説明

帯電装置及び画像形成装置

【課題】潜像保持体の周方向における潜像保持体と電極部材との間隔のばらつきを低減することができる帯電装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】帯電ユニット100は、チャージワイヤ102A、102Bと、グリッド電極104と、感光体62の外周面に沿った湾曲面112A、114Aを有する取付部材112、114と、グリッド電極104を湾曲面112A、114Aに向けて付勢する板ばね122、124と、を有している。ここで、板ばね122、124で付勢されて湾曲したグリッド電極104は、取付部材112、114と板ばね122、124とで挟まれた状態で保持されるので、感光体62の外周面とグリッド電極104との間隔が、感光体62の周方向で許容範囲内となる。これにより、感光体62の周方向における感光体62とグリッド電極104との間隔のばらつきを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2の画像形成装置は、チャージワイヤ及びグリッド電極を有するスコロトロン帯電装置を有している。グリッド電極は、長手方向の両端に引掛部が形成されており、この引掛部を外側へ向けて引っ張ることで長手方向に張力が付与され、感光体の外周面に向けて湾曲した形状で保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−262111号
【特許文献2】特開2008−262114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、潜像保持体の周方向における潜像保持体と電極部材との間隔のばらつきを低減することができる帯電装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る帯電装置は、円筒状の潜像保持体の外周面を帯電する帯電手段と、無負荷状態で前記潜像保持体の軸方向を長手方向とする板状であり、前記帯電手段と前記潜像保持体との間に配置されると共に前記長手方向の両端部において前記潜像保持体の軸方向に沿って張架され、電圧が印加される電極部材と、前記長手方向から見て前記電極部材と前記帯電手段との間に配置され且つ前記潜像保持体の外周面に沿った湾曲面を有する湾曲部材と、前記電極部材と前記潜像保持体との間に配置され、前記電極部材を前記潜像保持体側から前記湾曲面に向けて付勢する付勢部材と、を有する。
【0006】
本発明の請求項2に係る帯電装置は、前記付勢部材は、前記湾曲面の曲率半径よりも小さい曲率半径で且つ前記電極部材と接触する接触面を有する板ばねである。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は請求項2に記載の帯電装置と、前記帯電装置で帯電され光照射により形成された潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像を現像剤で現像して現像剤像を形成する現像手段と、前記現像剤像を記録媒体に転写させる転写手段と、を有する画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、電極部材を湾曲部材に向けて付勢しない構成に比べて、潜像保持体の周方向における潜像保持体と電極部材との間隔のばらつきを低減することができる。
【0009】
請求項2の発明は、湾曲面の曲率半径よりも大きい曲率半径の接触面を有する構成に比べて、電極部材を湾曲面に沿わせた形状にすることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の帯電装置が無い構成に比べて、画像の濃度むらを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成ユニットの構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る感光体周りの構成を示す説明図である。
【図4】(A)本発明の実施形態に係る帯電ユニットの斜視図である。(B)本発明の実施形態に係る帯電ユニットの断面図(図4(A)の断面A−A´)である。
【図5】(A)、(B)本発明の実施形態に係る帯電ユニットの取付部の一部を示す斜視図である。
【図6】(A)、(B)本発明の実施形態に係るグリッド電極の平面図及び側面図である。
【図7】(A)、(B)、(C)本発明の実施形態に係る帯電ユニットの組み立て工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る帯電装置及び画像形成装置の一例について説明する。
【0013】
図1には、実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、左右(水平)方向を矢印H方向、奥行き(水平)方向を矢印D方向と記載する。
【0014】
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられており、搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0015】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0016】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印−V方向(図示の下方向)に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向(図示の左方向)に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0017】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は正面視で三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に案内部材(図示省略)により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
【0018】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。
【0019】
原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部は、読取原稿Gがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0020】
一方、画像形成部14は、装置本体10Aの中央に潜像保持体の一例としての円筒状の感光体62が設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電する帯電装置の一例としてのスコロトロン方式の帯電ユニット100が設けられている。なお、帯電ユニット100の詳細については後述する。
【0021】
図2に示すように、帯電ユニット100は、画像形成部14(図1参照)内に設けられた装着部110に装着され、感光体62の外周面と対向して保持されている。また、感光体62の回転方向における帯電ユニット100よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電ユニット100により帯電した感光体62の外周面に、各トナー色に対応した画像信号に基づき光を照射(露光)して、静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
【0022】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる(現像剤像を形成する)現像手段の一例としての回転切り替え式の現像装置70が設けられている。
【0023】
現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されており、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0024】
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、感光体62の外周面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0025】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層は、感光体62に対向する位置に搬送され、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0026】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送ローラ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送ローラ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0027】
一方、感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される記録媒体の一例としての中間転写ベルト68が設けられている。
【0028】
中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0029】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる転写手段の一例としての一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0030】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙P(図1参照)に二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置(図2の位置Q)とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0031】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収するクリーニング装置85が設けられている。さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0032】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62表面に接触するクリーニングブレード87及びブラシロール89により残留トナー等を回収する構成となっている。また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、転写後コロトロン86が設けられている。
【0033】
転写後コロトロン86は、電圧印加部(図示省略)により電圧が印加されるチャージワイヤ86Aと、チャージワイヤ86Aを覆うと共に接地されたシールド部材86Bとを含んで構成されている。また、転写後コロトロン86は、一次転写ロール67によるトナーの一次転写後において、感光体62の外周面に残留する逆極性(本実施形態では一例としてプラス極性)の電荷を、帯電ユニット100により帯電する極性であるマイナス極性に揃える作用を有している。さらに、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電ユニット100の上流側には、残留トナー等の回収後の除電手段である除電ランプ75が設けられている。
【0034】
一方、図1に示すように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
【0035】
定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とを含んで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0036】
原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが矢印H方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。
【0037】
現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合は、Y、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合は、Y、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0038】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0039】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図2参照)が感光体62の外周面と対向するように回転し保持されている。
【0040】
続いて、図2に示すように、帯電ユニット100により感光体62の外周面(表面)が帯電される。そして、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電ユニット100により帯電された感光体62の表面を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0041】
続いて、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)、さらに色設定に応じて第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
【0042】
一方、図1に示すように、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置(図2の位置Q)に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
【0043】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が、加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部15に排出される。
【0044】
なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むと共に矢印+V方向に沿って送り出すことで、記録用紙Pの先端と後端を入れ替える。そして、記録用紙Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、記録用紙Pの裏面の画像形成及び定着を行う。
【0045】
次に、帯電ユニット100について説明する。
【0046】
図3に示すように、帯電ユニット100は、H−V面(断面)がコ字状のシールド部材105を有している。シールド部材105の内側は、矢印D方向を長手方向として直立配置された仕切板103によって小室106Aと小室106Bとに仕切られている。なお、矢印+R方向において、小室106Aは上流側に配置されており、小室106Bは下流側に配置されている。また、シールド部材105の開口部105Aは、感光体62の外周面と対向配置されている。
【0047】
小室106A内には、矢印D方向を長軸方向として帯電手段の一例としてのチャージワイヤ102Aが架設されおり、同様に、小室106B内には、矢印D方向を長軸方向として帯電手段の一例としてのチャージワイヤ102Bが架設されている。また、シールド部材105は、開口部105Aを覆うように電極部材の一例としてのグリッド電極104が取付けられている。グリッド電極104は、H−V面で見て、チャージワイヤ102A、102Bと感光体62の外周面との間に配置されている。
【0048】
矢印H方向で対向配置されたシールド部材105の1組の側壁105B、105Cの外面には、矢印V方向に直立するカバー部材107、108が取付けられている。カバー部材107の上端は外側(図示の左側)へ向けて断面L字状に折り曲げられ、平板状の被案内部107Aが形成されている。また、カバー部材108の上端は外側(図示の右側)へ向けて断面L字状に折り曲げられ、平板状の被案内部108Aが形成されている。そして、被案内部107A、108Aが、装着部110に設けられたガイドレール109、111により矢印D方向に案内されると共に矢印H、V方向に対して保持される(移動が規制される)ことで、帯電ユニット100が、感光体62の外周面と対向して配置されるようになっている。
【0049】
図4(A)に示すように、帯電ユニット100は、矢印D方向におけるシールド部材105の両端部に取付部材112、114が取付けられている。取付部材112、114は、グリッド電極104を取付ける(保持する)ための部材であり、取付部材112が矢印D方向の手前側に配置され、取付部材114が矢印D方向の奥側に配置されている。なお、カバー部材107、108の図示は省略している。また、以後の説明及び図示では、グリッド電極104の長手方向を矢印D方向、短手方向を矢印S方向、厚み方向を矢印T方向とする。矢印D、S、T方向は、それぞれ直交している。
【0050】
図6(A)に示すように、グリッド電極104は、無負荷状態で感光体62(図3参照)の軸方向(矢印D方向)を長手方向とする板状(平面視で矩形状、側面視で板状)に形成されており、負荷が作用することにより弾性変形して湾曲するようになっている。また、グリッド電極104は、矢印D方向の手前側から奥側へ向けて、幅W1の取付部104A、幅W2の電極部104B、及び幅W3の取付部104Cが一体となった構成となっている。
【0051】
さらに、グリッド電極104は、矢印D方向に見て、チャージワイヤ102A、102B(図3参照)と感光体62(図3参照)との間に配置されると共に、矢印D方向の両端部において矢印D方向に沿って張架され、図示しない給電手段から電圧が印加されるようになっている。なお、板状に形成された部材とは、平板状に形成された部材だけでなく、矢印D方向に見て軽く湾曲した状態に形成された部材を含む表現である。
【0052】
取付部104Aは、矢印T方向に貫通した貫通孔である取付孔116A、116Bが形成されている。取付孔116A、116Bは、グリッド電極104の一端において矢印S方向に間隔をあけてそれぞれ矩形状に形成されている。また、電極部104Bは、矢印D方向を長手方向として矩形状に貫通したスリット104Eが、矢印S方向に複数並んで形成されている。
【0053】
さらに、取付部104Cは、矢印D方向に突出した取付部118が形成されている。取付部118は、平面視でハ字状に形成された2つの支持部118Aと、平面視でコ字状であり2つの支持部118Aの一端に一体で形成された被引掛部118Bとで構成されている。そして、支持部118Aの他端は、グリッド電極104の他端面104D(矢印D方向奥側の端面)における矢印S方向の中央部に一体で形成されている。なお、図6(B)に示すように、取付部104A、電極部104B、及び取付部104Cの各上面は揃えられ、面一となっている。
【0054】
図5(A)に示すように、取付部材112は、湾曲部材の一例であり、グリッド電極104とチャージワイヤ102A、102B(図3参照)との間に配置され且つ感光体62(図3参照)の外周面に沿った湾曲面112Aと、湾曲面112Aの矢印S方向の両端部から下方へ直立した側面112Cとを有している。
【0055】
湾曲面112Aには、上方へ突出すると共に矢印D方向とは反対側に屈曲された2つのL字状の引掛部112Bが形成されている。2つの引掛部112Bは、取付孔116A、116Bに挿入可能な大きさとなっている。また、取付部材112の両側面112C(片側のみ図示)には、後述する板ばね122を固定するための凸部112Dが突出している。そして、グリッド電極104の取付孔116A、116Bの縁に引掛部112B、112Cが引っ掛けられることにより、グリッド電極104の一端部が位置決めされている。さらに、グリッド電極104の一端部は、付勢部材の一例としての板ばね122の付勢力により、感光体62の外周面に沿った湾曲状態で保持されている。
【0056】
板ばね122は、矢印S方向を長手方向として矢印T方向(図示の下方向)に凸状に湾曲した湾曲部122Aと、湾曲部122Aの矢印S方向の両端部から矢印T方向に直立した取付部122Bとが一体成形されたものであり、取付部122Bには、縁が凸部112Dと係合する貫通孔である係合孔122Cが形成されている。また、湾曲部122Aの凸側の表面が、グリッド電極104と接触する接触面122Dとなっている。
【0057】
ここで、板ばね122は、グリッド電極104と感光体62(図3参照)との間に配置されており、係合孔122Cの縁が凸部112Dと係合することにより湾曲部122Aでグリッド電極104を押圧し、グリッド電極104を取付部材112の湾曲面112Aに向けて付勢している。そして、グリッド電極104は、前述のように、板ばね122の付勢力により、感光体62の外周面に沿った湾曲状態で保持されている。
【0058】
一方、図5(B)に示すように、取付部材114は、湾曲部材の一例であり、グリッド電極104とチャージワイヤ102A、102B(図3参照)との間に配置され且つ感光体62(図3参照)の外周面に沿った湾曲面114Aと、湾曲面114Aの矢印S方向の両端部から下方へ直立した側面114Bと、矢印D方向の他端で湾曲面114Aよりも低い位置となるように段差がつけられた取付面114Cとを含んで構成されている。
【0059】
取付面114Cには、上方へ突出すると共に矢印D方向に屈曲されたL字状の引掛部114Dが形成されている。引掛部114Dは、取付面114Cの矢印S方向における中央に形成されており、グリッド電極104の被引掛部118Bが引っ掛けられる大きさとなっている。また、取付部材114の両側面114B(片側のみ図示)には、後述する板ばね124を固定するための凸部114Eが突出している。そして、グリッド電極104の被引掛部118Bが引掛部114Dに引っ掛けられることにより、グリッド電極104の他端部が位置決めされている。さらに、グリッド電極104の他端部は、付勢部材の一例としての板ばね124の付勢力により、感光体62の外周面に沿った湾曲状態で保持されている。
【0060】
板ばね124は、矢印S方向を長手方向として矢印T方向(図示の下方向)に凸状に湾曲した湾曲部124Aと、湾曲部124Aの矢印S方向の両端部から矢印T方向に直立した取付部124Bとが一体成形されたものであり、取付部124Bには、縁が凸部114Eと係合する貫通孔である係合孔124Cが形成されている。また、湾曲部124Aの凸側の表面が、グリッド電極104と接触する接触面124Dとなっている。
【0061】
ここで、板ばね124は、グリッド電極104と感光体62(図3参照)との間に配置されており、係合孔124Cの縁が凸部114Eと係合することにより湾曲部124Aでグリッド電極104を押圧し、グリッド電極104を取付部材114の湾曲面114Aに向けて付勢している。そして、グリッド電極104は、前述のように、板ばね124の付勢力により、感光体62の外周面に沿った湾曲状態で保持されている。なお、取付部材122、124にそれぞれ形成された凸部である突当部(図示省略)が、感光体62(図2参照)の両端部に設けられるホルダー(図示省略)の上端に接触することで、感光体62とグリッド電極104との間隔dが保持されている。
【0062】
図4(B)の取付部材114及び板ばね124のS−T断面において、取付部材114の湾曲面114Aは、感光体62(図2参照)の外周面に沿っており、曲率半径がR1となっている。また、板ばね124の接触面124Dの曲率半径R2は、湾曲面114Aの曲率半径R1よりも小さくなっている。これにより、板ばね124は、グリッド電極104の矢印S方向における中央部Mを最も強く付勢している。なお、湾曲面112A及び板ばね122については、湾曲面114A、板ばね124と同様の構成となっているため、曲率半径についての説明を省略する。
【0063】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0064】
図5(A)に示すように、グリッド電極104の取付けでは、まず、取付部材112の2箇所の引掛部112Bに取付孔116A、116Bの縁を引っ掛ける。このとき、他端の取付部118及び板ばね122、124は取付けられていない。そして、図6(A)、(B)に示すように、取付部118を矢印D方向に引っ張る。なお、この状態では、図7(A)に示すように、グリッド電極104は水平に配置され湾曲していない。
【0065】
続いて、図5(B)に示すように、グリッド電極104の他端の取付部118を取付部材114の引掛部114Dに引っ掛ける。これにより、図6(A)に示すように、グリッド電極104の矢印D方向における両端部で且つ矢印S方向の中央部に引張力F、−Fが作用する。なお、グリッド電極104は、湾曲面114A(及び湾曲面112A(図5(A)参照)と接触することで湾曲状態となるが、この段階では、感光体62(図3参照)の外周面に沿った湾曲状態とはなっていない。
【0066】
続いて、図5(A)、(B)、及び図7(A)に示すように、板ばね122の係合孔122Cの縁を凸部112Dに係合させ、板ばね124の係合孔124Cの縁を凸部114Eに係合させて、板ばね122、124を取付部材112、114に取付ける。これにより、グリッド電極104が取付部材112、114に取付けられる。
【0067】
この工程において、図4(B)及び図7(B)に示すように、両端部が張架されたグリッド電極104は、板ばね122、124の接触面122D、124Dと接触することで矢印K方向(取付部材112、114に向かう方向)に付勢され、取付部材112、114の湾曲面112A、112Bに倣って湾曲する。即ち、感光体62(図2参照)の外周面に沿った形状となるように湾曲する。そして、湾曲したグリッド電極104は、取付部材112、114と板ばね122、124とで挟まれた状態で保持される。
【0068】
これにより、図7(C)に示すように、感光体62の外周面とグリッド電極104との間隔Δdが、感光体62の周方向で許容範囲内の間隔で保持され、感光体62の周方向における感光体62とグリッド電極104との間隔Δdのばらつきが低減される。また、グリッド電極104が感光体62の外周面に近づくと、グリッド電極104が振動する現象が起こる場合があるが、本実施形態では、板ばね122、124によってグリッド電極104の感光体62への移動が規制されているため、即ち、板ばね122、124が規制部材となるため、グリッド電極104が感光体62の外周面に近づくことが抑制され、感光体62の帯電むらが抑制される。このため、形成された画像の濃度むらが抑制される。
【0069】
さらに、図4(B)に示すように、接触面124Dの曲率半径R2が湾曲面114Aの曲率半径R1よりも小さいことから、グリッド電極104の矢印S方向における中央部Mが最も強い付勢力で付勢される。これにより、接触面124Dの曲率半径R2を湾曲面114Aの曲率半径R1よりも大きい曲率半径とした場合に比べて、グリッド電極104の最も大きく湾曲すべき部位である中央部Mに付勢力が付与されるので、グリッド電極104が湾曲面114Aに沿った形状となる。湾曲面112A及び板ばね122については、湾曲面114A、板ばね124と同様の構成であるため説明を省略する。
【0070】
なお、図6(A)に示すように、グリッド電極104の電極部104Bには複数のスリット104Eが形成されているため、電極部104Bは、取付部104A、104Cの湾曲状態に倣って湾曲する。このため、電極部104Bが板ばね122、124で付勢されていなくても、同様に湾曲する。また、図5(A)に示すように、取付部材114に取付けられたグリッド電極104は、矢印S方向の中央部において、電極部104Bの下面の高さ位置と取付部118の下面の高さ位置とが揃えられている。即ち、この部分では、グリッド電極104に対して水平方向に引張力が作用しており、下向きの分力は作用していない。
【0071】
続いて、図3に示すように、完成した帯電ユニット100では、チャージワイヤ102A、102Bに通電され、接地された感光体62との間に電位差が生じる。これにより、コロナ放電が生じて感光体62が帯電される。また、グリッド電極104にバイアス電圧が印加されることで、感光体62の帯電電位(放電電流)が許容範囲内となるように制御される。
【0072】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0073】
グリッド電極104は、スリットタイプのものに限らず、複数の多角形状の孔の集合体であるメッシュ状のものであってもよい。また、湾曲面112A、114Aへのグリッド電極104の付勢は、板ばねに限らず、支持部材で支持されたコイルばねや、カムで付勢するようにしてもよい。
【0074】
ここで、グリッド電極104が感光体62の外周面に沿って配置される状態とは、感光体62の外周面と一定の間隔となる状態だけでなく、湾曲したグリッド電極104が、感光体62の回転方向の上流側又は下流側に中心位置をずらして配置された状態を含んでいる。一例として、グリッド電極104と感光体62との間隔が、感光体62の回転方向の上流側に比べて下流側が広くなっているものも含んでいる。
【符号の説明】
【0075】
10 画像形成装置
62 感光体(潜像保持体の一例)
67 一次転写ロール(転写手段の一例)
68 中間転写ベルト(記録媒体の一例)
70 現像装置(現像手段の一例)
71 二次転写ロール(転写手段の一例)
100 帯電ユニット(帯電装置の一例)
102A チャージワイヤ(帯電手段の一例)
102B チャージワイヤ(帯電手段の一例)
104 グリッド電極(電極部材の一例)
112 取付部材(湾曲部材の一例)
114 取付部材(湾曲部材の一例)
122D 接触面
124D 接触面
122 板ばね(付勢部材の一例)
124 板ばね(付勢部材の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の潜像保持体の外周面を帯電する帯電手段と、
無負荷状態で前記潜像保持体の軸方向を長手方向とする板状であり、前記帯電手段と前記潜像保持体との間に配置されると共に前記長手方向の両端部において前記潜像保持体の軸方向に沿って張架され、電圧が印加される電極部材と、
前記長手方向から見て前記電極部材と前記帯電手段との間に配置され且つ前記潜像保持体の外周面に沿った湾曲面を有する湾曲部材と、
前記電極部材と前記潜像保持体との間に配置され、前記電極部材を前記潜像保持体側から前記湾曲面に向けて付勢する付勢部材と、
を有する帯電装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記湾曲面の曲率半径よりも小さい曲率半径で且つ前記電極部材と接触する接触面を有する板ばねである請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の帯電装置と、
前記帯電装置で帯電され光照射により形成された潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像を現像剤で現像して現像剤像を形成する現像手段と、
前記現像剤像を記録媒体に転写させる転写手段と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−185310(P2012−185310A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48151(P2011−48151)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】