説明

帯電装置

【課題】 グリッドに付着した汚れ物質を清掃により感光体へと落下させると、画像流れ等の弊害を招く。そこで、コロナ帯電器の開口を開閉するシャッタで汚れ物質を受けることが考えられる。しかし、長手方向にコロナ帯電器の開口を遮蔽するシャッタを巻き取る構成において、汚れ物質が付着したシャッタを巻き取ると、シャッタの感光体側の面に汚れ物質が転移してしまう。
【解決手段】 シャッタのグリッド側の面を外側にして巻き取るロールを備える巻き取り機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
グリッドを清掃するグリッド清掃部材とシャッタを備える帯電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置の帯電工程において、コロナ帯電器を用いる構成が知られている。
【0003】
とりわけ感光体の電位を安定させるため、コロナ帯電器のシールドの開口部にグリッド電極が設けられる構成が知られている。グリッド電極の放電電極側の面には、浮遊したトナーなどの異物(汚れ物質)が蓄積しやすい。このような異物がグリッド電極の内面に多量に堆積してしまうと、その部位で帯電不良が生じ、これに起因して画像濃度ムラが発生してしまう。
【0004】
そこで、特許文献1には、グリッド電極の内面を清掃する清掃装置を設け、グリッド電極にトナーが多量に堆積してしまうのを防止する構成が開示されている。具体的には、グリッド電極の内面に清掃ブラシを接触させつつ、この清掃ブラシをグリッド電極の長手方向に往復移動させることで、グリッド電極の内面の清掃が行われる。
【0005】
他方、コロナ帯電器は感光体を帯電するに際して、オゾンOや窒素酸化物NO等の放電生成物を生成することが知られている。この放電生成物が感光体に付着し、さらに吸湿すると、放電生成物が付着した部位の表面抵抗が低下してしまい、画像情報に応じた静電潜像を忠実に形成できない「画像流れ」と呼ばれる画像不良が発生する。
【0006】
そこで、特許文献2には、コロナ帯電器の開口をシャッタで覆うことにより画像流れの発生を抑制する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−338797号公報
【特許文献2】特開2007−072212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように、グリッドを清掃部材で清掃すると、グリッドに付着した汚れ物質が感光体上に落ちてしまう。すると、汚れ物質が感光体に付着することで画像流れや、現像スリーブの現像コート不良を招いてしまう。
【0009】
そこで、落下する汚れ物質が感光体へ付着しないようにシャッタで受けることが考えられる。ここで、特許文献2に開示のような平板状のシャッタでグリッドからの汚れ物質を受けることで、画像流れや現像コート不良を抑制することができる。
【0010】
ここで、平板状のシャッタはコロナ帯電器の開口を開けた状態で、シャッタが退避するために要する空間が大きくなり大型化を招いてしまう。それに対して、シート状のシャッタをコロナ帯電器の長手端部で巻き取るという構成が考えられる。
【0011】
しかしながら、シャッタのグリッドと対向する側の面が内側になるように巻き取ると、シャッタの汚れ物質が付着した面と感光体と対向する側の面が接触し汚れ物質が転移してしまう。これにより、シャッタの感光体側の面に付いた汚れ物質が、シャッタを閉じた際に感光体へと落下することで、画像流れや現像コート不良を十分に抑制することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明の帯電装置は「グリッドを備えるコロナ帯電器と、前記グリッドを清掃する清掃部材と、前記コロナ帯電器の開口を覆うシート状のシャッタと、前記開口を開くために前記シャッタを巻取る巻取り機構と、前記巻取り機構は前記シャッタの前記グリッドと対向する面を外側になるように巻取る巻取り部材」を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
開口を覆うシャッタを巻き取る構成において、グリッド清掃により感光体へ落ちないようにシャッタで受けた汚染物質が巻き込みにより感光体と対向する面側に転移することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の概略断面図である。
【図2】コロナ帯電器を説明するための図である。
【図3】コロナ帯電器を説明するための斜視図である。
【図4】画像形成装置に関する制御ブロック図である。
【図5】帯電器シャッタを開閉動作に関するフローチャートである。
【図6】グリッド清掃動作のフローチャートである。
【図7】開閉動作を説明するための図である。
【図8】実施例2に係るシャッタ清掃機構を説明するための図である。
【図9】実施例3に係るシャッタ清掃機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施例に係る帯電装置を図を用いて説明する。なお、同一の構成については同一符号を付すことにより重複する説明は適宜省略する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、その思想が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、その範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0016】
画像形成装置に概略を説明した後、コロナ帯電器の構成について詳しく説明する。
【0017】
§1.{画像形成装置の概略構成に関する説明}
図1は本実施例の画像形成装置の概略構成を説明するための図である。
【0018】
本例の像担持体として感光ドラム1は、円筒状(ドラム型)の電子写真感光体である。感光ドラム1は、直径が84mmであり、中心軸(不図示)を中心に500mm/secのプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0019】
本実施例の帯電装置はコロナ帯電器2あり、放電電極として放電ワイヤと電位調整精度を高くするグリッド電極を備える。また、放電ワイヤ及びグリッド電極はそれぞれ、付着する物質を清掃する清掃部材を備える。また、コロナ帯電器はシールドの開口を覆うシャッタを備える。帯電装置の詳細な構成については後に詳述する。
【0020】
コロナ帯電器で帯電された感光ドラム1は露光手段としてのレーザースキャナにより露光され静電像が形成される。そして、トナーとキャリアを含む現像剤を収容する現像手段としての現像器よって静電像はトナーで現像される。感光体上に現像されたトナー像は転写手段としての転写ローラと感光ドラムのニップ部(転写部)において記録材上へ転写される。転写されずに像担持体上に残留した転写残トナーは感光体回転方向において転写部の下流側に配置されたクリーニングブレードにより除去される。
【0021】
記録材上にされたトナー像は搬送ローラによって挟持搬送され、不図示の定着装置で加熱定着される。そして、定着処理を受けた記録材Pは機外へと排出される。
【0022】
§2.{コロナ帯電器の詳細な説明}
続いて、本実施例に係る帯電装置の構成について図2を用いて詳しく説明する。図2の(a)、(b)、(c)はそれぞれコロナ帯電器の側面図、俯瞰図、断面図である。また、図3の(a)はコロナ帯電器の斜視図である。
【0023】
■(コロナ帯電器の基本構成について)
図2の(c)に示すように、コロナ帯電器2は、放電ワイヤ2hと、これを囲むように設けられたコの字状のシールド2bと、シールドの開口部に設置されたグリッド電極2aと、を備える(スコロトロンタイプ)。本実施例において、グリッド電極2aは、平板状のエッジンググリッドを用いた。当然、帯電効率を高めるために、感光体の周面に沿って湾曲させたワイヤグリッドを採用してもよい。
【0024】
また、コロナ帯電器の放電ワイヤ2hには高圧電源S1から高圧電圧が印加される。同様に、グリッド電極には高圧電源S2から高圧電圧が印加される。
【0025】
なお、図2の(a)側面図からも明らかなように、のコロナ帯電器2は感光体1の母線に沿って設置されており、コロナ帯電器2の長手方向は感光体1の軸線方向と平行な関係にある。
【0026】
■(清掃部材及びシャッタについて)
続いて、清掃部材について説明する。図2の(a)、(b)に示すように、本実施例のコロナ帯電器は、放電ワイヤを清掃する清掃パット11aを備える。また、グリッド電極2aを清掃する清掃部材としての清掃ブラシ14を備える。
【0027】
清掃パット11aと清掃ブラシ14は駆動モータMの駆動を受けて回転するスクリュー12bによって、コロナ帯電器の長手方向に移動する。図3の(b)に示すように、グリッドを清掃する清掃ブラシ14はグリッド電極の放電ワイヤ側の面と接触してグリッド電極を清掃する。
【0028】
本実施例において、ワイヤ清掃部材としての清掃パッド24はスポンジを用い、ワイヤ2hを両側から挟むように配置した。また、グリッド用清掃部材としての清掃ブラシ14は、アクリル系ブラシを難燃化処理し、基布に織り込んだものを使用した。なお、これ以外にも、ナイロン、PVC(ポリ塩化ビニル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等の部材を使用しても良い。また、植毛系に限らず、フェルト、スポンジのような弾性体や、アルミナ、炭化珪素などの研磨剤を塗布したシートを使用しても良い。
【0029】
また、本実施例の帯電装置はコロナ帯電器の開口を遮蔽(開閉)するシート状のシャッタとしての帯電器シャッタ10を備える。なお、帯電器シャッタの短手方向の幅はコロナ帯電器の短手方向の幅よりも大きい。また、本実施例の帯電器シャッタ10はレーヨン製の厚み30μmの不織布を用いた。なお、帯電器シャッタはシート状であれば材質はなんでも良く、ナイロン繊維を編んだものや、ウレタンやポリエステルを用いたフィルムを用いてもよい。
【0030】
■(移動機構について)
図2の(a)からも明らかなように、清掃パット11a、清掃ブラシ14、帯電器シャッタ10は駆動モータMの駆動を受けて一体にコロナ帯電器長手方向に移動する。また、帯電器シャッタ10の先端を保持して移動する移動部材12aは、清掃ブラシ14及び清掃パット11aが感光体と直接対向しないようにシャッタにより遮蔽するように構成されている。また、シャッタ10と清掃パッド11と清掃ブラシ14の移動を、共通のモータから駆動力を与えることにより駆動源(モータ)の数を減らしている。
【0031】
シャッタ等の移動方向は駆動モータMを正回転と逆回転を切り替えることで開方向と閉方向の両方を取り得る。帯電器シャッタ10とワイヤ清掃部材24との位置関係は、帯電器シャッタ10が常に、ワイヤ清掃部材の重力方向下方に位置する。これにより、ワイヤ清掃部材24によって掻き取られた汚れ物質が、巻き取られる帯電器シャッタ部10bで受けるような構成を採用している。
【0032】
なお、本実施例において帯電シャッタは開口開方向に移動するように巻取り部材しての巻取りローラで巻き取られるように付勢されている。具体的には、巻取りローラ内部にある付勢手段としての不図示のゼンマイバネにより図2の(a)の時計周り方向に力が常に働くように構成されている。なお、一定以上の力(張力)が帯電シャッタに付与さないようにトルクリミッター11bを備える。これにより、帯電シャッタでコロナ帯電器の開口を閉じる際に、帯電器シャッタ10が下方に垂れ下がることを抑制しながら、帯電器シャッタ10を巻取りローラで巻き取ることができる。また、帯電器シャッタ10によって開口を遮蔽した状態(閉状態)において、巻取りローラにより帯電シャッタが開く方向にシャッタが移動しない程度の力を加えることで、シャッタ閉状態においてシャッタが垂れ下がることを抑制することができる。このように、帯電シャッタにコロナ帯電器長手方向のテンション(張力)を加えることで、帯電器シャッタ10とコロナ帯電器2との隙間からコロナ生成物が外側に漏れにくい状態を維持することができる。なお、帯電シャッタを巻き取る機構については後に詳述する。
【0033】
§3.{シャッタの開閉動作に関する説明}
本実施例では、グリッドやワイヤに付着した汚れを清掃するに際して、落下する汚れ物質が感光体に付着しないようにシャッタで受けるように構成した。以下に、シャッタの開閉やワイヤ及びグリッドの清掃シーケンスについて説明する。まず、開閉を制御する制御回路についてブロック図を用いて説明し、続いて制御内容についてフローチャートを用いて説明する。
【0034】
■(ブロック図について)
図4は本実施例の制御装置300を説明するための制御ブロック図である。制御装置300は高圧制御部301、モータ制御部302、カウンタ303、記憶部304を備える。そして、制御装置300は画像形成部が備える各部を制御する。具体的には、高圧制御部301で高圧電源S1、S2を制御して、印加する電圧やON/OFF等を制御する。同様に、モータ制御部302により駆動モータMが回転駆動を制御し、コロナ帯電器の重力方向上方に配置された駆動スクリュー12bを回転駆動させる。
【0035】
また、制御装置は記憶部304を備え、各制御部は記録部304に記録されたプログラムに従い各部を制御する。さらに、制御装置300は画像形成枚数をカウントするカウンタを備え、カウント値を参照して条件に応じた動作を実行する。
【0036】
■(帯電シャッタの開閉動作について)
続いて、帯電シャッタによるコロナ帯電器の開口の開閉動作シーケンスについてフローチャートを用いて説明する。図5はシャッタの開閉動作シーケンスを説明するためのフローチャートである。図5の(a)は帯電シャッタを閉じる際の、図5の(b)は帯電シャッタを開く際の動作を説明するためのフローチャートである。
【0037】
帯電器シャッタ10を閉める場合の動作を図5の(a)に示すフローチャートを用いて説明する。画像形成終了後にコロナ帯電器の開口が長期間開放状態であると放電生成物が感光体に付着する。付着した放電生成物は環境中の水分により画像流れという画像不良を引き起こす。このような画像不良を抑制するために、コロナ帯電器の開口を帯電器シャッタ10で閉める制御を行う。
【0038】
具体的には、制御装置300は画像形成が終了の信号が制御装置300に入ったかを判断する(S101)。なお、画像形成終了から所定時間にタイマーでカウントした後にシャッタを閉める動作を採用してもよい。つまり、制御手段は画像形成終了から所定時間(0秒後を含む)経過した際に、帯電器シャッタ10を閉じる。
【0039】
制御装置300が画像形成終了信号を受信した場合、モータ制御部302は駆動モータを駆動させて帯電器シャッタ10とグリッド清掃部材14をコロナ帯電器の長手方向(開口閉方向)に移動させる(S102)。そして、帯電器シャッタ10とグリッド清掃部材14が待機場所とは逆側の位置(図2の(a)の左端:シャッタ閉位置)になるまで、グリッド清掃部材14と帯電器シャッタ10を移動させる(S103)。記憶部304にある駆動モータを駆動させる時間(本実施例では、所定時間は5秒である。)になるになると、モータ制御部302から駆動モータMに停止信号が入る。停止信号を受信した制御装置300は、駆動モータMを停止させ、帯電器シャッタの閉動作を終了する(S104)。なお、帯電シャッタの閉動作完了の検知は、帯電シャッタの待機場所(シャッタ開位置)とは逆側の位置(シャッタ閉位置)にセンサを設けて行ってもよい。
【0040】
次に、帯電器シャッタ10を開ける動作を図5の(b)に示すフローチャートを用いて説明する。帯電装置2と感光体1との間に帯電器シャッタ10が存在すると、コロナ帯電器から感光体1へ電荷を与えることができない。そのため、感光体に帯電する(画像形成を行う)に際して、帯電器シャッタを開ける。
【0041】
具体的には、帯電動作が始まる信号(画像形成開始信号)を制御装置300が受けると(S201)、以下のシーケンスを実行する。つまり、帯電動作が始まる信号を受けモータ制御部302は、駆動モータMを駆動させて帯電器シャッタ10とグリッド清掃部材14をコロナ帯電器の長手方向(開口開方向)に移動させる(S202)。帯電器シャッタとグリッド清掃部材が待機場所(図2の(a)の右端:シャッタ開位置)になるまで、グリッド清掃部材と帯電器シャッタを移動させる(S203)。記憶部304にある駆動モータを駆動させる時間(本実施例では、所定時間は4秒である。)になるになると、モータ制御部302から駆動モータMに停止信号が入り、駆動モータを停止させ、帯電器シャッタの開動作を終了する(S204)。なお本実施例において、帯電が始まる前に帯電器シャッタを開ける動作について説明したが、感光体1が回る前に帯電器シャッタ10を開けた方が良い。これは、帯電器シャッタ10が閉まっている状態で感光体1を回転させると、帯電器シャッタ10が感光体に巻き込まれてしまい、感光体を傷つける可能性があるためである。
【0042】
■(清掃動作について)
続いて、グリッド清掃時の動作を図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施例においてグリッド清掃部材と帯電シャッタは共通の駆動モータMによって移動する構成を採用している。そのため、上述の帯電シャッタの開閉動作に連動してグリッド清掃部材も移動する(逆も同様)。
【0043】
本実施例では、グリッドの清掃を所定の画像形成枚数毎に実行する。具体的には、画像形成の枚数を制御装置300にあるカウンタ303でカウントし(S301)、記憶部304に記憶されている所定枚数(本例では、1000枚)に設定された枚数に到達したかどうかを判断する(S302)。所定枚数に到達していれば、モータ制御302から帯電器シャッタ10とグリッド清掃部材14の駆動モータMを駆動させる(S303)。帯電器シャッタとグリッド清掃部材が待機場所とは逆側の位置(図2の(a)の左端:シャッタ閉位置)になるまで、グリッド清掃部材と帯電器シャッタを移動させる(S304)。その後、記憶部304にある駆動モータを駆動させる時間(本実施例では、所定時間は5秒である。)になるになると、モータ制御部302から駆動モータMに停止信号が入る。停止信号を受け駆動モータは停止し、帯電器シャッタの閉動作を終了する(S305)。その後、モータ制御部302から駆動モータMに逆方向に回転させる信号が入り、モータ制御302から帯電器シャッタ10とグリッド清掃部材14の駆動モータMを逆回転に駆動させる(S306)。帯電器シャッタとグリッド清掃部材が待機場所(シャッタ開位置)になるまで、グリッド清掃部材と帯電器シャッタを移動させる(S307)。記憶部304にある駆動モータを駆動させる時間(本実施例では、所定時間は4秒である。)になるになると、モータ制御部302から駆動モータMに停止信号が入り、駆動モータを停止させ、帯電器シャッタの開動作を終了する(S308)。また、本実施例では時間で説明したが、時間のかわりに、待機場所にもセンサを取り付けて、センサ検知して止めてもかまわない。制御部300のカウンタ303にある画像形成の枚数を数えていたカウントデータがリセットされ(S309)、再度、カウントが加算されていく。
【0044】
上記の動作シーケンスより、帯電器シャッタによる不具合が発生を抑え、長期間に渡って高品質な画像を得ることができる。また、グリッド清掃について記載したが、放電ワイヤの清掃部材も同時に動くことから、放電ワイヤ清掃での動作であっても良い。これらの制御を行う際に、制御装置300のモータ制御部は、清掃部材で掻き落とされたグリッド電極からの汚れ物質が感光体上に落ちないようにシャッタで受ける。このように制御することで、画像流れが発生したり、現像装置に入り現像剤のコート不良を発生したりすることを低減することができる。
【0045】
■(帯電シャッタとグリッド清掃部材の位置関係について)
清掃部材と帯電シャッタを上記のように制御することで、帯電シャッタでグリッド等から落下する汚れ物質を受けることができる。本実施例では、図7の(a)、(b)に示すようにグリッド等から清掃に際して落下する汚れ物質をシャッタで受ける。
【0046】
図7の(a)に示すように、図中の右から左方向(開方向)へグリッド清掃部材が移動してグリッドを清掃するに際し、清掃ブラシの重力方向下方に帯電シャッタが存在する。同様に、図7の(b)に示すように、図中の左から右方向(閉方向)へグリッド清掃部材が移動してグリッドを清掃するに際し、清掃ブラシの重力方向下方にシャッタが存在する。
【0047】
図7では清掃ブラシとシャッタの駆動が同一駆動源であるために、清掃ブラシの移動に伴いシャッタも移動している。しかしながら、グリッドを清掃ブラシで清掃する際にシャッタを駆動することなく開口の全領域をシャッタで遮蔽することで汚れ物質の落下を抑制してもよい。
【0048】
なお、本実施例のように、清掃ブラシと清掃パッドは一体で移動するため、清掃により放電ワイヤから落下する汚れ物質もシャッタで受けている。しかしながら、放電ワイヤと比べてグリッドの方が感光体に近いことや、網状の形状も加わり、
§4.{巻取り機構に関する説明}
上述のように、シャッタで汚れ物質を受ける場合、そのシャッタを巻き取ると以下のような問題が生じる。具体的には、その問題とは、シャッタの汚れ物質を受けた面(グリッドと対向する側の面)と、感光体と対向する側の面が巻き取られることによって接触し、汚れ物質が感光体と対向する側の面に転移(付着)する。
【0049】
■(巻取りローラの形状について)
そこで本実施例では、シャッタの汚れ物質を受けた面と感光体と対向する面が巻取り部材としての巻取りローラによって巻き取られる前に、ローラの曲率を利用してシャッタ上に堆積する汚れ物質を除去する。具体的には、帯電器シャッタ10を巻き取る巻取り部材11によりシート状のシャッタを巻き取る。ここで、円筒状の巻取り部材としての巻取りローラ11はシャッタのグリッド電極と対向する側の面が外側になるようにシャッタを巻き取る。このように、巻取りローラでシート状の帯電シャッタを巻き取る構成は、変形しない(剛体の)板状のシャッタを用いる構成と比べて、帯電装置を小型化することが出来る。
【0050】
ここで、シャッタを巻き取る巻取りローラは外径が小さすぎるとシャッタの巻取りが不安定になる。逆に、巻取りローラの外径が大きすぎると、曲率で帯電器シャッタ上の汚れ物質を除去しにくくなる。そこで、本実施例の巻取りローラの外径は20mmにした。なお、シャッタに不織布やPETシートを用いる場合は、巻取りローラの外形は10mm〜30mm程度で汚れ物質を除去できる。
【0051】
また、シャッタを巻き取る巻取り部材の形状が完全な円筒形状であると、シャッタが巻き取られることでコロナ帯電器短手方向に移動(蛇行)する。そこで、巻取りローラ11のコロナ帯電器短手方向両端部の外径と中央部の外径を異なられせることで、シャッタの巻取りによる蛇行を抑制する。具体的には、巻取りローラの中央部の外径を端部の外径よりも大きくしたクラウン形状にした。
【0052】
また、シャッタを巻き取る機構のうち、巻取りローラは感光ドラム1の長手方向端部よりも外側(重力方向において、巻取りローラと感光ドラムが重ならない)に配置されている。また、帯電器シャッタで受けた汚れ物質を曲率により清掃する際に、感光体の端部より外側で払い落すとしても飛散する可能性がある。そこで、本件の帯電器は巻取りロールの下方に不図示の受け部材を設けている。
【0053】
■(比較実験の結果)
上述のように、シャッタのグリッドと対向する側の表面が外側になるように巻取りローラで巻き取る構成にすることにより、帯電シャッタの感光ドラムと対向する側の面への汚れ物質の転移を抑制することが出来る。これに対して、シャッタのグリッドと対向する面が内側になるように巻取りローラで巻き取る構成と比較した結果を以下に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
実験条件は、1K枚連続画像形成毎に帯電シャッタを10回開閉させた後、シャッタを閉めた状態で10時間放置後に形成した1枚目の画像を評価した。画像に画像流れ等の画像不良がなかった場合に「○」とし、画像不良があった場合に「×」とした。
【0056】
このように、シャッタのグリッドと対向する側の面が外側になるように曲率を持つロールで巻き取ることで、汚れ物質が転移して生じる画像流れを抑制することが出来る。
【実施例2】
【0057】
実施例1のように、巻取りローラの曲率のみで汚れ物質を除去する構成では長期に渡り(100K超)シャッタを使用すると、画像不良を抑制しきれなくなる。そこで、本実施例ではグリッド清掃によって落下する汚れ物質を受けた帯電器シャッタを感光ドラム端部の外側でエアにより除去する構成を採用した。
【0058】
これにより、グリッドから落下する汚れ物質を受けたシャッタを巻き取る構成であっても、長期に渡り(100K超)、画像不良を抑制することができる。
【0059】
■(エアフローについて)
図8は本実施例の帯電装置が備えるシャッタ清掃機構について説明するための図である。本実施例の帯電器シャッタには通気性のある不織布を用いた。また、不図示の送付手段としてのファンの位置は帯電器シャッタの上方でも下方でもよく、感光体の端部と巻取りローラの間で付着する汚れ物質を除去するようにエアをy方向に送る。これにより、帯電器シャッタを巻き取る前に清掃することができる。
【0060】
帯電器シャッタで開口を開閉する際に、帯電器シャッタが開方向に進行すればシャッタは巻取り部材に巻き取られる。また、帯電器シャッタが閉方向に進行すれば巻取り装置からシャッタは引き出される(開放)される。
【0061】
帯電器シャッタの移動に伴い、ファンを回転させてドラム面側(感光体側の面)から帯電器方向にエアを流す。これにより、帯電器シャッタのグリッド側の面に堆積した汚れ物質(異物)が浮き、巻取りローラの曲率による清掃性能が向上する。
【0062】
なお、開口をシャッタで閉じるようにシャッタを動かす場合と、開口開くようにシャッタを動かす場合の両方でファンを回すとシャッタがエアでばたつく可能性がある。そこで、本実施例では前述の制御装置300により開口を開くように帯電器シャッタを動かす場合にのみファンを回転させる。
【0063】
さらに清掃能力を上げるために、図8(b)に示すように、エアの流れをy方向に加えて、z方向にも流すことでドラム面から帯電器シャッタ10に引きつけた異物を除去することが可能となった。
【0064】
また、感光体1と巻取り装置11との位置関係は、図8で示すように、巻取り装置11の直前のエアが感光体に吹き付けない位置が良い。このようにすることで、エアで帯電器シャッタ上から取り除いた汚れ物質(異物)が感光体上へ落下することを抑制することができる。
【実施例3】
【0065】
実施例2で述べたように、曲率による汚れ物質の除去をエアで補助することができる。しかしながら、実施例2の手法は不織布等の通気性のあるシャッタを用いる場合にのみ適応が出来る。そこで、本実施例ではシャッタの材質に関わらず汚れ物質の除去を補助し、長期間使用しても画像不良を抑制することが出来る構成について説明する。
【0066】
■(接線方向のエア構成)
本実施例では、グリッド2aなどから落ちてきた汚れ物質(異物)が帯電器シャッタ10に付着し、その異物を積極的に清掃する手段について記載する。図9の(a)は巻取り装置の回転方向の接線方向(x方向)にエアを流すことで異物の除去を補助する。なお、エアはシャッタの巻取り方向に順方向に吹き付ける構成と、逆(カウンター)方向に吹き付ける構成が考えられる。
【0067】
本実施例では、汚れ物質の回収を容易にするためにシャッタを巻き取る回転方向(図9の(a)中では時計回り)に倣う方向にエアを吹き付ける構成を採用した。本実施例においても当然、帯電器シャッタ10の巻取り装置14への巻取り方向は、ドラム面側が内側になるように巻き取る構成を採用している。
【0068】
なお、接線方向のエアは開動作と閉動作の両方で行われればよく。シャッタを閉じる場合にエアはシャッタ移動方向に対してカウンタ方向に吹き付けられるため十分な清掃性を確保することができる。なお、エアの吹き付けられる角度はローラの図9の(c)に示す範囲A(0°〜180°)であればよく、好ましくは範囲B(30°〜150°)に収まるよう設定されるのが好ましい。
なお、図9の(c)の範囲C(90°〜180°)の間でエアを吹き付ける場合は、シャッタ巻取り方向に対してカウンタになるようにエアを吹き付けるのが好ましい。
【0069】
また、感光体1と巻取り装置11との位置関係は、巻取り装置11が図9の(a)に示すように、感光体の外側に位置している方が良い。これにより、シャッタから除去された汚れ物質の飛散を抑制できる。
【0070】
■(シャッタ清掃ローラ構成)
また、図9の(b)に示すように、巻取りローラで巻かれたシャッタに接し、シャッタのグリッド側の面を清掃するシャッタ清掃部材としてのブラシローラ13を備える構成を採用してもよい。
【0071】
具体的に本実施例では、シャッタ清掃部材としてブラシローラ13を順方向に回転するように当接される構成を採用した。なお、ブラシの材質はナイロンやアクリルなどが好ましく、本実施例ではナイロンブラシを採用した。
【0072】
ブラシローラは巻取りローラの感光体から遠い側でシャッタを清掃するのが好ましい。このように配置することにより、ブラシローラによって除去された汚れ物質(異物)が感光体1に付着することを抑制することができる。また、ローラの当接位置に関してはエアを接線方向に吹き付ける構成と同様に、図9の(c)に示す範囲Bに当接させるのが好ましい。
【0073】
ここで、帯電シャッタ10に不織布を用いる場合、ブラシローラを当接させると、不織布がケバ立つ。不織布がケバ立つと、ケバがコロナ帯電器や感光体に付着して、画像不良を招く恐れがある。
【0074】
そこで、不織布を用いた帯電器シャッタの場合、不織布の目の方向と直行する方向に、帯電器シャッタを進行させる。このように構成することにより、不織布が切れづらい方向にブラシが侵入するため、ケバ立ちを抑制することができる。同様に、帯電器シャッタ10が繊維で編んだシートの場合、このシートを構成している糸の太さよりも細い糸をブラシローラに用いると良い。なぜなら、帯電器シャッタを構成している繊維がブラシの糸によって切れづらくなるためである。なお、各実施例1〜3はそれぞれ独立した構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 感光ドラム (像担持体)
2 コロナ帯電器
2b シールド
2a グリッド電極 (調整電極)
2h 放電ワイヤ (放電電極)
14 グリッド清掃ブラシ (清掃部材)
10 帯電器シャッタ (シャッタ)
11 巻取り装置 (巻取り機構)
11a 巻取りローラ (巻取り部材)
13 ブラシローラ (シャッタ清掃部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッドを備えるコロナ帯電器と、
前記グリッドを清掃するグリッド清掃部材と、
前記グリッドの重力方向下方に配置され、前記コロナ帯電器の開口を覆うシート状のシャッタと、
前記開口を開くために前記シャッタを巻取る巻取り機構と、
前記巻取り機構は前記シャッタの前記グリッドと対向する面が外側となるように巻取る巻取り部材を備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
コロナ帯電器が帯電する感光体の端部と巻取り部材の間で、感光体側からグリッド側に向かってエアフローを形成するファンを備える請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記巻取り部材によって巻き取られたシャッタの接線方向にエアフローを形成するファンを備える請求項1に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記巻取り部材によって巻き取られたシャッタと当接してシャッタの表面を清掃するシャッタ清掃部材を備える請求項1に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記グリッドはエッジンググリッドである請求項1乃至4の何れか一項に記載の帯電装置。
【請求項6】
前記シャッタは常に前記グリッド清掃部材の重力方向下方にあることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の帯電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3263(P2013−3263A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132532(P2011−132532)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】