説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】経済性に優れ、FCOTを短くでき、装置の大型化が抑えられる構造で、画像流れや画像ぼけを防止できる構造を実現する。
【解決手段】帯電器2と感光ドラム1との間に、巻き取り可能な遮蔽部材18を配置する。遮蔽部材18は、第2シート部20bと第3シート部20cとからなり、巻き取り手段22により第1シート部20aを介して、これら両シート部20b、20cの接続部から巻き取り可能としている。遮蔽状態では、これら両シート部20b、20cの表面を帯電器2側に対向させ、退避状態では、これら両シート部20b、20cの表面同士が重なるように巻き取られる。このため、退避状態でも、遮蔽部材18の帯電器2側の面が感光ドラム1側の面と接触することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体上にトナー像を形成し、このトナー像を記録材に静電的に転写するようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式あるいは静電記録方式の画像形成装置では、感光体である電子写真感光体(以下、感光ドラム)を所定の極性、電位に一様に帯電する帯電手段として、コロナ帯電器(一次帯電器)が用いられる場合がある。即ち、感光ドラムにコロナ帯電器を非接触に対向配置して、コロナ帯電器のコロナ放電によって発生するコロナイオンにより、感光ドラム表面を所定の極性、電位に一様に帯電処理する。このようなコロナ帯電器は、略長方形の1面が開放されるように形成された箱状のシールド電極(ケーシング)内にワイヤを設置し、シールド電極を接地すると共にワイヤに電圧を印加してコロナ放電を生じさせるものである。
【0003】
また、画像形成装置では、上述の感光ドラムを帯電するためのコロナ帯電器(一次帯電器)以外にも、複数のコロナ帯電器が用いられる場合がある。例えば、感光ドラム上の帯電したトナー像(トナー)の電荷極性を強めるためのコロナ帯電器(転写前帯電器)がある。更には、感光ドラム上のトナー像を記録材に転写させるためのコロナ帯電器(転写帯電器)、トナー像が転写された記録材を除電して感光ドラム表面から分離させるためのコロナ帯電器(分離帯電器)などもある。これら各コロナ帯電器は、感光ドラムの周囲に感光ドラムの表面と対向して配置される。
【0004】
このようなコロナ帯電器は、その動作時にオゾンOや窒素酸化物NO等の放電生成物を生成する。そして、これらの放電生成物が、放電エネルギー及び大気中のガス、水分等に作用することにより、感光ドラム表面に窒素化合物、アルデヒド基、カルボキシル基、OH基等の親水性の化合物が付着する。付着した化合物(以下、放電生成物)は、大気中の水分を吸湿し、その結果、感光ドラムの表面抵抗が低下してしまい、静電潜像が欠落する、いわゆる「画像流れ」や「画像ぼけ」現象を引き起こす場合がある。
【0005】
ところで、画像形成動作中に発生し、感光ドラム上に付着した放電生成物は、感光ドラムの回転動作により感光ドラムの周囲に配置されたクリーニング装置まで運ばれ、トナーと共に除去される。あるいは、エアフローによりエアダクトフィルターに運ばれて、フィルター部で除去される。したがって、画像形成動作中には、感光ドラム上に帯電性生物が堆積することはなく、画像流れも発生しない。
【0006】
しかし、画像形成動作中にコロナ帯電器内(ケーシング内)に徐々に付着して堆積した放電生成物は、画像形成装置の停止中に、帯電器から感光ドラム上に落下して、帯電器下の感光ドラム表面に帯状に堆積する場合がある。また、画像形成動作中に生成された放電生成物は、コロナ帯電器内を浮遊し、画像形成装置の停止中に感光ドラムの表面に付着する場合もある。特に長期停止時や夜間の一晩放置等では、感光ドラム表面に付着した放電生成物の吸湿が十分に進んでしまう。このため、長期停止後の初期の画像形成動作では、画像流れや画像ぼけが発生し易くなる。また、放電生成物が感光ドラム表面に帯状に堆積していた場合には、帯状に画像欠落した画像流れや画像ぼけが生じる場合がある。
【0007】
一方、画像流れや画像ぼけが生じる要因の1つは、前述したように、感光ドラム上に付着した親水性の化合物である放電生成物が吸湿することである。このため、感光ドラムの表面温度を周辺環境温度以上にしておくことで、この吸湿を防ぐことが可能になる。このため、感光ドラムの内面にヒータ(以下、ドラムヒータという)を配置し、画像形成中、もしくは画像形成停止中、常に発熱させることで、感光ドラム表面を加熱し、周辺環境温度以上になるようにし、親水性の化合物が吸湿することを防ぐことが考えられる。但し、このように、ドラムヒータを常にONにする制御では、待機状態でも電力が消費されるため、不経済である。また、低湿環境下にある場合や、画像形成動作時でも定着器からの熱で、感光ドラムが十分な温度に保たれている場合など、ドラムヒータなしの状態でも画像流れが発生しない状況下では、無駄な電力を消費してしまっていることになり、やはり不経済である。
【0008】
一方、上述のようなドラムヒータを使用しないで画像流れを防止する方法として、画像形成動作前に、空回転動作を十分に入れて、長期停止中に、感光ドラム上に堆積した放電生成物を除去してから画像形成動作を開始することが考えられる。即ち、空回転動作を行うことにより、感光ドラムの周囲に配置されたクリーニング装置により感光ドラム上の放電生成物を除去する。その後、画像形成動作を行えば画像流れが生じることを防止できる。但し、この場合、長期放置中に堆積した放電生成物を除去するための空回転時間は、通常、数分程度は必要であり、FCOT(First Copy Out Time)を短くすることが強く求められる近年においては、望ましい方法とは言えない。なお、FCOTとは、例えば、装置のスリープ状態からスタートボタンを押して1枚目のコピーが出てくるまでの時間である。
【0009】
これに対して、予め、長期停止時は、帯電器と感光ドラムとの間に遮蔽部材を挿入し、帯電器から感光ドラム上へ付着物が落下するのを防止する構造が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された構造の場合、帯電器と感光ドラムとの間に板状の遮蔽部材を挿入自在に配置している。即ち、遮蔽部材を、帯電器と感光ドラムとの間を遮蔽する遮蔽位置とこの間から退避する退避位置との間でスライド移動自在としている。通常の運転時には遮蔽部材を退避位置に位置させる。一方、長期停止時などには遮蔽部材を遮蔽位置に位置させ、放電生成物が感光ドラムに付着することを防止している。このような特許文献1に記載された構造の場合、ドラムヒータを使用しなくても良いため、経済性は良い。また、スリープ状態からの立ち上げ時に遮蔽部材を遮蔽位置から退避位置に移動させるだけであるため、FCOTも短くできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−72212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
但し、上述の特許文献1に記載された構造の場合、遮蔽部材を退避させる退避位置を感光ドラムの周囲に設ける必要がある。即ち、特許文献1に記載された構造の場合、遮蔽部材を感光ドラムの接線方向に移動させているため、退避位置が感光ドラムの周囲に存在する。この感光ドラムの周囲には、帯電器以外に、露光装置、現像装置、クリーニング装置などの各種装置が配置されるため、上述のような退避位置を確保した場合、装置が大型化する。なお、このように各種装置が配置される感光ドラムの周囲を避けるため、退避位置を感光ドラムの長手方向に外れた位置としても、やはり装置が大型化することが避けられない。
【0012】
これに対して、遮蔽部材をシート状とし、シートを巻き取ることによりこのシートを帯電器と感光ドラムとの間から退避させることが考えられる。このように構成すれば、シートを巻き取る手段を感光ドラムの長手方向に外れた位置に配置しても、装置の大型化を抑えられる。但し、このような構成の場合、巻き取り時にシートの帯電器側の面が感光ドラム側の面と接触してしまう。即ち、巻き取り時に例えばボビンの周囲にシートを巻きつけていくが、1周した後は、シートの感光ドラム側の面上に帯電器側の面が重なるように巻きつけられ、シートの帯電器側の面が感光ドラム側の面と接触する。
【0013】
この場合、シートの帯電器側の面には、長期停止時に放電生成物が堆積しているため、この放電生成物がシートの感光ドラム側の面に付着してしまう。シートの感光ドラム側の面に付着した放電生成物は、遮蔽状態とするためにシートを帯電器と感光ドラムとの間に挿入する際、シートの感光ドラム側の面と感光ドラムの表面とが接触して、感光ドラム上に転移する可能性がある。そして、放電生成物が感光ドラム上に転移した場合には、画像流れや画像ぼけを発生させる。なお、シートを巻き取るボビンを大きくしてシートを1周のみで巻き取ることも考えられるが、この場合、装置の大型化が避けられない。
【0014】
そこで、シートの材料として、化学的に放電生成物を吸着する材料や、形状的に放電生成物をトラップする材料、または放電生成物を分解するような材料を使用することが考えられる。このような材料として、例えば、表面がポーラスな発泡ポリウレタンシートがある。ポリウレタンシートでは一度付着した放電生成物が転移しにくいことが確認されている。しかし、ポリウレタンは難燃性が低く、このような材料を帯電器の近傍で使用することは好ましくない。
【0015】
帯電器の近傍で使用する材料としては、酸、アルカリ、炭化水素系溶剤などの薬品に耐性があり、難燃性が高く、薄いシート状でも機械的性能(強度など)が高い物性を有するような素材が好ましい。このような材料として、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フェノール樹脂、アラミド樹脂などのような化学的に安定な樹脂が挙げられる。但し、このような樹脂材料製のシートは、堆積した放電生成物の付着力が弱く転移し易い。
【0016】
本発明者は、このような材料製のシートを使用して次のような実験をした。即ち、シートの表面に放電生成物を付着させ、この表面を放電により被爆した。そして、このシートの表面と裏面とを重ねてしばらく放置した後、シートの裏面を感光ドラムの表面に当接させた状態で一晩放置した。その後、この感光ドラムにより画像形成を行うと、画像流れが生じた。この結果、上述の材料を使用した場合、放電生成物物がシートの表面から裏面に、更に裏面から感光ドラム表面に転移したことが分かった。
【0017】
本発明は、このような事情に鑑み、経済性に優れ、FCOTを短くでき、装置の大型化が抑えられる構造で、画像流れや画像ぼけを防止できる構造を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、静電潜像が形成される感光体に対向して配置された帯電手段と、該感光体と該帯電手段との間を遮蔽する遮蔽部材と、該遮蔽部材を、該感光体と該帯電手段との間を遮蔽する遮蔽状態とこの間から退避する退避状態とを可能に配置するための駆動手段と、を備えた帯電装置において、前記駆動手段は、前記遮蔽部材の前記遮蔽状態と前記退避状態との移行を前記感光体の長手方向に行い、前記遮蔽部材は、少なくとも長手方向に対を成すように複数に区画され、前記退避状態への移行に伴って、該対の前記帯電手段側の表面同士が対向されるように格納されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、退避状態への移行に伴って、遮蔽部材を長手方向に複数に区画された対となる表面同士を対向させるように格納するため、装置の大型化を抑えられる。また、遮蔽部材の帯電手段側の表面と遮蔽状態での感光体側の裏面とが接触しない。このため、遮蔽部材を退避状態から遮蔽状態とする際に、遮蔽部材の感光体側の裏面と感光体の表面とが接触しても、放電生成物が像担持体の表面に付着することを防止でき、画像流れや画像ぼけを防止できる。更に本発明は、放電生成物の付着を遮蔽手段により防止しているため、長期停止時にドラムヒータをONしたり、画像形成前に空回転動作を入れる必要がない。このため、経済性に優れ、FCOTを短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用する画像形成装置の感光ドラム周辺の構成を示す概略図。
【図2】感光ドラムの断面構成を示す模式図。
【図3】第1の実施形態に係る帯電装置を示す概略構成図。
【図4】同じく帯電装置の断面図。
【図5】巻き取り手段及び遮蔽部材の概略構成を示す斜視図。
【図6】遮蔽状態から退避状態への移行状態を順に示す帯電装置の概略構成図。
【図7】第2の実施形態に係る帯電装置を示す概略構成図。
【図8】同じく帯電装置断面図。
【図9】格納手段及び遮蔽部材の概略構成を示す平面図。
【図10】同じく斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
図1ないし6は、本発明の第1の実施形態を示している。まず、図1により本実施形態に係る、電子写真方式のレーザプリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置について説明する。本画像形成装置は、駆動装置(不図示)の駆動によって所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向(時計方向)に回転駆動される、感光体である感光ドラム1を備えている。感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1の回転方向に沿って一次帯電器2、電位センサ3、現像装置4、転写前帯電器5、転写帯電器6、分離帯電器7、クリーニング装置8、除電露光ランプ9が配置されている。このうちの感光ドラム1は、直径が80mmで光導電層をa−Si(アモルファスシリコン)により構成したものである。即ち、感光ドラム1は、図2に示すように、導電性材料のアルミニウムからなる円筒状の基体上に阻止層、光導電層(I,II)及び表面層を順次積層して構成されている。光導電層(I,II)は、シリコーン原子が水素原子及びハロゲン原子を含むアモルファスシリコン材料を主体にして形成されている。また、感光ドラム1の内側にはドラムヒータ10が配設されており、空気中の絶対水分量が一定値以上の環境化では、通紙中にドラムヒータ10への通電をONする。これにより、感光ドラム1表面を加熱し、放電生成物の感光ドラム1への付着を防止する。なお、ドラムヒータ10は、長期停止中にはONされない。
【0022】
感光ドラム1の表面は、一次帯電器2により所定の極性、電位に帯電される。この一次帯電器2は、略長方形の1面が開放されるように形成された箱状のシールド電極(ケーシング11)内にワイヤ12を設置し、ケーシング11を接地すると共にワイヤ12に電源S1から帯電バイアスを印加してコロナ放電を生じさせるコロナ帯電器である。図示の例の場合、2本のワイヤ12を設置し、ワイヤ12同士の間にシールド板13を設置している。また、本実施形態では、一次帯電器2としてケーシング11の開口部にグリッド電極14を配置したスコロトロンを使用している。このような一次帯電器2は、感光ドラム1に非接触に対向配置され、電源S1からワイヤ12に帯電バイアスを印加し、電源S2からグリッド電極14にグリッドバイアスを印加することにより、感光ドラム1表面を所定の極性、電位に帯電する。
【0023】
帯電された感光ドラム1表面には、露光装置15から画像情報に応じた画像露光Lが付与される。これにより、感光ドラム1表面の電位が露光された部分で低下し、感光ドラム1表面に入力される画像情報に応じた静電潜像が形成される。また、帯電された感光ドラム1の表面電位を、電位センサ3により測定する。そして、この測定電位に基づいて一次帯電器2による帯電量を制御する。また、露光装置15により感光ドラム1表面に形成された静電潜像は、現像装置4により感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させて、トナー像として可視像化する。そして、トナー像は、転写前帯電器5により電荷極性をさらに強められた後、所定のタイミングで、トナーと逆極性の転写バイアスを転写帯電器6に印加することにより記録材Pに転写される。なお、記録材Pへの転写は、転写ローラにより行う場合もある。
【0024】
トナー像が転写された記録材Pは、分離帯電器7により除電されることにより感光ドラム1から分離される。その後、記録材Pは、搬送装置16により定着器17に搬送される。そして、この定着器17により加熱及び加圧されることにより、記録材Pにトナー像が定着され、その後、記録材Pが装置の外部に排出される。一方、トナー像転写後の感光ドラム1表面に残留している転写残トナーは、クリーニング装置8によって除去されて回収される。また、感光ドラム1表面の残留電荷は除電露光ランプ9により除去され、次の画像形成動作に備える。
【0025】
本実施の形態では、一次帯電器2に加えて、転写前帯電器5、転写帯電器6、分離帯電器7も、コロナ帯電器である。そして、これら各コロナ帯電器の全て或は少なくとも1個に、次述する遮蔽部材18を設けている。この遮蔽部材18は、感光ドラム1とコロナ帯電器との間を遮蔽して、コロナ帯電器により生成される放電生成物が感光ドラム1の表面に付着することを防止するものである。なお、遮蔽部材18は、装置の設置状態で、感光ドラム1の上側に配置されるコロナ帯電器に、特に設けることが好ましい。以下、代表して、一次帯電器(以下、単に「帯電器」と言う)2に遮蔽部材18及び駆動手段19を設けた帯電装置について、図3〜6を参照して説明する。
【0026】
本実施形態では、図3に示すように、感光ドラム1と帯電器2との間を遮蔽する遮蔽部材18を、シート状の部材とし、このシート状の部材を駆動手段19により感光ドラム1の長手方向に巻き取り可能としている。このシート状の部材は、図5に示すように、例えば、1枚のシートの長手方向中間部に別のシートの端部を熱などにより接着して、全体を略Y字状に形成する。したがって、シート状の部材は、第1シート部20a、第2シート部20b、第3シート部20cからなる。本実施形態では、第1シート部20aと第3シート部20cとを1枚のシートにより構成し、このシートの中間部、即ち、第1、第3シート部20a、20cの端部同士が接続される部分に第2シート部20bの端部を接着している。これら各シート部20aないし20cはそれぞれ同じ幅を有する。また、これら各シート部20aないし20cを構成するシート部材の材料として、薬品に耐性があり(化学的に安定で)、難燃性が高く、薄いシート状でも機械的性能(強度など)が高い物性を有する素材を使用する。例えば、厚さ30μmのエチレンビニルアセテートを使用する。また、第1シート部20aと第3シート部20cとからなる1枚のシートの長さは、例えば50mmとし、帯電器2のケーシング11の開口部の長さ(例えば44mm)に対し少し長くする。
【0027】
また、遮蔽部材18は、このうちの第2シート部20bと第3シート部20cとから構成され、第1シート部20aは、次述する巻き取り手段22を構成する。したがって、遮蔽部材18は、第2シート部20b及び第3シート部20cにより帯電器2のケーシング11の開口部を覆う。また、第2シート部20bと第3シート部20cとが、長手方向に対を成すように区画された部分である。また、第2シート部20bの先端、即ち、遮蔽部材18の基端を、帯電器2の長手方向片側(図3、6の左側)の端部、又は、この端部よりも長手方向片側の固定部分(帯電器2に固定された部分)に固定する。また、第1シート部20aの基端は、第2シート部20bと第3シート部20cから構成される遮蔽部材18の長手方向中央に接続される。なお、各シート部20aないし20cの長さは、次述する巻き取り手段22による巻き取り量や、配置位置を考慮して定める。即ち、第2シート部20b及び第3シート部20cにより帯電器2のケーシング11の開口部を覆うことができ、巻き取り時に第3シート部20cの表面をほぼ第2シート部20bにより覆えれば良い。したがって、このような条件を満たせば、第1シート部20aの基端を接続する部分は、遮蔽部材18の長手方向中央部を含む長手方向の所定の範囲(長手方向中間部)の何れかの部分で良い。
【0028】
また、駆動手段19は、移動手段21と巻き取り手段22とを備える。このうちの移動手段21は、帯電器2の長手方向片側の端部で感光ドラム1と反対側に配置されたモータ23と、このモータ23の回転により帯電器2の長手方向に移動する移動部材24とを備える。モータ23の回転軸にはウォーム25が固定され、このウォーム25との係合により回転するリードスクリュー26が帯電器2の感光ドラム1と反対側に長手方向に配置される。このリードスクリュー26には、移動部材24に設けた雌ねじ部28を螺合している。したがって、制御部27の指令によりモータ23によりウォーム25が回転すると、この回転がリードスクリュー26に伝達されこのリードスクリュー26が回転する。そして、リードスクリュー26との係合により移動部材24がこのリードスクリュー26に沿って、帯電器2の長手方向両端部間を移動する。なお、このように移動部材24を移動させる機構は、上述した以外に、例えばラックアンドピニオンのような他の機構であっても良い。ラックアンドピニオンとする場合、例えば、ピニオンとこのピニオンを駆動する駆動源とを移動部材24に設け、ラックをリードスクリュー26の位置に長手方向に配置する構造が考えられる。
【0029】
また、移動手段21は、帯電器2のワイヤ12に付着した異物を除去する除去手段も移動させる。即ち、ワイヤ12にも放電生成物が付着して、放電の均一性が劣化するのを防止するため、この付着物を除去するクリーナをワイヤに沿って移動させる構造がある。したがって、このようなクリーナの移動も移動手段21により兼ねれば、遮蔽部材18の先端を移動させるための手段を別途設ける必要がなく、既存の構造を使用可能である。
【0030】
移動部材24は、図4に示すように、帯電器2の感光ドラム1と反対側に配置される雌ねじ部28と、この雌ねじ部28から帯電器2を覆うように延出された1対の腕部29とからなる。両腕部29は、帯電器2の感光ドラム1と反対側の側面に長手方向に亙って設けたレール30上に載置されている。したがって、リードスクリュー25の回転により移動部材24がレール30に沿って移動する。また、両腕部29は、帯電器2よりも感光ドラム1側にまで延出され、その先端部に遮蔽部材18の先端、即ち、第3シート部20cの先端を固定している。したがって、遮蔽部材18の先端がこの移動部材24と共に、帯電器2の長手方向に移動する。
【0031】
巻き取り手段22は、帯電器2よりも長手方向片側に配置され、ボビン31内にゼンマイを配置してなる。そして、ゼンマイの張力によりボビン31が回転するように構成している。なお、このような巻き取り手段22として、例えば、モータ23の駆動力を利用してボビン31を回転させたり、或は、別途モータを設けてボビン31を回転させる構成としても良い。このように回転するボビン31には、第1シート部20aの先端を固定している。したがって、例えばボビン31が図3の時計方向に回転すると、第1シート部20aが図3の左方に引き込まれる。そして、この第1シート部20aの移動に伴い、第2シート部20b及び第3シート部20cが互いの接続部、即ち、遮蔽部材18の長手方向中間部から図3の左方に引き込まれる。なお、図3に示すように、ボビン31とケーシング11との間にガイドローラ41を設け、遮蔽部材18がボビン31に巻き取られる案内をしている。
【0032】
本実施形態の場合、感光ドラム1と帯電器2との間を遮蔽部材18により遮蔽する遮蔽状態では、モータ23によりリードスクリュー26を回転させる。そして、図6(a)に示すように、移動部材24と共に遮蔽部材18の先端を帯電器2の長手方向他側(図3、6の右側)に移動させる。この際、遮蔽部材18を、ボビン31をゼンマイの張力に反して回転させることにより巻き取り手段22から引き出す。これにより、遮蔽部材18の先端である第3シート部20cの先端が、帯電器2のケーシング11の開口部の長手方向他端部よりも他側に位置する。遮蔽部材18の基端である第2シート部20bの先端は帯電器2の長手方向片端部に固定されているため、第2シート部20b及び第3シート部20cの表面がケーシング11の開口部に対向する。また、第1シート部20aも巻き取り手段22から引き出され、第2シート部20bと重なった状態となる。したがって、第1シート部20aの表面は第2シート部20bにより覆われ、ケーシング11とは対向しない。このような遮蔽状態は、例えば、スリープ状態に入るときなど長期停止時であると図示しないCPUが判断した場合に、制御部27の指令でモータ23を駆動することにより行う。
【0033】
次に、感光ドラム1と帯電器2との間から遮蔽部材18を退避させる退避状態では、図6(a)の状態から図6(b)、図6(c)の状態へ順次移行する。例えば、スリープ状態からの立ち上げ時など長期停止時からの立ち上がり時に、制御部27の指令によりモータ23を、遮蔽状態に移行する場合と逆方向に駆動する。これによりリードスクリュー26が遮蔽状態に移行する場合と逆方向に回転し、移動部材24と共に遮蔽部材18の先端が帯電器2の長手方向片側に移動する。この際、ボビン31がゼンマイの張力により回転し、第1シート部20aが引き込まれる。この結果、遮蔽部材18が、第1シート部20aが接続された長手方向中間部で区画される部分である第2シート部20bと第3シート部20cとの接続部から、巻き取り手段22に引き込まれる。そして、図6(b)に示すように、第2シート部20bが折り曲げられ、それぞれが帯電手段側の表面同士である、第2シート部20bの表面が第3シート部20cの表面に徐々に重なっていく。そして、巻き取り終了時には、図6(c)に示すように、第2シート部20bと第3シート部20cとの表面同士がほぼ重ねられた状態で格納される。言い換えれば、遮蔽部材18は、退避状態の移行に伴って、長手方向の長さが遮蔽状態よりも短くなるように、且つ、遮蔽状態での帯電器2側の表面同士が対向するように格納される。
【0034】
このように遮蔽部材18を巻き取ることにより、ボビン31に巻き取られた遮蔽部材18の裏面が同じく表面と接触することを防止できる。即ち、ボビン31が1回転すると、遮蔽部材18の裏面である第1シート部20a及び第3シート部20cの裏面が最外周に存在する。そして、更にボビン31を回転させると、まず、この面に第1シート部20aの表面が接触し、次いで第2シート部20bの裏面が接触して、巻き取りが完了する。このため、遮蔽状態で帯電器2と対向していた第2シート部20b及び第3シート部20cの表面が、遮蔽状態で感光ドラム1に対向する第1シート部20a及び第3シート部20cの裏面と接触することがない。
【0035】
一方、遮蔽部材18を再度遮蔽状態に移行させる場合、移動手段21により第3シート部20cの先端が巻き取り手段22から引き出される。この際、第3シート部20cの表面が第2シート部20bの表面から剥がされつつ、第3シート部20cが引き出され、更に引き出すと、第2シート部20bが第1シート部20aの表面を覆うように変形しつつ引き出される。そして、再度、上述した遮蔽状態となる。このように、遮蔽部材18を巻き取り手段22から引き出す際にも、第2シート部20b及び第3シート部20cの表面と第1シート部20a及び第3シート部20cの裏面とが接触することはない。
【0036】
本実施形態によれば、退避状態への移行に伴って、遮蔽部材18を長手方向に区画された第2シート部20bと第3シート部20cとの表面同士を対向させるように格納するため、装置の大型化を抑えられる。また、遮蔽部材18の第2シート部20bと第3シート部20cとの表面が、遮蔽状態で第1シート部20a及び第3シート部20cの裏面と接触しない。このため、遮蔽部材18を退避状態から遮蔽状態とする際に、第1シート部20a及び第3シート部20cの裏面と感光ドラム1の表面とが接触しても、放電生成物が像担持体の表面に付着することを防止でき、画像流れや画像ぼけを防止できる。
【0037】
即ち、本実施形態の場合、前述したように、遮蔽部材18の材料として、エチレンビニルアセテートを使用しているが、このような材料は、付着した放電生成物が転移し易い。したがって、遮蔽状態で放電生成物が付着した第2シート部20b及び第3シート部20cの表面が、退避状態で第1シート部20a及び第3シート部20cの裏面と接触した場合、放電生成物がこの裏面に転移する場合がある。そして、退避状態から再度遮蔽状態とした場合に、この裏面が感光ドラム1に接触した場合には、この裏面に付着した放電生成物が感光ドラム表面1に付着して、画像流れや画像ぼけが生じる可能性がある。これに対して本実施形態では、退避状態で第2シート部20b及び第3シート部20cの表面が、退避状態で第1シート部20a及び第3シート部20cの裏面と接触しないため、このような問題が生じることを防止できる。このため、本実施形態では、遮蔽部材18として、化学的に安定で、且つ難燃性の材料を、放電生成物の転移を気にすることなく使用できる。
【0038】
更に本実施形態では、放電生成物の付着を遮蔽手段18により防止しているため、長期停止時にドラムヒータをONしたり、画像形成前に空回転動作を入れる必要がない。このため、経済性に優れ、FCOTを短くできる。
【0039】
なお、本実施形態では、遮蔽部材18の長手方向中央部を巻き取り手段22に引き込むために、第1シート部20aをこの長手方向中間部に接続する構成としているが、別の構造も採用可能である。例えば、この第1シート部20aに変えて、例えば、糸、テグスなどを遮蔽部材18の長手方向中央部に固定し、この糸やテグスを介して巻き取り手段22により巻き取るようにしても良い。この場合、第2シート部20bと第3シート部20cに相当する部分は、1枚のシートにより構成する。
【0040】
また、上述の説明では、遮蔽部材18として、エチレンビニルアセテートを採用したが、これ以外にも、以下の材料を使用可能である。即ち、樹脂材料としては、ポリカーボネート,フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体。また、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体。また、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体。また、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)。また、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、酸化アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂。また、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン。また、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂。また、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、変性ポリカーボネート等、上述の各樹脂材料からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用できる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0041】
また、弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、ブチルゴム,フッ素系ゴム,アクリルゴム,EPDM,NBR,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム。また、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム。また、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム。また、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア,ポリエステル系、フッ素樹脂系)等、上述の各弾性材料からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用できる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0042】
また、金属材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、酸化チタン、SUS、酸化錫等を薄膜化した物、上記樹脂材料や弾性材料にそれら金属を蒸着した物、又は薄膜を全面または一部に貼り付けてもよい。ただし、蒸着や貼り付ける金属は上記に限定されるものではない。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図7ないし図10により説明する。尚、本実施形態は、遮蔽部材18aの構造及びこの遮蔽部材18aを格納する部分の構造が、上述の第1の実施形態と異なる。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と同様であるため、以下、異なる部分を中心に説明する。本実施形態の遮蔽部材18aは、第1の実施形態と同様の材料により形成されたシート部材32の片側面に、厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレート(PET)製の複数の板材33を並べて配置したものである。なお、これら各板材33に関しても、上述の第1の実施形態で述べた遮蔽部材の材料を適宜選択して使用できる。これら各板材33は、シート部材32の幅方向の長さがこのシート部材32の幅と同じであり、シート部材32の長手方向の長さは、板材33同士で互いに同じとしている。また、これら各板材33は等間隔に僅かな隙間をあけた状態で敷き詰めても良いし、1個置きに隙間の大きさを変えても良い。何れにしても、シート部材32の片面に接着などにより固定し、各板材33同士の間でシート部材32が折れ曲がるようにする。本実施形態では、これら各板材33同士の間部分が複数の折れ曲がり部となる。
【0044】
また、各板材33の幅方向(図9の上下方向)両端部の長さ方向(図9の左右方向)中央部に、それぞれ1個ずつ孔34を形成している。また、シート部材32のこれら各孔34に対応する位置にも孔が形成されている。但し、シート部材32の先端(図9の右端)に存在する板材33には孔34を形成していない。そして、テグス35を、幅方向片側毎に並べて配置される各孔34に1本ずつ、合わせて2本、長手方向に亙り、各板材33及びシート部材32の表と裏とから交互に通している。それぞれのテグス35の先端は、シート部材32の先端から2枚目に配置された板材33に固定し、先端に配された板材33には固定していない。この先端の板材33は、後述する格納時に遮蔽部材18aがレール38から脱落しないように、少なくとも一部がこのレール38に留まるようにしているため、テグス35を固定する必要はない。勿論、先端の板材33にテグス35を固定することもできる。一方、テグス35の基端は、格納手段36を構成するボビン31に固定している。このボビン31は、内部にゼンマイを設けたりモータにより駆動することにより回転可能としている。そして、ボビン31が回転することにより、テグス35が巻き取られ、遮蔽部材18aが板材33同士の間部分で折り曲げられながら、折りたたまれる。
【0045】
また、本実施形態の場合、駆動手段19aは、遮蔽部材18aの先端を帯電器2の長手方向両端部間を移動させる移動手段21aと、遮蔽部材18aを各折れ曲がり部で折り曲げて帯電器2よりも長手方向片側に格納する格納手段36とを備える。格納手段36は、帯電器2よりも長手方向片側(図7、9の左側)に配置され、上述のボビン31と、遮蔽部材18aの厚さ方向に互いに対向し、長手方向片側に向かう程間隔が広くなるように配置された1対のガイド部37とを備える。両ガイド部37同士の間隔は、長手方向他端部(図7、9の右端部)では、シート部材32と板材33と合わせた厚さよりも僅かに大きくし、長手方向片端部では、板材33の長さ方向の長さよりも大きくしている。そして、遮蔽部材18aが、両ガイド部37の長手方向他端部を通過する場合には折り曲げられることを規制し、両ガイド部37の長手方向方端部を通過する場合には折り曲げられることを許容している。
【0046】
また、感光ドラム1と帯電器2との間には、帯電器2の幅方向両端部にそれぞれ長手方向に亙ってレール38をそれぞれ配設している。これら両レール38は、互いに対向する側が開口するように形成されており、それぞれの開口内に遮蔽部材18aの幅方向両端部を配置し、この遮蔽部材18aの移動を案内している。両レール38の長さは帯電器2のケーシング11の開口部長手方向の長さよりも長く、遮蔽部材18aがこれら両レール38内に配置された状態では、このケーシング11の開口部が遮蔽部材18aにより覆われる。なお、レール38の長手方向片端部をケーシング11の開口部片端部よりも片側に位置させ、格納時に遮蔽部材18aの先端の板材33の一部がレール38に留まっても、この部分が、ケーシング11の開口部から外れるようにしている。また、両レール38の長手方向片端部よりも片側に両ガイド部37を配置している。したがって、両ガイド部37は、レール38とボビン31との間に配置される。
【0047】
また、移動手段21aは、帯電器2の感光ドラム1と反対側に配置され、移動部材24aに遮蔽部材18aの先端を固定している。したがって、モータ23の駆動により、遮蔽部材18aの先端が移動部材24aと共に帯電器2の長手方向に移動する。なお、移動部材24aを構成する腕部29を遮蔽部材18aの先端に固定するために、帯電器2のケーシング11の幅方向両端部に、長手方向に沿って透孔39を形成している。即ち、これら両透孔39内を腕部29を通過させることにより、腕部29の先端をケーシング11の開口側に配置可能としている。そして、腕部29の先端を遮蔽部材18aの先端に配置される板材33に固定している。これにより、腕部29をレール38と干渉させることなく、ケーシング11の開口側に配置できる。但し、このような干渉を防止できれば、腕部29をケーシング11の外側に配置して、透孔39を設けないようにすることもできる。また、移動部材24aの幅方向両端部にガイド凹部40をそれぞれ設けて、これら両ガイド凹部40をケーシング11の幅方向両端部で透孔39から外れた位置に設けたレール30に係合している。そして、ガイド凹部40とレール30との係合により、移動部材24aの長手方向の移動を案内している。
【0048】
本実施形態の場合、感光ドラム1と帯電器2との間を遮蔽部材18aにより遮蔽する遮蔽状態では、移動手段21aにより遮蔽部材18aの先端を帯電器の長手方向他側の端部に移動させる。この際、テグス35をボビン31をゼンマイの張力に反して回転させることにより引き出し、遮蔽部材18aを格納手段36から引き出す。遮蔽部材18aを構成する各板材33は、両ガイド部37に案内されて折れ曲がり状態から徐々に展開する。そして、遮蔽部材18aの先端が、帯電器2のケーシング11の開口部の長手方向他端部よりも他側に位置した状態で、遮蔽部材18aの展開が完了する。これにより、遮蔽部材18aの表面が帯電器2に対向する。なお、本実施形態では、この状態で、シート部材32の片面に設置された各板材33が帯電器2と対向するが、表裏関係は逆であっても良い。
【0049】
次に、感光ドラム1と帯電器2との間から遮蔽部材18aを退避させる退避状態では、前記移動手段21aにより遮蔽部材18aの先端を帯電器2の長手方向片側の端部に移動させる。この際、テグス35がゼンマイの張力によりボビン31に巻きつく。また、遮蔽部材18aはレール38に沿って移動し、レール38の片端部から抜けた後、ガイド部37に案内されながら、各折り曲げ部で徐々に折り曲げられる。この際の折り曲げ方向は、テグス35により規制され、帯電手段側の表面同士である、長手方向に対を成すように各折れ曲がり部で複数に区画される遮蔽部材18aの表面同士をそれぞれ対向させた状態で格納される。具体的には、隣り合う各板材33の表面同士が重ねられるように、遮蔽部材18aがアコーディオン状に折りたたまれる。但し、前述のように、長手方向先端に存在する板材33及びこの板材33を固定したシート部材32の一部は、レール38に留まり、格納時に遮蔽部材18aがレール38から外れることを防止する。即ち、本実施形態では、遮蔽部材18aは、少なくとも長手方向基端部から先端寄り部分に対を成すように複数に区画された部分を有し、先端部分は対を成さずにレール38に留まるようにしている。このように格納時に遮蔽部材18aの先端がレール38に留まっていれば、次に、遮蔽部材18aを展開する際に、遮蔽部材18aをレール38に沿って移動させ易い。
【0050】
本実施形態の場合、上述のように、遮蔽部材18aの格納時に各折り曲がり部で区画される遮蔽部材18aの表面同士が対向した状態となるため、遮蔽部材18aの表面と裏面とが接触することがない。一方、遮蔽部材18aを再度遮蔽状態に移行させる場合、移動手段21aにより遮蔽部材18aの先端が格納手段36から引き出される。この際、隣り合う各板材33の表面同士が離れる方向に展開され、再度、上述した遮蔽状態となる。このように、遮蔽部材18aを格納手段36から引き出す際にも、遮蔽部材18aの表面と裏面とが接触することはない。
【0051】
本実施形態によれば、退避状態への移行に伴って、遮蔽部材18aの折り曲げ部で区画される表面同士を対向させるように格納するため、装置の大型化を抑えられる。また、遮蔽部材18aの表面と裏面とが接触しない。このため、遮蔽部材18aを退避状態から遮蔽状態とする際に、遮蔽部材18aの裏面と感光ドラム1の表面とが接触しても、放電生成物が像担持体の表面に付着することを防止でき、画像流れや画像ぼけを防止できる。その他の効果については、上述の第1の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・感光ドラム、2・・・一次帯電器、11・・・ケーシング、18、18a・・・遮蔽部材、19、19a・・・駆動手段、20a・・・第1シート部、20b・・・第2シート部、20c・・・第3シート部、21、21a・・・移動手段、22・・・巻き取り手段、23・・・モータ、24、24a・・・移動部材、31・・・ボビン、32・・・シート部材、33・・・板材、35・・・テグス、36・・・格納手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体に対向して配置された帯電手段と、該感光体と該帯電手段との間を遮蔽する遮蔽部材と、該遮蔽部材を、該感光体と該帯電手段との間を遮蔽する遮蔽状態とこの間から退避する退避状態とを可能に配置するための駆動手段と、を備えた帯電装置において、
前記駆動手段は、前記遮蔽部材の前記遮蔽状態と前記退避状態との移行を前記感光体の長手方向に行い、
前記遮蔽部材は、少なくとも長手方向に対を成すように複数に区画され、前記退避状態への移行に伴って、該対の前記帯電手段側の表面同士が対向されるように格納されることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、シート状の部材で、基端を前記帯電手段の長手方向片側の端部又は該端部よりも長手方向片側の固定部分に固定し、
前記駆動手段は、前記遮蔽部材の先端を前記帯電手段の長手方向両端部間を移動させる移動手段と、該帯電手段よりも長手方向片側に配置され、該遮蔽部材を長手方向中間部から巻き取る巻き取り手段と、を備え、
前記遮蔽状態で、前記移動手段により前記遮蔽部材の先端を前記帯電手段の長手方向他側の端部に移動させ、前記巻き取り手段から該遮蔽部材を引き出すことにより、該遮蔽部材の表面を前記帯電手段に対向させ、
前記退避状態で、前記移動手段により前記遮蔽部材の先端を前記帯電手段の長手方向片側の端部に移動させ、前記巻き取り手段により該遮蔽部材を、長手方向中間部から引き込むことにより、該遮蔽部材の長手方向中間部で区画される表面同士を重ねた状態で巻き取ることを特徴とする、請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、複数の折れ曲がり部を有し、
前記駆動手段は、該遮蔽部材の先端を前記帯電手段の長手方向両端部間を移動させる移動手段と、該遮蔽部材を前記各折れ曲がり部で折り曲げて前記帯電手段よりも長手方向片側に格納する格納手段と、を備え、
前記遮蔽状態で、前記移動手段により前記遮蔽部材の先端を前記帯電手段の長手方向他側の端部に移動させ、前記格納手段から該遮蔽部材を引き出すことにより該遮蔽部材を展開し、該遮蔽部材の表面を前記帯電手段に対向させ、
前記退避状態で、前記移動手段により前記遮蔽部材の先端を前記帯電手段の長手方向片側の端部に移動させ、前記格納手段により前記遮蔽部材を、前記各折れ曲がり部で折り曲げつつ、該各折れ曲がり部で区画される該遮蔽部材の表面同士をそれぞれ対向させた状態で格納することを特徴とする、請求項1に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記帯電手段がコロナ帯電器であり、前記移動手段は、該コロナ帯電器を構成し前記帯電手段の長手方向に配設されたワイヤに付着した異物を除去する除去手段も移動させることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記感光体と、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の帯電装置と、を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−2570(P2011−2570A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144339(P2009−144339)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】