説明

平板ディスプレイ装置

【課題】後続工程において、段差による電極の断線が防止された平板ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】基板110と、複数個の薄膜トランジスタが配置された基板上の第1領域100と、第1領域100から離隔されて基板110上に配置された配線部700と、第1領域100と配線部700との間の基板110上に配置された導電層420と、を備えることを特徴とする薄膜トランジスタ基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板ディスプレイ装置に係り、さらに詳細には、後続工程において、段差による電極の断線が防止された平板ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、通常的な有機発光ディスプレイ装置の平面図であり、図2には、図1のII−II線に沿って切り取った断面図が概略的に示されている。
【0003】
図示したように、有機発光ディスプレイ装置は、基板10上に有機発光素子を備える所定のディスプレイ領域20を有し、このディスプレイ領域20は、メタルキャップ90と密封材81とで構成された密封部によって密封されたものである。ディスプレイ領域20には、薄膜トランジスタ及び有機発光素子が複数個の画素を構成して配列されているが、このとき、有機発光素子の対向電極40がディスプレイ領域20の外側に備えられた電極配線部41を通じて端子領域70に連結される。
【0004】
また、ディスプレイ領域20には、複数個の駆動ラインVDD31が配置されるが、この駆動ライン31は、ディスプレイ領域20の外側の駆動電源配線部30を通じて端子領域70と連結されてディスプレイ領域20に駆動電源を供給する。そして、前記ディスプレイ領域20の外側には、前記ディスプレイ領域20の薄膜トランジスタに信号を入力する垂直回路部50及び水平回路部60がさらに備えられ、これらは、何れも回路配線部51,61によって端子領域70と連結される。
【0005】
前記のような構造において、ディスプレイ領域20とその外側の垂直回路部50及び水平回路部60には、複数個の薄膜トランジスタが備えられる。そして、これら薄膜トランジスタを保護し、その上部を平坦化するために、これら薄膜トランジスタの上部に保護膜が備えられる。
【0006】
この保護膜は、基板の全面にわたって一体に形成されるため、この保護膜でアウトガスが発生して、ディスプレイ領域20に備えられる有機発光素子のようなディスプレイ素子の劣化を誘発するという問題点があった。また、この保護膜は、通常に有機膜及び無機膜の複合膜で形成されるため、基板周辺部から保護膜の界面を通じて不純物が侵入し、ディスプレイ領域20のディスプレイ素子の劣化を誘発するという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来の問題点を解決するためには、例えば、ディスプレイ領域の保護膜が基板周辺部に及ばないように分離することが考えられる。
【0008】
しかしながら、ディスプレイ領域のみに保護膜を形成した場合、ディスプレイ領域とその外側の垂直回路部などとの間に段差が発生して、その後の工程で形成された配線構造に断線などの不具合が起きる可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、基板上の構造において、後続工程で形成される配線構造物などに、段差による断線が発生するのを防止した平板ディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的及びその他の色々な目的を達成するために、本発明は、基板と、複数個の薄膜トランジスタが配置された前記基板上の第1領域と、前記第1領域から離隔されて、前記基板上に配置された配線部と、前記第1領域と前記配線部との間の前記基板上に配置された導電層と、前記第1領域の薄膜トランジスタに電気的に連結されたディスプレイ素子と、を備えることを特徴とする平板ディスプレイ装置を提供する。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記第1領域に配置された薄膜トランジスタは、半導体層と、前記半導体層を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に配置されて前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを通じて、前記半導体層とそれぞれ接するソース電極及びドレイン電極と、を備えうる。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜は、前記第1領域の外側まで延び、前記配線部は、前記層間絶縁膜上に配置されうる。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記配線部は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ材料で形成されうる。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜は、前記第1領域の外側まで延び、前記導電層は、前記層間絶縁膜上に配置されうる。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記導電層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ材料で形成されうる。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜は、前記第1領域の外側まで延び、前記導電層は、前記ゲート絶縁膜上に配置される第1導電層と前記層間絶縁膜上に配置される第2導電層とを備えうる。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1導電層は、前記ゲート電極と同じ材料で形成され、前記第2導電層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ材料で形成されうる。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1領域を覆う第1領域保護膜と、前記第1領域保護膜から離隔されて配置される周辺部保護膜とをさらに備えうる。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記配線部は、前記周辺部保護膜上に配置されうる。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ディスプレイ素子は、画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に介在されて少なくとも発光層を備える中間層と、を備える有機発光素子でありうる。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極は、前記第1領域保護膜上に配置され、前記第1領域保護膜に形成されたコンタクトホールを通じて、前記第1領域の薄膜トランジスタに電気的に連結されうる。
【0022】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記配線部は、前記周辺部保護膜上に配置され、前記配線部は、前記画素電極と同じ材料で形成されうる。
【0023】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素電極が露出されるように少なくとも前記第1領域保護膜上に配置される画素定義膜をさらに備えうる。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素定義膜は、前記周辺部保護膜上にも備えられうる。
【0025】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記画素定義膜は、前記配線部の少なくとも一部を露出させるコンタクトホールを備えうる。
【0026】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記対向電極は、前記配線部の少なくとも一部を露出させるコンタクトホールを通じて前記配線部と電気的に連結されうる。
【0027】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記対向電極と前記導電層とは、電気的に連結されうる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の平板ディスプレイ装置によれば、次のような効果が得られる。
【0029】
第一に、後続工程において保護膜をディスプレイ領域を備える第1領域保護膜とその外側の周辺部保護膜とに分けた場合でも、第1領域保護膜と周辺部保護膜との段差を導電層を通じて減少させることによって、対向電極などの配線構造物の断線を防止しうる。
【0030】
第二に、保護膜をディスプレイ領域を備える第1領域保護膜とその外側の周辺部保護膜とに分けたことで、保護膜の内部を通じたディスプレイ領域への不純物の侵入を防止しうる。
【0031】
第三に、第1領域保護膜と周辺部保護膜との間に導電層を備えることによって、対向電極が段差によって断線されても、この導電層を通じて対向電極を配線部に電気的に連結させうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0033】
図3は、本発明の望ましい第1実施形態による平板ディスプレイ装置、特に、有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す平面図であり、図4は、図3のIV−IV線に沿って切り取った断面図である。
【0034】
前記図面を参照すれば、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置は、薄膜トランジスタ基板を備える。この薄膜トランジスタ基板は、ガラス材、金属材及びプラスチック材からなる基板110と、基板110上の複数個の薄膜トランジスタが配置された第1領域100(図4参照)と、この第1領域100から離隔されて基板110上に配置された配線部700(図4参照)と、第1領域100と配線部700との間に配置された導電層420と、を備える。
【0035】
そして、このような薄膜トランジスタ基板上に有機発光素子が備えられているが、この有機発光素子は、画素電極210(図4参照)と、これに対向した対向電極400と、画素電極210と対向電極400との間に介在された少なくとも発光層を備える中間層230(図4参照)と、を備える。
【0036】
前記第1領域100には、複数個の薄膜トランジスタが備えられているが、これら複数個の薄膜トランジスタは、図面に示したように、垂直回路駆動部500に備えられた薄膜トランジスタでもあり、ディスプレイ領域200内に備えられた薄膜トランジスタでもあり、必要に応じて備えられたそれ以外の薄膜トランジスタでもある。また、水平回路駆動部600に備られた薄膜トランジスタでもある。
【0037】
このような薄膜トランジスタ基板の外側エッジには、端子320,420,510,620が配置されている。これらは、それぞれ基板110上に形成されているか、または形成される駆動電源配線部300、電極電源供給ライン410、垂直回路駆動部500、水平回路駆動部600に電気的に連結されている。また、薄膜トランジスタ基板の外側エッジには、密封部800が備えられて基板110と封止基板900(図4参照)とを密封させる。
【0038】
前記第1領域100及び有機発光素子の構成をさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0039】
まず、基板110上にSiO2でバッファ層120が備えられる。バッファ層120の一面上には、半導体層130が備えられる。半導体層130は、非晶質シリコン層または多結晶質シリコン層で形成され、または有機半導体物質で形成されてもよい。図面で詳細に示していないが、必要に応じて、半導体層130は、N+型またはP+型のドーパントでドーピングされるソース及びドレイン領域と、チャンネル領域とを備えうる。
【0040】
半導体層130の一面の上部には、ゲート電極150が備えられる。このゲート電極150に印加される信号によって、ソース電極とドレイン電極170とが電気的に疎通される。
【0041】
ゲート電極150は、隣接層との密着性、積層される層の表面平坦性、そして加工性を考慮して、例えば、MoW、Al/Cuなどのような物質で形成される。このとき、半導体層130とゲート電極150との絶縁性を確保するために、例えば、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapour Deposition)を通じてSiO2で構成されるゲート絶縁層140が半導体層130とゲート電極150との間に介在される。
【0042】
ゲート電極150の上部には、層間絶縁膜160が備えられるが、これは、SiO2、SiNxなどの物質で単層に形成されるか、または多重層に形成されてもよい。層間絶縁膜160の上部には、ソース/ドレイン電極170が形成される。ソース/ドレイン電極170は、層間絶縁膜160及びゲート絶縁層140に形成されるコンタクトホールを通じて半導体層にそれぞれ電気的に連結される。
【0043】
ソース/ドレイン電極170の上部には、第1領域保護膜(パシベーション層及び/または平坦化層)181が備えられ、下部の薄膜トランジスタを保護し、かつ平坦化させる。
【0044】
この第1領域保護膜181は、多様な形態で構成されるが、BCB(Benzocyclobutene)またはアクリルのような有機物、または、SiNxのような無機物で形成されてもよく、単層に形成されるか、二重あるいは多重層に構成されるなど、多様な変形が可能である。
【0045】
この第1領域保護膜181上には、多様なディスプレイ素子が備えられうる。本実施形態の場合には、有機発光素子が備えられている。この有機発光素子は、画素電極210と、この画素電極に対向する対向電極400と、この電極の間に介在された少なくとも発光層を備える中間層230と、を備える。
【0046】
画素電極210は、第1領域保護膜181上に備えられる。この画素電極210は、第1領域保護膜181に形成されたコンタクトホール211を通じて下部のソースまたはドレイン電極170に電気的に連結される。画素電極210は、透明電極または反射型電極として使用されうる。透明電極として使われる場合には、ITO、IZO、ZnOまたはIn2O3で備えられうる。反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上にITO、IZO、ZnOまたはIn2O3を形成できる。
【0047】
一方、対向電極400も透明電極または反射型電極として使用されうる。透明電極として使われる場合には、仕事関数が小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を中間層上に蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnOまたはIn2O3などの透明電極形成用物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる場合には、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。しかし、必ずしもこれに限定されず、画素電極及び対向電極として伝導性ポリマーなど有機物を使用してもよい。
【0048】
中間層230は、低分子または高分子有機物で備えられうる。低分子有機物で形成される場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emissive Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造に積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして、多様な物質が使われうる。このような層は、真空蒸着の方法で形成されうる。
【0049】
高分子有機物で形成される場合には、大体、HTL及びEMLで備えられた構造を有し、このとき、前記HTLにPEDOTを使用し、EMLにPPV(Poly−Phenylenevinylene)系及びポリフルオレン系など、高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法で形成できる。
【0050】
前記のような中間層は、必ずしもこれに限定されず、多様な実施形態が適用されうる。
【0051】
このような第1領域100の外側には、配線部700が備えられるが、図面に示したように、この配線部700には、電極電源供給ライン410が備えられうる。すなわち、この配線部700は、対向電極400に電気的に連結されてこの対向電極400に電源を供給する役割を行える。このとき、第1領域100のゲート絶縁膜140と層間絶縁膜160とは、第1領域100の外側まで延びるが、これと違って、必要に応じてゲート絶縁膜140と層間絶縁膜160とが第1領域100の外側に備われないこともあるなど、多様な変形が可能である。
【0052】
もちろん、対向電極400以外にも有機発光素子には他の電源が必要であるが、例えば、駆動電源のようなものである。このような駆動電源は、ディスプレイ領域200に備えられた複数個の駆動ラインVDD310によって供給されるが、この駆動ライン310は、ディスプレイ領域200の外側の駆動電源配線部300を通じて端子320に連結されてディスプレイ領域200に駆動電源を供給する。もちろん、駆動電源配線部300は、図3に示したものと違って、必ずしもディスプレイ領域200の外周部を取り囲む形状である必要はない。
【0053】
一方、第1領域保護膜181が備えられることによって、この第1領域保護膜181から離隔されて、前記第1領域100の周辺に形成される周辺部保護膜182がさらに備えられてもよい。それは、工程上では、保護膜を基板110の全面にわたって形成した後、第1領域100の外周部に沿って保護膜の一部を除去したものである。
【0054】
前述したように、保護膜は、通常的に有機膜及び無機膜の複合膜で形成されるが、従来には、この保護膜が基板の全面にわたって一体に形成されることによって、この膜の間の界面を通じて保護膜の外側から不純物が侵入して、ディスプレイ領域100のディスプレイ素子の劣化を誘発するという問題点があった。したがって、本発明では、この保護膜を第1領域保護膜181と周辺部保護膜182とに分離させることによって、周辺部保護膜182の外側から周辺部保護膜182の界面に沿って不純物が侵入しても、ディスプレイ領域200へはそれ以上の不純物の侵入を防止しうる。これを通じてディスプレイ素子の寿命を向上させ、窮極的には、経時的なディスプレイ装置の画質の低下を防止しうる。この場合、この第1領域保護膜181と周辺部保護膜182との間に導電層420が位置する。この導電層420の役割は、後述する。
【0055】
図示したように、配線部700、例えば、電極電源供給ライン410は、前記周辺部保護膜700上に備えられるが、この場合、工程上、ディスプレイ領域200の画素電極210と同時に形成されうる。したがって、この電極電源供給ライン410は、画素電極210と同じ材料で形成されうる。もちろん、必要に応じては、他の物質で形成されてもよい。
【0056】
一方、図4に示したように、第1領域100には、画素定義膜220が備えられる。これは、各副画素に対応する開口、すなわち、画素電極を露出させる開口を有することによって画素を定義する役割を行い、画素電極210の端部と対向電極400との距離を広がることによって、画素電極210の端部からのアークなどの発生を防止する役割を行う。
【0057】
この画素定義膜220は、第1領域100の外側の周辺部保護膜182上にも備えられうる。この場合、画素定義膜220は、配線部700、すなわち、電極電源供給ライン410の少なくとも一部を露出させるコンタクトホールを備えうる。そして、このコンタクトホールを通じて配線部700、すなわち、電極電源供給ライン410と対向電極400とが電気的に連結されうる。
【0058】
このとき、図4に示したように、画素電極400は、基板110の全面にわたって形成されることによって配線部700に連結される。この場合、前述したように、保護膜が第1領域保護膜181と周辺部保護膜182とに分けられることによって、その間Aに段差が大きく形成されることになる。したがって、このような段差によって対向電極400が断線されることもあり、その結果、配線部700に電気的に連結されないこともある。すなわち、図5の比較例に示したように、第1領域保護膜181と周辺部保護膜182とに保護膜が分けられることによって、その間Aで、A1で表した部分のように、対向電極400が断線されることがある。これは、対向電極400の厚さが約180Åであるが、一方、保護膜及び画素定義膜の厚さが約2μmに至るためである。
【0059】
このような問題をなくすためには、その段差を減らすことが望ましい。この役割を導電層420が行う。このように本実施形態では、導電層420を備えることによって、図4のA1で表した部分で対向電極400の断線が防止される。
【0060】
この導電層420は、第1領域100のソース電極またはドレイン電極170が層間絶縁膜160上に形成されると同時に形成される。したがって、層間絶縁膜160上に同一物質で形成されうる。もちろん、必要に応じて追加的にまたは他の材料で形成してもよく、他の層上に形成されてもよいなど、多様な変形が可能である。
【0061】
このように導電層420が第1領域100と配線部700との間に備えられることによって、保護膜の段差を減少させて画素電極400が断線される不良を防止しうる。また、画素電極400がもし断線されても、画素電極400が導電層420にのみ連結されれば、この導電層420を通じて配線部700と画素電極400とが電気的に連結されることもあるので、不良が防止されうる。
【0062】
一方、図4と違って、周辺部保護膜182は、備えないこともある。この場合には、配線部700、すなわち、電極電源供給ライン410は層間絶縁膜160上に配置される。この場合には、第1領域100のソース電極及びドレイン電極170と同一層上に形成されるので、ソース電極及びドレイン電極170と同一物質で形成されてもよい。
【0063】
そのほか、図4には、垂直回路駆動部500が第1領域100に備えられると示されているが、本発明は、これに限定されていない。すなわち、図6に示したように、垂直回路駆動部500が配線部700の下部に備えられてもよく、図7に示したように、配線部700の外側に備えられてもよい(図7では、配線部700の外側に備えられたため、図示せず)。また、垂直回路駆動部が配線部の外側に備えられる場合には、図8に示したように、第1領域100と配線部700との間で段差が形成されうるが、この場合に段差によって対向電極400が断線される不良を、前述したように導電層420によって防止しうる。
【0064】
図9は、本発明の望ましい第2実施形態による平板ディスプレイ装置、特に、有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す平面図である。
【0065】
本実施形態による有機発光ディスプレイ装置が前述した第1実施形態による有機発光ディスプレイ装置と異なる点は、導電層420が二重に形成されているという点である。すなわち、導電層420は、第1領域100のゲート電極150の形成時に同じ材料でゲート絶縁膜140上に同時に形成される第1導電層421と、ソース電極及びドレイン電極170を形成する時に同じ材料で層間絶縁膜160上に同時に形成される第2導電層422と、を備えている。このように、二重構造を有させることによって、第1領域保護膜181と周辺部保護膜182との間の段差をさらに減らせて、対向電極400が断線される不良をさらに確実に防止しうる。
【0066】
図10は、本発明の望ましい第3実施形態による平板ディスプレイ装置、特に、有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す平面図である。
【0067】
本実施形態による有機発光ディスプレイ装置が前述した第2実施形態による有機発光ディスプレイ装置と異なる点は、導電層420が二重構造を有するが、第1導電層421と第2導電層422とが電気的に連結されているという点である。これは、第1領域100でソース電極及びドレイン電極170が半導体層130に連結されうるように、コンタクトホールを形成する時に第1導電層421上の層間絶縁膜160を除去することによってなされうる。
【0068】
前記実施形態及びその変形例では、有機発光ディスプレイ装置の場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、多様なディスプレイ装置、例えば、液晶ディスプレイ装置のような色々なディスプレイ装置にも適用されうる。
【0069】
本発明は、図面に示した実施形態を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、平板ディスプレイ装置関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来の有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切り取った断面図である。
【図3】本発明の望ましい一実施形態による平板ディスプレイ装置、特に、有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿って切り取った断面図である。
【図5】図4の比較例による有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。
【図6】図4に示した有機発光ディスプレイ装置の変形例を概略的に示す断面図である。
【図7】図4に示した有機発光ディスプレイ装置の他の変形例を概略的に示す断面図である。
【図8】図4に示した有機発光ディスプレイ装置のさらに他の変形例を概略的に示す断面図である。
【図9】本発明の望ましい他の一実施形態による平板ディスプレイ装置、特に、有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す平面図である。
【図10】本発明の望ましいさらに他の一実施形態による平板ディスプレイ装置、特に、有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0072】
110…基板、
120…バッファ層、
130…半導体層、
140…ゲート絶縁膜、
150…ゲート電極、
160…層間絶縁膜、
170…ソース/ドレイン電極、
181,182…保護膜、
210…画素電極、
220…画素定義膜、
230…中間層、
400…対向電極、
410…電極電源供給線、
420…導電層、
500…垂直回路駆動部、
700…配線部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
複数個の薄膜トランジスタが配置された前記基板上の第1領域と、
前記第1領域から離隔されて前記基板上に配置された配線部と、
前記第1領域と前記配線部との間の前記基板上に配置された導電層と、
前記第1領域の薄膜トランジスタに電気的に連結されたディスプレイ素子と、を備えることを特徴とする平板ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1領域に配置された薄膜トランジスタは、
半導体層と、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に配置され、前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールとを通じて、前記半導体層とそれぞれ接するソース電極及びドレイン電極と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜は、前記第1領域の外側まで延び、前記配線部は、前記層間絶縁膜上に配置されることを特徴とする請求項2に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記配線部は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ材料で形成されることを特徴とする請求項3に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜は、前記第1領域の外側まで延び、前記導電層は、前記層間絶縁膜上に配置されることを特徴とする請求項2に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記導電層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ材料で形成されることを特徴とする請求項5に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜は、前記第1領域の外側まで延び、前記導電層は、前記ゲート絶縁膜上に配置される第1導電層と前記層間絶縁膜上に配置される第2導電層とを備えることを特徴とする請求項2に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1導電層は、前記ゲート電極と同じ材料で形成され、前記第2導電層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ材料で形成されたことを特徴とする請求項7に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1領域を覆う第1領域保護膜と、前記第1領域保護膜から離隔されて配置される周辺部保護膜とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記配線部は、前記周辺部保護膜上に配置されることを特徴とする請求項9に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記ディスプレイ素子は、画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に介在されて、少なくとも発光層を含む中間層と、を備える有機発光素子であることを特徴とする請求項9に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記画素電極は、前記第1領域保護膜上に配置され、前記第1領域保護膜に形成されたコンタクトホールを通じて、前記第1領域の薄膜トランジスタに電気的に連結されることを特徴とする請求項11に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記配線部は、前記周辺部保護膜上に配置され、前記配線部は、前記画素電極と同じ材料で形成されることを特徴とする請求項12に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記画素電極が露出されるように、少なくとも前記第1領域保護膜上に配置される画素定義膜をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記画素定義膜は、前記周辺部保護膜上にも備えられることを特徴とする請求項14に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記画素定義膜は、前記配線部の少なくとも一部を露出させるコンタクトホールを備えることを特徴とする請求項15に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項17】
前記対向電極は、前記配線部の少なくとも一部を露出させるコンタクトホールを通じて、前記配線部と電気的に連結されることを特徴とする請求項16に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記対向電極と前記導電層とは、電気的に連結されることを特徴とする請求項17に記載の平板ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−41561(P2007−41561A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172804(P2006−172804)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】