領域を導電層12cで被覆した例について説明したが、図17や図18に示すように、スリット12aの内壁の一部だけを導電層12cで被覆してもよい。
【0034】
[第2変形例]
図19は、第2変形例に係るプリンタの帯電装置10におけるグリッド電極12を示す斜視図である。同図においては、便宜上、グリッド電極12における導電層12cを黒塗りで示している。図20は、第2変形例に係るプリンタの帯電装置10を感光体3とともに示す拡大模式図である。これらの図に示すように、第2変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12における帯電ブラシ14との対向面である第1面に対して、絶縁層12cを次のように被覆している。即ち、第1面の全領域のうち、帯電ブラシ14に対向するブラシ対向領域A1(ブラシ直下領域)よりも感光体3の表面移動方向上流側のA2領域と、表面移動方向下流側のA3領域とをそれぞれ絶縁層12cで被覆している。これに対し、ブラシ対向領域A1については、絶縁層12cを設けない電極層12bの無垢の電極表面にしている。
【0035】
このような被覆構成にしたのは、次の理由による。即ち、先に図12に示した実施形態に係る帯電装置10では、ブラシ部14Bの導電性繊維の先端から放たれた電子の一部は、図示しない感光体に向けて真っ直ぐに進むものの他、図中矢印B方向に示すように、図中左右方向に放射状に広がりながら進むものも発生する。図中左右方向は、図示しない感光体の表面移動方向と同じ方向である。図20に示した第2変形例に係る帯電装置10において、実施形態と同様に、電子が広がって進んだと仮定した場合における電子の進行軌跡を示すのが、同図中の点線矢印である。ドラム状の感光体3の湾曲している表面は、その移動方向の中心箇所を帯電装置10に対して近接させているが、移動方向の中心よりも上流側や下流側の箇所については、帯電装置10から比較的離れたところに位置させている。図中の点線矢印からわかるように、帯電ブラシ14の直下で感光体3に向けて真っ直ぐに進まずに、感光体3の回転方向上流側や下流側に広がりながら進む電子は、帯電装置10と感光体3表面とが比較的離れている位置に出る。そして、感光体3の表面に到達しないで、周囲の導電性部材に向けて進む可能性が高くなる。このような電子は、感光体3の帯電に寄与しないので、帯電効率を低下させてり、オゾン発生量を増加させたりする。
【0036】
しかしながら、第2変形例に係るプリンタの帯電装置10では、図示のように、第1面の全領域のうち、感光体表面移動方向における中心側の領域に相当するブラシ対向領域A1には絶縁層12cを被覆していない。このため、感光体表面移動方向の上流側の領域A2や下流側の領域A3に向けて電子が広がり難くなり、電子の放出経路分布が、ブラシ先端からブラシ対向領域A1に向けて真っ直ぐに進む経路に集中する。これにより、上流側の領域A2や下流側の領域A3に広がって進む電子の量を低減することで、帯電効率をより向上させるとともに、オゾン発生量をより低下させることができる。
【0037】
なお、第2変形例や後述する第3変形例に係るプリンタでは、放電開始直後と、その後の安定期(絶縁層12cが十分にチャージアップした状態)とにおける帯電バイアスの差を小さくすることができるという効果も得られる。具体的には、上述したように、帯電ブラシ14に帯電バイアスを印加する電源は、出力電流を定電流制御している。第1実施形態のように、第1面のほぼ全領域を絶縁層12cで被覆した場合、放電開始直後において、絶縁層12cが殆ど帯電していなければ、ブラシ先端から放たれた電子が絶縁層12cに蓄えられていく。これにより、帯電ブラシ14からは比較的良好な電流が発生するので、帯電バイアスが比較的低く抑えられる。その後、絶縁層12cが十分にチャージアップすると、ブラシ先端から放たれた電子は絶縁層12cに付着し難くなる。その分だけ、電子がスリット12aをすり抜け易くなればよいのだが、ブラシ先端におけるスリット12aから比較的離れた箇所では、放たれた電子をスリット12aに良好に通すためには、より高い電圧が必要になる。このため、絶縁層12cが十分にチャージアップすると、まず、ブラシ先端における前記箇所からの放電量が低下して、帯電ブラシ14からの出力電流値が目標値よりも低下する。そして、これに追従して電源が帯電バイアスの電圧をより高くする。こうすることで、ブラシ先端における前記箇所からの放電量が増加して、帯電ブラシ14からの出力電流値が目標値まで戻る。以上のような現象により、放電開始直後と、その後の安定期(絶縁層12cが十分にチャージアップした期間)とで、帯電バイアスに大きな差が発生してしまう。これに対し、第2変形例や後述する第3変形例では、グリッド電極12の第1面におけるケーシング内の領域に、絶縁層12cが存在する領域と、存在しない領域とを設けている。かかる構成では、絶縁層12cが十分にチャージアップしても、第1面における無垢の電極表面に対してブラシ先端からの電子が流れ込むので、定電流制御される帯電バイアスの電位上昇が抑えられるのである。
【0038】
[第3変形例]
図21は、第3変形例に係るプリンタの帯電装置10におけるグリッド電極12を示す斜視図である。また、図22は、第3変形例に係るプリンタの帯電装置10を感光体3とともに示す拡大模式図である。これらの図に示すように、第3変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12における帯電ブラシ14との対向面である第1面に対して、絶縁層12cを次のように被覆している。即ち、第1面の全領域のうち、感光体移動方向における上流側の領域については、絶縁層12cを設けずに、電極層12bの無垢の電極表面にし、且つ、それよりも下流側の領域に絶縁層12cを設けている。このような構成では、帯電装置10における感光体表面移動方向の全領域のうち、上流側の領域でコロナ放電による帯電処理が集中的に行われる。そして、下流側の領域では、上流側の領域で十分に帯電させることができなかった感光体表面箇所に対してだけ放電を発生させて、帯電量の均一化を図る帯電均一化処理が行われる。これにより、帯電ムラの発生をより抑えることができる。
【0039】
なお、グリッド電極12のスリット12aにおける内壁の一部を、導電層12cで覆ってもよいが、図23や図24に示すように、各スリット12aにおける内壁の導電層被覆率を、感光体表面移動方向の上流側から下流側に向けて徐々に高めていくと、上述した帯電均一化処理をよりスムーズに実現させることができる。
【0040】
[第4変形例]
図25は、第4変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図である。このグリッド電極12は、感光体の表面移動方向に直交する方向である感光体軸線方向(図中点線で示す方向)において、第1面における絶縁層12cが次のように被覆されている。即ち、感光体軸線方向の両端部の領域だけに、それぞれ絶縁層12cを設けている。このようにすることで、帯電装置における感光体軸線方向の両端部において、周囲の金属部材へのコロナ放電のリークを抑えることができる。但し、感光体軸線方向における絶縁層12cと無垢の電極層12cとを境にして、感光体表面の電位を急激に変化させてしまう。この急激に変化させる領域を、感光体表面における画像形成領域(図中のA4)で発生させてしまうと、画質を劣化させてしまう。そこで、絶縁層12cと無垢の電極層12bとを境を、感光体における軸線方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域(A4から外れた領域)に対向させている。よって、絶縁層12cと無垢の電極層12bとの境で感光体電位を急激に変化させることによる画質劣化を抑えることができる。
【0041】
これまで、モノクロプリントを行う画像形成装置の例について説明してきたが、1つの感光体の周囲に、互いに異なる色の現像を行う複数の現像装置を配設したり、感光体と現像装置と帯電装置との組合せを複数設けたりして、カラー画像の出力を可能にした画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0042】
以上、実施形態に係るプリンタの帯電装置10においては、潜像担持体たる感光体3に対向する開口と、放電電極たる帯電ブラシ14を収容する空間とを具備する箱状のケーシング11を設け、グリッド電極12として、同開口よりも大きなものを用い、グリッド電極12をケーシング11における開口周囲の箇所に固定し、且つ、グリッド電極12の第1面の全領域のうち、同開口に対向する領域だけに絶縁層12cを設けている。かかる構成では、既に説明したように、絶縁層12cを開口に対向する領域だけに設けることで、低コスト化を図ることができる。
【0043】
また、第1変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12の第1面における少なくとも一部の領域に加えて、複数のスリット12aのうち、同領域内に存在するスリット12aの内壁にも、絶縁層12cを被覆している。かかる構成では、既に説明したように、スリット12a内壁に付着した電子をそこに留めて、実施形態よりも帯電効率の低下やオゾン発生量の増加を抑えることができる。
【0044】
また、第2変形例に係るプリンタにおいては、帯電ブラシ14を感光体3の表面に対向させつつ、同表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設けている。そして、グリッド電極12の第1面の全領域のうち、帯電ブラシ14に真正面で対向する領域であるブラシ対向領域A1よりも感光体表面移動方向の上流側の領域A2と下流側の領域A3とをそれぞれ絶縁層12cで被覆し、ブラシ対向領域A1については、絶縁層12cを設けない電極層12cの無垢の電極表面にしている。かかる構成では、既に説明したように、上流側の領域A2や下流側の領域A3に広がって進む電子の量を低減することで、帯電効率をより向上させるとともに、オゾン発生量をより低下させることができる。
【0045】
また、第3変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12の第1面の全領域のうち、感光体表面移動方向における上流側の領域については、絶縁層12cを設けない電極層12cの無垢の電極表面にし、且つ、同領域よりも下流側の領域に絶縁層12cを設けている。かかる構成では、既に説明したように、下流側の領域では、上流側の領域で十分に帯電させることができなかった感光体表面箇所に対してだけ放電を発生させて、帯電量の均一化を図る帯電均一化処理が行われる。これにより、帯電ムラの発生をより抑えることができる。
【0046】
また、第4変形例に係るプリンタにおいては、グリッド電極12の第1面における感光体軸線方向については、感光体軸線の両端部の領域だけにそれぞれ絶縁層12cを設け、感光体軸線における絶縁層12cと無垢の電極層12bとの境を、感光体の軸線方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域に対向させている。かかる構成では、帯電装置における感光体軸線方向の両端部において、周囲の金属部材へのコロナ放電のリークを抑えつつ、絶縁層12cと無垢の電極層12bとの境で感光体電位を急激に変化させることによる画質劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタの帯電装置を感光体とともに示す斜視図。
【図3】同帯電装置を示す分解斜視図。
【図4】同帯電装置及び同感光体を示す拡大構成図。
【図5】同帯電装置の帯電ブラシを示す分解平面図。
【図6】同帯電ブラシを示す平面図。
【図7】帯電バイアスが印加されていない状態の同帯電ブラシの先端側を示す拡大模式図。
【図8】帯電バイアスが印加された状態の同帯電ブラシの先端側を示す拡大模式図。
【図9】グリッド電極の他の例を示す斜視図。
【図10】従来の帯電装置を示す拡大模式図。
【図11】実施形態に係るプリンタの帯電装置を示す拡大模式図。
【図12】図11よりも帯電バイアス印加後の時間が経過した状態の同帯電装置を示す拡大模式図。
【図13】同帯電装置のグリッド電極のスリット周囲を示す拡大模式図。
【図14】同帯電装置の他の例におけるグリッド電極のスリット周囲を示す拡大模式図。
【図15】第1変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極のスリット周囲の第1例を示す拡大模式図。
【図16】同スリット周囲の第2例を示す拡大模式図。
【図17】同スリット周囲の第3例を示す拡大模式図。
【図18】同スリット周囲の第4例を示す拡大模式図。
【図19】第2変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図。
【図20】同帯電装置を感光体とともに示す拡大模式図。
【図21】第3変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図。
【図22】同帯電装置を感光体とともに示す拡大模式図。
【図23】同帯電装置のグリッド電極の第2例を示す拡大構成図。
【図24】同帯電装置のグリッド電極の第3例を示す拡大構成図。
【図25】第4変形例に係るプリンタの帯電装置におけるグリッド電極を示す斜視図。
【符号の説明】
【0048】
2:光書込装置(潜像書込手段)
3:感光体(潜像担持体)
4:現像装置(現像手段)
10:帯電装置
11:ケーシング
12:グリッド電極
12a:スリット(貫通口)
12b:電極層
12c:絶縁層
14:帯電ブラシ(放電電極)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極と、該放電電極に対向する複数の貫通口を具備するグリッド電極とを有し、画像形成装置の潜像担持体に対して、該グリッド電極を介して該放電電極を対向させた状態で、該放電電極と該グリッド電極とに互いに異なる値の電圧を印加しながら、該放電電極から該グリッド電極の貫通口を経由して該潜像担持体に至る放電を生じせしめて該潜像担持体の移動する表面を一様に帯電させる帯電装置において、
上記グリッド電極における、上記放電電極との対向面である第1面と、上記潜像担持体との対向面である第2面とのうち、該第1面における少なくとも一部の領域を絶縁性材料からなる絶縁層で被覆し、且つ、該第2面を、絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1の帯電装置において、
上記潜像担持体に対向する開口と、上記放電電極を収容する空間とを具備する箱状のケーシングを設け、上記グリッド電極として、該開口よりも大きなものを用い、該グリッド電極を該ケーシングにおける開口周囲の箇所に固定し、且つ、上記第1面の全領域のうち、該開口に対向する領域だけに上記絶縁層を設けたことを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項1又は2の帯電装置において、
上記第1面の少なくとも一部の領域に加えて、複数の上記貫通口のうち、該領域内に存在する貫通口の内壁にも、上記絶縁層を被覆したことを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、
上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、
上記第1面の全領域のうち、該放電電極に真正面で対向する領域である放電電極対向領域よりも該移動方向の上流側の領域と下流側の領域とをそれぞれ上記絶縁層で被覆し、
且つ、該放電電極対向領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、
上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、
上記第1面の全領域のうち、該移動方向における上流側の領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にし、且つ、該領域よりも下流側の領域に上記絶縁層を設けたことを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、
上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向である直交方向に延在させる姿勢で設け、
上記第1面における該直交方向については、該直交方向の両端部の領域だけにそれぞれ上記絶縁層を設け、
且つ、該直交方向における該絶縁層と、該絶縁層の被覆のない導電性材料からなる表面との境を、該潜像担持体における該直交方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域に対向させたことを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電手段と、一様帯電後の表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、該潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、
上記帯電手段として、請求項1乃至6の何れかのものを用いたことを特徴とする帯電装置。
【請求項1】
放電電極と、該放電電極に対向する複数の貫通口を具備するグリッド電極とを有し、画像形成装置の潜像担持体に対して、該グリッド電極を介して該放電電極を対向させた状態で、該放電電極と該グリッド電極とに互いに異なる値の電圧を印加しながら、該放電電極から該グリッド電極の貫通口を経由して該潜像担持体に至る放電を生じせしめて該潜像担持体の移動する表面を一様に帯電させる帯電装置において、
上記グリッド電極における、上記放電電極との対向面である第1面と、上記潜像担持体との対向面である第2面とのうち、該第1面における少なくとも一部の領域を絶縁性材料からなる絶縁層で被覆し、且つ、該第2面を、絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1の帯電装置において、
上記潜像担持体に対向する開口と、上記放電電極を収容する空間とを具備する箱状のケーシングを設け、上記グリッド電極として、該開口よりも大きなものを用い、該グリッド電極を該ケーシングにおける開口周囲の箇所に固定し、且つ、上記第1面の全領域のうち、該開口に対向する領域だけに上記絶縁層を設けたことを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項1又は2の帯電装置において、
上記第1面の少なくとも一部の領域に加えて、複数の上記貫通口のうち、該領域内に存在する貫通口の内壁にも、上記絶縁層を被覆したことを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、
上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、
上記第1面の全領域のうち、該放電電極に真正面で対向する領域である放電電極対向領域よりも該移動方向の上流側の領域と下流側の領域とをそれぞれ上記絶縁層で被覆し、
且つ、該放電電極対向領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にしたことを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、
上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向に延在させる姿勢で設け、
上記第1面の全領域のうち、該移動方向における上流側の領域については、上記絶縁層の被覆のない、導電性材料からなる表面にし、且つ、該領域よりも下流側の領域に上記絶縁層を設けたことを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかの帯電装置において、
上記放電電極を、上記潜像担持体の表面に対向させつつ、該表面の移動方向に直交する方向である直交方向に延在させる姿勢で設け、
上記第1面における該直交方向については、該直交方向の両端部の領域だけにそれぞれ上記絶縁層を設け、
且つ、該直交方向における該絶縁層と、該絶縁層の被覆のない導電性材料からなる表面との境を、該潜像担持体における該直交方向の全領域のうち、画像形成に寄与しない領域に対向させたことを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電手段と、一様帯電後の表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、該潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、
上記帯電手段として、請求項1乃至6の何れかのものを用いたことを特徴とする帯電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−60913(P2010−60913A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227276(P2008−227276)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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